JP2008082366A - 絶縁フランジ接続構造体およびそれを用いた荷電粒子発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの真空容器を絶縁分離して接続できる絶縁フランジ接続構造体を提供し、荷電粒子発生装置を高真空、低電磁ノイズにして高性能化させる。
【解決手段】絶縁フランジ接続構造体10は、例えばステンレス製の第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bから成る1組のフランジ11、絶縁性樹脂から成る円環状のガスケット12、同様に円環状の絶縁スペーサ13、絶縁膜22で被覆された連結ボルト14、ナット15、絶縁性ワッシャ16を具備している。ここで、ガスケット12の両面が弾性変形しナイフエッジ19に食い込まされて、キャプチャーシールがなされる。そして、1組のフランジ11に連結する真空容器17aおよび17bは、ガスケット12、絶縁スペーサ13あるいは絶縁膜22により完全に絶縁分離される。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁フランジ接続構造体およびそれを用いた荷電粒子発生装置に関し、詳しくは、高真空のシール手段に用いて好適な絶縁フランジ接続構造体、および該絶縁フランジ接続構造体を用い高性能化された荷電粒子発生装置に関する。
荷電粒子発生装置としては、例えば高真空に維持された真空室内の電子銃から電子を出射する電子ビーム描画装置、SEM(Secondly Electron Microscope)、TEM(Transmission Electron Microscope)のような電子ビームを用いた測定装置、等が挙げられる。その他にも、FIB(Focus Ion Beam)装置のように電子以外の荷電粒子を出射する装置がある。この中で、特に電子ビーム描画装置では、例えば10−6〜10−7Paのような超高真空度の真空室内に出射した電子ビームの極めて高精度な走査が必須になっている。例えば半導体素子の寸法が45nm程度に微細化した超LSI用のフォトマスク(レチクル)作製に使用される電子ビーム描画装置は、その真空室の電子光学鏡筒内に設けられた各種レンズ、各種偏向器、ビーム成形アパーチャ等による電子ビームの制御において、その軌道偏差を同程度に微細にする必要がある。
このように電子ビーム描画装置が高性能化してくると、装置外部からの電磁ノイズによる電子ビーム軌道のわずかな擾乱も防止することが要求されてくる。この電磁ノイズによる擾乱の一例について図5を参照して説明する。図5は、従来の電子ビーム描画装置のいわゆるアースループによる擾乱を説明するための模式的な構成図である。
図5に示すように、通常の電子ビーム描画装置100では、装置の描画光学系を構成するステンレス製の真空室101が、フランジ接続構造体102を介して真空ポンプ103に接続され、超高真空に真空排気されるようになっている。ここで、真空ポンプ103としては、例えばイオンポンプ、ターボ分子ポンプ等の超高真空用ポンプが用いられる。そして、この真空ポンプ103はケーブル104に接続されたポンプ制御部105により動作制御されるようになっている。この真空ポンプ103およびポンプ制御部104により電子ビーム描画装置の真空排気系が構成される。ここで、ポンプ制御部104は接地線106によりアースされる。また、真空ポンプ103も例えばケーブル105内に配設された接地線を通してアースされるようになっている。同様に真空室101の接地が必須になっている。
通常の電子ビーム描画装置では、図5には明示していないが、その他の主要構成として、電子ビームを所期の速度で電子銃から出射するための高電圧供給系、被描画基板(レチクル)走査系、描画制御系等が備えられている。この中で、高電圧供給系により真空室101内の電子銃には例えば50kV程度の高電圧が印加される。そこで装置の安全性を高めるためには、高電圧供給系、被描画基板走査系を含めて、上述したように描画光学系となる真空室101、真空排気系の接地が必須になる。
そして、図5に示した従来の電子ビーム描画装置100では、真空室101を真空ポンプ103に接続するフランジ接続構造体102は、超高真空の気密を確保するためにいわゆるキャプチャーシール機構になっており、一対のフランジ間のシール材として金属製のガスケットを備えている(例えば、特許文献1参照)。ここで、この一対のフランジは電気的に導通した構造になる。このため、電子ビーム描画装置100において、装置本体の真空室101、フランジ接続構造体102、真空ポンプ103およびポンプ制御部104は、上述したアースを介して電気接続され、いわゆるアースループ107を不可避的に形成する。
