JP2008081463A - 植物の脱色剤及び脱色方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生花等の植物を、耐久性よく新鮮な状態で、効率よく脱色できる脱色剤及び脱色法を提供する。
【解決手段】炭素数1−3の低級アルコールと他の有機極性溶媒を重量比率で50:50〜95:5の割合で含む有機溶媒に、有機酸を0.5〜10重量%の割合で添加混合してなることをなるものを植物の脱色剤とする。当該脱色剤に生花等の植物を浸漬することにより、生花等の植物は新鮮な状態で、効率よく脱色できる。従来、白く脱色することができないとされていた黄色の花や緑の茎等も、脱色可能となる。
【選択図】なし

Description

本発明は、植物の脱色剤、特に生花や葉などを使用した造花の製造において使用するのに適した脱色剤とそれを使用した脱色方法に関する。
生花等を使用した造花の製造方法は、プリザーブドフラワーとして広く実施されており、その中では、生花等を脱色し、染色するという方法も知られている。しかし、生花等を脱色する方法は、過酸化水素系の漂白剤を使用するのがよいとされている(特許文献1の末尾、特許文献2の[0023]、特許文献3の[0007]等参照、その他、プリザーブドフラワーに関するホームページ等にも広く記載されている)が、このような従来の脱色法では、次のような問題があった。
1)脱色されない色がある(花の黄色や茎の緑等)。
2)強い酸化剤を使うため植物自体を傷めることがある。
3)脱色に時間がかかる(2日間以上を要することが多い)。
4)酸化剤が水溶性ため(アルコールの中に水が入る)植物中の水分とアルコールの置換がうまくいかない。
別途、特許文献4には、低級アルコールと有機酸からなる液を脱色液とし、これに植物体を浸漬処理する方法が開示されているが、この脱色液は、生花等を褐色化しないようにするためのものであって、24時間浸漬処理しても、生花等が白くなるまで脱色できるものではなかった。
特表平4−505766号公報 特開2004−99605号公報 特開2004−203815号公報 特開2006−111598号公報
本発明は、このような欠点を解消し、過酸化水素系のような劇薬を使用することなく、生花等の植物を、耐久性よく新鮮な状態で、効率よく脱色できる脱色剤及び脱色法を提供することを課題とする。
本発明者は、炭素数1−3の低級アルコールと他の有機極性溶媒を組み合わせて使用し、それを酸性条件下使用することにより、前記課題を解決することを見出した。
すなわち、本発明では、炭素数1−3の低級アルコールと他の有機極性溶媒を重量比率で50:50〜95:5の割合で含む有機溶媒に、有機酸を0.5〜10重量%の割合で添加混合してなるものを生花等の植物の脱色剤とする。
かかる本発明の脱色剤では、その中に生花等を浸漬するだけで、生花等を新鮮な状態で短時間で、効率よく白く脱色することが可能である。赤色の花では1〜2時間で完全な脱色が可能となり、従来不可能とされていた黄色の花でも、2〜5時間程度で脱色が可能となる。
低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−又はiso−プロパノールの使用が可能であるが、メタノール、エタノールの使用が好ましく、メタノールが最も効率よく使用できる。
また、これら低級アルコールと組み合わせ使用する他の有機極性溶媒は、低級アルコールに可溶であり、染料溶解剤として使用可能なものであればよく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、NN−ジメチルアセトアミド、NN−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキサイド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、εカプロラクタム、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルカービノール、メチルイソブチルケトン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、ダイヤセトンアルコール、チオジグリコール、酢酸ブチル、酢酸アリル、酢酸イソプロピル、酢酸アミール、酢酸エチル、1,3−ブタンジオール及びメトキシブタノールからなる群から選ばれるものを使用するのが好ましく、これらは二種以上併用されてもよい。他の有機極性溶媒として特に好ましいのは、N−メチル−2−ピロリドン、NN−ジメチルアセトアミド、NN−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキサイド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、εカプロラクタム等である。これらは、単独で使用されても、混合使用されてもよく、また、添加剤を含んでも良い。また、該溶媒として、一般に染料溶解剤として市販されるものも使用可能である。例えば、LANXESS社製のLEVALIN EX-BNS、クラリアントジャパン社製のLyocol BCやLyocol KH、コタニ化学社製のソルバー580、日成化成社製のニチロンソルブN-507、日新化学社製のニッシンゾール2GやニッシンゾールCF、モーリン化学社製のモーリンTDGやモーリンゾルHIT、BASF社製のGlyecin A、Glyecin BC又はSesolvan L、大阪ケミカル社製のグリコゾールN1やグリコゾールN-150、七福化学社製のグリゾル AAC、明成化学社製のグリソルブAOX、グリソルブBE又はグリソルブZO、センカ社製のセレナゾールPDN、日華化学社製のダイセントDHやニューソルブEG、東邦化学社製のトーホーソルトA100又はCP60、ニッコー技研社製のヒドロゾールEG、ヒドロゾールN又はヒドロゾールTN、古川化学社製のペネゾールCPX、ユ二化成社製のユ二カゾールD-2、ユ二カゾールLX-7又はユ二カゾールEBなどである。
