JP2008074763A - 糖材料の調製方法ならびに糖材料、糖材料を含むマイクロニードルおよびマイクロニードルをそなえてなる経皮製剤 - Google Patents

糖材料の調製方法ならびに糖材料、糖材料を含むマイクロニードルおよびマイクロニードルをそなえてなる経皮製剤 Download PDF

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Abstract

【課題】薬剤を経皮的に投与するための糖材料に関し、糖材料の加熱時における薬剤の反応または分解による変性を抑制した糖材料の調製方法を提供することを課題とする。さらに、薬剤が安定的に保たれた糖材料、糖材料および薬剤を含むマイクロニードルおよびマイクロニードルを備えてなる経皮製剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 少なくとも以下の1)〜3)の工程を含む糖材料の調製方法ならびに得られた糖材料による。
1)水分含有量が5w/w%以下の糖を調製する工程;
2)調製した糖に薬剤を混合する工程;
3)混合した薬剤と糖を加熱混練する工程。

Description

本発明は、医薬などの薬剤を経皮的に投与するための糖材料の調製方法に関する。詳しくは、薬剤の安定性を確保した糖材料の調製方法に関する。さらには、上記調製方法により得られた糖材料ならびに糖材料よりなるマイクロニードルに関し、さらにはマイクロニードルをを備えてなる経皮製剤に関する。
医薬などの薬剤の生体への投与方法としては、注射や経口による方法以外に経皮的方法が挙げられる。例えば、皮内または皮下などに薬剤や抗原を含有させた物質を、ロッド状やディスク状、ニードル状に賦形して導入することにより、体内で薬剤や抗原を放出させて投与する方法がある。経皮的に薬剤を投与する場合には、薬剤が皮膚を通過することが必要である。
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3つの層に分かれており、複雑な構造をしている。特に、角質層は表皮の最も外側にあり、外界からの刺激から身体の内部を守る防壁の役割をしている。角質層はごく薄い膜ではあるものの強力なバリヤ層として非常に有益なものであるが、経皮からの投薬に対しては障害であることが指摘されている。薬剤が皮膚を通過するためには、皮膚の角質層を破壊する方法が有効である。この方法の例として、例えばアセトンなどの有機溶剤により角質間層を形成する皮脂を取り除く方法、あるいは機械的に角質層を破壊する方法などが挙げられる。後者の好ましい一態様として、粘着テープを表皮角質層に接着させたあと剥離する操作を1回〜数回繰り返すテープストリッピング法などが挙げられる。このようにして角質層を破壊した後に、所望の薬剤を、軟膏剤や貼布剤により経皮的に投与することができる。また、薬剤が皮膚角質層を通過しうる程度に低分子化させることで、薬剤を経皮的に投与することもできる。
別の方法として、薬剤を含有する物質をニードル状に賦形し、該ニードルを皮膚角質層に導入することにより、角質層のバリヤを通過させて薬剤を投与することができる。このようなニードル状の物質として、生体投与時の安全性の観点から、生分解性を有する高分子樹脂(ポリ乳酸、ポリグリコール酸など)や糖材料などが良く利用されている(特許文献1、2)。このような材料に薬剤を混入することで、賦形性を与え、かつ生体内で薬剤の放出コントロールが可能である。たとえば、生ワクチンや不活化ワクチンとして使用される生弱毒性微生物等を経皮的に投与することができる。
薬剤を含有するニードル状の物質の例として、機能性物質を混入させたマイクロパイルが開示されている(特許文献3)。該マイクロパイル内に混在させた機能性物質を皮膚角質内に挿入し、所定機能を皮膚角質で発揮させることができる。例えば、新生児取り違え防止のために、食紅を混入したマルトース製パイルを新生児の足の土踏まずに軽く押し当て、手でたたいた後に基盤を除去すると、新生児の土踏まずの皮膚角質層に赤い色素がとどまり、着色できるというものである。このようなマイクロパイルは、糖材料で調製されることが開示されている(特許文献3)。しかしながら、糖材料と混入する薬剤の関係に着目したマイクロパイルまたはマイクロニードルについては開示されていない。また、該マイクロパイルの調製方法としてリソグラフィー工程、鋳型製作工程、放出成形工程、外装組立工程の各製造工程からなることも開示されている(特許文献3)。しかしながら、糖材料と混入する薬剤の関係に着目した調製方法については開示されていない。
米国特許USP 3,964,482号公報 国際公開WO 02/45771号公報 特開2003-238347号公報
