JP2008096046A - エバポレータ - Google Patents

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広仲 佐々木
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Abstract

【課題】下ヘッダタンクからの凝縮水の排水性能を向上しうるエバポレータを提供する。
【解決手段】エバポレータ30は、上下1対のヘッダタンク31,32と、両ヘッダタンク31,32間に左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管33とを備えている。下ヘッダタンク32は、タンク形成部材60と、タンク形成部材60の上面を覆う上面被覆部61Aおよび前後両側面を覆う側面被覆部61Bを有する管接続用プレート61とからなる。タンク形成部材60の前側面の上部に、前方に向かって下方に傾斜した傾斜面70を形成する。管接続用プレート61の前側面被覆部61Bの上部に、前方に向かって下方に傾斜した傾斜部71を形成し、傾斜部71をタンク形成部材60の傾斜面70にろう付する。
【選択図】図3

Description

この発明は、エバポレータに関し、さらに詳しくは、たとえばCO(二酸化炭素)などの超臨界冷媒が用いられ、かつカーエアコンとして車両に搭載される超臨界冷凍サイクルのエバポレータとして好適に使用されるエバポレータに関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「超臨界冷凍サイクル」とは、高圧側において、冷媒が臨界圧力を超えた超臨界状態となる冷凍サイクルを意味するものとし、「超臨界冷媒」とは、超臨界冷凍サイクルに用いられる冷媒を意味するものとする。
さらに、この明細書および特許請求の範囲において、図1および図2の上下、左右をそれぞれ上下、左右というものとする。さらに、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。
たとえば車両のカーエアコンに適用される超臨界冷凍サイクルのエバポレータとして、従来、上下方向に間隔をおいて配置された左右方向に長い1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に前後方向に間隔をおいて配置された複数の扁平状熱交換管と、左右方向に隣り合う熱交換管間に配置されたコルゲートフィンとを備えており、下ヘッダタンクが、タンク形成部材と、タンク形成部材の上面を覆う上面被覆部およびタンク形成部材の前後両側面を覆う前後両側面被覆部を有する管接続用プレートとからなり、管接続用プレートの上面被覆部外面が水平面であるとともに前側面被覆部外面が垂直面となされているものが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、このエバポレータにおいては、下ヘッダタンクの頂面、すなわち管接続用プレートの上面とコルゲートフィンの下端との間に比較的多くの凝縮水が溜まるおそれがある。
特開2005−300135号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、下ヘッダタンクからの凝縮水の排水性能を向上しうるエバポレータを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)上下方向に間隔をおいて配置された左右方向に長い1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管とを備えており、下ヘッダタンクが、タンク形成部材と、タンク形成部材の上面を覆う上面被覆部および前後両側面を覆う側面被覆部を有する管接続用プレートとからなるエバポレータにおいて、
管接続用プレートの前側面被覆部の上部が、前方に向かって下方に傾斜しているバポレータ。
2)タンク形成部材の前側面の上部に、前方に向かって下方に傾斜した傾斜面が形成され、管接続用プレートの前側面被覆部の傾斜部が、タンク形成部材の傾斜面に接合されている上記1)記載のエバポレータ。
3)管接続用プレートにおける前側面被覆部の傾斜部外面の斜め上方への延長面と上面被覆部の前方への延長面との交差部から、熱交換管の前端までの距離をAmm、管接続用プレートにおける前側面被覆部の傾斜部よりも下方の垂直部外面から熱交換管の前端までの距離をCmmとした場合、0<A≦0.5Cという関係を満たし、かつ管接続用プレートにおける前側面被覆部の傾斜部外面の水平面に対する傾斜角度が30〜60度である上記1)または2)記載のエバポレータ。
4)管接続用プレートの上面被覆部外面が水平面である上記3)記載のエバポレータ。
5)管接続用プレートの後側面被覆部の上部が、後方に向かって下方に傾斜している上記1)〜3)のうちのいずれかに記載のバポレータ。
6)タンク形成部材の後側面の上部に、後方に向かって下方に傾斜した傾斜面が形成され、管接続用プレートの後側面被覆部の傾斜部が、タンク形成部材の傾斜面に接合されている上記5)記載のエバポレータ。
7)管接続用プレートにおける後側面被覆部の傾斜部外面の斜め上方への延長面と上面被覆部の後方への延長面との交差部から、熱交換管の後端までの距離をAmm、管接続用プレートにおける後側面被覆部の傾斜部よりも下方の垂直部外面から熱交換管の後端までの距離をCmmとした場合、0<A≦0.5いう関係を満たし、かつ管接続用プレートにおける後側面被覆部の傾斜部外面の水平面に対する傾斜角度が30〜60度である上記5)または6)記載のエバポレータ。
8)管接続用プレートの上面被覆部外面が水平面である上記7)記載のエバポレータ。
