JP2008081637A - 木質バイオマスのガス化方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリンカの発生を抑制する。
【解決手段】炉内を上下に仕切る仕切り板65を設け、この仕切り板65の幅方向中央部に、上下に貫通する通過孔66を設け、仕切り板65の上側であって且つ通過孔66の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込む吹込口67を設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉6を用い、仕切り板65の上側の炉内に木質バイオマスからなる原料を投入し、吹込口67から酸化剤を吹込みつつガス化するに際して、吹込口67から水蒸気を吹き込むようにする。
【選択図】図2
【解決手段】炉内を上下に仕切る仕切り板65を設け、この仕切り板65の幅方向中央部に、上下に貫通する通過孔66を設け、仕切り板65の上側であって且つ通過孔66の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込む吹込口67を設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉6を用い、仕切り板65の上側の炉内に木質バイオマスからなる原料を投入し、吹込口67から酸化剤を吹込みつつガス化するに際して、吹込口67から水蒸気を吹き込むようにする。
【選択図】図2
Description
本発明は、木質バイオマスのガス化方法に関し、特にクリンカの発生を抑制するガス化方法に関する。
従来から、森林から得られる枝、葉、梢、根株等の林地残材、製材工場から出るオガ粉、樹皮、端材、背板等の残廃材、建築廃材・解体材などの産業廃棄物等といった木質バイオマスをガス化し、燃料等として使用することが行われている。
この場合におけるガス化炉としては、固定床式のものが広く用いられている(例えば特許文献1参照)。固定床式のガス化炉としては種々のもがあるが、ガス化効率が高い等の利点を有するものとして、本発明者らは図3に示すようなダウンドラフト型固定床ガス化炉を研究している。すなわち、このガス化炉60においては、炉内を上下に仕切る仕切り板65が設けられ、この仕切り板65の幅方向中央部に上下に貫通する通過孔66が設けられ、仕切り板65の上側であって且つ通過孔66の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込む吹込口67が設けられている。
このようなガス化炉60では、炉上部より投入された原料は、仕切り板65の通過孔66を通過する過程で燃焼・ガス化が行われる。よって、原料は必ず仕切り板65の通過孔66を通過するためガス化効率が高くなる。また、炉壁の温度が高温にならないという利点もある。
しかしながら、このようなガス化炉において、バーク(樹皮)のような融点の低い木質バイオマスを用いると、炉内の仕切り板上にクリンカ(焼塊)が発生及び成長し、炉内の原料移動を妨げたり、通過孔を閉塞したりするおそれがあった。
特開2002−38163号公報
この場合におけるガス化炉としては、固定床式のものが広く用いられている(例えば特許文献1参照)。固定床式のガス化炉としては種々のもがあるが、ガス化効率が高い等の利点を有するものとして、本発明者らは図3に示すようなダウンドラフト型固定床ガス化炉を研究している。すなわち、このガス化炉60においては、炉内を上下に仕切る仕切り板65が設けられ、この仕切り板65の幅方向中央部に上下に貫通する通過孔66が設けられ、仕切り板65の上側であって且つ通過孔66の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込む吹込口67が設けられている。
このようなガス化炉60では、炉上部より投入された原料は、仕切り板65の通過孔66を通過する過程で燃焼・ガス化が行われる。よって、原料は必ず仕切り板65の通過孔66を通過するためガス化効率が高くなる。また、炉壁の温度が高温にならないという利点もある。
しかしながら、このようなガス化炉において、バーク(樹皮)のような融点の低い木質バイオマスを用いると、炉内の仕切り板上にクリンカ(焼塊)が発生及び成長し、炉内の原料移動を妨げたり、通過孔を閉塞したりするおそれがあった。
そこで、本発明の主たる課題は、クリンカの発生を抑制することにある。