ところが、上記アースループ107には、そのアンテナ効果から各種電波等の外部電磁波により誘導電流が誘起され、例えば1V程度の誘起起電力となる電磁ノイズが発生する。しかし、真空室101内の電子光学鏡筒に設けられた各種レンズ、各種偏向器、ビーム成形アパーチャ等により軌道制御される電子ビームは、この小さな電磁ノイズにより擾乱され、上述したような電子ビームの高精度な走査が難しくなるという問題があった。
そこで、上記問題を解決するために、フランジ接続構造体102に図6に示すような絶縁フランジ200を使用することが検討されてきた。図6は周知の絶縁フランジの模式的な縦断面図である。この絶縁フランジ200の特徴は、円筒状の例えばセラミックス絶縁体201が一対のフランジ202a、202bの間のステンレス製の円管203に例えば溶接で接合され、一対のフランジ202a、202bが互いに電気的に絶縁されることにある。そして、これ等の一対のフランジ202a、202bはそれぞれ真空室101および真空ポンプ103に通常の真空シール機構を介して接続される。このように絶縁フランジ200を使用することにより、上記セラミックス絶縁体201が真空室101と真空ポンプ103間を電気的絶縁することから、上記アースループ107の形成が防止される。
しかしながら、このような絶縁フランジ200を使用する方法では、一対のフランジ202a、202b間に不可避的に形成される配管経路のために、真空室101と真空ポンプ103間の真空排気のコンダクタンスが低下し、例えば10−6〜10−7Paの到達圧力が難しくなるという問題が生じていた。これは、セラミックス絶縁体201と円管203を溶接するために必要なスペース確保、フランジの機械的強度の確保、およびそれぞれのフランジを真空室101、真空ポンプ103に締結する連結ボルトをボルト孔204に挿通させるために必要なスペース確保等のために、上記不可避的に形成される配管長が最短でも60mm程度になるからである。
上記電子ビーム描画装置100で説明したアースループ107に関連した問題は、SEM、TEM,FIBのような荷電粒子発生装置にあっても、その程度に差があるものの同様に生じることである。
特開平10−159979号公報
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、荷電粒子発生装置において、例えば描画光学系の真空室と真空排気系の間の上記アースループ形成を防止することができる絶縁フランジ接続構造体を提供し、アースループ起因の電磁ノイズが無い高性能化した荷電粒子発生装置を提供することを主目的とするものである。そして、絶縁フランジ接続構造体において真空排気のコンダクタンスを低下させことなく、真空室が高真空になると共に高電圧印加が可能になる荷電粒子発生装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明にかかる絶縁フランジ接続構造体は、ナイフエッジを有する一対のフランジと、前記一対のフランジの前記ナイフエッジに狭圧される絶縁性樹脂から成る円環状のガスケットと、前記一対のフランジを締結する連結具と、を備え、前記一対のフランジは、互いに前記連結具により締め付けられ前記ナイフエッジがガスケットに食い込んで真空シールされると共に、互いに電気的絶縁されている構成になっている。
そして、本発明にかかる荷電粒子発生装置は、真空容器内において電子から荷電粒子が取り出される荷電粒子発生装置であって、前記真空容器が、前記の絶縁フランジ接続構造体を介して真空ポンプに接続され、真空排気される構成になっている。
本発明により、超高真空のシール手段に用いて好適であり、例えば真空室と真空ポンプのような真空容器の間を接続し、しかもその間を電気的に遮断する絶縁フランジ接続構造体が容易に提供される。そして、この絶縁フランジ接続構造体により荷電粒子発生装置の高性能化が促進される。
以下に本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明する。図面において互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略される。
まず、絶縁フランジ接続構造体について図1および図2を参照して説明する。ここで、図1は、絶縁フランジ接続構造体の一例を示す縦断面図である。そして、図2(a)は、絶縁フランジ接続構造体において一対のフランジ間に介挿される絶縁性スペーサの平面図であり、図2(b)は、上記一対のフランジを締結する連結ボルトの一例を示す側面図である。
