JP2008080970A - 空気入りタイヤおよび空気入りランフラットタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤおよび空気入りランフラットタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】重量の増加およびコストの増加を伴うことなく、袋を設置するだけで簡単に潤滑剤層を設置でき、リム組み作業が簡素であり、バランスに優れ、潤滑剤が密封されているために潤滑剤の保存安定性に優れると共に潤滑剤中への異物(ホコリや水分)の混入を効率的に防止できる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体12を内部に備えた状態で、該支持体12と共にリム16に組み付けられるランフラットタイヤ用の空気入りタイヤ14であって、タイヤトレッド部23内面に潤滑剤30を封入した袋23が設置されていることを特徴とする空気入りタイヤ14。
【選択図】図1

Description

本発明は内圧低下緊急走行の場合にも、その状態のまま相当の距離を走行し得るようにリムに支持される緊急走行用支持体が設けられた空気入りランフラットタイヤ、およびそれに用いられる空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤでランフラット走行が可能なタイヤとして、タイヤの空気室内におけるリムの部分に金属、合成樹脂性の環状の中子(支持体)を取り付けた中子タイプが知られている。
この中子タイプでは、ランフラット走行時は支持部の凸部がタイヤトレッド部内面と接触することにより荷重を保持するが、タイヤトレッド部に掛かる負担が大きく、最終的にタイヤトレッド部故障により走行不能に陥ることがある。そのためタイヤトレッド部内面の損傷を抑制すべく、タイヤトレッド部内面に潤滑剤を塗布したタイヤ、リム、中子組み立て体が開示されている(例えば、特許文献1または2参照)。
これらのタイヤ、リム、中子組み立て体のリム組み方法は、まずタイヤトレッド部内面に潤滑剤を塗布し、次にタイヤ内へ中子を装填し、最後にタイヤ、中子を同時にリムに組み込む。そのため、リム組み作業時にタイヤトレッド部内面に潤滑剤を塗布する工程が必要であり、タイヤがアンバランスとなることを防止する観点で該潤滑剤は周上均一に塗布することが要求されることから、該塗布は煩雑な工程となる。
また、タイヤ内へ中子を装填した状態はタイヤ内で中子が径方向に自由に動く状態であるために、タイヤ、中子体の運搬時にタイヤトレッド部内面に塗布した潤滑剤と中子が接触することにより、潤滑剤層の膜厚が不均一となりバランスが悪化するという問題点がある。
このような課題を防止する方法として、(1)中子支持面内側に潤滑剤を別個の容器に封入しランフラット走行時に潤滑剤が供給される中子、タイヤ組み立て体が開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、(2)タイヤトレッド部内面にシーリング材組成物を含有する特殊エラストマー層を設け、前記シーリング材組成物中に粒状のオイルを分散してなる空気入りランフラットタイヤが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2003−326925号公報 特開2004−175222号公報 特開2001−163020号公報 特開2005−035474号公報
しかし上記(1)の手法では、ランフラット走行時に作動する弁もしくは栓を有した潤滑剤供給装置を中子の内側に設ける必要があり、重量の増加、コストの増加、またシステムそのものが複雑になり過ぎるという欠点を有する。
また、上記(2)の手法に対しては、潤滑剤の保存安定性に優れると共に異物の混入を防止でき、更にはエラストマー層を設けるよりも簡単に潤滑剤層を設置するとの観点で更なる改善の余地が残されていた。
本発明は、上記事実を考慮し、重量の増加およびコストの増加を伴うことなく、袋を設置するだけで簡単に潤滑剤層を設置でき、リム組み作業が簡素であり、バランスに優れ、潤滑剤が密封されているために潤滑剤の保存安定性に優れると共に潤滑剤中への異物(ホコリや水分)の混入を効率的に防止できる空気入りタイヤおよび空気入りランフラットタイヤを提供することを目的とする。
請求項1に記載の空気入りタイヤは、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体を内部に備えた状態で、該支持体と共にリムに組み付けられるランフラットタイヤ用の空気入りタイヤであって、タイヤトレッド部内面に潤滑剤を封入した袋が設置されていることを特徴とする。
