JP2008075045A - 成形印刷物の製造方法及び成形印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エンボス加工、真空、圧空又は真空圧空成形等の成形加工の際に、ひび割れ及び画像抜けの発生を抑制することができる成形印刷物の製造方法、並びに、成形印刷物を提供すること。
【解決手段】(A)オキセタン化合物、オキシラン化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の単官能カチオン重合性モノマーを含有するインク組成物であり、前記単官能カチオン重合性モノマーの前記インク組成物全体に占める割合が30重量%以上である前記インク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(B)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、並びに、(C)前記印刷物を成形加工する工程を含むことを特徴とする成形印刷物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形印刷物の製造方法及び成形印刷物に関する。
今日において、成形加工が施された印刷シート(加飾シート)は様々な用途で使用されている。例えば、電化製品等に使用されるメンブレンスイッチ表面シートは薄プラスチックシート(膜圧約100μmのPET、ポリカーボネート、ポリスチレン等)にイメージが形成された後、スイッチ部分(クリック部分)にクリック感を出すため、エンボス加工が施されている。その他印刷物をマット調にしたり、デザイン上立体感を出したりするため、印刷物をエンボス加工する例が多く見られる。
また、飲料水、茶やジュースなどの飲料商品の自動販売機が広く普及しており、これらの自動販売機には、販売される商品を示すダミー展示物が展示されている。これらのダミー展示物としては、透明性の熱可塑性樹脂シートに加飾印刷を施した平らな支持体を、実物大の飲料商品容器の半割の形にまで深絞り加工して、立ち上がりの高い、場合によっては25mm以上の深絞りの成形品を作り、その背面より照明を与えることによって商品イメージを強くアピールするように作製されているものがある。
このような加飾された熱可塑性樹脂シートの深絞り成形品を作製するための加工方法としては、真空成形や圧空成形あるいは真空圧空成形が最も好適である。真空成形は原理的に、平坦な支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却するものであり、圧空成形は金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却するものである。真空圧空成形は、前記減圧及び加圧を同時に行うものである。
したがって、エンボス加工、真空成形、圧空成形及び真空圧空成形(以下、真空成形等という)においては、基材となる熱可塑性樹脂シートは、加熱状態で高度の延伸性を必要とするので、ポリカーボネート樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、硬化塩化ビニル樹脂シート、ポリスチレン樹脂シートなどが一般に用いられているが、加飾印刷が容易なことや真空成形等によって製作された成形品の諸耐性が優れている点でポリカーボネート樹脂シートやポリエステル樹脂シート、特にポリカーボネート樹脂シートが最も好適に使用されている。使用される熱可塑性樹脂シートとしては、厚さが0.1〜0.8mm程度、好ましくは0.3〜0.6mm程度のものが使用されることが一般的である。
また、前述のようなシートを加飾するためのインクとしては、顔料等の着色料を含み、またバインダーとしては塩化ビニル共重合体、溶剤可溶性のポリエステル樹脂、アクリル樹脂などを使用した溶剤型インクが一般的に使用されている。このようなインクによって印刷された加飾印刷層は真空成形等において、加熱状態で基材シートに追随して良好な延伸性を示すので極めて良好に使用されてきた。
しかしながら前述のような従来法にあっては、溶剤型インクを使用するために、溶剤を蒸発除去しなければならないという環境上の問題があり、また溶剤を蒸発除去するための加熱エネルギーと乾燥時間とを必要とする難点があった。
このような観点から溶剤を使用しない紫外線硬化型インクを使用して熱可塑性樹脂シートに印刷を施し、これを後加工することが提案されている(特許文献1)。しかしながらこの提案は、冷間曲げ加工や、立ち上がり角度が45°程度と小さく、絞り深さも僅かに5mm程度の浅いプレス加工や熱プレス加工に関するものであり、シートが何倍にも延伸される深絞り真空成形品を加飾するために紫外線硬化型着色インクを使用することは試みられていなかった。
従来、前記した真空成形等の成形加工が施された印刷シート(加飾シート)の印刷方法としては、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷版を使用する印刷方法が用いられてきた。これらの印刷方法は印刷装置が高価でいずれも印刷版を作製する必要がありコストや手間から少量生産に適していない。
一方、インクジェット方式は、印刷装置が安価であり、かつ、印刷時に版を必要とせず、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、特に小ロット生産の場合にランニングコストが安い。さらに、騒音が少なく、画像記録方式として優れており、近年注目を浴びている。
なかでも、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクジェット記録用インク(放射線硬化型インクジェット記録用インク)は、紫外線などの放射線の照射によりインク成分の大部分が硬化するため、溶剤系インクと比べて乾燥性にすぐれ、また、画像がにじみにくいことから、種々の基材に印字できる点で優れた方式である。
放射線硬化型インクに含まれるインク組成物は、高画質の画像を形成するために高感度で硬化するものが求められている。インク組成物の高感度化を達成することにより、活性放射線の照射により高い硬化性が付与されるため、消費電力の低減や活性放射線発生装置への負荷軽減による高寿命化などの他、未硬化の低分子物質の揮発、形成された画像強度の低下などを抑制することができるなど、種々の利点をも有することになる。
また、得られた画像(印刷物)がひび割れや剥離等を起こしにくく、硬化膜の耐衝撃性、柔軟性、基材密着性に富むインク組成物が求められている。硬化膜が高い柔軟性、耐衝撃性、基材密着性を有することで、様々な環境下で長期間印刷物を高画質に保ったまま表示、保管でき、また、印刷物の取り扱いが容易になるなどのメリットがある。
成形加工が施された印刷シート(加飾シート)に適用されるインク組成物は、成形加工時にインク膜が延伸されるため、高度な硬化膜柔軟性を必要とする。また、成形加工に耐えうる硬化膜強度も必要となる。従来、高い柔軟性を有するインク組成物が開示されているが(特許文献2及び3)、膜強度が不十分であり、成形加工の際に画像にキズや白抜けが発生したり、延伸に耐えきれずひび割れを発生させてしまうという問題があった。
また、真空成形、圧空成形に使用可能であり、紫外線などの放射線の照射により硬化可能なインクが開示されているが(特許文献4)、粘度が高く、インクジェット方式に適用できるものではない。
特許第3119282号公報 国際公開第2002/038688号パンフレット 国際公開第2005/026270号パンフレット 特開2003−326591号公報
本発明が解決しようとする課題は、エンボス加工、真空、圧空又は真空圧空成形等の成形加工の際に、ひび割れ、及び画像抜けが発生しない成形印刷物の製造方法、並びに、前記製造方法により得られた成形印刷物を提供することである。
本発明が解決しようとする課題は、下記<1>及び<7>に記載の手段によって解決された。好ましい実施態様である<2>〜<6>と共に以下に示す。
<1>(A)オキセタン化合物、オキシラン化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の単官能カチオン重合性モノマーを含有するインク組成物であり、前記単官能カチオン重合性モノマーの前記インク組成物全体に占める割合が30重量%以上である前記インク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(B)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、並びに、(C)前記印刷物を成形加工する工程を含むことを特徴とする成形印刷物の製造方法、
<2>前記カチオン重合性モノマーが環状構造を有するモノマーである<1>に記載の成形印刷物の製造方法、
<3>前記インク組成物が多官能オキセタン化合物、及び/又は多官能オキシラン化合物を含有し、前記多官能オキセタン化合物、及び/又は多官能オキシラン化合物の総量が前記インク組成物全体に占める割合が25重量%未満である<1>又は<2>に記載の成形印刷物の製造方法、
<4>前記インク組成物が、前記多官能オキセタン化合物を含有し、前記オキセタン化合物の総量がインク組成物全体の15重量%未満である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法、
<5>前記インク組成物が、多官能オキセタン化合物及び多官能オキシラン化合物、並びに、オキセタン基、オキシラン基、及びビニルエーテル基よりなる群から選択された基を1つ有する単官能カチオン重合性モノマーを少なくとも1種含有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法、
<6>前記成形加工が、エンボス加工、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法、
<7><1>〜<6>のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法により得られた成形印刷物。
本発明により、エンボス加工、真空、圧空又は真空圧空成形等の成形加工の際に、ひび割れ、及び画像抜けが発生しない成形印刷物の製造方法、並びに、前記製造方法により得られた成形印刷物を提供することができる。