図1に示すように、本実施形態の絶縁フランジ接続構造体10は、例えばステンレス製の第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bから成る1組のフランジ11、絶縁性樹脂から成る円環状のガスケット12、円環状の絶縁スペーサ13、連結ボルト14、ナット15、絶縁性ワッシャ16を具備している。
第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bは、それぞれ円筒状の真空容器17a、17bに一体に取りつけられている。そして、これ等の真空容器17aおよび17bは、それぞれ後述する荷電粒子発生装置の真空室および真空ポンプ室に連通している。また、この1組のフランジ11のつば部には、連結ボルト14が挿通されるボルト孔18が設けられている。
更に、第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bの結合面には、シール部であるナイフエッジ19がその全周に沿って設けられている。そして、エン環状のガスケット12のシール面が連結ボルト14およびナット15で締め付けられることによりナイフエッジ19に狭圧されるようになっており、このシール部において真空容器17a、17bが真空シールされる。
ここで、第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bは、ステンレス合金などの硬質金属材で形成されていてもよいし、アルミニウム合金や銅などの軟質金属材で形成されていても構わない。
ガスケット12は、弾性を有する絶縁性樹脂から成り、後述の実施例で示すようなポリイミド樹脂の成形体が好適である。このポリイミド樹脂は、溶液重縮合で合成したポリイミド樹脂が所定の圧力および温度で押し固められ、その密度が高められて適度な弾性率を有するようになったものである。そして、上記ナイフエッジ19の狭圧により、ガスケット12のシール面が弾性変形しナイフエッジ19に食い込みキャプチャーシールがなされるようになっている。
絶縁スペーサ13は、図2(a)に示すように、円環状であり、連結ボルト14が貫通する所要の数(本実施形態では6個)の穴20が設けられている。この絶縁スペーサ13は、連結ボルト14およびナット15の締め付けを調整する機能を有する。この機能により、ナイフエッジ19によるガスケット12の過度の狭圧が回避され、ガスケット12の真空シール性能の低下が防止される。ここで、絶縁スペーサ13は、ガスケット12よりも弾性率の小さい樹脂材により成形され、例えばテフロン(登録商標)が使用される。あるいは、耐熱温度の高いポリイミド樹脂が使用されてもよい。
連結ボルト14は、ナット15と共に連結具を構成し例えばステンレス合金のような硬質金属材から成る。そして、図2(b)に示すようにナット15に螺合する領域にネジ山21が形成されている。そして、その表面には、例えば連結ボルト14の酸化膜あるいは窒化膜から成る絶縁膜22が形成されている。この絶縁膜22は、ボルト孔18の側面において連結ボルト14が第1のフランジ11aあるいは第2のフランジ11bと電気接続するのを完全に防止する。ここで、絶縁膜22は、連結ボルト14表面の例えば電気化学的不動態化あるいはプラズマ処理により形成した不動態皮膜が好適であるが、絶縁物質の溶射により表面に形成される絶縁物層であってもよい。あるいは、その表面にコーティングされる樹脂を含むコーティング層であっても構わない。
但し、連結ボルト14とナット15による第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bの締結において、ネジ山21がナット15のねじ溝と摺接することから、絶縁膜22は、この摺接に対し磨耗耐性あるいは剥れ耐性があるように形成する必要がある。ここで、ナット15の全表面に上記不動態皮膜を形成してもよい。
そして、絶縁性ワッシャ16は、絶縁性の樹脂からなり例えばテフロン(登録商標)が使用される。この絶縁性ワッシャ16は、連結ボルト14の頭部14aと第2のフランジ11bとの電気的絶縁を保証する。ここで、上記テフロン(登録商標)よりも耐熱温度の高いポリイミド樹脂が使用されてもよい。
上記絶縁フランジ接続構造体10では、第1のフランジ11aと第2のフランジ11bは、上述したように、絶縁体から成るガスケット12および絶縁スペーサ13を挟んで互いに結合される。また、この1組のフランジ11を締結する連結ボルト14は、絶縁性ワッシャ16あるいは連結ボルト14表面の絶縁膜22により1組のフランジ11から電気的絶縁されている。このようにして、第1のフランジ11aと第2のフランジ11bは互いに電気的絶縁した状態になり、それぞれに連結する真空容器17aおよび17bは互いに完全に絶縁分離される。
