JP2008071776A - レーザアニール装置、半導体膜、半導体装置、及び電気光学装置 - Google Patents

レーザアニール装置、半導体膜、半導体装置、及び電気光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】非晶質半導体膜の所定領域を選択的にかつ効率的に高結晶化する。
【解決手段】レーザアニール装置100は、単数又は複数のレーザ光発振源を備えてなり、非晶質半導体膜20の所定領域A1の近傍領域Ascに対して、第1のレーザ光Xを照射して該領域を結晶化させる第1のレーザ光源120と、第1のレーザ光源120のレーザ光発振源を兼ねていない単数又は複数のレーザ光発振源を備えてなり、非晶質半導体膜20の第1のレーザ光Xが照射された領域Ascの少なくとも一部及び所定領域A1に対して第2のレーザ光Yを照射し、第1のレーザ光Xの照射により生成された結晶scの少なくとも一部は融解させることなく、該結晶を起点として所定領域A1に結晶を成長させる第2のレーザ光源130と、非晶質半導体膜20に対して、第1のレーザ光X及び第2のレーザ光Yを同時に又は独立に相対走査する相対走査手段150とを備えたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、非晶質半導体膜に対してレーザアニールを実施して、その所定領域の結晶性を他領域の結晶性よりも選択的に高めることが可能なレーザアニール装置、及びこの装置を用いるレーザアニール方法に関するものである。
本発明はまた、上記レーザアニール方法により製造される半導体膜、この半導体膜を用いた薄膜トランジスタ(TFT)等の半導体装置及び電気光学装置に関するものである。
ドットごとに駆動して表示等を行うエレクトロルミネッセンス(EL)装置や液晶装置等の電気光学装置では、アクティブマトリクス型の駆動方式が広く採用されている。アクティブマトリクス型では多数の画素電極がマトリクス状に配置され、これら画素電極は例えば各画素電極に対応して設けられた画素スイッチング用薄膜トランジスタ(画素スイッチング用TFT)を介して駆動される。
上記電気光学装置では、同じ基板上に、上記の画素電極と画素スイッチング用TFTとがマトリクス状に多数形成された画素部と、この画素部を駆動する、複数の駆動回路用薄膜TFTを用いて構成された駆動回路を備えた駆動部とが設けられる場合がある。
TFTの活性層には、非晶質又は多結晶の半導体膜(通常シリコン膜)が広く使用されている。TFTの素子特性を考慮すれば、活性層をなす半導体膜は結晶性が高いことが好ましく、単結晶であることが特に好ましい。特に、駆動回路用TFTでは、活性層をなすシリコン膜は結晶性が高いことが好ましい。
TFTの製造においては例えば、はじめに非晶質半導体膜を成膜し、この膜にレーザ光を照射してアニールすることにより、膜の結晶性を向上させ多結晶化させるレーザアニールが行われている。しかしながら、非晶質半導体膜全面を一様にレーザアニールする技術では、結晶性の向上に限界があり、単結晶化は難しい。
EL装置や液晶装置等では、1個の基板に対して所定のパターンで多数のTFTを形成するため、製造効率を考慮すれば、TFTの素子形成領域を選択的に高結晶化、特に単結晶化できることが好ましい。また、素子形成領域内に粒界が存在すると素子特性が低下するため、優れた素子特性と素子均一性を得る観点からも、高結晶化の位置を制御できることが好ましい。
特許文献1には、非晶質シリコン膜(2)の一隅にレーザ光を照射し、次いでこのレーザ光をY方向へ走査することにより、非晶質半導体膜(2)の一端にY方向を長軸方向とする複数の帯状結晶(20a5〜20a8)を幅方向に並列形成し、次いでこれら複数の帯状結晶(20a5〜20a8)のうち1つを選択して走査開始結晶(21)とし、この走査開始結晶(21)からX方向にレーザ光を走査することを繰り返して、走査開始結晶(21)を起点として基板全体に結晶(32)をラテラル成長させるレーザアニール方法が開示されている(段落[0032]〜[0044]、図3〜図6、要約書を参照)。特許文献1では連続波出力のレーザ光が用いられており、レーザ光発振源として半導体レーザ等が挙げられている(請求項1及び段落[0029]等)。
特許文献1に記載の方法によれば、走査開始結晶(21)が種結晶となり、基板全体に比較的粒径の大きい結晶(32)を成長させることができる。
本明細書では、結晶成長の起点となる結晶のことを指して「種結晶」と称している。種結晶としてはスポット状結晶や帯状結晶等が挙げられ、その形状は任意である。
特開2004-87961号公報
特許文献1では、同一のレーザ光源を用い、帯状結晶(20a5〜20a8)の形成を終了した後、基板全面で結晶(32)をラテラル成長させる方法のみが記載されている。特許文献1には、TFTの素子形成領域等の所定領域を選択的に高結晶化する方法について記載されていない。すなわち、特許文献1に記載の方法では、1個の基板に対して、種結晶である帯状結晶(20a5〜20a8)の形成を完全に終了した後に結晶(32)の成長を開始せざるを得ず、しかも結晶(32)の成長は基板全面で行うため、非常に非効率的である。
特許文献1では、帯状結晶(20a5〜20a8)を使用領域(2a)の外側に形成することが好ましいことが記載されている(段落[0045]及び図3〜図6等)。電気光学装置において、使用領域(2a)は、TFTを形成する画素部、あるいはTFTを形成する画素部及び駆動部に相当する。すなわち、特許文献1には基本的には、TFTを形成する画素部、あるいはTFTを形成する画素部及び駆動部の外側に種結晶を形成し、これを起点として、基板全体に結晶(32)をラテラル成長させる方法が記載されている。
かかる方法では、走査途中にランダムに結晶核が発生するので、高結晶化には限界があり、全走査領域に渡って単結晶とすることは事実上不可能である。種結晶を起点として単結晶をラテラル成長できる範囲はせいぜい数十μm程度である。特に、基板サイズが大きくなれば、基板の一端にのみ形成した帯状結晶(20a5〜20a8)の種結晶としての効果が基板全体に及ぶとは到底考えられない。
特許文献1には、走査開始結晶(21)の位置制御についても記載がない。走査開始結晶(21)の位置を制御しなければ、TFTの素子形成領域内に粒界が存在することを良好に回避することもできない。
特許文献1には、走査開始結晶を膜上に3つ以上形成してもよいこと、走査開始結晶は使用領域(2a)の外側に形成されなくてもよく、例えば使用領域(2a)の略中央部に形成されてもよいことが記載されている(段落[0052],[0053])。しかしながら、具体的な方法については記載されていない。また、走査開始結晶(21)の位置制御について記載がないので、TFTの素子形成領域内に粒界が存在することを良好に回避することはできない。
特許文献1にはまた、種結晶シリコンに対してレーザ光を照射しアニールすることが必須であることが記載されており、使用するレーザ光の波長は多結晶シリコンに吸収される波長、好ましくは400nm以下の短波長光であることが記載されている(段落[0056]等)。かかる短波長光では、非晶質シリコンと多結晶シリコンのいずれにおいてもレーザ光の吸収率が高く(本明細書の図4〜図6を参照)、種結晶を起点として結晶(32)をラテラル成長させる際には、多結晶シリコンからなる種結晶が完全に融解する。
特許文献1には、走査開始結晶(21)に結晶核が発生していない状態で、これを起点として連続レーザ光を走査することで、走査開始結晶(21)を完全融解させて新たな結晶核を発生させ、この結晶核から溶融している領域へ走査開始結晶(21)が成長することによって複数の結晶が発生することがなくなり、1つの結晶(32)が形成されるという内容が記載されている(段落[0040])。しかしながら、種結晶が完全に融解すれば、その際に結晶核が多く形成されやすく、粒径の大きい結晶(32)をラテラル成長させることは難しい。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、非晶質半導体膜の所定領域を選択的にかつ効率的に高結晶化することができ、略単結晶化することも可能なレーザアニール装置を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、上記レーザアニール装置を用いることにより、結晶性が高く、薄膜トランジスタ(TFT)の活性層等として好適な半導体膜、これを用いたTFT等の半導体装置及び電気光学装置を提供することを目的とするものである。
本発明のレーザアニール装置は、非晶質半導体膜に対してレーザアニールを実施して、該非晶質半導体膜の所定領域の結晶性を選択的に高めることが可能なレーザアニール装置において、
単数又は複数のレーザ光発振源を備えてなり、前記非晶質半導体膜の前記所定領域の近傍領域に対して、第1のレーザ光を照射して該第1のレーザ光が照射された領域を結晶化させる第1のレーザ光源と、