本発明の成形印刷物の製造方法は、(A)オキセタン化合物、オキシラン化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の単官能カチオン重合性モノマーを含有するインク組成物であり、前記単官能カチオン重合性モノマーの前記インク組成物全体に占める割合が30重量%以上である前記インク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、(B)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、並びに、(C)前記印刷物を成形加工する工程を含むことを特徴とする。
以下、本発明について詳細に説明する。
<インク組成物>
本発明に用いることができるインク組成物は、放射線により硬化可能であり、オキセタン化合物、オキシラン化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の単官能カチオン重合性モノマーを含有するインク組成物であり、前記単官能カチオン重合性モノマーの前記インク組成物全体に占める割合が30重量%以上である。また、必要に応じてカチオン重合開始剤、着色剤、増感剤、共増感剤、前記重合性モノマーの他の重合性化合物、前記カチオン重合開始剤の他の重合開始剤等を含有していてもよい。
本発明において、「放射線」とは、その照射によりインク組成物中に開始種を発生させるエネルギーを付与できる活性放射線であれば特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを含み、中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点から紫外線及び電子線が好ましく、紫外線がより好ましい。したがって、本発明に用いることができるインク組成物は紫外線の照射により硬化可能なインク組成物が好ましい。
なお、本発明において特定の部分を「基」と称した場合は特に断りのない限り一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても置換されていなくても良い。例えば「アルキル基」とは置換又は無置換のアルキル基を意味する。
また、本発明において特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りのない限り単環でも多環でも良く、置換されていても無置換でも良い。例えば「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
また、本発明において、オキセタン化合物とオキシラン化合物とを総称して「環状エーテル化合物」ともいう。
<単官能オキセタン化合物及び単官能オキシラン化合物>
本発明において、オキセタン基を1つのみ有する単官能カチオン重合性モノマーを単官能オキセタン化合物、オキシラン基を1つのみ有する単官能カチオン重合性モノマーを単官能オキシラン化合物ともいう。
本発明に用いるインク組成物には、高極性単官能オキセタン化合物及び/又は高極性単官能オキシラン化合物(以下、これらを単に「高極性環状エーテル化合物」ともいう。)を用いることができる。
高極性環状エーテル化合物とは、極性の高い高極性環状エーテル化合物であり、分子内に高極性基を有する高極性環状エーテル化合物である。本発明においてインク組成物は高極性単官能環状エーテル化合物を含有することにより良好な分散性を得ることができる。
高極性環状エーテル化合物は1種類を単独で用いることができるし、2種以上を併用して用いても良い。また、高極性単官能オキセタン化合物のみを用いることもできるし、高極性単官能オキシラン化合物のみを用いることもできるし、両化合物を併用することもできる。
なお、本発明にて使用される高極性単官能化合物としては、分子のlogP値(オクタノール/水分配係数)が1.0未満の化合物であり、低極性単官能化合物としては、分子のlogP値が1.0以上の化合物が挙げられる。
本発明において、高極性基とはエステル結合、カーボネート結合、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい、アミノ基、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合、ビスフェノキシ結合、含窒素環状化合物基、含酸素環状化合物基及びアルキレングリコール構造等の高極性基を含有する官能基を示す。
アルキレングリコール構造としては、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖、テトラエチレングリコール鎖等のアルキレングリコール鎖及び、ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖、ポリテトラエチレングリコール鎖等のポリアルキレングリコール鎖が挙げられる。
高極性単官能オキセタン化合物及び高極性単官能オキシラン化合物は、環状エーテル構造を1つ有する。具体的には、反応性や入手容易性の観点から、下記に示す構造が好ましく例示できる。なお、波線部は他の構造との結合部位である。
高極性環状エーテル化合物における環状エーテル構造は、導入可能な場合にはエーテル環上にさらに置換基を有していてもよい。
該置換基は、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、アミノ基が挙げられる。これらの置換基は、可能な場合には、前記置換基がさらに前記置換基で置換されていてもよい。また、2つの置換基が連結し環構造を形成していてもよく、環状エーテル構造以外の他の構造部分と連結し環構造を形成していてもよい。
本発明に用いることができる高極性環状エーテル化合物は、上記環状エーテルを含む部分構造と、下記式(I)で表される部分構造とをそれぞれ1つその分子構造内に有していてもよい。
式(I)中、X1は単結合、分岐を有していても良い炭素数5以下のアルキレン基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、アミド結合、ウレア結合、ビスフェノキシ結合、アルキレングリコール構造を有する基、又はこれらの基を2以上組み合わせた高極性基を含有する二価の連結基を示す。
式(I)に示す構造は、環状エーテル(オキセタン環又はオキシラン環)中の任意の炭素原子にアルキレン基等の連結基を介して連結することが好ましい。
前記式(I)で表される部分構造中、R1は、アルキル基、単環芳香族基及び多環芳香族基を含む芳香族基、並びに、シクロアルカン骨格、アダマンタン骨格及びノルボルナン骨格よりなる群から選択される構造を有する脂環式炭化水素基、又はこれらの基を2以上組み合わせた基を表す。上記の芳香族基及び脂環炭化水素基の環状構造には、O、N、S等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
1で表されるアルキル基は、炭素原子数2〜12のアルキル基が好ましく挙げられ、炭素原子数2〜8であることがより好ましく、炭素原子数2〜6であることがさらに好ましい。具体的には、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が好ましく挙げられる。
1で表されるシクロアルカン骨格を有する基は、炭素原子数4〜12のシクロアルカンが好ましく挙げられ、炭素原子数4〜8であることがより好ましく、炭素原子数5〜7であることがさらに好ましい。具体的には、シクロヘプチル基、シクロへキシル基、シクロペンチル基、ビシクロ環基、アダマンチル基及びノルボルニル基等から水素原子を1個除した基が好ましく挙げられる。
1で表される芳香族基は、炭素原子数6〜18の芳香族基が好ましく挙げられ、炭素原子数6〜12であることがより好ましく、炭素原子数6〜8であることがさらに好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の基から水素原子を1個除した基が好ましく挙げられ、フェニル基から水素原子を1個除した基であることがより好ましい。また、R1は、これらの基を2以上組み合わせた基であってもよく、ベンジル基から水素原子を1個除した基であることがより好ましい。
1は、置換基を有していてもよい。
該置換基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基及びアミノ基が挙げられる。
1は、置換基を有さないアルキレン基、置換基を有さないシクロアルキレン基、又は、置換基を有さないアリーレン基であることが特に好ましい。
高極性環状エーテル化合物の総酸素原子数が3個以上であることが好ましく、3〜7個であることがより好ましい。総酸素原子数が3以上であると良好な分散安定性を与えることができる。
以下、本発明に好ましく用いることができる具体例〔例示化合物(1)〜(60)〕を挙げるが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。なお、下記例示化合物の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。また、後述する化合物においても簡略構造式で記載することがある。

本発明において、インク組成物には、低極性単官能オキセタン化合物及び/又は低極性単官能オキシラン化合物(以下、これらを単に「低極性環状エーテル化合物」ともいう。)を用いることができる。
低極性環状エーテル化合物とは、極性の低いオキセタン又はオキシラン化合物であり、より詳しくは、分子内に高極性基のないオキセタン又はオキシラン化合物である。
本発明に用いることができる低極性単官能環状エーテル化合物は、分子内の酸素原子の総数が1つ又は2つであり、オキセタン環又はオキシラン環以外の分子構造が、炭化水素鎖のみ、又は、炭化水素鎖及び1つのエーテル結合で構成されている化合物であることが好ましい。
低極性環状エーテル化合物は、環状エーテル構造を1つ有しており、反応性や入手容易性の観点から下記に示す構造が好ましく例示できる。
前記環状エーテル構造は、導入可能な場合には置換基を有していてもよい。
該置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基及びフェニル基等が例示できる。
