JP2008090052A - 光アイソレータの製造方法及び光アイソレータ - Google Patents

光アイソレータの製造方法及び光アイソレータ Download PDF

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Abstract

【課題】予め金属製支持部材の表面を清浄化処理することで、高温高湿の雰囲気におけるファラデー回転子、偏光子、及び磁石と金属製支持部材との密着性を改善した光アイソレータとその製造方法を提供する。
【解決手段】表面を清浄化処理した金属製支持部材の上に、ファラデー回転子、偏光子、及び磁石を配置した後、光学用接着剤で固定する光アイソレータの製造方法であって、前記清浄化処理は、金属製支持部材を混合酸水溶液中に浸漬して、表面の加工変質層や不純物を溶解するのに十分な条件でエッチングする第1の工程、次に、金属製支持部材を洗浄して、生成した溶解物や析出物を除去する第2の工程、その後、酸化皮膜が実質的に再形成されない条件で金属製支持部材を加熱・乾燥する第3の工程を含むことを特徴とする光アイソレータの製造方法などによって提供する。
【選択図】図8

Description

本発明は、光アイソレータの製造方法及び光アイソレータに関し、より詳しくは、予め金属製支持部材の表面を清浄化処理することで、高温高湿の雰囲気におけるファラデー回転子、偏光子、及び磁石と金属製支持部材との密着性を改善した光アイソレータとその製造方法に関するものである。
光アイソレータは、一方向への光の通過は許容するが、逆方向への光の通過は阻止する機能を持つ非相反光デバイスであり、従来から、光通信や光計測等の分野で、光源であるレーザーダイオードへの反射戻り光を阻止する目的で用いられている。即ち、レーザーダイオードを用いるこの種の機器において、反射戻り光があるとレーザーダイオードの発振が不安定になるため、光ファイバーアンプに用いられる励起用レーザーダイオードの場合にしても、また、信号源として用いられるレーザーダイオードの場合にしても、何れもノイズが増大して最悪の場合正確な情報通信が妨げられる結果となる。そのため、光アイソレータは、これを防止する光デバイスとして極めて重要なものである。
この光アイソレータは、一般に、その構成部材である偏光子、ファラデー回転子、偏光子をこの順序で配置し、互いに接着剤を介し貼り合わせて作製した光アイソレータチップ素材をダイシングして光アイソレータチップとし、このチップとファラデー回転子を飽和磁化させる磁石とを平板状ホルダーに接着して得る。また、光アイソレータチップと前記磁石とを内ホルダーに接着固定し、更にその内ホルダーを外ホルダーに接着固定して得ている。ここで、偏光子、ファラデー回転子、偏光子が接着剤を介し貼り合わされた光アイソレータチップを用いたものは、ラミネートタイプと呼ばれている。ラミネートタイプの光アイソレータとして、ファラデー回転子が透明な接着剤によって複屈折結晶またはガラス製偏光子に接合されており、該接着剤のガラス転移点が−40℃以下であるシリコーン樹脂などを用いたものが提案されている(特許文献1参照)。
このようなラミネートタイプの光アイソレータに対し、偏光子、ファラデー回転子、偏光子の順序とすることは同じであるが、ある空隙を隔てて、平板状ホルダーに接着剤を介して固定したタイプの光アイソレータがあり、非ラミネートタイプの光アイソレータと呼ばれている。前者の光アイソレータチップは、低飽和磁化タイプのものであれば、そのまま光アイソレータとして機能するが、それ以外の場合は、所定の方向に磁場を印加することにより光アイソレータとして機能する。
上記の非ラミネートタイプの光アイソレータとして、平板状ファラデー回転子および前記偏光子との間にそれぞれ開口部を設け、さらにほぼ並列に配設された平板状ファラデー回転子および偏光子の少なくとも一端面部と基板とを接着する接着剤を無機材料の成分から構成されたものが提案されている(特許文献2参照)。ところが、このような非ラミネートタイプの光アイソレータは、各光学要素を所望の場所にそれらの向き等が適切になるように配置して組立てなければならないので手間と時間がかかるという問題がある。
これに対して、ラミネートタイプの光アイソレータでは、偏光子、ファラデー回転子、偏光子の順序で一体となった光アイソレータチップを平板状ホルダー、又は、内ホルダーに、光アイソレータチップ自体の向きを調整して貼り付けるだけで良い。そのため、一般的には、ラミネートタイプの光アイソレータは、非ラミネートタイプの光アイソレータと比較して非常に生産性が高く、低コストであるという特徴がある。
現在、高価な使用部材(ファラデー回転子やポーラコア等の偏光子)のサイズを小さくし、実際に光アイソレータとして使用する有効径の大きなものが望まれている。また、ラミネートタイプの光アイソレータは、特に高温高湿で使用される条件下では、接着剤を用いないタイプの光アイソレータと比較すると信頼性が低い。そのためラミネートタイプの光アイソレータとして、光アイソレータチップを小型化すると共に、実際に光アイソレータとして使用する部分の有効径を大きくしたラミネートタイプの光アイソレータが提案されている(特許文献3参照)。
ところが、このようなファラデー回転子および偏光子が接着剤を介して接着固定して一体化したラミネートタイプの光アイソレータチップは、85℃、85%RHでの2000時間の高温高湿条件で、ファラデー回転子と偏光子とが剥離し、光学的劣化が起こる。また、この光アイソレータチップを用いた光アイソレータは、光アイソレータチップと磁石を平板状ホルダーや内ホルダーなどの支持部材に接着剤を介して接着固定して一体化しているため、高温高湿条件で光アイソレータと磁石が支持部品から剥離、又は脱落する。このような現象は、ファラデー回転子と偏光子との間に隙間がある非ラミネートタイプの光アイソレータにおいても同様に生じている。
このようなことから、高温高湿条件でファラデー回転子、偏光子、および磁石が支持部材から剥離、又は脱落せず、光学的劣化を起こすこともない製品が求められていた。
特開平10−48571 特開平11−101953 特開2003−248192
