JP2008087015A - スプリングバック発生原因部位特定方法、その装置、及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プレス成形の成形条件を数値解析して、プレス成形品の成形データを得るプレス成形解析ステップと、プレス成形品の成形データに基づいて、スプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出する第1のスプリングバック量算出ステップと、物性値及び物理量の少なくとも1つが所定値より大きい領域がある場合、当領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う演算処理ステップと、演算処理の結果に基づいて、さらにスプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出する第2のスプリングバック量算出ステップと、を有してスプリングバック発生原因部位特定方法を構成する。
【選択図】図3
Description
しかしながら、鋼板の高強度化に伴い、プレス成形による製品形状の確保には厳しい管理が必要となっており、その管理において重要な項目の一つは、プレス成形時に鋼板に生じた残留応力を駆動力として、鋼板の弾性変形分が弾性回復する変形であるスプリングバックである。
図2は、スプリングバックによる変形の発生原因となる部位を探る従来の方法を例示する斜視図である。(a)は、成形製品の形状を示し、(b)は、製品の一部1を切断除去した場合を示し、(c)は、製品に孔2を開けた場合を示し、(d)は、製品の一部にスリット3を付与する場合を示す。このような対策を講じることによってスプリングバックの挙動を観察すると共に、スプリングバックを少なくする対策が試みられている。
本発明のプログラムは、上記に説明したプログラムの他に、プレス成形の成形条件を数値解析してプレス成形品の成形データと複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出するプレス成形解析プログラムと、該成形データと複数領域毎の物性値及び物理量のデータを数値解析してスプリングバック量とスプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出するスプリングバック解析プログラムは市販のプログラムを使用し、これらのプログラムと、データ入出力が可能であるスプリングバック発生原因部位特定プログラムであって、スプリングバック解析プログラムから、前記スプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを取得する手順と、前記物性値及び物理量の少なくとも1つが所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う演算処理手順と、スプリングバック解析プログラムに、前記演算処理の結果を出力する手順をコンピュータに実行させるものでも良い。市販のスプリングバック解析プログラムは、本発明のプログラムから出力された演算処理データに基づいてスプリングバック量を再計算する。
スプリングバック発生原因部位特定装置10Aは、プレス成形解析部11、スプリングバック解析部12、物性値・物理量演算処理部14、ファイル格納部16、成形条件入力部18、及びスプリングバック量出力画面19を有する。
また、プレス成形解析部11は、有限要素法による応力分布や曲率等の解析結果を、ポスト処理ソフトを用いて、スプリングバック量出力画面19にコンタ表示することが可能である。
プレス成形解析部11は、数値解析により、成形解析後の被加工物の幾何学的な情報として各節点の座標値を得、各要素の曲率や要素間の角度を客観的に算出することが可能である。プレス成形品の場合、変形後の被加工物はパンチ肩Rやダイ肩R等の曲げの稜線部では、曲げ稜線に垂直な方向で他の部位に比べ非常に大きな曲率となる。
ここでは各要素の最大曲率を計算し、ある閾値以上の曲率となる要素を非表示にすれば、パンチ肩Rやダイ肩R以外の部位(ウェブ面、縦壁部、フランジ部)を連続していない別々の領域として判別分離することが可能である。
図4がプレス成形解析結果であり、応力分布がコンタ図で表示されている。プレス成形解析結果である各要素の曲率を表示したものが図5であり、曲率の大きい要素を非表示としたのが図6である。段差部で非常に大きな曲率となることから、縦壁部内である閾値以上の曲率となる要素を非表示にすれば、段差の稜線部を境界とした複数の領域に分離可能であり、個別の領域を抽出または選択することで特徴形状に基づいた領域を選択可能である。図6により、段差のある側壁は3つの面と、ウェブ、段差のない縦壁部(図から隠れている)、両側の各フランジ部に分割できることがわかる。図6により分割したそれぞれの領域について、図4に示した成形データ(応力分布)に基づいて、応力の高い領域について演算処理を行うと判定したのが、図7に示す領域A15〜A17である。判定工程では、曲率及び/又は角度に基づいて分割した領域について、後述の演算を行うかを成形データに基づいて判定する。例えば、分割した各領域のプレス成形解析後の応力レベルにより判定する。
ここでは要素の最大曲率を用いたが要素間の角度を用いても同様の領域分割を行うことができる。
