JP2008095609A - 燃料噴射弁用ハウジングの製造方法及び該製造方法により製造された車両用燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストを低減すると共に、製品の信頼性を向上することができる燃料噴射弁用ハウジングの製造方法を提供する。
【解決手段】高張力鋼から燃料噴射弁用のハウジング15を製造する方法であって、前記高張力鋼のシート材12に対して所定の絞り比で有底円筒状となるように深絞り加工を行いA1、該深絞り加工における絞り比とは異なる絞り比で前記深絞り加工した部材13に対してさらに少なくとも一回以上の深絞り加工を行う多工程の深絞り加工工程A、を少なくとも含み、該多工程の深絞り加工工程Aにおいて、前記シート材12を有底円筒状に深絞り加工する際に、前記シート材を円板状に打抜き、該円板状のシート材を打抜いた状態で保持し、該保持した円板状のシート材に対して前記深絞り加工を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両のエンジンに使用される燃料噴射弁用ハウジングの製造方法に係り、特に、薄肉で強度のある燃料噴射弁のハウジングを好適に製造することができる方法に関する。
従来の車両に搭載されるエンジンの燃料噴射弁70は、図3(a)に示すように、ソレノイド61、ニードルバルブ62などを内部に設置するためのハウジング71を備えている。このハウジング71は、総切削加工により製造される。例えば、ハウジング71において、燃料を供給するための高圧油路72は、細穴・深穴加工により製作される。さらに、高圧油路72のシール性を確保するために、高圧油路72を繋ぐ部材表面73には、高精密加工も施されている。このように、燃料噴射弁70は、図示の如く形状が複雑であり、上記のような特殊加工も多いので、一般機器に比べて製造コストが嵩んでいた。
そこで、前記燃料噴射弁の構造を単純化して、製造コストの低減を図るべく、図3(b)に示すように、ソレノイド61、ニードルバルブ62などの機器を配置するための円筒状のハウジング51を備えた燃料噴射弁50が提案されている(特許文献1参照)。ハウジング51は、燃料噴射弁の強度を確保すると共にエンジンへの搭載性を考慮して、マルエージング鋼などの高張力鋼を用いて薄肉に製造されている。具体的には、図4に示すように、円柱状の高張力鋼を素材として準備し(図4のa)、この素材を所望の円筒状のハウジングとなるように切削加工を行う(図4のb)。次に、切削加工後の表面の研磨を行い(図4のc)、研磨後の部材の洗浄(図4のd)を行う。その後、洗浄した部材の時効処理を行う(図4のe)。このような一連の工程を経て、ハウジング51は製造される。
特開平2003−254189号公報
しかし、高張力鋼から燃料噴射弁のハウジングを切削加工により製造した場合には、高張力鋼は一般鋼材に比べ被削性が良くないために長い加工時間を要する。また、高張力鋼は、一般的な鋼材に比べ材料単価が高く(例えばマルエージング鋼を用いた場合には一般鋼の約10倍)、切削加工により素材を削り取る割合も大きいので、燃料噴射弁の製造コストは嵩んでしまう。
一般的に円筒状の加工物を製造する場合には、プレス加工機などを用いてシート材から深絞り加工により製造することができる。しかし、高張力鋼の場合、加工抵抗が一般鋼に比べて非常に大きいため、所望の形状に深絞り加工をすることが難しい。特に、上述したような燃料噴射弁のハウジングは、円筒肉厚が円筒径に対して薄く、円筒の内径に対して絞り深さが深いことから、単純な深絞り加工を行うと材料に割れ等が発生するおそれがあり、このような加工方法は未だ実用化に至っていない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、高張力鋼による円筒状の燃料噴射弁のハウジングを深絞り加工によって製造する新規な製造方法を提案することを目的とする。
本発明に係る燃料噴射弁用ハウジングの製造方法は、高張力鋼から燃料噴射弁用のハウジングを製造する方法であって、前記高張力鋼のシート材に対して所定の絞り比で有底円筒状となるように深絞り加工を行い、該深絞り加工における絞り比とは異なる絞り比で前記深絞り加工した部材に対してさらに少なくとも一回以上の深絞り加工を行う多工程の深絞り加工工程、を少なくとも含み、該多工程の深絞り加工工程において、前記シート材を有底円筒状に深絞り加工する際に、前記シート材を円板状に打抜き、該円板状のシート材を打抜いた状態で保持し、該保持した円板状のシート材に対して前記深絞り加工を行うことを特徴としている。
