JP2008077753A - 光ディスク装置及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を抑制できる光ディスク装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【解決手段】集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、アナログ信号処理部11からモータ駆動部13及び対物レンズ4を経由してアナログ信号処理部11に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、光ディスクに情報の記録または再生の少なくとも一方を行う光ディスク装置及びその制御方法に関するものである。
従来の光ディスク装置において、光ディスクにデータを記録・再生する際の動作について説明する。
光ディスクに、部分的な歪みによる情報トラックの変形などが存在すると、光ディスクへの記録・再生を高速で行う際に、対物レンズのトラックへの追従が間に合わなくなり、最悪の場合、トラック飛びを起こして記録エラーが発生し、データの記録・再生が失敗となる可能性があった。このため、従来の光ディスク装置には、トラッキングエラー信号の出力値が、予め設定された閾値の範囲外となると、トラッキングサーボの応答性を改善しデータを正常に記録または再生するために、スピンドルモータの回転速度を低下させ、光ディスクへのデータ記録倍速、または光ディスクのデータ再生倍速を低下させるものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−062945号公報
しかしながら、上記従来の光ディスク装置では、以下のような問題が生じていた。
即ち、光ディスク装置においては、光ディスクを挿入した時などの光ディスク装置の起動時毎に、対物レンズを光ディスクの情報トラックに追従させずに半径方向に大きく移動させて、対物レンズによって集光されるレーザ光が情報トラックを横断するようにし、レーザ光が情報トラックを横断する際に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を測定し、このトラッキングエラー信号の振幅に対して10%〜40%程度の値をスピンドルモータの回転速度を低下させる閾値として設定していた。以下、トラッキングエラー信号の振幅とは、レーザ光が情報トラックに追従しておらず情報トラックを横断する際に生ずるトラッキングエラー信号の極小値から極大値までの幅を意味する。また、トラッキングエラー信号の出力値とは、レーザ光が情報トラックに追従している際に生ずるトラッキングエラー信号を意味する。
図9は従来の光ディスク装置におけるトラッキングエラー信号を示す図である。
図9に示すように、光ディスク装置の起動時に設定した閾値Th0を固定して用いた場合、時刻t26においてトラッキングエラー信号の出力値がトラッキングエラー信号の閾値Th0を超えるので、光ディスクの回転数を下げる処理が行われていた。また、仮に、時刻t30から記録が開始されたとした場合、時刻t53ではトラッキングエラー信号の出力値はトラッキングエラー信号の閾値Th0を超えていないので、回転数を下げる処理は行われなかった。
しかしながら、光ディスク装置において、対物レンズを光ディスクの情報トラックに追従させるサーボ制御時には、トラッキングエラー信号の出力値はゼロ付近で推移し、閾値の設定に用いられるトラッキングエラー信号の振幅を測定することはできないが、対物レンズが情報トラックに追従できなくなりサーボ制御が失敗した場合のデータ等から推測すると、サーボ制御時には変動しているようであった。その原因としては、情報トラックの溝の深さの変化や隣接する情報トラックへの記録の有無などの光ディスクの情報トラックにマークとスペースを記録することにより生じる物理的変化や、光ディスクに対する対物レンズの追従の状態変化等が考えられる。
このように、サーボ制御時にはトラッキングエラー信号の振幅を測定することができないので、実際にはトラッキングエラー信号の振幅に対するトラッキングエラー信号の出力値の割合が十分に小さく、高倍速のままで対物レンズが情報トラックに十分に追従できる状態であっても、トラッキングエラー信号の出力値が閾値を超えれば、スピンドルモータの回転速度を下げる処理を行ってしまう可能性があった。また、実際にはトラッキングエラー信号の振幅に対するトラッキングエラー信号の出力値の割合が、そのままのスピンドルモータの回転速度では対物レンズが情報トラックに追従できないほど大きくなっていても、トラッキングエラー信号の出力値が閾値を超えなければ、スピンドルモータの回転速度を下げる処理が行われないため、記録・再生中にサーボ制御が失敗してしまう可能性があった。特に、光ディスクへの情報の記録時には、データの連続性、記録品質の均一性などの観点から連続してデータを記録する必要があり、サーボ制御を停止することができないため、所定量のデータ記録が完了するまでトラッキングエラー信号の振幅を再測定することができず、記録倍速を下げる閾値を適正に保つことができなかった。
そこで、本願発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を抑制できる光ディスク装置を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更するものである。
本発明は上記構成により、ゲインの測定値から、対物レンズによって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の光ディスク装置は、光ディスクの情報トラックにレーザ光を集光する対物レンズと、光ディスクからの反射光に基づいてトラッキングエラー信号を生成する信号処理部と、トラッキングエラー信号に基づいて集光されたレーザ光が情報トラックに追従するように対物レンズを駆動する駆動部と、集光されたレーザ光が情報トラックに追従する際に生ずるトラッキングエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合光ディスクの回転数を下げる制御部と、を具備し、制御部は、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更するものである。
本発明によれば、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズによって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項2に記載の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、制御ループを循環するサーボ信号に所定のタイミングで外乱信号が加算される外乱加算部を制御ループ内に具備し、制御部は、所定のタイミングで制御ループにおいて外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号と外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号とからゲインを測定するものである。
本発明によれば、所定のタイミングで制御ループにおいて外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号と外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号とからゲインを測定することにより、対物レンズの情報トラックへの追従制御が行われている際にも制御ループのゲインを測定できるので、光ディスクへの情報の記録中であっても随時記録倍速を下げる閾値を変更することができる。
また、請求項3に記載の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、制御部は、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更するものである。
本発明によれば、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更することにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合を計算するだけで、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅がどのように変動したのかを推測することができるので、簡易な計算で記録倍速を下げる閾値を決定することができ、制御部に過剰な負荷を与えることなく、記録の安定化、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項4に記載の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、制御部は、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合は、所定の閾値の幅を狭く変更し、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合は、所定の閾値の幅を広く変更するものである。
本発明によれば、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合は、所定の閾値の幅を狭く変更し、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合は、所定の閾値の幅を広く変更することにより、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合、つまり、トラッキングエラー信号の振幅が小さくなっていると推測できる場合は、閾値の幅を狭くして適切に記録倍速を下げるようにし、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合、つまり、トラッキングエラー信号の振幅が大きくなっていると推測できる場合は、閾値の幅を広くして高倍速の状態を保ちやすくできるので、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項5に記載の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置において、駆動部から出力される駆動信号に基づいて集光されたレーザ光が情報トラックに追従するように対物レンズを駆動するアクチュエータと、アクチュエータの温度を測定する温度測定部と、を具備し、制御部は、ゲインの測定値と温度の測定値とに基づいて、所定の閾値を変更するものである。
トラッキングエラー信号の振幅は、伝達関数G1(s)の変動から推測することができる。制御ループのゲイン|G(s)|は伝達関数G1(s)、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)の積であるので、G2(s)とG3(s)とを略一定であるとみなせば、制御ループのゲイン|G(s)|とアクチュエータの伝達関数G4(s)の変動から、対物レンズによって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができる。