前記第1のレーザ光源の前記レーザ光発振源を兼ねていない単数又は複数のレーザ光発振源を備えてなり、前記非晶質半導体膜の前記第1のレーザ光が照射された領域の少なくとも一部及び前記所定領域に対して第2のレーザ光を照射し、前記第1のレーザ光の照射により生成された結晶の少なくとも一部は融解させることなく、該結晶を起点として前記所定領域に結晶を成長させる第2のレーザ光源と、
前記非晶質半導体膜に対して、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を同時に又は独立に相対走査する相対走査手段とを備えたことを特徴とするものである。
本発明のレーザアニール装置においては、後記するように第1のレーザ光源と第2のレーザ光源とが互いの機能を交替する構成とすることができる。この場合、機能交替前の第1のレーザ光源のレーザ光発振源が、機能交替後の第2のレーザ光源のレーザ光発振源を兼ねることとなるが、本明細書において、「第2のレーザ光源のレーザ光発振源が第1のレーザ光源のレーザ光発振源を兼ねていない」とは、任意のタイミングで見て、第2のレーザ光源のレーザ光発振源が第1のレーザ光源のレーザ光発振源を兼ねていないことを意味する。
前記非晶質半導体膜が、前記レーザアニールを実施された後に半導体装置の活性層として用いられる膜である場合、前記所定領域は、該非晶質半導体膜において前記半導体装置の活性層となる素子形成領域を含むことが好ましい。
前記第2のレーザ光源は、前記所定領域に単結晶を成長させるものであることが好ましい。
前記第2のレーザ光源は、連続波出力のレーザ光源であることが好ましい。前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源が、連続波出力のレーザ光源であることが好ましい。
前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源はいずれも、前記レーザ光発振源として半導体レーザを備えた半導体レーザ光源であることが好ましい。
前記第1のレーザ光源及び/又は前記第2のレーザ光源は、前記半導体レーザを複数備えると共に、該複数の半導体レーザからの出射光を合波する合波光学系とを備えた合波半導体レーザ光源により構成することができる。
本発明のレーザアニール装置において、前記第1のレーザ光源と前記第2のレーザ光源とは、該第1のレーザ光源と該第2のレーザ光源とがユニット化されたユニット光源の形態で備えられており、前記相対走査手段は、該ユニット光源を相対走査するものであることが好ましい。
前記第1のレーザ光源と前記第2のレーザ光源とがユニット化された上記構成では、例えば、前記ユニット光源は、該ユニット光源の相対走査方向に対して常に前記第1のレーザ光源が前記第2のレーザ光源よりも先行するよう、該ユニット光源の相対走査方向に応じて、向きが制御されるものであることが好ましい。
本明細書において、「ユニット光源の相対走査方向」は、あるタイミングで見たときに基板に対してユニット光源が相対的に進んでいく方向により定義する。また、「ユニット光源の相対走査方向に対して第1のレーザ光源が第2のレーザ光源よりも先行する」とは、基板に対してユニット光源が相対的に進んでいく方向に見て、第1のレーザ光源が第2のレーザ光源よりも先行することを意味する。
前記第1のレーザ光源と前記第2のレーザ光源とがユニット化された上記構成では、前記第1のレーザ光源と前記第2のレーザ光源とは、互いの機能を交替可能とされており、前記ユニット光源は、該ユニット光源の相対走査方向に対して常に前記第1のレーザ光源が前記第2のレーザ光源よりも先行するよう、該ユニット光源の相対走査方向が変わる際には、前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源の互いの機能を交替する制御が行われるものであってもよい。
本発明のレーザアニール装置において、前記第2のレーザ光源の発振波長は、前記第1のレーザ光の照射により生成される前記結晶に吸収される前記第2のレーザ光の吸収率a1と、前記非晶質半導体膜の非結晶化部分に吸収される前記第2のレーザ光の吸収率a2とが、下記式(1)を充足する波長であることが好ましく、下記式(2)を充足する波長であることがより好ましい。
0.2≦a1/a2≦0.9・・・(1)、
0.3≦a1/a2≦0.8・・・(2)
本発明のレーザアニール装置は、前記所定領域の位置情報に基づいて、前記相対走査手段による前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源の相対走査を制御する走査制御手段と、
前記所定領域の位置情報に基づいて、前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源に搭載された前記レーザ光発振源のオンオフを制御する電気的制御手段とを備えたものであることが好ましい。
本発明のレーザアニール方法は、上記の本発明のレーザアニール装置を用い、
非晶質半導体膜の所定領域の近傍領域に対して、前記第1のレーザ光を照射して該第1のレーザ光が照射された領域を結晶化させるレーザ照射(A)と、
前記非晶質半導体膜の前記第1のレーザ光が照射された領域の少なくとも一部及び前記所定領域に対して前記第2のレーザ光を照射し、前記第1のレーザ光の照射により生成された結晶の少なくとも一部は融解させることなく、該結晶を起点として前記所定領域に結晶を成長させるレーザ照射(B)とを実施することを特徴とするものである。
本発明のレーザアニール方法において、レーザ照射(A)を実施している間に、レーザ照射(B)を開始することが好ましい。
本発明の半導体膜は、上記の本発明のレーザアニール方法を用いて製造されたものであることを特徴とするものである。
本発明の半導体膜としては、主成分がシリコンである半導体膜が挙げられる。本明細書において、「主成分」は含量50質量%以上の成分と定義する。TFT用のシリコン膜ではシリコン含量90質量%以上が好ましい。
本発明の半導体装置は、上記の本発明の半導体膜を用いて得られた活性層を備えたことを特徴とするものである。本発明の半導体装置としては、薄膜トランジスタ(TFT)等が挙げられる。
本発明の電気光学装置は、上記の本発明の半導体装置を備えたことを特徴とするものである。電気光学装置としては、エレクトロルミネッセンス(EL)装置、液晶装置、電気泳動方式表示装置、及びこれらを備えたシートコンピュータ等が挙げられる。
本発明のレーザアニール装置は、非晶質半導体膜の所定領域の近傍領域に対して、第1のレーザ光を照射して第1のレーザ光が照射された領域を結晶化させる第1のレーザ光源と、非晶質半導体膜の第1のレーザ光が照射された領域の少なくとも一部及び所定領域に対して第2のレーザ光を照射し、第1のレーザ光の照射により生成された結晶の少なくとも一部は融解させることなく、該結晶を起点として所定領域に結晶を成長させる第2のレーザ光源と、非晶質半導体膜に対して、第1のレーザ光源及び第2のレーザ光源を同時に又は独立に走査する相対走査手段とを備えたものである。
本発明の装置では、第1のレーザ光の照射により所定領域の近傍領域に生成された結晶が種結晶となり、これを起点として、所定領域に選択的に結晶粒径の大きい結晶を成長させることができる。本発明の装置では、所定領域の近傍領域に種結晶を形成し、しかも種結晶の少なくとも一部は融解させない構成としているので、所定領域を結晶化する際の結晶核の生成が抑えられ、所定領域を高結晶化することができ、略単結晶化することも可能である。
本発明の装置では、1個の基板に対して、所定領域の近傍領域への種結晶の生成と、これを起点とした所定領域への結晶成長とを並行して実施することができるので、これらの処理を効率的に実施することができる。
第1のレーザ光源及び第2のレーザ光源はいずれも、レーザ光発振源として半導体レーザを備えた半導体レーザ光源であることが好ましい。半導体レーザは小型であるので、レーザ光発振源としてエキシマレーザ等を用いるよりも、第1のレーザ光源及び第2のレーザ光源を小さくすることができ、これらの形状の設計自由度も高くすることができる。半導体レーザはオンオフの制御も容易である。そのため、TFTの素子形成領域を選択的に高結晶化するような精細な位置制御が可能となる。
本発明のレーザアニール装置を用いることにより、結晶性が高く、TFTの活性層等として好適な半導体膜を低コストかつ高スループットで製造することができる。この半導体膜を用いることで、素子特性(キャリア移動度等)や素子均一性に優れたTFT等の半導体装置を低コストかつ高スループットで製造することができる。
「レーザアニール装置、これを用いたレーザアニール方法」
図面を参照して、本発明に係る実施形態のレーザアニール装置と、これを用いたレーザアニール方法について、説明する。
本発明のレーザアニール装置は、非晶質半導体膜に対してレーザアニールを実施して、その所定領域の結晶性を他領域の結晶性よりも選択的に高めることが可能な装置である。アニール対象の非晶質半導体膜の構成材料は特に制限なく、シリコン、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム等が挙げられる。