本発明の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法によれば、多工程の深絞り加工によりハウジングの製造を行うので、切削加工に比べて材料歩留まりは90%以上と高く、燃料噴射弁の製造コストを低減することができる。また、多工程にわたって深絞り加工を行うので、一般鋼に比べ高張力鋼のような加工し難い材料であっても割れの発生なくハウジングを製造することができる。
さらに、このような加工は切削加工に比べて熱影響を受け難く、多工程の深絞り加工の各工程間において、材料に発生する加工熱を放熱させることができるので、寸法精度の良い薄肉のハウジングを得ることができる。また、深絞り加工を多工程にわたって行うことにより材料が加工硬化し、燃料噴射弁のハウジングの強度をさらに向上させることができる。
さらに、円板状にシート材を打抜く加工と深絞り加工を一連の工程として行うので、円板状シート材の中心と絞り加工機の軸芯との位置ずれによるフランジ部(耳部)の割れしわなどを回避することができる。さらに、初回の加工によりフランジ部の耳部の幅を均一にすることができるので、2回目以降の深絞り加工において、さらなる割れ、しわを回避することができる。深絞り絞り加工時において割れの発生しやすい高張力鋼板に対して、このような加工方法は、特に有効である。
また、シート材として用いる高張力鋼は、マルエージング鋼であることが好ましい。マルエージング鋼は、標準的には引張り強さ900MPa以上、表面硬さHv300以上のじん性のある材料であり、冷間成形性にも優れているので、一般鋼材に比べて強度の高い燃料噴射弁のハウジングを得ることができる。
前記マルエージング鋼を用いた場合には、多工程の深絞り加工工程後に、加工した部材に対して時効処理を行う工程をさらに含むことが好ましい。このような態様によれば、深絞り加工工程後の金属に、微細な金属間化合物を析出させることができるので、延性及びじん性を損なうことなく高強度を有した燃料噴射弁のハウジングを得ることができる。なお前記マルエージング鋼の時効処理としては、450〜600℃、1〜4時間程度の熱処理を行うことがより好ましい。
さらに、本発明に係る燃料噴射弁用ハウジングの製造方法において、シート材を有底円筒状にするときの深絞り加工の絞り比を2.15〜1.4の範囲とし、2回目の(有底円筒状の肉厚を薄くするときのはじめの)深絞り加工の絞り比を1.5〜1.1の範囲として深絞り加工を行うことが好ましい。このような範囲の深絞り加工の絞り比の条件で、2回目までの深絞り加工をすることにより、それ以降の深絞りの回数を最小回数で、破損することなく所望の大きさ及び厚みを有した燃料噴射弁のハウジングを製造することができる。
前記多工程の深絞り加工の各工程において、絞り速度を100spm以下の速度条件で加工を行うことが好ましい。この絞り速度よりも大きい場合には、マルエージング鋼の変形抵抗による発熱、加工機とシート材との接触面に塗布した潤滑油の油膜切れなどにより、加工機又は加工されたシート材の表面に焼付きが発生してしまう。なお、絞り速度の下限値は、深い絞り加工ができるのであれば、特に限定されるものではないが、生産性を考慮すると100spmにより近いほうが望ましい。
本発明に係る燃料噴射弁用ハウジングの製造方法において、前記多工程の深絞り加工の各工程を、ダイスとパンチを用いて行うと共に、ダイスとシート材とが接触する面に、主剤としてオレフィン系の鉱油を含む潤滑油を塗布して、前記深絞り加工の各工程を行うことがより好ましい。ここでいう、「ダイスとシート材とが接触する面」とは、ダイスにおいては、深絞り時にシート材が接触するダイスの内面をいい、シート材においては、加工時にダイス側に向いたシート材の表面又は深絞り加工の各工程における加工されたシート材の円筒外周面をいう。このようなオレフィン系の鉱油は、高張力鋼の中でも特にマルエージング鋼と馴染み性が良く、特に焼付けが発生し易いダイスとマルエージング鋼との間に安定して油膜を形成することが可能である。さらに、オレフィン系の鉱油の中でも粘度の高いものを用いて加工をすることが好ましい。この場合、絞り加工時においてより安定した油膜を形成することができ、確実に焼付きを抑えることができる。その結果、加工速度を上げることが可能となり生産性を向上させることができる。
本発明に係る燃料噴射弁用ハウジングの製造方法において、前記ダイス又は前記パンチのいずれか一方又は双方の前記シート材と接触する部分にセラミックス材料が施されたものを用いて、前記深絞り加工の各工程を行うことが好ましい。上述したように、マルエージング鋼は、一般鋼に比べて変形抵抗が高く加工熱が高いため、シート材と接触する部分にセラミックス材料を施したダイス又はパンチを用いることにより、シート材及びシート材と接触する部分の焼付きを抑制することができる。
