JP2008094122A - 車両用空調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気通路内の残留水分を低減することにより臭気の発生を抑制できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】この車両用空調装置1は、空気通路Rを有するケーシング2と、空気通路内に空気を流通させるブロアファン3と、空気通路内の空気と熱交換を行うエバポレータ4とを含んで構成される。また、この車両用空調装置では、車室内の空気を調和するための空調運転の停止時にて、空気通路内の空気を車室内あるいは車室外の空気との間で循環させる送風運転が間欠的に行われる。この送風運転により空気通路内の除湿が行われる。
【選択図】図1
【解決手段】この車両用空調装置1は、空気通路Rを有するケーシング2と、空気通路内に空気を流通させるブロアファン3と、空気通路内の空気と熱交換を行うエバポレータ4とを含んで構成される。また、この車両用空調装置では、車室内の空気を調和するための空調運転の停止時にて、空気通路内の空気を車室内あるいは車室外の空気との間で循環させる送風運転が間欠的に行われる。この送風運転により空気通路内の除湿が行われる。
【選択図】図1
Description
この発明は、車両用空調装置に関し、さらに詳しくは、空気通路内の残留水分を低減することにより臭気の発生を抑制できる車両用空調装置に関する。
車両用空調装置は、一般にエバポレータを有する。このエバポレータでは、取り込まれた空気中の水分が熱交換時にて凝縮される。凝縮された水分の一部は、ドレン口を通じてケーシングの外部に排出されるが、エバポレータやケーシングの内面に付着した凝縮水は、排出され難いためケーシングの空気通路内に残留する。また、車両動力の停止時(キーOFF時)には、一般に車両用空調装置の運転が停止されて通気が遮断される。すると、付着した凝縮水が長時間に渡り空気通路内に残留して、空気通路内を高湿度状態にする。特に、車両用空調装置では、家庭用空調装置や業務用空調装置と比較して空調ユニットの開口部の面積が小さいため、運転停止時にて空気通路内が高湿度状態となり易い。
一方、車両用空調装置では、臭気(いわゆるエアコン臭)の発生が課題となっている。この臭気は、主に微生物の代謝が原因となって発生することが知られている。すなわち、空気通路内にて繁殖した微生物が生命活動を維持する上で各種の有機物を老廃物として排出し、これが臭気として車室内に漏出する。ここで、微生物の繁殖には、水分、温度、栄養が必須条件となる。かかる水分の条件に関しては、空気中の相対湿度が70[%]を越えると繁殖速度が急激に増大するというデータがある。このため、運転停止時には、空気通路内の高湿度状態により微生物の繁殖が助長されると推測される。
かかる課題に関する従来の車両用空調装置には、特許文献1に記載される技術が知られている。従来の車両用空調装置(空気調和機)は、圧縮機、室内熱交換器、室外熱交換器及び膨張機構とを有し、前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記膨張機構、前記室内熱交換器の順に冷媒を通流させる冷房運転機能、前記圧縮機、前記室内熱交換器、前記膨張機構、前記室外熱交換器の順に冷媒を通流させる暖房運転機能、前記圧縮機を停止させた状態で前記室内熱交換器に通風させる室内ファンを運転する送風運転機能とを備えた空気調和機において、前記送風運転機能を動作させる前に前記暖房運転機能を動作させる乾燥運転機能を備える。
この発明は、空気通路内の残留水分を低減することにより臭気の発生を抑制できる車両用空調装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、この発明にかかる車両用空調装置は、空気通路を有するケーシングと、前記空気通路内に空気を流通させるブロアファンと、前記空気通路内の空気と熱交換を行うエバポレータとを含む車両用空調装置であって、車室内の空気を調和するための空調運転の停止時にて、前記空気通路内の空気を車室内あるいは車室外の空気との間で循環させる送風運転が間欠的に行われることを特徴とする。
この車両用空調装置では、空調運転の停止時(停止後)にて間欠的な送風運転が行われるので、空気通路内の水分を多く含む空気が除去されて空気通路内の湿度が低減される。これにより、臭気の発生が抑制される利点がある。また、かかる送風運転が間欠的に行われるので、送風運転が連続して行われる場合と比較して、送風運転に要する電力消費量が低減される利点がある。このことは、容量が限られている車両用電源を用いて送風運転が行われる場合に、特に有益である。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転により前記空気通路内の空気と車室内の空気とが循環する。
