JP2008071866A - レーザ光照射反応装置および該装置を備えた同位体分離システム、ならびに反応方法 - Google Patents

レーザ光照射反応装置および該装置を備えた同位体分離システム、ならびに反応方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザ光発生装置の出力パルスエネルギーを高めることなく反応容器の容積に占める反応領域の割合を大きくすることができるレーザ光照射反応装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るレーザ光照射反応装置10は、レーザ光Lを発するためのレーザ光発生装置11と、レーザ光Lを反応性媒体に照射するための反応容器14と、部分反射鏡からなる凹面鏡131と、凹面鏡131に対向配置された全反射鏡からなる凹面鏡132と、凹面鏡131において透過されたレーザ光発生装置11からのレーザ光Lを多重反射させることにより、当該反射されたレーザ光が反応容器14内で集光しつつ重なるように凹面鏡131,132が配置され、凹面鏡131,132間の距離を調整するための距離調整手段16と、凹面鏡131からの外方への反射光と出射光とが相殺的に干渉するように距離調整手段16の作動を制御するための制御手段18と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、同位体元素を含む反応性媒体にレーザ光を照射することにより、目的とする同位体元素を含む物質を選択的に分離するのに適したレーザ光照射反応装置および当該装置を備えた同位体分離システム、ならびに当該装置から発せられたレーザ光を反応性媒体に照射する反応方法に関し、具体的には、飽和鎖式エーテル化合物に炭酸ガスパルスレーザ光を照射することにより、酸素18を含む化合物を選択的に分離するのに適したレーザ光照射反応装置および当該装置を備えた同位体分離システム、ならびに反応方法に関する。
同位体元素である酸素は、自然界において、99.76%の酸素16と、0.04%の酸素17と、0.20%の酸素18とが存在する。酸素の同位体のうち、酸素18は、幅広い分野でトレーサとして使用されるほか、近年においては濃縮した酸素18をサイクロトロンにより放射性のフッ素18に変換することによりPET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影法)診断に用いられる診断薬FDG(2-Deoxy-2-[18F]Fluoro-D-Glucose)の原料としても使用されるなど、需要の多い同位体である。
同位体元素を含む反応性媒体から濃縮分離対象となる同位体(以下、「目的同位体」と称する)を選択的に分離する技術として、レーザ光を用いた同位体分離技術がある。この技術は、同位体元素を含む化合物のうち、目的同位体を含む化合物と非目的同位体を含む化合物との間の光吸収波長のズレ(いわゆる、同位体シフト)を利用したものである。具体的には、酸素を含む化合物に対してレーザ光強度およびレーザ光波長を適切に調整したパルスレーザ光を照射し、酸素18を含む化合物を選択的に振動励起させ、さらに赤外光子を吸収させることにより最終的に解離(赤外多光子解離)に至らしめることによって、他の物質に変換し、酸素16や酸素17を含む化合物と分離するものである。
酸素18を含む化合物に選択的に赤外多光子解離を引き起こすには、照射するレーザ光のフルエンス(エネルギー密度)として、物質によって決まる所定の高フルエンスが必要となる。そこで、レーザ光発生装置から発せられるレーザ光を凸レンズや凹面鏡などの光学集光系を利用して集光することにより赤外多光子解離を引き起こすことが可能な領域(反応領域)を形成するレーザ光照射反応装置が提案されている。
光学集光系を利用したレーザ光照射反応装置としては、例えば、下記の特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載されているレーザ光照射反応装置は、レーザ光を発するレーザ光発生装置と、上記レーザ光の入射部および出射部を有する反応容器と、上記入射部を介して入射されるレーザ光を繰り返し反射させるとともに反射させたレーザ光を集光させるための複数の凹面鏡とを備える。上記複数の凹面鏡は、当該各凹面鏡により反射されるレーザ光の光路がジグザグとなるように配されている。このような構成によれば、上記入射部を介して上記反応容器内にレーザ光が入射すると、当該レーザ光は凹面鏡にて反射されてその反射の度に集光されることになり、凹面鏡の数に対応する複数の反応領域が形成される。かかる構成においては、凹面鏡の数を増やすことにより反応領域の数を増やすことができ、ひいては反応領域の体積を増やすことができる。また、凹面鏡の配置の工夫により、反応容器内の空間において上記複数の反応領域を密に形成することができ、反応容器の容積に占める反応領域の割合を大きくすることができる。
しかしながら、特許文献1に開示されているレーザ光照射反応装置では、凹面鏡の数を増やすことにより反応領域の数を増やすことができるが、その一方、反射による集光が繰り返されると、反射によるエネルギーロスにより反応領域の体積が順次減少していく。また、レーザ光の照射対象となる物質によっては、反応領域となりうるエネルギー密度として比較的に高いフルエンスが必要となる場合がある。かかる場合には、1つの凹面鏡にて反射されることにより所定の高フルエンスとして形成される反応領域は、その体積が小さくならざるを得ない。したがって、特許文献1に記載の構成では、高フルエンスが必要な場合には、レーザ光発生装置から発せられるレーザ光のパルスエネルギーを増大させる必要がある。このことは、レーザ光発生装置の初期導入コストおよびランニングコストを高める要因となり、好ましくない。このように、特許文献1に記載の構成では、出力パルスエネルギーが比較的小さい汎用のレーザ光発生装置を用いつつ比較的に高フルエンスな反応領域を効率よく確保することは困難であり、改善の余地があった。