本実施形態では、非晶質半導体膜が非晶質シリコン(a−Si)膜である場合を例として説明する。
本実施形態では、エレクトロルミネッセンス(EL)装置や液晶装置等のアクティブマトリクス型の電気光学装置に用いられるアクティブマトリクス基板を製造する場合を例として説明する。アクティブマトリクス基板では例えば、多数の画素電極がマトリクス状に配置され、これら画素電極は各画素電極に対応して設けられた画素スイッチング用TFTを介して駆動される。画素スイッチング用TFTは各ドットに単数又は複数設けられる。
上記電気光学装置では、同じ基板上に、上記の画素電極と画素スイッチング用TFTとがマトリクス状に多数形成された画素部と、上記画素部の外側に、画素部を駆動する、多数の駆動回路用TFTを用いて構成された駆動回路が形成された駆動部とが設けられる場合がある。
本実施形態では、選択的に高結晶化する所定領域A1が、TFTの素子形成領域ATFT(=TFTの活性層となる領域)及びその周囲近傍である場合について説明する。本実施形態は、画素スイッチング用TFTと駆動回路用TFTのいずれの製造にも適用できる。
図1はレーザアニール中の非晶質シリコン膜とレーザアニール装置の主な構成要素を示す斜視図である。図2(a),(b)はレーザ光源の内部構成を示す図である。図1中、レーザアニール対象の非晶質シリコン膜に符号20を付し、TFTの素子形成領域に符号ATFTを付してある。
本実施形態のレーザアニール装置100は、レーザアニール対象の非晶質シリコン膜(非晶質半導体膜)20を載置するステージ110と、非晶質シリコン膜20に対してレーザ光X,Yを照射するレーザヘッド140(ユニット光源)と、レーザヘッド140を図示x方向と図示y方向(xy平面は、非晶質シリコン膜20の面に平行な面)に機械的に移動させて走査するレーザヘッド移動手段(相対走査手段)150と、装置全体の制御を行うコントローラ(制御手段)160とを備えている。
レーザヘッド移動手段150は、基本的にはレーザヘッド140の走査をx方向で実施し、あるy位置においてx方向の走査を実施した後、y位置を変えてx方向の折り返し走査を実施するという往復走査を実施する。すなわち、x方向がレーザヘッド140の主走査方向であり、y方向がレーザヘッド140の副走査方向である。
レーザヘッド140は、機能の異なる第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とがユニット化されたユニット光源である。レーザヘッド140内において、第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とは、レーザヘッド140の主走査方向であるx方向に対して平行方向に離間して配置され、かつ互いの相対的位置が固定されている。
第1のレーザ光源120は、非晶質シリコン膜20の所定領域A1(=TFTの素子形成領域ATFT及びその周囲近傍)の近傍領域Ascに対して、第1のレーザ光Xを略矩形スポット状に照射して第1のレーザ光Xが照射された領域を結晶化させて、種結晶scを生成させるレーザ光源である。
第2のレーザ光源130は、少なくとも非晶質シリコン膜20の第1のレーザ光Xが照射されて種結晶scが生成された領域Asc及び所定領域A1に対して第2のレーザ光Yを略矩形スポット状に照射して、第1のレーザ光Xの照射により生成された種結晶scの少なくとも一部は融解させることなく、種結晶scを起点として所定領域A1に結晶を成長させるレーザ光源である。
本実施形態では、あるタイミングにおける第1のレーザ光源120による第1のレーザ光Xの照射面積は、あるタイミングにおける第2のレーザ光源130による第2のレーザ光Yの照射面積より小さく設定されている。
具体的には、第1のレーザ光源120による第1のレーザ光Xのy方向(走査方向に対して垂直方向)の照射幅W1は、TFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTよりも狭く設定されている。第2のレーザ光源130による第2のレーザ光Yのy方向の照射幅W2は、TFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTよりも広く設定されている。
本実施形態では、第1のレーザ光Xのy方向の照射幅W1と種結晶scのy方向の幅Wscとが略同一となるので、W1=Wsc<WTFT<W2の関係になる。本実施形態では、単結晶シリコン(c−Si)からなる種結晶scが生成されるよう、あるタイミングにおける第1のレーザ光源120による第1のレーザ光Xの照射面積が設定されている。
本実施形態において、第1のレーザ光Xの照射は、所定領域A1の手前近傍領域Ascに対して、上記小さい照射面積でごく短い時間のみ実施され(レーザ光Xは瞬間的な照射でもよいし、短時間であれば走査されてもよい)、第2のレーザ光Yの照射は、少なくとも種結晶scが生成される領域Ascを含む所定領域A1の手前領域A2及び所定領域A1に対して実施されるようになっている。
レーザ光X,Yのy方向の照射幅W1,W2は適宜設計され、特に制限されない。サイズ例としては、TFTの素子形成領域ATFTの大きさ:WTFT10μm×20μm程度に対して、W1=1μm程度以下、W2=15μm程度が挙げられる。
TFTのチャネル形成領域及びその周囲近傍のみを所定領域A1としてもよく、この場合、チャネル形成領域の大きさ:3μm×3μm程度に対して、W1=1μm程度以下、W2=5μm程度が挙げられる。
本実施形態のレーザアニール装置100では、レーザヘッド移動手段150によるレーザヘッド140の走査によって、非晶質シリコン膜20に対する第1のレーザ光X及び第2のレーザ光Yの走査が同時に実施される。また、レーザヘッド140は、レーザヘッド140の走査方向に対して常に第1のレーザ光源120が第2のレーザ光源130よりも先行するよう、レーザヘッド140の走査方向に応じて、その向きが制御される。
図2(a)に示す如く、第1のレーザ光源120は、1個の合波半導体レーザ光源121により構成されている。
合波半導体レーザ光源121には、レーザ光発振源として連続波出力の1個のマルチ横モードの半導体レーザLD(図示略)が内蔵された4個のLDパッケージ123(123A〜123D)と、これら4個のLDパッケージ123から出射されたレーザ光L1〜L4を各々平行光束化する、LDパッケージ123と同数のコリーメータレンズ124(124A〜124D)とが組み込まれたLDユニット122が備えられている。
合波半導体レーザ光源121にはさらに、レーザ光L1〜L4を各々反射するLDパッケージ123と同数の反射ミラー125(125A〜125D)と、
反射ミラー125A,125Bにより反射されたレーザ光L1,L2が入射するビームスプリッタ126Aと、
反射ミラー125C,125Dにより反射されたレーザ光L3,L4が入射するビームスプリッタ126Bとが備えられている。
ビームスプリッタ126A,126Bはいずれも、直角プリズムを2個接着した構成のキューブ状のビームスプリッタであり、ビームスプリッタ126Bの光入射面には、レーザ光L3,L4の偏光方向を90°ずらす1/2波長位相差素子127が取り付けられている。
ビームスプリッタ126Aに入射したレーザ光L1,L2は各々、光出力検出用に一部がビームスプリッタ126Aを透過してフォトダイオード129A,129Bに入射し、それ以外がビームスプリッタ126A内で反射されてビームスプリッタ126Bに入射するようになっている。
同様に、ビームスプリッタ126Bに入射したレーザ光L3,L4は各々、光出力検出用に一部がビームスプリッタ126Bを透過してフォトダイオード129C,129Dに入射し、それ以外がビームスプリッタ126B内で反射されるようになっている。
合波半導体レーザ光源121では、ビームスプリッタ126A,126B内でレーザ光L1〜L4が合波されるようになっている。本実施形態では、1/2波長位相差素子127によりレーザ光L3,L4の偏光方向を90°ずらしてからビームスプリッタ126Bに入射させ、レーザ光L1とレーザ光L3とをファスト軸方向に偏光合波し、レーザ光L2とレーザ光L4とをファスト軸方向に偏光合波し、さらに偏光合波されたレーザ光L1,L3と偏光合波されたレーザ光L2,L4とをスロー軸方向に角度合波するように構成している。
合波半導体レーザ光源121の光出射口には、マルチ横モードの半導体レーザLDから出射される個々の次数の高次横モード光に含まれる、光軸に対して略対称方向に伝播する2つの波面成分の干渉性を低減するために、この2つの波面成分のうち一方の波面成分の偏光方向を90°ずらす1/2波長位相差素子128が設けられている。このことを図3を参照して、説明する。
マルチ横モードの半導体レーザLDでは、次数の異なる複数の高次横モードが同時に発振される。図3(a)に示す如く、任意の1つの次数mの高次横モード光の近視野像NFP(m)は、次数に応じて複数のピークを持つ強度分布を有し、隣接するピーク間の位相が反転した像である。図3(b)に模式的に示す如く、半導体レーザLDの光導波路Rには、光軸Aに対して平行な2つの端面E1、E2がある。ある1つの次数の高次横モード光は、これら2つの端面E1、E2間で反射を繰り返して出射されるので、ある1つの次数の高次横モード光は概略、光軸Aに対して略対称方向に伝播する2つの波面成分W1とW2とが複数重ね合わされたものとなる。
