JP2008070278A - 微小振動の検出方法および微小振動計 - Google Patents
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Abstract
【課題】被測定振動体が低反射性或いは光吸収性材質の場合でも、その微小振動を広帯域で高感度に検出する方法、および小型で安価な広帯域の高感度微小振動計を提供する。
【解決手段】入射計測光が金属薄膜1の界面上に金属界面光学モードを発生させるように、透明誘電体2上にこの金属薄膜1を密着形成した光結合器を構成し、間隙層6を介して被測定振動体5を配置する。金属薄膜1の間隙層6側の界面上に発生した金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体5へ照射して、この金属増強エバネッセント光を発生させた入射計測光の光結合器からの反射検出光を計測することによって、被測定振動体5の微小振動を検出する。
【選択図】 図1
【解決手段】入射計測光が金属薄膜1の界面上に金属界面光学モードを発生させるように、透明誘電体2上にこの金属薄膜1を密着形成した光結合器を構成し、間隙層6を介して被測定振動体5を配置する。金属薄膜1の間隙層6側の界面上に発生した金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体5へ照射して、この金属増強エバネッセント光を発生させた入射計測光の光結合器からの反射検出光を計測することによって、被測定振動体5の微小振動を検出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被測定振動体の微小振動を広帯域で高感度に検出する方法、およびこれを利用して被測定振動体の微小振動を検出できる、小型で安価な広帯域の高感度微小振動計に関するものである。
被測定振動体の振動を非接触で光学的に検出するには、周知の通り、ドップラーシフトや光へテロダイン干渉等の光干渉の原理に基づき、被測定振動体に光を照射して被測定振動体からの反射光の干渉効果を利用している。(例えば、特許文献1、2等)
しかしながら、この振動検出法の場合、計測光を被測定振動体へ直接照射し、その反射光を検出しているために、被測定振動体が金属等の光反射率の高い場合には振動検出の感度が高いものの、反射率の小さい材質の振動体、例えばガラス、セラミックス、プラスチック、高分子ポリマー、色素等の低反射材や光吸収材に対しては、振動検出対象として上記方法は適さないという問題がある。
また、被測定振動体が透明物体である場合には、計測光が透明物体を通過し、その反対側の界面から反射した光も、被測定振動体の表面からの検出すべき反射光と同時に検出することがあるために、条件によっては、正確な振動検出が上記方法では難しい場合がある。
さらに、被測定振動体からの反射光に基準光を干渉させ、その干渉縞の強度変化や位相変化から被測定振動体の振動を検出しているために、装置が複雑になり、上記方法では微小振動計の小型化および低コスト化が困難である。
これに対して、薄い金属薄膜を密着形成させた透明な誘電体からなる光結合器において、透明誘電体を通過した光が内部全反射領域の適宜な入射角度で金属薄膜に入射すると、透明誘電体と反対側の金属薄膜界面上に金属界面光学モードが発生し、金属薄膜からの反射光が全反射よりも減少して、この金属薄膜界面付近には、自由空間を伝搬する通常の光よりも増大した電界を伴い、その界面からの距離に対して指数関数的に減衰する金属増強エバネッセント光が発生するという現象が認められた。
特開平10−170334号公報
特開2004−361378号公報
そこで、金属薄膜を密着形成した透明誘電体からなる光結合器、この金属薄膜上に適宜の間隙層例えば空気層を介して被測定振動体を配置し、透明誘電体から入射する光により金属薄膜の間隙層側界面に金属界面光学モードを発生させ、金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体に直接照射して、金属界面光学モードを発生させた入射光の光結合器からの反射光が被測定振動体の微小振動により変化し、これによって、被測定振動体の微小振動を広帯域で高感度に検出できる微小振動計を実現できる可能性がある。
ここで、間隙層媒質が空気であり、金属薄膜と被測定振動体間の距離を入射計測光波長の約5倍程度以上に大きい場合には、金属薄膜の空気間隙層側界面に発生した金属界面光学モードの増強エバネッセント光をこの被測定振動体へ照射させることができず、被測定振動体の振動、すなわち金属薄膜と被測定振動体間の位置変化に対して応答した反射光を得ることが難しくなる。