特開2005−28333号公報
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであって、反応領域として比較的に高いフルエンスが要求される場合であっても、レーザ光発生装置の出力パルスエネルギーを高めることなく反応容器の容積に占める反応領域の割合を大きくすることができる、レーザ光照射反応装置および反応方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の側面によって提供されるレーザ光照射反応装置は、レーザ光を発するためのレーザ光発生装置と、上記レーザ光を反応性媒体に照射するための反応容器と、部分反射鏡からなる第1の凹面鏡と、上記第1の凹面鏡において透過された上記レーザ光発生装置からのレーザ光を、上記第1の凹面鏡との間で多重反射させることにより、当該反射されたレーザ光が上記反応容器内で集光しつつ重なるように上記第1の凹面鏡に対向配置された、全反射鏡からなる第2の凹面鏡と、上記第1の凹面鏡と第2の凹面鏡の間の距離を調整するための距離調整手段と、上記第1の凹面鏡からの外方への反射光と出射光とが相殺的に干渉するように上記距離調整手段の作動を制御するための制御手段と、を備える。
このような構成によれば、第1の凹面鏡は、部分凹面鏡により構成されているため、第1の凹面鏡に到達したレーザ光(入射光)は、外方への反射光と透過光とに分離される。このうち透過光については、第1の凹面鏡に対向配置された第2の凹面鏡によって反射され、第1の凹面鏡に到達し、その一部が再び第1の凹面鏡を透過し、第1の凹面鏡から出射される。本発明では、距離調整手段および制御手段によって、上記出射光と上記反射光とを相殺的に干渉し得るように第1および第2の凹面鏡間の距離を調整することにより、第1の凹面鏡からの外方への反射光量を大幅に減少させることができる。その結果、エネルギー保存の法則により、第1の凹面鏡における透過光量を大幅に増加させることができる。そして、当該透過光は、第2の凹面鏡および第1の凹面鏡間において、封じ込められたまま交互に多重反射される。また、当該反射された光は、反応容器内で集光されつつ重ねられる。そのため、反応容器内において反射光が重なる部分では、凹面鏡による集光効果によってレーザ光の高密度化が図られることに加えて、レーザ光の重畳効果によって1つの集光領域におけるエネルギー密度よりも高いエネルギー密度が得られる。したがって、反応領域として比較的に高いフルエンスが要求される場合であっても、上記レーザ光の重畳効果により、レーザ光発生装置の出力パルスエネルギーを高めることなく高フルエンス領域を大きな体積で確保することができ、その結果、反応容器の容積に占める反応領域の割合を大きくすることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記レーザ光発生装置が直線偏光のレーザ光の発生装置であって、上記レーザ光発生装置と上記第1の凹面鏡の間の光路において、偏光分離鏡と、フェーズリターダーミラーまたは1/4波長板のいずれかとが挿入され、上記偏光分離鏡を介して到達する上記第1の凹面鏡からの外方への反射光ないし出射光を検出するための検出手段を備え、上記制御手段は、上記検出手段によって検出された結果にもとづいて上記距離調整手段の作動を制御するように構成されている。
このような構成によれば、レーザ光発生装置から発せられたレーザ光のうち、第1および第2の凹面鏡間に封じ込められない第1の凹面鏡からの外方への反射光ないし出射光を、検出手段によって検出し、その検出結果に応じて第1および第2の凹面鏡間の距離を調整することにより、検出手段において検出される光強度が最小となる状態が維持される。したがって、第1の凹面鏡における透過光量を大幅に増加させることができ、結果として、所定の高フルエンスの反応領域を大きく形成することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記距離調整手段は、上記第2の凹面鏡を上記第1の凹面鏡に対して近接ないし離反させるように移動させるピエゾアクチュエータを含んで構成されている。
本発明の好ましい実施の形態においては上記第1および第2の凹面鏡の曲率半径が同一で、かつ上記第1および第2の凹面鏡間の光路距離に等しくなるように構成されている。
本発明の第2の側面によって提供されるレーザ光照射反応装置は、レーザ光を発するためのレーザ光発生装置と、上記レーザ光を反応性媒体に照射するための反応容器と、部分反射鏡と、上記部分反射鏡において透過された上記レーザ光発生装置からのレーザ光が多重反射してループ状の光路を形成し、当該反射されたレーザ光が上記反応容器内で集光しつつ重なるように配されている、少なくとも2つの凹面鏡を含む複数の全反射鏡と、上記複数の全反射鏡のうちの少なくとも1つを移動させることにより、上記ループ状の光路の長さを調整するための光路長調整手段と、上記部分反射鏡からの外方への反射光と出射光とが相殺的に干渉するように上記光路長調整手段の作動を制御するための制御手段と、を備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記部分反射鏡からの外方への反射光ないし出射光を検出するための検出手段を備え、上記制御手段は、上記検出手段によって検出された結果にもとづいて上記光路長調整手段の作動を制御するように構成されている。また、さらに本発明の好ましい実施の形態においては、上記レーザ光発生装置が直線偏光のレーザ光を発生する。