この車両用空調装置では、送風運転が内気循環モードによって行われることにより、空気通路内の除湿が効果的に行われる利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転により、車室内の空気および車室外の空気のうち低い湿度を有する側の空気と前記空気通路内の空気とが循環する。
この車両用空調装置では、より湿度の低い空気が選択的に用いられるので、車室内の空気および車室外の空気のいずれか一方のみが用いられて空気通路内の換気が行われる構成と比較して、空気通路内の除湿がより効果的に行われる利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転により前記空気通路内の相対湿度が80[%]以下に維持される。
この車両用空調装置では、空気通路内の相対湿度が適性に維持されて、空気通路内における臭気の発生が好適に低減される利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転の一回あたりの送風時間T1が3[sec]≦T1≦10[sec]の範囲内にある。
車両用空調装置では、送風時間T1の範囲が適正化されるので、空気通路内の湿度が効果的に低減される。これにより、臭気の発生が効果的に抑制される利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転の送風間隔T2が15[min]≦T2≦60[min]の範囲内にある。
この車両用空調装置では、送風間隔T2の範囲が適正化されるので、空気通路内の湿度が効果的に低減される。これにより、臭気の発生が効果的に抑制される利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転により前記空気通路内の空気と車室内の空気とが循環するときに、前記送風運転の送風回数Nが車室内の湿度に基づいて選択される。
この車両用空調装置では、送風運転の送風回数Nが適正化されて、空気通路内の湿度が効果的に低減される利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転により前記空気通路内の空気と車室内の空気とが循環するときに、車室内の湿度が所定の閾値を越えるまで前記送風運転が行われる。
この車両用空調装置では、送風運転が車室内の湿度との関係により適正に行われて、空気通路内の湿度が効果的に低減される利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記送風運転が前記ブロアファンの駆動により行われ、且つ、前記ブロアファンを駆動するための電力保持手段が設けられている。
この車両用空調装置では、ブロアファンが車両用電源により駆動されて送風運転が行われる構成と比較して、車両用電源の負担が低減される利点がある。特に、車両の動力停止後には車両用電源の充電が行われないため、上記の構成は、車両用電源の負担が効果的に低減される点で有益である。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、空気通路を有するケーシングと、前記空気通路内に空気を流通させるブロアファンと、前記空気通路内の空気と熱交換を行うエバポレータとを含む車両用空調装置であって、前記空気通路が前記ケーシングの外部に開口する開閉可能な開口部を前記エバポレータの上流側もしくは下流側の少なくとも一方に有し、且つ、車室内の空気を調和するための空調運転の停止時にて前記開口部が開放されることを特徴とする。
この車両用空調装置では、空調運転の停止後に空気通路の開口部が開放されると、空気通路内の空気とケーシング外部の空気とが温度差により自然対流する。すると、空気通路R内(特に、エバポレータ近傍)の残留水分がケーシング外部に放出されて空気通路内の湿度が低減される。これにより、臭気の発生が抑制される利点がある。
また、この発明にかかる車両用空調装置は、前記空気通路上に吸放湿性材料が配置される。
この車両用空調装置では、空調運転の停止後にて、吸放湿性材料が空気通路内(特に、エバポレータ近傍)の湿度変化を吸収(緩衝)する。これにより、空気通路内が高湿度状態となる事態が回避されて、臭気の発生が抑制される利点がある。