本発明者らは、上記問題について鋭意研究したところ、図3に示すように、吹込口67から吹き込まれる酸化剤により、吹込み部位Bにおける燃焼が促進され高温となる結果、バーク(樹皮)のような融点の低い木質バイオマスを用いた場合、原料が吹込口67近傍で溶融しクリンカが発生する。そして、この吹込口67近傍で発生したクリンカCは、仕切り板65が無いタイプの炉ではそのまま下降してガス化するため特に問題とならない。しかし、吹込口67の下方に仕切り板65が存在する炉の場合、吹込口67近傍で発生したクリンカCは原料移動に伴って下降し、仕切り板65上に堆積してしまうのである。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであって、炉内を上下に仕切る仕切り板を設け、この仕切り板に上下に貫通する通過孔を設け、酸化剤を吹き込む吹込口を前記仕切り板の上側に設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉を用い、前記仕切り板の上側の炉内に木質バイオマスからなる原料を投入し、前記吹込口から酸化剤を吹込みつつガス化する方法であって、
前記吹込口から水蒸気を吹き込むことを特徴とする木質バイオマスのガス化方法である。
本発明によれば、酸化剤とともに水蒸気が吹き込まれることによって、吹込口近傍の温度上昇が抑制されるため、原料が融点に達し難くなり、クリンカの発生が抑制されるようになる。
特に、通過孔が仕切り板の幅方向中央部に設けられており、吹込口が仕切り板の上側であって且つ通過孔の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込むように設けられている場合、吹込口近傍の下方に仕切り板が存在するため、クリンカが堆積・成長し易い。よって、本発明は、かかる場合に好適である。
また、バークを含む原料は融点が低いだけでなく、発熱量が変動し易い。よって、バークを含む原料を用いる場合に、本発明は好適である。
他方、本発明では、炉内を上下に仕切る仕切り板を設け、この仕切り板の幅方向中央部に、上下に貫通する通過孔を設け、前記仕切り板の上側であって且つ前記通過孔の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込む吹込口を設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉であって、
前記吹込口に水蒸気供給手段を接続し、前記吹込口から水蒸気を吹き込むように構成したことを特徴とする木質バイオマスのガス化装置も提案される。
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであって、炉内を上下に仕切る仕切り板を設け、この仕切り板に上下に貫通する通過孔を設け、酸化剤を吹き込む吹込口を前記仕切り板の上側に設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉を用い、前記仕切り板の上側の炉内に木質バイオマスからなる原料を投入し、前記吹込口から酸化剤を吹込みつつガス化する方法であって、
前記吹込口から水蒸気を吹き込むことを特徴とする木質バイオマスのガス化方法である。
本発明によれば、酸化剤とともに水蒸気が吹き込まれることによって、吹込口近傍の温度上昇が抑制されるため、原料が融点に達し難くなり、クリンカの発生が抑制されるようになる。
特に、通過孔が仕切り板の幅方向中央部に設けられており、吹込口が仕切り板の上側であって且つ通過孔の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込むように設けられている場合、吹込口近傍の下方に仕切り板が存在するため、クリンカが堆積・成長し易い。よって、本発明は、かかる場合に好適である。
また、バークを含む原料は融点が低いだけでなく、発熱量が変動し易い。よって、バークを含む原料を用いる場合に、本発明は好適である。
他方、本発明では、炉内を上下に仕切る仕切り板を設け、この仕切り板の幅方向中央部に、上下に貫通する通過孔を設け、前記仕切り板の上側であって且つ前記通過孔の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込む吹込口を設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉であって、
前記吹込口に水蒸気供給手段を接続し、前記吹込口から水蒸気を吹き込むように構成したことを特徴とする木質バイオマスのガス化装置も提案される。
以上のとおり、本発明によればクリンカの発生を効果的に防止できる。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
図1は、ガス化発電設備例のフローシートを示している。バーク(樹皮)等の木質バイオマス原料Bは原料ピット1に貯留されており、順次ピットクレーン2により取り出され、投入ホッパー3に投入される。木質バイオマス原料としては、森林から得られる枝、葉、梢、根株等の林地残材、製材工場から出るオガ粉、バーク(樹皮)、端材、背板等の残廃材、建築廃材・解体材などの産業廃棄物等を用いることができる。