本発明の好ましい実施の形態においては上記ループ状の光路を構成する全ての凹面鏡の曲率半径が同一で、かつ各凹面鏡間の光路距離に等しくなるように構成されている。
このような構成によれば、上記第1の側面について上述したのと同様の効果を得ることができる。上記第1の側面に係るレーザ光照射反応装置では、部分反射鏡である第1の凹面鏡を透過したレーザ光が第1および第2の一対の凹面鏡間によって多重反射されて、第1および第2の凹面鏡間において往復する光路を形成するように構成されていたが、本レーザ光照射反応装置では、部分反射鏡を透過したレーザ光が2以上の凹面鏡を含む全反射鏡と上記部分反射鏡の間で繰り返し反射されて、ループ状の光路を形成するように構成されており、この点において上記第1の側面に係るものとは異なる。本レーザ光照射反応装置においても、凹面鏡で反射されたレーザ光は所定位置で集光しつつ重なり合うので、当該レーザ光の集光効果と重畳効果により、上記第1の側面と同様の効果を期待することができる。
本発明の第3の側面によれば同位体分離システムが提供される。本システムは、本発明の第1の側面または第2の側面によって提供されるレーザ光照射反応装置を備え、上記反応性媒体から目的とする同位体元素を含む物質を選択的に分離することを特徴としている。このような同位体分離システムは、上記第1の側面または第2の側面において説明したのと同様の利点を享受することができる。
本発明の第4の側面によれば反応方法が提供される。本方法は、レーザ光発生装置から発せられたレーザ光を反応容器内で反応性媒体に照射する反応方法であって、部分反射鏡および凹面鏡を含んで構成された反射鏡群に対し、上記レーザ光発生装置からのレーザ光を上記部分反射鏡に照射することにより、当該部分反射鏡を透過したレーザ光を上記反射鏡群によって所定の光路を繰り返し通過するように多重反射させるとともに、上記反射鏡群のうちの少なくとも1つを移動させて上記所定の光路の長さを調整する光路長調整手段を用いて、上記部分反射鏡からの反射光と出射光とが相殺的に干渉するように上記所定の光路の長さを調整する、ことを特徴としている。本方法によると、本発明の第1の側面または第2の側面の装置を適切に用いることができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
本発明の第1の実施形態に係る同位体分離システムX1について、図1〜図4を参照しつつ具体的に説明する。図1は、本発明に係るレーザ光照射反応装置が適用される同位体分離システムX1において、特にジメチルエーテルを原料に用いて酸素18を含む物質を分離するシステムを示す概略構成図である。図2は、本発明に係るレーザ光照射反応装置10の第1実施形態の概略構成図である。
同位体分離システムX1は、図1に示すように、反応対象物に対して、レーザ光L(図2参照)を照射することにより赤外多光子解離を引き起こすためのレーザ光照射反応装置10と、原料ガスMを蓄えるための原料ガスタンク20と、スカベンジャガスSを蓄えるためのスカベンジャガスタンク30と、分離装置40と、脱水反応器50と、コンデンサ60と、回収タンク70,80,90とを備える。原料ガスMは、レーザ光照射反応装置10において反応対象物となる同位体元素を含む化合物であり、具体的には酸素、炭素、窒素、硫黄あるいはケイ素などの化合物である。当然のことながら、それぞれの同位体化合物により、レーザ照射後の反応生成物からの目的物の分離回収方法が異なるため、図1におけるレーザ光照射反応装置10以降の分離回収システムも異なってくる。図1は原料ガスにジメチルエーテルを用い、レーザ光Lの照射により酸素18を含むメタノールを分離回収した後、酸素18水として取り出すシステムである。PET診断の診断薬FDGの原料である放射性のフッ素18を得るために用いられる酸素18を濃縮分離するのに好ましい原料ガスMとしては、ガス状のエーテル化合物、特にジメチルエーテルが挙げられる。スカベンジャガスSは、原料ガスMがレーザ光照射反応装置10において照射されるレーザ光Lにより赤外多光子解離されることによって生じるラジカルを、より確実に所望する化合物に変化させるためのものである。例えば、原料ガスMとしてジメチルエーテルを用いる場合、スカベンジャガスSとしては、ジメチルエーテルをレーザ光照射反応装置10において赤外多光子解離することにより生じる酸素18含有メトキシラジカル(以下、「メトキシラジカル(18O)」と称する)を、より確実に酸素18含有メタノール(以下、「メタノール(18O)」と称する)にするためのイソブタンなどが挙げられる。以下、本実施形態においては、原料ガスMとしてジメチルエーテル、スカベンジャガスSとしてイソブタンを用いた場合について説明する。
レーザ光照射反応装置10は、図2に示すように、レーザ光発生装置11と、凸レンズ12と、第1および第2の凹面鏡131,132と、反応容器14と、偏光分離鏡としての偏光ビームスプリッター151と、フェーズリターダーミラー152と、ピエゾアクチュエータ16と、光パワーセンサ17と、制御部18と備える。
レーザ光発生装置11は、赤外域の波長を有する直線偏光のレーザ光Lを放射することが可能な構成を有している。レーザ光Lとしては、断続的に光を発するパルスレーザ、特に炭酸ガスパルスレーザが挙げられる。レーザ光Lの波長としては、炭酸ガスパルスレーザを用いた場合、良好な選択性を確保する観点から9.2〜9.7μmの範囲とするのが好ましい。