この発明にかかる車両用空調装置では、空調運転の停止時(停止後)にて間欠的な送風運転が行われるので、空気通路内の残留水分が除去されて空気通路内の湿度が低減される。これにより、臭気の発生が抑制される利点がある。また、かかる送風運転が間欠的に行われるので、送風運転が連続して行われる場合と比較して、送風運転に要する電力消費量が低減される利点がある。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施例の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的同一のものが含まれる。また、この実施例に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
図1および図2は、この発明の実施例1にかかる車両用空調装置の空調ユニットを示す斜視図(図1)および構成図(図2)である。図3および図4は、図1に記載した空調ユニットの作用を示すフローチャート(図3)および説明図(図4)である。図5〜図8は、図1に記載した空調ユニットの変形例を示す説明図である。
[車両用空調装置の空調ユニット]
車両用空調装置(車両用空気調和機)は、車室内の冷暖房および除湿を行うことにより快適な車室内環境を提供する装置である。かかる車両用空調装置は、一般に、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室外の空気と熱交換を行ってガス冷媒を凝縮させる凝縮器と、液冷媒を圧縮する膨張弁と、車室外または車室内から導入した空気と熱交換を行って液冷媒を気化させるエバポレータ(蒸発器)4とを有すると共に、これらが冷媒配管を介して連結されて成る冷凍サイクルを有する。
車両用空調装置(車両用空気調和機)は、車室内の冷暖房および除湿を行うことにより快適な車室内環境を提供する装置である。かかる車両用空調装置は、一般に、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室外の空気と熱交換を行ってガス冷媒を凝縮させる凝縮器と、液冷媒を圧縮する膨張弁と、車室外または車室内から導入した空気と熱交換を行って液冷媒を気化させるエバポレータ(蒸発器)4とを有すると共に、これらが冷媒配管を介して連結されて成る冷凍サイクルを有する。
また、車両用空調装置は、空調(HVAC:Heating, Ventilation, and Air-Conditioning)ユニット1を有する(図1および図2参照)。この空調ユニット1は、ケーシング2と、ブロアファン3と、エバポレータ4と、ヒータコア5とを有する。ケーシング2は、例えば、樹脂製であり、内部に空気通路(風路)Rを有する。ブロアファン3は、空気通路Rに空気を流通させるためのファンであり、ケーシング2の空気通路R上に配置される。また、ブロアファン3は、車両用電源から電力を供給されて駆動される。エバポレータ4は、空気から気化熱を奪うための熱交換器であり、ケーシング2の空気通路R上であってブロアファン3の下流側に配置される。ヒータコア5は、空気通路Rの空気を加熱するためのヒータであり、ケーシング2の空気通路R上であってエバポレータ4の下流側に配置される。
また、ケーシング2には、内気導入口21と、外気導入口22と、内外気切換ダンパ23とが空気通路Rの入口部(内外気切換箱)に設けられている(図1および図2参照)。内気導入口21は、車室内の空気(室内気)を空気通路Rに導入するための開口部である。外気導入口22は、車室外の空気(室外気)を空気通路Rに導入するための開口部である。内外気切換ダンパ23は、内気導入口21および外気導入口22のいずれか一方を閉止するためのダンパであり、その動作により空気通路Rに導入される空気(室内気および室外気)を切り換える機能を有する。
また、ケーシング2には、フェース吹出口24と、フット吹出口25と、デフロスト吹出口26とが空気通路Rの出口部に設けられている(図1および図2参照)。フェース吹出口24は、空気の吹出方向を前席乗員の頭部および上半身に向けており、フェースダンパ241の操作により開閉される。フット吹出口25は、空気の吹出方向を前席乗員の足下に向けており、フットダンパ251の操作により開閉される。デフロスト吹出口26は、空気の吹出方向を車両のフロントガラス等に向けており、デフロストダンパ261の操作により開閉される。
また、空気通路R上には、エバポレータ4の下流側かつヒータコア5の上流側にエアミックスダンパ27が設けられている(図2参照)。このエアミックスダンパ27の開度制御により、ヒータコア5を通過する空気量が調整される。
この空調ユニット1では、ブロアファン3が回転すると、空気が内気導入口21あるいは外気導入口22から空気通路R内に導入されて、エバポレータ4およびヒータコア5に供給される。冷房運転時には、空気通路R内の空気がエバポレータ4にて熱交換されて冷却され、冷風として各吹出口24〜26から車室内に吹き出される。また、暖房運転時には、空気通路R内の空気がヒータコア5にて加熱されて、温風として各吹出口24〜26から車室内に吹き出される。また、各吹出口24〜26から吹き出される空気の温度は、エアミックスダンパ27の開度制御により調整される。