本発明の目的は、上述の点に鑑みてなされたものであり、予め金属製支持部材の表面を清浄化処理することで、高温高湿の雰囲気におけるファラデー回転子、偏光子、及び磁石と金属製支持部材との密着性を改善した光アイソレータとその製造方法を提供することにある。
本発明者は、かかる問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、金属製支持部材の表面を予め混合酸水溶液中、特定の条件でエッチング処理し、引き続き、該支持部材を洗浄してエッチングによる生成物を除去し、その後、特定の条件で乾燥すると、得られる金属製支持部材の表面が清浄化されているので、この上にファラデー回転子、偏光子、及び磁石を配置して接着・固定すれば、高温高湿条件にあっても支持部材と各部材との密着性が改善され、剥離、脱落がなくなり、光学的劣化を起こさない光アイソレータが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、表面を清浄化処理した金属製支持部材の上に、ファラデー回転子、偏光子、及び磁石を配置した後、光学用接着剤で固定する光アイソレータの製造方法であって、前記清浄化処理は、金属製支持部材を混合酸水溶液中に浸漬して、表面の加工変質層や不純物を溶解するのに十分な条件でエッチングする第1の工程、次に、金属製支持部材を洗浄して、生成した溶解物や析出物を除去する第2の工程、その後、酸化皮膜が実質的に再形成されない条件で金属製支持部材を加熱・乾燥する第3の工程を含むことを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、金属製支持部材が、ステンレス製ホルダーであることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、混合酸水溶液が、シュウ酸と硫酸とを含み、かつ、それらの濃度がいずれも5〜15質量%であることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、混合酸水溶液の温度が、55〜70℃であることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1の発明において、第1の工程において、金属製支持部材が混合酸水溶液中に10〜40分間浸漬されることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、第2の工程において、エッチングにより生成した溶解物、または析出物が超音波洗浄によって除去されることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1の発明において、第3の工程において、金属製支持部材が、85〜95℃で10〜20分、加熱・乾燥されることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第1又は7の発明に係り、第3の工程において、乾燥した金属製支持部材が、実質的に水分を含まない雰囲気中で保管されることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
一方、本発明の第9の発明によれば、第1の発明において、清浄化処理された金属製支持部材が、さらに、シランカップリング剤を塗布され、熱処理されてカップリング剤層が形成されることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第9の発明において、前記シランカップリング剤が、アミノ基含有アルコキシシラン化合物であることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第1の発明において、光アイソレータチップと磁石を金属製支持部材に配置する際、金属製支持部材に酸化皮膜が再形成されない条件下で光学用接着剤が塗布されることを特徴とする光アイソレータの製造方法が提供される。
一方、本発明の第12の発明によれば、第1〜11のいずれかの発明に係る製造方法によって得られ、ファラデー回転子、偏光子、及び磁石が金属製支持部材に固定された光アイソレータが提供される。
また、本発明の第13の発明によれば、第12の発明において、ファラデー回転子と偏光子が、光学用接着剤で互いに接着・固定されていることを特徴とする光アイソレータが提供される。
また、本発明の第14の発明によれば、第12の発明において、金属製支持部材が、平板状ホルダーであり、かつ磁石が角柱状であることを特徴とする光アイソレータが提供される。
さらに、本発明の第15の発明によれば、第12の発明において、金属製支持部材が、内ホルダーと外ホルダーからなり、かつ磁石が円筒状であることを特徴とする光アイソレータが提供される。
本発明の光アイソレータの製造方法は、ファラデー回転子、偏光子、及び磁石等の部品をSUSホルダーなどの金属製支持部材上に接着・固定する際に、予め、金属製支持部材の表面を例えばシュウ酸と硫酸の混合酸水溶液により、特定条件でエッチング処理し、その処理によって形成された溶解物や酸化皮膜(黒色析出物)などを水洗洗浄で除去し、さらに、特定の条件で乾燥処理するので、表面が清浄な金属製支持部材が得られる。また、不純物の付着、酸化皮膜が形成していないSUS表面に、必要によりカップリング剤層を形成してから、速やかに接着剤を塗布することで、光アイソレータを構成するファラデー回転子と偏光子、及び、磁石が接着固定しやすくなる。よって、これらの各種部品とSUSホルダーとの密着性が向上し、高温高湿の条件下に長時間曝されても、水分の侵入を抑制することが可能となり、光アイソレータ部品の剥離、脱落がなく、接着強度、挿入損失やアイソレーション特性も劣化することがなく、極めて信頼性の高い光アイソレータが提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
1.光アイソレータの製造方法
本発明の光アイソレータの製造方法は、表面を清浄化処理した金属製支持部材の上に、ファラデー回転子、偏光子、及び磁石を配置した後、光学用接着剤で固定する光アイソレータの製造方法であって、前記清浄化処理は、金属製支持部材を混合酸水溶液中に浸漬して、表面の加工変質層や不純物を溶解するのに十分な条件でエッチングする第1の工程、次に、金属製支持部材を洗浄して、生成した溶解物や析出物を除去する第2の工程、その後、酸化皮膜が実質的に再形成されない条件で金属製支持部材を加熱・乾燥する第3の工程を含むことを特徴とする。
