JP2008095052A - 難燃性コーティング剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散した難燃性コーティング剤、並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子を添加し、得られた混合物を高速で旋回するように流動させるか、前記混合物を被衝突部材に高速で衝突させるか、前記混合物同士を高速で衝突させて、前記溶液又は分散液に前記無機超微粒子を超分散させ、得られた超分散液に含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を溶解又は超分散させると、有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散した難燃性コーティング剤が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機高分子、無機超微粒子及び含窒素リン酸エステル系化合物を含む難燃性コーティング剤、並びにその製造方法に関する。
壁紙、発泡シート、各種フィルム、繊維等に難燃性や耐熱性を付与する方法として、難燃性コーティングを施す方法がある。例えば大韓民国特許出願公開第10-2006-0024504号明細書(特許文献1)は、繊維等の材料に難燃性や耐久性を付与するコーティング剤として、下記式(12):
Figure 2008095052
(ただしxは1〜5の整数であり、R11及びR12はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜10の炭化水素基又は-CH2CH(OH)CH2CH3基であり、R13はウレア基、メラミン基、アミン基、イミン基又はアミノアルコール基から選ばれた含窒素基であり、R13の窒素原子はリン原子に直接結合している)により表される化合物(a)、もしくは下記式(13):
Figure 2008095052
(ただしR14は水素基、炭素数1〜10の炭化水素基又は-CH2CH(OH)CH2CH3基であり、R15及びR16はそれぞれ独立にアミド基、メラミン基、イミン基、アミンアミド基又はアルキレンアミンアミド基から選ばれた含窒素基である)により表される化合物(b)、又は化合物(a)及び化合物(b)の混合物からなる含窒素リン酸エステル系化合物100重量部に対して、溶液配合法で剥離され、ナノ粒子化された機能性粘土を60〜250重量部含み、上記含窒素リン酸エステル系化合物が上記機能性粘土のカードハウス構造に挿入されており、バインダを含む水性ナノ複合難燃剤からなるコーティング剤を提案している。
しかし、特許文献1のコーティング剤は、溶媒として水を使用しているので、水溶性のバインダしか溶解又は高分散した状態で含有できない。バインダとして非水溶性のものを使用するためには、有機溶媒を使用する必要があるが、有機溶媒を使用すると、上記含窒素リン酸エステル系化合物が高分散しない。
有機高分子にリン酸エステル系化合物を分散させる方法として、溶融混練法があるが、溶融混練法では、有機高分子の融点以上で混練する必要があるので、上記含窒素リン酸エステル系化合物が揮発したり、分解したりするという問題がある。
大韓民国特許出願公開第10-2006-0024504号明細書
従って、本発明の目的は、有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散した難燃性コーティング剤、並びにその製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子を添加し、得られた混合物を高速で旋回するように流動させるか、前記混合物を被衝突部材に高速で衝突させるか、前記混合物同士を高速で衝突させて、前記溶液又は分散液に前記無機超微粒子を超分散させ、得られた超分散液に含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を溶解又は超分散させると、有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散した難燃性コーティング剤が得られることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の難燃性コーティング剤は、有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散していることを特徴とする。
好ましい配合割合は、前記難燃性コーティング剤全体を100質量%として、前記有機高分子が5〜50質量%であり、前記無機超微粒子が0.1〜10質量%であり、前記含窒素リン酸エステル系化合物が3〜7質量%であり、残部が溶媒である。
前記無機超微粒子は、モンモリロナイト超微粒子、水酸化アルミニウム超微粒子及び水酸化マグネシウム超微粒子のいずれかであるのが好ましい。
前記含窒素リン酸エステル系化合物は、下記式(1):
Figure 2008095052
[ただしxは1〜5の整数であり、R1及びR2はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R3はウレア基、メラミン基、アミン基、イミン基又はアミノアルコール基から選ばれた含窒素基であり、R3の窒素原子はリン原子に直接結合している]により表される化合物(I)、もしくは下記式(2):
Figure 2008095052
[ただしR4は水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R5及びR6はそれぞれ独立にアミド基、メラミン基、イミン基、アミンアミド基又はアルキレンアミンアミド基から選ばれた含窒素基である]により表される化合物(II)、又は化合物(I)及び化合物(II)の混合物からなるのが好ましい。
本発明の難燃性コーティング剤の製造方法は、溶媒に有機高分子を溶解又は分散させ、得られた溶液又は分散液に無機超微粒子を添加し、(a) 得られた無機超微粒子含有混合物を高速で旋回するように流動させる工程を行うか、(b) 前記無機超微粒子含有混合物を被衝突部材に高速で衝突させる工程を行うか、(c) 前記無機超微粒子含有混合物同士を高速で衝突させる工程を行うか、(d) 前記(a)の流動工程、前記(b)の衝突工程及び前記(c)の衝突工程から少なくとも二つの工程を選択し、それらを任意の順序でそれぞれ1回以上行うことにより、前記溶液又は分散液に前記無機超微粒子を超分散させ、得られた超分散液に、含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を溶解又は超分散させることを特徴とする。
