JP2008085885A - 複合弾性表面波装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】通過帯域の高域側での損失悪化及びリップルの増大を招くことなく通過帯域高域側の急峻性を良好にした複合弾性表面波装置を構成する。
【解決手段】それぞれ3IDT型の4つの縦結合共振子型弾性表面波フィルタ81〜84と弾性表面波共振子90を圧電基板上に形成するとともに弾性表面波共振子90に対してキャパシタ92を並列接続する。このキャパシタ92は縦結合共振子型弾性表面波フィルタ81〜84と弾性表面波共振子90とともに同一の圧電基板上に、弾性表面波の伝搬方向に対して直交する向きにインターディジタル型の電極として設ける。
【選択図】図3

Description

この発明は、弾性表面波フィルタと弾性表面波共振子とを備えた複合弾性表面波装置に関するものである。
従来、移動体通信システムの端末や無線通信装置の受信側フィルタは不平衡で信号入出力を行うものが主流であった。しかし、最近の低電圧・低消費電力動作の要求のもと、ノイズの影響を受けにくい平衡出力タイプのフィルタが望まれるようになっている。それに伴い、平衡・不平衡信号の変換機能を有する弾性表面波フィルタが開発されている。
このような平衡・不平衡変換機能を有する弾性表面波フィルタには、縦結合共振子型フィルタが構成される(特許文献1〜3参照)。
図1は特許文献1に示されている複合弾性表面波装置の模式的平面図である。図1において、複合弾性表面波装置30は、基板13上に形成された多電極型弾性表面波フィルタ10と1端子対型弾性表面波共振子71a,71b,72c,72eとを備え、1端子対型弾性表面波共振子71a,72c,72eはπ型接続されるとともに多電極型弾性表面波フィルタ10のA側に接続されていて、1端子対型弾性表面波共振子71bは多電極型弾性表面波フィルタ10の出力端B側に接続されている。1端子対型弾性表面波共振子71a,71b,72c及び72eのインピーダンスは共振周波数近傍で低く、反共振周波数近傍で高くなる。この反共振周波数は多電極型弾性表面波フィルタ10の通過帯域高域側近傍の減衰域内の周波数に設定されている。これにより通過帯域の損失を劣化させることなく高域側の減衰量を改善しようとしている。
図2は特許文献2に示されている複合弾性表面波装置の模式的平面図である。この例では弾性表面波(以下[SAW」)フィルタ1は3つのインターディジタルトランスデューサ(以下「IDT」)3,4a,4bを有する3IDT構成の縦結合2重モードSAWフィルタである。このIDT3,4a,4bの表面波伝搬方向の両端に反射器5a,5bが形成されている。また圧電基板8表面にはIDT6及び反射器7a,7bからなるSAW共振子2が形成されている。上記SAWフィルタ1とSAW共振子2は図に示すように接続されている。図2に示した構成において、直列接続されたSAW共振子2のIDT6の電極指を間引くことにより、通過帯域高域側の急峻性を改善しようとするものである。
また、特許文献3には圧電基板上に第1のデューティを有する第1のくし型電極を有する縦モード結合の第1の弾性表面波共振子を設け、その通過帯域の高域側近傍に反共振周波数を有し、第1のデューティとは異なる第2のデューティを有する第2のくし型電極を備えた第2の弾性表面波共振子を設けた構成が示されている。
特開平7−131290号公報 特開2000−315931号公報 国際公開パンフレットWO99/004489
特許文献1に示されている構造で、弾性表面波共振子の共振周波数を通過帯域中央付近に合わせ、反共振周波数を高域側の減衰極に合わせるのが理想的であるが、共振周波数と反共振周波数の間隔が大きい場合、反共振周波数を高域側の減衰極に合わせた時に共振周波数が通過帯域中央より低域側に位置することになるため、通過帯域高域側の損失が悪化する。
特許文献2では特許文献1の課題を解決しようとするが、電極指の間引きによって波の励振状態が不連続となり、そのため通過帯域にリップルが入るという問題が生じる。
特許文献3も特許文献1の構造による課題を解決しようとするものであるが、別の問題が生じる。すなわち、弾性表面波共振子のデューティを小さくする場合、周波数に対するデューティの依存性が増加するため、製造ばらつきが増大し、結果的に良品率の低下及びコストアップが生じる。また、弾性表面波共振子の膜厚と縦結合共振子型フィルタの膜厚を異ならせる場合には製造プロセスが複雑となり、コストアップが生じる。
そこで、この発明の目的は、通過帯域の高域側での損失悪化及びリップルの増大を招くことなく通過帯域高域側の急峻性を良好にした複合弾性表面波装置を提供することにある。