本発明の光アイソレータは、ファラデー回転子と偏光子が互いに接着・固定された光アイソレータチップを用いるラミネートタイプだけでなく、ファラデー回転子と偏光子の間に隙間がある非ラミネートタイプにも適用できる。光アイソレータの作製手順を説明する前に、まず、ラミネートタイプの光アイソレータを構成する部品である光アイソレータチップの作製手順について述べる。
シランカップリング剤の調製とカップリング処理および熱処理
ウエハー状のファラデー回転子1枚と偏光子2枚を用意し、偏光子、ファラデー回転子、偏光子の順序で接着剤を介して貼り合わせるため、まず、これらの接着面にシランカップリング剤を塗布する。
本発明において、ファラデー回転子の光学面と偏光子は、ウエハー状の光学部材であり、公知のものを使用でき特に制限されない。例えば、ウエハー状のファラデー回転子としては、液相エピタキシャル法を用いて作製したビスマス置換ガーネットの単結晶の厚膜で代表されるファラデー回転子材料を用い、また、ウエハー状の偏光子としては、コーニング社製のポーラコア(商品名)等を用いることができる。この場合、ファラデー回転子の表面には接着剤の屈折率の媒質に対する反射防止コートを、偏光子の空気と接する面には空気の屈折率に対する反射防止コートを、接着剤側の面には接着剤の屈折率の媒質に対する反射防止コートを夫々施しておくことが望ましい。
本発明において、シランカップリング剤は、ファラデー回転子の光学面と偏光子の光学面を表面処理できるものであれば特に限定されないが下記のようなアミノ基含有ジアルコキシシラン化合物、アミノ基含有トリアルコキシシラン化合物、すなわちアミノ基含有シランカップリング剤が好ましい。
このアミノ基含有シランカップリング剤は、用いる接着剤の種類により適宜選択されるが、下式(1)のアミノ基含有アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 2008090052
式(1)中、nは0または1、Xはアミノ基を有する炭素数1〜20の1価の有機基、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。Xはアミノ基を有する炭素数1〜20の1価又は2価の有機基であり、直鎖、分岐鎖あるいは環状であってもよい。好ましい有機基の炭素数は1〜10である。アミノ基の数は1〜3、好ましくは1個又は2個である。
例えば、その具体例として、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルフェニルジエトキシシラン、N−ブチル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン化合物;アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノ−1−メチルエチルトリエトキシシラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン化合物を挙げることができる。
これらのうち、得られる組成物の性能の点から、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましく、中でもN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは、単独で、または2種以上を併用できる。
先ず、前記したシランカップリング剤を、その濃度が0.5〜10体積%となるように溶媒を用いて調整しこれをカップリング溶液とする。好ましい濃度は2〜5体積%である。溶媒は、水、またはアルコールを使用することができる。
カップリング溶液の濃度が上記範囲外であると所望の表面処理被膜が得られない。0.5体積%未満では、カップリング溶液で処理しない場合と変わらず、耐熱耐湿後の接着強度が50%未満に劣化し、カップリング効果が得られない。逆に、10体積%を超えると、初期の接着強度が低下してしまう。その理由は明確ではないが、カップリング剤層が厚く、かつ、熱処理時、官能基が過剰に脱水縮合反応して閉環してしまい、接着剤と反応するための未反応の官能基が大幅に減少するため、または、厚いために脱水縮合反応が未完結の状態となり、接着剤との結合が不十分となり、密着力が弱くなるためと推測される。
次に、ウエハー状のファラデー回転子と偏光子の接着すべき表面にカップリング溶液を塗布する。カップリング溶液の接触方法は、特に制限されないが、例えば、部材をカップリング溶液に浸漬する方法や、部材表面上にカップリング溶液を塗工する方法等があげられる。塗工方法も特に限定されず、例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤバーコート法、ディップコート法、エクストルージョン法、カーテンコート法、スプレコート法等の従来公知の方法が採用でき、この中でも、塗工効率の点からスピンコート法、エクストルージョンコート法が好ましい。カップリング溶液の塗工量は、特に制限されず、例えば、アミノ基含有シランカップリング剤の濃度等によって適宜決定できる。
前記カップリング溶液を塗布した後、これらの部材自体の温度が、75〜100℃、好ましくは78〜92℃となる条件で熱処理する。加熱時間は、部材を10〜60分、好ましくは20〜30分保持する条件とすることが好ましい。加熱温度を段階的に上昇させながら加熱してもよい。ここで、処理条件において、処理温度が75℃未満の低温下、または処理時間が10分未満の短時間では、カップリング溶液の処理なしの場合と初期および耐熱耐湿後の接着強度に差が見られず、効果が得られない。これは、シランカップリング剤の脱水縮合反応が不十分なため、反応が未完結となかったものと推測される。逆に、処理温度が100℃を超える高温下、または処理時間が60分を超える長時間でも、初期および耐熱耐湿後の接着強度が低下する。これは、アミノ基含有シランカップリング剤の脱水縮合反応は完結しているが、前記同様、官能基の過剰反応によって、接着剤との反応が不十分で結合が弱くなるためと推測される。カップリング剤層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1nm〜30nmであり、好ましくは3nm〜25nmであり、より好ましくは5nm〜20nmである。