[空気通路内の湿度制御]
ここで、この車両用空調装置では、臭気の発生を抑制するために、以下の湿度制御が行われて空気通路R内の残留水分が除去される(図3および図4参照)。
ここで、この車両用空調装置では、臭気の発生を抑制するために、以下の湿度制御が行われて空気通路R内の残留水分が除去される(図3および図4参照)。
まず、この湿度制御は、空調運転の停止後に行われる(ST1)。空調運転とは、車室内の空気を調和するための運転モード(冷房運転あるいは暖房運転)をいう。また、空調運転の停止後とは、例えば、圧縮機の駆動が停止されて冷媒の循環が止まり、エバポレータ4にて空気との熱交換が行われなくなった状態(新たな凝縮水が発生しない状態)が該当する。ここでは、特に、エバポレータ4に凝縮水が発生し易い冷房運転の停止後に湿度制御が行われる。
空調運転が停止(ST11)されると、空気の循環モードとして内気循環モードが選択される(ST12)。内気循環モードとは、空気通路R内の空気と車室内の空気とを循環させる循環モードである。具体的には、内外気切換ダンパ23が駆動されて所定の位置に位置決めされることにより、車室内の空気が内気導入口21から空気通路R内に導入される。
次に、ブロアファン3が駆動されて送風運転が行われる(ST13)。送風運転は、空気通路R内の空気と車室内の空気とを循環させるための運転モードである。すなわち、この送風運転では、ブロアファン3の駆動により車室内の空気が内気導入口21から空気通路R内に導入される。そして、この空気がエバポレータ4およびヒータコア5を通過して各吹出口24〜26から車室内に吹き出される。これにより、残留水分が気化して高湿度となった空気通路R内(特に、空気通路Rの壁面およびエバポレータ4の表面)の空気が排出され、空気通路R内の湿度が低減される。
また、この送風運転は、間欠的に行われる(ST13)。すなわち、ブロアファン3が所定間隔にてON/OFF制御されることにより、短時間かつ複数回の送風運転が行われる(図4参照)。具体的には、送風時間T1の送風運転が所定の送風間隔T2を空けて繰り返される。また、この送風運転は、空調運転の停止から所定時間(例えば、3時間)の経過により停止される(ST14)。
この車両用空調装置では、空調運転の停止時(停止後)にて間欠的な送風運転が行われるので、空気通路R内の水分を多く含む空気が除去されて空気通路R内の湿度が低減される。これにより、臭気の発生が抑制される利点がある。また、かかる送風運転が間欠的に行われるので、送風運転が連続して行われる場合と比較して、送風運転に要する(ブロアファン3の駆動に要する)電力消費量が低減される利点がある。このことは、容量が限られている車両用電源を用いて送風運転が行われる場合に、特に有益である。
[付加的事項1]
また、この車両用空調装置では、上記の送風運転により空気通路R内の空気と車室内の空気とが循環する(内気循環モード)。一般に、空調運転の停止時には、空気通路R内の空気よりも車室内の空気の方が乾燥している(湿度が低い)。したがって、送風運転が内気循環モードによって行われることにより、空気通路R内の除湿が効果的に行われる利点がある。
また、この車両用空調装置では、上記の送風運転により空気通路R内の空気と車室内の空気とが循環する(内気循環モード)。一般に、空調運転の停止時には、空気通路R内の空気よりも車室内の空気の方が乾燥している(湿度が低い)。したがって、送風運転が内気循環モードによって行われることにより、空気通路R内の除湿が効果的に行われる利点がある。
しかし、これに限らず、上記の送風運転により、車室内の空気および車室外の空気のうち低い湿度を有する側の空気と空気通路R内の空気とが循環しても良い(図5参照)。すなわち、空気通路R内の換気にあたり、車室内の空気と車室外の空気とが選択的に用いられて空気通路Rに導入される。かかる構成では、より湿度の低い空気が選択的に用いられるので、車室内の空気および車室外の空気のいずれか一方のみが用いられて空気通路R内の換気が行われる構成と比較して、空気通路R内の除湿がより効果的に行われる利点がある。
上記の構成では、例えば、車室内の湿度を計測する車室内センサと、車室外の湿度を計測する車室外センサとが配置される(図示省略)。そして、空調運転の停止後にて(ST21)、車室内センサおよび車室外センサによる計測結果が比較され(ST22)、より低い湿度を有する側の空気が空気通路R内に導入されるように循環モード(内気循環モードあるいは外気循環モード)が選択される(ST23)。一般に、冬季や中間期には、車室外の方が車室内よりも湿度が低くなるため、外気循環モードが選択されると考えられる。そして、選択された循環モードにて送風運転が間欠的に行われ(ST24)、所定時間の経過後に送風運転が停止される(ST25)。