本発明の課題は、医薬などの薬剤を経皮的に投与するための糖材料の調製方法を提供することである。また、糖材料の加熱成型時における薬剤の反応または分解による変性を抑制した糖材料の調製方法を提供することを課題とする。さらには、薬剤が安定的に保たれた糖材料および糖材料からなるマイクロニードルを提供することを課題とする。
本発明者らは、糖に薬剤を混練する際の、糖の水分含有量および温度が混入しようとする薬剤の安定性に影響することに着目し、鋭意研究を重ねた結果、薬剤の安定性が保たれる糖材料の調製条件を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下よりなる。
1.少なくとも以下の1)〜3)の工程を含む糖材料の調製方法:
1)水分含有量が5w/w%以下の糖を調製する工程;
2)調製した糖に薬剤を混合する工程;
3)混合した薬剤と糖を加熱混練する工程。
2.さらに加熱成型処理する工程を含む前項1に記載の調製方法。
3.前記薬剤の水分含有量が、5w/w%以下である前項1または2に記載の調製方法。
4.前記糖が、非還元糖である前項1〜3のいずれか1項に記載の調製方法。
5.前記糖が、糖アルコールである前項1〜4のいずれか1項に記載の調製方法。
6.前記糖アルコールが、1,6-グルコピラノシル-D-ソルビトールおよび/または1,1-グルコピラノシル-D-マンニトールである前項5に記載の調製方法。
7.前項1〜6のいずれか1項に記載の調製方法により調製される糖材料。
8.前項7に記載の糖材料により成型されることを特徴とする、経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードル。
9.非還元糖および薬剤を含む糖材料により成型されることを特徴とする、経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードル。
10.ガラス転移温度(Tg)が25℃以上の糖材料により成型されていることを特徴とする、前項9または10に記載のマイクロニードル。
11.アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸の少なくとも一種を含む前項8〜10のいずれか1項に記載のマイクロニードル。
12.前項8〜11のいずれか1項に記載のマイクロニードルを備えてなる経皮製剤。
本発明の糖材料の調製方法により、薬剤、例えばアミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸等の薬剤を分解させることなく、糖材料に混入させることができる。また、糖材料の加熱成型時における薬剤の反応または分解による変性を抑制し、薬剤が安定的に保たれたマイクロニードルを製造することができる。かかるマイクローニードルを含む経皮製剤により、より安全かつ効果的に、薬剤を経皮的に投与することができる。
本発明の糖材料に含まれる薬剤は、高分子薬剤で、薬剤そのものでは経皮的吸収が困難な物質からなり、例えば窒素やアミノ基を含む物質などが挙げられる。窒素やアミノ基を含む物質として、例えばアミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸等の高分子であり、好ましくはそれ自身で生理活性を有する薬剤が例示される。例えば、ペプチドまたはタンパク質からなるワクチンを経皮的に投与することができれば、皮膚表面に多数存在する樹状細胞であるランゲルハンス細胞を刺激させて、ウイルス感染細胞や癌細胞を特異的に認識して殺傷するキラーT細胞を活性化させることができる。
アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸等の薬剤の具体例として、例えば成長ホルモン放出因子、成長因子、表皮成長因子(EGF)、神経成長因子(NGF)、TGF、PDGF、インシュリン成長因子(IGF)、繊維芽セル成長因子(aFGF、bFGF等)、ソマトスタチン、カルシトニン、インシュリン、バソプレッシン、インターフェロン、IL-2、ウロキナーゼ、セラチオペプチターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、チロトロピン、放出ホルモン(TRH)、黄体形成ホルモン放出因子(LH-RH)、コルチコトロピン放出ホルモン(CRF)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、オキシトシン、エリトロポチン(EPO)、コロニー刺激因子(CSF)等のタンパク質やそれらの部分より得られるペプチドや、特定の抗原より得られるペプチドワクチンなども薬剤として使用することができる。また、これらのタンパク質やペプチドの情報源となる核酸等も薬剤として使用でき、その他アミノ酸そのものも本発明において、薬剤として使用することができる。