上記絶縁フランジ接続構造体10において、連結ボルト14表面に形成した絶縁膜22における絶縁の信頼性が充分に高ければ絶縁性ワッシャ16を省略しても構わない。あるいは、連結ボルト14のネジ山21以外の表面を絶縁性の樹脂でコーティングして絶縁膜22を形成し、ナット15と第1のフランジ11aの間に絶縁性ワッシャ16を介在させるようにしても構わない。このような場合には、絶縁膜22の上述した摺接に対する磨耗耐性、剥れ耐性は必須とならなくなる。
次に、上記絶縁フランジ接続構造体10の変形例について図3を参照して説明する。図3は、絶縁フランジ接続構造体の別の例を示した縦断面図である。この絶縁フランジ接続構造体10aでは、円環状のガスケット12aの断面が内周側から外周側に向かって拡開する形状の台形になっている。そして、ガスケット12aの内周側はガスケット12と同様にナイフエッジ19に狭圧され、上記外周側は、第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bのシール部の全周に沿って形成されている断面台形状のくぼみ部23に嵌合するようになっている。ここで、ガスケット12aの外周側は、1組のフランジ11が連結ボルト14およびナット15で締め付けられることにより、くぼみ部23の側面に圧接される。
絶縁フランジ接続構造体10aでは、ナイフエッジ19と共にくぼみ部23もシール部となり、ガスケット12aの外周側も真空シールの機能を有する。このために、絶縁フランジ接続構造体10の場合に較べてガスケット12aの内周側のナイフエッジ19へのキャプチャリングすなわち食い込みを小さくすることができる。このようにして、ガスケット12aに要求される狭圧に対する耐性の低いポリイミド樹脂材であっても使用することができるようになる。
次に、上述したような絶縁フランジ接続構造体10,10aを用いた荷電粒子発生装置について図4を参照して説明する。ここで、図4は荷電粒子発生装置の一例を示す模式的な構成図である。
図4に示すように、例えば電子ビーム描画装置のような荷電粒子発生装置30には、装置の荷電粒子光学系を構成する例えばステンレス製の真空室31が絶縁フランジ接続構造体10あるいは10aを介して真空ポンプ32に接続され、高真空度に真空排気されるようになっている。ここで、真空ポンプ32は、例えばイオンポンプ、ターボ分子ポンプ等の超高真空用ポンプである。
この真空ポンプ32は、ケーブル33を通してポンプ制御部34に接続されポンプ制御部34により動作制御されるようになっている。そして、真空ポンプ32およびポンプ制御部34により荷電粒子発生装置30の真空排気系が構成される。ここで、ポンプ制御部34は接地線35によりアースされる。また、真空ポンプ32も例えばケーブル33内に配設された接地線を通してアースされるようになっている。同様に真空室31も接地される。
そして、荷電粒子発生装置30では、その他の周知の主要構成として、例えば電子のような荷電粒子を出射する電子銃に高電圧を印加するための高電圧供給系、被処理基板走査系、制御系等が備えられている。
上記荷電粒子発生装置30では、真空室31を真空ポンプ32に接続する絶縁フランジ接続構造体10,10aは、上述したように第1のフランジ11aと第2のフランジ11bが互いに電気的絶縁して結合することから、真空室31および真空ポンプ32は絶縁分離されることになる。このようにして、従来の荷電粒子発生装置で生じていたアースループは、絶縁フランジ接続構造体10,10aにより完全に遮断される。
本実施形態では、上述した絶縁フランジ接続構造体10,10aにより、互いに高真空に接続される2つの真空容器は電気的に絶縁分離される。そして、荷電粒子発生装置のアースループに起因した電磁ノイズの問題は完全に解消される。また、本実施形態の荷電粒子発生装置では、絶縁フランジ接続構造体が超高真空の気密を確保するキャプチャーシール機構となっているために、装置の荷電粒子光学系を構成する真空室は、極めて容易に10−7Pa程度の低圧力に到達する。このようにして、荷電粒子発生装置の高性能化が大きく促進されるようになる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ここでは、図1に示した構造の絶縁フランジ接続構造体10において、シール材であるガスケット12の材質を種々に変えてその特性評価を行った具体例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでないことに言及しておく。
(実施例1)