本発明は、このような事情に鑑み、金属薄膜を密着形成した光結合器によって金属薄膜の間隙層側界面に発生させた金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射できるように、被測定振動体に対し光結合器を配置して、その増強エバネッセント光を発生させた入射光の光結合器からの反射光が、被測定振動体の微小振動によって変化し、被測定振動体の微小振動に応答した反射光を計測することによって、被測定振動体の微小振動を広帯域で高感度に検出する方法、およびこれを利用した小型で安価な広帯域の高感度微小振動計を提供することを目的とする。
本発明者等は、金属薄膜を密着形成した透明誘電体からなる光結合器において、金属薄膜の空気間隙層側界面に発生した金属界面光学モードの増強エバネッセント光が空気側領域に入射光の波長程度からその約3倍程度に浸出しており、その増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射することによって、金属界面光学モードを発生させた入射光の光結合器からの反射光が被測定振動体の微小振動によって変化することを発見し、本発明を完成したものである。
すなわち、請求項1に記載の発明は、金属薄膜に密着形成した透明誘電体からなる光結合器、この金属薄膜上に適宜の間隙層を介して被測定振動体を配置し、入射計測光を透明誘電体より所要の角度で金属薄膜に入射してこの金属薄膜の間隙層側界面に金属界面光学モードを発生させ、この金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射して、金属界面光学モードを発生させた入射計測光の光結合器からの反射検出光が被測定振動体の微小振動に応答し、その反射検出光を光検出器で計測することによって、被測定振動体の微小振動を検出するようにしたものである。
また、請求項2に記載の発明は、透明誘電体上に金属薄膜を密着形成した光結合器であって、金属薄膜上に間隙層を介して被測定振動体を配置した構成とし、透明誘電体が金属薄膜の間隙層側界面に金属界面光学モードを発生させるように入射計測光を導く機能を持ち、この金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射して、被測定振動体の微小振動に応答した反射検出光を光検出器で計測することによって、被測定振動体の微小振動を検出するように構成したものである。
また、請求項3に記載の発明は、被測定振動体の微小振動が金属薄膜に対して垂直方向の微小な位置変化であって、光結合器からの反射検出光がこの垂直微小振動により著しく変化し、したがって、被測定振動体の微小振動が高感度に検出されるようにしたものである。
また、請求項4に記載の発明は、金属界面光学モードを発生させる入射計測光の偏光をTM(p)偏光としたものであり、これにより金属薄膜界面に金属界面光学モードを効率良く発生させることができ、被測定振動体の微小振動を高感度に検出するようにしたものである。
また、請求項5に記載の発明は、間隙層媒質が空気であり、金属薄膜と被測定振動体間の距離を入射計測光波長の約1〜3倍程度に設定することによって、その金属薄膜の空気間隙層側界面に発生した金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射できるようにしたものであり、したがって、被測定振動体の微小振動に応答した反射検出光を得られるようにしたものである。
さらに、請求項6に記載の発明は、金属薄膜は例えば銀薄膜であり、透明誘電体は例えばガラスプリズムであり、入射計測光は例えば半導体レーザ光であり、反射検出光を計測する光検出器は例えばフォトダイオードとしたものである。
本発明によれば、伝播する通常光の照射による振動検出法と異なり、界面に局在する金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射して、被測定振動体の微小振動を光結合器からの反射光の変化として検出するために、被測定振動体が低反射材や光吸収材であっても、その微小振動を広帯域で高感度に検出することができ、これを利用して小型で安価な広帯域の高感度微小振動計を実現できる。
本発明の微小振動の検出方法および微小振動計は、屈折率が間隙層媒質よりも大きい透明誘電体に金属薄膜を密着形成させた光結合器において、透明誘電体を通過した入射計測光が内部全反射臨界角以上のある入射角度で金属薄膜の間隙層側界面に金属界面光学モードの増強エバネッセント光を発生させ、その増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射させるようにしている。