2つの波面成分W1とW2とは概略、波面成分W1が端面E1で反射されるときに波面成分W2が端面E2で反射され、波面成分W1が端面E2で反射されるとき波面成分W2が端面E1で反射される関係にある。これら2つの波面成分W1とW2との干渉により、上記の強度分布と位相分布を有する近視野像NFP(m)が形成されると考えられる。
実際には次数の異なる複数の高次横モードが同時に発振されるので、実際の近視野像NFPは、次数の異なる複数の高次横モードの近視野像NFP(m)が重なったものとなる。
任意の1つの次数mの高次横モード光に着目すれば、上記2つの波面成分W1とW2は光軸Aに対して略対称方向に伝播し、光軸Aに対して略対称な双峰性の強度分布P1、P2を有する遠視野像FFP(m)を形成する。
高次横モード光は次数が異なっても、光軸Aに対して略対称方向に伝播する上記2つの波面成分W1とW2とが複数重ね合わされて構成される。ただし、双峰性の光強度分布P1、P2のピーク分離角θは、半導体レーザの光導波路Rのストライプ幅及び屈折率分布、発振波長、高次横モードの次数等により決定され、次数が高くなる程ピーク分離角θが大きくなる傾向にある。
図では、双峰性の光強度分布P1、P2のピーク分離角θが最も大きい高次横モード光の遠視野像FFP(m)を実線で示し、その他の次数の高次横モード光の遠視野像FFP(m)を破線で示してある。
異なる次数の高次横モード光間の干渉性は小さいが、個々の次数の高次横モード光を構成する上記2つの波面成分W1とW2との干渉性が大きい。そこで、本実施形態では、2つの波面成分W1とW2のうち一方の波面成分W2の偏光方向を90°ずらす1/2波長位相差素子128を設けて、これら2つの波面成分W1とW2との干渉性を低減し、合波半導体レーザ光源121からの出射光の強度分布が均一になるように構成している。
本実施形態では、コリーメータレンズ124、反射ミラー125、ビームスプリッタ126A,126B、及び1/2波長位相差素子127,128により、4個のLDパッケージ123からの出射光L1〜L4を合波する合波光学系が構成されている。本実施形態では、レーザ光L1〜L4の合波光が第1のレーザ光Xとなっている。
同様に、図2(b)に示す如く、第2のレーザ光源130は、1個の合波半導体レーザ光源131により構成されている。合波半導体レーザ光源131の光学系は、構成要素の符号を変えている以外は、第1のレーザ光源120の合波半導体レーザ光源121と同様であるので、説明は省略する。
第1のレーザ光源120は、複数の合波半導体レーザ光源121により構成してもよい。同様に、第2のレーザ光源130は、複数の合波半導体レーザ光源131により構成してもよい。個々の合波半導体レーザ光源121,131に搭載される半導体レーザLDの搭載数あるいは点灯数も適宜設計できる。
本実施形態では例えば、第1のレーザ光源120内に絞り(図示略)を組み込むことで、第1のレーザ光Xの照射幅W1及びあるタイミングにおける照射面積を、第2のレーザ光Yの照射幅W2及びあるタイミングにおける照射面積より小さくすることができる。
本実施形態では、第2のレーザ光Yの照射によって第1のレーザ光Xの照射により生成された種結晶scの少なくとも一部を融解させないために、第2のレーザ光源130の発振波長は、第1のレーザ光Xの照射により生成される種結晶scに吸収される第2のレーザ光Yの吸収率a1と、非晶質シリコン膜20の非結晶化部分に吸収される第2のレーザ光Yの吸収率a2とが、下記式(1)を充足する波長であることが好ましく、下記式(2)を充足する波長であることがより好ましい。
0.2≦a1/a2≦0.9・・・(1)、
0.3≦a1/a2≦0.8・・・(2)
本実施形態において、種結晶scは単結晶シリコン(c−Si)である。非晶質シリコン膜20の膜厚t(nm)=30、50、100、200、500、1000における、第2のレーザ光Yの波長λと、a1/a2(c−Siの吸収率/a−Siの吸収率)を図4〜図6に示す。これらのデータは、本発明者がa−Siとc−Siの既知の吸収係数データを基に、各膜厚について吸収率を算出したものである。
上記式(1)、好ましくは上記式(2)を充足するように、非晶質シリコン膜20の膜厚tに応じて、第2のレーザ光源130の発振波長を選定すればよい。
レーザアニールにより結晶化を行ってポリシリコンTFTを形成する場合、非晶質シリコン膜20の膜厚tは50nm程度が最も一般的である。図4(b)に示すように、t=50nm程度では、350〜450nmの間で、a1/a2が約1.0から約0.2まで大きく変化する。第2のレーザ光源130としては、レーザ光発振源としてGaN系半導体レーザ又はZnO系半導体レーザを備えたものが好ましい。かかる半導体レーザの発振波長は370〜450nmの波長域内にあり、発振波長405nmのGaN系半導体レーザ等が好ましく用いられる。
非晶質シリコン膜20の膜厚t=50nmの条件で、第2のレーザ光源130のレーザ光発振源として発振波長405nmのGaN系半導体レーザを用いる場合、単結晶シリコン(c−Si)の吸収率a1=約50%、非晶質シリコン(a−Si)の吸収率a2=約98%、a1/a2=約0.5である。
従来のレーザアニール装置で一般に用いられているエキシマレーザは、発振波長が350nm未満の短波長であるので、単結晶シリコン(c−Si)の吸収率a1及び非晶質シリコン(a−Si)の吸収率a2はいずれも高く約98%である。この条件では、第2のレーザ光Yによって第1のレーザ光Xの照射により生成された種結晶scは完全に融解してしまう。
第1のレーザ光源120の発振波長としては特に制限なく、非晶質シリコンの吸収波長域、具体的には700nm以下、好ましくは500nm以下で、適宜設計すればよい。第1のレーザ光源120の発振波長は、第2のレーザ光源130の発振波長と同一でもよいし、非同一でもよい。
本実施形態において、非晶質シリコンに吸収される第1のレーザ光Xの単位時間単位面積あたりの吸収エネルギー密度Ea1、種結晶scに吸収される第2のレーザ光Yの単位時間単位面積あたりの吸収エネルギー密度Ea2、及び非晶質シリコンに吸収される第2のレーザ光Yの単位時間単位面積あたりの吸収エネルギー密度Ea3は、第1のレーザ光Xの照射により種結晶scが生成され、かつ、第2のレーザ光Yの照射により、種結晶scの少なくとも一部は融解させることなく、種結晶scを起点として所定領域A1に結晶を成長させる条件で、適宜設計できる。
本実施形態では、小さい照射面積でごく短い時間の第1のレーザ光Xの照射によって、所定領域A1の手前近傍領域Ascに単結晶シリコン(c−Si)からなる種結晶scが生成される。種結晶scの周囲には、結晶粒の小さい微結晶シリコン(μc−Si、図示略)が同時に生成されることがある。この微結晶シリコン(μc−Si)は、結晶粒径が非常に小さいので、後で第2のレーザ光Yの照射を受ける際に、この微結晶シリコン(μc−Si)の粒界部分あるいはこの微結晶シリコン(μc−Si)の外側の非晶質シリコン(a−Si)部分で吸収された熱で、容易に融解すると考えられる。
種結晶scの周縁部分についても、後で第2のレーザ光の照射を受ける際に外側からの熱で融解することがある。その場合も、結晶粒径が比較的大きい種結晶scの中央部分は、第2のレーザ光を照射しても融解させずに残すことができる。すなわち、本実施形態では、第2のレーザ光Yの照射により、少なくとも種結晶scの中央部分については融解させない条件で、種結晶scを起点として所定領域A1に結晶を成長させる。
種結晶scの手前領域は、第2のレーザ光Yが走査されながら照射される。この領域では、第2のレーザ光Yの照射によって融解する部分の結晶性がアニールによって向上して、この部分の非晶質シリコン(a−Si)が多結晶シリコン(poly−Si)となる。図示するように、多結晶シリコン(poly−Si)の生成領域の外側に、結晶粒の小さい微結晶シリコン(μc−Si)が同時に生成されることがある。この場合、微結晶シリコン(μc−Si)の生成領域はアニール条件等によって異なり、例えば、第2のレーザ光Yによる照射を直接は受けないが、第2のレーザ光Yの照射エネルギーが伝わり温度が上昇する部分に、微結晶シリコン(μc−Si)が生成される。
第2のレーザ光Yが種結晶sc上を通過し、第2のレーザ光Yが所定領域A1に照射されると、第2のレーザ光Yの照射によって種結晶scを起点として所定領域A1に結晶が成長する。このとき、第2のレーザ光Yは走査されているので、種結晶scを起点として、第2のレーザ光Yの走査方向に延びる結晶粒径の大きいラテラル結晶を成長させることができる。このラテラル結晶成長によって、所定領域A1を選択的に高結晶化することができ、略単結晶化することも可能である。図では、所定領域A1に、単結晶(c−Si)が生成された場合について図示してある。