そこで、本発明は、ゲインの測定値と温度の測定値とに基づいて、所定の閾値を変更することにより、制御ループのゲイン|G(s)|と、温度に依存して変動するアクチュエータの伝達関数G4(s)とから、対物レンズによって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、トラッキングエラー信号の振幅の変動をより正確に推測することが可能となる。
また、請求項6に記載の光ディスク装置は、請求項5に記載の光ディスク装置において、制御部は、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、温度の測定値が所定温度より低い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より狭く変更し、一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より広く変更するものである。
アクチュエータの伝達関数G4(s)は、温度に依存して変動し、温度の測定値が所定温度より低い場合は、アクチュエータの感度が良くなって伝達関数G4(s)が大きくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が大きくなることが考えられる。一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、アクチュエータの感度が悪くなって伝達関数G4(s)が小さくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が小さくなることが考えられる。
そこで、本発明は、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、温度の測定値が所定温度より低い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より狭く変更し、一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より広く変更することにより、制御ループのゲイン|G(s)|の変動からアクチュエータの伝達関数G4(s)の変動の影響を除去することで、制御ループのゲイン|G(s)|の温度による変動を補正できるので、記録倍速を下げる閾値をより適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項7に記載の光ディスク装置の制御方法は、光ディスクの情報トラックにレーザ光を集光し、光ディスクからの反射光に基づいてトラッキングエラー信号を生成し、トラッキングエラー信号に基づいて集光されたレーザ光が情報トラックに追従するように対物レンズを駆動し、集光されたレーザ光が情報トラックに追従する際に生ずるトラッキングエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合光ディスクの回転数を下げ、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更するものである。
本発明によれば、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズによって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項8に記載の光ディスク装置は、光ディスクの情報記録面にレーザ光を集光する対物レンズと、光ディスクからの反射光に基づいてフォーカスエラー信号を生成する信号処理部と、フォーカスエラー信号に基づいて集光されたレーザ光の焦点が情報記録面に追従するように対物レンズを駆動する駆動部と、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面に追従する際に生ずるフォーカスエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合光ディスクの回転数を下げる制御部と、を具備し、制御部は、集光されたレーザ光の焦点を情報記録面へ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更するものである。
本発明によれば、集光されたレーザ光の焦点を情報記録面へ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズによって集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項9に記載の光ディスク装置は、請求項8に記載の光ディスク装置において、制御ループを循環するサーボ信号に所定のタイミングで外乱信号が加算される外乱加算部を制御ループ内に具備し、制御部は、所定のタイミングで制御ループにおいて外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号と外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号とからゲインを測定するものである。
本発明によれば、所定のタイミングで制御ループにおいて外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号と外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号とからゲインを測定することにより、対物レンズの情報記録面への追従制御が行われている際にも制御ループのゲインを測定できるので、光ディスクへの情報の記録中であっても随時記録倍速を下げる閾値を変更することができる。
また、請求項10に記載の光ディスク装置は、請求項8に記載の光ディスク装置において、制御部は、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更するものである。
本発明によれば、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更することにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合を計算するだけで、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅がどのように変動したのかを推測することができるので、簡易な計算で記録倍速を下げる閾値を決定することができ、制御部に過剰な負荷を与えることなく、記録の安定化、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項11に記載の光ディスク装置は、請求項8に記載の光ディスク装置において、制御部は、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合は、所定の閾値の幅を狭く変更し、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合は、所定の閾値の幅を広く変更するものである。
本発明によれば、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合は、所定の閾値の幅を狭く変更し、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合は、所定の閾値の幅を広く変更することにより、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合、つまり、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅が小さくなっていると推測できる場合は、閾値の幅を狭くして適切に記録倍速を下げるようにし、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合、つまり、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅が大きくなっていると推測できる場合は、閾値の幅を広くして高倍速の状態を保ちやすくできるので、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項12に記載の光ディスク装置は、請求項8に記載の光ディスク装置において、駆動部から出力される駆動信号に基づいて集光されたレーザ光の焦点が情報記録面に追従するように対物レンズを駆動するアクチュエータと、アクチュエータの温度を測定する温度測定部と、を具備し、制御部は、ゲインの測定値と温度の測定値とに基づいて、所定の閾値を変更するものである。
フォーカスエラー信号のS字波形の振幅は、伝達関数G1(s)の変動から推測することができる。制御ループのゲイン|G(s)|は伝達関数G1(s)、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)の積であるので、G2(s)とG3(s)とを略一定であるとみなせば、制御ループのゲイン|G(s)|とアクチュエータの伝達関数G4(s)の変動から、対物レンズによって集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅の変動を推測することができる。
そこで、本発明は、ゲインの測定値と温度の測定値とに基づいて、所定の閾値を変更することにより、制御ループのゲイン|G(s)|と、温度に依存して変動するアクチュエータの伝達関数G4(s)とから、対物レンズによって集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅の変動を推測することができるので、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅の変動をより正確に推測することが可能となる。
また、請求項13に記載の光ディスク装置は、請求項12に記載の光ディスク装置において、制御部は、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、温度の測定値が所定温度より低い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より狭く変更し、一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より広く変更するものである。
アクチュエータの伝達関数G4(s)は、温度に依存して変動し、温度の測定値が所定温度より低い場合は、アクチュエータの感度が良くなって伝達関数G4(s)が大きくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が大きくなることが考えられる。一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、アクチュエータの感度が悪くなって伝達関数G4(s)が小さくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が小さくなることが考えられる。
