JP2008074810A - 被覆粉状農薬の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)粉状農薬にシリコーンオイル添加し、攪拌・混合する工程、(2)得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第1液状原料(x)を添加し、攪拌・混合する工程、(3)得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第2液状原料(x)を添加する工程、(4)次いで攪拌・混合しながら該第1液状原料(x)と該第2液状原料(x)とを反応させ、粉状農薬を熱硬化性樹脂(x)で固めた内核を得る工程、並びに(5)得られた内核に、熱硬化性樹脂(y)の原料である第1液状原料(y)と第2液状原料(y)とを、同時又は順次添加し、攪拌・混合しながら該第1液状原料(y)と該第2液状原料(y)とを反応させ、該内核を熱硬化性樹脂(y)の被膜で被覆する工程;を有する被覆粉状農薬の製造方法。
【選択図】なし
Description
[発明1]
以下の工程を有する被覆粉状農薬の製造方法。
(1)粉状農薬にシリコーンオイルを添加し、攪拌・混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第1液状原料(x)を添加し、攪拌・混合する工程、
(3)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第2液状原料(x)を添加する工程、
(4)次いで攪拌・混合しながら該第1液状原料(x)と該第2液状原料(x)とを反応させ、粉状農薬を熱硬化性樹脂(x)で固めた内核を得る工程、
(5)前工程で得られた内核に、熱硬化性樹脂(y)の原料である第1液状原料(y)と第2液状原料(y)とを、同時又は順次添加し、攪拌・混合しながら該第1液状原料(y)と該第2液状原料(y)とを反応させ、該内核を熱硬化性樹脂(y)の被膜で被覆する工程。
[発明2]
熱硬化性樹脂(x)及び熱硬化性樹脂(y)がウレタン樹脂、尿素樹脂又はエポキシ樹脂である発明1記載の製造方法。
[発明3]
熱硬化性樹脂(x)及び熱硬化性樹脂(y)がウレタン樹脂である発明1記載の製造方法。
[発明4]
シリコーンオイルの粘度が100mPa・s(25℃)以下である発明1〜3のいずれか記載の製造方法。
[発明5]
粉状農薬が農薬活性化合物としてクロチアニジンを含有する発明1〜4のいずれか記載の製造方法。
[発明6]
粉状農薬の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粉状農薬の体積中位径が10〜200μmである発明1〜5のいずれか記載の製造方法。
[発明7]
発明1〜6のいずれか記載の製造方法で製造された被覆粉状農薬。
[発明8]
粉状農薬が熱硬化性樹脂(x)で固められてなる内核を熱硬化性樹脂(y)の被膜で被覆されてなり、
粉状農薬100重量部に対してシリコーンオイル1〜20重量部を含有してなる被覆粉状農薬。
本発明において、シリコーンオイルの粘度は100mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転)以下であることが好ましく、50mPa・s(B型粘度計、25℃、12回転)以下であることが更に好ましい。
本発明製造方法は、
(1)粉状農薬にシリコーンオイルを添加し、攪拌・混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第1液状原料(x)を添加し、攪拌・混合する工程、
(3)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第2液状原料(x)を添加する工程、
(4)次いで攪拌・混合しながら第1液状原料(x)と第2液状原料(x)とを反応させ、粉状農薬を熱硬化性樹脂(x)で固めた内核(以下、本内核と記す。)を得る工程、及び、
(5)前工程で得られた本内核に、熱硬化性樹脂(y)の原料である第1液状原料(y)と第2液状原料(y)とを、同時又は順次添加し、攪拌・混合しながら第1液状原料(y)と第2液状原料(y)とを反応させ、本内核を熱硬化性樹脂(y)の被膜で被覆する工程、
を備える。
工程(5)においては、前工程で得られた本内核を容器内にて攪拌しながら、熱硬化性樹脂(y)の原料である第1液状原料(y)と第2液状原料(y)とを、同時又は順次添加し、得られた混合物に回転する羽根等でせん断力を与えつつ、第1液状原料(y)と第2液状原料(y)とを反応させて熱硬化性樹脂(y)を生成させることで、本内核を熱硬化性樹脂(y)の被膜で被覆する。また、工程(5)は必要により複数回繰り返される。
本発明において、本粉状農薬は粉末状の農薬活性化合物の単独でもよいが、通常、農薬活性化合物と希釈粉体とを含有する組成物であり、好ましくは実質的に農薬活性化合物と希釈粉体とからなる組成物である。
なお、体積中位径は、MALVERN製MASTERSIZER2000等のレーザー回折式粒子径測定機によって測定することができる。