前記(a)の流動工程を、ノズル部及び円筒状の空洞部を有する装置を用いて、前記無機超微粒子含有混合物を前記装置のノズル部から100 m/秒以上の速度で、前記円筒状空洞部に噴射し、前記空洞部の円筒状壁面に沿って高速で旋回させることにより行うのが好ましい。前記(b)の衝突工程を、ノズル部及び前記被衝突部材を有する装置を用いて、前記無機超微粒子含有混合物を前記装置のノズル部から300 m/秒以上の速度で、前記被衝突部材に噴射させることにより行うのが好ましい。前記(c)の衝突工程を、一対のノズル部を有する装置を用いて、前記無機超微粒子含有混合物を前記装置の一対のノズル部から300 m/秒以上の速度で噴射し、前記無機超微粒子含有混合物同士を高速で衝突させることにより行うのが好ましい。
前記無機超微粒子の超分散液に前記含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を添加し、(e) 得られた混合物を高速で旋回するように流動させる工程を行うか、(f) 前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を被衝突部材に高速で衝突させる工程を行うか、(g) 前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物同士を高速で衝突させる工程を行うか、(h) 前記(e)の流動工程、前記(f)の衝突工程及び前記(g)の衝突工程から少なくとも二つの工程を選択し、それらを任意の順序でそれぞれ1回以上行うことにより、前記超分散液に前記含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を超分散させるのが好ましい。
前記(e)の流動工程を、ノズル部及び円筒状の空洞部を有する装置を用いて、前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を前記装置のノズル部から100 m/秒以上の速度で、前記円筒状空洞部に噴射し、前記空洞部の円筒状壁面に沿って高速で旋回させることにより行うのが好ましい。前記(f)の衝突工程を、ノズル部及び前記被衝突部材を有する装置を用いて、前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を、前記装置のノズル部から300 m/秒以上の速度で前記被衝突部材に噴射させることにより行うのが好ましい。前記(g)の衝突工程を、一対のノズル部を有する装置を用いて、前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を前記装置の一対のノズル部から300 m/秒以上の速度で噴射し、前記含窒素リン酸エステル系化合物混合物同士を高速で衝突させることにより行うのが好ましい。
本発明によれば、有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散した難燃性コーティング剤が得られる。かかる難燃性コーティング剤は、含窒素リン酸エステル系化合物による難燃性と、無機超微粒子による消火性とを有する。難燃性コーティング剤を硬化せしめた塗膜は、難燃性、耐熱性及びガスバリア性に優れている。
[1] 難燃性コーティング剤の材料及び配合割合
(1) 含窒素リン酸エステル系化合物
含窒素リン酸エステル系化合物は、下記式(1):
Figure 2008095052
[ただしxは1〜5の整数であり、R1及びR2はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R3はウレア基、メラミン基、アミン基、イミン基又はアミノアルコール基から選ばれた含窒素基であり、R3の窒素原子はリン原子に直接結合している]により表される化合物(I)、もしくは下記式(2):
Figure 2008095052
[ただしR4は水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R5及びR6はそれぞれ独立にアミド基、メラミン基、イミン基、アミンアミド基又はアルキレンアミンアミド基から選ばれた含窒素基である]により表される化合物(II)、又は化合物(I)及び化合物(II)の混合物からなる。
化合物(I)の具体例として、下記式(3):
Figure 2008095052
で表される化合物が挙げられる。
化合物(I)は、例えば溶媒中50〜180℃の温度で、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸又は五酸化リンを、下記式(4):
Figure 2008095052
(ただしR7及びR8はそれぞれ独立に水素基、炭化水素基、アルコール基、アミン基又はアミド基である)で表される反応性水素を有する窒素化合物と反応させるか、この反応物にさらに下記式(5):
Figure 2008095052
(ただしR9及びR10はそれぞれ独立に水素基又はハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基である)を加え、50〜180℃の温度で縮合反応させることにより得られる。その方法は、具体的には、大韓民国特許第293246号に記載されている。
化合物(II)の具体例として、下記式(6)〜(11):
Figure 2008095052
の各々により表される化合物が挙げられる。
化合物(II)の製造方法は、大韓民国特許出願公開第2002-66055号に記載されているので詳細な説明を省略する。
(2) 無機超微粒子
無機超微粒子としては、層状粘土鉱物系超微粒子、セラミックス系超微粒子、無機塩系超微粒子等が挙げられる。層状粘土鉱物系超微粒子としては、例えばモンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントライト、ヘクトライト、スティブンサイト、マイカ、バーミキュライト、ハロイサイト等の超微粒子が挙げられ、天然品又は合成品のいずれでもよい。中でもモンモリロナイト超微粒子が好ましい。セラミックス系超微粒子としては、水酸化物系セラミックス(例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)、酸化物系セラミックス(例えば酸化チタン、アルミナ等)、窒化物系セラミックス、炭化物系セラミックス(例えばカーボンナノチューブ等)等の超微粒子が挙げられる。中でも水酸化物系セラミックス超微粒子及び炭化物系セラミックスが好ましく、水酸化アルミニウム超微粒子、水酸化マグネシウム超微粒子及びカーボンナノチューブ超微粒子がより好ましい。無機塩系超微粒子として硫化亜鉛超微粒子が挙げられる。無機超微粒子の一次粒子径は特に制限されないが、通常1〜500 nmである。