凸レンズ12は、レーザ光発生装置11から放射されるレーザ光Lを集光させつつ第1の凹面鏡131に導くためのものであり、フェーズリターダーミラー152と第1の凹面鏡131との間に設けられている。
第1の凹面鏡131は、レーザ光Lについて所定の反射率を有する部分反射鏡からなり、凸レンズ12と反応容器14との間に設けられている。第1の凹面鏡131は、図2および図3に表れているように、一方の面である球状凹部131aが部分反射面を構成し、かつ反応容器14に対向し、他方の面である平面部131bが反射防止面を構成し、かつ凸レンズ12に対向する姿勢で配置されている。
第2の凹面鏡132は、全反射鏡からなり、その球状凹部132aが反応容器14を挟んで第1の凹面鏡131の球状凹部131aに対向する姿勢で配置されるとともに、その光軸が第1の凹面鏡131の光軸と一致または略一致している。また、第2の凹面鏡132は、その光軸に沿って、第1の凹面鏡131に対して近接ないし離反するように移動可能とされている。
第1の凹面鏡131および第2の凹面鏡132についてさらに詳細に説明する。凸レンズ12を介して第1の凹面鏡131にレーザ光Lが入射すると、当該レーザ光Lの一部は第1の凹面鏡131を透過し、残りは第1の凹面鏡131の球状凹部131aにおいて反射する。当該透過したレーザ光Lは集光しつつ第1および第2の凹面鏡131,132の間の中央において焦点Fを形成し、第2の凹面鏡132に向かう。第2の凹面鏡132に到達したレーザ光Lは、球状凹部132aにおいて反射する。当該反射光は、集光しつつ第1および第2の凹面鏡131,132の間の中央において再度焦点Fを形成し、第1の凹面鏡131の球状凹部131aに到達する。当該球状凹部131aに到達したレーザ光は、その一部が第1の凹面鏡131を透過して平面部131bから出射され、残りは球状凹部131aにおいて反射する。当該球状凹部131aにて反射したレーザ光は、第2の凹面鏡132と第1の凹面鏡131との間で多重反射して往復を繰り返すとともに、第1の凹面鏡131の球状凹部131aに到達する度に、第1の凹面鏡131を透過して出射される出射光と、第2の凹面鏡132に向かう反射光とに分離される。
ここで、第1の凹面鏡131の球状凹部131aからの外方への反射光と、第1の凹面鏡131からの外方への出射光とが干渉によって相殺的に打ち消しあうように第1および第2の凹面鏡131,132についての諸条件を適宜設定することにより、第1の凹面鏡131からの外方への反射光量を大幅に減少させることができる。すなわち、上記反射光および上記出射光の波面について、強度(振幅)が同一であり、かつ、逆位相であれば、干渉による合成波が打ち消される。振幅を揃えるには、第1の凹面鏡131の反射率を適切に設定すればよく、逆位相とするには、上記反射光と上記出射光の波面間の光路差が、波長の整数倍と半波長分ずれるように調整すればよい。このように上記反射光と上記出射光とが逆位相となるように調整すると、上記反射光と上記出射光とが干渉によって互いに打ち消しあう。そして、エネルギー保存の法則によって、当該干渉による光量減少分だけ第1の凹面鏡131における透過光量が増加する。これは、いわゆるレンズの反射防止コーティングと同様の原理によるものである。反射防止コーティングにおいては、たとえばレンズに所定厚みの薄膜コーティングなどを施しておくと、レンズへの入射光に対する反射光については、コーティング表面での反射光とコーティングおよびレンズの境界面での反射光とに分離する。これら分離された反射光の波面が逆位相となるように薄膜コーティングの厚みを設定しておくと、当該分離された反射光どうしが互いに干渉することによって反射光量が減少し、当該減少分に見合うだけレンズでの透過光量が増える。
反応容器14は、原料ガスMであるジメチルエーテルとスカベンジャガスSであるイソブタンとの未反応混合ガスMS(図1参照)にレーザ光Lを照射するためのものであり、一対の窓14aと、取込口14bと、排出口14cとを備える(図3参照)。反応容器14は、図3に表れているように、その中央部に第1の凹面鏡131と第2の凹面鏡132の間で往復を繰り返すレーザ光Lの焦点Fが位置するように設けられている。窓14aは、反応容器14の内部にレーザ光Lを導く部分であり、例えばZnSe(セレン化亜鉛)などのレーザ光Lを透過可能な材料により構成されている。取込口14bは、上記未反応混合ガスMSを反応容器14の内部に連続的に取り込むために、反応容器14に設けられた開口部である。排出口14cは、レーザ光Lが照射された後の反応済混合ガスMS’を反応容器14から連続的に排出するために、取込口14bに対して反応容器14の中央部を挟んで対向する位置に設けられた開口部である。反応済混合ガスMS’は、原料ガスMであるジメチルエーテルと、スカベンジャガスSであるイソブタンと、ジメチルエーテルを所定の条件で赤外多光子解離することにより生じるメトキシラジカル(18O)がイソブタンと反応して生じるメタノール(18O)とを含んでいる。