請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
従来の中子式ランフラットタイヤに用いられる空気入りタイヤでは、ランフラット走行時にタイヤ内面に前記支持体(中子)が接触することによる磨耗を防ぐため、タイヤトレッド部内面に潤滑剤を塗布する工程を設けていた。該工程では、タイヤがアンバランスとなることを防止するため潤滑剤を均一に塗布する必要があり、塗布作業は自動化された機械で実施するか、または細心の注意を払いながら手作業で実施する必要があった。
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、潤滑剤を袋に封入し、該袋をタイヤトレッド部内面に接着等の方法によって設置していることから、タイヤトレッド部内面に潤滑剤を設ける(前記袋を設置する)工程が、従来の潤滑剤塗布工程やエラストマー層を設ける工程よりも短時間に且つ容易に行うことができ、町のタイヤショップ等であっても簡単に潤滑剤層を設置することができる。しかもリム組み作業の前にあらかじめタイヤトレッド部内面に潤滑剤を設けて(前記袋を設置して)おくこともできるため、リム組み作業を大幅に簡素化することができる。また、袋に潤滑剤を封入していることから、運搬(タイヤ中子体の状態での運搬等)時においても潤滑剤層の厚さが不均一となることが抑制されるため、優れたバランスを得ることができる。更に、潤滑剤が密封されているために潤滑剤の保存安定性に優れると共に潤滑剤中への異物(ホコリや水分)の混入を効率的に防止できる。
またランフラット走行が開始されると、支持体とタイヤトレッド部内面とが接触するため、摩擦低減のために該接触部に潤滑剤が供給される必要がある。請求項1に記載の空気入りタイヤを用いた場合、支持体とタイヤトレッド部内面とが接触した際の摩擦により、タイヤトレッド部内面に設置した前記袋が破け、それによって袋に封入されていた潤滑剤が支持体とタイヤトレッド部内面との間に流出するため、前記接触部での摩擦が低減される。尚、ランフラット走行時の潤滑剤供給が上記のようにして行われることから、請求項1に記載の空気入りタイヤを用いた場合には、支持体の内側等に潤滑剤供給装置を設ける必要がなく、重量の増加およびコストの増加を伴うことなく良好なランフラット走行を実現することができる。
請求項2に記載の空気入りタイヤは、請求項1に記載の空気入りタイヤであって、前記袋が、引っ張り強度2.0kg/mm以上であるフィルムによって作製されていることを特徴とする。
請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
袋を形成するフィルムの引っ張り強度が2.0kg/mm以上であることから、良好な強度を有する袋とすることができ、タイヤ内に支持体を装填する作業時等における袋の破けを防止しつつ、袋の設置(接着等)を確実に行うことができる。尚、上記フィルムの厚さは、更に2.5kg/mm以上であることがより好ましく、3.0kg/mm以上であることが特に好ましい。また、ランフラット走行時には、支持体とタイヤトレッド部内面との摩擦によって破けて潤滑剤を良好に流出させる観点から、上限値は5.0kg/mm以下であることが好ましく、4.5kg/mm以下であることがより好ましく、4.0kg/mm以下であることが特に好ましい。
上記引っ張り強度の測定は、JIS−C2318に則して行うことができる。
請求項3に記載の空気入りタイヤは、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤであって、前記袋が合成樹脂フィルムで作製されており、該合成樹脂フィルムの厚さが40μm〜200μmであることを特徴とする。
請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
袋が合成樹脂フィルムで作製されていると共に、該フィルムの厚さが40μm〜200μmであることから、良好な強度を有する袋とすることができ、タイヤ内に支持体を装填する作業時等における袋の破けを防止しつつ、タイヤトレッド部内面への袋の設置(接着等)を確実に行うことができる。
フィルムの厚さが40μm以上であることにより、上記の通り装填作業時等における袋の破けを防止することができ、一方200μm以下であることにより、ランフラット走行時においては速やかに破れて効率的に潤滑剤が供給される。また、かさばって厚いフィルムはタイヤと支持体間の潤滑の妨げになるが、200μm以下であることから、破れたフィルムがタイヤと支持体間の潤滑を阻害することを防止することができる。タイヤと支持体間に絡まって発熱することを防止するには、強度を保ちつつ薄いことが好ましい。