(3) 有機高分子
有機高分子は特に制限されず、用途に応じて適宜選択すればよい。有機高分子として、例えばポリビニルアルコール、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイト、アクリル酸樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を挙げることができる。
(4) 溶媒
溶媒は、使用する有機高分子に応じて有機溶媒、水又はこれらの混合物から適宜選択すればよい。有機溶媒として、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族等を挙げることができる。有機溶媒は単独で用いてもよいし、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
有機高分子及び含窒素リン酸エステル系化合物の両方を溶解又は分散させるために、アルコール及び水の混合溶媒を用いるのが好ましい。例えば有機高分子としてポリビニルアルコールを用いる場合、イソプロピルアルコールと水の混合溶媒を使用するのが好ましい。混合溶媒の配合割合は質量比で、アルコール:水=40〜80:60〜20が好ましく、アルコール:水=50〜70:50〜30がより好ましい。
(5) 配合割合
配合割合は、好ましくは、難燃性コーティング剤全体を100質量%として、含窒素リン酸エステル系化合物が3〜7質量%であり、無機超微粒子が0.1〜10質量%であり、有機高分子が5〜50質量%であり、残部が溶媒である。含窒素リン酸エステル系化合物の割合は4〜6質量%が好ましく、無機超微粒子の割合は0.5〜8質量%が好ましく、有機高分子の割合は5〜40質量%が好ましい。無機超微粒子に対する含窒素リン酸エステル系化合物の質量割合(含窒素リン酸エステル系化合物:無機超微粒子)は、2:1〜4:1が好ましい。
[2] 難燃性コーティング剤の製造方法
本発明の難燃性コーティング剤の製造方法は、(1) 上記溶媒に有機高分子を溶解又は分散させる工程、(2) 得られた有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子を超分散させる工程、及び(3) 得られた無機超微粒子の超分散液に含窒素リン酸エステル系化合物を溶解又は超分散させる工程を有する。
(1) 有機高分子の溶液又は分散液の調製工程
上記溶媒に有機高分子を溶解又は分散させる方法は特に制限されず、溶媒に有機高分子を混合し、公知の方法で攪拌又は振とうすればよい。
(2) 無機超微粒子を超分散させる工程
図1は、無機超微粒子を有機高分子の溶液又は分散液に超分散させる装置を示す。有機高分子の溶液又は分散液に無機超微粒子を混合し、タンク1に入れる。無機超微粒子の二次粒子径(凝集体の粒子径)は100μm以下であればよい。タンク1に入れ、冷却した大気圧状態の有機高分子の溶液又は分散液と無機超微粒子との混合物(以下特段の断りがない限り、「第一の混合物」とよぶ)10は、供給ポンプ2により約5kg/cm2(0.49 MPa)に加圧し、高圧ポンプ(例えばプランジャーポンプ)3によりさらに加圧し、サイクロン式分散装置4、高速衝突式分散装置4’又は4''に送給して無機超微粒子を有機高分子の溶液又は分散液に超分散し、冷却槽5を通過させ、タンク1に戻す。第一の混合物10は、サイクロン式分散装置4、高速衝突式分散装置4’又は4''での高圧処理で温度が過度に上昇して有機高分子が劣化するのを防止するため、水冷式のタンク1で100℃以下に冷却しておくのが好ましい。
無機超微粒子を有機高分子の溶液又は分散液に超分散するには、以下に述べる高速旋回法もしくは高速衝突法又はその両方を用いる。無機超微粒子としてモンモリロナイト等の層状粘土鉱物系超微粒子を用いる場合、高速旋回法を用いるのが好ましい。
(i) 高速旋回法を用いる場合
高速旋回法を用いる場合、図2〜7に示すサイクロン式分散装置4を用いる。この装置4は、導入側ブロック4a、メインブロック4b、ノズル部4c及び排出側ブロック4dからなり、柱状の外形を有し、その軸線に沿って内部を貫通する流路を有する。この流路は、(a) 装置4の一端部に設けられており、外部圧入手段により第一の混合物10を導入する孔41と、(b) 導入孔41から拡径した段部4a'から装置4の軸線方向に延びる円筒状の空洞からなる滞留部42と、(c) 滞留部42から順次縮径した2つのロート状空洞が連設されてなる加速/整流部43と、(d) 加速/整流部43の先端から装置4の軸線方向に延びる円筒状の細孔からなるノズル孔44と、(e) ノズル孔44の先端から装置4の軸線方向に延びる孔45と、(f) 装置4の軸線方向に対して垂直に延在する円筒状の空洞からなり、孔45が円筒状空洞の軸線方向ほぼ中央においてほぼ接線状に連通している混合部46と、(g) 装置4の他端部に設けられており、混合部46の軸線方向の両端部から、分散処理後の第一の混合物10'を外部に排出する孔47とを有する。
サイクロン式分散装置4は、高圧ポンプ3に高圧ホース6を介して接続すればよい。そのため装置4の一端部には、高圧ホース6の継手を接続する口40が設けられている。第一の混合物10は、高圧ポンプ3により500 kg/cm2(49 MPa)以上の圧力で装置4に導入するのが好ましい。この圧力が49 MPa未満であると、無機超微粒子の分散性が低下する。導入圧の上限は特に制限されないが、実用上3,000 kg/cm2(294 MPa)以下であるのが好ましい。
接続口40の底部に導入孔41が設けられている。導入孔41は第一の混合物10が円滑に流入するように、ロート状に形成されている。導入孔41の入り口直径は、高圧ホース6の排出孔の直径とほぼ同じであるのが好ましい。導入孔41のすり鉢状部の傾斜角θ1は45〜90度であるのが好ましい。