9)下ヘッダタンクのタンク形成部材が、左右方向に伸びる少なくとも1つの外方膨出部を有する第1プレートと、管接続用プレートと第1プレートとの間に、第1プレートの外方膨出部の開口を塞ぐように介在させられるとともに両プレートに接合された第2プレートとよりなり、管接続用プレートにおける外方膨出部と対応する部分に、複数の管挿入穴が管接続用プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、タンク形成部材の第2プレートに、管接続用プレートの各管挿入穴を第1プレートの外方膨出部内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、熱交換管の下端部が下ヘッダタンクの管接続用プレートの管挿入穴内に挿入されて管接続用プレートにろう付され、第2プレートに、タンク形成部材の傾斜面が形成されている上記1)〜8)のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
10)コンプレッサ、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる冷凍サイクルであって、エバポレータが上記1)〜9)のうちのいずれかに記載のエバポレータからなる超臨界冷凍サイクル。
11)超臨界冷媒が二酸化炭素である上記10)記載の超臨界冷凍サイクル。
12)上記10)または11)記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
上記1)のエバポレータによれば、超臨界冷凍サイクルの運転中に、熱交換管およびフィンから下ヘッダタンク上に流下してきた凝縮水は、管接続用プレートの上面被覆部上を前方に流れ、前側面被覆部の上部に形成された傾斜部外面を伝って下ヘッダタンクの下方に落下するので、下ヘッダタンクの頂面の前側部分とフィンの下端との間に大量の凝縮水が滞留することが防止される。したがって、上述した部位への凝縮水の滞留に起因する空気側圧力損失の増大が防止され、エバポレータの性能低下が防止される。しかも、上述した部位に大量の凝縮水が滞留することに起因する下ヘッダタンクからの凝縮水の飛散が防止される。
上記2)のエバポレータによれば、下ヘッダタンクの耐圧性の低下が防止される。
上記3)のエバポレータによれば、凝縮水が、前側面被覆部の上部に形成された傾斜部外面を伝って下ヘッダタンクの下方へ効果的に落下する。
上記5)のエバポレータによれば、超臨界冷凍サイクルの運転が停止された場合、後側において熱交換管およびフィンから下ヘッダタンク上に流下してきた凝縮水は、管接続用プレートの後側面被覆部の上部に形成された傾斜部外面を伝って下ヘッダタンクの下方に落下するので、下ヘッダタンクの頂面の後側部分とフィンの下端との間に大量の凝縮水が滞留することが防止される。したがって、上述した部位への凝縮水の滞留に起因する空気側圧力損失の増大が防止され、エバポレータの性能低下が防止される。
上記6)のエバポレータによれば、下ヘッダタンクの耐圧性の低下が防止される。
上記7)のエバポレータによれば、凝縮水が、後側面被覆部の上部に形成された傾斜部外面を伝って下ヘッダタンクの下方へ効果的に落下する。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施形態は、この発明によるエバポレータを超臨界冷凍サイクルのエバポレータに適用したものである。
図1〜図3はこの発明を適用したエバポレータの全体構成を示し、図4〜図10はエバポレータの要部の構成を示す。
なお、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1〜図6において、超臨界冷媒、たとえばCOを使用する超臨界冷凍サイクルのエバポレータ(30)は、上下方向に間隔をおいて配置されかつ左右方向にのびる2つのヘッダタンク(31)(32)と、両ヘッダタンク(31)(32)間に、左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の扁平状熱交換管(33)と、隣接する熱交換管(33)どうしの間の通風間隙、および左右両端の熱交換管(33)の外側に配置されて熱交換管(33)にろう付されたコルゲートフィン(34)と、左右両端のコルゲートフィン(34)の外側にそれぞれ配置されてコルゲートフィン(34)にろう付されたアルミニウムベア製サイドプレート(35)とを備えており、左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の扁平状熱交換管(33)からなる熱交換管群(33A)が、前後方向に間隔をおいて複数列、ここでは2列設けられている。
上ヘッダタンク(31)は、アルミニウム製タンク形成部材(36)と、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成され、かつタンク形成部材(36)の下面にろう付された管接続用プレート(37)とを備えている。タンク形成部材(36)は、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成され、かつ上下方向外側、ここでは上側に配置された第1プレート(36A)と、金属ベア材、ここではアルミニウムベア材からなり、かつ第1プレート(36A)と管接続用プレート(37)との間に介在させられて両プレート(36A)(37)にろう付された第2プレート(36B)とにより構成されている。
上ヘッダタンク(31)の第1プレート(36A)の右側部分および左側部分に、それぞれ左右方向にのびる2つの外方膨出部(39A)(39B)(39C)(39D)が前後方向に間隔をおいて形成されている。そして、各外方膨出部(39A)〜(39D)の下側を向いた開口が、第2プレート(36B)により塞がれている。各外方膨出部(39A)〜(39D)の膨出高さ、長さおよび幅は等しくなっている。以下、この実施形態において、右側前部分の外方膨出部(39A)を第1外方膨出部、右側後部分の外方膨出部(39B)を第2外方膨出部、左側前部分の外方膨出部(39C)を第3外方膨出部、左側後部分の外方膨出部(39D)を第4外方膨出部というものとする。ここで、第1および第2外方膨出部(39A)(39B)の内部空間は、それぞれCOを左右方向に流す第1冷媒流通部(40A)(40B)となっている。第1プレート(36A)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施することにより形成されている。