尚、上記フィルムの厚さは、更に50μm〜100μmであることがより好ましく、55μm〜70μmであることが特に好ましい。
請求項4に記載の空気入りタイヤは、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤであって、前記袋が、タイヤ周方向において少なくとも2個以上に分割されていることを特徴とする。
請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
袋がタイヤ周方向において少なくとも2個以上に分割されている、即ち潤滑剤を封入した2個以上の袋を用いてタイヤトレッド部内面に潤滑剤を設けている(袋を設置している)ことから、通常走行時における潤滑剤の拡散や、タイヤ停止時における潤滑剤の偏在をより効果的に抑制することができ、より優れたバランスを得ることができる。
また、袋が2個以上に分割され、即ち潤滑剤を小分けにして封入していることから、支持体の凸部とタイヤトレッド部内面との摩擦によって袋が破けた際の潤滑剤の流出がより良好に行われる。
請求項5に記載の空気入りタイヤは、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤであって、前記潤滑剤の混和ちょう度が250〜350であることを特徴とする。
請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
潤滑剤の混和ちょう度が250〜350であることから、硬すぎず適度なやわらかさを有する潤滑剤とすることができ、ランフラット走行が開始され袋が破けた際に、支持体とタイヤトレッド部内面との接触部分に速やかに潤滑剤が供給される。
潤滑剤の混和ちょう度が250以上であることにより、上記の通り適度なやわらかさを得ることができ、ランフラット走行時に袋が破けた際の潤滑剤の流出が良好に行われる。一方350以下であることにより、適度な硬さを得ることができ、通常走行時における潤滑剤の拡散、タイヤ停止時における潤滑剤の偏在等をより効果的に抑制することができる。尚、上記混和ちょう度は、更に280〜320であることがより好ましい。
上記混和ちょう度の測定は、JIS−K2220−5.3.2に則して行うことができる。
請求項6に記載の空気入りタイヤは、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤであって、前記潤滑剤が基材に含浸されていることを特徴とする。
請求項6に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
潤滑剤を含浸した基材が前記袋に封入されていることから、通常走行時における潤滑剤の拡散や、タイヤ停止時における潤滑剤の偏在をより効果的に抑制することができる。
請求項7に記載の空気入りランフラットタイヤは、空気入りタイヤの内部に配設され、前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体を備える空気入りランフラットタイヤであって、前記空気入りタイヤとして、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤを備えたことを特徴とする。
請求項7に記載の空気入りランフラットタイヤの作用を説明する。
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の空気入りタイヤを備えていることから、回転バランスが良く、また、ランフラット走行時に袋に封入されていた潤滑剤が支持体とトレッド部内面との間に流出して、トレッド部内面と支持体との接触部での摩擦が低減される。
請求項8に記載の空気入りランフラットタイヤは、請求項7に記載のランフラットタイヤであって、前記環状の支持体が、タイヤ径方向外側に突出する2個以上の凸部と、タイヤ径方向内側に突出する1個以上の凹部と、を有し、前記凸部の頂上間距離に対し、前記袋の設置幅が150%〜200%であることを特徴とする。
請求項8に記載の空気入りランフラットタイヤの作用を説明する。
環状の支持体として、タイヤ径方向外側に突出し周方向に連続する凸部を少なくとも2個以上と、タイヤ径方向内側に突出し周方向に連続する凹部を少なくとも1個以上有する支持体を用いたランフラットタイヤでは、内圧低下走行(ランフラット走行)時には前記2個以上の凸部がタイヤトレッド部内面と接触することにより荷重を保持する。