滞留部42は、導入孔41から拡径した段部4a'から装置4の軸線方向に延びる円筒状の空洞からなる。滞留部42で第一の混合物10を一旦滞留させることにより、後段の加速/整流部43での第一の混合物10の乱流を軽減することができる。また滞留部42の圧力(静圧)により、後段の加速/整流部43及びノズル孔44の第一の混合物10に十分な流動圧を付与することができる。滞留部42のアスペクト比やサイズを適宜調節することにより、加速/整流部43及びノズル孔44の第一の混合物10にかける流動圧を調節することができる。限定的ではないが、滞留部42の断面直径は、ノズル孔44の直径の50〜150倍であるのが好ましい。滞留部42のアスペクト比L1/L2は1.5/1〜4/1とするのが好ましい(図4参照)。
加速/整流部43は、滞留部42から順次縮径した第一及び第二のロート状空洞43a,43bが連設されてなる。図6に詳細に示すように、第一及び第二のロート状空洞43a,43bは各々すり鉢状の加速部430a,430bと、円筒状の整流部431a,431bとからなる。第一の混合物10を十分に加速するために、すり鉢状加速部430a,430bの傾斜角θ2及びθ3は45〜150度であるのが好ましい。整流部431a,431bでは加速部で生じた乱流を整えて第一の混合物10の速度低下を防止することができる。整流部431a,431bのアスペクト比L3/L4及びL5/L6は各々1.5/1〜4/1とするのが好ましい。このような第一及び第二のロート状空洞からなる加速/整流部43を設けることにより、ノズル孔44に導入する第一の混合物10に、乱流を抑制しながら十分な速度を付与することができる。ただし加速/整流部43は、二つのロート状空洞からなるものに限定されない。加速/整流部43は、必要に応じて一つのロート状空洞により構成してもよいし、径が順次減少する三つ以上のロート状空洞により構成してもよい。
加速/整流部43での縮径度L6/L2(加速/整流部43における入口直径に対する出口直径の割合)は1/5〜1/20であるのが好ましい。ノズル孔44に第一の混合物を円滑に導入し、ノズル孔44内で十分な流動速度を確保するために、加速/整流部43における出口直径L6は、ノズル孔44の直径の1〜10倍であるのが好ましい。
ノズル孔44は、加速/整流部43の先端から装置4の軸線方向に延びる円筒状の細孔からなる。ノズル孔44に第一の混合物10を高速で通過させることにより、凝集した無機超微粒子は解離(凝集破壊)し、第一の混合物10中で分散する。特に層状粘土鉱物系無機超微粒子は、その長手方向が第一の混合物10の流動方向とほぼ平行になるように配向するとともに、層間剥離を生じ、第一の混合物10中で分散する。この分散機構は、第一の混合物10中の固体相(無機超微粒子)の流動速度が、液相(溶媒及び有機高分子)の流動速度より遅いので、層状粘土鉱物系無機超微粒子がノズル孔44中でその長手方向(層に平行な方向)に液相による圧力を受け、層間に液体(溶媒及び有機高分子)が進入し、層間が開いて剥離することによるものと推測される。
ノズル孔44から噴射する第一の混合物10の速度は100 m/秒以上であるのが好ましい。この速度が100 m/秒未満であると、無機超微粒子の分散性が低下する。この速度の上限は特に制限されないが、実用上500 m/秒以下が好ましい。ノズル孔44の直径及び軸線方向長さは第一の混合物10の供給量により適宜設定する。限定されないが、ノズル孔44の直径は100〜500μmとするのが好ましく、軸線方向長さは3〜15 mmとするのが好ましい。
ノズル4c'は、高速で通過する第一の混合物10による摩耗を抑制するために、ダイヤモンド焼結体、超硬合金焼結体、表面に多数のダイヤモンド粒子が電着された鉄、コバルトなどの金属製基体等からなるのが好ましい。中でもダイヤモンド焼結体が好ましい。ノズル4c'はノズルケース4c''と一体化されている。ノズルケース4c''の材質としては、例えばステンレス鋼が挙げられるが、これに限定されない。ステンレス鋼とダイヤモンド焼結体とからなる部材を一体的に製造する方法は公知であるので、説明を省略する。限定的ではないが、ノズル4c'の直径は、ノズル孔44の直径の20〜50倍であるのが好ましい。
ノズル孔44から噴出した第一の混合物10は、ノズル孔44の先端から装置4の軸線方向に延びる連通孔45を経て混合部46に流動する。連通孔45の直径はノズル孔44の直径の5〜20倍であるのが好ましい。
混合部46は、装置4の軸線方向に対して垂直に延在する円筒状の空洞からなり、孔45が円筒状空洞の軸線方向のほぼ中央においてほぼ接線状に連通している。そして混合部46の軸線方向の両端部から、処理後の第一の混合物10'を外部に排出する孔47,47が、混合部46における装置4の軸線方向先端から外方に向けて設けられている。そのため混合部46では、ノズル孔44から噴出した第一の混合物10を、その両端方向に分割するとともにその円筒状壁面に沿って高速で旋回させながら排出孔47,47に導くことができる。その過程で、無機超微粒子を第一の混合物10中で超分散させることができる。ここで「ほぼ接線状に連通している」とは、混合部46の円筒状空洞に対して完全に接線状に連通している場合に限らず、混合部46に流入した第一の混合物10が円筒状壁面に沿って旋回できる範囲で接線からずれている場合も含むことを意味する。
混合部46のサイズやアスペクト比L7/L8を調整することにより、超微粒子の分散度を調整できる。限定的ではないが、混合部46の断面直径は、ノズル孔44の直径の70〜200倍であるのが好ましい。混合部46のアスペクト比L7/L8は、1.2/1〜3/1であるのが好ましい。排出孔47,47の径は第一の混合物10の導入量に応じて適宜設定すればよい。
以上のような装置4では、第一の混合物10を高速でノズル孔44に通過させ、ノズル孔44から噴出した第一の混合物10を混合部46の円筒状壁面に沿って高速で旋回させるので、無機超微粒子は、これら同士の衝突を伴わずに第一の混合物10中で超分散する。そのため層状粘土鉱物系超微粒子のアスペクト比を維持しながらナノオーダーで、有機高分子の溶液又は分散液に超分散させることができる。