この発明の複合弾性表面波装置は、少なくとも1つの縦結合共振子型弾性表面波フィルタと、該縦結合共振子型弾性表面波フィルタに直列接続された弾性表面波共振子とを圧電基板上に形成するとともに、弾性表面波共振子に並列にキャパシタを接続したことを特徴としている。
また、前記キャパシタは前記圧電基板上に形成する。
また、前記キャパシタはくし型の電極で構成する。
弾性表面波共振子に並列にキャパシタを接続することにより、弾性表面波共振子の共振周波数と反共振周波数の間隔が狭くなり、そのため、共振周波数が通過帯域の中央付近に保ったまま反共振周波数が通過帯域に近づき、通過帯域高域側の急峻性が改善できる。
前記キャパシタを圧電基板上に形成することにより、外部に個別の部品を接続することなく圧電基板上の電極形成だけ回路が構成できるので、装置を大型化・コストアップすることなく特性が改善できる。
また、前記キャパシタをくし型の電極で構成することにより、圧電基板上の限られたスペースにキャパシタを構成することができ、大型化することもない。
《第1の実施形態》
第1の実施形態に係る複合弾性表面波装置について図3〜図5を参照して説明する。
図3(A)は第1の実施形態に係る複合弾性表面波装置の回路図、図3(B)はその比較対象としての回路図である。図3(A)において複合弾性表面波装置100は不平衡型入力端子Inと平衡型出力端子Out1,Out2を備えている。入力端子In側にはインピーダンス整合用のインダクタ91を接続していて、全体として受信フィルタを構成している。通常入力端子Inにはアンテナが接続される。
複合弾性表面波装置100は44.5°YカットX伝搬のLiTaO3基板上にそれぞれ3IDT構成の4つの縦結合共振子型SAWフィルタ81,82,83,84、SAW共振子90、及びキャパシタ92を構成している。
図4は図3(A)に示した3IDT構成の縦結合共振子型SAWフィルタの構成を示す図である。図4(A)はその記号であり、(B)はそれに対応する、圧電基板上での電極パターンの模式図である。このように3IDT構成の縦結合共振子型SAWフィルタは、3つのIDT 41,42a,42bと反射器43a,43bとで構成している。
一方、図3(A)に示したSAW共振子90はIDT及びそのIDTによる弾性表面波を反射する2つの反射器から構成している。このSAW共振子90は対数90、交叉幅45μmである。後述するように図3(B)のSAW共振子90については対数90、交叉幅60μmである。
キャパシタ92は交互に対向するくし型電極の対からなり、このキャパシタ92をSAW共振子90に対して並列に接続している。
具体的にキャパシタ92は、上記縦結合共振子型SAWフィルタ81〜84、SAW共振子90と共に同じ圧電基板上に、電極指をインターディジタル型に対向配置してくし型電極を形成する。くし型電極を弾性表面波伝搬方向形成すると、このキャパシタ92の両端に印加される電圧によって弾性表面波が生じることがなく、逆に圧電基板上を伝搬する弾性表面波で励振されることもない。
上記くし型電極は、対数50、交叉幅100μm、電極線幅0.825μm、電極間隔0.825μmで、容量値は2.0pFである。また、電極はAlを主成分とし、その組成・膜厚は縦結合共振子型SAWフィルタ81〜84やSAW共振子90のくし型電極と同一であり、同一プロセスで形成する。さらに、SAW共振子90とキャパシタ92との合成容量が所定値になるように、SAW共振子90の交叉幅は単体であれば交叉幅60μmであるところを45μmに変更している。
図3に示した4つの3IDT構成の縦結合共振子型SAWフィルタ81〜84のうち2つのフィルタ81,82に対して入力信号が等しく入力され、それぞれの出力信号がフィルタ83,84にそれぞれ入力され、この2つのフィルタ83,84から位相差180°の信号が取り出されて合成されるとともに出力端子Out1,Out2に出力されることになる。すなわち、この4つの縦結合共振子型SAWフィルタ81〜84で不平衡−平衡変換を行うとともに帯域通過フィルタとして作用する。そしてSAW共振子90は通過帯域の高域側に減衰極を形成することによって、通過帯域高域側の減衰特性を急峻にする。
図5は図3(A)に示したフィルタ装置と図3(B)に示したフィルタ装置の挿入損失特性を示す図である。図5において挿入損失特性の破線で示す特性は図3(B)のフィルタ装置の特性、実線は図3(A)のフィルタ装置の特性である。また図5のインピーダンス特性は図3に示したSAW共振子90とキャパシタ92の並列回路によるインピーダンス特性、破線は図3(B)のSAW共振子90のインピーダンス特性を示す図である。