本粉状農薬中に希釈粉体を存在させる目的は、体積中位径が1〜100μmの本粉状農薬を製造する際の粉砕性の改善、本粉状農薬の流動性等の粉体物性の改善や、本粉状農薬の粉塵爆発下限等の防災物性の改善等である。希釈粉体の体積中位径は1〜100μmの範囲である。
希釈粉体は、通常、農薬粉剤において用いられる粉状の固体担体を使用することができ、一般には鉱物質粉体が一般的であり、鉱物質粉体としては、
例えばカオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、ナトリウムモンモリロナイト、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト等のモンモリロナイト鉱物、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等のスメクタイト、パイロフィライト、タルク、蝋石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等の天然珪酸、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、石膏等の硫酸塩鉱物、ドロマイト、炭酸カルシウム、ギプサム、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土などが挙げられる。これらの固体担体は単独で用いてもよく、あるいは2種以上併用してもよい。比重が大きな固体担体が好ましく用いられる。
本粉状農薬は、農薬活性化合物及び希釈粉体の他に、本粉状農薬に対して30重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲にて、膨潤剤、界面活性剤、安定化剤、着色剤、香料等の農薬補助剤を含有していてもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤、ドデシルアミン塩酸塩などのアルキルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩などのアルキル四級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ポリアルキルビニルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウムなどのエーテルカルボン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸のアミノ酸縮合物、高級アルキルスルホン酸塩、ラウリン酸エステルスルホン酸塩などの高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、ジオクチルスルホサクシネートのどのジアルキルスルホコハク酸塩、オレイン酸アミドスルホン酸などの高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸塩などのアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、ペンタデカン−2−サルフェートなどの高級アルコール硫酸エステル塩、ジポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸塩等のポリオキシエチレンアルキルリン酸塩、スチレン−マレイン酸塩共重合体等のアニオン性界面活性剤、N−ラウリルアラニン、N,N,N−トリメチルアミノプロピオン酸、N,N,N−トリヒドロキシエチルアミノプロピオン酸、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアミノ酢酸、1−(2−カルボキシエチル)ピリミジニウムベタイン、レシチン等の両性界面活性剤などが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化菜種油等のエポキシ化植物油、イソプロピルアシッドホスフェート、流動パラフィン、エチレングリコールなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば、ローダミンB,ソーラーローダミンなどのローダミン類、黄色4号、青色1号、赤色2号などの色素等が、香料としては、例えば、アセト酢酸エチル、エナント酸エチル、桂皮酸エチル、酢酸イソアミル等のエステル系香料、カプロン酸、桂皮酸等の有機酸系香料、桂皮アルコール、ゲラニオール、シトラール、デシルアルコール等のアルコール系香料、バニリン、ピペロナール、ペリルアルデヒド等のアルデヒド類、マルトール、メチルβ−ナフチルケトン等のケトン系香料、メントールなどが挙げられる。
本粉状農薬は、農薬活性化合物、必要により希釈粉体、更に必要により農薬用補助剤を混合し、粉砕して得られる。また、予め粉末状に粉砕された各々を混合して得ることもできる。