サイクロン式分散装置4の部材構成について説明する。図7に示すように、この装置4は、導入側ブロック4a、メインブロック4b、ノズル部4c及び排出側ブロック4dが、各々パッキン420〜422を介してねじ424により螺着されることにより一体化されている。導入側ブロック4aには、接続口40、導入孔41及び滞留部42を形成するための円筒状突起4a''が設けられている。メインブロック4bには、導入側ブロック4aの円筒状突起4a''を収容する空洞4b'、加速/整流部43、並びにノズル部4cを収容する凹部4b''が設けられている。ノズルケース4c''には、連通孔45の一部が設けられている。排出側ブロック4dには、ノズル部4cをメインブロック4bとの間に挟持するための環状突起4d'、混合部46、混合部46を密閉するためにパッキン423を介して螺着される蓋4d''、連通孔45の一部(ノズルケース4c''に設けられた連通孔45の片割れ部分)及び排出孔47,47が設けられている。各部材4a,4b,4dの材質としては、例えばステンレス鋼が挙げられるが、これに限定されない。パッキン420〜423の材質としては、例えばテフロン(登録商標)が挙げられるが、これに限定されない。
サイクロン式分散装置4から排出した第一の混合物10'は、排出孔47,47に接続したホース7を介して水冷式冷却槽5に送給する。サイクロン式分散装置4で高圧にされ、高速旋回する過程で昇温した第一の混合物10'を冷却することにより、有機高分子の劣化を防ぐことができる。冷却槽5の温度は約0℃とするのが好ましい。
以上のサイクロン式分散装置4を用いたバッチ式の超分散工程は1回のみ行ってもよいし、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
(ii) 高速衝突法を用いる場合
高速衝突法を用いる場合、特許第2934229号に記載の高速衝突式分散装置を用いる。この装置4'は、図8に示すように、中心部に設けられた四角錐台形状の空洞部401a、及びその上下に連通する穴401b,401cを有するメインブロック401と、穴401bに挿入された上部ブロック402と、穴401cに挿入された下部ブロック403とを有する。上部ブロック402には、高圧ホース6を接続する口402bと、第一の混合物10を導入する孔402aが設けられている。上部ブロック402及びメインブロック401には、導入孔402aから連通する一対の分岐流路410,410が設けられている。メインブロック401は、分岐流路410,410の先端部に設けられ、空洞部401a内の対向位置で下方に傾斜するように突出したノズル部401d,401dと、ノズル部401d,401dの根元部において分岐流路410,410に設けられたオリフィス部411,411と、空洞部401a内において、ノズル部401d,401dから噴射される第一の混合物10の噴射流交差部に設けられた被衝突部材440とを有する。下部ブロック403には、高速衝突処理した第一の混合物10'を排出する孔403aと、排出した第一の混合物10'を水冷式冷却槽5に導くホース7を接続する口403bとが設けられている。
ノズル部401dは、2つに限定されず、3つ以上設けてもよい。被衝突部材440の形状は任意であるが、ノズル部401dの数に応じてそれらの開口部に対向する衝突面を有する形状にするのが好ましい。第一の混合物10中の無機超微粒子に対して高い衝突エネルギーを付与するために、被衝突部材440は、ノズル部401d,401dから噴射された第一の混合物10の噴出角度に対してほぼ垂直な面を有するのが好ましい。図示の例では、ノズル部401dが2つであるので、被衝突部材440を、第一の混合物10の噴出角度に対してほぼ垂直な面を有する三角柱としている。
被衝突部材440は、第一の混合物10の噴射流による摩耗を抑制するとともに、第一の混合物10中の無機超微粒子に対する破砕力を高めるために、表面に多数のダイヤモンド粒子が電着された鉄、コバルトなどの金属製基体、またはダイヤモンド焼結体や超硬合金焼結体から製作するのが好ましい。前者の表面に多数のダイヤモンド粒子が電着された金属製基体は、平均粒径5〜10μmの多数のダイヤモンド粒子を70%以上の面積率で電着した構造にするのが好ましい。
衝突させ、破砕させる作用について説明する。上部ブロック402の穴402aから導入した第一の混合物10は、分岐流路410,410に導入され、オリフィス部411,411を通過する過程で更に加速され、ノズル部401d,401dの開口部から空洞部401a内に噴射され、部材440に衝突し、第一の混合物10中の凝集した無機超微粒子が破砕され、超分散される。ノズル部401d,401dの孔の直径は100〜500μmとするのが好ましい。無機超微粒子の破砕・分散がなされた第一の混合物10'は、空洞部401aから下部ブロック部403の孔403aを介してホース7に排出される。
第一の混合物10は500 kg/cm2(49 MPa)以上の圧力で装置4'に導入するのが好ましい。ノズル部401d,401dからの噴射速度を300 m/秒以上にするのが好ましい。第一の混合物10に対する圧力を49 MPa未満にするか、第一の混合物10の噴射流速度を300 m/秒未満にすると、第一の混合物10中の無機超微粒子の破砕や超分散化が困難になる。第一の混合物10に対する圧力及び第一の混合物10の噴射流速度の上限は、実用上、それぞれ2,500 kg/cm2(245 MPa)及び600 m/秒にするのが望ましい。高速衝突式分散装置4'から排出した第一の混合物10'はホース7を介して水冷式冷却槽5に送給し、高速旋回法の場合と同様に冷却するのが好ましい。
図9は高速衝突式分散装置の別の例を示す。この装置4''は、被衝突部材440を有さない以外図8の装置と同じである。装置4''を用いる場合、ノズル部401d,401dから空洞部401a内に第一の混合物10を噴射し、両噴射流を衝突させる。これにより、凝集した無機超微粒子が破砕され、第一の混合物10中で超分散する。第一の混合物10を装置4''に導入する圧力及びノズル部401d,401dからの噴射速度は、上記と同じでよい。以上の高速衝突式分散装置4'又は4''を用いたバッチ式の超分散工程は1回のみ行ってもよいし、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
(iii) 高速旋回法及び高速衝突法の両方を用いる場合
必要に応じて、上記高速旋回法及び高速衝突法を併用してもよい。
(3) 含窒素リン酸エステル系化合物を溶解又は超分散させる工程
上記のようにして得られた、無機超微粒子が超分散した有機高分子の溶液又は分散液(第一の混合物10')に、上記含窒素リン酸エステル系化合物を溶解又は超分散させる。上記含窒素リン酸エステル系化合物は、通常室温で固体であるので、予め粉体状に粉砕しておくのが好ましい。粉体の粒子径は100μm以下であればよい。