被測定振動体が微小振動する雰囲気媒質は、前記の間隙層を形成する。屈折率が透明誘電体よりも小さくかつ粘性の小さい非吸収性の媒質であれば、他に制限はなく、前記の光結合器によって金属薄膜の間隙層側界面上に金属界面光学モードを発生できる。
好ましい雰囲気媒質としては、空気をはじめ、真空、或いは窒素、アルゴン、ヘリウム等の気体が挙げられる。また、水やアルコール等のような屈折率が低くかつ粘性が比較的小さい透明な液体中であれば、被測定振動体の微小振動を検出することが可能である。
好ましい雰囲気媒質としては、空気をはじめ、真空、或いは窒素、アルゴン、ヘリウム等の気体が挙げられる。また、水やアルコール等のような屈折率が低くかつ粘性が比較的小さい透明な液体中であれば、被測定振動体の微小振動を検出することが可能である。
光結合器を構成する透明誘電体は、前記間隙層よりもある程度高い屈折率を持つ非吸収性の物質ならば特に制限はなく、例えばBK7をはじめ、SF11、LaSF9等のガラス材料、透明プラスチック材料や透明高分子ポリマー等が使用でき、目的とする光学材料の性状に応じて選択する。屈折率がある程度大きく安価で加工の容易である、好ましい光結合器の透明誘電体としては、ガラス、特にBK7ガラスが挙げられる。
入射計測光を金属薄膜へ導く透明誘電体の形状も特に制限はなく、例えば45度直角三角形、正三角形、半円柱形、半球形、或いは板状等、間隙層媒質との内部全反射の入射角度で入射光を金属薄膜へ導入できるものであれば良く、入射計測光および反射検出光の光軸に応じて透明誘電体の形状を選択する。
金属薄膜は、金属界面光学モードが発生しやすい自由電子密度の高い金属材料、例えば金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、マグネシウム等、或いはこれらの合金が使用できる。金属界面光学モードが発生しやすい、好ましい金属材料としては、特に銀と金が挙げられる。
銀は、可視光を含む近赤外から紫外線までの波長域で光吸収が他の金属よりも小さく、金属界面光学モードの発生に最も適した金属材料であり、近赤外から紫外線までの広い波長域における入射計測光に対応できる。
また、金は、酸化膜等の表面改質がないために安定に金属界面光学モードを発生できる金属材料であり、強い吸収帯が存在する紫外線から青色可視光までの波長域を除けば、本発明で適用できる。
一方、銅やアルミニウムも本発明で使用できる金属薄膜材料である。銅は、金と同様に強い光吸収を示す紫外線から青色可視光までを除く波長域で、また、アルミニウムは、吸収の強い近赤外線を除く波長域に対して利用できる。
銀は、可視光を含む近赤外から紫外線までの波長域で光吸収が他の金属よりも小さく、金属界面光学モードの発生に最も適した金属材料であり、近赤外から紫外線までの広い波長域における入射計測光に対応できる。
また、金は、酸化膜等の表面改質がないために安定に金属界面光学モードを発生できる金属材料であり、強い吸収帯が存在する紫外線から青色可視光までの波長域を除けば、本発明で適用できる。
一方、銅やアルミニウムも本発明で使用できる金属薄膜材料である。銅は、金と同様に強い光吸収を示す紫外線から青色可視光までを除く波長域で、また、アルミニウムは、吸収の強い近赤外線を除く波長域に対して利用できる。
前記光結合器において、入射計測光が金属薄膜の間隙層側界面に金属界面光学モードを発生させるためには、金属薄膜には適切な厚さが必要である。例えば、入射計測光の波長が可視光域であるときは、銀や金の場合で約50nm、光吸収の強いアルミニウムでは約15nm程度の膜厚が最適である。
本発明の微小振動計で使用する入射計測光としては、レーザ光などの指向性の高い単色光が好ましい。白色光でも入射計測光として用いることが可能ではあるが、固定した入射角度で光結合器に光を入射させた場合、金属界面光学モードの発生条件に適合しない波長の光が被測定振動体の振動の影響を受けずにそのまま反射され、被測定振動体の微小振動に応答した反射検出光と伴に光検出器へ入射し検出されるおそれがあるために、検出光におけるノイズ等の原因となるので望ましくない。
また、入射計測光は、無偏光でも本発明の微小振動の検出方法および微小振動計に適応できるが、TM(p)偏光の入射光が金属界面光学モードを効率良く発生させるために、本発明で使用する入射計測光としては、TM(p)偏光であることが適切である。
これに対して、入射計測光がTE(s)偏光である場合、金属薄膜の界面上に金属界面光学モードを発生させることが著しく困難であり、TE(s)偏光の入射光は、本発明で使用する計測光としては適さない。
金属薄膜の間隙層側界面に前記光結合器によって発生した金属界面光学モードの増強エバネッセント光は、その強度が金属薄膜界面から指数関数的に減衰しており、その浸出長は、透明誘電体、金属薄膜や間隙層媒質の屈折率、金属薄膜の厚さ、及び入射光の波長や入射角に依存する。