偏光ビームスプリッター151およびフェーズリターダーミラー152は、レーザ光発生装置11と凸レンズ12の間に設けられており、レーザ光発生装置11から放射される直線偏光ビーム(S偏光ビーム)を円偏光ビームに変換して凸レンズ12に導くとともに、第1の凹面鏡131からの外方への反射光ないし出射光(円偏光ビーム)をレーザ光発生装置11に戻らないようにP偏光ビームに変換して光パワーセンサ17側に取り出すためのものである。より具体的には、レーザ光発生装置11より発せられるレーザ光Lは、直線偏光のS偏光ビームであり、偏光ビームスプリッター151で反射しフェーズリターダーミラー152で円偏光ビームに変換されて凸レンズ12を通過する。一方、第1の凹面鏡131からの反射光ないし出射光は、凸レンズ12を通過し、フェーズリターダーミラー152で反射されると今度はP偏光ビームの直線偏光に変換される。フェーズリターダーミラー152は、1/4波長の位相変化を反射で生じ円偏光と直線偏光を交互に変換する。P偏光ビームのレーザ光は、偏光ビームスプリッター151を通過して光パワーセンサ17側に取り出される。なお、本実施形態ではフェーズリターダーミラー152を用いたが、機能的には1/4波長板と同一であり、フェーズリターダーミラーに替えて1/4波長板を使用することも可能である。
光パワーセンサ17は、偏光ビームスプリッター151を介して取り出されたレーザ光の強度を検出するためのものであり、たとえばパイロエレクトリック受光素子や増幅回路を含んで構成されている。
制御部18は、光パワーセンサ17における検出結果に基づいてピエゾアクチュエータ16の駆動を制御するためのものであり、たとえばフィードバック回路などを含んで構成されている。
ピエゾアクチュエータ16は、第1の凹面鏡131と第2の凹面鏡132の間の距離を赤外域のレーザ光の波長の百分の1程度に相当する10nm単位で微調整するための位置決め素子であり、制御部18から伝送される電気信号によって作動する。本実施形態では、ピエゾアクチュエータ16には、第2の凹面鏡132が接続されている。このため、第2の凹面鏡132は、ピエゾアクチュエータ16の作動により第1の凹面鏡131に対して所望の距離だけ近接または離反するように移動させられる。
光パワーセンサ17における検出結果をピエゾアクチュエータ16にフィードバックするための制御部18での処理手順の一例について、図4のフローチャートを用いて説明する。ピエゾアクチュエータ16においては、あらかじめレーザ光の波長の百分の1から1万分の1程度の単位移動量Δが設定されている。まず、ピエゾアクチュエータ16を初期位置から+2Δ移動させる(S41)。この状態で光パワーセンサ17の値を測定し、測定値Aを得る(S42)。次に、ピエゾアクチュエータ16を−4Δ移動させる(S43)。この状態で光パワーセンサ17における測定値Bを得る(S44)。次に、測定値AとBとを比較する(S45)。その結果、A≧Bである場合には、ピエゾアクチュエータ16を+1Δ移動させる(S46)。一方、A<Bである場合には、ピエゾアクチュエータ16を+3Δ移動させる(S47)。次に、S46またはS47のいずれの場合もS41に戻り、以下の手順を繰り返す。このようにして、光パワーセンサ17における検出値がピエゾアクチュエータ16の変位誤差にして±2Δ程度の高い精度で最小となるように、第1および第2の凹面鏡131,132の間の距離が常時的に自動制御される。なお、図4のフローチャートにおける括弧内の数値は、制御開始後1回目のステップS41,S43,S46,S47におけるピエゾアクチュエータ16の初期位置からの移動量を示す。
分離装置40は、反応容器14の排出口14cより排出された反応済混合ガスMS’からメタノール(18O)を選択的に分離するための装置である。分離装置40としては、ゼオライト系の吸着剤が充填された吸着分離塔を有する圧力変動吸着(PSA)装置などが挙げられる。
脱水反応器50は、分離装置40により反応済混合ガスMS’から分離されたメタノール(18O)を脱水反応させて、ジメチルエーテルのうち分離対象となる目的同位体(酸素18)を含むジメチルエーテル(以下、「ジメチルエーテル(18O)」と称する)と酸素18を含有する水(以下、「水(18O)」と称する)とを得るための反応装置である。脱水反応器50としては、触媒としてのアルミナが充填された脱水反応塔などが挙げられる。
コンデンサ60は、脱水反応器50によりメタノール(18O)から得られたジメチルエーテル(18O)および水(18O)の混合物から、それぞれの沸点の差を利用して、水(18O)を選択的に分離するための装置である。
回収タンク70,80は、コンデンサ60により分離されたジメチルエーテル(18O)および水(18O)をそれぞれ別個に回収するための容器である。回収タンク90は、分離装置40により反応済混合ガスMS’からメタノール(18O)が選択的に分離された残りのガス(レーザ光照射反応装置10において未反応のジメチルエーテルおよびスカベンジャガスであるイソブタンを含む混合ガス)を回収するための容器である。
以上の構成を有する同位体分離システムX1におけるレーザ光照射反応装置10の作用について、以下に説明する。
まず、レーザ光Lの観点から説明する。レーザ光発生装置11から放射されたレーザ光Lは、凸レンズ12を介して集光されつつ第1の凹面鏡131の球状凹部131aに到達し、反射光と透過光とに分離される。このうち透過光については、集光されつつ反応容器14の中央部で焦点Fを形成し、第2の凹面鏡132にて反射されて第1の凹面鏡131に到達し、その一部が第1の凹面鏡131の平面部131bから出射される。そして、第1の凹面鏡131からの反射光と出射光とが干渉し、当該干渉光は、フェーズリターダーミラー152および偏光ビームスプリッター151を介して光パワーセンサ17に取り出される。
ここで、上述したように、光パワーセンサ17での検出結果をピエゾアクチュエータ16にフィードバックして、光パワーセンサ17における検出値が最小となるように、第1および第2の凹面鏡131,132間の距離が自動制御される。このように第1および第2の凹面鏡131,132間の距離が自動制御された状態においては、第1の凹面鏡131に到達するレーザ光Lについては、反射光ないし出射光が干渉によって略完全に打ち消される。その結果、第1の凹面鏡131を透過して球状凹部131aから出射されるレーザ光の光量は、略最大限に増加することになる。