図1は、ガス化発電設備例のフローシートを示している。バーク(樹皮)等の木質バイオマス原料Bは原料ピット1に貯留されており、順次ピットクレーン2により取り出され、投入ホッパー3に投入される。木質バイオマス原料としては、森林から得られる枝、葉、梢、根株等の林地残材、製材工場から出るオガ粉、バーク(樹皮)、端材、背板等の残廃材、建築廃材・解体材などの産業廃棄物等を用いることができる。
ホッパー3に投入された原料はコンベヤ4によって移送され、固定床ガス化炉6に対して供給される。図示形態では、ガス化炉の入側に、上下に離間配置された投入ダンパー5A,5Bが設けられており、下側のダンパー5Bが閉じられかつ上側のダンパー5Aが開けられた状態で両ダンパー5A,5B間にコンベヤ4からの原料が順次投入され、次いで上側のダンパー5Aが閉じられた後、下側のダンパー5Bが開けられることにより、ダンパー5A,5B間に保持された原料がガス化炉6上部に投入されるようになっている。以降は、この繰り返しにより順次原料がガス化炉6内に供給される。
ガス化炉6としては、ダウンドラフト式(下向流式)の固定床ガス化炉が用いられる。ガス化炉6の具体例は、図2に示されている。すなわち、このガス化炉6は、ホッパーとしての役割を担う上部筒状部61と、この上部筒状部61の底部開口から連続する下部筒状部62と、下部筒状部62を隙間をもって取り囲む筒状ケーシング63とを備えている。これら上部筒状部等61,62,63はそれぞれ縦向き且つ相互に同軸的に配置されている。下部筒状部62の底部開口には火格子64が設けられている。下部筒状部62の高さ方向中間部には、炉内を上下に仕切る仕切り板65が設けられており、この仕切り板65の幅方向中央部には上下に貫通する通過孔66が形成されている。さらに、下部筒状部62内における仕切り板65よりも上側の内周壁には、酸化剤の吹込口67が炉内の幅方向中央を臨むように突出されている。吹込口67の先端は通過孔66の縁よりも外側の位置、つまり仕切り板65における通過孔66を有しない周囲部の上方に位置している。この吹込口67は下部筒状部62の内周方向に沿って適宜の間隔(例えば等間隔)で複数設けるのが好ましい。また、吹込口67は下部筒状部62の内周方向に沿って連続するスリット状に形成することもできる。
吹込口67に対する供給路は適宜形成することができるが、図示形態では、下部筒状部62が内筒部62Aおよび外筒部62Bからなる二重筒状に形成されており、内筒部62Aと外筒部62Bとの間の円筒状空間62Sの上部に吹込口67が連通され、吹込口67よりも下側の部分に外側ケーシング63を貫通する供給管70が連通されることによって、供給路が構成されている。
この供給管70に対しては、図示しない空気供給ポンプ等の酸化剤供給手段が接続されるとともに、本発明に従って図示しないボイラー等の水蒸気供給手段が接続される。これらの手段から供給される酸化剤及び水蒸気は合流された後、吹込口67から下部筒状部62内に吹き込まれる。酸化剤および水蒸気は連続的または断続的に吹き込むことができる。また、酸化剤と水蒸気とは同時に吹き込む他、交互に吹き込むもしくは相互に独立したタイミングで吹き込むこともできる。水蒸気の吹込量は、適宜定めることができるが、木質バイオマス原料に対して5〜10重量%とするのが好ましい。
ガス化炉6内に供給された原料は、上部筒状部61及び下部筒状部62を下降・通過する過程でガス化される。すなわち、上部筒状部61から順次供給される原料は、吹込口67よりも若干上側の熱分解ゾーンに到達すると、熱分解が開始され、ガス(CO、H2、CH4、CO2、H2O)、チャー、炭化水素に分解される。この熱分解ステップの熱源は、次述の燃焼ステップにより発生する熱である。
次いで、この熱分解ステップで生成したガス、チャー、炭化水素は吹込口67から仕切り板65に至る燃焼・ガス化ゾーンに到達し、吹込口67から供給される酸化剤によって燃焼されるとともに、生成したチャーが、温度約700〜1200℃で、主にBoudouard反応と水生ガス反応によりCOとH2に変換され、ガス化が達成される。発生したガスは、火格子64を通過し、下部筒状部62の外面と外側ケーシング63の内周面との間を通り、外側ケーシング63に設けられた排出口71を介して、外部に取り出される。
この際、バークのような低融点バイオマス原料が用いられていると、酸化剤の吹込み部位における燃焼が促進され高温となる結果、吹込口67の近傍でクリンカが発生し易くなるが、本発明に従って水蒸気を吹き込むことにより、燃焼ゾーンにおいて特に高温となる部位を中心に冷却することができ、クリンカの発生を効果的に防止できる。