[付加的事項2]
また、この車両用空調装置では、上記の送風運転により空気通路R内の相対湿度RHが80[%]以下に維持されることが好ましい(図4および図6参照)。また、空気通路R内の相対湿度RHが70[%]以下に維持されることがより好ましい。これにより、空気通路内の相対湿度が適性に維持されて、空気通路R内における臭気の発生が好適に低減される利点がある。
また、この車両用空調装置では、上記の送風運転により空気通路R内の相対湿度RHが80[%]以下に維持されることが好ましい(図4および図6参照)。また、空気通路R内の相対湿度RHが70[%]以下に維持されることがより好ましい。これにより、空気通路内の相対湿度が適性に維持されて、空気通路R内における臭気の発生が好適に低減される利点がある。
上記の構成では、例えば、ケーシング2の空気通路R内に相対湿度を計測するための湿度センサ(図示省略)が配置される。そして、空調運転の停止後にて(ST31)、この湿度センサの計測値が常時取得され、空気通路R内の相対湿度RHと所定の閾値RHsとが比較される(ST33)。そして、空気通路R内の相対湿度RHが所定の閾値RHsを越えると(RH>RHs)、一定時間(送風時間T1)の送風運転が行われる(ST34)。なお、この実施例では、送風運転の運転モードとして内気循環モードが選択され(ST32)、また、所定時間の経過後に送風運転が停止される(ST35)。
また、上記の構成では、送風運転の一回あたりの送風時間T1が3[sec]≦T1≦10[sec]の範囲内にあることが好ましい(図4参照)。かかる構成では、送風時間T1の範囲が適正化されるので、空気通路R内の湿度が効果的に低減される。これにより、臭気の発生が効果的に抑制される利点がある。例えば、T1<3[sec]では、ブロアファン3の立ち上がり時間との関係等により、送風が適正に行われないおそれがある。また、T1>10[sec]では、エバポレータ4に保持されている水分が気化して空気通路R内の湿度および車室内の湿度が共に上昇し、空気通路R内の除湿が効率的に行われ難い。
また、上記の構成では、送風運転の送風間隔T2が15[min]≦T2≦60[min]の範囲内にあることが好ましい(図4参照)。かかる構成では、送風間隔T2の範囲が適正化されるので、空気通路R内の湿度が効果的に低減される。これにより、臭気の発生が効果的に抑制される利点がある。例えば、T2<15[min]では、送風運転による消費電力量の低減効果が低くなる。また、60[min]<T2では、送風間隔T2が空き過ぎて空気通路R内の除湿効果が低減する。
[付加的事項3]
また、この車両用空調装置では、送風運転により空気通路R内の空気と車室内の空気とが循環するときに、送風運転の送風回数Nが車室内の湿度に基づいて選択されることが好ましい(図7参照)。すなわち、送風運転が内気循環モードで行われるときに、N回の送風運転が間欠的に行われ、且つ、その送風回数Nが車室内の湿度との関係により設定される。これにより、送風運転の送風回数Nが適正化されて、空気通路R内の湿度が効果的に低減される利点がある。例えば、車室内が乾燥していて湿度が低い状態では、送風運転の送風回数Nが大きく設定され、逆に、車室内の湿度が高い状態では、送風回数Nが低く設定される。これにより、空気通路R内の除湿が車室内の湿度との関係において適切に行われる。
また、この車両用空調装置では、送風運転により空気通路R内の空気と車室内の空気とが循環するときに、送風運転の送風回数Nが車室内の湿度に基づいて選択されることが好ましい(図7参照)。すなわち、送風運転が内気循環モードで行われるときに、N回の送風運転が間欠的に行われ、且つ、その送風回数Nが車室内の湿度との関係により設定される。これにより、送風運転の送風回数Nが適正化されて、空気通路R内の湿度が効果的に低減される利点がある。例えば、車室内が乾燥していて湿度が低い状態では、送風運転の送風回数Nが大きく設定され、逆に、車室内の湿度が高い状態では、送風回数Nが低く設定される。これにより、空気通路R内の除湿が車室内の湿度との関係において適切に行われる。
具体的には、空調運転の停止後に(ST41)、内気循環モードが選択される(ST42)。次に、車室内の湿度が計測され(ST43)、この計測結果に基づいて送風運転の送風回数Nが選択される(ST44)。この送風回数Nの選択は、例えば、所定のデータマップに基づいて一義的に行われる。そして、選択された送風回数Nに応じて送風運転が間欠的に行われる(ST45)。