一般的に熱硬化性樹脂は、2種類の異なる液状原料、即ち第1液状原料及び第2液状原料を反応させて得られる。第1液状原料及び第2液状原料は、必ずしも1種の成分のみから構成されるもののみに限定されず、混合物であってもよい。
ポリオールとしては、縮合系ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリ(メタ)アクリル酸ポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、天然ポリオールやその変性物等が挙げられる。縮合系ポリエステルポリオールは、通常、ポリオールと二塩基酸との縮合反応によって得られる。ポリエーテルポリオールは、通常、多価アルコール等にプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドを付加重合によって得られる。ポリ(メタ)アクリル酸ポリオールは、通常、ポリ(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、(メタ)アクリル酸とポリオールとの縮合反応、または、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの重合反応によって得られる。ラクトン系ポリエステルポリオールは多価アルコールを開始剤とするε−カプロラクトンの開環重合によって得られる。ポリカーボネートポリオールは、通常、グリコールとカーボネートとの反応によって得られ、ポリオールとしては、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレンジオール、トリメチロールプロパン、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、および.これらのオリゴマー等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェイト、及び、これらの混合物等が挙げられる。なお、上記のポリイソシアネートモノマーに代えて、流動性を有する限りにおいて、これらの変性体やオリゴマーを用いることもできる。変性体としては、アダクト変性体、ビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ブロック変性体、プレポリマー変性体、2量化変性体等が挙げられる。アニリンとホルマリンの縮合によりポリアミンを経て、これをホスゲン化して得られるポリメチレンポリフェニルイソシアネート(ポリメリックMDI)が、反応制御が容易である点ならびに蒸気圧が低く作業性に優れる点で好ましい。
必要により用いられる硬化触媒としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチルチオ錫酸、オクチル酸第一錫、ジ−n−オクチル錫ジラウレートなどの有機金属、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルジドデシルアミン、N−ドデシルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、イソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、オキシイソプロピルバナデート、n−プロピルジルコネート、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等が挙げられる。ウレタン樹脂の原料であるポリイソシアネートとポリオールは通常モノマー単独で使用される。
ポリイソシアネートとしては、前記のポリイソシアネートが挙げられる。
ポリアミンとしては、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラアミン等が挙げられる。
好ましい硬化剤であるポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、イソホロンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、メンセンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジエチルジフェニルメタン、ポリアミド変性ポリアミン、ケトン変性ポリアミン、エポキシ変性ポリアミン、チオ尿素変性ポリアミン、マンニッヒ変性ポリアミン、マイケル付加変性ポリアミン等が挙げられる。
好ましいグリシジル基含有の化合物であるポリグリシジルエーテルとしては、ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールF型ポリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ナフタレン型ポリグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールA型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールS型ポリグリシジルエーテル、ビスフェノールAF型ポリグリシジルエーテル、ビフェニル型ポリグリシジルエーテル、フルオレイン型ポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック型ポリグリシジルエーテル、O−クレゾールノボラック型ポリグリシジルエーテル、DPPノボラック型ポリグリシジルエーテル、トリスヒドロキシフェニルメタン型ポリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタン型ポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