図3(B)に示したようにSAW共振子90を接続しただけでは共振周波数と反共振周波数の間隔が大きく、共振周波数を通過帯域の中心周波数に合わせると反共振周波数が通過帯域の中心周波数から高域側に大きくずれるので通過帯域の高域側の急峻性が改善されないが、図3(A)に示したようにSAW共振子90にキャパシタ92を並列接続することによって、図5の実線で示すように反共振周波数faと共振周波数frとの間隔が狭まり、これに伴い通過帯域の高域側の減衰が急峻となる。
図6は800MHz帯の複合弾性表面波装置を構成した際の実測結果を示す図である。ここで曲線Aは図3(A)に示した複合弾性表面波装置の挿入損失特性、曲線Bは図3(B)に示した装置の挿入損失特性である。横軸は周波数、縦軸は挿入損失(dB)である。なお、曲線Cは曲線Aのスケールを10倍拡大したものであり、曲線Aの目盛の値は左側、曲線Cの目盛の値は右側にそれぞれ示している。
このようにSAW共振子90にキャパシタ92を並列接続することによって通過帯域高域側の減衰極周波数fpbはfpaまで低下し、通過帯域高域側の減衰が急峻となる。また曲線Cで示すように通過帯域のリップルも大きくならないことが分かる。また、SAW共振子90と同一プロセスで形成するため、製造が簡単であり、コストアップも生じない。
《第2の実施形態》
図7は第2の実施形態に係る複合弾性表面波装置の構成を示す回路図である。第1の実施形態では不平衡型入力、平衡型出力のフィルタであったが、この第2の実施形態では不平衡型入力・不平衡型出力の構成としている。図3(A)に示した装置と異なるのは、3IDT構成の縦結合共振子型SAWフィルタ83,84の中央のIDTの一方の端子を接地し、他方の端子を不平衡出力端子としている点である。なお、図7の例では入力端子にはインピーダンス整合用のインダクタは設けていない。
このような構成であってもSAW共振子90に対してキャパシタ92を並列接続することによって第1の実施形態の場合と同様の作用により通過帯域の高域側の減衰特性を急峻にすることができる。
《第3の実施形態》
図8は第3の実施形態に係る複合弾性表面波装置の構成を示す回路図である。第1・第2の実施形態では入力端側にSAW共振子を接続したが、この第3の実施形態では出力端側にSAW共振子94を設けている。すなわち3IDT構成の縦結合共振子型SAWフィルタ93の両側のIDTの一方の電極に入力端子Inからの配線を接続し、他方の電極を接地し、中央のIDTの一方の電極を接地し、他方の電極にSAW共振子94を接続している。このSAW共振子94には並列にキャパシタ95を接続している。このような構成でも第1・第2の実施形態の場合と同様の作用により通過帯域の高域側の減衰特性を急峻にすることができる。
なお、第1〜第3の実施形態において3IDT構成の縦結合共振子型SAWフィルタの入出力の方向を反転させても同様の特性を得ることができる。
《第4の実施形態》
この発明の複合弾性表面波装置は単体のフィルタとして設けるだけでなく、周波数帯域によって送信信号と受信信号を分波するデュプレクサに適用できる。この発明の複合弾性表面波装置は通過帯域の高域側減衰特性が急峻であるので、通過帯域の周波数帯が低い方のフィルタに適用することによって、通過帯域の高域側に隣接する高域側の周波数帯に対する影響を効果的に抑えることができる。
特許文献1に開示されている複合弾性表面波装置の構成を示す図である。 特許文献2に開示されている複合弾性表面波装置の構成を示す図である。 第1の実施形態に係る複合弾性表面波装置の構成を示す図である。 図3における3IDT構成の縦結合共振子型SAWフィルタの構成を示す図である。 SAW共振子及び並列接続したキャパシタによる複合弾性表面波装置の特性変化の作用を説明するための図である。 第1の実施形態に係る複合弾性表面波装置の特性を示す図である。 第2の実施形態に係る複合弾性表面波装置の構成を示す図である。 第3の実施形態に係る複合弾性表面波装置の構成を示す図である。
符号の説明
81〜84,93−縦結合共振子型SAWフィルタ
90,94−SAW共振子
91−インダクタ
92,95−キャパシタ
100−複合弾性表面波装置

Claims (3)

  1. 少なくとも1つの縦結合共振子型弾性表面波フィルタと、該縦結合共振子型弾性表面波フィルタに直列接続された弾性表面波共振子とを圧電基板上に形成するとともに、前記弾性表面波共振子に並列にキャパシタを接続してなる複合弾性表面波装置。
  2. 前記キャパシタを前記圧電基板上に形成した請求項1に記載の複合弾性表面波装置。
  3. 前記キャパシタをくし型の電極で構成した請求項2に記載の複合弾性表面波装置。
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