例えば、間隙層が空気層である場合、その金属増強エバネッセント光が入射計測光波長の約1〜3倍程度、空気側領域に浸み出している。したがって、被測定振動体の微小振動を検出するには、金属薄膜と被測定振動体間の距離として、入射計測光波長の約1〜3倍程度の距離が適切である。
例えば、間隙層が空気層である場合、その金属増強エバネッセント光が入射計測光波長の約1〜3倍程度、空気側領域に浸み出している。したがって、被測定振動体の微小振動を検出するには、金属薄膜と被測定振動体間の距離として、入射計測光波長の約1〜3倍程度の距離が適切である。
一方、金属薄膜と被測定振動体間の距離が入射計測光波長の約5倍程度以上である場合には、金属界面光学モードのエバネッセント光の強度は極端に小さくなり、前記光結合器からの反射光は被測定振動体によってほとんど影響を受けず、したがって、被測定振動体の微小振動の検出が難しくなる。
本発明の微小振動の検出方法および微小振動計が検出できる、被測定振動体の微小振動の周波数帯域には、特に制限はなく、1Hz程度以下の低周波や100MHz程度以上の高周波の微小振動でも検出可能である。
被測定振動体の微小振動に応答した反射検出光を計測する光検出器としては、感度や応答性に優れているものが好ましい。特に、pn接合形や光導電形等の半導体光センサ、および微弱光測定用の光電子増倍管等の高感度な光検出器が望ましい。入射計測光の波長や出力、および検出する振動の応答速度や周波数帯域等を考慮して、反射光検出に適した光検出器を選択する。例えば、レーザ光等のようにある程度の出力を持った入射計測光を使用する場合では、光検出器としてpn接合形のフォトダイオードが適切である。
また、金属界面光学モードの増強エバネッセント光の浸出長は、空気間隙層の場合、入射計測光波長の約1〜3倍程度であるために、検出可能な振動振幅の最大は、入射計測光波長および被測定振動体の振動の平均距離位置に依存し、入射計測光波長の約1〜3倍程度である。したがって、検出できる振動振幅の範囲を拡大するには、波長の長い入射計測光を用いるようにする。
本発明で検出できる被測定振動体の微小振動は、光結合器の金属薄膜上に発生させた金属界面光学モードの増強エバネッセント光の存在する領域内であれば、金属薄膜に対して垂直な方向に限らず、どの方向の振動であっても、その微小振動を検出することが可能である。
しかしながら、この金属増強エバネッセント光は、金属薄膜からの垂直方向の距離に対してその強度が最も変化するため、金属界面光学モードを発生させた入射計測光の光結合器からの反射検出光は、金属薄膜に対し垂直方向の微小振動による変化が大きく、したがって、垂直方向の微小振動に対し検出感度が高い。
本発明の微小振動の検出方法および微小振動計は、屈折率の高い透明誘電体を用いて金属薄膜の間隙層側界面に金属界面光学モードを発生させ、間隙層側に浸み出した金属界面光学モードの増強エバネッセント光を被測定振動体へ照射することによって、被測定振動体の微小振動を得ることを特徴とする。
したがって、被測定振動体は、金属増強エバネッセント光と相互作用し増強エバネッセント光を乱す物体として機能するため、反射率の高い物質、例えば金属等である必要は特になく、屈折率が間隙層と大きく異なる物質であれば何でも良く、被測定振動体の材質に依存することなく、その微小振動を検出できる。
したがって、被測定振動体は、金属増強エバネッセント光と相互作用し増強エバネッセント光を乱す物体として機能するため、反射率の高い物質、例えば金属等である必要は特になく、屈折率が間隙層と大きく異なる物質であれば何でも良く、被測定振動体の材質に依存することなく、その微小振動を検出できる。
被測定振動体の材質としては、金属は勿論、例えばセラミックス、ガラス、プラスチック、高分子ポリマー、色素、紙材、木材等、或いはこれらの複合材であっても良く、低反射性材料や光吸収性材料、或いは透明材料等、幅広い材質の振動体に適応できる。
また、被測定振動体の形状としては特に制限はなく、入射計測光の照射面に対向する被測定振動体の振動検出面は、特に平面である必要はなく、曲率を持った曲面形状、例えば角状や針状等であっても良い。
さらに、被測定振動体の振動検出面は、表面粗さや汚れなどが存在しても良く、どのような状態でも振動検出の対象とすることができる。