なお、低級アルコールと他の有機極性溶媒の混合割合は、重量比率で50:50〜95:5であればよいが、55:45〜90:10程度であるのが好ましい。他の有機極性溶媒の量が多すぎると、生花を新鮮状態に保ち難くなり、また、脱色の程度も悪くなる。
有機酸は、脱色剤を酸性に保つために添加混合されれよく、通常、脱色剤に0.5〜5重量%程度の割合で添加混合されればよく、1〜3重量%程度であるのが好ましい。
使用される有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イタコン酸、オクチル酸、シクロヘキサンカルボン酸、酒石酸、リンゴ酸、セバシン酸、グルコン酸、ブタンテトラカルボン酸、乳酸、レプリン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コクハク酸、グルタル酸、アジピン酸及びクエン酸などが挙げられる。
かかる本発明の脱色剤は、生花等の植物をその中に浸漬するだけで、生花等を白く脱色できるものであり、該浸漬処理は常温で実施可能である。
なお、このようにして脱色した生花等は、脱色後、通常のプリザーブドフラワーの手法により種々の色に染色可能である。
次に、本発明の実施例を示す。
実施例1−6及び比較例1
表1に示す組成からなる7種の脱色剤を準備し、これらの脱色剤に、常温で黄色のバラを浸漬し、脱色の状態を試験した。その結果を表1に示す。
従来、脱色できないとされていた黄色の花が、本発明に従った低級アルコールと他の有機極性媒体と有機酸を含む脱色剤では、脱色でき、特に実施例3,4では、短時間で完全に白く脱色できた。なお、有機酸として氷酢酸を使用した実施例1−3では、製品に若干酢酸臭が残ったが、イタコン酸を使用した実施例4−5では、無臭で、品質のよい製品を得ることができた。
Figure 2008081463
実施例7−10及び比較例2−4
表2に示す組成からなる7種の脱色剤を準備し、これらの脱色剤に、常温で黄色のバラを浸漬し、脱色の状態を試験した。その結果を表2に示す。
本発明に従った実施例7−10では、花を新鮮な状態に保った効率のよい脱色が可能であったが、低級アルコールの使用量が少ない比較例2−4では、脱色剤への浸漬で花の状態が悪くなり、特に、比較例3−4では、脱色も悪くなった。
Figure 2008081463
実施例11−13
表3に示す通り、実施例10と同様の組成からなる脱色剤に赤いバラ、黄色の菊、黄色のヒマワリを浸漬し、脱色の状態を試験した。赤いバラは1時間で完全に白く脱色し、黄色の菊は黄色のバラ同様、2時間程度で脱色した。ヒマワリは水分率が少ないので少し時間がかかったが、完全脱色が可能であった。
Figure 2008081463
実施例14−18
表4に示す通り、組成の異なる脱色剤を7種準備し、赤いバラを浸漬して、脱色の状態を試験した。実施例17,18では1−2時間で、完全に脱色し、実施例16,15,14の順に、脱色に時間がかかったが、いずれも、実用性ある脱色が可能であった。
また、黄色のバラについて浸漬試験をした結果、実施例17,18では、4−5時間で完全に脱色できた。
Figure 2008081463
実施例19−20
表5に示す脱色剤で、アイビーリーフと黄色のバラを脱色し、その後、染料を含む保湿剤(京華クラフト製の「一液くん」)に浸漬することにより、新鮮な状態で耐久性よく、綺麗な外観を有する製品を得ることができた、
アイビーリーフは、漂白に、花より多少多くの時間を要するが、24時間の脱色後、染色することで、綺麗に自然な色に染色された製品を得ることができ、黄色のバラは、4時間の脱色処理で完全に白く脱色され、染料入りの保湿剤への浸漬で、美しいピンクのバラに変身させることができた。
Figure 2008081463
なお、アスパラペラをアイビーリーフと同様の処理をしたところ、葉を新鮮な状態に保って、自然のままの外観の製品を得ることができた。
このようにして実施例で脱色した生花等はいずれも、通常のプリザーブドフラワーの手法で染料を加えた仕上剤を適用して所望の色に着色することができ、その結果、最初から所望の色を有する新鮮な生花であるかのような状態に仕上ることができた。

Claims (4)

  1. 炭素数1−3の低級アルコールと他の有機極性溶媒を重量比率で50:50〜95:5の割合で含む有機溶媒に、有機酸を0.5〜10重量%の割合で添加混合してなることをなることを特徴とする植物の脱色剤。
  2. 前記他の有機極性溶媒が、N−メチル−2−ピロリドン、NN−ジメチルアセトアミド、NN−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキサイド、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、εカプロラクタム、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルカービノール、メチルイソブチルケトン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、ダイヤセトンアルコール、チオジグリコール、酢酸ブチル、酢酸アリル、酢酸イソプロピル、酢酸アミール、酢酸エチル、1,3−ブタンジオール及びメトキシブタノールからなる群から選ばれることを特徴とする請求項1の脱色剤。
  3. 前記有機酸が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イタコン酸、乳酸、オクチル酸、シクロヘキサンカルボン酸、酒石酸、リンゴ酸、セバシン酸、グルコン酸、ブタンテトラカルボン酸、レプリン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コクハク酸、グルタル酸、アジピン酸及びクエン酸からなる群から選ばれることを特徴とする請求項1又は2の脱色剤。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の脱色剤に、植物を浸漬し、植物を脱色することを特徴とする植物の脱色方法。
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