そこで、本発明は、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、温度の測定値が所定温度より低い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より狭く変更し、一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より広く変更することにより、制御ループのゲイン|G(s)|の変動からアクチュエータの伝達関数G4(s)の変動の影響を除去することで、制御ループのゲイン|G(s)|の温度による変動を補正できるので、記録倍速を下げる閾値をより適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、請求項14に記載の光ディスク装置の制御方法は、光ディスクの情報記録面にレーザ光を集光し、光ディスクからの反射光に基づいてフォーカスエラー信号を生成し、フォーカスエラー信号に基づいて集光されたレーザ光の焦点が情報記録面に追従するように対物レンズを駆動し、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面に追従する際に生ずるフォーカスエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合光ディスクの回転数を下げ、集光されたレーザ光の焦点を情報記録面へ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更するものである。
本発明によれば、集光されたレーザ光の焦点を情報記録面へ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズによって集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態における光ディスク装置のブロック図である。図1において、1は光ディスク、2はピックアップモジュール、3はスピンドルモータ、4は対物レンズ、5はレンズホルダ、6はアクチュエータ、7はキャリッジ、8は光ピックアップ、9はフィード部、10はフィードモータ、11はアナログ信号処理部、12はサーボ処理部、13はモータ駆動部、14はコントローラ、15はROM、16はRAM、17はレーザ駆動部、18はレーザ光源、19は温度センサ、20は外乱信号発生器、21はA/Dコンバータ、22は増幅器、23はフィルタ、24は加算器、25はD/Aコンバータ、26〜29はRAMである。また、図1において、101は光ピックアップ8からアナログ信号処理部11に出力されるピックアップ出力信号、102はアナログ信号処理部11からサーボ処理部12に出力されるサーボエラー信号、103はコントローラ14からサーボ処理部12に出力される制御信号、104はサーボ処理部12からモータ駆動部13に出力されるピックアップモジュール制御信号、105はモータ駆動部13からピックアップモジュール2に出力されるピックアップモジュール駆動信号、106はコントローラ14からレーザ駆動部17に出力されるレーザ制御信号、107はレーザ駆動部17から光ピックアップ8に出力されるレーザ駆動信号、108は温度センサ19からコントローラ14に出力される温度信号、109はコントローラ14に設けられた外乱信号発生器20から出力される外乱信号、110はRAM28からコントローラ14に出力される外乱加算前信号、111はRAM29からコントローラ14に出力される外乱加算後信号である。
光ディスク1にレーザの発光パターンを利用して情報の記録または再生の少なくとも一方を行うピックアップモジュール2は、光ディスク1を保持し回転させるスピンドルモータ3と、光ディスク1の情報記録面の情報トラックにレーザ光を集光する対物レンズ4と、キャリッジ7に対して移動可能に設けられ、対物レンズ4を保持するレンズホルダ5と、レンズホルダ5が搭載されたキャリッジ7を光ディスク1の半径方向に移動させるフィードモータ10を備えたフィード部9とによって構成されたものである。レンズホルダ5やキャリッジ7には、図示しないコイルやマグネット等が設けられており、コイルに電流を流すことによりレンズホルダ5をフォーカス方向やトラッキング方向に駆動するボイスコイルモータであるアクチュエータ6を構成している。対物レンズ4は、レンズホルダ5を介して駆動される。アナログ信号処理部11は光ピックアップ8内部の図示しない分割光センサからの出力信号であるピックアップ出力信号101に基づいて、対物レンズ4のフォーカス制御やトラッキング制御に用いるフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号等のサーボエラー信号102を生成しサーボ処理部12に出力する。ここで、サーボエラー信号102のうちフォーカスエラー信号は、対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点と光ディスク1の情報トラックのある情報記録面との光ディスク1の厚さ方向のずれを示し、サーボエラー信号102のうちトラッキングエラー信号は、対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点と光ディスク1の情報トラックとの光ディスク1の半径方向のずれを示す。
サーボ処理部12は、アナログ信号処理部11からのサーボエラー信号102に基づいて、対物レンズ4のフォーカス動作の制御を行うフォーカス駆動電圧信号やトラッキング動作の制御を行うトラッキング駆動電圧信号を含むピックアップモジュール制御信号104を生成し、モータ駆動部13に出力する。なお、サーボ処理部12はデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部である。
モータ駆動部13は、サーボ処理部12から送られてきたピックアップモジュール制御信号104に基づいて、対物レンズ4を光ディスク1の情報トラックに追従させるフォーカス動作やトラッキング動作等のサーボ動作を行うための駆動電流信号であるピックアップモジュール駆動信号105を生成し、その信号を出力することにより、対物レンズ4のサーボ動作を行う。言い換えると、アナログ信号処理を行うドライバICであるモータ駆動部13は、サーボ処理部12からのピックアップモジュール制御信号104に基づいて、スピンドルモータ3とアクチュエータ6とフィードモータ10とに電流を流して駆動する。また、サーボエラー信号102のうちトラッキングエラー信号の低域成分を用いて対物レンズ4が概略中立位置を保持するようにフィード制御を行う。フィード部9は、フィードモータ10と図示しないギヤやスクリューシャフト等から構成され、フィードモータ10を回転させることによってキャリッジ7が移動し、その際フィードモータ10よりフィードモータパルスが周期的に出力されるようになっている。
以上のアナログ信号処理部11からモータ駆動部13及び対物レンズ4を経由してアナログ信号処理部11に循環する制御ループによって、対物レンズ4で集光されたレーザ光の焦点は情報記録面の情報トラックに追従するように制御される。より正確に言うと、制御ループは、アナログ信号処理部11からサーボ処理部12、モータ駆動部13、ピックアップモジュール2のアクチュエータ6、及び対物レンズ4を含む光ピックアップ8を経由して再びアナログ信号処理部11へと循環する。この制御ループを循環する信号をサーボ信号と称する。サーボ信号は例えば、アナログ信号処理部11とサーボ処理部12との間ではサーボエラー信号102であり、サーボ処理部12とモータ駆動部13との間ではピックアップモジュール制御信号104であり、モータ駆動部13とピックアップモジュール2のアクチュエータ6との間ではピックアップモジュール駆動信号105であり、光ピックアップ8とアナログ信号処理部11との間ではピックアップ出力信号101である。
制御部であるコントローラ14には、ピックアップモジュール2やアナログ信号処理部11等の各部から信号が入力され、これらの信号の演算処理等を行い、この演算処理の結果(信号)を各部に送出し、各部にて駆動、処理を実行させ、各部の制御を行うものである。なお、コントローラ14は、少なくとも、演算機能を備えたCPU、MPU等の演算処理装置や、ROM15、RAM16等の記憶部を備える。なお、コントローラ14はデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部である。
レーザ駆動部17は、コントローラ14から送られてきたレーザ制御信号106に基づいて、光ピックアップ8のレーザ光源18を所定のレーザパワー及びレーザパターンで駆動するレーザ駆動信号107を生成し、その信号を出力することにより、レーザ光源18を発光させる。言い換えると、ドライバICであるレーザ駆動部17は、コントローラ14からのレーザ制御信号106に基づいて、光ピックアップ8のレーザ光源18に電流を流して駆動する。
温度測定部である温度センサ19は、キャリッジ7に設けられており、アクチュエータ6の温度を測定する。温度センサ19は、検出した温度を温度信号108としてコントローラ14に出力する。コントローラ14は、温度信号108から温度に依存して変動するアクチュエータ6の感度を推測することができる。アクチュエータ6を構成するコイルの近傍に温度センサ19を設けることにより、より正確にアクチュエータ6の感度を推測することができる。
外乱信号発生器20は、コントローラ14に設けられており、外乱信号として、ここでは単一周波数の正弦波を発生するものとする。なお、ここでは外乱信号発生器20をコントローラ14に設けて構成したが、サーボ処理部12に設けて構成することも同様に実施可能である。外乱信号発生器20から出力された外乱信号109は、サーボ処理部12に設けられた加算器24に入力する。
外乱加算部である加算器24は、制御ループ内のサーボ処理部12に設けられており、制御ループを循環するサーボ信号に所定のタイミングで外乱信号を加算する。次にサーボ処理部12に入力されたサーボ信号について説明する。
制御ループを循環するサーボ信号のうちサーボエラー信号102は、サーボ処理部12に入力されると、先ずサーボ処理部12に設けられたA/Dコンバータ21に入力され、A/D変換される。A/Dコンバータ21でデジタル信号に変換されたサーボ信号は、サーボ処理部12に設けられたRAM26に記憶されるとともに、サーボ処理部12に設けられた増幅器22に入力される。増幅器22は、コントローラ14からの制御信号103に基づいて、A/Dコンバータ21から入力されたサーボ信号を増幅する。これにより、制御ループを構成する構成要素の伝達関数の積である制御ループのゲインを目標値となるように調整することができる。
増幅器22で増幅されたサーボ信号は、サーボ処理部12に設けられたRAM27に記憶されるとともに、サーボ処理部12に設けられたフィルタ23に入力される。位相補償フィルタであるフィルタ23において、サーボ信号の微分や積分が行われる。フィルタ23から出力されたサーボ信号は、サーボ処理部12に設けられたRAM28に記憶されRAM28からコントローラ14に出力されるとともに、サーボ処理部12に設けられた加算器24に入力される。つまり、このフィルタ23から出力されたサーボ信号が、制御ループにおいて加算器24の前段から出力される信号である。
加算器24には、外乱信号発生器20から出力された外乱信号109が所定のタイミングで入力される。フィルタ23から出力されたサーボ信号と外乱信号発生器20から出力された外乱信号109とは加算器24において加算され、サーボ処理部12に設けられたRAM29に記憶されRAM29からコントローラ14に出力されるとともに、サーボ処理部12に設けられたD/Aコンバータ25に入力される。つまり、この加算器24から出力されたサーボ信号が、制御ループにおいて加算器24の後段から出力される信号である。