さらに、前記ダイス又はパンチの双方の前記シート材と接触する部分を、80℃以下に保持しながら、前記深絞り加工を行うことが好ましい。具体的には、ダイス及びパンチに冷却水路を設け、この冷却水路に流す冷却水の流量及び温度を管理することにより、前記温度を保つことが可能である。このような温度にすることにより、好適な寸法精度のハウジングを製造することができる。なお、80℃よりも高い場合には、ダイスとパンチの摺動抵抗が大きくなる。また、温度の下限値としては、経済性を考慮すると少なくとも室温以上であればよい。このようにして、製造された燃料噴射弁は、安価かつ安定して製造することができるので、車両用の燃料噴射弁に特に好適である。
本発明の製造方法によれば、円筒肉厚が円筒径に対して薄く、絞り深さが円筒径に対して深い、燃料噴射弁のハウジングであっても、割れを発生することなく好適に深絞り加工を行うことが可能となる。さらに、加工精度も向上するので、品質面において信頼性の高い燃料噴射弁のハウジングを安定して製造することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は、一例として、本発明に係る燃料噴射弁用ハウジングを製造する方法を説明するための図である。
図1に示すように、まず、引張り強さ900MPa、硬度Hv300以上のじん性のある材料である高張力鋼(例えば、マルエージング鋼)のコイル素材11から、プレスまたはレーザ等を用いて、素材11を矩形のシート材12に切断する。次に、このシート材12を用いて多工程の絞り加工を行う(図1のA)。この加工には、シート材12を円板状に打抜く打抜き器(図示せず)と、該シート材12を打抜いた状態のまま保持し(円板の位置合わせを改めて行わずに)、この状態のシート材12に対して深絞り加工を行うパンチ21及びダイス22を備えた深絞り加工機を用いる。さらに、パンチ21とダイス22としては、シート材と接触する部分21a,22aにセラミックス材料が施され、深絞り時に、該接触部21a、22aの温度上昇がしないように、冷却水路(図示せず)が形成されたものを用いて加工を行う。
具体的には、まず、上記装置(打抜き器)を用いてマルエージング鋼のシート材12を円板状に打抜く。該円板状のシート材を打抜いた状態で保持し、以下に示す加工時において、パンチ21及びダイス22の接触部21a、22aの温度が80℃以下に常時保持されるように前記冷却水路に冷却水を流す。次に、保持した円板状のシート材に対して、所定の絞り比で深絞りを行い、耳部13aを有した有底円筒状の加工部材13を製作する(A1)。さらに、この耳部13aを押さえ、この有底円筒状の加工部材13を先の絞り比とは異なる所定の絞り比で、深絞り加工した部材13に対してさらに少なくとも一回以上の深絞り加工を行い、加工部材14を製作する(AN)。
なお、上述した多工程の深絞り加工の各工程においては、加工時にダイス22とシート材とが接触する面(具体的には、ダイス22の内面22aに接触するシート材の接触面)に、主剤としてオレフィン系の鉱油を含む潤滑油を塗布し、絞り速度を100spm以下の速度条件でダイス21を移動させて深絞り加工を行う。
このように、多工程の深絞り加工を行って燃料噴射弁のハウジングの製造をするので、厚みの精度の良いハウジングを容易に製造することができる。また、図1のA1に示すように、シート材12の円板状の打抜きと深絞り加工を合わせて行うので、円板状のシート材の円中心と加工機のパンチとダイスの中心軸との芯合わせをすることなく、加工時に、耳部13aの半径方向の幅dを全周に亘って略一定に保つことができる。この結果、円板状のシート材と加工機との芯ずれによる耳部13aの割れ、しわなどを抑制することができ、2回目以降の深絞り加工(図1のAN)をも好適に行うことができる。
そして、前記のようにして製作された加工部材14を炉内に投入して、処理温度450〜600℃、1〜4時間程度の時効処理を行い(図1のC)、その後、耳部の除去等の細部の加工を行って、ハウジング15が完成する。このような時効処理は、特にマルエージング鋼を用いた場合には、延性及びじん性を損なうことなくハウジングの強度を向上させることができるので、ハウジング15の品質を向上させるに有効な処理である。
ここで、発明者らは、上記多工程の深絞り加工を行うにあたり、その深絞り回数を最小限に抑えるためには、まず初回の絞り比を決定することが重要であると考え、高張力鋼の1つであるマルエージング鋼を用いて、以下の予備的な試験を行った。