第1の凹面鏡131の球状凹部131aから出射したレーザ光は、第2の凹面鏡132および第1の凹面鏡131の間で繰り返し反射(多重反射)し、反射の度に反応容器14の中央部に焦点Fを有するように集光を繰り返す。このため、かかる集光領域は重なり合っており、当該重なり合う領域において反応領域R(図3においてクロスハッチングで示す領域)が形成される。反応領域とは、レーザ光の光エネルギーがジメチルエーテル(18O)を選択的に赤外多光子解離するのに効果的な所定のフルエンスに達した領域である。具体的には、フルエンスが5〜50J/cm2、好ましくはフルエンスが10〜20J/cm2となる領域である。フルエンスが5J/cm2より低いと多光子解離反応に至らず、50J/cm2より高いとジメチルエーテル(18O)のみならずジメチルエーテル(16O)も多光子解離が生じて選択性が失われてしまう事になる。
次に、未反応混合ガスMSの観点から説明する。上述のようにして形成された反応領域Rを通過するように、取込口14bを介してジメチルエーテルを含む未反応混合ガスMSを反応容器14の内部に取り込む。取り込まれたジメチルエーテルのうちジメチルエーテル(18O)は、反応領域Rにおいて赤外光子を吸収することにより選択的に励起し、その吸収量が所定量に達した後、解離(赤外多光子解離)を起こす。この解離により生じるメトキシラジカル(18O)は、スカベンジャガスSであるイソブタンと反応してメタノール(18O)となる。未反応のジメチルエーテルおよびイソブタンと、メタノール(18O)とを含む反応済混合ガスMS’は、排出口14cから排出される。
本実施形態に係る同位体分離システムX1のレーザ光照射反応装置10では、上述のように、部分反射鏡である第1の凹面鏡131の球状凹部131aからの外方への反射光と出射光とが相殺的に干渉されるように、第1および第2の凹面鏡131,132間の距離を調整することにより、第1の凹面鏡131の球状凹部131aにおける外方への反射光量を大幅に減少させることができる。その結果、エネルギー保存の法則により、第1の凹面鏡131における透過光量が大幅に増加する。そして、当該透過光は、第2の凹面鏡132および第1の凹面鏡131間において、封じ込められたまま交互に多重反射される。また、当該反射された光は、反応容器14内で集光されつつ重なり合う。そのため、反応容器14内において反射光が重なる部分(反応領域R)は、凹面鏡による集光効果によって高密度化が図られることに加えて、レーザ光の重畳効果によって1つの集光領域におけるエネルギー密度よりも高いエネルギー密度となる。したがって、反応領域として比較的に高いフルエンスが要求される場合であっても、上記レーザ光の重畳効果により、レーザ光発生装置の出力パルスエネルギーを高めることなく高フルエンスな反応領域Rを大きな体積として形成することができ、その結果、反応容器14の容積に占める反応領域Rの割合を大きくすることができる。
また、本実施形態では、レーザ光発生装置11から発せられたレーザ光Lのうち、第1および第2の凹面鏡131,132間に封じ込められない第1の凹面鏡131からの外方への反射光ないし出射光を、光パワーセンサ17によって検出し、その検出結果に応じて第1および第2の凹面鏡131,132間の距離をピエゾアクチュエータ16によって調整することにより、光パワーセンサ17において検出される光強度が最小となるように自動制御される。したがって、第1の凹面鏡131における反応容器14側への透過光量を常時的に略最大にすることができ、その結果、所定の高フルエンスに達した反応領域Rの体積をより効率的に大きくすることができる。
本発明による以上の効果を確認するために、図2および図3に示したものと同様の構成を有するレーザ光照射反応装置10を使用した場合において、レーザ光学的な観点からのシミュレーション計算により、所定の高フルエンスの反応領域の体積を求めた。また、比較例として、重畳の無い単一の焦点より反応領域を形成する場合についての反応領域の体積も求めた。レーザ光発生装置11に関する条件としては、TEA型CO2パルスレーザを使用し、当該装置からのレーザ光については、波長が9.57μm、パルス幅が半値全幅にして60ns、パルスエネルギーが2.9J、レーザビームのM2定数が30.9とした。本発明に係る確認例については、第1の凹面鏡131の反射率を35%、第1の凹面鏡131と第2の凹面鏡132との間の距離dを1.78mとした。また、第1および第2の凹面鏡131,132は、同じ曲率半径rをもち、上記距離dと同じ1.78mである。第1および第2の凹面鏡131,132間におけるレーザ光Lに関しては、各凹面鏡部分のビーム径が16.78mm、焦点ビーム径が12.25mmとした。この条件にて、エネルギー密度が11.1J/cm2である反応領域の体積を算出すると、151.7cm3であった。一方、重畳の無い単一焦点の比較例の場合には、エネルギー密度が11.1J/cm2である反応領域の体積を算出すると、3.59cm3であった。本発明に係る確認例と、比較例とを対比すると理解できるように、本確認例のように第1および第2の凹面鏡131,132における多重反射により集光領域を重ね合わせて反応領域を形成する場合には、反応領域の体積は151.7cm3であり、重畳の無い単一焦点の場合(3.59cm3)の40倍以上の体積を確保することができる。