なお、外乱信号発生器20から外乱信号109が入力されないタイミングにおいては、フィルタ23から出力されたサーボ信号は加算器24において外乱信号109と加算されることなく、そのままサーボ処理部12に設けられたRAM29に記憶されるとともに、サーボ処理部12に設けられたD/Aコンバータ25に入力される。サーボ信号は、D/Aコンバータ25においてD/A変換され、アナログ信号であるピックアップモジュール制御信号104となってサーボ処理部12から出力される。
コントローラ14は、加算器24で外乱信号109が加算される所定のタイミングにおいて、RAM28からコントローラ14に出力される外乱加算前信号110と、RAM29からコントローラ14に出力される外乱加算後信号111とから制御ループのゲインを測定する。これにより、対物レンズ4の情報トラックへの追従制御が行われている際にも制御ループのゲインを測定することが可能となる。なお、光ディスク装置の制御ループの伝達関数をG(s)とすると、制御ループのゲイン|G(s)|には、目標値G0が設定されている。制御ループのゲインの目標値G0は、光ディスク1の種類や倍速毎に予め定められ、ROM15に記憶されている。コントローラ14が、少なくとも光ディスクを挿入した時などの光ディスク装置の起動時に、サーボ処理部12に設けられた増幅器22でサーボ信号を増幅することによって、ゲイン|G(s)|が目標値G0となるように調整される。
次に、本実施の形態の光ディスク装置について、図2、図3、乃至図4を用いてその原理を説明する。対物レンズ4によって集光されたレーザ光が光ディスク1の情報トラックに追従しているサーボ制御時には、レーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を測定することができないので、本実施の形態の光ディスク装置においては、制御ループのゲイン|G(s)|を測定してトラッキングエラー信号の振幅を推測し、推測した振幅に対応させて光ディスク1の回転数を下げる閾値を変更する。
以下、トラッキングエラー信号の振幅とは、レーザ光が情報トラックに追従しておらず情報トラックを横断する際に生ずるトラッキングエラー信号の極小値から極大値までの幅を意味する。また、トラッキングエラー信号の出力値とは、レーザ光が情報トラックに追従している際に生ずるトラッキングエラー信号を意味する。
図2を用いて光ディスク装置の制御ループのゲインとトラッキングエラー信号との関係について説明する。また、図3を用いてトラッキングエラー信号の振幅と閾値との関係について説明する。また、図4を用いてトラッキングエラー信号の閾値の変更について説明する。
図2は光ディスク装置の制御ループを説明する図である。
光ディスク装置の制御ループのゲイン|G(s)|とは、対物レンズ4の光ディスク1の情報トラックへの追従性を示す指標であり、図1においても説明したように、アナログ信号処理部11からモータ駆動部13及び対物レンズ4を経由してアナログ信号処理部11に循環する制御ループのそれぞれの構成要素の伝達関数の積である。ここで、制御ループを構成する構成要素とその伝達関数は、以下のように考えられる。
光ピックアップ8とアナログ信号処理部11とからなる1つの構成要素であり、情報トラックの変位x1[m]と対物レンズ4の変位x2[m]とのずれを表す偏差e[m]を、サーボエラー信号102のうちトラッキングエラー信号の電圧TE[V]に変換する構成要素の伝達関数をG1(s)とする。G1(s)の単位は[V/m]となる。
また、サーボ処理部12を1つの構成要素とし、アナログ信号処理部11から入力したトラッキングエラー信号の電圧TE[V]を、ピックアップモジュール制御信号104の電圧V1[V]に変換するサーボ処理部12の伝達関数をG2(s)とする。G2(s)の単位は[V/V]となる。
また、モータ駆動部13を1つの構成要素とし、サーボ処理部12から入力したピックアップモジュール制御信号104の電圧V1[V]をピックアップモジュール駆動信号105の電圧V2[V]に変換するモータ駆動部13の伝達関数をG3(s)とする。G3(s)の単位は[V/V]となる。
また、アクチュエータ6を1つの構成要素とし、モータ駆動部13から入力したピックアップモジュール駆動信号105の電圧V2[V]を対物レンズ4の変位x2[m]に変換するアクチュエータ6の伝達関数をG4(s)とする。G4(s)の単位は[m/V]となる。
制御ループのゲイン|G(s)|は、これら制御ループの構成要素の伝達関数の積であるので、|G(s)|=G1(s)×G2(s)×G3(s)×G4(s)となる。
ここで、制御ループの構成要素の伝達関数のうち、光ピックアップ8とアナログ信号処理部11とからなる構成要素の伝達関数であるG1(s)に注目する。G1(s)の単位は、[V/m]であることから、伝達関数G1(s)は、対物レンズ4を光ディスク1の半径方向にx[m]移動させた場合に現れる電圧変化TE[V]、つまり横軸を半径方向の距離x、縦軸をトラッキングエラー信号の電圧Vとして表したトラッキングエラー信号の電圧波形の傾きに相当する。即ち、制御ループのゲイン|G(s)|の構成要素である伝達関数G1(s)がトラッキングエラー信号の傾きを示すので、制御ループのゲインの測定値から、横軸を光ディスクの半径方向の距離xとし縦軸を電圧Vとしたトラッキングエラー信号の電圧波形の傾きを推測できることがわかる。
次に、対物レンズ4を光ディスク1の半径方向に移動した時に現れるトラッキングエラー信号について図3を用いて説明する。
図3は光ディスク装置のトラッキングエラー信号を説明する図である。ここでは、横軸を半径方向の距離xとし縦軸を電圧Vとしたトラッキングエラー信号の電圧波形の傾きから、トラッキングエラー信号の振幅を推測し、推測した振幅に対応させてトラッキングエラー信号の閾値を設定することについて説明する。
図3(a)は光ディスク1の情報トラックを示し、図3(b)は対物レンズ4を光ディスク1の半径方向に移動した時に現れるトラッキングエラー信号を示している。
図3(a)に示す光ディスク1において、1aは、情報が記録される情報トラックであるグルーブであり、1cは、グルーブ1aと隣接するグルーブ1aとの間に存在するランドである。対物レンズ4は、ピックアップモジュール2内部のレーザ光源18から出射された光をグルーブ1aとランド1cとが存在する光ディスク1の情報記録面に集光する。
図3(a)に示す光ディスク1の情報トラックを対物レンズ4によって集光されたレーザ光が横断するように、対物レンズ4を光ディスク1の半径方向に移動させていくと、トラッキングエラー信号としては図3(b)に示されるように正弦波形で近似されるような信号が出力される。
対物レンズ4が、より正確には対物レンズ4によって集光されたレーザ光が、情報トラックであるグルーブ1aの中心1bから隣接する次の情報トラックであるグルーブ1aの中心1bまで光ディスク1の半径方向に移動していくときのトラッキングエラー信号は、グルーブ1aの中心1bでゼロを出力し、徐々に小さくなって極小値をとった後、今度は徐々に大きくなり、隣接する情報トラックとの中間であるランド1cの中心1dで再びゼロとなり、さらに大きくなって極大値を取った後、再び徐々に小さくなって隣接する情報トラックの中心で再びゼロとなる。ここでは、極小値、極大値の順で変化する場合について説明したが、対物レンズ4を逆の半径方向に移動していくと、この順序は逆になる。
対物レンズ4が情報トラックに追従制御されている場合、対物レンズ4によって集光されたレーザ光はグルーブ1aの中心1b付近を推移するので、トラッキングエラー信号の出力値はゼロの近傍で推移する。このため、対物レンズ4が情報トラックに追従制御されている場合の伝達関数G1(s)は、対物レンズ4を光ディスク1の半径方向にx[m]移動させた場合に現れるトラッキングエラー信号の傾きのうち、ゼロの近傍での傾きTE/x[V/m]を表すことになる。トラッキングエラー信号はxの周期関数として近似されるので、トラッキングエラー信号の傾きに比例して、トラッキングエラー信号の極小値から極大値までの幅であるトラッキングエラー信号の振幅TE0も変動する。つまり、トラッキングエラー信号の振幅TE0は、伝達関数G1(s)に対応して変動することになる。
ここで、対物レンズ4が、情報トラックの中心から光ディスク1の半径方向に移動していくと、トラッキングエラー信号が極大値もしくは極小値を取る点において、トラッキングエラー信号の接線の傾きはゼロとなる。この点において、伝達関数G1(s)はゼロとなるので、伝達関数の積であるゲインもゼロとなる。制御ループのゲインがゼロとなると、対物レンズ4を光ディスク1の情報トラックへ追従させることができなくなり、対物レンズ4は制御不能となる。このような事態を防ぐため、トラッキングエラー信号の振幅TE0に対して10%〜40%程度の閾値Th0を定め、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックに追従する際に生ずるトラッキングエラー信号の電圧出力がこの閾値Th0を超える場合、光ディスク1の回転数を下げることにより、対物レンズ4の情報トラックへの追従が十分に間に合うように構成されている。
ここで、トラッキングエラー信号の振幅TE0は、前述したように伝達関数G1(s)の変動から推測することができる。制御ループのゲイン|G(s)|は伝達関数G1(s)、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)の積であるので、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)を略一定であるとみなせば、制御ループのゲイン|G(s)|の変動から、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅TE0の変動を推測し、推測した振幅の変動に合せてトラッキングエラー信号の閾値を変更することができる。例えば、制御ループのゲインは光ディスク装置の起動時にはゲインの目標値G0に調整されているとし、その起動時に測定されたトラッキングエラー信号の振幅をTE0、振幅TE0に対応して設定された光ディスク装置の起動時の閾値をTh0、時刻tにおいて測定した制御ループのゲインがG(t)であった場合、時刻tにおけるトラッキングエラー信号の振幅TE(t)は、TE(t)={G(t)/G0}×TE0と推測できるので、時刻tにおけるトラッキングエラー信号の閾値Th(t)は、Th(t)={G(t)/G0}×Th0と表せる。この式によると、ゲインの測定値がゲインの目標値に対して大きければ閾値の幅も広くなり、ゲインの測定値がゲインの目標値に対して小さければ閾値の幅も狭くなる。
このように、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更することにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合を計算するだけで、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅がどのように変動したのかを推測することができるので、簡易な計算で記録倍速を下げる閾値を決定することができ、制御部に過剰な負荷を与えることなく、記録の安定化、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