所定領域A1を第2のレーザ光Yによりアニールする際に、第2のレーザ光Yによる照射を直接は受けないが、第2のレーザ光Yの照射エネルギーが伝わり温度が上昇する部分等に、微結晶シリコン(μc−Si)が生成されることがある。「高結晶化したい所定領域A1を略単結晶化できる」とは、微結晶シリコン(μc−Si)の生成領域を除く部分を単結晶化できることを意味している。
通常、ラテラル成長で単結晶成長できる長さは数十μm程度である。種結晶scが生成される領域Asc〜所定領域A1のx方向(走査方向)の全長LTが、数十μm程度に収まるように、所定領域A1の手前近傍領域Ascに種結晶scを生成するようにすれば、所定領域A1全体をラテラル成長によって安定的に略単結晶化することができる。そして、ラテラル成長で単結晶成長できる長さ数十μm程度を超えたところから、第2のレーザ光Yの照射領域は多結晶シリコン(poly−Si)が生成することとなる。
種結晶scがすべて融解する第2のレーザ光Yの照射条件では、種結晶scが完全に融解する際に結晶核が多く形成されやすく、結晶粒径の大きい結晶をラテラル成長させることは難しい。本実施形態では、第2のレーザ光Yの照射条件を、第2のレーザ光Yが照射されても種結晶scの少なくとも一部は融解させない条件としているので、第2のレーザ光Yが種結晶scを通過するときに、多結晶シリコン(poly−Si)の結晶粒界が確実にリセットされ、所定領域A1を安定的に高結晶化することができ、安定的に略単結晶化することができる。しかも、かかる構成では、単結晶シリコン(c−Si)である種結晶scの少なくとも一部はそのまま残るので、種結晶scの生成領域Asc〜所定領域A1の全体に渡って、結晶粒径の大きい単結晶を得ることができる。
図示する例では、種結晶scの手前領域、種結晶scの生成領域Asc、及び所定領域A1に対して第2のレーザ光Yの照射を行っているが、第2のレーザ光Yの照射は少なくとも種結晶scの生成領域Ascと所定領域A1を含む領域に対して実施すればよい。
本実施形態において、コントローラ(制御手段)160には、レーザヘッド移動手段150の移動を制御する走査制御部(走査制御手段)161と、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130に搭載された半導体レーザLDのオンオフを制御する電気的制御部(電気的制御手段)162とが備えられている。コントローラ(制御手段)160にはまた、製造するアクティブマトリスク基板のTFTの形成位置等の設計情報が入力され、かつ該情報が記憶される設計情報記憶部163が設けられている。
本実施形態では、上記構成のコントローラ160によって、上記設計情報に応じて、レーザヘッド140の走査と第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130に搭載された半導体レーザLDのオンオフとが制御され、所望の領域に対して選択的に、第1のレーザ光Xと第2のレーザ光Yとを照射できるようになっている。
本実施形態のレーザアニール装置100は、以上のように構成されている。
レーザアニール装置100を用いることで、非晶質シリコン膜20の所定領域A1の近傍領域Ascに対して、第1のレーザ光Xを照射して第1のレーザ光が照射された領域を結晶化させて、種結晶scを生成するレーザ照射(A)と、
非晶質シリコン膜20の第1のレーザ光Xが照射された領域Asc及び所定領域A1に対して第2のレーザ光Yを照射し、第1のレーザ光Xの照射により生成された種結晶scの少なくとも一部は融解させることなく、種結晶scを起点として所定領域A1に結晶を成長させるレーザ照射(B)とを効率よく実施することができる。
本実施形態では、1個の基板に対して、レーザ照射(A)を実施している間に、レーザ照射(B)を開始することができる。
本実施形態のレーザアニール装置100では、第1のレーザ光Xの照射により所定領域A1の近傍領域Ascに生成された結晶が種結晶scとなり、これを起点として、所定領域A1に選択的に結晶を成長させることができる。本実施形態の装置100では、所定領域A1の近傍領域Ascに種結晶scを生成し、しかも種結晶scの少なくとも一部は融解させない構成としているので、所定領域A1を結晶化する際の結晶核の生成が抑えられ、所定領域A1を高結晶化することができ、略単結晶化することも可能である。
本実施形態のレーザアニール装置100は、機能の異なる第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とを備えたものであるので、1個の基板に対して、所定領域A1の近傍領域Ascへの種結晶scの生成と、これを起点とした所定領域A1への結晶成長とを並行して実施することができるので、これらの処理を効率的に実施することができる。
本実施形態では、非晶質シリコン膜20に対して第1のレーザ光X及び第2のレーザ光Yを走査する構成としているので、非晶質シリコン膜20の所望の領域に対して選択的に、第1のレーザ光Xの照射と第2のレーザ光Yの照射とを実施することができ、所定領域A1を安定的に高結晶化することができ、安定的に略単結晶化することも可能である。
本実施形態ではさらに、同一のレーザヘッド140内に第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とを組み込み、レーザヘッド140内におけるこれらの互いの相対的位置を固定し、レーザヘッド140をレーザヘッド移動手段(相対走査手段)150により走査することで、非晶質シリコン膜20に対して第1のレーザ光X及び第2のレーザ光Yを同時に走査する構成としている。そして、レーザヘッド140の走査方向に対して常に第1のレーザ光源120が第2のレーザ光源130よりも先行するよう、レーザヘッド140の走査方向に応じて、レーザヘッド140の向きを制御する構成としている。
かかる構成では、非晶質シリコン膜20に対する第1のレーザ光X及び第2のレーザ光Yの走査が簡易であり、しかも第1のレーザ光Xの照射による種結晶scの生成と、第2のレーザ光Yによる種結晶scを起点とする結晶成長とを連続的に実施できるので、効率が良い。また、第1のレーザ光Xの照射領域と第2のレーザ光Yの照射領域との位置ずれも抑制できる。
上記のように、第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とは、互いの相対的位置が固定されてユニット化されたユニット光源の形態で備えられていることが好ましいが、本発明はかかる構成に制限されない。レーザ光源120,130はユニット化されていなくてもよく、レーザ光源120,130は、それぞれ独立に走査されるものであってもよい。
本実施形態のレーザアニール装置100では、第2のレーザ光源130のレーザ光発振源が、第1のレーザ光源120のレーザ光発振源を兼ねていないので、これらの照射条件をそれぞれ独立に好適化することができる。
本実施形態においては、レーザヘッド140の走査方向に対して常に第1のレーザ光源120が第2のレーザ光源130よりも先行するよう、レーザヘッド140の走査方向に応じて、レーザヘッド140の向きが制御される構成とする代わりに、
第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とは互いの機能を交替可能とされ、レーザヘッド140は、レーザヘッド140の走査方向に対して常に第1のレーザ光源120が第2のレーザ光源130よりも先行するよう、レーザヘッド140の走査方向が変わる際には、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130の互いの機能を交替する制御が行われる構成としてもよい。
例えば、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130は発振波長が同一条件で、単位時間あたりの出射エネルギー量及びあるタイミングにおける照射面積が異なる構成であれば、レーザヘッド140の走査方向が変わる際に、絞り等の照射面積可変手段を用いて照射面積を交替させ、かつ、レーザヘッド140の走査方向が変わる際に、電気的制御部(電気的制御手段)162によって、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130の半導体レーザLDの点灯数を交替させて、互いの出力を交替させるなどして、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130の互いの機能を交替させることができる。
本実施形態のレーザアニール装置100において、第2のレーザ光源130を連続波出力のレーザ光源により構成している。かかる構成では、パルス出力のレーザ光源と異なり、第2のレーザ光源130をオンにしている間は常に非晶質シリコン膜20に対して第2のレーザ光Yが連続的に照射されるので、緻密で均一な膜処理ができる。また、パルス出力のレーザ光源を用いる場合よりも、第2のレーザ光Yによる実質的なアニール時間を長くすることができる。したがって、所定領域A1を安定的に高結晶化することができ、安定的に略単結晶化することも可能である。