接着剤の塗布および硬化
次に、偏光子、ファラデー回転子、偏光子の順序で、それぞれの間に光学用接着剤を塗布する。接着剤の硬化においては、熱硬化性樹脂を使用している場合は加熱硬化させ、また、紫外線硬化型樹脂を使用している場合は紫外線を照射して硬化させる。好ましくは、エポキシ系接着剤を用いて貼り合わせることにより、光アイソレータチップ素材を作製する。
接着剤は、光学用接着剤であれば特に制限されず、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、または紫外線硬化型(UV硬化型)樹脂を使用できる。熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂は、いずれかを用いればよいが、混合して使用してもよい。
このうちエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するもので、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA等や、カテコール、レゾルシンなどの多価フェノールとエピクロルヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテルや、p−オキシ安息香酸、β−オキシナフト香酸のようなヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステルや、フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸から得られるポリグリシジルエステル、更にはノボラック型エポキシやエポキシ化ポリオレフィン等が例示される。また、本発明に用いられるエポキシ樹脂は液体に限ったものでなく、固体のエポキシ樹脂であっても希釈剤などと併用することで適用することができる。これらは単体でも複数混合して適宜用いることが可能である。また、UV硬化型の接着剤としては、シリコーン系、エポキシ系、アクリル系などが使用できる。
また、ウエハー状のファラデー回転子と偏光子の貼り合わせに当たって、偏波依存タイプの場合には、これらを接着剤で貼り合わせたものを光アイソレータチップとして用い、偏波無依存タイプの場合には、偏光子として複屈折結晶であるルチルを用い、且つ、所定の位置に1/2波長板等の偏光補償板を配置してファラデー回転子と共に貼り合わせたものを光アイソレータチップとして用いる。
光アイソレータチップ素材のダイシング
上記のようにして作製した図1に示す光アイソレータチップ素材10は、次に、ダイシングし、所定サイズの多数の光アイソレータチップ10aからなるチップ群とする。そして、このチップ群を保持用のフィルム11等に転写(転写技術を用いて貼り付けること)し、エキスパンダーにてフィルム11を放射方向へ均等に引き伸ばす。これにより、図2に示すように、隣接する各チップ10a間の間隔を所定量あけることができる。
得られた光アイソレータチップ10aは、一対の偏光子の間にファラデー回転子が介在し、それら接触面にシランカップリング剤層が形成されており、接着剤を塗布して貼り合わせられたものである。
この光アイソレータチップにおいては、使用する波長帯にもよるが、偏光子やファラデー回転子の光を通す方向の厚さは0.数mmと非常に薄く、また、光を通す方向に直交する面の大きさは1.41mm角、さらに小型のものでは0.5mmと極めて小さい。また、光アイソレータチップのサイズが小型なので、接着剤で固定する接着面積も小さいが、本発明では、特定のカップリング剤を用いて表面処理され、特定の条件で熱処理されているため、常温での接着強度が高く、特には高温高湿条件下での接着強度を保持することができる。
次に、光アイソレータの作製手順を説明する。本発明において、光アイソレータを製造するには、金属製支持部材の表面清浄化処理が重要であり、この表面清浄化処理は、(1)まず、混合酸水溶液を調製し、次に、金属製支持部材を混合酸水溶液中に浸漬してエッチングし、表面の加工変質層や不純物を溶解する工程、引き続き、(2)混合酸水溶液を攪拌・洗浄して、溶解物、または表面への析出物を金属製支持部材から除去する工程、最後に、(3)酸化皮膜が再形成されない条件で金属製支持部材を加熱・乾燥する工程を含んでいる。ここで、加工変質層とは、金属材料を例えば圧延・切断・研磨や加熱処理などの処理によって加工し支持部材とする際に、表面に生じた変質部分をいい、また、析出物とは、エッチングの際に表面に析出した黒色の酸化皮膜などをいう。
混合酸水溶液の作製および金属製支持部材のエッチング処理、洗浄、および、乾燥
(1)先ず、シュウ酸と濃硫酸の混合酸水溶液を作製する。具体的には、シュウ酸は5〜15質量%、濃硫酸は5〜15質量%の混合酸水溶液とし、シュウ酸8〜12質量%、濃硫酸8〜12質量%の混合酸水溶液が好ましい。そして、混合酸水溶液の液温を55〜70℃、特に60〜65℃に保持する。塩酸の水溶液、重クロム酸ナトリウムと濃硫酸の混合酸水溶液などを用いても、十分なエッチング効果を得ることができない。
その後、混合酸水溶液に金属製支持部材を浸漬する。金属製支持部材は、高温高湿条件で耐触性があれば特に制限されないが、ステンレス(SUS)製ホルダーなどを用いることができる。また、金属製支持部材の形状も特に制限されず、平板状、円筒状などが用いられる。この工程では、例えば、スターラーチップで攪拌しながら、冶具にSUSホルダーを入れ、混合酸水溶液に浸漬して、10〜40分、好ましくは20〜30分攪拌放置する。本発明において、混合酸水溶液によるエッチング処理は必須であり、この代わりに、有機溶剤で超音波洗浄しても金属製部材の表面を清浄化することはできない。