これら置換基は、可能な場合には、前記置換基がさらに前記置換基で置換されていてもよい。また、2つ以上の置換基が連結し環構造を形成していてもよく、環状エーテル構造以外の他の構造部分と連結し環構造を形成していてもよく、例えばアダマンタン骨格やノルボルナン骨格に上記環状エーテル構造を有する構造でもよい。ただし、1つの分子内にオキセタン構造及びオキシラン構造が合計2つ以上形成されることはない。
本発明に用いることができる低極性環状エーテル化合物は、上記環状エーテルを含む部分構造にさらに下記式(II)で表される部分構造とをそれぞれ1つその分子構造内に有していてもよい。式(II)に示す構造は、上記環状エーテル中の任意の炭素原子にアルキレン基等の連結基を介して連結することが好ましい。また、式(II)に示す部分構造は、低極性単官能オキセタン化合物中、又は、低極性単官能オキシラン化合物中に1個含まれていてもよいし、2個以上含まれていてもよい。
式(II)中、X2は単結合、エーテル結合、分岐を有していても良い炭素数20以下のアルキレン基、またはこれらを組み合わせた二価の連結基を示す。X2にエーテル結合を含む場合は式(II)中にエーテル結合を1つのみ含む。
式(II)中、R2は、アルキル基、シクロアルカン骨格、アダマンタン骨格及びノルボルナン骨格よりなる群から選択される構造を含む脂環式炭化水素基、又は、単環芳香族基及び多環芳香族基よりなる群から選択される構造を含む芳香族基を表し、本発明においては置換基を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数4以上の脂環式炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
2で表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよい炭素数1以上のアルキル基が挙げられる。また、炭素数30以下であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基及びn−ステアリル基等が例示できる。
2で表される脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよい炭素数4以上の脂環式炭化水素基が挙げられる。また、炭素数30以下であることが好ましい。具体的には、シクロヘプチル基、シクロへキシル基、シクロペンチル基及びビシクロ環基、アダマンチル基及びノルボルニル基等が例示できる。
2で表される芳香族基としては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜18の芳香族基が好ましく挙げられ、炭素原子数6〜12であることがより好ましく、炭素原子数6〜8であることがさらに好ましい。具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基及びp−ノニルフェニル基等が例示できる。
以下、本発明に用いることができる低極性単官能オキセタン化合物又は低極性単官能オキシラン化合物の好ましい具体例〔例示化合物(1)〜(63)〕を挙げるが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
本発明において、環状構造を有するカチオン重合性モノマーを用いることが好ましい。環状構造を有するカチオン重合性モノマーを用いることで、硬化性に優れ、成形加工プロセスの際に金型からの離型性が高く、キズ等を生じにくい耐擦過性の高い硬化膜を与えるインク組成物を提供できる。
環状構造を有する単官能カチオン重合性モノマーがインク組成物全体に占める割合が25重量%以上80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、40重量%以上80重量%以下である。
また、環状構造を有する単官能オキセタン化合物を含有することが好ましく、環状構造を有する単官能オキセタン化合物がインク組成物全体に占める割合が25重量%以上80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは、40重量%以上80重量%以下である。
本発明において、上記の(1)〜(63)の化合物の中でも(5)、(10)、(15)、及び(44)〜(59)に示す単官能モノマーを好ましく用いることができる。
本発明において、高極性環状エーテル化合物と低極性環状エーテル化合物との使用比率は任意でありインク組成物の分散性等を考慮して必要に応じて選択できる。本発明においては低極性環状エーテル化合物を好ましく用いることができる。
<多官能オキセタン化合物及び多官能オキシラン化合物>
本発明に用いることができるインク組成物は、多官能オキセタン化合物又は多官能オキシラン化合物(以下、これらを単に「多官能環状エーテル化合物」ともいう。)を含有することができる。
多官能オキセタン化合物とは、同一分子内にオキセタン環を2つ以上有する化合物である。本発明において、多官能オキセタン化合物は、1種類を単独で使用することもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。
多官能オキセタン化合物は、オキセタン環を分子内に2つ以上有するが、2〜6つ有することが好ましく、2〜4つ有することがより好ましい。分子内に有するオキセタン環の数が上記範囲内であると、良好な硬化性、硬化膜の柔軟性が得られる。
分子内に2個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(1)、(2)で示される化合物が例示できる。
a1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基又はチエニル基を表す。分子内に2つのRa1が存在する場合、それらは同じであっても異なるものであってもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられ、フルオロアルキル基としては、これらアルキル基の水素のいずれかがフッ素原子で置換されたものが好ましく挙げられる。
a3は、線状又は分枝状アルキレン基、線状又は分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、線状又は分枝状不飽和炭化水素基、カルボニル基又はカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基、又は、以下に示す基を表す。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられ、ポリ(アルキレンオキシ)基としては、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等が挙げられる。不飽和炭化水素基としては、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等が挙げられる。
a3が上記多価基である場合、Ra4は、水素原子、炭素数1〜4個のアルキル基、炭素数1〜4個のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、又はカルバモイル基を表す。
a5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、又は、C(CH32を表す。
a6は、炭素数1〜4個のアルキル基、又は、アリール基を表し、nは0〜2,000の整数である。Ra7は炭素数1〜4個のアルキル基、アリール基、又は、下記構造を有する1価の基を表す。下記式中、Ra8は炭素数1〜4個のアルキル基、又はアリール基であり、mは0〜100の整数である。
式(1)で表される化合物としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(OXT−121:東亞合成(株)が好ましく例示できる。また、式(2)で表される化合物としては、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(OXT−221:東亞合成(株))が好ましく例示できる。
分子内に3〜4個のオキセタン環を有する化合物としては、下記式(3)で示される化合物が例示できる。
式(3)において、Ra1は、前記式(1)におけるのと同義である。また、多価連結基であるRa9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
上記Aにおいて、Ra10はメチル基、エチル基又はプロピル基を表す。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
また、本発明に好適に用いることができるオキセタン化合物の別の態様として、側鎖にオキセタン環を有する下記式(4)で示される化合物が例示できる。
式(4)において、Ra1及びRa8は前記式におけるのと同義である。Ra11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
このようなオキセタン環を有する化合物については、特開2003−341217号公報、段落番号0021ないし0084に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に用いることができる。また、特開2004−91556号公報に記載されたオキセタン化合物も本発明に用いることができる。段落番号0022ないし0058に詳細に記載されている。
多官能オキシラン化合物とは、同一分子内にオキシラン環を2つ以上有する化合物である。本発明において、多官能オキシラン化合物は、1種類を単独で使用することもできるし、2種以上を併用して使用することもできる。
本発明において、多官能オキシラン化合物は、分子内にオキシラン環を2つ以上有するが、2〜6つ有することが好ましく、2〜4つ有することがより好ましい。分子内に有するオキシラン環の数が上記範囲内であると、良好な硬化性と、良好な硬化膜の柔軟性が得られるため好ましい。
多官能オキシラン化合物としては、多官能芳香族オキシラン化合物、多官能脂環式オキシラン化合物、多官能脂肪族オキシラン化合物などが挙げられ、芳香族オキシラン化合物としては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