溶媒として水を用いる場合(水溶性の有機高分子を用いる場合)、含窒素リン酸エステル系化合物を、無機超微粒子が超分散した有機高分子の水溶液に混合し、公知の方法で攪拌又は振とうすれば溶解させることができる。
溶媒として有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒を用いる場合、含窒素リン酸エステル系化合物を、無機超微粒子が超分散した有機高分子の溶液又は分散液に添加した混合物(以下特段の断りがない限り、「第二の混合物」とよぶ)11を調製し、無機超微粒子を超分散させる場合と同様に、図1に示す装置により超分散させる。
サイクロン式分散装置4を用いる場合、装置4に導入する第二の混合物11の圧力、及びノズル孔44から噴射する第二の混合物11の速度は上記と同じでよい。高速衝突式分散装置4’又は4''を用いる場合、装置4’又は4''に導入する第二の混合物11の圧力、及びノズル部401d,401dからの噴射速度は上記と同じでよい。
ただし第二の混合物11は、サイクロン式分散装置4、高速衝突式分散装置4’又は4''での高圧処理で温度が過度に上昇して含窒素リン酸エステル系化合物が分解するのを防止するため、水冷式のタンク1で100℃以下に冷却しておくのが好ましい。これにより、サイクロン式分散装置4、高速衝突式分散装置4’又は4''での高圧処理中の第二の混合物11の温度を150℃以下とすることができる。またサイクロン式分散装置4、高速衝突式分散装置4’又は4''で昇温した処理後の第二の混合物11'を槽5で冷却することにより、含窒素リン酸エステル系化合物の分解を防ぐことができる。冷却槽5の温度は約0℃とするのが好ましい。
サイクロン式分散装置4、高速衝突式分散装置4'又は4''を用いたバッチ式の超分散工程は1回のみ行ってもよいし、必要に応じて複数回繰り返してもよい。必要に応じて、高速旋回法及び高速衝突法を併用してもよい。
[3] 難燃性コーティング剤
以上の製造方法により得られた難燃性コーティング剤は、有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散している。ここで「超分散」とは、無機超微粒子及び含窒素リン酸エステル系化合物が粒径100 nm以下の粒子として分散した状態をいう。無機超微粒子及び含窒素リン酸エステル系化合物が超分散したことを確認する方法として、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したり、動的光散乱法による粒度分布を測定したりする方法等が挙げられる。
難燃性コーティング剤には、通常のコーティング剤に使用される以下の添加物、例えば粘度調整剤、美装目的の各種着色顔料、隠蔽力を増す目的の充填材、塗面の平滑性を良くする目的で添加されるレベリング剤、基材との密着性を改良する目的で添加されるカップリング剤、従来公知の酸化防止剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、老化防止剤、導電剤、消泡剤等を任意に選択し、使用することができる。
難燃性コーティング剤を被塗物に対して、乾燥後に1〜100μm、好ましくは3〜20μmの厚さとなるよう塗布し、加熱してコーティング被膜を形成する。基材表面への塗布方法としては、基材表面に刷毛塗り、バーコーター塗り、スプレー、浸漬、ロールコート、ブレードコート、フローコート又は静電塗装により被覆ないしは浸漬する方法がある。難燃性コーティング剤は金属板、ガラス板、プラスチック成型物、シートまたはフィルム、繊維、織布または不織布などのいずれにも塗布でき、その表面に密着する。
難燃性コーティング剤を硬化せしめた塗膜は、含窒素リン酸エステル系化合物による難燃性と、無機超微粒子による消火性とを有する。また有機高分子に対する含窒素リン酸エステル系化合物及び無機超微粒子の割合が比較的少ないので、有機高分子自体の物性も損なわれていない。そのため難燃性コーティング剤を硬化せしめた塗膜は、難燃性、耐熱性及びガスバリア性を始めとして、基材への密着性、耐溶剤性、耐水性、硬度、光沢、対候性、防錆性等に優れている。本発明の難燃性コーティング剤は、特に壁紙や自動車用発砲シートに優れた難燃性及び耐熱性を付与するのに好適である。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1
ポリビニルアルコール100 gを、水とイソプロピルアルコールを等質量比で混合した溶媒850 gに加え、撹拌した。得られたポリビニルアルコール溶液に、モンモリロナイトの粉体10 gを加えた混合物を調製した。得られた混合物を、水冷式タンクに入れて95℃に冷却した後、供給ポンプにより5kg/cm2(0.49 MPa)に加圧し、プランジャーポンプにより1,500 kg/cm2(147 MPa)に加圧し、図2〜図7に示すサイクロン式分散装置4に送給してモンモリロナイトをポリビニルアルコール溶液に超分散し(ノズル部4cからの噴射速度:350 m/秒)、冷却槽(0℃)を通過させ、水冷式タンクに戻した。この一連の操作(混合物の冷却〜超分散〜再冷却)を3回繰り返した。得られたモンモリロナイトの超分散液を、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、モンモリロナイトが100 nm以下の粒径の粒子として超分散していた。
得られたモンモリロナイトの超分散液に、上記式(3)の含窒素リン酸エステル系化合物の粉体40 gを添加し、全量を1,000 gとした。得られた混合物を、水冷式タンクに入れて95℃に冷却した後、供給ポンプにより5kg/cm2(0.49 MPa)に加圧し、プランジャーポンプにより1,500 kg/cm2(147 MPa)に加圧し、図8に示す高速衝突式分散装置4’に送給し、含窒素リン酸エステル系化合物を、モンモリロナイトが超分散したポリビニルアルコール溶液に超分散し(ノズル部401d,401dからの噴射速度:350 m/秒)、冷却槽(0℃)を通過させ、水冷式タンクに戻した。この一連の操作(混合物の冷却〜超分散〜再冷却)を3回繰り返し、難燃性コーティング剤を調製した。得られた難燃性コーティング剤を、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、含有する粒子は100 nm以下の粒径を有していた。