本実施形態のレーザアニール装置100において、第1のレーザ光源120についても連続波出力のレーザ光源により構成している。第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130のうち、少なくとも第2のレーザ光源130を連続波出力のレーザ光源により構成することで、上記効果が得られる。
本実施形態のレーザアニール装置100において、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130はいずれも、レーザ光発振源として半導体レーザLDを備えた半導体レーザ光源により構成している。半導体レーザLDは小型であるので、レーザ光発振源としてエキシマレーザを用いるよりも、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130を小さくすることができ、これらの形状の設計自由度も高くすることができる。半導体レーザLDはオンオフの制御も容易である。そのため、TFTの素子形成領域ATFTを選択的に高結晶化するような精細な位置制御が可能となる。
本実施形態のレーザアニール装置100を用いることにより、結晶性が高く、TFTの活性層等として好適な半導体膜を低コストかつ高スループットで製造することができる。この半導体膜を用いることで、素子特性(キャリア移動度等)や素子均一性に優れたTFT等の半導体装置を低コストかつ高スループットで製造することができる。
(構成変更例)
上記実施形態では、種結晶scのy方向の幅WscがTFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTよりも狭い構成について説明した(W1=Wsc<WTFT)。本発明はかかる構成に限定されず、種結晶scのy方向の幅WscはTFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTと同一又はそれ以上としてもよい(Wsc≧WTFT)。
例えば、図7〜図9に示すように、第1のレーザ光Xのy方向の照射幅W1はTFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTよりも狭く設定して、あるタイミングにおける第1のレーザ光源120による第1のレーザ光Xの照射面積を上記実施形態と同様に小さく設定し、レーザヘッド140内において、第1のレーザ光源120をレーザヘッド140の走査方向と交差する方向に機械的に走査することで、種結晶scのy方向の幅WscをTFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTよりも広くすることができる(W1<WTFT<Wsc)。この場合、種結晶scは帯状の多結晶シリコン(poly−Si)となる。
TFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTよりも広い幅の帯状の種結晶scを形成する図7〜9に示す例では、第2のレーザ光源130は、第1のレーザ光Xが照射された領域の少なくとも一部及び所定領域A1に対して第2のレーザ光Yを照射するようにすればよい。
図7〜図9は上記実施形態の図1に対応する図であり、主な構成要素を取り出し、レーザヘッド140内における第1のレーザ光源120の走査方向と、種結晶scの形状の例を示す図である。図7〜図9では、レーザヘッド140内における第1のレーザ光源120の走査方向を視認しやすくするため、レーザヘッド140を平面的に図示してある。第1のレーザ光源120の左横の矢印が、レーザヘッド140内における第1のレーザ光源120の走査方向を示している。
図7は、レーザヘッド140内における第1のレーザ光源120の走査をy方向に実施した場合の例である。この場合、レーザヘッド140のx方向の走査と、レーザヘッド140内における第1のレーザ光源120のy方向の走査とによって、x方向ともy方向とも交差する方向に延びる帯状の種結晶scが生成される。第1のレーザ光源120のx方向位置が所定領域A1のx方向位置にある間は、第1のレーザ光源120をオフとし、所定領域A1内に種結晶scが生成されないようにする。この例において、図8に示す例のように、レーザヘッド140内において、第1のレーザ光源120の往復走査を行ってもよい(この場合も、第1のレーザ光源120のx方向位置が所定領域A1のx方向位置にある間は、第1のレーザ光源120をオフする)。
図8は、レーザヘッド140内における第1のレーザ光源120の走査をy方向往復で実施した場合の例である。図示する例では、第1のレーザ光源120のx方向位置が所定領域A1のx方向位置にある間も、第1のレーザ光Xを照射している。ただし、第1のレーザ光源120のx方向位置が所定領域A1のx方向位置にあるときは、第1のレーザ光Xの照射位置を、少なくともTFTのチャネル形成領域より外側、好ましくはTFTの素子形成領域ATFTの外側とし、少なくともTFTのチャネル形成領域内に種結晶scが生成されないようにしている。
図9は、種結晶scがy方向に延びる帯状結晶となるように、レーザヘッド140内における第1のレーザ光源120の走査を、x方向ともy方向とも交差する方向であってx方向側に後退する方向に実施した場合の例である。
図7〜図9に示すように、種結晶scのy方向の幅WscをTFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTと同一又はそれ以上としても、種結晶scを起点として、第2のレーザ光Yの走査方向に延びる結晶粒径の大きい結晶をラテラル成長させることができる。このラテラル結晶成長によって、所定領域A1を選択的に高結晶化することができ、略単結晶化することも可能である。
TFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTと同一又はそれ以上の幅の帯状の種結晶scを形成する場合には、TFTの素子形成領域のy方向の幅WTFTよりも狭いの幅の種結晶scを形成する場合よりも、種結晶scを起点としてより大きな単結晶(c−Si)を成長させることができると考えられる。
図7〜図9に示すように、帯状の種結晶scを生成する場合には、第1のレーザ光源120を連続波出力のレーザ光源により構成することにより、帯状の種結晶scを形成しやすく、好適である。
上記実施形態では、非晶質シリコン膜20に対してレーザ光X,Yを相対走査する相対走査手段として、レーザヘッド140を機械的に移動させるレーザヘッド移動手段150を備える場合について説明した。ステージ110を相対走査手段として機能する可動ステージとしてもよい。相対走査手段としては、ガルバノミラーなど、レーザヘッド140から出射されるレーザ光X,Yをそれぞれ光学的に走査するものであってもよい。相対走査手段は、これらの組み合わせであってもよい。
高出力が得られることから、第1のレーザ光源120及び第2のレーザ光源130は、半導体レーザLDを複数備えると共に、複数の半導体レーザLDからの出射光を合波する合波光学系とを備えた単数又は複数の合波半導体レーザ光源121,131により構成することが好ましい。ただし、第1のレーザ光源120及び/又は第2のレーザ光源130は、単数の半導体レーザLDのみを備えたものであってもよい。
上記実施形態では、第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とを一組備えたレーザアニール装置100について説明した。レーザアニール装置100は、第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とを複数組備える構成としてもよい。例えば、一組の第1のレーザ光源120と第2のレーザ光源130とを内蔵したレーザヘッド140を複数備える構成とすることができる。
「半導体膜、半導体装置、アクティブマトリクス基板」
図面を参照して、本発明に係る実施形態の半導体膜、これを用いた半導体装置、及びこれを備えたアクティブマトリクス基板の製造方法と構成について説明する。本実施形態では、トップゲート型の薄膜トランジスタ(TFT)と、これを画素スイッチング素子として備えたアクティブマトリクス基板を例として説明する。図10は、工程図(基板の厚み方向の断面図)である。
はじめに、図10(a)に示す如く、基板10を用意し、基板10の表面全体に、CVD法等により非晶質シリコン(a−Si)膜20を成膜する。
基板10としては特に制限なく、石英ガラス基板、無アルカリガラス基板、及びプラスチック基板等が挙げられる。非晶質シリコン膜20の膜厚は特に制限なく、例えば50nm程度が好ましい。非晶質シリコン(a−Si)膜20は基板10上に直接形成するのではなく、酸化シリコンや窒化シリコン等の薄膜を介して形成してもよい。