なお、上記実施形態では、第1および第2の凹面鏡131,132は、反応容器14の外部に設けられ、当該反応容器14を挟むように配置されているが、この構成に限定されるものではない。例えば、第1および第2の凹面鏡131,132は、反応容器14の内部において対向するように配置されていてもよい。なお、第1および第2の凹面鏡の曲率半径rが凹面鏡間の距離dと等しく、いわゆるコンフォーカル光学系に構成されている。このため、光学理論的に凹面鏡131での多重反射によって繰り返し集光されるレーザ光のビーム形状は、同一形状となる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る同位体分離システムX2について、図面を参照しつつ具体的に説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係るレーザ光照射反応装置10’の概略構成図である。なお、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同一または類似の部材および部分には、同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
本実施形態におけるレーザ光照射反応装置10’は、レーザ光発生装置11と、部分反射鏡131’と、全反射鏡である2つの凹面鏡132’,134’および平面鏡133’と、反応容器14と、ピエゾアクチュエータ16’と、光パワーセンサ17と、制御部18とを備える。凹面鏡132’,134’および平面鏡133’は、凸レンズ12を介して集光しつつ部分反射鏡131’を透過して反応容器14の中央部において焦点を形成した後のレーザ光Lを、凹面鏡132’、平面鏡133’、凹面鏡134’、部分反射鏡131’の順で繰り返し反射することができるように配置されている。したがって、凸レンズ12および部分反射鏡131’を透過したレーザ光は、凹面鏡132’、平面鏡133’、凹面鏡134’、部分反射鏡131’の間で多重反射し、ループ状の光路を形成する。凹面鏡134’から部分反射鏡131’に到達したレーザ光の一部は、部分反射鏡131’を再度透過して光パワーセンサ17側へ出射される。
凹面鏡132’,134’は、凹面鏡の曲率半径rが凹面鏡間の光路距離と等しく、コンフォーカル光学系の凹面鏡構成とされている。このため、凹面鏡134’での多重反射によって繰り返し集光されるレーザ光のビーム形状は、同一形状となる。光パワーセンサ17においては、凸レンズ12からの入射光に対する部分反射鏡131’での外方への反射光と、部分反射鏡131’を再度透過した後の外方への出射光との干渉光の強度を測定する。ピエゾアクチュエータ16’は、平面鏡133’に接続されており、ピエゾアクチュエータ16’の作動によって上記ループ状の光路の光路長が微調整される。制御部18においては、光パワーセンサ17における測定値が最小となるように、上記第1の実施形態における処理手順と同様の処理手順によって、光パワーセンサ17の検出結果に基づいてピエゾアクチュエータ16’の作動を自動制御する。
レーザ光照射反応装置10’では、レーザ光発生装置11から放射されたレーザ光Lは、凸レンズ12を介して集光しつつ、部分反射鏡131’を透過する。当該透過光は、反応容器14の中央部において焦点を形成した後に、凹面鏡132’、平面鏡133’、凹面鏡134’、部分反射鏡131’の間で多重反射し、ループ状の光路を繰り返し通過する。凹面鏡132’,134’は、コンフォーカル光学系の凹面鏡構成とされているため、凹面鏡134’で反射されたレーザ光Lが反応容器14内の所定位置において繰り返し集光しつつ重なり合い、反応領域が形成される。当該レーザ光Lの集光効果と重畳効果によって、上記第1の実施形態と同様に高フルエンスな反応領域を大きな体積として形成することができる。
また、レーザ光照射反応装置10’においては、レーザ光発生装置から発せされたレーザ光Lのうち、部分反射鏡131’、凹面鏡132’、平面鏡133’、凹面鏡134’の間に封じ込められない部分反射鏡131’からの外方への反射光ないし出射光を、光パワーセンサ17によって検出し、当該検出される光強度が最小となるように自動制御される。したがって、部分反射鏡131’における反応容器14側への透過光量を常時的に略最大にすることができ、所定の高フルエンスに達した反応領域の体積をより効率的に大きくすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は上記した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るレーザ光照射反応装置および同位体分離システムの各部の具体的な構成は、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々に変更が可能である。なお、上記実施形態ではレーザ光発生装置が直線偏光のレーザ光を発生する装置であることが望ましい。これは偏光が定まらないレーザ光発生装置で偏光が変動するときは部分反射鏡131’の反射率も変動してレーザ光照射反応装置10’の安定性が悪化する、この悪影響が直線偏光では防止できるためである。
また、上記実施形態に係るレーザ光照射反応装置においては赤外光線の赤外多光子解離による光反応の例を説明したが、照射光としては赤外光に限定されるものでなく、光反応としては多光子解離光反応だけに限定されるものではない。すなわち高強度のレーザ光照射による光反応が要求される光反応装置においては有効に本発明が機能することは当然である。