多官能脂環式オキシラン化合物としては、少なくとも2個のシクロへキセン環又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。また、シクロヘキサジエン環又はシクロペンタジエン環等のシクロアルカジエン環を有する化合物をエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンジオキサイド、シクロペンテンジオキサイド含有化合物も例示できる。
多官能脂肪族オキシラン化合物としては、例えば、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
本発明に用いることのできる多官能オキシラン化合物を詳しく例示する。
例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,13−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらの多官能オキシラン化合物のなかでも、多官能芳香族オキシラン化合物及び多官能脂環式オキシラン化合物が、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に多官能脂環式オキシラン化合物が好ましい。
本発明において、インク組成物中に、オキセタン化合物及びオキシラン化合物を含むことが好ましく、多官能オキシラン化合物、及び多官能オキセタン化合物を含むことがより好ましい。オキセタン化合物とオキシラン化合物をインク組成物中に共存させることで、硬化性に優れ、成形加工プロセスの際に金型への剥離性が高く、キズ等を生じにくい耐擦過性の高い硬化膜を与えるインク組成物が提供できる。多官能オキセタン化合物、及び、多官能オキシラン化合物が共存するとさらに好ましい。
本発明においては、多官能オキセタン化合物及び多官能オキシラン化合物の総量がインク全体に占める割合が25重量%未満であることが好ましい。25重量%未満の割合にて、硬化膜の延伸性に優れるインク組成物が提供できる。
<単官能ビニルエーテル化合物>
本発明に用いるインク組成物には、単官能ビニルエーテル化合物を用いることができる。本発明に用いることができる単官能ビニルエーテル化合物として、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテル化合物を詳しく例示する。
単官能ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられ、中でもシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルを好ましく用いることができる。
<多官能ビニルエーテル化合物>
本発明に用いるインク組成物には、多官能ビニルエーテル化合物を用いることができる。本発明に用いることができる多官能ビニルエーテル化合物として、ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
以下に、単官能ビニルエーテルと多官能ビニルエーテルを詳しく例示する。
多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられ、中でもトリエチレングリコールジビニルエーテルを好ましく用いることができる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明において、単官能モノマーの含有率がインク組成物全量に対して30重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは40〜80重量%であり、特に好ましくは50〜70重量%である。上記の数値の範囲であると、硬化性に優れ、成形加工時の硬化膜の延伸性に優れるインク組成物を提供できる。
単官能モノマーの中でも、単官能オキシラン化合物、または単官能オキセタン化合物を少なくとも1種含有することがより好ましく、特に好ましくは、単官能オキセタン化合物である。単官能モノマーの中でも、芳香族基、脂環式炭化水素基、N、S、O等のヘテロ原子を含む環状構造を有するモノマーがより好ましい。
本発明において用いることができるインク組成物は、多官能オキセタン化合物、及び/又は多官能オキシラン化合物を含有し、前記多官能オキセタン化合物、及び/又は多官能オキシラン化合物の総量が前記インク組成物全体の25重量%未満であることが好ましい。さらに、インク組成物が多官能オキセタン化合物を含有し、前記オキセタン化合物の総量がインク組成物全体の15重量%未満であることがより好ましい。
上記の数値の範囲であると、硬化性、硬化膜の延伸性に優れるインク組成物を提供できる。
<カチオン重合開始剤>
本発明に用いるインク組成物はカチオン重合開始剤を含有することが好ましい。本発明に用いることができるカチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に用いるインク組成物において、好適なカチオン重合開始剤の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
本発明において、インク組成物に用いることができるカチオン重合開始剤は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。カチオン重合開始剤は、カチオン重合性化合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部の範囲で用いることができる。
本発明において、好適に用いられるカチオン重合開始剤例〔(b−1)〜(b−96)〕を以下に挙げるがこれらに限定されるものではない。なお、本発明における化学構造式の一部において、炭化水素鎖を炭素(C)及び水素(H)の記号を省略した簡略構造式で記載する。
<着色剤>
本発明において、インク組成物には形成された画像部の視認性を向上させるため着色剤を含有させることができる。
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性放射線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
本発明に適用可能な前記油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料;等を挙げることができる。
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
また、着色剤として油溶性染料を使用する際、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
本発明に使用することができる着色剤は、本発明のインク組成物又はインクジェット記録用インク組成物に添加された後、適度に当該インク内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
着色剤は、本発明のインク組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用するラジカル重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化画像に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、ラジカル重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
これらの着色剤はインク組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
なお、本発明のインク組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、さらに好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明のインク組成物中における着色剤の含有量は、色、及び使用目的により適宜選択されるが、インク組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
<増感剤>
本発明において、インク組成物はオニウム型重合開始剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有することが好ましい。増感剤は、オニウム型重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。増感剤は増感色素が好ましい。
本発明に使用する増感色素として、以下に列挙する化合物類に属しており、且つ300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
中でも本発明における増感剤には、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセン)、チオキサントン類、ジスチリルベンゼン類、スチリルベンゼン類と組み合わせるのが開始効率の観点で好ましく、ジスチリルベンゼン類、スチリルベンゼン、ジフェニルブタジエン類と組み合わせるが最も好ましい。
具体的には以下の化合物が例示できる。なお、下記の化合物中、Meはメチル基、Buはブチル基を表す。
本発明のインク組成物において、増感剤として増感色素を使用する場合、その含有量は、インクの着色性の観点から、インク組成物の全重量に対し、0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜15重量%がより好ましく、0.5〜10重量%がさらに好ましい。
増感剤は1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
また、増感剤とオニウム型重合開始剤とのインク組成物中における含有比としては、オニウム型重合開始剤の分解率向上と照射した光の透過性の観点から、重量比で、(オニウム型重合開始剤)/(増感剤)=100〜0.5が好ましく、50〜1がより好ましく、10〜1.5が更に好ましい。
<共増感剤>
本発明において、インク組成物は共増感剤を含有することが好ましい。本発明において共増感剤は、増感色素の活性放射線に対する感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
共増感剤の別の例としてはチオール及びスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