なお、伝達関数G1(s)、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)のうち、伝達関数G4(s)はアクチュエータ6の伝達関数である。アクチュエータ6の感度を示す伝達関数G4(s)は、温度に依存して変動し、温度センサ19において測定した時刻tにおける温度の測定値T(t)が所定温度T0より低い場合は、アクチュエータ6の感度が良くなって伝達関数G4(s)が大きくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が大きくなることが考えられる。一方、時刻tにおける温度の測定値T(t)が所定温度T0より高い場合は、アクチュエータの感度が悪くなって伝達関数G4(s)が小さくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が小さくなることが考えられる。そこで、kを正の係数として、f(T)=1+k(T(t)−T0)とする温度補正項を導入し、Th(t)={G(t)/G0}×Th0×f(T)={G(t)/G0}×Th0×{1+k(T(t)−T0)}としてトラッキングエラー信号の閾値を求めることにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、温度の測定値が所定温度より低い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より狭く変更し、一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より広く変更することができるので、制御ループのゲイン|G(s)|の変動からアクチュエータの伝達関数G4(s)の変動の影響を除去することで、制御ループのゲイン|G(s)|の温度による変動を補正し、記録倍速を下げる閾値をより適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
次に、記録動作中のトラッキングエラー信号の閾値の変更について説明する。
図4は図1の光ディスク装置におけるゲインと温度と閾値の関係を示す図である。図4によると、ゲインの測定値G(t)が時間の経過とともに小さくなっており、これに伴いトラッキングエラー信号の振幅は小さくなっていることが推測される。このためトラッキングエラー信号TEの出力値に対する閾値Th10〜Th50も段階的に小さくなっている。トラッキングエラー信号の振幅の推測の精度、そしてそれに伴う閾値Th10〜Th50の変更の精度を上げるために用いられる温度の測定値T(t)は、時間の経過とともに上昇している。
図4(a)は時刻tにおいて測定された光ディスク装置の制御ループのゲイン|G(s)|を示すゲインG(t)であり、図4(b)は時刻tにおける温度信号108を示す温度信号T(t)であり、図4(c)は時刻tにおけるサーボエラー信号102のうちトラッキングエラー信号の出力値を示している。図4において横軸は時間であり、図4(b)の縦軸は温度、図4(c)の縦軸は電圧である。
図4(a)に示すように、コントローラ14は加算器24で外乱信号109が加算されるt10、t20、t30、t40、及びt50という所定のタイミングにおいて、RAM28からコントローラ14に出力される外乱加算前信号110と、RAM29からコントローラ14に出力される外乱加算後信号111とから制御ループのゲインを測定し、ゲインの測定値G(t)としてそれぞれG(t10)、G(t20)、G(t30)、G(t40)、及びG(t50)を得る。ゲインの測定値は、それぞれゲインの目標値G0に対して、G(t10)>G0、G(t20)>G0、G(t30)>G0、G(t40)=G0、及びG(t50)<G0という関係となっており、時間の経過とともに小さくなっている。したがって、これに伴いトラッキングエラー信号の振幅も時間の経過とともに小さくなっていることが推測される。
このように、所定のタイミングで制御ループにおいて外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号110と外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号111とからゲインを測定することにより、対物レンズ4の情報トラックへの追従制御が行われている際にも制御ループのゲインを測定できるので、光ディスク1への情報の記録中であっても、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を随時推測することができ、随時記録倍速を下げる閾値を変更することができる。
また、図4(b)に示すように、コントローラ14はゲインを測定するタイミングでアクチュエータ6の温度を検出し、温度の測定値T(t)としてそれぞれT(t10)、T(t20)、T(t30)、T(t40)、及びT(t50)を得る。温度の測定値は、それぞれ所定温度T0に対して、T(t10)<T0、T(t20)<T0、T(t30)<T0、T(t40)=T0、及びT(t50)>T0という関係となっており、時間の経過とともに上昇している。したがって、これに伴いアクチュエータ6の伝達関数G4(s)は時間の経過とともに小さくなっていると考えられる。
制御ループのゲイン|G(s)|は、制御ループの各構成要素の伝達関数の積であるので、アクチュエータ6の伝達関数G4(s)が変動すると制御ループのゲイン|G(s)|も変動する。しかし、アクチュエータ6の温度を検出することで、制御ループの伝達関数G(s)のうちアクチュエータ6の伝達関数G4(s)の変動を把握できるので、制御ループのゲイン|G(s)|の温度による変動を補正することができる。つまり、制御ループのゲイン|G(s)|から伝達関数G4(s)の変動の影響を除去することによって、制御ループのゲイン|G(s)|から伝達関数G1(s)をより正確に推測し、トラッキングエラー信号の振幅と、それに対応したトラッキングエラー信号の閾値をより正確に推測することができる。
図4(b)において、アクチュエータ6の温度T(t)は、時間の経過とともに上昇しているので、アクチュエータ6の伝達関数G4(s)は時間の経過とともに小さくなり、制御ループのゲイン|G(s)|を、トラッキングエラー信号の振幅変動を表す伝達関数G1(s)の変動に関わらずわずかに小さくしていると考えられる。したがって、トラッキングエラー信号の振幅は、制御ループのゲイン|G(s)|のみに基づいて推測されるトラッキングエラー信号の振幅よりも、実際には時間の経過とともにわずかに大きくなっていることが推測される。
図4(c)に示すように、コントローラ14は、前述のTh(t)={G(t)/G0}×Th0×{1+k(T(t)−T0)}に、各タイミングでのゲインの測定値と温度の測定値とを導入して計算することによりトラッキングエラー信号の閾値を求める。このようにして、時刻t10の値を導入して得られたTh(t10)を時刻t10〜t20の間の閾値Th10として設定し、時刻t20の値を導入して得られたTh(t20)を時刻t20〜t30の間の閾値Th20として設定し、時刻t30の値を導入して得られたTh(t30)を時刻t30〜t40の間の閾値Th30として設定し、時刻t40の値を導入して得られたTh(t40)を時刻t40〜t50の間の閾値Th40(=Th0)として設定し、時刻t50の値を導入して得られたTh(t50)を時刻t50〜t60の間の閾値Th50として設定する。各タイミングでのゲインの測定値と温度の測定値とによって求められたトラッキングエラー信号の閾値Th10〜Th50は段階的に小さくなっている。
また、図4(c)に示すように、コントローラ14はトラッキングエラー信号の出力値と、設定したトラッキングエラー信号の閾値を比較する。コントローラ14は、時刻t26においては、トラッキングエラー信号の出力値がトラッキングエラー信号の閾値Th20を超えないため、光ディスク1の回転数を下げる処理は行わず、記録倍速を高倍速に保つ。コントローラ14は時刻t53において、トラッキングエラー信号の出力値がトラッキングエラー信号の閾値Th50を超えて初めて光ディスク1の回転数を下げる。図9を用いて説明したように、光ディスク装置の起動時に設定した閾値Th0を固定して用いた場合は、時刻t26において光ディスク1の回転数を下げる処理が行われていた。また、図9において、時刻t30から記録が開始されたとした場合は、時刻t53では回転数を下げる処理が行われずサーボ制御が失敗する可能性があった。
このように、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更することにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合を計算するだけで、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅がどのように変動したのかを推測することができるので、簡易な計算で記録倍速を下げる閾値を決定することができ、制御部に過剰な負荷を与えることなく、記録の安定化、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合は、所定の閾値の幅を狭く変更し、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合は、所定の閾値の幅を広く変更することにより、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が小さい場合、つまり、トラッキングエラー信号の振幅が小さくなっていると推測できる場合は、閾値の幅を狭くして適切に記録倍速を下げるようにし、一方、所定のゲインの目標値に対してゲインの測定値が大きい場合、つまり、トラッキングエラー信号の振幅が大きくなっていると推測できる場合は、閾値の幅を広くして高倍速の状態を保ちやすくできるので、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、ゲインの測定値と温度の測定値とに基づいて、所定の閾値を変更することにより、制御ループのゲイン|G(s)|と、温度に依存して変動するアクチュエータ6の伝達関数G4(s)とから、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、トラッキングエラー信号の振幅の変動をより正確に推測することが可能となる。
また、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、温度の測定値が所定温度より低い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より狭く変更し、一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より広く変更することにより、制御ループのゲイン|G(s)|の変動からアクチュエータの伝達関数G4(s)の変動の影響を除去することで、制御ループのゲイン|G(s)|の温度による変動を補正できるので、記録倍速を下げる閾値をより適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
このように、本実施の形態の光ディスク装置においては、制御ループのゲイン|G(s)|を測定してトラッキングエラー信号の振幅を推測し、推測した振幅に対応させて光ディスク1の回転数を下げる閾値を変更することにより、トラッキングエラー信号の振幅を測定することができないサーボ制御時にも、記録倍速を下げる閾値を適正に保つことができるので、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