実施例2
モンモリロナイトの粉体に代えて、水酸化アルミニウムの粉体を用いた以外実施例1と同様にして、難燃性コーティング剤を調製した。
実施例3
モンモリロナイトの粉体に代えて、水酸化マグネシウムの粉体を用いた以外実施例1と同様にして、難燃性コーティング剤を調製した。
実施例4
上記式(3)の化合物に代えて、上記式(9)の含窒素リン酸エステル系化合物を用いた以外実施例1と同様にして、難燃性コーティング剤を調製した。
実施例1〜4で得られた難燃性コーティング剤を、紙シート、ポリスチレン発砲シート及びポリエチレンテレフタレートフィルムのそれぞれに(紙シート:片面、ポリスチレン発砲シート:両面、ポリエチレンテレフタレートフィルム:片面)、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布し、乾燥させた。いずれの難燃性コーティング剤を塗布した紙シートも、塗膜形成面にガスバーナーの炎に曝すと接炎中は燃えたが、離炎すると直ちに消火した。いずれの難燃性コーティング剤を塗布したポリスチレン発砲シートも、塗膜形成面にガスバーナーの炎に曝すと、接炎中はシート内部が燃えたが、接炎面と反対側の面は燃えず、離炎すると5秒程度で消火した。いずれの難燃性コーティング剤を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムも、塗膜形成面にガスバーナーの炎に曝すと接炎中は燃えたが、離炎すると直ちに消火した。
比較例1
ポリブチレンテレフタレート(融点220℃)95質量部に、上記式(3)の含窒素リン酸エステル系化合物の粉体4.5質量部及びモンモリロナイトの粉体0.5質量部をドライブレンドした。得られた混合物を押出機に投入し、250℃で溶融混練し、得られた溶液を、押出機からTダイに供給し、押し出した。しかし気泡が発生し、成膜不能であった。気泡の発生は、窒素リン酸エステル系化合物が揮発したり、分解したりしたことによるものと考えられる。
比較例2
低密度ポリエチレン94質量部に、上記式(3)の含窒素リン酸エステル系化合物の粉体5質量部及びモンモリロナイトの粉体1質量部をドライブレンドした。得られた混合物を押出機に投入し、210℃で溶融混練し、得られた溶液を、押出機からTダイに供給し、押し出した。しかし気泡が発生し、成膜不能であった。
無機超微粒子及び含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を有機高分子の溶液又は分散液に超分散させる装置を示す概略図である。 サイクロン式分散装置の一例を示し、(a)は左側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は右側面図である。 図2のA-A断面図である。 図2に示す装置の断面図である。 図2に示す装置の導入孔を示す部分拡大断面図である。 図2に示す装置の加速/整流部及びノズルを示す部分拡大断面図である。 図2に示す装置の部材構成を示す斜視図である。 高速衝突式分散装置の一例を示す断面図である。 高速衝突式分散装置の別の例を示す断面図である。
符号の説明
1・・・タンク
2・・・供給ポンプ
3・・・高圧ポンプ
4・・・サイクロン式分散装置
4a・・・導入側ブロック
4a'・・・段部
4a''・・・円筒状突起
4b・・・メインブロック
4b'・・・空洞
4b''・・・凹部
4c・・・ノズル部
4c'・・・ノズル
4c''・・・ノズルケース
4d・・・排出側ブロック
4d'・・・円環状突起
4d''・・・蓋
40・・・接続口
41・・・導入孔
42・・・滞留部
43・・・加速/整流部
43a,43b・・・ロート状空洞
430a,430b・・・加速部
431a,431b・・・整流部
44・・・ノズル孔
45・・・連通孔
46・・・混合部
47・・・排出孔
420,421,422,423・・・パッキン
424・・・ねじ
4’,4''・・・高速衝突式分散装置
401・・・メインブロック
401a・・・空洞部
401b,401c・・・穴
401d・・・ノズル部
411・・・オリフィス部
402・・・上部ブロック
402a・・・導入孔
402b・・・接続口
403・・・下部ブロック
403a・・・排出孔
403b・・・接続口
410・・・分岐流路
411・・・オリフィス部
440・・・被衝突部材
5・・・冷却槽
6・・・高圧ホース
7・・・ホース

Claims (11)

  1. 有機高分子の溶液又は分散液に、無機超微粒子が超分散しているとともに、含窒素リン酸エステル系化合物が溶解又は超分散していることを特徴とする難燃性コーティング剤。
  2. 請求項1に記載の難燃性コーティング剤において、配合割合は、前記難燃性コーティング剤全体を100質量%として、前記有機高分子が5〜50質量%であり、前記無機超微粒子が0.1〜10質量%であり、前記含窒素リン酸エステル系化合物が3〜7質量%であり、残部が溶媒であることを特徴とする難燃性コーティング剤。
  3. 請求項1又は2に記載の難燃性コーティング剤において、前記無機超微粒子は、モンモリロナイト超微粒子、水酸化アルミニウム超微粒子及び水酸化マグネシウム超微粒子のいずれかであることを特徴とする難燃性コーティング剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性コーティング剤において、前記含窒素リン酸エステル系化合物は、下記式(1):
    Figure 2008095052
    [ただしxは1〜5の整数であり、R1及びR2はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R3はウレア基、メラミン基、アミン基、イミン基又はアミノアルコール基から選ばれた含窒素基であり、R3の窒素原子はリン原子に直接結合している]により表される化合物(I)、もしくは下記式(2):
    Figure 2008095052
    [ただしR4は水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R5及びR6はそれぞれ独立にアミド基、メラミン基、イミン基、アミンアミド基又はアルキレンアミンアミド基から選ばれた含窒素基である]により表される化合物(II)、又は化合物(I)及び化合物(II)の混合物からなることを特徴とする難燃性コーティング剤。