請求項8に記載の空気入りランフラットタイヤでは、上記のような態様において袋の設置幅が支持体の凸部頂上間距離に対し150%〜200%であることから、袋が設置されている範囲(軸方向の幅)が支持体の凸部の頂上間距離よりも広く、これによって支持体の凸部とタイヤトレッド部内面との摩擦による袋の破けがランフラット走行開始後速やかに且つ確実に行われるため、潤滑剤による前記接触部での摩擦の低減がより良好に行われる。
支持体の凸部の頂上間距離に対する袋の設置幅が150%以上であることにより、上記の通り袋の破けが良好に行われ、一方200%以下であることにより、タイヤトレッド部内面への設置(接着等)が容易に行える。尚、上記凸部の頂上間距離に対する袋の設置幅は、更に160%〜200%であることがより好ましく、170%〜190%であることが特に好ましい。
ここで、上記「凸部の頂上間距離」とは、軸方向に互いに隣り合った2個の凸部の頂上における軸方向の距離を表し、例えば、図1に示すL1の距離を表す。
また、上記「袋の設置幅」とは、タイヤトレッド部内面に潤滑剤を封入した袋を設置した際の、軸方向における袋末端と他端との幅を表し、例えば、図1に示すL2の幅を表す。
以上説明したように本発明の空気入りタイヤおよび空気入りランフラットタイヤによれば、重量の増加およびコストの増加を伴うことなく、袋を設置するだけで簡単に潤滑剤層を設置でき、リム組み作業が簡素であり、バランスに優れ、潤滑剤が密封されているために潤滑剤の保存安定性に優れると共に潤滑剤中への異物(ホコリや水分)の混入を効率的に防止できるという優れた効果を有する。
本発明の空気入りタイヤおよび空気入りランフラットタイヤを図面に基づき説明する。ここで、図1に示す空気入りランフラットタイヤ10は乗用車用であり、支持体12と空気入りタイヤ14を、この空気入りタイヤ14に対応したJATMA規格等の標準リム16に組み付けたものである。
なお、図1において、符号16Aはフランジ、符号16Bはビードシート、符号16Cはハンプ部、符号16Dはドロップ部である。
本実施形態における空気入りタイヤ14は、一対のビードコア18と、両ビードコア18に跨がって延びるトロイド状のカーカス20と、カーカス20のクラウン部に位置する複数(本実施形態では2枚)のベルト層22を備え、カーカス20の外側にはゴム層が配置されている。カーカス20の外側に配置されるゴム層は、周知のように、トレッド部23、サイド部24、タイヤビード部25等、各々の部位に最適なゴムが選択され使用されている。
なお、本実施形態の空気入りタイヤ14は、例えば、JATMAの規格に従って形成されている。上記標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2006年度版規定のリムであり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2006年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、内圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”Approved Rim” 、”Recommended Rim”)のことである。
規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc. のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
(支持体)
図1に示すように、環状とされている支持体12には、環状の支持部26が備えられている。図1に示す支持部26は、円筒状の金属プレートから形成されている。この支持部26には、軸方向中央部に互いに離れた複数個(本実施の形態では2個)の凸部26A、26Bが形成され、その間に径方向内側に凸となる凹部26Cが形成されている。
支持部26の軸方向両側には、弾性体としてのエラストマーで形成された脚部28が備えられている。脚部28は、タイヤビード部25の内側に配置されている。
これら軸方向両側の脚部28の内部には支持部26が埋設されており、支持部26はそれぞれの内周面及び外周面がエラストマー部分に接着されている。なお、本実施形態の脚部28はゴム製であり、支持部26は各々ゴムに加硫接着されている。本実施形態においては、脚部28の内部には支持部26以外の部材は埋設されていない。