また、段差のないハット断面形状のメンバー部材を考えると,分離された各領域として、ウェブ面、両側の縦壁部、両側のフランジ部を選択することができる。また、選択した領域が平面でない場合、同様の手法を繰り返すことで、さらに特徴的な領域を選択していくことが可能である。
このようにして、物性値・物理量演算処理部14は、プレス成形解析部11の解析結果より、曲率や要素に基づいて、分割領域を決定することが可能である。
このとき、図9(a)で示すように、(x、y、z)座標軸での成分値の他に、例えば同図(b)に示すように、要素31の平面をxy平面とみなした局所座標系(x1、x2、x3)における応力、歪、剪断応力、剪断歪の計12成分も含むものとする。また、相当応力、相当塑性歪、弾性エネルギー(弾性仕事)、塑性エネルギー(塑性仕事)等の各応力成分や歪成分を使って得られる変数や、応力増分やひずみ増分等の各成分値の増分形で計算された成分値も含むものとする。
選択された領域の積分点における演算前の応力成分を(σx0,σy0,σz0,τxy0,τyz0,τzx0)、歪成分を(εx0,εy0,εz0,γxy0,γyz0,γzx0)とすると、演算処理後の応力成分(σx,σy,σz,τxy,τyz,τzx)、歪成分(εx,εy,εz,γxy,γyz,γzx)は以下のとおりとなる。
σx=K×σx0,σy=σy0,σz=σz0,τxy=τxy0,τyz=τyz0,τzx=τzx0
εx=εx0,εy=εy0,εz=εz0,γxy=γxy0,γyz=γyz0,γzx=γzx0
ここでKは−1000〜1000までの範囲で変化させた演算を行い、板厚は演算処理前の値をそのまま使うこととし、弾性係数、塑性係数は、成形条件入力部18で入力した値を使う場合が一般的である。例示のため、Kは、σxに関してのみ示すが、他の成分についても、同様に変化させても良い。
t=t0,E=K×E0,ν=ν0,F=F0,a=a0,n=n0
ここでKは−1000〜1000の範囲で変化させることができる。例示のため、Kは、Eに関してのみ示すが、他の材料特性についても、同様に変化させても良い。
これにより、選択した領域の演算した変数(成分)がスプリングバックにどのくらい影響を与えているかを定量的に評価できる。
例えば、プレス成形解析部11により得られた被加工物が図5に示すようなハット型断面形状部品の場合に、物性値・物理量演算処理部14において図10に示すような成形後の応力が所定値より大きい複数の領域A1、A2を同時に選択し、選択した領域A1、A2に対してσxを係数倍にする演算処理を実施し、スプリングバック解析部12においてその演算処理結果を用いたスプリングバック解析を行う。
得られた結果をポスト処理ソフトにて図11に示す位置A、Bでの断面を構成する点の座標値を取得し、断面のウェブ面のなす角度θを求めた。スプリングバック量とは、ここでは、ねじれ角度θとする。
物性値・物理量演算処理部14は、このように選択した領域に属する要素の全積分点に以下の演算を実行した。
σx=0,σy=0,σz=0,τxy=0,τyz=0,τzx=0
εx=εx0,εy=εy0,εz=εz0,γxy=γxy0,γyz=γyz0,γzx=γzx0
プレス成形解析部11及びスプリングバック解析部12が行う数値解析には有限要素法に基づく市販の板成形シミュレーション解析ソフトウェアPAM−STAMPを使用した。スプリングバック解析は静的陰解法による弾性解析を用いた。
物性値・物理量演算処理部14は、図21に示すスプリングバック解析部12から得た応力分布を基に、図22に示す応力レベルの高位5%の領域R11を選択する。
σx=0,σy=0,σz=0,τxy=0,τyz=0,τzx=0
εx=εx0,εy=εy0,εz=εz0,γxy=γxy0,γyz=γyz0,γzx=γzx0
このように、本発明によるスプリングバック発生原因部位特定装置は、従来実際の装置を用いてスプリングバックの検討を、数値解析によりスプリングバック発生原因部位を特定できるので、成形部材の設計段階でのテスト工数及び費用を減少させるものである。また、このようなスプリングバック発生原因部位特定装置は、被加工物全般に適用されることが期待されることから、産業界において多大な利益をもたらす。
11 プレス成形解析部
12 スプリングバック解析部
14 物性値・物理量演算処理部
16 ファイル格納部
18 成形条件入力部
19 スプリングバック量出力画面
Claims (12)
- プレス成形の成形条件を数値解析して、プレス成形品の成形データを得るプレス成形解析ステップと、
前記プレス成形品の成形データに基づいて、スプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出する第1のスプリングバック量算出ステップと、
前記物性値及び物理量の少なくとも1つが所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う演算処理ステップと、
前記演算処理の結果に基づいて、さらにスプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出する第2のスプリングバック量算出ステップと、