本発明に係るレーザ光照射反応装置が適用される同位体分離システムの概略構成図である。 本発明に係るレーザ光照射反応装置の第1実施形態の概略構成図である。 第1および第2の凹面鏡間におけるレーザ光の光路を示す模式的断面図である。 制御部における処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明に係るレーザ光照射反応装置の第2実施形態の概略構成図である。
符号の説明
X1,X2 同位体分離システム
F 焦点
L レーザ光
MS 未反応混合ガス(反応性媒体)
MS’ 反応済混合ガス
R 反応領域
10,10’ レーザ光照射反応装置
11 レーザ光発生装置
12 凸レンズ
14 反応容器
14a 窓
14b 取込口
14c 排出口
16 ピエゾアクチュエータ(距離調整手段)
16’ ピエゾアクチュエータ(光路長調整手段)
17 光パワーセンサ(検出手段)
18 制御部(制御手段)
20 原料ガスタンク
30 スカベンジャガスタンク
40 分離装置
50 脱水反応器
60 コンデンサ
70,80,90 回収タンク
131 第1の凹面鏡
132 第2の凹面鏡
131’ 部分反射鏡
132’ 凹面鏡(全反射鏡)
133’ 平面鏡(全反射鏡)
134’ 凹面鏡(全反射鏡)
151 偏光ビームスプリッター(偏光分離鏡)
152 フェーズリターダーミラー

Claims (10)

  1. レーザ光を発するためのレーザ光発生装置と、
    上記レーザ光を反応性媒体に照射するための反応容器と、
    部分反射鏡からなる第1の凹面鏡と、
    上記第1の凹面鏡において透過された上記レーザ光発生装置からのレーザ光を、上記第1の凹面鏡との間で多重反射させることにより、当該反射されたレーザ光が上記反応容器内で集光しつつ重なるように上記第1の凹面鏡に対向配置された、全反射鏡からなる第2の凹面鏡と、
    上記第1の凹面鏡と第2の凹面鏡の間の距離を調整するための距離調整手段と、
    上記第1の凹面鏡からの外方への反射光と出射光とが相殺的に干渉するように上記距離調整手段の作動を制御するための制御手段と、
    を備えるレーザ光照射反応装置。
  2. 上記レーザ光発生装置が直線偏光のレーザ光の発生装置であって、上記レーザ光発生装置と上記第1の凹面鏡の間の光路において、偏光分離鏡と、フェーズリターダーミラーまたは1/4波長板のいずれかとが挿入され、
    上記偏光分離鏡を介して到達する上記第1の凹面鏡からの外方への反射光ないし出射光を検出するための検出手段を備え、
    上記制御手段は、上記検出手段によって検出された結果にもとづいて上記距離調整手段の作動を制御するように構成されている、請求項1に記載のレーザ光照射反応装置。
  3. 上記距離調整手段は、上記第2の凹面鏡を上記第1の凹面鏡に対して近接ないし離反させるように移動させるピエゾアクチュエータを含んで構成されている、請求項1または2に記載のレーザ光照射反応装置。
  4. 上記第1および第2の凹面鏡の曲率半径が同一で、かつ上記第1および第2の凹面鏡間の光路距離に等しくなるように構成されている、請求項1から3のいずれか1つに記載のレーザ光照射反応装置。
  5. レーザ光を発するためのレーザ光発生装置と、
    上記レーザ光を反応性媒体に照射するための反応容器と、
    部分反射鏡と、
    上記部分反射鏡において透過された上記レーザ光発生装置からのレーザ光が多重反射してループ状の光路を形成し、当該反射されたレーザ光が上記反応容器内で集光しつつ重なるように配されている、少なくとも2つの凹面鏡を含む複数の全反射鏡と、
    上記複数の全反射鏡のうちの少なくとも1つを移動させることにより、上記ループ状の光路の長さを調整するための光路長調整手段と、
    上記部分反射鏡からの外方への反射光と出射光とが相殺的に干渉するように上記光路長調整手段の作動を制御するための制御手段と、
    を備えるレーザ光照射反応装置。
  6. 上記部分反射鏡からの外方への反射光ないし出射光を検出するための検出手段を備え、
    上記制御手段は、上記検出手段によって検出された結果にもとづいて上記光路長調整手段の作動を制御するように構成されている、請求項5に記載のレーザ光照射反応装置。
  7. 上記レーザ光発生装置が直線偏光のレーザ光の発生装置である、請求項5または6に記載のレーザ光照射反応装置。
  8. 上記ループ状の光路を構成する全ての凹面鏡の曲率半径が同一で、かつ各凹面鏡間の光路距離に等しくなるように構成されている、請求項5から7のいずれか1つに記載のレーザ光照射反応装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1つに記載のレーザ光照射反応装置を備え、上記反応容器内にある同位体元素を含む上記反応性媒体に上記レーザ光を照射して、目的とする同位体元素を含む物質を選択的に分離することを特徴とする、同位体分離システム。
  10. レーザ光発生装置から発せられたレーザ光を反応容器内で反応性媒体に照射する反応方法であって、
    部分反射鏡および凹面鏡を含んで構成された反射鏡群に対し、上記レーザ光発生装置からのレーザ光を上記部分反射鏡に照射することにより、当該部分反射鏡を透過したレーザ光を上記反射鏡群によって所定の光路を繰り返し通過するように多重反射させるとともに、
    上記反射鏡群のうちの少なくとも1つを移動させて上記所定の光路の長さを調整する光路長調整手段を用いて、上記部分反射鏡からの反射光と出射光とが相殺的に干渉するように上記所定の光路の長さを調整する、
    ことを特徴とする反応方法。
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