上ヘッダタンク(31)の管接続用プレート(37)は、タンク形成部材(36)の第2プレート(36B)における上下方向内側面、ここでは下面を覆う下面被覆部(37A)と、下面被覆部(37A)の前後両側縁にそれぞれ上方に突出するように一体に形成され、かつ先端が第1プレート(36A)の外面まで至ってタンク形成部材(36)の前後両側面を全高にわたって覆う前後両側面被覆部(37B)とよりなる。下面被覆部(37A)が、タンク形成部材(36)の第2プレート(36B)の下面にろう付され、両側面被覆部(37B)が、タンク形成部材(36)の第1プレート(36A)および第2プレート(36B)の前後両側面にろう付されている。各側面被覆部(37B)の上端に、第1プレート(36A)の外面に係合する複数の係合部(43)が、左右方向に間隔をおいて一体に形成され、第1プレート(36A)にろう付されている。なお、係合部(43)は、3枚のプレート(36A)(36B)(37)を重ねる前には、図4に鎖線で示すように、折り曲げられておらず、側面被覆部(37B)に真っ直ぐに連なっている。折り曲げ前の係合部を(43A)で示す。
管接続用プレート(37)の下面被覆部(37A)の前後両側部分に、それぞれ前後方向に長い複数の貫通状管挿入穴(41)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。前側の右半部における複数の管挿入穴(41)は、第1プレート(36A)の第1外方膨出部(39A)の左右方向の範囲内に形成され、後側の右半部における複数の管挿入穴(41)は、第2外方膨出部(39B)の左右方向の範囲内に形成され、前側の左半部における複数の管挿入穴(41)は、第3外方膨出部(39C)の左右方向の範囲内に形成され、後側の左半部における複数の管挿入穴(41)は、第4外方膨出部(39D)の左右方向の範囲内に形成されている。また、各管挿入穴(41)の長さは、各外方膨出部(39A)〜(39D)の前後方向の幅よりも若干長く、管挿入穴(41)の前後両端部は各外方膨出部(39A)〜(39D)の前後両側縁よりも外方に突出している(図3参照)。管接続用プレート(37)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されている。
上ヘッダタンク(31)のタンク形成部材(36)の第2プレート(36B)における管挿入穴(41)と対応する位置に、管接続用プレート(37)の管挿入穴(41)を第1プレート(36A)の外方膨出部(39A)〜(39D)内に通じさせる前後方向に長い貫通状連通穴(44)が、管挿入穴(41)と同じ数だけ形成されている。連通穴(44)は管挿入穴(41)よりも一回り大きくなっている。そして、管接続用プレート(37)の前側の右半部における複数の管挿入穴(41)は、第2プレート(36B)の前側の右半部における複数の連通穴(44)を介して第1外方膨出部(39A)内に通じさせられ、同じく後側の右半部における複数の管挿入穴(41)は、第2プレート(36B)の後側の右半部における複数の連通穴(44)を介して第2外方膨出部(39B)内に通じさせられ、同じく前側の左半部における複数の管挿入穴(41)は、第2プレート(36B)の前側の左半部における複数の連通穴(44)を介して第3外方膨出部(39C)内に通じさせられ、同じく後側の左半部における複数の管挿入穴(41)は、第2プレート(36B)の後側の左半部における複数の連通穴(44)を介して第4外方膨出部(39D)内に通じさせられている。
図4および図5に示すように、第2プレート(36B)における第1プレート(36A)の第1外方膨出部(39A)内の第1冷媒流通部(40A)に通じるすべての連通穴(44)および第2外方膨出部(39B)内の第1冷媒流通部(40B)に通じるすべての連通穴(44)は、それぞれ第2プレート(36B)における左右方向に隣り合う連通穴(44)間の前後方向中央部分を切除することにより形成された連通部(46)により連通させられている。そして、第1プレート(36A)の第1および第2外方膨出部(39A)(39B)内の第1冷媒流通部(40A)(40B)に通じるすべての連通穴(44)およびこれらの連通穴(44)を連通させる連通部(46)により、第2プレート(36B)に冷媒を左右方向に流す第2冷媒流通部(50A)(50B)が形成されている。また、第2プレート(36B)における第1プレート(36A)の第3外方膨出部(39C)の内部空間に通じる各連通穴(44)と第4外方膨出部(39D)の内部空間に通じる各連通穴(44)とは、第2プレート(36B)における前後方向に隣り合う連通穴(44)間の部分を切除することにより形成された冷媒ターン用連通部(45)により連通させられ、これにより第1プレート(36A)の第3および第4外方膨出部(39C)(39D)の内部空間どうしが相互に通じ合っている。第2プレート(36B)は、アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより形成されている。
図4〜図6に示すように、3つのプレート(36A)(36B)(37)の右端部には、それぞれ前後方向に間隔をおいて2つの右方突出部(36a)(36b)(37a)が形成されている。第2プレート(36B)には、前後2つの外方突出部(36b)の先端から右端部の連通穴(44)に通じる切り欠き(47)が形成されており、これにより上ヘッダタンク(31)に、第2プレート(36B)の前側の第2冷媒流通部(50A)および第1プレート(36A)の第1外方膨出部(39A)内の第1冷媒流通部(40A)に通じる冷媒入口(48)と、第2プレート(36B)の後側の第2冷媒流通部(50B)および第1プレート(36A)の第2外方膨出部(39B)内の第1冷媒流通部(40B)に通じる冷媒出口(49)とが形成されている。3つのプレート(36A)(36B)(37)の2つの右方突出部(36a)(36b)(37a)にまたがるように、冷媒入口(48)に通じる冷媒流入路(52)および冷媒出口(49)に通じる冷媒流出路(53)を有する冷媒入出部材(51)が、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシート(57)により上ヘッダタンク(31)にろう付されている。冷媒入出部材(51)は、金属ベア材、ここではアルミニウムベア材からなる。