また本発明における支持体は、図2および図3に示すように、少なくとも2個以上(本実施形態では3個)の弧状部材11により構成され、各弧状部材11の端部同士を重ね合わせて連結部48にて連結し環状に組み立てられた支持体13であってもよい。
弧状体11の内周面は、リム16の外周面に回転可能に嵌合されており、一方、弧状体11の外周面は、タイヤトレッド部23の内面の車軸方向中央部に対応している。
図2に示す支持体13は、図1に示す支持体12の支持部26と同様に、軸方向中央部に互いに離れた複数個(本実施の形態では2個)の凸部13A、13Bが形成され、その間に径方向内側に凸となる凹部13Cが形成されている。
図2に示す支持体13は、主に合成樹脂材料で構成されている。
ここで用いる合成樹脂材料としては、特に曲げ弾性率7000〜16000MPa(ISO 170(乾燥状態))でアイゾット衝撃値9〜25kg/cm(ISO 180/1A(乾燥状態)ノッチ付)で熱変形温度220℃(18.5kg/cm)以上の合成樹脂材料を使うことが好ましく、具体的には、ナイロン6・6、ナイロン4・6を含む熱可塑性樹脂等が好ましい。
また、強度等を向上するために、合成樹脂材料にガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、アルミナ繊維等の各種短繊維、ウィスカー、カルシウム等の周知の充填材を混入しても良い。
(潤滑剤を封入した袋)
タイヤトレッド部の内側を覆うように設置される、潤滑剤を封入した袋について説明する。
尚、以下においては図1に記載の円筒状金属プレートから形成される支持部26を有する支持体12を例に説明するが、図2に記載の合成樹脂材料で構成され一体成形された環状の支持体13においても、同様の構成とすることができる。また、図1および図2においては、分かりやすく表示するため袋32を構成するフィルムの厚さを実際の寸尺とは変えて、厚く表示する。
図1に示す空気入りランフラットタイヤ10では、タイヤトレッド部23の内面にタイヤ周方向全面に渡って、潤滑剤30が封入された袋32が設置されている。袋32は、支持部26の凸部26Aおよび26Bの頂上間距離L1より広い範囲である設置幅L2を覆うようにして設置されている。
尚、タイヤトレッド部23の内面への袋32の設置方法としては、接着が好ましく用いられる。特に限定されるわけではないが、図4に示すように、袋32の一部の領域(接着面)に粘着剤層34をあらかじめ形成しておくことが、接着作業の容易性という観点から好ましい。また上記のように粘着剤層34を形成した袋32には、保存時における粘着剤層34の保護の観点から、図4に示すように粘着剤層34の上に剥離紙36を設けることが好ましい。
接着作業時には、剥離紙36を剥離して粘着剤層34を露出させることにより、シールのようにしてタイヤトレッド部23の内面へ袋32を接着させることができる。上記接着作業は、リム組み作業時の一工程として行ってもよいし、リム組み作業を行う前(例えば、タイヤ14の製造時)にあらかじめ行っておいてもよい。
尚、図4においては、分かりやすく表示するため袋32を構成するフィルム、粘着剤層34および剥離紙36の厚さを実際の寸尺とは変えて表示している。
また袋32は、タイヤ周方向全周に渡って1つの袋32で構成されていてもよいが、2個以上に分割された構成であることがより好ましい。図5の(A)および(B)に示すように、2個以上(図5では3個)の袋32に分割されていることにより、通常走行時における潤滑剤30の拡散や、タイヤ停止時における潤滑剤30の偏在をより効果的に抑制することができ、より優れたバランスを得ることができると共に、支持部26の凸部26Aおよび26Bとタイヤトレッド部23内面との摩擦によって袋32が破けた際の潤滑剤30の流出がより良好に行われる。
尚、分かりやすく表示するため、図5(A)では袋32のみを、図5(B)では空気入りタイヤ14と袋32のみを示し、その他は省略した。
次いで、図1に記載の空気入りランフラットタイヤの作用を説明する。
環状の支持体12は、内圧低下走行(ランフラット走行)時には凸部26Aおよび26Bがタイヤトレッド部23の内面と接触することにより荷重を保持する。
従来の中子式ランフラットタイヤでは、ランフラット走行時にタイヤ内面に前記支持体が接触することによる磨耗を防ぐため、タイヤトレッド部内面に潤滑剤を塗布する工程を設けていた。該工程では、タイヤがアンバランスとなることを防止するため潤滑剤を均一に塗布する必要があり、塗布作業は自動化された機械で実施するか、または細心の注意を払いながら手作業で実施する必要があった。