次に、本実施の形態の光ディスク装置における、記録動作中のトラッキングエラー信号の閾値変更処理について説明する。
図5は図1の光ディスク装置における閾値変更のフローチャートである。
光ディスク装置においては、従来の光ディスク装置と同様に、光ディスク1を挿入した時などの光ディスク装置の起動時毎に、対物レンズ4を光ディスク1の情報トラックに追従させずに半径方向に大きく移動させて、対物レンズ4によって集光されるレーザ光が情報トラックを横断するようにし、レーザ光が情報トラックを横断する際に生ずるトラッキングエラー信号の振幅TE0を測定し、このトラッキングエラー信号の振幅TE0に対して10%〜40%程度の値をスピンドルモータの回転速度を低下させる閾値Th0として設定しているものとする。
このような光ディスク装置において、コントローラ14は光ディスク1への記録を開始すると同時にトラッキングエラー信号の閾値を変更する閾値変更処理を開始する。光ディスク1への情報の記録時には、対物レンズ4はサーボ制御されて光ディスク1の情報トラックに追従しているため、トラッキングエラー信号の振幅を測定することができない。図5は、このサーボ制御時におけるコントローラ14の処理を示している。
S101において、コントローラ14は加算器24で外乱信号109が加算される所定のタイミングの時刻tにおいてRAM28からコントローラ14に出力される外乱加算前信号110と、RAM29からコントローラ14に出力される外乱加算後信号111とから制御ループのゲインを測定する。コントローラ14はゲインの測定値G(t)をRAM16に保存する。
このように、所定のタイミングで制御ループにおいて外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号110と外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号111とからゲインを測定することにより、対物レンズ4の情報トラックへの追従制御が行われている際にも制御ループのゲインを測定できるので、光ディスク1への情報の記録中であっても、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を随時推測することができ、随時記録倍速を下げる閾値を変更することができる。
また、S102でコントローラ14は、温度センサ19から入力したアクチュエータ6の時刻tにおける温度の測定値T(t)をRAM16に保存する。
制御ループのゲイン|G(s)|は、制御ループの各構成要素の伝達関数の積であるので、アクチュエータ6の伝達関数G4(s)が変動すると制御ループのゲイン|G(s)|も変動する。しかし、アクチュエータ6の温度を把握することで、制御ループの伝達関数G(s)のうちアクチュエータ6の伝達関数G4(s)の変動を把握できるので、制御ループのゲイン|G(s)|の温度による変動を補正することができる。つまり、制御ループのゲイン|G(s)|から伝達関数G4(s)の変動の影響を除去することによって、制御ループのゲイン|G(s)|から伝達関数G1(s)をより正確に推測し、トラッキングエラー信号の振幅と、それに対応したトラッキングエラー信号の閾値をより正確に推測することができる。
また、S103において、コントローラ14は、S101とS102とにおいてRAM16に記憶されたゲインの測定値G(t)と温度の測定値T(t)とを用いてTh(t)={G(t)/G0}×Th0×{1+k(T(t)−T0)}を計算し、閾値の計算を行う。コントローラ14は、ここで求めた閾値Th(t)を、時刻tから次に制御ループのゲインを測定する所定のタイミングである時刻t+1までのトラッキングエラー信号の閾値として設定する。
このように、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更することにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合を計算するだけで、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅がどのように変動したのかを推測することができるので、簡易な計算で記録倍速を下げる閾値を決定することができ、制御部に過剰な負荷を与えることなく、記録の安定化、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
また、ゲインの測定値と温度の測定値とに基づいて、所定の閾値を変更することにより、制御ループのゲイン|G(s)|と、温度に依存して変動するアクチュエータ6の伝達関数G4(s)とから、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、トラッキングエラー信号の振幅の変動をより正確に推測することが可能となる。
次に光ディスク装置における回転数変更の処理について説明する。
従来の光ディスク装置では、サーボ制御中にトラッキングエラー信号の出力値が固定の閾値を超えると、光ディスクの回転数を下げる処理が行われていた。本実施の形態の光ディスク装置においても、サーボ制御中のトラッキングエラー信号の出力値が、制御ループのゲインの測定値に基づいて変更された閾値を超えると、光ディスク1の回転数を下げる処理が行われる。
図6は図1の光ディスク装置における回転数変更のフローチャートである。
光ディスク装置では、光ディスク1に対する情報の記録が行われており、光ディスク1が装着されたスピンドルモータ3が所定の回転数で回転された状態において、光ディスク1の情報トラックに対して対物レンズ4が追従制御されているものとする。
S201においてコントローラ14は、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックに追従する際に生ずるトラッキングエラー信号の出力値VTEを測定し、RAM16に記憶する。
S202においてコントローラ14は、RAM16に記憶されているトラッキングエラー信号の出力値VTEと、図5で説明した閾値変更の処理により設定されたトラッキングエラー信号の閾値Th(t)とを比較し、トラッキングエラー信号の出力値VTEがトラッキングエラー信号の閾値Th(t)よりも小さい場合は、処理をS203に進め、一方トラッキングエラー信号の出力値VTEがトラッキングエラー信号の閾値Th(t)よりも大きい場合は、処理をS204に進める。
S203では、S202でコントローラ14がトラッキングエラー信号の出力値VTEがトラッキングエラー信号の閾値Th(t)よりも小さいと判断した場合、コントローラ14はスピンドルモータ3の回転数を所定の回転数のまま一定に保つ。
一方、S204では、S202でコントローラ14がトラッキングエラー信号の出力値VTEがトラッキングエラー信号の閾値Th(t)よりも大きいと判断した場合、コントローラ14はスピンドルモータ3の回転数を下げる処理を行う。
このように、集光されたレーザ光を情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズ4によって集光されたレーザ光が情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
なお、以上の説明においては、トラッキングエラー信号の閾値変更処理を、光ディスク装置の記録動作中に行うことについて説明したが、光ディスク装置の再生動作中も対物レンズ4はサーボ制御されて光ディスク1の情報トラックに追従しているため、本実施の形態において説明したトラッキングエラー信号の閾値変更処理を適用することが同様に実施可能である。
(実施の形態2)
実施の形態1の説明では、光ディスク装置のサーボ制御のうちトラッキング制御について説明したが、光ディスク装置のサーボ制御のうちフォーカス制御に適用することも同様に実施可能である。以下、本実施の形態の光ディスク装置について、図7と図8とを用いてその原理を説明する。なお、光ディスク装置の構成、閾値変更の処理、回転数変更の処理は、実施の形態1において図1、図4、図5、乃至図6を用いて説明したものと同様であるため説明を省略する。
対物レンズ4によって集光されたレーザ光が光ディスク1の情報記録面に追従しているサーボ制御時には、レーザ光が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を測定することができないので、本実施の形態の光ディスク装置においては、制御ループのゲイン|G(s)|を測定してフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、推測した振幅に対応させて光ディスク1の回転数を下げる閾値を変更する。
以下、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅とは、レーザ光が情報記録面に追従しておらず情報記録面を通過する際に生ずるフォーカスエラー信号の極小値から極大値までの幅を意味する。また、フォーカスエラー信号の出力値とは、レーザ光が情報記録面に追従している際に生ずるフォーカスエラー信号を意味する。
図7を用いて光ディスク装置の制御ループのゲインとフォーカスエラー信号との関係について説明する。また、図8を用いてフォーカスエラー信号のS字波形の振幅と閾値との関係について説明する。
図7は光ディスク装置の制御ループを説明する図である。
実施の形態1において説明したように、光ディスク装置の制御ループの伝達関数をG(s)とすると、制御ループのゲイン|G(s)|には、目標値G0が設定されており、少なくとも光ディスクを挿入した時などの光ディスク装置の起動時に、サーボ処理部12に設けられた増幅器22でサーボ信号を増幅することによって、ゲイン|G(s)|が目標値G0となるように調整される。
光ディスク装置の制御ループのゲイン|G(s)|とは、対物レンズ4の光ディスク1の情報記録面への追従性を示す指標であり、図1においても説明したように、アナログ信号処理部11からモータ駆動部13及び対物レンズ4を経由してアナログ信号処理部11に循環する制御ループのそれぞれの構成要素の伝達関数の積である。ここで、制御ループを構成する構成要素とその伝達関数は、以下のように考えられる。
光ピックアップ8とアナログ信号処理部11とからなる1つの構成要素であり、情報記録面の変位y1[m]と対物レンズ4の変位y2[m]とのずれを表す偏差e[m]を、サーボエラー信号102のうちフォーカスエラー信号の電圧FE[V]に変換する構成要素の伝達関数をG1(s)とする。G1(s)の単位は[V/m]となる。
また、サーボ処理部12を1つの構成要素とし、アナログ信号処理部11から入力したフォーカスエラー信号の電圧FE[V]を、ピックアップモジュール制御信号104の電圧V1[V]に変換するサーボ処理部12の伝達関数をG2(s)とする。G2(s)の単位は[V/V]となる。
また、モータ駆動部13を1つの構成要素とし、サーボ処理部12から入力したピックアップモジュール制御信号104の電圧V1[V]をピックアップモジュール駆動信号105の電圧V2[V]に変換するモータ駆動部13の伝達関数をG3(s)とする。G3(s)の単位は[V/V]となる。