図1〜図3、図7および図8に示すように、下ヘッダタンク(32)は、アルミニウム製タンク形成部材(60)と、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成され、かつタンク形成部材(60)の上面にろう付された管接続用プレート(61)とを備えている。タンク形成部材(60)は、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成され、かつ上下方向外側、ここでは下側に配置された第1プレート(60A)と、金属ベア材、ここではアルミニウムベア材からなり、かつ第1プレート(60A)と管接続用プレート(61)との間に介在させられて両プレート(60A)(61)にろう付された第2プレート(60B)とにより構成されている。下ヘッダタンク(32)のタンク形成部材(60)の上面、すなわち第2プレート(60B)上面は水平面となっている。
下ヘッダタンク(32)のタンク形成部材(60)の第1プレート(60A)に、前後方向に間隔をおいて2つの外方膨出部(62A)(62B)が、上ヘッダタンク(31)の第1外方膨出部(39A)と第3外方膨出部(39C)、および第2外方膨出部(39B)と第4外方膨出部(39D)とにそれぞれまたがるように第1プレート(60A)の右端部から左端部にかけて形成されている。そして、各外方膨出部(62A)(62B)の上側を向いた開口が、第2プレート(60B)により塞がれている。各外方膨出部(62A)(62B)の膨出高さ、長さおよび幅は等しくなっている。ここで、各外方膨出部(62A)(62B)の内部空間は、それぞれCOを左右方向に流す第1冷媒流通部(63A)(63B)となっている。第1プレート(60A)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施することにより形成されている。
下ヘッダタンク(32)の管接続用プレート(61)は、タンク形成部材(60)の第2プレート(60B)における上下方向内側面、ここでは上面を覆う上面被覆部(61A)と、上面被覆部(61A)の前後両側縁にそれぞれ下方に突出するように一体に形成され、かつ先端が第1プレート(60A)の外面まで至ってタンク形成部材(60)の前後両側面を全高にわたって覆う前後両側面被覆部(61B)とよりなる。上面被覆部(61A)が、タンク形成部材(60)の第2プレート(60B)の上面にろう付され、前後両側面被覆部(61B)が、タンク形成部材(60)の第1プレート(60A)および第2プレート(60B)の前後両側面にろう付されている。上面被覆部(61A)の外面(上面)は水平面となっている。各側面被覆部(61B)の下端に、第1プレート(60A)の外面に係合する複数の係合部(64)が、左右方向に間隔をおいて一体に形成され、第1プレート(60A)にろう付されている。なお、係合部(64)は、3枚のプレート(60A)(60B)(61)を重ねる前には、図7に鎖線で示すように、折り曲げられておらず、側面被覆部(61B)に真っ直ぐに連なっている。折り曲げ前の係合部を(64A)で示す。
下ヘッダタンク(32)の管接続用プレート(61)における上面被覆部(61A)の前後両側部分に、それぞれ前後方向に長い複数の貫通状管挿入穴(65)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。前側の全管挿入穴(65)は、第1プレート(60A)の前側外方膨出部(62A)の左右方向の範囲内に形成され、後側の全管挿入穴(65)は、後側外方膨出部(62B)の左右方向の範囲内に形成されている。また、各管挿入穴(65)の長さは、各外方膨出部(62A)(62B)の前後方向の幅よりも若干長く、管挿入穴(65)の前後両端部は各外方膨出部(62A)(62B)の前後両側縁よりも外方に突出している(図3参照)。管接続用プレート(61)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されている。
下ヘッダタンク(32)のタンク形成部材(60)の第2プレート(60B)における管挿入穴(65)と対応する位置に、管接続用プレート(61)の管挿入穴(65)を第1プレート(36A)の外方膨出部(62A)(62B)内に通じさせる前後方向に長い貫通状連通穴(66)が、管挿入穴(41)と同じ数だけ形成されている。連通穴(66)は管挿入穴(65)よりも一回り大きくなっている。そして、管接続用プレート(61)の前側の全管挿入穴(65)は、第2プレート(60B)の前側の全連通穴(66)を介して前側外方膨出部(62A)内に通じさせられ、同じく後側の全管挿入穴(65)は、第2プレート(61B)の後側の全連通穴(66)を介して後側外方膨出部(62B)内に通じさせられている。
図7および図8に示すように、第2プレート(61B)における第1プレート(61A)の前側外方膨出部(62A)内の第1冷媒流通部(63A)に通じるすべての連通穴(66)および後側外方膨出部(62B)内の第1冷媒流通部(63B)に通じるすべての連通穴(66)は、それぞれ第2プレート(61B)における左右方向に隣り合う連通穴(66)間の前後方向中央部分を切除することにより形成された連通部(67)により連通させられている。そして、第1プレート(61A)の前後両外方膨出部(62A)(62B)内の第1冷媒流通部(63A)(63B)に通じるすべての連通穴(66)およびこれらの連通穴(66)を連通させる連通部(67)により、第2プレート(61B)に冷媒を左右方向に流す第2冷媒流通部(68A)(68B)が形成されている。