図1で説明した絶縁フランジ接続構造体10において、1組のフランジ11、連結ボルト14およびナット15はステンレス製にした。ここで、連結ボルト14はいわゆる電気化学的不動態化しその表面に絶縁膜である不動態皮膜を形成した。第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bはそれぞれに一体に形成された内径50mmの真空容器17aおよび17bに連結している。
そして、ガスケット12の材料にポリイミド樹脂Aを用い、円環状で肉厚が2mmのポリイミド成形体によりガスケット12を作製した。このポリイミド樹脂Aは、宇部興産社製のユピモールSA201(商品名)であり、通常の溶液重縮合法で合成したポリイミド樹脂を等方的に加圧し、その後に所定温度の焼成処理を施したものである。ポリイミド樹脂Aの一特性として、曲げ弾性率は4GPa強であり、その熱変形温度は500℃弱になる。
また、絶縁性スペーサ13および絶縁性ワッシャはそれぞれ肉厚が3mmのテフロン(登録商標)製のものを用いた。
そして、このようにして作製した絶縁フランジ接続構造体10を図4で説明した電子ビーム描画装置である荷電粒子発生装置30に取り付け、真空室31の到達圧力および上述したアースループの有無について調べた。ここで、真空ポンプ32としてはイオンポンプを用い、アースループの有無は接地線35の箇所の抵抗値の計測により判定した。
(実施例2)
本実施例では、ガスケット12の材料にポリイミド樹脂Bを用いた以外は実施例1と同様に絶縁フランジ接続構造体10を作製した。このポリイミド樹脂Bは、宇部興産社製のユピモールSA101(商品名)であり、溶液重縮合法で合成したポリイミド樹脂粉末を所定の条件で加熱・加圧したものである。ポリイミド樹脂Bの一特性として、曲げ弾性率は8GPa強であり、その熱変形温度は500℃弱になる。
(実施例3)
本実施例では、ガスケット12の材料にポリイミド樹脂Cを用いた以外は実施例1と同様に絶縁フランジ接続構造体10を得た。このポリイミド樹脂Cは、デュポン社製のベスペルSP−1(商品名)である。ポリイミド樹脂Cの一特性として、曲げ弾性率は3GPa程度であり、その熱変形温度は400℃弱になる。
(比較例1,2)
この比較例1では、ガスケット12の材料にフッ素樹脂であるテフロン(登録商標)を用いた以外は実施例1と同様に絶縁フランジ接続構造体10を作製した。そして比較例2では、ガスケット12の材料として通常に使用される銅を用いた以外は実施例1と同様に絶縁フランジ接続構造体10を作製した。
(評価)
上記実施例および比較例について表1にまとめて示している。
Figure 2008082366
表1に示すように、到達圧力は、実施例1において10−7Paの低圧力が簡単に得られる。そして、実施例2では少なくとも10−6Paの圧力が得られ、実施例3では10−5Paが得られる。これ等の到達真空度の違いは、それぞれのポリイミド樹脂からのガス放出特性に大きく依存し、それ等の曲げ弾性率にはあまり依存していない。ここで、ポリイミド樹脂Aのガス放出の度合いを1とすると、ポリイミド樹脂Bのそれは略10、ポリイミド樹脂Cのそれは略100になることが昇温脱離ガス分析(TDS分析)により確認された。
これに対して、吸水性が極めて低くガス放出の小さいフッ素樹脂をガスケット材に用いた比較例1では、到達圧力が10−3Pa程度で高真空としては使用できない絶縁フランジ接続構造体となった。これは、このフッ素樹脂では曲げ弾性率が500MPa程度と上記ポリイミド樹脂に較べて弾性率が1桁小さくなるためと考えられる。一方、比較例2では、到達圧力は10−8Pa後半の低圧力が得られる。しかし、この場合にはアースループが生じることが確認された。なお、銅のガス放出の度合いはポリイミド樹脂Aの場合の1/3である。
そして、このアースループは、実施例1,2,3および比較例1において上記計測した抵抗値では略無限大になり全く見られないことが確認できた。
以上のことから、実施例1の絶縁フランジ接続構造体は、例えば電子ビーム描画装置のような超高真空の荷電粒子発生装置においてアースループを遮断し微細なビーム走査制御を可能にする。同様に、実施例2,3の絶縁フランジ接続構造体では、電子ビーム描画装置に較べて高真空度を必要としないSEM、TEMのような測定装置用の高性能化した荷電粒子発生装置に好適に適用できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明を限定するものでない。当業者にあっては、具体的な実施態様において本発明の技術思想および技術範囲から逸脱せずに種々の変形・変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態においては、第1のフランジ11aおよび第2のフランジ11bが連結ボルト14およびナット15により締結されているが、この1組のフランジ11はその外側からクランプにより締結される構造になっていてもよい。この場合、そのクランプと1組のフランジの接合部には絶縁体が介挿され、第1のフランジ11aと第2のフランジ11bが電気的に導通状態にならないようにする必要がある。