また、アクチュエータ6を1つの構成要素とし、モータ駆動部13から入力したピックアップモジュール駆動信号105の電圧V2[V]を対物レンズ4の変位y2[m]に変換するアクチュエータ6の伝達関数をG4(s)とする。G4(s)の単位は[m/V]となる。
制御ループのゲイン|G(s)|は、これら制御ループの構成要素の伝達関数の積であるので、|G(s)|=G1(s)×G2(s)×G3(s)×G4(s)となる。
ここで、制御ループの構成要素の伝達関数のうち、光ピックアップ8とアナログ信号処理部11とからなる構成要素の伝達関数であるG1(s)に注目する。G1(s)の単位は、[V/m]であることから、伝達関数G1(s)は、対物レンズ4を光ディスク1の厚さ方向にy[m]移動させた場合に現れる電圧変化FE[V]、つまり横軸を厚さ方向の距離y、縦軸をフォーカスエラー信号の電圧Vとして表したフォーカスエラー信号の電圧波形の傾きに相当する。即ち、制御ループのゲイン|G(s)|の構成要素である伝達関数G1(s)がフォーカスエラー信号の傾きを示すので、制御ループのゲインの測定値から、横軸を光ディスクの厚さ方向の距離yとし縦軸を電圧Vとしたフォーカスエラー信号の電圧波形の傾きを推測できることがわかる。
次に、対物レンズ4を光ディスクの厚さ方向に移動した時に現れるフォーカスエラー信号について図8を用いて説明する。
図8は光ディスク装置のフォーカスエラー信号を説明する図である。ここでは、横軸を厚さ方向の距離yとし縦軸を電圧Vとしたフォーカスエラー信号の電圧波形の傾きから、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、推測した振幅に対応させてフォーカスエラー信号の閾値を設定することについて説明する。
図8(a)は光ディスク1を示し、図8(b)は対物レンズ4を光ディスク1の厚さ方向に移動した時に現れるフォーカスエラー信号を示している。
図8(a)に示す光ディスク1において、1eは、図1のスピンドルモータ3に装着された際の対物レンズ4側の表面であり、対物レンズ4から出射された光が入射する入射面である。1fは、入射面1eの裏側の面であり、通常可視情報が印字されているレーベル面である。そして入射面1eとレーベル面1fとの間に、情報記録面1gを有する。対物レンズ4は、ピックアップモジュール2内部のレーザ光源18から出射された光を集光し光ディスク1の入射面1eとレーベル面1fとの間に焦点4aを結ぶ。焦点4aは、対物レンズ4の移動に伴って移動する。
図8(a)に示す光ディスク1の情報記録面を対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点4aが通過するように、対物レンズ4を光ディスク1の厚さ方向に移動させていくと、フォーカスエラー信号としては図8(b)に示されるように正弦波形で近似されるような信号が出力される。
対物レンズ4が、より正確には対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点4aが、光ディスク1の情報記録面1gに、一方の厚さ方向から近付き通過して遠ざかるときのフォーカスエラー信号は、情報記録面1gにある程度近付くまではゼロを出力し、情報記録面1gにある程度近付くと正極性に大きくなって極大値を取った後、正極性に小さくなる。そして情報記録面1gに到達した時点でゼロを出力し、情報記録面1gを通過するとそのまま負極性に大きくなって極小値を取った後、負極性に小さくなる。さらに、情報記録面1gからある程度以上離れるとその後はゼロを出力する。ここでは、極大値、極小値の順で変化する場合について説明したが、対物レンズ4を逆の厚さ方向に移動していくと、この順序は逆になる。
対物レンズ4が情報記録面に追従制御されている場合、対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点4aは情報記録面の近傍を推移するので、フォーカスエラー信号の出力値はゼロの近傍で推移する。このため、対物レンズ4が情報記録面に追従制御されている場合の伝達関数G1(s)は、対物レンズ4を光ディスク1の厚さ方向にy[m]移動させた場合に現れるフォーカスエラー信号の傾きのうち、ゼロの近傍での傾きFE/y[V/m]を表すことになる。フォーカスエラー信号はyの関数として近似されるので、フォーカスエラー信号の傾きに比例して、フォーカスエラー信号の極小値から極大値までの幅であるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅FE0も変動する。つまり、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅FE0は、伝達関数G1(s)に対応して変動することになる。
ここで、対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点が、情報記録面の中心から光ディスク1の厚さ方向に移動していくと、フォーカスエラー信号が極大値もしくは極小値を取る点において、フォーカスエラー信号の接線の傾きはゼロとなる。この点において、伝達関数G1(s)はゼロとなるので、伝達関数の積であるゲインもゼロとなる。制御ループのゲインがゼロとなると、対物レンズ4を光ディスク1の情報記録面へ追従させることができなくなり、対物レンズ4は制御不能となる。このような事態を防ぐため、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅FE0に対して10%〜40%程度の閾値Th0を定め、対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点4aが情報記録面に追従する際に生ずるフォーカスエラー信号の電圧出力がこの閾値Th0を超える場合、光ディスク1の回転数を下げることにより、対物レンズ4の情報記録面への追従が十分に間に合うように構成されている。
ここで、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅FE0は、前述したように伝達関数G1(s)の変動から推測することができる。制御ループのゲイン|G(s)|は伝達関数G1(s)、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)の積であるので、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)を略一定であるとみなせば、制御ループのゲイン|G(s)|の変動から、対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点4aが情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅FE0の変動を推測し、推測した振幅の変動に合せてフォーカスエラー信号の閾値を変更することができる。例えば、制御ループのゲインは光ディスク装置の起動時にはゲインの目標値G0に調整されているとし、その起動時に測定されたフォーカスエラー信号のS字波形の振幅をFE0、振幅FE0に対応して設定された光ディスク装置の起動時の閾値をTh0とし、時刻tにおいて測定した制御ループのゲインがG(t)であった場合、時刻tにおけるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅FE(t)は、FE(t)={G(t)/G0}×FE0と推測できるので、時刻tにおけるフォーカスエラー信号の閾値Th(t)は、Th(t)={G(t)/G0}×Th0と表せる。この式によると、ゲインの測定値がゲインの目標値に対して大きければ閾値の幅も広くなり、ゲインの測定値がゲインの目標値に対して小さければ閾値の幅も狭くなる。
このように、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値を変更することにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合を計算するだけで、集光されたレーザ光の焦点が情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅がどのように変動したのかを推測することができるので、簡易な計算で記録倍速を下げる閾値を決定することができ、制御部に過剰な負荷を与えることなく、記録の安定化、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
なお、伝達関数G1(s)、G2(s)、G3(s)、及びG4(s)のうち、伝達関数G4(s)はアクチュエータ6の伝達関数である。アクチュエータ6の感度を示す伝達関数G4(s)は、温度に依存して変動し、温度センサ19において測定した時刻tにおける温度の測定値T(t)が所定温度T0より低い場合は、アクチュエータ6の感度が良くなって伝達関数G4(s)が大きくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が大きくなることが考えられる。一方、時刻tにおける温度の測定値T(t)が所定温度T0より高い場合は、アクチュエータの感度が悪くなって伝達関数G4(s)が小さくなるので、伝達関数G1(s)が変動していなくても、制御ループのゲイン|G(s)|が小さくなることが考えられる。そこで、kを正の係数として、f(T)=1+k(T(t)−T0)とする温度補正項を導入し、Th(t)={G(t)/G0}×Th0×f(T)={G(t)/G0}×Th0×{1+k(T(t)−T0)}としてフォーカスエラー信号の閾値を求めることにより、所定のゲインの目標値に対するゲインの測定値の割合に対応させて所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、温度の測定値が所定温度より低い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より狭く変更し、一方、温度の測定値が所定温度より高い場合は、所定の閾値の幅を所定の範囲より広く変更することができるので、制御ループのゲイン|G(s)|の変動からアクチュエータの伝達関数G4(s)の変動の影響を除去することで、制御ループのゲイン|G(s)|の温度による変動を補正し、記録倍速を下げる閾値をより適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
このように、集光されたレーザ光の焦点4aを情報記録面へ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び対物レンズを経由して信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、集光されたレーザ光の焦点4aが情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて所定の閾値を変更することにより、ゲインの測定値から、対物レンズ4によって集光されたレーザ光の焦点4aが情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅の変動を推測することができるので、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