次に、図面に基づいて本発明を実施例によりさらに説明するが、以下の具体例は本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の微小振動計の実施例における断面図である。1は金属薄膜である例えば厚さ約50nmの銀薄膜で、2は透明誘電体である例えばBK7ガラスの一辺15mmの45度直角三角形プリズム、3はレーザ光の光源例えば波長532nmでビーム径約1mm の半導体レーザ、4は光結合器からの反射光を検出する光検出器で例えばシリコンのpn接合形フォトダイオード、5は被測定振動体である例えば光吸収性色素膜を表面コートされた直径約1.8mmの、圧電振動素子の駆動によって微小振動するステンレス製ロッドであり、6は金属薄膜1と被測定振動体5との間隙層である例えば空気層である。
BK7ガラスの45度直角三角形プリズム2は、光源3からの入射計測光を所要の入射角度で銀薄膜1へ導く透明誘電体として機能し、入射計測光が銀薄膜1の空気間隙層6側の界面上に金属界面光学モードを発生させ、その金属増強エバネッセント光を発生させる役割をはたす。すなわち、銀薄膜1を密着形成した透明誘電体のプリズム2が光結合器を構成する。BK7ガラスは可視光領域で約1.52の屈折率を持ち、空気との内部全反射臨界角は約41.2度であり、金属界面光学モードを発生させるために、この入射角度以上で入射計測光を銀薄膜1へ入射させる。
銀薄膜1の厚さは、前項の厚さより半分程度薄い場合、或いは2倍程度厚い場合でも金属界面光学モードの発生が難しくなる。
ステンレス製ロッド5は、それに取り付けられた圧電振動素子を駆動することによって微小振動し、被測定振動体としての役割をはたす。
被測定振動体5の振動検出面であるロッド先端の平坦面部分は、光吸収性色素である例えば銅フタロシアニン色素が厚さ約1.5μmで真空蒸着法により表面コートされ、その平坦面部分では、可視光、特に緑色から赤色の光が照射された場合に光がその色素層に吸収され、光反射は極めて小さくなっている。したがって、この振動体5は、光吸収性媒体の被測定振動体として機能する。
金属薄膜1の界面上に発生した金属界面光学モードの増強エバネッセント光が、被測定振動体5の影響を受ける位置に被測定振動体5を配置し、垂直方向における被測定振動体5の微小振動によって金属薄膜1と被測定振動体5との距離が変化するために、金属界面光学モードを発生させた入射計測光の反射光が変化し、この反射検出光が被測定振動体の微小振動に敏感に応答する。
例えば入射計測光としてTM(p)偏光のレーザ光を、銀薄膜1の空気間隙層6側の界面上に金属界面光学モードが発生する入射角度で光結合器を通じて入射させ、発生した金属増強エバネッセント光を被測定振動体5に照射して、圧電振動素子を駆動して被測定振動体5を金属薄膜1に対し垂直方向に微小振動させたときの、光結合器からの反射検出光を光検出器4で測定した一結果例を図2に示す。
この図2は、被測定振動体5が振動振幅600nm、周波数500Hzで垂直方向に周期振動したときの、反射検出光の強度の時間変化である。測定された反射検出光は、500Hzの周波数で周期的に強度変化している。
この場合、被測定振動体5の振動振幅を小さくすると、反射検出光の強度低下が見られ、被測定振動体の振動振幅に応じて反射検出光の強度が変化した。このように本実施例において、被測定振動体5の微小振動に応答する反射光が得られた。
ここで、入射計測光の偏光をTE(s)偏光とした場合、図2のような被測定振動体5の微小振動に応じて変化する反射検出光は観測されず、TE(s)偏光の入射計測光は、金属薄膜1の界面上に金属界面光学モードを発生させることが困難である。
また、被測定振動体5は、金属薄膜1の表面から入射計測光波長の約2倍程度離れた位置において、銀薄膜1に対し垂直方向に微小振動させており、金属薄膜1と被測定振動体5間の距離が入射計測光波長の約5倍程度以上になると、金属界面光学モードの増強エバネッセント光が極めて小さくなり、被測定振動体5の微小振動に応答した反射光を得ることが困難となる。
したがって、間隙層が空気層である場合、被測定振動体の微小振動を検出するためには、金属薄膜の空気側界面から被測定振動体までの振動の平均距離位置を入射計測光波長の約1〜3倍程度に設定することが好ましい。検出できる微小振動の最大振幅は、設定したその平均距離位置に依存し、被測定振動体がその微小振動により光結合器に直接衝突しない範囲で、被測定振動体に対し光結合器を配置する。
実施例の図2では、被測定振動体5が500Hzの周期的な微小振動をして、その微小振動を検出しているが、どのような振動周波数帯域であっても、これと時間的に応答できる光検出器を用いることによって、その微小振動を光結合器からの反射光の変化として計測することが可能である。100kHz以上の高周波数帯域における微小振動検出には、例えば高速応答できるPINフォトダイオードやアバランシェフォトダイオード(APD)を使用する。