共増感剤はインク組成物中、インク組成物全体の重量(固形分換算)で1〜20重量%添加されることが好ましく、1〜5重量%がより好ましい。上記範囲であると、良好な感度を適度な使用量で得られるため好ましい。
<他の重合性化合物>
本発明に用いるインク組成物において、上記のオキセタン化合物、オキシラン化合物及びビニルエーテル化合物と共に他の重合性化合物を併用できる。本発明に併用できる重合性化合物として、前記オキセタン化合物、オキシラン化合物、ビニルエーテル化合物に該当しないカチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物が挙げられる。本発明に用いることができるラジカル重合性化合物として、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料が知られている。
本発明に用いることができるラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合(エチレン性不飽和結合)を1つ以上有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品若しくは業界で公知のラジカル重合性乃至架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物を併用すると、ラジカル重合の特徴である高感度性と、カチオン重合の特徴である低体積収縮性より、高感度性、及び、密着性を兼備した印刷物が得られるので好ましい。
<ラジカル重合開始剤>
本発明に用いるインク組成物において、前記カチオン重合開始剤及びラジカル重合開始剤を併用することもでき、公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
本発明に用いることのできるラジカル重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱及び活性放射線に大別され、それぞれ、熱重合開始剤及び光重合開始剤が使用される。活性放射線には、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が例示できる。本発明に用いることのできる重合開始剤は、活性放射線に感応する放射線感応型ラジカル重合開始剤、いわゆる光ラジカル重合開始剤が好ましい。
本発明で併用され得る好ましいラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)有機過酸化物、(c)チオ化合物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、並びに(k)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は、上記(a)〜(k)の化合物を単独若しくは組み合わせて使用してもよい。
<その他の成分>
本発明のインク組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、塩基性化合物、ラジカル重合禁止剤、溶剤等が挙げられる。
塩基性化合物は、インク組成物の保存安定性を向上させる観点から添加することが好ましい。本発明に用いることができる塩基性化合物としては、公知の塩基性化合物を用いることができ、例えば、無機塩等の塩基性無機化合物や、アミン類等の塩基性有機化合物を好ましく用いることができる。
ラジカル重合禁止剤は、保存性を高める観点から添加することが好ましい。また、本発明のインク組成物をインクジェト記録用インク組成物として使用する場合には、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して吐出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤は、本発明のインク組成物全量に対し、200〜20,000ppm添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
本発明のインク組成物及びインクジェット記録用インク組成物が放射線硬化型インク組成物であることに鑑み、インク組成物着弾直後に速やかに反応しかつ硬化し得るよう、溶剤を含まないことが好ましい。しかし、インク組成物の硬化速度等に影響がない限り、所定の溶剤を含めることができる。本発明において、溶剤としては、有機溶剤、水が使用できる。特に、有機溶剤は、被記録媒体(紙などの支持体)との密着性を改良するために添加され得る。有機溶剤を添加すると、揮発性有機化合物(VOC)の問題が回避できるので有効である。有機溶剤の量は、本発明のインク組成物全体の重量に対し、例えば、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
インク組成物に用いることのできる着色剤の遮光効果による感度低下を防ぐ手段として、カチオン重合性化合物とカチオン重合開始剤との組み合わせ、及び、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤との組み合わせの他、これらの重合性化合物及び重合開始剤を併用したラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとしてもよい。
この他に、必要に応じて公知の化合物を本発明のインク組成物に添加することができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6頁に記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環族アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香族アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
<インク組成物の性質>
得られたインク組成物を、インクジェット記録用として用いる場合には、吐出性を考慮し、吐出時の温度(例えば、40〜80℃、好ましくは25〜30℃)において、インク組成物の粘度が、好ましくは7〜30mPa・sであり、より好ましくは7〜20mPa・sである。
本発明のインク組成物の室温(25〜30℃)での粘度は、好ましくは7〜500mPa・s、より好ましくは7〜200mPa・sである。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を回避し、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となる。更にインク液滴着弾時のインクの滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。
本発明のインク組成物の表面張力は、好ましくは20〜35mN/m、より好ましくは23〜33mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで35mN/m以下が好ましい。
<支持体>
本発明に用いることができる支持体は、特に限定はなく、成形加工に適した公知の被記録媒体を用いることができる。
支持体は、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、オレフィン系熱化塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−1,4シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリエステル系熱化塑性エラストマー等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン9、ナイロン6,6等のポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ3フッ化ビニリデン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体、ポリ4フッ化エチレン等のフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂等を例示できる。
上記アクリル系樹脂は、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、エチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等の樹脂〔但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味〕を単体又は2種以上の混合物で用いることができる。
なかでも、印刷が容易なことや成形印刷物の諸耐性が優れている点でポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート樹脂やポリカーボネート樹脂に他樹脂をブレンドした樹脂のシートが好ましく用いられる。
本発明の支持体に用いる熱可塑性樹脂シートの厚み(積層体構成の場合は総厚)は、エンボス加工、真空成形、圧空成形及び真空圧空成形の原理を併用した真空圧空成形が可能な範囲の厚みの樹脂シートであれば特に限定されないが、50μm〜1000μmのものが好ましく、70μm〜800μmのものがより好ましく、100〜500μmのものがさらに好ましい。
熱化塑性樹脂シートの中から、高光沢領域、低光沢領域、及びシート厚みの厚薄を付与する為のエンボス加工適性、更に、成形印刷物を加熱軟化させて真空成形等の成形加工を行う場合には該成形加工時の熱による成形適性とエンボス加工の耐久性(エンボス消失防止)との両立性等を考慮の上、適宜選定する。透明樹脂基材シートの層構成は、単層、或いは異種の樹脂を2層以上積層した積層体の何れでも良い。
熱可塑性樹脂シート中には、必要に応じ適宜、添加剤を添加することができる。添加剤としては、表面光沢、融点等の熱的挙動に支障を来さない範囲で、各種添加剤を適量添加し得る。例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系ラジカル補捉剤等の光安定剤、シリコーン樹脂、ワックス等の滑剤、着色剤、可塑剤、熱安定剤、抗菌剤、防黴剤、帯電防止剤等である。