ここで、混合酸水溶液において、シュウ酸、硫酸の濃度をそれぞれ5〜15質量%とし、液温55〜70℃、かつ浸漬処理時間10〜60分でSUSホルダーを浸漬すると、SUS表面は適度な溶解性を示し、加工変質層が除去される。また、適度にSUS表面に凹凸が形成される(粗面化する)のでアンカー効果が得られ、接着剤との密着性が向上し、かつ、水分の浸入も抑制でき、耐湿性も向上する。しかし、各酸の濃度が5質量%未満では、溶解性が低く、加工変質層が除去されない。また、各酸の濃度が15質量%を超えるような過剰濃度では、エッチング力が強くなりすぎ、溶液と接触だけで表面を溶解するため、オーバーエッチングになりやすく、かつ、不均一溶解も生じやすく、酸化被膜の除去も不均一となり、清浄なSUS表面が得られない。また、液温55℃未満の低温では、前記のように溶解性が低く、加工変質層が残留し、70℃を超える高温では、前記同様、オーバーエッチング、かつ、不均一な表面となる。そして、浸漬処理時間が10分未満の短時間では、エッチング不足となり、加工変質層がほとんど除去されない。逆に、40分を超える長時間では、オーバーエッチングで不均一、かつ、酸化被膜の除去状態も不均一となる。
(2)その後、冶具ごと取り出し、多量の純水の入った容器に移し、流水洗浄を行い、混酸液を完全に洗い流す。流水洗浄の時間は特に制限されないが、例えば5〜20分間とすればよい。そして、超音波洗浄を10分行い、酸化被膜(黒色析出物)を除去する。超音波洗浄の時間も特に制限されないが、例えば5〜20分間とすればよい。これにより、SUS本来の表面が現われる。
前記のように、接着強度は、SUS表面と接着剤の密着性により向上する。すなわち、接着強度を高めるには、上記表面処理により、SUS本来の表面を出す必要がある。よって、加工変質層が完全に除去されないような処理条件では、密着性が向上せず、かつ、耐湿劣化も大きくなる。逆に、加工変質層を除去できていても、オーバーエッチングとなって不均一となったり、酸化皮膜の除去が不均一となったりする。こうした処理条件では、清浄なSUS表面が得られず、接着強度が低下する傾向がある。
(3)次に、十分に水分を切り、酸化皮膜が再形成されないようにSUSホルダーを乾燥させる。例えば、槽内温度85〜95℃に保持した大気乾燥機内に10〜20分投入して乾燥させる。そして、デシケーター内で保管し、酸化被膜が再形成前に、接着剤を塗布して組み立てることが好ましい。槽内温度が85℃未満であるか、乾燥時間が10分未満では、効率的に乾燥させることができない。また、槽内温度が95℃を超えるか、乾燥時間が20分を超えると、酸化皮膜が再形成されるので好ましくない。
光アイソレータの組立
こうして金属支持部材の表面を清浄化した後、予め光アイソレータチップ、金属支持部材および磁石のそれぞれの接着面を、必要によりシランカップリング剤で表面処理し、引き続き、熱処理することでシランカップリング剤層を形成する。なお、非ラミネートタイプの光アイソレータでは、光アイソレータチップの代わりに、ファラデー回転子、偏光子を用いて別々に処理することになる。
そして、光アイソレータチップを支持部材に載せて磁石を配置した後、各接触面に接着剤を塗布して光アイソレータチップと磁石を支持部材に固定する。すなわち、上記の手順で表面清浄化処理を施したSUSホルダーへ光学用接着剤を塗布して、光アイソレータチップを磁石と共に、接着固定し、光アイソレータを作製する。接着剤については、熱硬化性樹脂を使用している場合は加熱硬化させ、また、紫外線硬化型樹脂を使用している場合は紫外線を照射して硬化させる。
表面実装タイプの場合は、図3、4に示すように平板状ホルダー2の上に一対の磁石1と該磁石の間に介置された光アイソレータチップ10aを配置する。また、シリンドリカルタイプの場合は、図5、6に示すように円筒状の磁石1と光アイソレータチップ10aを配置する。そして、内ホルダーと外ホルダーを接着固定して組み立てる。ここで、磁石1としては、サマリウムコバルト磁石やネオジウム鉄ボロン磁石等の希土類磁石を用いるのが好ましい。磁界はファラデー回転子の光が通過する方向と平行になるように印加される。
本発明では、光アイソレータを構成する部品を接着固定するSUSホルダーをシュウ酸と硫酸の混合酸水溶液でエッチング処理を施して、酸化皮膜および加工変質層を除去し、酸化被膜の再形成前、もしくは、不純物の付着前、形成前に、SUS表面に対して接着剤を塗布して各種部品を接着固定しているため、SUSとの密着性が向上し、各種部品の接合部への水分の侵入等を確実に防ぐことができ、光アイソレータの信頼性を大きく高めることが出来る。したがって、本発明による光アイソレータの製造方法により、光アイソレータの小型化、及び高信頼性化に寄与することが出来る。
以下に本発明の実施例、比較例を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により何ら制限されることはない。なお、金属製支持部材の表面状態、光アイソレータチップとの接着強度、得られた光アイソレータの光学特性は、次の方法で評価した。
SEMによる表面状態の観察
各種の混合酸水溶液により表面処理、流水洗浄、超音波洗浄、乾燥処理を施したSUS基板は、表面状態を電子顕微鏡により観察した。そして、処理の適度について、加工変質層が残留している場合を「不足」、残留がなく、適度に表面が粗面化されている場合を「適」、オーバーエッチングとなり、深く溝が出来たところと、粗面化の進行が速いところと遅いところが出来て不均一な状態の場合を「過剰」として処理程度を評価した。たとえば、表面処理前のSUS基板表面のSEM写真を示す図7では、縞模様が見られ、これを加工変質層がある状態とし、これを基準として前記の評価をした。
SUS基板と光アイソレータチップの接着強度評価
混合酸水溶液による表面処理、流水洗浄、超音波洗浄、乾燥処理を施した各形状のホルダー2〜4と同材質であるSUS基板に、シランカップリング剤層を形成した後、熱硬化型のエポキシ系接着剤を適用して、印刷機で塗布形成し、光アイソレータチップ(1.0mm角、厚さ1.5mm)をマウントし、槽内温度が120℃に保持されたオーブンに6時間放置して熱硬化させて接着固定し、評価試料とした。
そして、これらを恒温恒湿槽内にセットし、85℃、85%Rhの環境下で2000時間暴露した。これらを前記の環境試験にかけた評価試料と、かけていない評価試料をそれぞれ25℃においてプッシュプルゲージを用いて水平方向にチップを押圧し、その剥離強度(N:ニュートン)を測定した。そして、環境試験にかけていない評価試料の接着強度を初期強度の値A、および、下式(2)より得られる値Bにより判定を行った。
接着強度の判定基準
初期強度(環境試験前)A
判定基準 ◎:50N以上
○:45N以上50N未満