図3に示すように、下ヘッダタンク(32)のタンク形成部材(60)の前側面の上部、すなわちタンク形成部材(60)の第2プレート(60B)の前側面おける下端部を除いた部分に、前方に向かって下方に傾斜した傾斜面(70)が形成されている。また、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)の上部は、前方に向かって下方に傾斜しており、当該傾斜部(71)の内外両面は傾斜面となるとともに、傾斜部(71)の内面全体が第2プレート(60B)の傾斜面(70)全体にろう付されている。また、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)よりも下方の部分は垂直状であり、当該垂直部(72)の内外両面は垂直面となるとともに、垂直部(72)の内面全体が第2プレート(60B)の前側面下端部および第1プレート(60A)の前側面全体にろう付されている。
図9に示すように、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の斜め上方への延長面(X)と上面被覆部(61A)における前方への延長面(Y)との交差部(P)から、熱交換管(33)の前端までの距離をAmm、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)の傾斜部(71)よりも下方の垂直部(72)外面から熱交換管(33)の前端までの距離をCmmとした場合、0<A≦0.5Cという関係を満たし、かつ前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の水平面に対する傾斜角度αが30〜60度であることが好ましい。
A>0.5Cであると、超臨界冷凍サイクルの運転中に、熱交換管(33)およびコルゲートフィン(34)から下ヘッダタンク(32)上に流下してきた凝縮水が、管接続用プレート(61)の上面被覆部(61A)上を前方に流れた場合であっても、左右方向に隣り合う熱交換管(33)間に比較的多くの凝縮水が溜まるまでは、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)の傾斜部(71)に沿って下ヘッダタンク(32)の下方に排水されないおそれがある。したがって、空気側圧力損失が増大するおそれがある。また、A<0にする場合には、管挿入穴(65)および連通穴(66)の形成が困難になる。また、前記傾斜角度αが30度未満であると凝縮水が傾斜部(71)外面を伝わって流れにくくなり、60度を超えるとA>0.5Cとなるからである。すなわち、図10に示すように、管接続用プレート(61)を加工する際に、加工の都合上、上面被覆部(61A)外面と前側面被覆部(61B)の傾斜部(71)外面との間に横断面円弧状連接部が形成されることは避けられない。そして、前記傾斜角度αが大きくなるほど、横断面における連接部の長さが長くなり、その結果管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の斜め上方への延長面(X)と上面被覆部(61A)における前方への延長面(Y)との交差部(P)から、熱交換管(33)の前端までの距離Aが長くなる。
図3に示すように、下ヘッダタンク(32)のタンク形成部材(60)の後側面の上部、すなわちタンク形成部材(60)の第2プレート(60B)の後側面における下端部を除いた部分に、前方に向かって下方に傾斜した傾斜面(73)が形成されている。また、管接続用プレート(61)の後側面被覆部(61B)の上部は、後方に向かって下方に傾斜しており、当該傾斜部(74)の内外両面は傾斜面となるとともに、傾斜部(74)の内面全体が第2プレート(60B)の傾斜面(73)全体にろう付されている。また、管接続用プレート(61)の後側面被覆部(61B)における傾斜部(74)よりも下方の部分は垂直状であり、当該垂直部(75)その内外両面は垂直面となるとともに、垂直部(75)の内面全体が第2プレート(60B)の後側面下端部および第1プレート(60A)の後側面全体にろう付されている。
図示は省略したが、管接続用プレート(61)の後側面被覆部(61B)における傾斜部(74)外面の斜め上方への延長面と上面被覆部(61A)における後方への延長面との交差部から、熱交換管(33)の後端までの距離をAmm、管接続用プレート(61)の後側面被覆部(61B)の傾斜部(74)よりも下方の垂直部(75)外面から熱交換管(33)の後端までの距離をCmmとした場合、0<A≦0.5Cという関係を満たし、かつ後側面被覆部(61B)における傾斜部(74)外面の水平面に対する傾斜角度が30〜60度であることが好ましい。その理由は、上述した前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の斜め上方への延長面と上面被覆部(61A)における前方への延長面との交差部から、熱交換管(33)の前端までの距離Ammと、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)の傾斜部(71)よりも下方の垂直部(72)外面から熱交換管(33)の前端までの距離Cmmとの関係が0<A≦0.5Cであることの理由、ならびに前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の水平面に対する傾斜角度が30〜60度であることの理由と同じである。