(予備試験1)
試験1〜5:マルエージング鋼(YAG300:日立金属製)のコイルを準備し、このコイルの一部を115mm×115mm×厚さ1.5mmの角形状のシート材に切断した。次に、このシート材を円板状に打抜き、該円板状のシート材を打抜いた状態で保持し、該保持された円板状シートを表1に示すブランク径、絞り比の試験条件で有底円筒状に深絞り加工した。そして、加工時における荷重を測定すると共に、加工品の外観を観察した。その結果を図2及び表1に示す。
Figure 2008095609
結果1:図2及び表1に示すように、試験1〜4は、絞り比を大きくすると、深絞り加工に要する荷重が大きくなった。そして、試験1〜4の加工品は、良好に深絞り加工ができたが、試験5の加工品には、有底部の外縁近傍に割れが発生した。
考察1:上記結果及び図2から、マルエージング鋼を深絞り加工する場合には、絞り比を2.15以下にすると、良好に加工ができると推定される。また、この結果を考慮して、φ19.4mmの燃料噴射弁のハウジングを加工するに好適な絞り比を検討すると、必要深絞り加工の回数は、少なくとも3回以上必要であり、この場合には、1回目の絞り比は、少なくとも1.4以上とし、さらに2回目の絞り比を1.5〜1.1の絞り比にすることにより、3回目の深絞り加工において、割れ等の破損がなく所望の燃料噴射弁のハウジングの外径及び円筒長さに加工することができると考えられる。
(予備試験2)
試験6:試験1と同様に、マルエージング鋼のコイル材を105mm×105mm×厚さ1.5mmの角形状のシートに切断し、プレス機にセットし、φ100の円板状のシートに打ち抜き、その状態を保持して、円板状のシート材を絞り比1.5で絞り、外径寸法65mmの有底円筒部材に加工した。
試験7:試験6と同様にして有底円筒部材を加工した。試験1と異なる点は、シート材をφ100の円板状のシート材に打ち抜き後、一旦ワークである円板状のシートを取り出して、別の絞り加工機を用いて、円板状のシート材を絞り比1.5で絞り、φ65mmの有底円筒部材に加工した。すなわち、試験6の如く、打ち抜いた状態を保持したまま深絞り加工を行わなかった点が、相違している。
結果2:試験6の加工品は、良好に深絞り加工ができたが、試験7の加工品には、耳部の寸法が一定にならず、しわ、割れが多発した。
考察2:試験6の場合には、シート材を円板状に打抜き、該円板状のシートを打抜いた状態で保持し、該保持された円板シートを深絞り加工するので、円板状シートと絞り加工機との芯合わせをする必要がなく、円板シートの円中心からの半径方向の耳部の幅はほぼ一定に保つことができるが、試験7の場合には、円板シートの円中心を、加工機のダイスの中心線に正確に芯合わせしないと、この耳部の幅が一定とならない。この結果、耳部の幅の不均一により加工時に耳部全周に不均一な応力が作用して、割れ、しわが発生したと考えられる。
(実施例)
このような結果1,2を考慮して、燃料噴射弁の製造の確認試験を行った。マルエージング鋼(YAG300:日立金属製)のコイルを準備し、このコイルの一部を矩形状(105mm×105mm)のシートに切断し、以下に示す多工程の絞り加工を行った。具体的には、シート材を円板状のシート材に打抜き、この円板状のシート材を打ち抜いた状態で保持したまま、パンチ先端の角部がR6のパンチ、及び、ダイ肩部がR10となるダイスを用いて、絞り比1.5の条件で深絞り加工を行うことによりφ65mm,深さ27mmの有底円筒部材に加工した。尚、この加工にあたって、ワーク(円筒シート材)とパンチとの焼付きを防止するために、高粘性のオレフィン系の鉱油を潤滑剤として使用し、冷却水路が形成されたパンチ及びダイスを準備し、シート材(又は加工部材)と接触するパンチ及びダイスの接触部にセラミック材を施したものを用いた。尚、この加工時には、ダイス又はパンチの双方のシート材と接触する部分が80℃以下となるように冷却水を冷却水路に流した。さらに、2回目以降は、表2に示すような外径寸法に加工するために、絞り比、パンチ先端の角部のR、及びダイの肩部のR又はテーパー角度を設定し加工を8回目まで行い、最終的には、外径寸法19.3mm、長さ120mmの有底円筒部材を製造した。さらに、この有底円筒部材を、500℃、2時間の条件で時効処理を行った。このようにして製造された燃料噴射弁の外観を観察すると共に、各寸法を測定し、ハウジングの強度試験を行った。
(比較例)
実施例と同じような形状のハウジングを製造した。実施例と異なる点は、前記図4に示すような切削加工によりハウジングを製造した点である。そして、実施例1と同様に、ハウジングの強度試験を行った。