△:40N以上45N未満
×:40N未満
環境試験後の接着強度 B
B=[85℃、85%Rh、2000時間暴露した試料の剥離強度(N)]÷
[初期強度A(N)]×100(%) ・・・(2)
判定基準 ◎:B=80%以上
○:B=70%以上80%未満
△:B=60%以上70%未満
×:B=60%未満
光アイソレータの光学特性評価
上記の方法で作製された光アイソレータチップ10a、および、円筒状の磁石4と内ホルダー3との接着面、および、内ホルダー3と外ホルダー4との接着面の表面にカップリング溶液を塗布した後、前記熱処理を行った。次に、熱硬化型のエポキシ系接着剤を適用して、120℃に加熱したオーブンに6時間放置して熱硬化させ、光アイソレータを作製し、評価試料とした。そして、恒温恒湿槽内にセットし、85℃、85%Rhの環境下で2000時間暴露した。評価として、上記各サンプルの挿入損失及びアイソレーションを測定した。また、これらを上記の環境試験に投入する前と後にて行い、挿入損失の変化C及びアイソレーションの変化Dを評価した。挿入損失は、上記サンプルへ順方向から投入する光のパワーPiとそれを通過した光のパワーPoとを測定し、−log(Po/Pi)から算出した。アイソレーションCは、上記サンプルへ逆方向から投入する光のパワーPiとそれを通過した光のパワーPtとを測定し、−log(Pt/Pi)から算出した。そして、以下により判定を行った。
光学特性の判定基準
挿入損失の変化 C ○:±0.02dB以下
×:±0.02を超える
アイソレーションの変化 D ○:±1dB以下
×:±1dBを超える
(実施例1)
まず、シュウ酸10質量%、濃硫酸10質量%、純水80質量%の混合酸水溶液を作製し、液温を55℃に保持した。次に、この混合酸水溶液中に金属製支持部材(SUS基板)を10分間浸漬攪拌し、流水洗浄および超音波洗浄を各10分行った。その後、95℃に保持した大気乾燥機中に投入して10分間乾燥した。これを評価試料として、電子顕微鏡により表面状態を観察した。
次に、偏光子、ファラデー回転子の表面にカップリング溶液を塗布した後、下記条件で熱処理を行った。ここで、ファラデー回転子として、液相エピタキシャル法にて作製したビスマス置換ガーネットの単結晶の厚膜を用い、偏光子として、コーニング社製のポーラコア(商品名)を用いた。ファラデー回転子には、接着剤の屈折率の媒質に対する反射防止コートを、偏光子膜の空気に接する側の面には空気の屈折率に対する反射防止コートを、接着剤側の面には接着剤の屈折率の媒質に対する反射防止コートを夫々施した。反射防止条件は、SiO膜とTiO膜の積層数を増減することにより調整した。
また、カップリング溶液は、アミノ系シランカップリング剤として、3−アミノプロピルトリエトキシシランを用い、濃度が2体積%となるようにした。その水溶液を部材の接着表面に塗布した後、乾燥器の設定温度80℃(基板温度78〜81℃)で30分間の熱処理を行ったもので評価試料を作製した。その後、熱硬化型のエポキシ系接着剤を適用して接着し、ダイシングすることにより光アイソレータチップを作製した。
一方、金属製支持部材であるSUS基板の表面に前記と同じカップリング溶液を塗布した後、上記と同じ条件で熱処理を行った。これに上記と同じ条件でカップリング溶液を塗布した後、熱処理を行っておいた光アイソレータチップと磁石をマウントし熱硬化型のエポキシ系接着剤を適用して接着した。なお、作製した光アイソレータは、シリンドリカルタイプと表面実装タイプの両方の光アイソレータとした。また、光アイソレータチップを、サマリウムコバルト磁石(SmCo17系、外径3.0mmφ、内径2.0mmφ、長さ1.5mm、中心付近の磁場強度1kOe以上)と共にホルダーにセットして、光アイソレータとした。その後、前記の要領でSUS基板と光アイソレータチップの接着強度を測定し、評価した。また、光アイソレータの光学特性を評価した。
結果を表1に示した。表1において、接着強度のデータは、夫々の基板上に光アイソレータチップと磁石を20個マウントし、作製して試験した結果で、平均値で判定したものである。挿入損失及びアイソレーションの測定は、環境試験に投入する前と後にて行い、挿入損失及びアイソレーションの変化を評価した。データは、夫々のサンプルを5個作製して試験した結果で、一番悪い値で判定、記載した。
(実施例2)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温55℃の混合酸水溶液中に40分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(実施例3)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温60℃の混合酸水溶液中に30分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温65℃の混合酸水溶液中に30分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(実施例5)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温70℃の混合酸水溶液中に10分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温70℃の混合酸水溶液中に40分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(実施例7)
シュウ酸5質量%、濃硫酸5質量%、純水90質量%の混合酸水溶液を作製し、SUS基板を液温60℃の混合酸水溶液中に30分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(実施例8)
シュウ酸15質量%、濃硫酸15質量%、純水70質量%の混合酸水溶液を作製し、SUS基板を液温60℃の混合酸水溶液中に30分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温55℃の混合酸水溶液中に5分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温55℃の混合酸水溶液中に50分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例3)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温70℃の混合酸水溶液中に5分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例4)