次に、図10(b)に示す如く、非晶質シリコン膜20に対して、上記実施形態のレーザアニール装置100を用いてレーザアニールを実施して、非晶質シリコン膜20のTFTの素子形成領域ATFT及びその周囲近傍である所定領域A1を選択的に高結晶化する。所定領域A1を略単結晶化することも可能である。この工程後のシリコン膜に符号21を付してある。所定領域A1が単結晶シリコン(c−Si)となり、それ以外の領域が多結晶シリコン(poly−Si)となる場合について説明する。
次に、図10(c)に示す如く、フォトリソグラフィ法により、レーザアニール後のシリコン膜21をパターニングして、TFTの素子形成領域ATFT以外の領域を除去する。パターニング後のシリコン膜22は、単結晶シリコン(c−Si)膜である。
次に、図10(d)に示す如く、CVD法やスパッタリング法等により、SiO等からなるゲート絶縁膜24を形成する。ゲート絶縁膜24の膜厚は特に制限なく、例えば100nm程度が好ましい。
次に、図10(e)に示す如く、電極材料を成膜し、フォトリソグラフィ法によるパターニングを実施することにより、ゲート絶縁膜24上に、ゲート電極25を形成する。
次に、図10(f)に示す如く、ゲート電極25をマスクとして、シリコン膜22にP,B等のドーパントをドープし、活性領域であるソース領域23aとドレイン領域23bとを有する活性層23を形成する。ドーパントがPの場合について図示してある。活性層23において、ソース領域23aとドレイン領域23bとの間の領域がチャネル領域23cとなる。ドープ量は、例えば3.0×1015ions/cm程度が好ましい。この工程により、TFTの活性層をなすシリコン膜23が形成される。
次に、図10(g)に示す如く、SiOやSiN等からなる層間絶縁膜26を成膜し、さらに、ドライエッチングやウエットエッチング等のエッチングを実施して、層間絶縁膜26に、シリコン膜23のソース領域23aに通じるコンタクトホール27aと、ドレイン領域23bに通じるコンタクトホール27bとを開孔する。
さらに、層間絶縁膜26上の所定の領域に、ソース電極28aとドレイン電極28bとを形成する。ソース電極28aは、コンタクトホール27aを介してシリコン膜23のソース領域23aに導通され、ドレイン電極28bはコンタクトホール27bを介してシリコン膜23のドレイン領域23bに導通される。
本実施形態では、レーザアニール後パターニング前のシリコン膜21、パターニング後不純物注入前のシリコン膜22、及び不純物注入後のシリコン膜23のいずれも、本発明のレーザアニール技術を用いて製造された本発明の半導体膜である。
以上の工程により、本実施形態のTFT(画素スイッチング用TFT)30が製造される。
次に、図10(h)に示す如く、SiOやSiN等からなる層間絶縁膜31を成膜し、ドライエッチングやウエットエッチング等のエッチングを実施して、層間絶縁膜31にソース電極28aに通じるコンタクトホール32を開孔する。
さらに、層間絶縁膜31上の所定の領域に、画素電極33を形成する。画素電極33は、コンタクトホール32を介してTFT30のソース電極28aに導通される。
一対の画素電極33とTFT30のみを図示してあるが、実際には、1個の基板10に対して、画素電極33はマトリクス状に多数形成され、各画素電極33に対応してTFT30が形成される。
以上の工程により、本実施形態のアクティブマトリクス基板40が製造される。
アクティブマトリクス基板40の製造にあたっては、走査線や信号線等の配線が形成される。ゲート電極25が走査線を兼ねる場合と、ゲート電極25とは別に走査線を形成する場合がある。ドレイン電極28bが信号線を兼ねる場合と、ドレイン電極28bとは別に信号線を形成する場合がある。
本実施形態では、本発明のレーザアニール技術を用いているので、結晶性が高く、TFTの活性層として好適なシリコン膜(半導体膜)21〜23を製造することができる。これらのシリコン膜21〜23を用いて製造された本実施形態のTFT30は、素子特性(キャリア移動度等)や素子均一性に優れたものとなる。このTFT30を備えた本実施形態のアクティブマトリクス基板40は、電気光学装置用として高性能なものとなる。
液晶装置やEL装置等の電気光学装置では、同じ基板上に、画素電極と画素スイッチング用TFTとがマトリクス状に多数形成された画素部と、この画素部を駆動する、複数の駆動回路用TFTを用いて構成された駆動回路を備えた駆動部とが設けられる場合がある。駆動回路は、通常、N型TFTとP型TFTとのCMOS構造を有する。
本発明のレーザアニール技術では、画素スイッチング用TFTの活性層と駆動回路用TFTの活性層とを同じシリコン膜から形成することができる。本発明のレーザアニール技術では、キャリア移動度等の素子特性に優れた駆動回路用TFTを製造することができる。
「電気光学装置」
図面を参照して、本発明に係る実施形態の電気光学装置の構成について説明する。本発明は、EL装置や液晶装置等に適用可能であり、有機EL装置を例として説明する。図11は有機EL装置の分解斜視図である。
本実施形態の有機EL装置(電気光学装置)50は、上記実施形態のアクティブマトリクス基板40の上に、電流印加により赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を各々発光する発光層41R、41G、41Bが所定のパターンで形成され、その上に、共通電極42と封止膜43とが順次積層されたものである。
封止膜43を用いる代わりに、金属缶もしくはガラス基板等の封止部材で封止を行ってもよい。この場合には、酸化カルシウム等の乾燥剤を内包させてもよい。
発光層41R、41G、41Bは、画素電極33に対応したパターンで形成され、赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を発光する3ドットで一画素が構成されている。共通電極42と封止膜43とは、アクティブマトリクス基板40の略全面に形成されている。
有機EL装置50では、画素電極33と共通電極42のうち、一方が陽極、他方が陰極として機能し、発光層41R、41G、41Bは、陽極から注入される正孔と陰極から注入される電子の再結合エネルギーによって発光する。
発光効率を向上するために、発光層41R、41G、41Bと陽極との間には、正孔注入層及び/又は正孔輸送層を設けることができる。発光効率を向上するために、発光層41R、41G、41Bと陰極との間には、電子注入層及び/又は電子輸送層を設けることができる。
本実施形態の有機EL装置(電気光学装置)50は、上記実施形態のアクティブマトリクス基板40を用いて構成されたものであるので、TFT30の素子均一性に優れており、表示品質等の電気光学特性の均一性が極めて優れたものとなる。また、本実施形態の有機EL装置50は、個々のTFT30の素子特性が優れるため、消費電力を低減できる、周辺回路の形成面積を低減できる、周辺回路の種類の選択自由度が高いなどの点で、従来技術より優れたものとなる。
本発明のレーザアニール装置は、薄膜トランジスタ(TFT)及びこれを備えた電気光学装置の製造等に好ましく適用することができる。
本発明に係る実施形態のレーザアニール装置と、これを用いたレーザアニール方法を示す図 (a)は第1のレーザ光源の内部構成を示す図、(b)は第2のレーザ光源の内部構成を示す図 (a),(b)は、マルチ横モード光が持つ干渉性を低減する構成を説明するための図 (a),(b)は、第2のレーザ光Yの波長λと、a1/a2(c−Siの吸収率/a−Siの吸収率)との関係を示す図 (a),(b)は、第2のレーザ光Yの波長λと、a1/a2(c−Siの吸収率/a−Siの吸収率)との関係を示す図 (a),(b)は、第2のレーザ光Yの波長λと、a1/a2(c−Siの吸収率/a−Siの吸収率)との関係を示す図 本発明に係るその他の実施形態のレーザアニール装置と、これを用いたレーザアニール方法を示す図 本発明に係るその他の実施形態のレーザアニール装置と、これを用いたレーザアニール方法を示す図 本発明に係るその他の実施形態のレーザアニール装置と、これを用いたレーザアニール方法を示す図 (a)〜(h)は、本発明に係る実施形態の半導体膜、これを用いた半導体装置、及びこれを備えたアクティブマトリクス基板の製造方法を示す工程図 本発明に係る実施形態の有機EL装置(電気光学装置)の構成を示す図
符号の説明
20 非晶質シリコン膜(非晶質半導体膜)
21、22 シリコン膜(半導体膜)
23 シリコン膜(半導体膜、活性層)
23a ソース領域(活性領域)
23b ドレイン領域(活性領域)
30 TFT(半導体装置)
40 アクティブマトリクス基板
50 有機EL装置(電気光学装置)
100 レーザアニール装置
120 第1のレーザ光源
130 第2のレーザ光源
121、131 合波半導体レーザ光源
123(123A〜123D)、133(133A〜133D) LDパッケージ
140 レーザヘッド(ユニット光源)
150 レーザヘッド移動手段(相対走査手段)
160 コントローラ(制御手段)
161 走査制御部(走査制御手段)
162 電気的制御部(電気的制御手段)
LD 半導体レーザ(レーザ光発振源)