また、この車両用空調装置では、送風運転により空気通路R内の空気と車室内の空気とが循環するときに、車室内の湿度が所定の閾値を越えるまで送風運転が行われることが好ましい(図8参照)。これにより、送風運転が車室内の湿度との関係により適正に行われて、空気通路R内の湿度が効果的に低減される利点がある。例えば、車室内が乾燥していて湿度が低い状態では、送風運転が長時間行われ、逆に、車室内の湿度が高い状態では、送風運転が短時間で打ち切られる。これにより、空気通路R内の除湿が適切に行われる。
具体的には、空調運転の停止後に(ST51)、内気循環モードが選択される(ST52)。次に、一回目の送風運転(送風時間T1)が行われた後(ST53)、車室内の湿度が計測される(ST54)。そして、計測された車室内の湿度が所定の閾値よりも大きい場合には、次の送風運転が行われ、逆に、車室内の湿度が所定の閾値よりも小さい場合には、制御が終了する(ST55)。
なお、所定の閾値は、例えば、(1)予め設定された閾値であっても良いし、(2)リアルタイムで計測されている空気通路R内の湿度であっても良い。(1)の場合には、上記の送風運転の制御が容易となり、(2)の場合には、例えば、車室内の湿度が空気通路R内の湿度よりも高い場合に送風運転が停止される等により、空気通路R内の除湿がより適切に行われる利点がある。
[付加的事項4]
また、この車両用空調装置では、上記の送風運転がブロアファン3の駆動により行われ、且つ、このブロアファン3を駆動するための電力保持手段(図示省略)が設けられていることが好ましい。例えば、電力保持手段が車両用電源に対して個別に設置された二次電池から成り、車両の走行時に充電される。そして、上記の送風運転時には、この電力保持手段が単独でブロアファン3を駆動する。かかる構成では、ブロアファンが車両用電源により駆動されて送風運転が行われる構成と比較して、車両用電源の負担が低減される利点がある。特に、車両の動力停止後には車両用電源の充電が行われないため、上記の構成は、車両用電源の負担が効果的に低減される点で有益である。
また、この車両用空調装置では、上記の送風運転がブロアファン3の駆動により行われ、且つ、このブロアファン3を駆動するための電力保持手段(図示省略)が設けられていることが好ましい。例えば、電力保持手段が車両用電源に対して個別に設置された二次電池から成り、車両の走行時に充電される。そして、上記の送風運転時には、この電力保持手段が単独でブロアファン3を駆動する。かかる構成では、ブロアファンが車両用電源により駆動されて送風運転が行われる構成と比較して、車両用電源の負担が低減される利点がある。特に、車両の動力停止後には車両用電源の充電が行われないため、上記の構成は、車両用電源の負担が効果的に低減される点で有益である。
図9は、この発明の実施例2にかかる車両用空調装置の空調ユニットを示す説明図である。同図において、上記実施例1の空調ユニットと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この車両用空調装置では、空気通路Rがケーシング2の外部に開口する開閉可能な開口部61、62をエバポレータ4の上流側もしくは下流側の少なくとも一方に有する(図9参照)。例えば、この実施例2では、ケーシング2の外部(例えば、エンジンルーム)に開口する開口部61、62がエバポレータ4の上流側および下流側にそれぞれ設けられている。これらの開口部61、62は、ダンパ機構あるいはスリット構造を有し、開閉可能な構造を有する。
空調運転時には、これらの開口部61、62が閉止されており、空気通路R内の空気がケーシング2の外部に漏出することはない。そして、空調運転の停止後にこれらの開口部61、62が開放されると、空気通路R内の空気とケーシング2外部の空気とが温度差により自然対流する。すると、空気通路R内(特に、エバポレータ4近傍)の残留水分がケーシング2外部に放出されて空気通路R内の湿度が低減される。これにより、臭気の発生が抑制される利点がある。なお、一般に、空調運転の停止から3時間程度まではエバポレータ4の温度がケーシング2外部の温度よりも低い。このため、空気の自然対流が容易に行われて、空気通路R内の除湿がスムーズに行われる。