を有することを特徴とするスプリングバック発生原因部位特定方法。 - 前記演算処理ステップは、スプリングバック前後のプレス成形品の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つの差分が、所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う請求項1に記載のスプリングバック発生原因部位特定方法。
- 前記物性値及び物理量は、板厚、弾性係数、塑性係数、応力の成分値、歪の成分値である請求項1又は2に記載のスプリングバック発生原因部位特定方法。
- プレス成形の成形条件を数値解析して、プレス成形品の成形データを得るプレス成形解析部と、
前記成形データを数値解析して、スプリングバック量を算出するスプリングバック解析部と、
前記物性値及び物理量の少なくとも1つが所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う演算処理を行い、前記スプリングバック解析部に、前記演算処理の結果に基づいて、さらにスプリングバック後の複数領域毎のスプリングバック量を算出させる演算処理部と、
を有することを特徴とするスプリングバック発生原因部位特定装置。 - 前記演算処理部は、スプリングバック前後のプレス成形品の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つの差分が、所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う請求項4に記載のスプリングバック発生原因部位特定装置。
- 前記物性値及び物理量は、板厚、弾性係数、塑性係数、応力の成分値、歪の成分値である請求項4又は5に記載のスプリングバック発生原因部位特定装置。
- プレス成形の成形条件を数値解析して、プレス成形品の成形データを得るプレス成形解析手順と、
前記プレス成形品の成形データに基づいて、スプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出する第1のスプリングバック量算出手順と、
前記物性値及び物理量の少なくとも1つが所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う演算処理手順と、
前記演算処理の結果に基づいて、さらにスプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出する第2のスプリングバック量算出手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするスプリングバック発生原因部位特定プログラム。 - 前記演算処理手順は、スプリングバック前後のプレス成形品の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つの差分が、所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う請求項7に記載のスプリングバック発生原因部位特定プログラム。
- プレス成形の成形条件を数値解析してプレス成形品の成形データと複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出するプレス成形解析プログラムと、該成形データと複数領域毎の物性値及び物理量のデータを数値解析してスプリングバック量とスプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを算出するスプリングバック解析プログラムと、データ入出力が可能であるスプリングバック発生原因部位特定プログラムであって、
前記スプリングバック解析プログラムから、前記スプリングバック後の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを取得する手順と、
前記物性値及び物理量の少なくとも1つが所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う演算処理手順と、
前記スプリングバック解析プログラムに、前記演算処理の結果を出力する手順、
をコンピュータに実行させることを特徴とするスプリングバック発生原因部位特定プログラム。 - 前記プレス成形解析プログラムから、前記スプリングバック前の複数領域毎の物性値及び物理量のデータを取得する手順をさらに有し、
前記演算処理手順は、前記スプリングバック前後のプレス成形品の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つの差分が、所定値より大きい領域がある場合、当該領域の物性値及び物理量のデータの少なくとも1つに対して演算処理を行う請求項9に記載のスプリングバック発生原因部位特定プログラム。 - 前記物性値及び物理量は、板厚、弾性係数、塑性係数、応力の成分値、歪の成分値である請求項7〜10の何れか1項に記載のスプリングバック発生原因部位特定プログラム。
- 請求項7〜11の何れか1項に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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