しかし、図1に記載の空気入りランフラットタイヤ10では、潤滑剤30を袋32に封入し、該袋32をタイヤトレッド部23内面に接着等の方法によって設置していることから、タイヤトレッド部23内面に潤滑剤30を設ける(前記袋32を設置する)工程が、従来の潤滑剤塗布工程やエラストマー層を設ける工程よりも短時間に且つ容易に行うことができ、町のタイヤショップ等であっても簡単に潤滑剤30を設置することができる。しかもリム組み作業の前にあらかじめタイヤトレッド部23内面に潤滑剤30を設けて(前記袋32を設置して)おくこともできるため、リム組み作業を大幅に簡素化することができる。
また、袋32に潤滑剤30を封入していることから、運搬(タイヤ中子体の状態での運搬等)時においても潤滑剤30の厚さが不均一となることが抑制されるため、優れたバランスを得ることができる。更に、潤滑剤30が密封されているために潤滑剤30の保存安定性に優れると共に潤滑剤30中への異物(ホコリや水分)の混入を効率的に防止できる。
また、ランフラット走行が開始されると、凸部26Aおよび26Bとタイヤトレッド部23の内面とが接触し摩擦が発生する。この摩擦により、タイヤトレッド部23内面に設置した袋32が破け、それによって袋32に封入されていた潤滑剤30が支持部26の凸部26Aおよび26Bとタイヤトレッド部23内面との間に流出するため、前記接触部での摩擦が低減される。
尚、ランフラット走行時の潤滑剤30の供給が上記のようにして行われることから、図1に記載の空気入りランフラットタイヤ10では支持体12の内側等に潤滑剤供給装置を設ける必要がなく、重量の増加およびコストの増加を伴うことなく良好なランフラット走行を実現することができる。
ここで、上記袋32としては、潤滑剤30を透過しにくく、リム組み作業時や通常走行時等において破れにくいとの観点から、合成樹脂フィルム製のものを用いることが好ましく、該合成樹脂フィルムとしては、特にポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムなどが好ましい。
また、良好な強度を有するとの観点から、上記フィルムの引っ張り強度が2.0kg/mm以上であることが好ましく、更に2.5kg/mm以上であることがより好ましく、3.0kg/mm以上であることが特に好ましい。また、ランフラット走行時には、支持部26とタイヤトレッド部23内面との摩擦によって破けて潤滑剤30を良好に流出させる観点から、上限値は5.0kg/mm以下であることが好ましく、4.5kg/mm以下であることがより好ましく、4.0kg/mm以下であることが特に好ましい。
尚、上記引っ張り強度の測定は、JIS−C2318に則して行うことができる。
また、上記フィルムの厚さは40μm〜200μmであることが好ましく、50μm〜100μmがより好ましく、55μm〜70μmが特に好ましい。
また、上記粘着剤層34を形成する粘着剤(接着剤)としては、従来公知のものを適宜用いることができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が好適に用いられる。
また、上記剥離紙36としては、例えば、ポリエチレンラミネートした上質紙等が好適に用いられる。
上記潤滑剤30としては、シリコンオイルをはじめとしたシリコーン系、ポリエチレングリコール、炭化水素系、エーテル系、アロマー系等の、従来公知の潤滑剤を使用することができる。耐熱性に優れタイヤゴム等に対する劣化などが極めて少ないとの観点からは、シリコーン系、ポリエチレングリコール等が好ましい。
また、ランフラット走行が開始され袋32が破れた際に、支持部26の凸部26Aおよび26Bとタイヤトレッド部23内面との接触部分に速やかに潤滑剤30が供給されるよう潤滑剤30は適度なやわらかさを有していることが好ましく、潤滑剤30の混和ちょう度が250〜350であることが好ましい。尚、上記混和ちょう度は、更に280〜320であることがより好ましい。
上記混和ちょう度の測定は、JIS−K2220−5.3.2に則して行うことができる。
また、通常走行時における潤滑剤30の拡散や、タイヤ停止時における潤滑剤30の偏在を効果的に抑制できるとの観点から、潤滑剤30を基材に含浸した状態で袋32に封入することができる。
上記基材としては、不織布、ウレタンフォーム等の連続気泡体、織物等、潤滑剤30によって劣化、ぜい化等の化学変化を起こしにくく、かつ、潤滑剤30を含浸させることができるものを用いることができる。その中でも、以上の観点から、不織布、連続気泡体が特に好ましい。
下記実施例により本発明の効果を検証した。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。