好ましいグリシジル基含有の化合物であるポリグリシジルアミンとしては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型ポリグリジジルアミン、ヒダントイン型ポリグリシジルアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアモノメチル)シクロヘキサン、アニリン型ポリグリシジルアミン、トルイジン型ポリグリシジルアミン、トリグリシジルイソシアヌレート型ポリグリシジルアミン、アミノフェノール型ポリグリシジルアミン等が挙げられる。
即ち、熱硬化性樹脂(x)及び熱硬化性樹脂(y)の原料であるポリイソシアネートは同じポリイソシアネートを使用し、熱硬化性樹脂(x)の原料であるポリオールとして熱硬化性樹脂(y)の原料であるポリオールよりもOH当量が大きなポリオールを用いる。
尿素樹脂において、第1液状原料としてポリアミン(2種以上のポリアミンの混合物も含む)又はポリイソシアネート(2種以上のポリイソシアネートの混合物も含む)のいずれを用いてもよいが、好ましくは第1液状原料としてポリアミンが用いられ、第2液状原料としてポリイソシアネートが用いられる。
ウレタン−尿素樹脂において、好ましくは第1液状原料としてポリアミンとポリオールの混合物が用いられ、第2液状原料としてポリイソシアネートが用いられる。
エポキシ樹脂において、好ましくは第1液状原料としてポリアミンが用いられ、第2液状原料としてポリグリシジルエーテル又はポリグリシジルアミンが用いられる。
本発明において、第1液状原料及び第2液状原料は、通常2000mPa・s以下の粘度である。
本発明において好ましくは、ウレタン樹脂の原料であるポリオールの粘度は1000mPa・s以下、更に好ましくは800mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)であり、ポリイソシアネートの粘度は300mPa・s以下、更に好ましくは200mPa・s以下(B型粘度計、25℃、12回転)である。
工程(1)は、通常、本粉状農薬を容器内で攪拌しながら容器にシリコーンオイルを添加し、攪拌・混合する工程である。通常は、シリコーンオイルが本粉状農薬と均一に混合されるまで攪拌する。
工程(2)は、通常、前工程で得られた混合物を容器内で攪拌しながらポリオール(x)を添加し、攪拌・混合する工程である。本粉状農薬とポリオール(x)との混合物を容器内にて適当な時間、攪拌・混合することにより、本粉状農薬における個々の粒子がポリオール(x)により被覆された、即ち濡れた状態となる。
工程(2)は通常、0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われる。安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
a)本粉状農薬が入ったパン型またはドラム型形状の容器を斜め又は水平軸の周りに回転させる方法;
b)本粉状農薬が入った容器にて、容器の底面部の直径と同程度の大きさの攪拌羽根を設置し、これを回転させる方法;
c)本粉状農薬が入った容器にて、本粉状農薬に気流を当てる方法。
工程(2)において、攪拌されて転動状態にある本粉状農薬に対して、第1液状原料(x)を添加されると、第1液状原料(x)は本粉状農薬の個々の粒子の表面上に延展され、本粉状農薬の個々の粒子が第1液状原料(x)により被覆された状態となる。さらに転動状態が続くことにより、通常、第1液状原料(x)が本粉状農薬の全ての粒子表面にほぼ均一に行き渡る。
工程(2)において、ポリオール(x)で本粉状農薬の全ての粒子を均一に被覆する為に、粘度の低い(例えば、1000m・Pa(25℃)以下)ポリオール(x)を用いることが好ましい。
工程(3)は通常、工程(2)と同じ温度、即ち0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われる。安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
工程(3)において、ポリイソシアネート(x)は粘度が低い(例えば、300m・Pa(25℃))ことが好ましい。
工程(4)は通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃で行われるが、更に好ましくは40〜80℃で行われる。工程(2)及び工程(3)と同じ温度にて行うことが操作上簡便である。本工程も、安全性の観点から、窒素雰囲気下における実施が好ましい。