熱交換管(33)は、金属のベア材、ここではアルミニウム製押出形材からなり、前後方向に幅広の扁平状で、その内部に長さ方向にのびる複数の冷媒通路(33a)が並列状に形成されている。熱交換管(33)の両端部は、それぞれ両ヘッダタンク(31)(32)の管挿入穴(41)(65)に挿入された状態で、管接続用プレート(37)(61)のろう材層を利用して管接続用プレート(37)(61)にろう付されている。なお、熱交換管(33)の両端は第2プレート(36B)(60B)の厚さ方向の中間部まで連通穴(44)(66)内に入り込んでおり、第2プレート(36B)(60B)の第2冷媒流通部(50A)(50B)(68A)(68B)内に臨んでいる(図3参照)。前側熱交換管群(33A)の右半部に位置する複数の熱交換管(33)の上下両端部は第1外方膨出部(39A)内および前側外方膨出部(62A)内に通じるように両ヘッダタンク(31)(32)に接続され、同じく左半部に位置する複数の熱交換管(33)の上下両端部は第3外方膨出部(39C)内および前側外方膨出部(62A)内に通じるように両ヘッダタンク(31)(32)に接続されている。また、後側熱交換管群(33A)の右半部に位置する複数の熱交換管(33)の上下両端部は第2外方膨出部(39B)内および後側外方膨出部(62B)内に通じるように両ヘッダタンク(31)(32)に接続され、同じく左半部に位置する複数の熱交換管(33)の上下両端部は第4外方膨出部(39D)内および後側外方膨出部(62B)内に通じるように両ヘッダタンク(31)(32)に接続されている。
なお、熱交換管(33)としては、アルミニウム押出形材製のものに代えて、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成され、かつ連結部を介して連なった2つの平坦壁形成部と、各平坦壁形成部における連結部とは反対側の側縁より隆起状に一体成形された側壁形成部と、平坦壁形成部の幅方向に所定間隔をおいて両平坦壁形成部よりそれぞれ隆起状に一体成形された複数の仕切壁形成部とを備えた板を、連結部においてヘアピン状に曲げて側壁形成部どうしを突き合わせて相互にろう付し、仕切壁形成部により仕切壁を形成したものを用いてもよい。
コルゲートフィン(34)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートを用いて波状に形成されたものであり、その波頭部と波底部を連結する連結部に、前後方向に並列状に複数のルーバが形成されている。コルゲートフィン(34)は前後両熱交換管群(33A)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管群(33A)の熱交換管(33)の前側縁と後側熱交換管群(33A)の熱交換管(33)の後側縁との間隔をほぼ等しくなっている。なお、1つのコルゲートフィン(34)が前後両熱交換管群(33A)に共有される代わりに、両熱交換管群(33A)の隣り合う熱交換管(33)どうしの間にそれぞれコルゲートフィンが配置されていてもよい。
エバポレータ(30)は、全部品を一括してろう付することにより製造される。
エバポレータ(30)は、コンプレッサ、ガスクーラ、減圧器、気液分離器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器とともに超臨界冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。超臨界冷凍サイクルには、超臨界冷媒として、CO、エチレン、エタン、酸化窒素などが使用される。
上述したエバポレータ(30)において、減圧器としての膨張弁を通過して減圧されたCO が、入出部材(51)の冷媒流入路(52)を通って冷媒入口(48)から上ヘッダタンク(31)の第2プレート(36B)の前側の第2冷媒流通部(50A)および第1外方膨出部(39A)内の第1冷媒流通部(40A)に入り、第1冷媒流通部(40A)および第2冷媒流通部(50A)を左方に流れ、第1外方膨出部(39A)内の第1冷媒流通部(40A)および第2プレート(36B)の第2冷媒流通部(50A)に通じている前側熱交換管群(33A)の右半部の熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内に流入する。
前側熱交換管群(33A)の右半部の熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内に流入したCOは、冷媒通路(33a)内を下方に流れて下ヘッダタンク(32)の第2プレート(60B)の前側の第2冷媒流通部(68A)および前側外方膨出部(62A)内の第1冷媒流通部(63A)に流入し、第1冷媒流通部(63A)および第2冷媒流通部(68A)を左方に流れ、分流して上ヘッダタンク(31)の第3外方膨出部(39C)内に通じている前側熱交換管群(33A)の左半部の熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内に流入する。
前側熱交換管群(33A)の左半部の熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内に流入したCOは、流れ方向を変えて冷媒通路(33a)内を上方に流れて上ヘッダタンク(31)の第3外方膨出部(39C)内に入る。第3外方膨出部(39C)内に流入したCOは、上ヘッダタンク(31)の第2プレート(36B)の冷媒ターン用連通部(45)を通って第4外方膨出部(39D)内に入り、分流して第4外方膨出部(39D)に接続されている後側熱交換管群(33A)の左半部の熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内に流入し、流れ方向を変えて冷媒通路(33a)内を下方に流れて下ヘッダタンク(32)の第2プレート(60B)の後側の第2冷媒流通部(68B)および後側外方膨出部(62B)内の第1冷媒流通部(63B)に流入し、第1冷媒流通部(63B)および第2冷媒流通部(68B)を右方に流れ、分流して上ヘッダタンク(31)の第2外方膨出部(39B)内の第1冷媒流通部(40B)および第2プレート(36B)の第2冷媒流通部(50B)に通じている前側熱交換管群(33A)の右半部の熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内に流入する。