本発明では、他のクリンカ抑制対策を併用することができ、例えば、ガス化に際して、ガス化炉6内に融点を上昇させる作用を持つ融点上昇物質を存在させることができる。このために、予め原料に融点上昇物質を混入させる等により、原料とともに融点上昇物質をガス化炉6内に供給することができる。吹込口67の近傍はクリンカが発生し易いため、吹込口67を介して酸化剤とともに融点上昇物質を炉6内に投入したり、吹込口67近傍の高さ位置に専用の投入口を設け、この投入口を介して酸化剤とは別に融点上昇物質を炉6内に投入したりするのは好ましい形態である。これらの融点上昇物質の供給位置は適宜組み合わせて使用できる。融点上昇物質としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、燐酸カルシウム、ドロマイト等を用いることができ、粉状や粒子状の形態で用いることができる。融点上昇物質の添加量は、適宜定めることができるが、木質バイオマス原料に対して0.5〜20重量%とするのが好ましい。
また、ガス化に際しては、炉6内に熱分解領域、燃焼領域およびガス化領域が形成される。そして、ガス化領域における固形物の嵩比重が低いと、(1)ガス化領域内におけるガス化可能な成分量がそもそも少ないこと、および(2)空隙に入り込む酸素量が多くなり燃焼が進行し易くなることに起因して、ガス発生量が少なくなる。よって、少なくともガス化領域における固形物の嵩比重が0.5以上、好ましくは0.5〜2.0となるようにするのも好ましい形態である。嵩比重を0.5以上とするために、ガス化炉6内にピストン等の圧縮装置(図示しない)を設け、炉6内の固形物を圧縮することもできるが、予め、木質バイオマスをペレット化、ブリケット化、押出成形、撹拌成形等により、嵩比重が0.5以上となるように圧縮加工しておき、これを原料として炉6内に投入する方が、容易であり好ましい。この場合、原料のサイズは直径6〜12mm、長さ10〜20mmとするのが好ましい。原料のサイズが小さすぎると、圧損増大やクリンカ(焼塊)の生成を引き起こすおそれがあり、反対に原料サイズが大きすぎると炉内にブリッジを発生するおそれがある。
他方、図示形態の設備では、ガス化炉6内の灰は底部の抜出口を介して排出される一方、ガス化炉6内で発生したガスは炉側部から抜き出され、サイクロン等からなる集塵機7に供給されてガス内に混入する灰が除去され、次いで燃料ガス冷却装置8において冷却された後、ガスエンジン9に供給され、燃料として使用される。ガスエンジン9には発電機10が接続されており、発電がなされる。ガスエンジン9の排ガスは排ガス冷却装置11で冷却され、次いで触媒塔12でダイオキシン等の有害物質が除去された後に大気に放出される。図示形態では、各冷却装置8,11は間接熱交換器により構成されており、水等の冷却液が燃料ガス冷却装置8で燃料ガスの冷却に使用された後、ガスエンジン9の冷却液として用いられ、さらにその後、排ガス冷却装置11で排ガスの冷却に使用されるようになっている。
本発明は、木質バイオマスをガス化する限り、そのガスの用途に限定されるものではなく、上記例のような発電利用の他、燃料利用など、広範な用途に適用できるものである。
1…原料ピット、2…ピットクレーン、3…ホッパー、4…コンベヤ、5A,5B…ダンパー、6…固定床ガス化炉、7…集塵装置、8…燃料ガス冷却装置、9…ガスエンジン、10…発電機、11…排ガス冷却装置、12…触媒塔、65…仕切り板、66…通過孔、67…吹込口。
Claims (4)
- 炉内を上下に仕切る仕切り板を設け、この仕切り板に上下に貫通する通過孔を設け、酸化剤を吹き込む吹込口を前記仕切り板の上側に設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉を用い、前記仕切り板の上側の炉内に木質バイオマスからなる原料を投入し、前記吹込口から酸化剤を吹込みつつガス化する方法であって、
前記吹込口から水蒸気を吹き込むことを特徴とする木質バイオマスのガス化方法。 - 前記通過孔は前記仕切り板の幅方向中央部に設けられており、前記吹込口は前記仕切り板の上側であって且つ前記通過孔の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込むように設けられている、請求項1記載の木質バイオマスのガス化方法。
- 前記原料としてバークを含む原料を用いる、請求項1または2記載の木質バイオマスのガス化方法。
- 炉内を上下に仕切る仕切り板を設け、この仕切り板の幅方向中央部に、上下に貫通する通過孔を設け、前記仕切り板の上側であって且つ前記通過孔の上側でない周囲部から炉内の幅方向中央部に向って酸化剤を吹き込む吹込口を設けたダウンドラフト型固定床ガス化炉であって、
前記吹込口に水蒸気供給手段を接続し、前記吹込口から水蒸気を吹き込むように構成したことを特徴とする木質バイオマスのガス化装置。
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