また、上記絶縁フランジ接続構造体はナイフエッジ型のシール部を有するフランジシールとなっているが、例えばエラストマーシール方式のフランジを用いた構造であってもよい。
本発明の実施形態にかかる絶縁フランジ接続構造体の一例を示す縦断面図である。 上記絶縁フランジ接続構造体に用いる部材の説明図であって、(a)は絶縁性スペーサの平面図であり、(b)は連結ボルトの側面図である。 本発明の実施形態にかかる絶縁フランジ接続構造体の変形例を示す縦断面図である。 本発明の実施形態にかかる荷電粒子発生装置の一例を示す模式的な構成図である。 従来の技術における電子ビーム描画装置の一例を示す模式的な構成図である。 従来の技術における絶縁フランジの一例を示す縦断面図である。
符号の説明
10,10a 絶縁フランジ接続構造体
11 1組のフランジ
11a 第1のフランジ
11b 第2のフランジ
12,12a ガスケット
13 絶縁性スペーサ
14 連結ボルト
14a 頭部
15 ナット
16 絶縁性ワッシャ
17a、17b 真空容器
18 ボルト孔
19 ナイフエッジ
20 穴
21 ネジ山
22 絶縁膜
23 くぼみ部
30 荷電粒子発生装置
31 真空室
32 真空ポンプ
33 ケーブル
34 ポンプ制御部
35 接地線

Claims (6)

  1. ナイフエッジを有する一対のフランジと、
    前記一対のフランジの前記ナイフエッジに狭圧される絶縁性樹脂から成る円環状のガスケットと、
    前記一対のフランジを締結する連結具と、を備え、
    前記一対のフランジは、互いに前記連結具により締め付けられ前記ナイフエッジがガスケットに食い込んで真空シールされると共に、互いに電気的絶縁されていることを特徴とする絶縁フランジ接続構造体。
  2. 前記連結具は絶縁膜により表面被覆されたボルトを有し、前記一対のフランジはその間に絶縁性樹脂から成るスペーサを介して複数の前記ボルトで締め付けられていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁フランジ接続構造体。
  3. 前記スペーサは、前記ナイフエッジが狭圧する前記ガスケットの両面の面圧を調整することを特徴とする請求項2に記載の絶縁フランジ接続構造体。
  4. 前記ガスケットはポリイミド樹脂から成ることを特徴とする請求項1,2または3に記載の絶縁フランジ接続構造体。
  5. 前記ポリイミド樹脂は、溶液重縮合法で合成したポリイミド樹脂を更に所定の圧力および温度で押し固め密度を高めたものであることを特徴とする請求項4に記載の絶縁フランジ接続構造体。
  6. 真空容器内において電子銃から荷電粒子が取り出される荷電粒子発生装置であって、
    前記真空容器が、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の絶縁フランジ接続構造体を介して真空ポンプに接続され、真空排気されることを特徴とする荷電粒子発生装置。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012241779A (ja) * 2011-05-18 2012-12-10 Nuflare Technology Inc 真空接続装置、荷電粒子ビーム描画装置および排気装置の荷電粒子ビーム描画装置への取付方法
CN103574029A (zh) * 2012-08-02 2014-02-12 上海大众汽车有限公司 一种发动机曲轴法兰密封堵件
JP2015094434A (ja) * 2013-11-13 2015-05-18 ジヤトコ株式会社 異種金属部材の締結構造
KR101614359B1 (ko) * 2014-12-26 2016-04-22 동아공업 주식회사 V형 링 리미터
JP2017019517A (ja) * 2015-07-09 2017-01-26 日本車輌製造株式会社 タンク
CN106595439A (zh) * 2016-12-05 2017-04-26 北京中科科仪股份有限公司 一种阀头、平行误差自动补偿装置及电镜
JP2017172807A (ja) * 2017-06-12 2017-09-28 株式会社荏原製作所 シール構造、容器、及びポンプのケーシング構造

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