工程(4)の操作温度、ウレタン樹脂(x)の種類、硬化触媒の有無等の条件により、未硬化のウレタン樹脂(x)が硬化するまでに必要な時間が変化する。ウレタン樹脂(x)の硬化速度が十分に速い場合には、工程(3)におけるポリイソシアネート(x)の全てを添加し終わる前に、実質的に工程(4)におけるポリオール(x)とポリイソシアネート(x)と反応が開始して、ウレタン樹脂(x)の一部が生成する。このような場合には、工程(3)において、本粉状農薬とポリオール(x)との混合物を容器内で攪拌しながらポリイソシアネート(x)を添加することが好ましい。
本発明製造方法は、上記の工程(2)〜(4)に加えて、更に、工程(5)を1回又は複数回行われる。工程(5)を複数回繰り返して行うことにより、被膜の厚みを適宜調整することができる。
本発明製造方法において、工程(2)〜(4)、或いは工程(5)の1回の操作において添加される、未硬化のウレタン樹脂(x)及びウレタン樹脂(y)の量は、ウレタン樹脂の種類、操作温度や、使用する機器の種類、その運転条件等の各種条件に即して、変化させることができるが、本粉状農薬100重量部に対して通常0.3〜15重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
本発明製造方法によれば、水等の分散媒体に対して溶解度の高い農薬活性化合物や水等の分散媒体の存在下で不安定な農薬活性化合物であっても、被覆粉状農薬を製造することが可能であり、製造後において水等の液体媒体との分離や乾燥等の操作も不要である。
このような2つの手段を備えた容器としては、例えば下記のような容器が用いられる。
(a)斜め又は水平軸の周りにパン型またはドラム型形状の容器全体を回転させることができ、更に容器の下部位置で、容器内の内容物と接触する位置に回転する羽根を設けた容器
(容器が回転させられることにより容器内の粒子全体が転動状態となり、容器の下部に集積された粒子が回転する羽根によりせん断力を与えられる。);
(b)略円筒形状の容器の底部に、容器の底面部に設けた底面部の直径と同程度の大きさの羽根(以下、攪拌羽根と記す。)を有し、更に該容器の側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根を設けた容器
(容器の底面部に設けられた攪拌翼が回転することにより容器内の粒子全体が転動状態となり、更に粒子が側面より突出させた水平軸の周りに回転する羽根によりせん断力を与えられる。);
(c)容器内の内容物の全体を動かすのに十分な量の気流を送る手段を有し、更に容器内の内容物と接触する位置に回転する羽根を設けた容器(気流により容器内の粒子全体が転動状態となり、更に粒子が容器内に設置された回転する羽根によりせん断力を与えられる。)。
本発明製造方法においては、上記の(b)の容器が好ましく用いられる。以下、該容器を例として、本発明製造方法における、操作方法を説明する。
本発明製造方法においては、解砕羽根の回転数や熱硬化性樹脂の硬化速度を調節することにより、得られる本被覆農薬の体積中位径を変化させることができる。具体的には、解砕羽根の回転数を上げるか、熱硬化性樹脂の硬化速度が遅くなると、本被覆農薬の体積中位径は小さくなる。
例えば、特開平9−75703号公報に記載の装置が具体的に挙げられる。
また、シリコーンオイルの量は、本粉状農薬100重量部に対して、通常は1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部である。
また、本被覆農薬は、固体の不活性担体、結合剤、必要により界面活性剤等の助剤と混練し、造粒して、本被覆農薬を含有する固形製剤(粒剤又は錠剤)に製剤化して、使用することもできる。
ハイスピードミキサー装置(深江パウレック株式会社製LFS−GS−1J型)
上方に開口部を有する水平皿型の容器部、丸皿型の容器部の底面の中心を通る垂直線を回転軸とするアジテータ羽根、および、丸皿型の容器部の側面を貫通するの水平線を回転軸とするチョッパー羽根を有する攪拌装置。丸皿型の容器部の容量が約2L、内径が約18cmであり、アジテータ羽根は半径約9cmの3枚の羽根が容器部の底面および内壁に沿うように回転可能に容器部の底面に取り付けられている。チョッパー羽根は半径2cmの2枚の羽根が2対を備え、容器部の底面とアジテータ羽根に接触しないように、回転可能に容器部の側壁面に取り付けられている。
70.0重量部の(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(一般名:クロチアニジン)及び30.0重量部の勝光山クレーS(勝光山鉱業所製)を均一に混合し、遠心粉砕機にて全量粉砕して、体積中位径が15.0μm(MALVERN製MASTERSIZER2000)の(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンを含有する粉状農薬(以下、粉状農薬1と記す。)を得た。粉状農薬1の体積中位径は15.0μmであった。