前側熱交換管群(33A)の右半部の熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内に流入したCOは、流れ方向を変えて冷媒通路(33a)内を上方に流れて上ヘッダタンク(31)の第2外方膨出部(39B)内の第1冷媒流通部(40B)および第2プレート(36B)の第2冷媒流通部(50B)に入る。その後、COは、第2外方膨出部(39B)内の第1冷媒流通部(40B)および第2プレート(36B)の第2冷媒流通部(50B)を右方に流れ、冷媒出口(49)および入出部材(51)の冷媒流出路(53)を通って流出する。そして、COが熱交換管(33)の冷媒通路(33a)内を流れる間に、通風間隙を図1および図11に矢印Xで示す方向に流れる空気と熱交換をし、気相となって流出する。
このとき、コルゲートフィン(34)の表面に凝縮水が発生し、この凝縮水が、コルゲートフィン(34)および熱交換管(33)を伝って下ヘッダタンク(32)の上面に流下する。下ヘッダタンク(32)の上面に流下してきた凝縮水は、管接続用プレート(61)の上面被覆部(61A)上を前方に流れ、前側面被覆部(61B)の上部に形成された傾斜部(71)外面および垂直部(72)外面を伝って下ヘッダタンク(32)の下方に落下する。したがって、下ヘッダタンク(32)の頂面の前側部分とコルゲートフィン(34)の下端との間に多くの凝縮水が滞留することが防止され、その結果上述した部位への凝縮水の滞留に起因する空気側圧力損失の増大が防止されて、エバポレータの性能低下が防止される。しかも、下ヘッダタンク(32)の頂面の前側部分とコルゲートフィン(34)の下端との間に多くの凝縮水が滞留することに起因する下ヘッダタンク(32)からの凝縮水の飛散が防止される。
超臨界冷凍サイクルの運転が停止された場合、後側において熱交換管(33)およびコルゲートフィン(34)から下ヘッダタンク(32)上に流下してきた凝縮水は、管接続用プレート(61)の後側面被覆部(61B)の上部に形成された傾斜部(74)外面および垂直部(75)外面を伝って下ヘッダタンク(32)の下方に落下する。なお、運転停止時の凝縮水の排水は、緩やかに行われる。したがって、下ヘッダタンク(32)の頂面の後側部分とコルゲートフィン(34)の下端との間に多くの凝縮水が滞留することが防止され、その結果上述した部位への凝縮水の滞留に起因する空気側圧力損失の増大が防止されて、エバポレータの性能低下が防止される。
こうして、下ヘッダタンク(32)の上面とコルゲートフィン(34)の下端との間に多くの凝縮水が溜まることに起因する空気側凝縮水の氷結が防止され、その結果エバポレータ(1)の性能低下が防止される。
次に、上述した実施形態のエバポレータ(1)を用いて行った実験例を示す。
実験例1
同一の上ヘッダタンク(31)、熱交換管(33)、コルゲートフィン(34)を使用し、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)の傾斜部(71)よりも下方の垂直部(72)外面から熱交換管(33)の前端までの距離Cが1mmであるとともに、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の水平面に対する傾斜角度αが45度であり、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の斜め上方への延長面(X)と上面被覆部(61A)における前方への延長面(Y)との交差部(P)から、熱交換管(33)の前端までの距離Aが異なる複数種のエバポレータを用意した。なお、これらのエバポレータの熱交換コア部の寸法、熱交換管の数などは同一である。
そして、これらのエバポレータを有する超臨界冷凍サイクルを運転し、下ヘッダタンク(32)の頂面の前側部分とコルゲートフィン(34)の下端との間に滞留する凝縮水の量(保水量)と前記距離Aとの関係を求めた。その結果を図11に示す。図11に示す結果から、前記距離Aが0.5Cを超えると保水量が多くなって、高いレベルで飽和することが分かる。
実験例2
同一の上ヘッダタンク(31)、熱交換管(33)、コルゲートフィン(34)を使用し、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)の傾斜部(71)よりも下方の垂直部(72)外面から熱交換管(33)の前端までの距離Cが1mmであるとともに、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の斜め上方への延長面(X)と上面被覆部(61A)における前方への延長面(Y)との交差部(P)から、熱交換管(33)の前端までの距離Aが0.3Cmmであり、管接続用プレート(61)の前側面被覆部(61B)における傾斜部(71)外面の水平面に対する傾斜角度αが異なる複数種のエバポレータを用意した。なお、これらのエバポレータの熱交換コア部の寸法、熱交換管の数などは同一である。
そして、これらのエバポレータを有する超臨界冷凍サイクルを運転し、下ヘッダタンク(32)の頂面の前側部分とコルゲートフィン(34)の下端との間に滞留する凝縮水の量(保水量)と前記傾斜角度αとの関係を求めた。その結果を図12に示す。図12に示す結果から、前記傾斜角度αが30〜60度の範囲内であるときに、保水量が少なくなることが分かる。
上記実施形態では、両ヘッダタンク(31)(32)の第2プレート(36B)(60B)の数は1であるが、これに限定されるものではなく、第1プレート(36A)(60A)と管接続用プレート(37)(61)との間に、複数の第2プレート(36B)(60B)が積層状に介在させられていてもよい。この場合、各第2プレート(36B)(60B)に連通穴(44)(65)、連通部(45)(46)(65)などが形成される。
また、上記実施形態においては、この発明によるエバポレータが超臨界冷凍サイクルのエバポレータに適用されているが、これに限るものではなく、この発明によるエバポレータは、他の用途に供されることもある。