  5. 溶媒に有機高分子を溶解又は分散させ、得られた溶液又は分散液に無機超微粒子を添加し、(a) 得られた無機超微粒子含有混合物を高速で旋回するように流動させる工程を行うか、(b) 前記無機超微粒子含有混合物を被衝突部材に高速で衝突させる工程を行うか、(c) 前記無機超微粒子含有混合物同士を高速で衝突させる工程を行うか、(d) 前記(a)の流動工程、前記(b)の衝突工程及び前記(c)の衝突工程から少なくとも二つの工程を選択し、それらを任意の順序でそれぞれ1回以上行うことにより、前記溶液又は分散液に前記無機超微粒子を超分散させ、得られた超分散液に、含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を溶解又は超分散させることを特徴とする難燃性コーティング剤の製造方法。
  6. 請求項5に記載の難燃性コーティング剤の製造方法において、前記(a)の流動工程を、ノズル部及び円筒状の空洞部を有する装置を用いて、前記無機超微粒子含有混合物を前記装置のノズル部から100 m/秒以上の速度で、前記円筒状空洞部に噴射し、前記空洞部の円筒状壁面に沿って高速で旋回させることにより行い、前記(b)の衝突工程を、ノズル部及び前記被衝突部材を有する装置を用いて、前記無機超微粒子含有混合物を前記装置のノズル部から300 m/秒以上の速度で、前記被衝突部材に噴射させることにより行い、前記(c)の衝突工程を、一対のノズル部を有する装置を用いて、前記無機超微粒子含有混合物を前記装置の一対のノズル部から300 m/秒以上の速度で噴射し、前記無機超微粒子含有混合物同士を高速で衝突させることにより行うことを特徴とする方法。
  7. 請求項5又は6に記載の難燃性コーティング剤の製造方法において、前記無機超微粒子の超分散液に前記含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を添加し、(e) 得られた混合物を高速で旋回するように流動させる工程を行うか、(f) 前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を被衝突部材に高速で衝突させる工程を行うか、(g) 前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物同士を高速で衝突させる工程を行うか、(h) 前記(e)の流動工程、前記(f)の衝突工程及び前記(g)の衝突工程から少なくとも二つの工程を選択し、それらを任意の順序でそれぞれ1回以上行うことにより、前記超分散液に前記含窒素リン酸エステル系化合物の粉体を超分散させることを特徴とする方法。
  8. 請求項7に記載の難燃性コーティング剤の製造方法において、前記(e)の流動工程を、ノズル部及び円筒状の空洞部を有する装置を用いて、前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を前記装置のノズル部から100 m/秒以上の速度で、前記円筒状空洞部に噴射し、前記空洞部の円筒状壁面に沿って高速で旋回させることにより行い、前記(f)の衝突工程を、ノズル部及び前記被衝突部材を有する装置を用いて、前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を、前記装置のノズル部から300 m/秒以上の速度で前記被衝突部材に噴射させることにより行い、前記(g)の衝突工程を、一対のノズル部を有する装置を用いて、前記含窒素リン酸エステル系化合物含有混合物を前記装置の一対のノズル部から300 m/秒以上の速度で噴射し、前記含窒素リン酸エステル系化合物混合物同士を高速で衝突させることにより行うことを特徴とする方法。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の難燃性コーティング剤の製造方法において、配合割合を、前記難燃性コーティング剤全体を100質量%として、前記有機高分子を5〜50質量%とし、前記無機超微粒子を0.1〜10質量%とし、前記含窒素リン酸エステル系化合物を4〜7質量%とし、残部を溶媒とすることを特徴とする方法。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載の難燃性コーティング剤の製造方法において、前記無機超微粒子は、モンモリロナイト超微粒子、水酸化アルミニウム超微粒子及び水酸化マグネシウム超微粒子のいずれかであることを特徴とする方法。
  11. 請求項5〜10のいずれかに記載の難燃性コーティング剤の製造方法において、前記含窒素リン酸エステル系化合物は、下記式(1):
    Figure 2008095052
    [ただしxは1〜5の整数であり、R1及びR2はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R3はウレア基、メラミン基、アミン基、イミン基又はアミノアルコール基から選ばれた含窒素基であり、R3の窒素原子はリン原子に直接結合している]により表される化合物(I)、もしくは下記式(2):
    Figure 2008095052
    [ただしR4は水素基、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、又は-CH2CH(OH)CH2X基(XはCH3基又はハロゲン基である)であり、R5及びR6はそれぞれ独立にアミド基、メラミン基、イミン基、アミンアミド基又はアルキレンアミンアミド基から選ばれた含窒素基である]により表される化合物(II)、又は化合物(I)及び化合物(II)の混合物からなることを特徴とする方法。
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JP2014523457A (ja) * 2011-06-09 2014-09-11 ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド 水酸化マグネシウム粒子を含むコーティング組成物および関連のコーティングされた基材
JP2016104884A (ja) * 2011-06-09 2016-06-09 ピーアールシー−デソト インターナショナル,インコーポレイティド 水酸化マグネシウム粒子を含むコーティング組成物および関連のコーティングされた基材

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