本発明の糖材料を介して薬剤を経皮的に投与して、薬剤の機能を発揮させるために、糖材料中の薬剤の生理活性は、安定的に保持されていることが必要である。
本発明の糖材料は、少なくとも以下の1)〜3)の工程を含む方法により調製される。
1)水分含有量が5w/w%の糖を調製する工程
本発明によると、糖材料は水分含有量を低下させた糖を用いて調製される。糖は、水分含有量が5w/w%以下、好ましくは2w/w%以下、より好ましくは0.5w/w%以下のものを使用することができる。糖の水分含有量が5w/w%より多い場合は、薬剤の安定性が低下するからである。糖の水分含有量を低下させるための手段は、公知の手段によっても良い。公知の手段として、糖を融解点以上の温度に加熱し、脱気するとともに水分を蒸散させることで、糖の水分含有量を低下させることができる。糖の融解点は糖の種類により相違するため、水分蒸散の為に行う処理温度は使用する糖の種類により適宜選択することができる。例えば、エリスリトールは121℃、キシリトールは94℃、マンニトールは165℃、ソルビトールは97℃、マルトースは170℃、スクロースは190℃の融解点であることが知られており、各糖を使用する場合には、これらの融解点以上に加熱することで水分を蒸散させることができる。加熱処理は1〜20分、好ましくは5〜10分行うことができる。
糖の水分含有量は、公知の方法に従って測定することができる。例えば、カールフィッシャー水分測定計により測定する方法が一般的である。
使用する糖は、飴状に固化するものであれば良く、特に限定されないが、例えば二糖類のスクロースやマルトース、糖アルコール類のキシリトールやマンニトール、エリスリトール、ソルビトール等から選択することができる。
糖材料に含有する薬剤は、上述の如く、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸等、アミノ基または窒素を含むため、糖と加熱混練する場合には、熱変性の他、糖の還元末端とアミノ基等がメイラード反応を起こし、薬剤が分解することが考えられる。このように、混練する薬剤と糖のメイラード反応を避けるために、還元末端を有さない非還元糖或いは糖アルコールを選択することが好ましい。非還元糖として、フルクトース、マルトースを例示することができ、糖アルコールとして、エリスリトール、ソルビトールを例示することができる。
さらに、糖材料をマイクロニードルとして使用するためには、常温での使用時に固化物としての硬度を得るために、ガラス転移温度(以下「Tg」という。)が25℃以上、好ましくは30℃以上の糖を選択することが好適である。このような性質を有する糖として、例えば表1に示す糖アルコールから選択することができる。特にTgを考慮すると、1,6-グルコピラノシル-D-ソルビトールおよび/または1,1-グルコピラノシル-D-マンニトールが好適である。
Figure 2008074763
2)調製した糖に薬剤を混合する工程
上記の方法により、水分含有量を低下させた糖に、薬剤を混合することが必要である。糖と薬剤の混合比は、薬剤の投与量に応じて適宜選択することができる。
この場合において、混合する薬剤の水分含有量も、5w/w%以下、好ましくは2w/w%以下、より好ましくは0.5w/w%以下とすることができる。薬剤の水分含有量が5w/w%より多い場合は、薬剤の安定性が低下するからである。水分含有量を低下させるための手段は、どのような手段によっても良い。公知の手段として、例えば薬剤を凍結乾燥処理することにより水分含有量を低下させることができる。
3)混合した薬剤と糖を加熱混練する工程
混合した薬剤と糖が十分に混ざり、薬剤が均質に分散した糖材料を得るために、混合した糖材料を加熱混練することが必要である。この場合の加熱温度は、Tgより高い温度であれば良い。また、混入する薬剤が熱変性しない程度の温度により加熱混練処理をすることが必要である。Tgは糖の種類により相違するために、混練の為に行う処理温度は使用する糖の種類により適宜選択することができる。具体的には、加熱混練処理温度は、Tgより高い温度であって、100℃以下、より好適には90℃以下である。
4)加熱成型処理工程
上記の工程のほかに、さらに糖材料を加熱成型処理する工程を含むことができる。このような工程を経てマイクロニードルを成型することができる。マイクロニードルとして使用可能な形状の糖材料は、加熱成型処理することが必要である。この場合の加熱は、上記混練工程と同様にTgより高い温度であれば良い。また、混入する薬剤が熱変性しない程度の温度により加熱成型処理を行うことが必要である。従って、本工程における処理温度も、使用する糖の種類により適宜選択することができる。具体的には、加熱成型処理温度は、Tgより高い温度であって、100℃以下、より好適には90℃以下である。