実施例1に記載の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温70℃の混合酸水溶液中に50分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例5)
シュウ酸3質量%、濃硫酸3質量%、純水94質量%の混合酸水溶液を作製し、SUS基板を液温60℃中に30分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例6)
比較例5の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温70℃中に40分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例7)
シュウ酸18質量%、濃硫酸18質量%、純水64質量%の混合酸水溶液を作製して用いた以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例8)
液温60℃中に30分間浸漬攪拌した以外は、比較例7と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表1に示した。
(比較例9)
シュウ酸の代わりに濃塩酸30質量%を用い、純水70質量%を混合して酸水溶液を作製し、SUS基板を室温中に60分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表2に示した。
(比較例10)
シュウ酸の代わりに重クロム酸ナトリウム2質量%を用い、濃硫酸10質量%、純水30質量%の混合酸水溶液を作製し、SUS基板を液温60℃中に60分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表2に示した。
(比較例11)
比較例10の混合酸水溶液を用い、SUS基板を液温65℃中に60分間浸漬攪拌した以外は、実施例1と同じ条件で評価試料を作製し、評価した。結果を表2に示した。
(比較例12)
混合酸水溶液を用いる代わりに、有機溶剤を用いてSUS基板を超音波洗浄し、その後、室温で120分乾燥した。すなわち、エキストランMA02(メルク株式会社製)20%水溶液での超音波洗浄30分間、純水での超音波洗浄30分間、セミコクリーン56(フルウチ化学株式会社製)での超音波洗浄30分間、流水洗浄60分間、アセトンで超音波洗浄30分間の順序でSUS基板を洗浄後、エアーガンで乾燥したもので評価試料を作製し、評価した。結果を表2に示した。
Figure 2008090052
Figure 2008090052
上記表1のとおり、実施例1〜6は、シュウ酸、硫酸濃度を各10質量%とし、液温55〜70℃、かつ10〜40分で処理している。実施例3、5では、ほぼ同じ表面が得られ、初期強度、耐水性が良好であった。また、実施例7、8は、実施例3の処理条件で、酸の濃度を5質量%、または15質量%として処理をしたものであるが、ほぼ同じように良好な結果が得られた。たとえば、実施例3のSEM写真は図8に示すとおりであり、表面処理前のSUS基板で観察される図7のような縞模様がなく、SUS本来の表面が現れ、かつ、均一に粗面化していた。
これに対して、比較例1、2は、実施例1と同じ混合酸を用い、液温も55℃としたが、処理時間を短くしたために加工変質層は除去されていないか、処理時間を長くしたためにSUS基板の表面が不均一となり、光学特性は良好(○)となっているものの、実施例に比べて接着強度にやや難(△〜×)があるという結果になった。
また、比較例3、4は、実施例1と同じ混合酸を用い、液温を70℃としたものであるが、処理時間が短いために加工変質層は除去されていないか、処理時間が長すぎたためにSUS基板の表面が不均一となり、光学特性は良好(○)となっているものの、実施例に比べて接着強度にやや難(△〜×)があった。たとえば、比較例4のSEM写真を示す図9では、表面処理前のSUS基板で観察される図7の縞模様がなくなり、完全に加工変質層が除去されたが、実施例3のSEM写真である図8の状態から更にエッチングが進行しすぎて溝がはっきりと現れ、また、粗面化の程度が不均一となった。
また、比較例5、6は、混合酸であるシュウ酸、硫酸の濃度を低くして、実施例3と同じ処理条件である液温60℃、処理時間30分でエッチングするか、液温70℃の高温、かつ、40分の処理条件としたものである。この場合でもエッチング処理が不足し、完全に加工変質層は除去されなかった。そのため、実施例に比べて接着強度に難(×)があり、かつ、光学特性も悪くなっている(×)。
また、比較例7、8は、混合酸であるシュウ酸、硫酸濃度が高いため、実施例3と同じ処理条件である液温60℃、処理時間30分でエッチングするか、55℃の低温、かつ、10分の処理条件としたものである。この場合、オーバーエッチングとなり、SUS基板の表面は不均一であった。そのため、実施例に比べて接着強度に難(△〜×)があり、かつ、光学特性も悪くなっている(×)。
一方、比較例9は、混合酸でなく塩酸水溶液を用いたため、ほとんど加工変質層は除去されていない状態で、SUS基板表面の粗面化が若干進行している程度であった。そのため、実施例に比べて接着強度にやや難(△)があり、かつ、光学特性も悪くなっている(×)。たとえば、この処理のSEM写真を示す図10では、表面処理前のSUS基板で観察される図7の縞模様が見られ、加工変質層がかなり残留しているが、図7の状態よりも若干の表面の荒れが大きい程度であった。また、観察写真では確認できないが、若干の赤錆びが発生していることから、塩素の影響が残留していると推測される。