<リム組み作業時間の評価>
[実施例]
図4に示す、粘着剤層34と剥離紙36とを備え潤滑剤30を封入した袋32を用いて、タイヤ14のトレッド部23内面に上記袋32を接着した後、支持体12を装填して、図1に示す空気入りランフラットタイヤ10のように、リム16に組み付けるまでのリム組み作業時間を測定した。尚、空気入りタイヤ10のサイズとしてはPSR225/60R17、リム幅7.0Jで検討した。
[比較例]
実施例において用いた袋32を用いず、トレッド部23内面に潤滑剤30を塗布する工程を設けたこと以外は、上記実施例と同様にしてリム組み作業時間を測定した。
該比較例でのリム組み時間を基準値(100)として、相対値となる評価を、下記表1に示す。尚、指標が小さいほどリム組み作業時間が短いことを示す。
<ランフラット走行耐久距離の評価>
排気量3000ccの前輪駆動乗用車の前輪に、上記実施例および比較例でリムに組み付けた空気入りランフラットタイヤを取り付け、タイヤ内圧を0kPaとし、荷重条件として5名乗車、速度90km/hでランフラットタイヤに故障が発生するまで走行させ、その走行距離を求めた。
比較例のランフラットタイヤの測定値を基準値(100)として、相対値となる評価を、下記表1に示す。尚、指標が大きいほどランフラット耐久性が良いことを示す。
Figure 2008080970
実施例では、袋32に備えられた剥離紙36を剥がした後シールの要領で容易にタイヤトレッド部23内面に袋32を接着することが可能であり、非熟練者であっても容易に且つ短時間で接着作業を行えることが確認された。また、実施例のランフラットタイヤは、ランフラット走行時において、従来(比較例)と同等の耐久性が得られることが確認された。
本発明の空気入りランフラットタイヤの一例を示す断面図である。 本発明の空気入りランフラットタイヤの一例を示す断面図である。 図2に示されるランフラットタイヤを車軸方向から見た断面図である。 本発明に係る潤滑剤を封入した袋の一例を示す断面図である。 (A)は潤滑剤を封入した袋の設置方法の一例を示す斜視図であり、(B)は(A)の側面図である。
符号の説明
10 空気入りランフラットタイヤ
11 弧状体
12、13 支持体
14 空気入りタイヤ
16 リム
18 ビードコア
25 タイヤビード部
26 支持部
26A、26B 凸部
26C 凹部
28 脚部
30 潤滑剤
32 袋
34 粘着剤層
36 剥離紙

Claims (8)

  1. ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体を内部に備えた状態で、該支持体と共にリムに組み付けられるランフラットタイヤ用の空気入りタイヤであって、
    タイヤトレッド部内面に潤滑剤を封入した袋が設置されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記袋が、引っ張り強度2.0kg/mm以上であるフィルムによって作製されていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記袋が合成樹脂フィルムで作製されており、該合成樹脂フィルムの厚さが40μm〜200μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記袋が、タイヤ周方向において少なくとも2個以上に分割されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記潤滑剤の混和ちょう度が250〜350であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記潤滑剤が基材に含浸されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 空気入りタイヤの内部に配設され、前記空気入りタイヤと共にリムに組み付けられ、ランフラット走行時に荷重を支持可能な環状の支持体を備える空気入りランフラットタイヤであって、
    前記空気入りタイヤとして、請求項1〜6の何れか1項に記載の空気入りタイヤを備えたことを特徴とする空気入りランフラットタイヤ。
  8. 前記環状の支持体が、タイヤ径方向外側に突出する2個以上の凸部と、タイヤ径方向内側に突出する1個以上の凹部と、を有し、
    前記凸部の頂上間距離に対し、前記袋の設置幅が150%〜200%であることを特徴とする請求項7に記載の空気入りランフラットタイヤ。
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