成型処理は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、鋳型転写成型により成型する方法が一般的である。 該成型処理により、経皮製剤に使用するロッド状、ディスク状、ニードル状のものを得ることができる。本発明の糖材料は、糖材料に含まれる薬剤を効果的に経皮的に投与するために、皮膚の角質層を通過しうるマイクロニードルの形状に成型することが好ましい。また、マイクロニードルとマイクロニードルを備えた基材も、調製することができる。
本発明の糖材料の調製方法は、上記に示す調製工程のほか、必要に応じてその他の調製工程を含んでいても良い。
さらに、本発明は上記の方法により調製された糖材料や、糖材料より成型されるマイクロニードルにも及ぶ。本発明のマイクロニードルは、薬剤を低分子化させることなく薬剤を経皮投与可能とするものであるから、該マイクロニードルは、室温では固化物としての硬度、いい換えれば角質層を通過しうる硬度を有することが必要とされる。角質層は、経皮からの投薬に対して障害となりうるからである。また、該マイクロニードルを介して、薬剤が経皮的に投与されるため、マイクロニードルに所望の薬剤が安定的に混練されていることが必要である。さらには、該マイクロニードルを生体に押しあてて皮膚の角質層を通過させたのち、これに混入された薬剤が生体内に移動可能となることが必要である。つまり皮膚温度や体液などの水分によりマイクロニードルが軟化し、薬剤がマイクロニードルから溶出されることが必要である。ここで、角質層を通過しうる硬度とは、室温下での弾性率が30MPa以上のものが好ましい。また軟化するとは、ニードル形状を維持できなくなるような状態をいう。
本発明のマイクロニードルは、糖材料または自体公知の材質の基材に1個または複数個のマイクロニードルを備えたデバイスとすることができる。さらに、本発明のマイクロニードルは、前記デバイスをそのまま皮膚等に押しあてるか、または公知の貼布剤等を用いて該デバイスを皮膚に貼り付けるなどして使用する経皮製剤として使用することもできる。本発明は、上記糖材料やマイクロニードルの他、マイクロニードルを備えた経皮製剤にも及ぶ。
以下に、本発明の理解を深めるために実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでないことは明らかである。
(実施例1)糖材料の調製
1)材料
糖 :イソマルトTM(セレスター社製) 20g
(1,6-グルコピラノシル-D-ソルビトール/1,1-グルコピラノシル-D-マンニトール、
重量比1:1)
薬剤:WT1ペプチド(American Peptide社製、腫瘍細胞に対するワクチン)
ペプチド配列 Arg-Met-Phe-Pro-Asn-Ala-Pro-Tyr-Leu(配列番号1)
2)糖材料の調製方法
イソマルト20gを170℃で加熱溶融しながら真空脱気を5分間行ったのち、冷却固化した。真空脱気処理した糖の水分含有量を、カールフィッシャーの水分測定計で測定したところ0.1w/w%以下であった。
次に、WT1ペプチドの凍結乾燥品(水分量0.1w/w%以下)20mgを、上記真空脱気処理した糖とともにガラスバイヤルに入れて、150℃で30分間加熱した。糖材料が溶融した後に、撹拌混練を5分間行い、室温で冷却固化した。
(実施例2)マイクロニードルの調製方法
WT1ペプチドの凍結乾燥品(水分量0.1w/w%以下)20mgを実施例1で真空脱気処理した糖(イソマルト)とともにガラスバイヤルに入れて、150℃で30分間加熱した。糖材料が溶融した後に撹拌混練を5分間行い、厚み10mmの板状に冷却固化させた。この板状固化物を、ニードル鋳型(形状:円錐状、底面径300μm、先端径50μm、深さ750μm)に載置して、100℃に加熱し、80kg/cmに加圧プレスして鋳型転写成型を行った。
(比較例1)糖材料の調製
1)材料
糖 :イソマルトTM(セレスター社製) 20g
薬剤:WT1ペプチド(American Peptide社製)(配列番号1)
2)糖材料の調製方法
イソマルト20gに、WT1ペプチドの水溶液(20mg/ml)を1ml加えて混合し、水分含有量10w/w%の混合物をガラスバイヤルに入れて、150℃で30分間加熱した。糖材料が溶融した後に、撹拌混練を5分間行い、室温で冷却固化した。
(実験例1)
上記実施例1および比較例1で得られた固化物1gを、各々50%メタノール水溶液10mlで溶解して混合した後、WT1を抽出し、HPLCによりWT1の残存量を測定した。
HPLCは、以下の条件で行った。
カラム :TSKゲル ODS−80TsQA
カラム温度 :40℃