また、比較例10、11は、シュウ酸の代わりに重クロム酸ナトリウムを硫酸と混合した酸水溶液を用いてエッチングした場合である。SUS基板表面から、加工変質層がほとんど除去されておらず、表面の粗面化も見られない状態であるため、実施例に比べて、接着強度に難(×)があり、かつ、光学特性も悪くなっている(×)。たとえば、比較例11のSEM写真を示す図11では、表面処理前のSUS基板で観察される図7とほとんど差が見られず、処理の効果が全く見られなかった。
さらに、比較例12は、有機溶剤で超音波洗浄した場合である。脱脂により清浄な表面は得られているが、酸処理のようなエッチング効果はないために加工変質層は除去されていない。そのため、光学特性は良好(○)となっているものの、実施例に比べて接着強度に難(×)があるという結果になった。
上記表1、2から明らかなように、光アイソレータを構成する部品を接着固定する金属製支持部材(SUSホルダー)を、シュウ酸と硫酸とを特定濃度で含む混合酸水溶液に浸漬し、特定の液温、浸漬処理時間でエッチング処理し、析出した酸化被膜の超音波洗浄による除去後、酸化被膜の再形成しないように乾燥処理を行うことで、得られる光アイソレータは、高温高湿度の厳しい環境に曝されても、挿入損失及びアイソレーションが殆ど変化することなく、非常に信頼性の高いものとなることが分かる。また、その他の特性試験や信頼性試験によっても、十分実用に供し得る特性を有することが分かった。さらに、酸化被膜の再形成、および不純物の付着や形成前に光学用接着剤を塗布することで、一層信頼性の高い光アイソレータが得られることが分かる。
一対のウエハー状の偏光子でウエハー状のファラデー回転子を挟んで一体に接着してなる光アイソレータ素材から、光アイソレータチップをダイシングした状態を示す平面図である。 ダイシングされた光アイソレータチップ群を保持用フィルムに転写してエキスパンダーにて引き伸ばした状態を示す平面図である。 表面実装タイプ光アイソレータの一例の上面図である。 表面実装タイプ光アイソレータの一例の側面図である。 シリンドリカルタイプ光アイソレータの一例の上面図である。 シリンドリカルタイプ光アイソレータの一例の側面図である。 表面処理前のSUS基板表面を示すSEM写真である。 本発明の方法によりシュウ酸と硫酸の混合酸水溶液で処理されたSUSホルダー表面を示すSEM写真である。 高濃度の混合酸水溶液で処理されたSUSホルダー表面を示すSEM写真である。 塩酸水溶液で処理されたSUSホルダー表面を示すSEM写真である。 重クロム酸ナトリウムと硫酸の酸水溶液で処理されたSUSホルダー表面を示すSEM写真である。
符号の説明
1 永久磁石
2 SUS製平板状ホルダー
3 SUS製内ホルダー
4 SUS製外ホルダー
10 光アイソレータ素材
10a 光アイソレータチップ
11 チップ群保持用フィルム

Claims (15)

  1. 表面を清浄化処理した金属製支持部材の上に、ファラデー回転子、偏光子、及び磁石を配置した後、光学用接着剤で固定する光アイソレータの製造方法であって、
    前記清浄化処理は、金属製支持部材を混合酸水溶液中に浸漬して、表面の加工変質層や不純物を溶解するのに十分な条件でエッチングする第1の工程、次に、金属製支持部材を洗浄して、生成した溶解物や析出物を除去する第2の工程、その後、酸化皮膜が実質的に再形成されない条件で金属製支持部材を加熱・乾燥する第3の工程を含むことを特徴とする光アイソレータの製造方法。
  2. 金属製支持部材が、ステンレス製ホルダーであることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
  3. 混合酸水溶液が、シュウ酸と硫酸とを含み、かつ、それらの濃度がいずれも5〜15質量%であることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
  4. 混合酸水溶液の温度が、55〜70℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光アイソレータの製造方法。
  5. 第1の工程において、金属製支持部材が混合酸水溶液中に10〜40分間浸漬されることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
  6. 第2の工程において、エッチングにより生成した溶解物、または析出物が超音波洗浄によって除去されることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
  7. 第3の工程において、金属製支持部材が、85〜95℃で10〜20分、加熱・乾燥されることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
  8. 第3の工程において、乾燥した金属製支持部材が、実質的に水分を含まない雰囲気中で保管されることを特徴とする請求項1又は7に記載の光アイソレータの製造方法。
  9. 清浄化処理された金属製支持部材が、さらに、シランカップリング剤を塗布され、熱処理されてカップリング剤層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
  10. 前記シランカップリング剤が、アミノ基含有アルコキシシラン化合物であることを特徴とする、請求項9に記載の光アイソレータの製造方法。
  11. ファラデー回転子、偏光子、及び磁石を金属製支持部材に配置する際、金属製支持部材に酸化皮膜が再形成されない条件下で光学用接着剤が塗布されることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータの製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法によって得られ、ファラデー回転子、偏光子、及び磁石が金属製支持部材に固定された光アイソレータ。
  13. ファラデー回転子と偏光子が、光学用接着剤で互いに接着・固定されていることを特徴とする請求項12に記載の光アイソレータ。
  14. 金属製支持部材が、平板状ホルダーであり、かつ磁石が角柱状であることを特徴とする請求項12に記載の光アイソレータ。
  15. 金属製支持部材が、内ホルダーと外ホルダーからなり、かつ磁石が円筒状であることを特徴とする請求項12に記載の光アイソレータ。
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