このように、本実施の形態の光ディスク装置においては、制御ループのゲイン|G(s)|を測定してフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、推測した振幅に対応させて光ディスク1の回転数を下げる閾値を変更することにより、フォーカスエラー信号のS字波形の振幅を測定することができないサーボ制御時にも、記録倍速を下げる閾値を適正に保つことができるので、記録中のサーボ制御の失敗を防いで、記録の安定化を図ることができる。また、高倍速の状態を保ち、記録パフォーマンスの向上を図ることができる。
なお、以上の説明においては、フォーカスエラー信号の閾値変更処理を、光ディスク装置の記録動作中に行うことについて説明したが、光ディスク装置の再生動作中も対物レンズ4はサーボ制御されて光ディスク1の情報記録面に追従しているため、本実施の形態において説明したフォーカスエラー信号の閾値変更処理を適用することが同様に実施可能である。
本発明にかかる光ディスク装置及びその制御方法は、記録倍速を下げる閾値を適正に保ち、記録中のサーボ制御の失敗を抑制することが必要な光ディスク装置等の用途にも適用できる。
本発明の実施の形態における光ディスク装置のブロック図 光ディスク装置の制御ループを説明する図 光ディスク装置のトラッキングエラー信号を説明する図 図1の光ディスク装置におけるゲインと温度と閾値の関係を示す図 図1の光ディスク装置における閾値変更のフローチャート 図1の光ディスク装置における回転数変更のフローチャート 光ディスク装置の制御ループを説明する図 光ディスク装置のフォーカスエラー信号を説明する図 従来の光ディスク装置におけるトラッキングエラー信号を示す図
符号の説明
1 光ディスク
2 ピックアップモジュール
3 スピンドルモータ
4 対物レンズ
5 レンズホルダ
6 アクチュエータ
7 キャリッジ
8 光ピックアップ
9 フィード部
10 フィードモータ
11 アナログ信号処理部
12 サーボ処理部
13 モータ駆動部
14 コントローラ
15 ROM
16 RAM
17 レーザ駆動部
18 レーザ光源
19 温度センサ
20 外乱信号発生器
21 A/Dコンバータ
22 増幅器
23 フィルタ
24 加算器
25 D/Aコンバータ
26〜29 RAM
101 ピックアップ出力信号
102 サーボエラー信号
103 制御信号
104 ピックアップモジュール制御信号
105 ピックアップモジュール駆動信号
106 レーザ制御信号
107 レーザ駆動信号
108 温度信号
109 外乱信号
110 外乱加算前信号
111 外乱加算後信号

Claims (14)

  1. 光ディスクの情報トラックにレーザ光を集光する対物レンズと、
    前記光ディスクからの反射光に基づいてトラッキングエラー信号を生成する信号処理部と、
    前記トラッキングエラー信号に基づいて前記集光されたレーザ光が前記情報トラックに追従するように前記対物レンズを駆動する駆動部と、
    前記集光されたレーザ光が前記情報トラックに追従する際に生ずるトラッキングエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合前記光ディスクの回転数を下げる制御部と、を具備し、
    前記制御部は、前記集光されたレーザ光を前記情報トラックへ追従させる際に、前記信号処理部から前記駆動部及び前記対物レンズを経由して前記信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、前記集光されたレーザ光が前記情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて前記所定の閾値を変更することを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記制御ループを循環するサーボ信号に所定のタイミングで外乱信号が加算される外乱加算部を前記制御ループ内に具備し、
    前記制御部は、前記所定のタイミングで前記制御ループにおいて前記外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号と前記外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号とから前記ゲインを測定することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
  3. 前記制御部は、所定のゲインの目標値に対する前記ゲインの測定値の割合に対応させて前記所定の閾値を変更することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
  4. 前記制御部は、所定のゲインの目標値に対して前記ゲインの測定値が小さい場合は、前記所定の閾値の幅を狭く変更し、一方、所定のゲインの目標値に対して前記ゲインの測定値が大きい場合は、前記所定の閾値の幅を広く変更することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
  5. 前記駆動部から出力される駆動信号に基づいて前記集光されたレーザ光が前記情報トラックに追従するように前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの温度を測定する温度測定部と、を具備し、
    前記制御部は、前記ゲインの測定値と前記温度の測定値とに基づいて、前記所定の閾値を変更することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
  6. 前記制御部は、所定のゲインの目標値に対する前記ゲインの測定値の割合に対応させて前記所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、前記温度の測定値が所定温度より低い場合は、前記所定の閾値の幅を前記所定の範囲より狭く変更し、一方、前記温度の測定値が所定温度より高い場合は、前記所定の閾値の幅を前記所定の範囲より広く変更することを特徴とする請求項5に記載の光ディスク装置。
  7. 光ディスクの情報トラックにレーザ光を集光し、
    前記光ディスクからの反射光に基づいてトラッキングエラー信号を生成し、
    前記トラッキングエラー信号に基づいて前記集光されたレーザ光が前記情報トラックに追従するように対物レンズを駆動し、
    前記集光されたレーザ光が前記情報トラックに追従する際に生ずるトラッキングエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合前記光ディスクの回転数を下げ、
    前記集光されたレーザ光を前記情報トラックへ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び前記対物レンズを経由して前記信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、前記集光されたレーザ光が前記情報トラックを横断する場合に生ずるトラッキングエラー信号の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて前記所定の閾値を変更することを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
  8. 光ディスクの情報記録面にレーザ光を集光する対物レンズと、
    前記光ディスクからの反射光に基づいてフォーカスエラー信号を生成する信号処理部と、
    前記フォーカスエラー信号に基づいて前記集光されたレーザ光の焦点が前記情報記録面に追従するように前記対物レンズを駆動する駆動部と、
    前記集光されたレーザ光の焦点が前記情報記録面に追従する際に生ずるフォーカスエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合前記光ディスクの回転数を下げる制御部と、を具備し、
    前記制御部は、前記集光されたレーザ光の焦点を前記情報記録面へ追従させる際に、前記信号処理部から前記駆動部及び前記対物レンズを経由して前記信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、前記集光されたレーザ光の焦点が前記情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて前記所定の閾値を変更することを特徴とする光ディスク装置。
  9. 前記制御ループを循環するサーボ信号に所定のタイミングで外乱信号が加算される外乱加算部を前記制御ループ内に具備し、
    前記制御部は、前記所定のタイミングで前記制御ループにおいて前記外乱加算部の前段から出力される外乱加算前信号と前記外乱加算部の後段から出力される外乱加算後信号とから前記ゲインを測定することを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  10. 前記制御部は、所定のゲインの目標値に対する前記ゲインの測定値の割合に対応させて前記所定の閾値を変更することを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  11. 前記制御部は、所定のゲインの目標値に対して前記ゲインの測定値が小さい場合は、前記所定の閾値の幅を狭く変更し、一方、所定のゲインの目標値に対して前記ゲインの測定値が大きい場合は、前記所定の閾値の幅を広く変更することを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  12. 前記駆動部から出力される駆動信号に基づいて前記集光されたレーザ光の焦点が前記情報記録面に追従するように前記対物レンズを駆動するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの温度を測定する温度測定部と、を具備し、
    前記制御部は、前記ゲインの測定値と前記温度の測定値とに基づいて、前記所定の閾値を変更することを特徴とする請求項8に記載の光ディスク装置。
  13. 前記制御部は、所定のゲインの目標値に対する前記ゲインの測定値の割合に対応させて前記所定の閾値の幅を所定の範囲に変更し、また、前記温度の測定値が所定温度より低い場合は、前記所定の閾値の幅を前記所定の範囲より狭く変更し、一方、前記温度の測定値が所定温度より高い場合は、前記所定の閾値の幅を前記所定の範囲より広く変更することを特徴とする請求項12に記載の光ディスク装置。
  14. 光ディスクの情報記録面にレーザ光を集光し、
    前記光ディスクからの反射光に基づいてフォーカスエラー信号を生成し、
    前記フォーカスエラー信号に基づいて前記集光されたレーザ光の焦点が前記情報記録面に追従するように対物レンズを駆動し、
    前記集光されたレーザ光の焦点が前記情報記録面に追従する際に生ずるフォーカスエラー信号の出力値が所定の閾値を超える場合前記光ディスクの回転数を下げ、
    前記集光されたレーザ光の焦点を前記情報記録面へ追従させる際に、信号処理部から駆動部及び前記対物レンズを経由して前記信号処理部に循環する制御ループのゲインを測定し、この測定値に基づいて、前記集光されたレーザ光の焦点が前記情報記録面を通過する場合に生ずるフォーカスエラー信号のS字波形の振幅を推測し、その推測した振幅に対応させて前記所定の閾値を変更することを特徴とする光ディスク装置の制御方法。
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