また、ここでは入射計測光波長よりもやや大きい振幅600nmで被測定振動体5を微小振動させ、その振動検出を行っているが、入射計測光として安定動作するレーザ光源を使用し、反射光の検出感度を向上させることによって、入射計測光の波長以下の振幅を持つ微小振動も検出できる。
入射計測光の光源には、ここでは小型の半導体レーザを使用したが、ガスレーザや光学レンズを利用した指向性を有する小型の発光ダイオード(LED)なども使用できる。
さらに、この場合、図1に示す入射角度θが約41.2度の内部全反射臨界角以上である約43度〜約45度付近で、銀薄膜上に金属界面光学モードが発生でき、この入射角範囲になるようにレーザ光を入射させている。
本発明は、超精密モータ等の高速回転体、高速振動体や振動素子、さらにMEMS(マイクロマシン)等の振動計測において、振動体の微小振動を広帯域で高感度に検出する方法を提供し、小型で低コスト化が要求されるような広帯域の高感度微小振動計として利用できる。
1 金属薄膜
2 誘電体
3 光源
4 光検出器
5 被測定振動体
6 間隙層
2 誘電体
3 光源
4 光検出器
5 被測定振動体
6 間隙層
Claims (6)
- 金属薄膜を密着形成した透明誘電体からなる光結合器、この金属薄膜上に適宜の間隙層を介して被測定振動体を配置し、入射計測光を前記透明誘電体より所要の角度で前記金属薄膜に入射して前記金属薄膜の前記間隙層側界面に金属界面光学モードを発生させ、この金属界面光学モードの増強エバネッセント光を前記被測定振動体へ照射して、前記光結合器からの反射検出光を光検出器で計測することによって、前記被測定振動体の微小振動を検出することを特徴とする微小振動の検出方法。
- 金属薄膜を密着形成した透明誘電体からなる光結合器、この金属薄膜上に適宜の間隙層を介して被測定振動体を配置した構成とし、入射計測光を前記透明誘電体より所要の角度で前記金属薄膜に入射して前記金属薄膜の前記間隙層側界面に金属界面光学モードを発生させ、この金属界面光学モードの増強エバネッセント光を前記被測定振動体へ照射して、前記光結合器からの反射検出光を光検出器で計測することによって、前記被測定振動体の微小振動を検出するように構成したことを特徴とする微小振動計。
- 前記被測定振動体の前記微小振動が、前記金属薄膜に対し垂直方向の振動であって、前記被測定振動体の前記垂直方向の微小振動を検出することを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の微小振動の検出方法又は微小振動計。
- 前記入射計測光が、TM(p)偏光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微小振動の検出方法又は微小振動計。
- 前記間隙層は空気層とし、前記金属薄膜と前記被測定振動体間の距離を前記入射計測光波長の約1〜3倍程度に設定し、前記被測定振動体の前記微小振動に応答した前記反射検出光が得られるように前記被測定振動体に対して前記光結合器を配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微小振動の検出方法又は微小振動計。
- 前記金属薄膜は銀薄膜であり、それを密着形成させる前記透明誘電体はガラスプリズムであり、前記入射計測光は半導体レーザ光であり、前記反射検出光を計測する前記光検出器はフォトダイオードであることを特徴とする請求頃5に記載の微小振動の検出方法又は微小振動計。
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JP (1) | JP2008070278A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114894292A (zh) * | 2022-04-28 | 2022-08-12 | 南京航空航天大学 | 微小物体微振动测量系统及方法 |
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JPH11332838A (ja) * | 1998-05-29 | 1999-12-07 | Matsushita Electric Works Ltd | 心拍センサ並びにこれを設けた人体検知センサ及び人体異常検知センサ |
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-
2006
- 2006-09-15 JP JP2006250254A patent/JP2008070278A/ja active Pending
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