溶離液(A液+B液):A液;0.1%TFA(トリフルオロ酢酸)水
B液;0.1%TFAアセトニトリル
グラディエント :5%(B液)→20分→40%(B液)
検出条件 :225nm
その結果、水分含有量を抑制して混練した場合、安定なWT1ペプチドの残存率は87%程度であった。一方、水分量を多く含む場合は41%まで低下した(図1)。このことから、混合時の水分量を抑制することで、安定な生理活性を有する薬物を混合した糖材料の作製が可能となることが確認された。
(実験例2)糖材料の調製温度の検討
糖と薬剤の混合比を変えて混合し、加熱処理温度を変えて加熱処理したときのWT1の残存量を測定した。
イソマルト2gまたは20gを170℃で加熱溶融しながら真空脱気を5分間行ったのち、冷却固化した。真空脱気処理した糖の水分含有量を、カールフィッシャーの水分測定計で測定したところ0.1w/w%以下であった。
次に、WT1ペプチドの凍結乾燥品(水分量0.1w/w%以下)20mgを、上記真空脱気処理した糖とともにガラスバイヤルに入れて、120℃、130℃、150℃の各条件で30分間加熱した。糖材料が溶融した後に、撹拌混合を5分間行い、室温で冷却固化した。
上記各条件により得られた固化物を、実験例1と同様の条件で50%メタノール水溶液で各々溶解、混合した後、WT1を抽出し、実験例1と同様の条件でHPLCによりWT1の残存量を測定した。
その結果を図2に示した。その結果、WT1と糖の配合比が1:100の場合は、いずれの温度条件でも80%以上のWT1が残存していた。また、WT1と糖の配合比が1:1000の場合は、いずれの温度条件でも70%以上のWT1が残存していた。このことから、混合時の水分量を抑制することで、処理温度や薬剤と糖の配合比が異なる場合でも安定な生理活性を有する薬物を含む糖材料の作製が可能となる事が確認された。
以上説明したように、本発明の糖材料の調製方法により、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸等の薬剤を糖に混合し、加熱した場合にも、薬剤が分解することなく安定的に糖材料と混練された。また、得られた糖材料は加熱成型処理できることが確認された。これにより本発明の調製方法により得られた糖材料を、マイクロニードル等の形状に成型することができる。さらに、糖材料または自体公知の材質の基材に、1個または複数個のマイクロニードルを備えたデバイスを調製することもできる。本発明の糖材料により調製されたデバイスは、そのまま皮膚等に押しあてるか、または公知の貼布剤等を用いて皮膚に貼り付けるなどして使用する経皮製剤として使用することもできる。
水分含有量の違いによる薬剤の残存を示す図である。(実験例1) 配合比および処理温度の違いによる薬剤の残存を示す図である。(実験例2)

Claims (12)

  1. 少なくとも以下の1)〜3)の工程を含む糖材料の調製方法:
    1)水分含有量が5w/w%以下の糖を調製する工程;
    2)調製した糖に薬剤を混合する工程;
    3)混合した薬剤と糖を加熱混練する工程。
  2. さらに加熱成型処理する工程を含む請求項1に記載の調製方法。
  3. 前記薬剤の水分含有量が、5w/w%以下である請求項1または2に記載の調製方法。
  4. 前記糖が、非還元糖である請求項1〜3のいずれか1項に記載の調製方法。
  5. 前記糖が、糖アルコールである請求項1〜4のいずれか1項に記載の調製方法。
  6. 前記糖アルコールが、1,6-グルコピラノシル-D-ソルビトールおよび/または1,1-グルコピラノシル-D-マンニトールである請求項5に記載の調製方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の調製方法により調製される糖材料。
  8. 請求項7に記載の糖材料により成型されることを特徴とする、経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードル。
  9. 非還元糖および薬剤を含む糖材料により成型されることを特徴とする、経皮的に薬剤を投与するためのマイクロニードル。
  10. ガラス転移温度(Tg)が25℃以上の糖材料により成型されていることを特徴とする、請求項9または10に記載のマイクロニードル。
  11. アミノ酸、ペプチド、タンパク質、核酸の少なくとも一種を含む請求項8〜10のいずれか1項に記載のマイクロニードル。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載のマイクロニードルを備えてなる経皮製剤。
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