X 第1のレーザ光
Y 第2のレーザ光
sc 種結晶
A1 所定領域
Asc 種結晶の生成領域
TFT TFTの素子形成領域
W1 第1のレーザ光の走査方向に対して垂直方向の照射幅
W2 第2のレーザ光の走査方向に対して垂直方向の照射幅
Wsc 種結晶のレーザ光走査方向に対して垂直方向の幅
TFT TFTの素子形成領域のレーザ光走査方向に対して垂直方向の幅

Claims (24)

  1. 非晶質半導体膜に対してレーザアニールを実施して、該非晶質半導体膜の所定領域の結晶性を他領域の結晶性よりも選択的に高めることが可能なレーザアニール装置において、
    単数又は複数のレーザ光発振源を備えてなり、前記非晶質半導体膜の前記所定領域の近傍領域に対して、第1のレーザ光を照射して該第1のレーザ光が照射された領域を結晶化させる第1のレーザ光源と、
    前記第1のレーザ光源の前記レーザ光発振源を兼ねていない単数又は複数のレーザ光発振源を備えてなり、前記非晶質半導体膜の前記第1のレーザ光が照射された領域の少なくとも一部及び前記所定領域に対して第2のレーザ光を照射し、前記第1のレーザ光の照射により生成された結晶の少なくとも一部は融解させることなく、該結晶を起点として前記所定領域に結晶を成長させる第2のレーザ光源と、
    前記非晶質半導体膜に対して、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を同時に又は独立に相対走査する相対走査手段とを備えたことを特徴とするレーザアニール装置。
  2. 前記非晶質半導体膜は、前記レーザアニールを実施された後に半導体装置の活性層として用いられる膜であり、
    前記所定領域は、該非晶質半導体膜において前記半導体装置の活性層となる素子形成領域を含むことを特徴とする請求項1に記載のレーザアニール装置。
  3. 前記第2のレーザ光源は、前記所定領域に単結晶を成長させるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザアニール装置。
  4. 前記第2のレーザ光源が連続波出力のレーザ光源であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  5. 前記第1のレーザ光源が連続波出力のレーザ光源であることを特徴とする請求項4に記載のレーザアニール装置。
  6. 前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源はいずれも、前記レーザ光発振源として半導体レーザを備えた半導体レーザ光源であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  7. 前記第1のレーザ光源及び/又は前記第2のレーザ光源は、前記半導体レーザを複数備えると共に、該複数の半導体レーザからの出射光を合波する合波光学系とを備えた合波半導体レーザ光源であることを特徴とする請求項6に記載のレーザアニール装置。
  8. 前記第1のレーザ光源と前記第2のレーザ光源とは、該第1のレーザ光源と該第2のレーザ光源とがユニット化されたユニット光源の形態で備えられており、
    前記相対走査手段は、該ユニット光源を相対走査するものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  9. 前記ユニット光源は、該ユニット光源の相対走査方向に対して常に前記第1のレーザ光源が前記第2のレーザ光源よりも先行するよう、該ユニット光源の相対走査方向に応じて、向きが制御されるものであることを特徴とする請求項8に記載のレーザアニール装置。
  10. 前記第1のレーザ光源と前記第2のレーザ光源とは、互いの機能を交替可能とされており、
    前記ユニット光源は、該ユニット光源の相対走査方向に対して常に前記第1のレーザ光源が前記第2のレーザ光源よりも先行するよう、該ユニット光源の相対走査方向が変わる際には、前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源の互いの機能を交替する制御が行われるものであることを特徴とする請求項8に記載のレーザアニール装置。
  11. 前記非晶質半導体膜は、前記レーザアニールを実施された後に半導体装置の活性層として用いられる膜であり、
    前記第1のレーザ光の照射により生成される前記結晶の前記ユニット光源の相対走査方向に対して垂直方向の幅が、前記非晶質半導体膜において前記半導体装置の活性層となる素子形成領域の前記ユニット光源の相対走査方向に対して垂直方向の幅よりも狭いことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  12. 前記非晶質半導体膜は、前記レーザアニールを実施された後に半導体装置の活性層として用いられる膜であり、
    前記第1のレーザ光の照射により生成される前記結晶の前記ユニット光源の相対走査方向に対して垂直方向の幅が、前記非晶質半導体膜において前記半導体装置の活性層となる素子形成領域の前記ユニット光源の相対走査方向に対して垂直方向の幅と同一又はそれ以上であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  13. 前記非晶質半導体膜に照射される前記第1のレーザ光の前記ユニット光源の相対走査方向に対して垂直方向の照射幅が、前記非晶質半導体膜において前記半導体装置の活性層となる素子形成領域の前記ユニット光源の相対走査方向に対して垂直方向の幅よりも狭く設定されており、
    かつ、前記第1のレーザ光源は、前記ユニット光源内において、該ユニット光源の相対走査方向と交差する方向に走査可能とされていることを特徴とする請求項12に記載のレーザアニール装置。
  14. 前記第2のレーザ光源の発振波長は、前記第1のレーザ光の照射により生成される前記結晶に吸収される前記第2のレーザ光の吸収率a1と、前記非晶質半導体膜の非結晶化部分に吸収される前記第2のレーザ光の吸収率a2とが、下記式(1)を充足する波長であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のレーザアニール装置。
    0.2≦a1/a2≦0.9・・・(1)
  15. 前記第2のレーザ光源の発振波長は、前記第1のレーザ光の照射により生成される前記結晶に吸収される前記第2のレーザ光の吸収率a1と、前記非晶質半導体膜の非結晶化部分に吸収される前記第2のレーザ光の吸収率a2とが、下記式(2)を充足する波長であることを特徴とする請求項14に記載のレーザアニール装置。
    0.3≦a1/a2≦0.8・・・(2)
  16. 前記第2のレーザ光源は、前記レーザ光発振源としてGaN系半導体レーザ又はZnO系半導体レーザを備えた半導体レーザ光源であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  17. 前記所定領域の位置情報に基づいて、前記相対走査手段による前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源の相対走査を制御する走査制御手段と、
    前記所定領域の位置情報に基づいて、前記第1のレーザ光源及び前記第2のレーザ光源に搭載された前記レーザ光発振源のオンオフを制御する電気的制御手段とを備えたものであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  18. 前記第1のレーザ光源と前記第2のレーザ光源とを複数組備えたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載のレーザアニール装置。
  19. 請求項1〜18のいずれかに記載のレーザアニール装置を用い、
    非晶質半導体膜の所定領域の近傍領域に対して、前記第1のレーザ光を照射して該第1のレーザ光が照射された領域を結晶化させるレーザ照射(A)と、
    前記非晶質半導体膜の前記第1のレーザ光が照射された領域の少なくとも一部及び前記所定領域に対して前記第2のレーザ光を照射し、前記第1のレーザ光の照射により生成された結晶の少なくとも一部は融解させることなく、該結晶を起点として前記所定領域に結晶を成長させるレーザ照射(B)とを実施することを特徴とするレーザアニール方法。
  20. レーザ照射(A)を実施している間に、レーザ照射(B)を開始することを特徴とする請求項19に記載のレーザアニール方法。
  21. 請求項19又は20に記載のレーザアニール方法を用いて製造されたものであることを特徴とする半導体膜。
  22. 主成分がシリコンであることを特徴とする請求項21に記載の半導体膜。
  23. 請求項21又は22に記載の半導体膜を用いて得られた活性層を備えたことを特徴とする半導体装置。
  24. 請求項23に記載の半導体装置を備えたことを特徴とする電気光学装置。
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