本発明の成形印刷物は熱可塑性樹脂シートに真空成形等を施すことによって作製されるが、成形に先立って支持体にインクジェット方式により画像が形成される。画像の形成は、透明シートの裏面側(真空成形において金型に面する側)に施されるのが一般的であるが、その反対面にも画像が形成されてもよい。また場合によっては、前記反対面にのみ画像を形成することもでき、この場合には基材となる熱可塑性樹脂シートは透明である必要はない。
<インクジェット方式による印刷物の作製>
本発明の成形印刷物の製造方法は、インク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像形成する工程、得られた画像に活性放射線を照射して、前記カチオン重合性インク組成物を硬化させ、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程を含む。インクジェット方式は、微小なインク滴を再現性よく形成して飛ばし、所望の場所にそのインク滴を着地させる方式である。
インクジェット方式を用いて画像や表面コート層を形成するには、以下に述べるインクジェット記録装置を好適に用いることができる。
<インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置>
本発明のインク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像形成する工程工程には、以下に詳述するインクジェット記録装置を用いることができる。本発明の成形印刷物の製造方法に用いられるインクジェット記録装置は、特に制限はなく、目的とする解像度を達成しうる公知のインクジェット記録装置を任意に選択して使用することができる。即ち、市販品を含む公知のインクジェット記録装置であれば、いずれも、本発明における支持体へのインク組成物の吐出を実施することができる。
本発明で用いることのできるインクジェット記録装置は、例えば、インク組成物供給系、温度センサー、活性放射線源を含む装置が挙げられる。
インク供給系は、例えば、インク組成物を含む元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク組成物供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドからなる。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、好ましくは1〜100pl、より好ましくは8〜30plのマルチサイズドットを、好ましくは320×320〜4,000×4,000dpi、より好ましくは400×400〜1,600×1,600dpi、さらに好ましくは720×720dpiの解像度で吐出できるよう駆動させることができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
放射線硬化型インクは、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インク組成物供給タンクからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温を行うことができる。温度コントロールの方法は、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に設けることができる。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
放射線硬化型インク組成物は、概して通常のインクジェット記録用インクに使用される水性インクよりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。インクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こす。従って、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが必要である。よって、本発明において、インクの温度の制御幅は、好ましくは設定温度の±5℃、より好ましくは設定温度の±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃とすることが適当である。
次に、得られた画像に活性放射線を照射して、前記カチオン重合性インク組成物を硬化させ、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程について説明する。
支持体上に吐出されたインク組成物は、活性放射線を照射することによって硬化させることができる。これは、インク組成物に含まれるカチオン重合開始剤が活性放射線を吸収して酸を発生し、重合性化合物がカチオン重合して硬化するためである。このとき、インク組成物において重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、重合開始剤と接触することによって重合開始剤による酸の発生を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
ここで、使用される活性放射線は、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光又は赤外光などが使用され得る。活性放射線のピーク波長は、増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nmであることが好ましく、300〜450nmであることがより好ましく、350〜420nmであることがさらに好ましい。
また、本発明において、インク組成物の、重合開始系は、低出力の活性放射線であっても十分な感度を有するものである。従って、露光面照度が、好ましくは10〜4,000mW/cm2、より好ましくは20〜2,500mW/cm2で硬化させることが適当である。
活性放射線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線光硬化型インクジェット記録用インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。しかしながら、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、LED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、光硬化型インクジェット用光源として期待されている。
また、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を活性放射線源として用いることが可能である。特に、紫外線源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。さらに一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性放射線を放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる紫外線帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性放射線源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
なお、LEDの被記録媒体上での最高照度は10〜2,000mW/cm2であることが好ましく、20〜1,000mW/cm2であることがより好ましく、特に好ましくは50〜800mW/cm2である。
本発明において、インク組成物は、このような活性放射線に、好ましくは0.01〜120秒、より好ましくは0.1〜90秒照射されることが適当である。
活性放射線の照射条件並びに基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されている。具体的には、インクの吐出装置を含むヘッドユニットの両側に光源を設け、いわゆるシャトル方式でヘッドユニットと光源を走査することによって行われる。活性放射線の照射は、インク着弾後、一定時間(好ましくは0.01〜0.5秒、より好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒)をおいて行われることになる。このようにインク着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、支持体に着弾したインクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な被記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えることができるので好ましい。
さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させてもよい。WO99/54415号パンフレットでは、照射方法として、光ファイバーを用いた方法やコリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されており、このような硬化方法もまた、本発明のインクジェット記録方法に適用することができる。
上述したようなインクジェット記録方法を採用することにより、表面の濡れ性が異なる様々な支持体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクから順に重ねることにより、下部のインクまで照射線が到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、密着性の向上が期待できる。また、照射は、全色を吐出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
<成形加工>
本発明は、画像を硬化させた印刷物を成形加工する工程を含む。本発明において、成形加工には、エンボス加工、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形を用いることができる。
印刷物を成形加工する装置としては、公知の装置を使用することができ、前記インクジェット記録装置と一体の装置であっても、別の装置であってもよい。
<エンボス加工>
エンボス加工は、印刷物等を図柄や文字等の任意の形状にくぼませて立体感を出す加工のことであり、例えば、ローラーやプレス機等を用いて加工することができる。