Figure 2008095609
結果3:燃料噴射弁のハウジングの表面には微少クラックの発生はなく、真円度5μm以下、寸法公差、±0.03mm以下、面粗度Ra(中心線平均粗さ)0.4以下の精度の燃料噴射弁のハウジングを製造することができた。また、燃料噴射弁のハウジングの強度試験を行った結果、切削加工をしたものに比べて、1.5倍以上向上した。
考察3:上記の如き寸法精度が確保できたのは、深絞り加工を行った場合には、切削加工よりも加工熱も小さく、肉厚を均一に保ち加工を行うことができたことによると考えられる。さらに、ハウジングの強度が向上したのは、絞り加工により塑性変形のよる加工硬化が生じたこと、ハウジング表面の粗度が比較例のものに比べ均一に小さいことに起因しているものであると考えられる。よって、このような製造方法により、燃料噴射弁のハウジングを製造した場合には、後工程として仕上げ研磨を省略することができると考えられる。
本発明係る燃料噴射弁用ハウジングの製造方法の一例を説明するための図。 試験1〜5に係る一回目の深絞り加工における絞り比と、該加工に要した荷重との関係を示した図。 (a)は、従来の燃料噴射弁の模式図であり、(b)は、円筒状ハウジングを備えた燃料噴射弁の模式図。 従来における円筒状のハウジングを製造する方法を説明するための製造工程を説明する一例を示した図。
符号の説明
11:コイル素材,12:シート材,13,14:加工部材,15:ハウジング,A:多工程の深絞り工程,B:切断工程,C:時効処理工程

Claims (9)

  1. 高張力鋼から燃料噴射弁用のハウジングを製造する方法であって、
    前記高張力鋼のシート材に対して所定の絞り比で有底円筒状となるように深絞り加工を行い、該深絞り加工における絞り比とは異なる絞り比で前記深絞り加工した部材に対してさらに少なくとも一回以上の深絞り加工を行う多工程の深絞り加工工程、を少なくとも含み、
    該多工程の深絞り加工工程において、前記シート材を有底円筒状に深絞り加工する際に、前記シート材を円板状に打抜き、該円板状のシート材を打抜いた状態で保持し、該保持した円板状のシート材に対して前記深絞り加工を行うことを特徴とする燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  2. 前記高張力鋼が、マルエージング鋼であることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  3. 前記製造方法は、前記多工程の深絞り加工工程後に、加工した部材に対して時効処理を行う工程をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  4. 前記シート材を有底円筒状にするときの深絞り加工の絞り比を2.15〜1.4の範囲とし、2回目の深絞り加工の絞り比を1.5〜1.1の範囲として深絞り加工を行うことを特徴とする請求項2または3に記載の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  5. 前記多工程の深絞り加工の各工程において、絞り速度を100spm以下の速度条件で前記深絞り加工を行うことを特徴とする請求項4に記載の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  6. 前記多工程の深絞り加工の各工程を、ダイスとパンチを用いて行うと共に、
    ダイスとシート材とが接触する面に、主剤としてオレフィン系の鉱油を含む潤滑油を塗布して、前記深絞り加工の各工程を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  7. 前記ダイス又は前記パンチのいずれか一方又は双方の前記シート材と接触する部分にセラミックス材料が施されたものを用いて、前記深絞り加工の各工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  8. 前記ダイス又はパンチの双方の前記シート材と接触する部分を、80℃以下に保持しながら、前記深絞り加工を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の燃料噴射弁用ハウジングの製造方法。
  9. 前記請求項1〜8のいずれかの製造方法により製造されたハウジングを備えた車両用燃料噴射弁。
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