図10は、この発明の実施例3にかかる車両用空調装置の空調ユニットを示す説明図である。同図において、上記実施例1の空調ユニットと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この車両用空調装置では、空気通路R上に吸放湿性材料7が配置されている。この吸放湿性材料7は、例えば、シリカゲル、ゼオライト、吸湿性樹脂などにより構成され、エバポレータ4の下流側かつヒータコア5の上流側に配置される。かかる構成では、空調運転の停止後にて、吸放湿性材料7が空気通路R内(特に、エバポレータ4近傍)の湿度変化を吸収(緩衝)する。吸収された水分は、次の空調運転時の低湿度空気によって放出される。これにより、空気通路R内が高湿度状態となる事態が回避されて、臭気の発生が抑制される利点がある。また、吸放湿性材料7をヒータコア5の下流側に配置すると、空調運転時のヒータの熱によって、水分がより放出されやすい。
以上のように、本発明にかかる車両用空調装置は、空気通路内の残留水分を低減することにより臭気の発生を抑制できる点で有用である。
1 空調ユニット
2 ケーシング
21 内気導入口
22 外気導入口
23 内外気切換ダンパ
24 フェース吹出口
241 フェースダンパ
25 フット吹出口
251 フットダンパ
26 デフロスト吹出口
261 デフロストダンパ
27 エアミックスダンパ
3 ブロアファン
4 エバポレータ
5 ヒータコア
61、62 開口部
7 吸放湿性材料
2 ケーシング
21 内気導入口
22 外気導入口
23 内外気切換ダンパ
24 フェース吹出口
241 フェースダンパ
25 フット吹出口
251 フットダンパ
26 デフロスト吹出口
261 デフロストダンパ
27 エアミックスダンパ
3 ブロアファン
4 エバポレータ
5 ヒータコア
61、62 開口部
7 吸放湿性材料
Claims (11)
- 空気通路を有するケーシングと、前記空気通路内に空気を流通させるブロアファンと、前記空気通路内の空気と熱交換を行うエバポレータとを含む車両用空調装置であって、
車室内の空気を調和するための空調運転の停止時にて、前記空気通路内の空気を車室内あるいは車室外の空気との間で循環させる送風運転が間欠的に行われることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記送風運転により前記空気通路内の空気と車室内の空気とが循環する請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記送風運転により、車室内の空気および車室外の空気のうち低い湿度を有する側の空気と前記空気通路内の空気とが循環する請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記送風運転により前記空気通路内の相対湿度が80[%]以下に維持される請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
- 前記送風運転の一回あたりの送風時間T1が3[sec]≦T1≦10[sec]の範囲内にある請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
- 前記送風運転の送風間隔T2が15[min]≦T2≦60[min]の範囲内にある請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
- 前記送風運転により前記空気通路内の空気と車室内の空気とが循環するときに、前記送風運転の送風回数Nが車室内の湿度に基づいて選択される請求項1〜6のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
- 前記送風運転により前記空気通路内の空気と車室内の空気とが循環するときに、車室内の湿度が所定の閾値を越えるまで前記送風運転が行われる請求項1〜6のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
- 前記送風運転が前記ブロアファンの駆動により行われ、且つ、前記ブロアファンを駆動するための電力保持手段が設けられている請求項1〜8のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
- 空気通路を有するケーシングと、前記空気通路内に空気を流通させるブロアファンと、前記空気通路内の空気と熱交換を行うエバポレータとを含む車両用空調装置であって、
前記空気通路が前記ケーシングの外部に開口する開閉可能な開口部を前記エバポレータの上流側もしくは下流側の少なくとも一方に有し、且つ、車室内の空気を調和するための空調運転の停止時にて前記開口部が開放されることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記空気通路上に吸放湿性材料が配置される請求項1〜10のいずれか一つに記載の車両用空調装置。
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