42.3重量部のスミフェン1600U(住化バイエルウレタン製直鎖型ポリエーテルポリオール)、56.1重量部のスミフェンTM(住化バイエルウレタン製分岐型ポリエーテルポリオール)、及び1.6重量部の2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(化薬アクゾ製)を均一に混合し、ポリオールと触媒との液状混合物(以下、ポリオールプレミックス1と記す。)を得た。ポリオールプレミックス1の粘度は364m・Pa(B型粘度計、25℃、12回転、ロータNo.1)であった。
ハイスピードミキサー装置の容器内に、100重量部の粉状農薬1を仕込み、該装置のアジテータ羽根(回転数:850rpm)及びチョッパー羽根(回転数:3500rpm)を回転させた。次に、10重量部のシリコーンオイル(信越化学工業製ジメチルシリコーンオイル、KF96L5、粘度:5.0mPa・s)を添加した。添加後、混合容器を加温し、粉状農薬1の品温を75±5℃に保持したまま、1.92重量部のポリオールプレミックス1を添加した。3分後、品温を75±5℃に保持したまま、1.08重量部のスミジュール44V10を添加した。5分後、品温を75±5℃に保持したまま、下記のA操作を更に19回繰り返し行った。
1.92重量部のポリオールプレミックス1を添加する→3分間待つ→1.08重量部のスミジュール44V10を添加する→5分間待つ。
上記の操作の間、ハイスピードミキサー装置は、同条件にてせん断力のある攪拌混合を継続させた。その後、混合容器を冷却し、本被覆農薬1を得た。
上記のA操作の回数を表1に記載の回数とした以外は製造例1と同様にして、本被覆農薬2〜3を得た。
シリコーンオイルを添加しない以外は製造例1と同様にして、参考被覆農薬1を得た。
上記のA操作の回数を表1に記載の回数とした以外は比較例1と同様にして、参考被覆農薬2〜3を得た。
本被覆農薬1〜3及び参考被覆農薬1〜3の体積中位径を、MALVERN製MASTERSIZER2000にて測定した。結果を表2に記す。
試験例2(水中溶出試験)
本被覆農薬1〜3及び参考被覆農薬1〜3を、含有している(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンの量が50mg/Lとなるように、100mlスクリュー管に量り取り、100gのイオン交換水を添加し、25℃の恒温機中で時間放置した。その後、所定の時間ごとに上澄みを分取し、固形分をフィルターにて濾別した後、水中に溶出した(E)−1−(2−クロロ−1,3−チアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジンの含量を測定し、水中に溶出していた割合(溶出率)を算出した。その結果を表1に示す。また、測定日間の一日当りの溶出率を表2に示す。
Claims (8)
- 以下の工程を有する被覆粉状農薬の製造方法。
(1)粉状農薬にシリコーンオイルを添加し、攪拌・混合する工程、
(2)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第1液状原料(x)を添加し、攪拌・混合する工程、
(3)前工程で得られた混合物に熱硬化性樹脂(x)の原料である第2液状原料(x)を添加する工程、
(4)次いで攪拌・混合しながら該第1液状原料(x)と該第2液状原料(x)とを反応させ、粉状農薬を熱硬化性樹脂(x)で固めた内核を得る工程、
(5)前工程で得られた内核に、熱硬化性樹脂(y)の原料である第1液状原料(y)と第2液状原料(y)とを、同時又は順次添加し、攪拌・混合しながら該第1液状原料(y)と該第2液状原料(y)とを反応させ、該内核を熱硬化性樹脂(y)の被膜で被覆する工程。 - 熱硬化性樹脂(x)及び熱硬化性樹脂(y)がウレタン樹脂、尿素樹脂又はエポキシ樹脂である請求項1記載の製造方法。
- 熱硬化性樹脂(x)及び熱硬化性樹脂(y)がウレタン樹脂である請求項1記載の製造方法。
- シリコーンオイルの粘度が100mPa・s(25℃)以下である請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
- 粉状農薬が農薬活性化合物としてクロチアニジンを含有する請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
- 粉状農薬の体積中位径が1〜100μmであり、被覆粉状農薬の体積中位径が10〜200μmである請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか記載の製造方法で製造された被覆粉状農薬。
- 粉状農薬が熱硬化性樹脂(x)で固められてなる内核を熱硬化性樹脂(y)の被膜で被覆されてなり、
粉状農薬100重量部に対してシリコーンオイル1〜20重量部を含有してなる被覆粉状農薬。
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