エンボス加工の一例としては、ホット・コールドプレス法が挙げられ、特開平10−199360号公報に記載の方法等を参照することができる。
ホット・コールドプレス法によるエンボス成形装置の一例を以下に示す。
該エンボス成形装置は、下部定盤(下定盤)と上部定盤(上定盤)が相互に接近離隔可能に配置されている。そして、下部定盤上にはプレート型ヒータが固定されており、上部定盤の下面にもプレート型ヒータが固定されている。これにより、支持体を加熱しながらホットプレスを行うことができる。このホットプレス機において、その下定盤上のプレート型ヒータに、所定のエンボス形状に倣う凸部を有する金型を取付け、上定盤の下面に固定されたヒータに接触するように、前記凸部に整合する形状の凹部を有する金型を取付ける。そして、画像を形成した支持体を配置し、この支持体と凹部金型との間にクッションシートを配置して、上定盤を下降させる等して上定盤と下定盤との間で支持体及びクッションシートをプレスする。このホットプレス工程における加圧力は例えば30トンであり、プレート型ヒータによる加熱温度は例えば170℃である。そして、上定盤を下定盤に押圧し、支持体及びクッションシートを金型間で挟圧し、このホットプレスを約3分間保持する。支持体は金型を介してヒータにより加熱され、熱変形により複数個の凸部が形成される。次いで、この支持体及びクッションシートを金型間に挟持したまま、ヒータを具備しない内部水冷型定盤間に配置し、例えば加圧力30トン、保持時間約3分の条件で内部水冷型定盤により押圧し、コールドプレスする。これにより、支持体はホットプレスにより熱変形した凸形状が保持され、エンボス加工を施した成形印刷物が得られる。加圧力及び加熱温度は、用いる印刷物の材質や加工形状等の条件に応じ、適宜調整することができる。
<真空成形、圧空成形、真空圧空成形>
真空成形は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、これを金型へ減圧によって吸引して延伸しながら金型に圧着冷却し成形する方法であり、圧空成形は、画像が形成された支持体を予め熱変形可能な温度まで予熱し、金型の反対側から加圧して金型に圧着冷却し成形する方法である。真空圧空成形は、前記減圧及び加圧を同時に行い成形する方法である。詳しくは「高分子大辞典」(丸善株式会社)p.766〜768に記載されている「熱成形」の項目及び該項目に引用されている文献等を参照することができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、以下の記載における「部」とは、特に断りのない限り「重量部」を示すものとする。
本発明で使用した素材は下記に示す通りである。
(顔料)
・IRGALITTE BLUE GLVO(シアン顔料、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
・CINQUASIA MAGENTA RT−335 D(マゼンタ顔料、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
・NOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)
・SPECIAL BLACK 250(ブラック顔料、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
・タイペークCR60−2(ホワイト顔料、石原産業社製)
(分散剤)
・Solsperse32000(Noveon社製)
・Solsperse36000(Noveon社製)
(モノマー)
・Rapi−Cure DVE−3(トリエチレングリコールジビニルエーテル、ISP社製)
・OXT−221(東亞合成(株)製)
・Cylacure UVR6105(Dow Chemical社製)
・OXT−211(東亞合成(株)製)
・OXT−212(東亞合成(株)製)
・例示化合物A
・例示化合物B
・Rapi−cure CHMVE(ISP社製)
(重合開始剤)
・CPI−100P(スルホニウム塩、サンアプロ社製)
(増感剤)
・9,10−ジブトキシアントラセン(川崎化成社製)
(界面活性剤)
・BYK307(BYK Chemie社製)
(シアンミルベースAの調製)
IRGALITTE BLUE GLVOを300重量部と、OXT−212を600重量部と、Solsperse32000を100重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで3時間分散を行った。
(マゼンタミルベースBの調製)
CINQUASIA MAGENTA RT−335 Dを300重量部と、OXT−212を600重量部と、Solsperse32000を100重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
(イエローミルベースCの調製)
NOVOPERM YELLOW H2Gを300重量部と、OXT−212を600重量部と、Solsperse32000を100重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散を行った。
(ブラックミルベースDの調製)
SPECIAL BLACK 250を300重量部と、OXT−212を600重量部と、Solsperse32000を100重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで5時間30分間分散を行った。
(ホワイトミルベースEの調製)
タイペークCR60−2を500重量部と、OXT−212を450重量部と、Solsperse36000を50重量部とを撹拌混合し、顔料インクを得た。なお、顔料ミルベースの調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで3時間分散を行った。
《インクジェット画像記録方法》
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置を用いて、被記録媒体への記録を行った。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動した。着弾後はUV光を露光面照度2,100mW/cm2、に集光し、被記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を6,000mJ/cm2となるようにした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサ コーポレーション社製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。被記録媒体として、下記エンボス加工テスト用にはHK31−WF(膜厚120μm、PET、東山フイルム社製)を用い、真空成形プロセステスト用には、テフレックスFT−3(膜圧50μm、PET、帝人デュポン社製)を使用した。各サンプルともインク硬化膜の平均膜圧が12μmになるよう描画を行った。
(加工プロセス評価方法)
(エンボス加工テスト)
25℃条件下、作成した印刷物を図1に示すステンレス製凹金型と凸型金型の間に挟み、プレス機MIZUHOA型ハンドパワー(松下電動工具社製)をもちいて、加重250kgを5秒間加え、エンボス加工を行った。画像のエンボスされた部分にひび割れ、白抜けが生じていないか、目視で観察を行った。
(真空成形プロセステスト)
真空成形装置フォーミング300X(成光産業社製)を用い真空成形を行った。該真空成形装置の真空テーブルの中心に図2に示す木製型を設置し、支持体の温度が90℃になるようにヒーターの温度を設定した。支持体温度が90℃に加熱された後、木型の設置された真空テーブルをテーブル昇降レバーで操作しながらゆっくりと上昇させ、真空成形を行った。成形された印刷物にひび割れ、白抜けが生じていないか、目視で観察を行った。
(粘度測定方法)
本実施例における粘度測定は、B型粘度計:Brookfield LVDV−I(Brookfield社製)を用い、25℃条件下で、ローターの回転数12rpmで粘度測定を行った。
〔実施例1〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は30mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)6.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 11.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 9.9部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 60.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた印刷物を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例2〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、マゼンタ色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は33mPa・sであった。
(マゼンタ色インク組成物)
・マゼンタミルベースB(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)
12.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 11.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 11.9部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 52.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例3〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、イエロー色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は34mPa・sであった。