さらに、上記実施形態においては、超臨界冷凍サイクルの超臨界冷媒として、COが使用されているが、これに限定されるものではなく、エチレン、エタン、酸化窒素などが使用される。
この発明によるエバポレータの全体構成を示す斜視図である。 図1のエバポレータの後方から前方を見た一部省略垂直断面図である。 図2のA−A線拡大断面図である。 図1のエバポレータにおける上ヘッダタンクの分解斜視図である。 図2のB−B線断面図である。 図1のエバポレータにおける上ヘッダタンクの右端部を示す分解斜視図である。 図1のエバポレータにおける下ヘッダタンクの分解斜視図である。 図2のC−C線断面図である。 図1のエバポレータの下ヘッダタンクの要部を示す拡大断面図である。 図1のエバポレータの下ヘッダタンクの管接続用プレートの前側面被覆部の傾斜部の傾斜角度と、前側面被覆部における傾斜部外面の斜め上方への延長面と上面被覆部における前方への延長面との交差部から熱交換管の前端までの距離との関係を示す要部拡大断面図である。 実験例1の結果を示すグラフである。 実験例2の結果を示すグラフである。
符号の説明
(30):エバポレータ(熱交換器)
(31):上ヘッダタンク
(32):下ヘッダタンク
(33):熱交換管
(60):タンク形成部材
(60A):第1プレート
(60B):第2プレート
(61):管接続用プレート
(61A):上面被覆部
(61B):側面被覆部
(62A)(62B):外方膨出部
(65):管挿入穴
(66):連通穴
(70)(73):傾斜面
(71)(74):傾斜部
(72)(75):垂直部
(X):傾斜部外面の斜め上方への延長面
(Y):上面被覆部の前方への延長面
(P):交差部

Claims (12)

  1. 上下方向に間隔をおいて配置された左右方向に長い1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に左右方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管とを備えており、下ヘッダタンクが、タンク形成部材と、タンク形成部材の上面を覆う上面被覆部および前後両側面を覆う側面被覆部を有する管接続用プレートとからなるエバポレータにおいて、
    管接続用プレートの前側面被覆部の上部が、前方に向かって下方に傾斜しているバポレータ。
  2. タンク形成部材の前側面の上部に、前方に向かって下方に傾斜した傾斜面が形成され、管接続用プレートの前側面被覆部の傾斜部が、タンク形成部材の傾斜面に接合されている請求項1記載のエバポレータ。
  3. 管接続用プレートにおける前側面被覆部の傾斜部外面の斜め上方への延長面と上面被覆部の前方への延長面との交差部から、熱交換管の前端までの距離をAmm、管接続用プレートにおける前側面被覆部の傾斜部よりも下方の垂直部外面から熱交換管の前端までの距離をCmmとした場合、0<A≦0.5Cという関係を満たし、かつ管接続用プレートにおける前側面被覆部の傾斜部外面の水平面に対する傾斜角度が30〜60度である請求項1または2記載のエバポレータ。
  4. 管接続用プレートの上面被覆部外面が水平面である請求項3記載のエバポレータ。
  5. 管接続用プレートの後側面被覆部の上部が、後方に向かって下方に傾斜している請求項1〜3のうちのいずれかに記載のバポレータ。
  6. タンク形成部材の後側面の上部に、後方に向かって下方に傾斜した傾斜面が形成され、管接続用プレートの後側面被覆部の傾斜部が、タンク形成部材の傾斜面に接合されている請求項5記載のエバポレータ。
  7. 管接続用プレートにおける後側面被覆部の傾斜部外面の斜め上方への延長面と上面被覆部の後方への延長面との交差部から、熱交換管の後端までの距離をAmm、管接続用プレートにおける後側面被覆部の傾斜部よりも下方の垂直部外面から熱交換管の後端までの距離をCmmとした場合、0<A≦0.5いう関係を満たし、かつ管接続用プレートにおける後側面被覆部の傾斜部外面の水平面に対する傾斜角度が30〜60度である請求項5または6記載のエバポレータ。
  8. 管接続用プレートの上面被覆部外面が水平面である請求項7記載のエバポレータ。
  9. 下ヘッダタンクのタンク形成部材が、左右方向に伸びる少なくとも1つの外方膨出部を有する第1プレートと、管接続用プレートと第1プレートとの間に、第1プレートの外方膨出部の開口を塞ぐように介在させられるとともに両プレートに接合された第2プレートとよりなり、管接続用プレートにおける外方膨出部と対応する部分に、複数の管挿入穴が管接続用プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、タンク形成部材の第2プレートに、管接続用プレートの各管挿入穴を第1プレートの外方膨出部内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、熱交換管の下端部が下ヘッダタンクの管接続用プレートの管挿入穴内に挿入されて管接続用プレートにろう付され、第2プレートに、タンク形成部材の傾斜面が形成されている請求項1〜8のうちのいずれかに記載のエバポレータ。
  10. コンプレッサ、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器、およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる冷凍サイクルであって、エバポレータが請求項1〜9のうちのいずれかに記載のエバポレータからなる超臨界冷凍サイクル。
  11. 超臨界冷媒が二酸化炭素である請求項10記載の超臨界冷凍サイクル。
  12. 請求項10または11記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111895845A (zh) * 2019-05-05 2020-11-06 浙江三花智能控制股份有限公司 集管组件及换热器

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