(イエロー色インク組成物)
・イエローミルベースC(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)
12.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 11.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 11.9部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 52.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例4〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ブラック色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は31mPa・sであった。
(ブラック色インク組成物)
・ブラックミルベースD(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)
6.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 11.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 9.9部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 60.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例5〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ホワイト色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は36mPa・sであった。
(ホワイト色インク組成物)
・ホワイトミルベースD(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)
30.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 10.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 8.9部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 40.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 10.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例6〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は28mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)6.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 11.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 9.9部
・例示化合物A(モノマー:単官能オキセタン) 60.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例7〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は28mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)6.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 11.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 9.9部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 30.0部
・例示化合物B(モノマー:単官能オキシラン) 30.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例8〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は32mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)6.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 11.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 9.9部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 45.0部
・Rapi−cure CHMVE(モノマー:単官能ビニルエーテル) 15.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔実施例9〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、ホワイト色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は28mPa・sであった。
(ホワイト色インク組成物)
・ホワイトミルベースE(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)
30.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 10.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 9.5部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 26.5部
・Rapi−cure DVE−3(モノマー:2官能ビニルエーテル) 10.9部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔比較例1〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は27mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)6.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 45.0部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 35.9部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
〔比較例2〕
以下の成分を、高速水冷式撹拌機により撹拌し、シアン色のUVインクジェット用インクを得た。粘度は29mPa・sであった。
(シアン色インク組成物)
・シアンミルベースA(着色剤、モノマー:単官能オキセタン、高分子分散剤)6.0部
・OXT−221(モノマー:2官能オキセタン) 28.9部
・UVR6105(モノマー:2官能オキシラン) 32.0部
・OXT−211(モノマー:単官能オキセタン) 20.0部
・CPI−100P(重合開始剤) 12.0部
・ジブトキシアントラセン(増感剤) 1.0部
・Byk307(界面活性剤) 0.1部
(インクの評価)
得られたインク組成物を用い、インクジェット記録を行った。得られた画像を用い、エンボス加工テスト、真空成形テストを行った。結果を表1に示した。
表1に記載のOXT212量は各処方に導入したミルベースに含有されている量を記載した。
エンボス加工テストに使用した凸金型及び凹凸金型の概略図である。 真空成形プロセステストに使用した型の概略図である。

Claims (7)

  1. (A)オキセタン化合物、オキシラン化合物、及びビニルエーテル化合物よりなる群から選択された少なくとも1種の単官能カチオン重合性モノマーを含有するインク組成物であり、前記単官能カチオン重合性モノマーの前記インク組成物全体に占める割合が30重量%以上である前記インク組成物を支持体上にインクジェット方式により吐出して画像を形成する工程、
    (B)得られた画像に活性放射線を照射して、前記インク組成物を硬化させて、前記支持体上に硬化した画像を有する印刷物を得る工程、並びに、
    (C)前記印刷物を成形加工する工程を含むことを特徴とする
    成形印刷物の製造方法。
  2. 前記カチオン重合性モノマーが環状構造を有するモノマーである請求項1に記載の成形印刷物の製造方法。
  3. 前記インク組成物が多官能オキセタン化合物、及び/又は多官能オキシラン化合物を含有し、前記多官能オキセタン化合物、及び/又は多官能オキシラン化合物の総量が前記インク組成物全体に占める割合が25重量%未満である請求項1又は2に記載の成形印刷物の製造方法。
  4. 前記インク組成物が、前記多官能オキセタン化合物を含有し、前記オキセタン化合物の総量がインク組成物全体に占める割合が15重量%未満である請求項1〜3のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法。
  5. 前記インク組成物が、多官能オキセタン化合物及び多官能オキシラン化合物、並びに、オキセタン基、オキシラン基、及びビニルエーテル基よりなる群から選択された基を1つ有する単官能カチオン重合性モノマーを少なくとも1種含有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法。
  6. 前記成形が、エンボス加工、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形である請求項1〜5のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の成形印刷物の製造方法により得られた成形印刷物。
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