JP2008069910A - 伝動用平ベルト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数のプーリに掛け渡されて摩擦伝動に用いられるべく無端ベルト形状に形成され、内面側と背面側の少なくとも一方がカバーゴム層により形成され且つ表面が平坦に形成されており、該平坦な面が前記摩擦伝動に用いられる伝動用平ベルトであって、前記平坦な面には、ベルト周方向に沿って延在する切り込みが形成されており、しかも、前記切り込みが、前記平坦な面の表面から前記カバーゴム層に対して切り込まれた状態に形成されていることを特徴とする伝動用平ベルトを提供する。
【選択図】 図1
Description
また、通常、伝動用平ベルトは、ゴム材料により形成されているため運転時には動的発熱が生じている。
さらに、このような伝動用平ベルトは、例えば、特許文献1にも記載されているようにエンジンなどの近辺で用いられたりもしており、一般には高温環境下で用いられている。
例えば、下記特許文献1においては、プーリに対する伝動用平ベルトの位置関係が調整されることにより伝動用平ベルトの偏摩耗などが防止されてベルト寿命を長期化させることが記載されている。
また、この反りによってプーリとの接触個所に偏りが生じており、例えば、伝動面を内側とするようなベルト幅方向の反りが形成された場合には、ベルト幅方向両端部が中央部よりも強くプーリに当接されて、その結果、伝動用平ベルトにスリップが発生されやすくなること、ならびに、上記カバーゴム層を所定構造としておくことでこの反りを抑制させ得ることを見出し本発明の完成に到ったのである。
また、反りが生じたとしても、この切り込みが形成されていることにより、例えば、ベルトにかかる張力を僅かに増大させるなどして、容易にこの反りを矯正させた状態で伝動面の幅方向全域をプーリに当接させ得る。
すなわち、伝動用平ベルトに偏摩耗が生じることを抑制させることができ、ベルト寿命を長期化させ得る。
図1に示すように、伝動用平ベルト10は、ベルトの長手方向に沿って心線11が複数埋設された接着ゴム層12がベルト厚み方向中央部に形成されている。また 図1に示すように、この接着ゴム層12の外面側には、中間ゴム層14aを介してゴムコート帆布層14bが形成されており、接着ゴム層12の内面側には接着ゴム層12に沿って接着された内カバーゴム層13が形成され、これらが層状に積層されて伝動用平ベルト10が構成されている。
そして、この内周面には、表面から心線11に至る深さの約半分となる深さの切り込みCがベルト周方向に沿って連続して設けられている。
図2は、伝動用平ベルト10を切り込みCが形成されている内面側からの正面視を示す平面図である。
この図2にも示されているように、ベルト周方向に沿って形成された切り込みCは、周方向に連続した状態に形成されており、個々の切り込みCは、伝動用平ベルト10の内周面を周回して元の位置に戻ってくるように連続した周状に形成されている。
また、本実施形態の伝動用平ベルト10には、この周状の切り込みCがベルト幅方向に切り込み深さ(D1)の3〜6倍の間隔となるピッチ(P)で複数条形成されている。
なお、伝動用平ベルト10のベルト幅方向に反りが発生されることを抑制させ、しかも、反りが生じたとしても、よりいっそう反りの矯正を容易にさせ得る点において、この切り込みの深さ(D1)は、内カバーゴム層13の厚み(D0)の1/4以上の深さであることが好ましく、1/2以上の深さであることがより好ましい。
また、この切り込みCを、ベルト幅方向にどの程度のピッチ(P)で形成させるかについては、特に限定されるものではないが、このピッチ(P)が小さすぎる場合には、伝動用平ベルト10自体の剛性が低下してしまうおそれがあり、ピッチが大きすぎる場合には、切り込みCの深さ(D1)をいくら大きくしても、切り込みC間において反りが発生してしまうおそれを有する。
このような点において、切り込みCを形成するピッチ(P)については、切り込みCの深さ(D1)に対して、P/D1=2.5〜25の関係を満足させる範囲から選択されることが好ましい。
そのことにより、伝動用平ベルトのベルト幅方向への反りの発生が抑制されることとなる。
心線11には、これらの繊維を単独または混紡して用いることができる。
またこの心線11は、レゾルシン・ホルマリン・ラテックス処理(以下「RFL処理」ともいう)や溶剤系接着剤による接着処理がされたものを用いることができる。
例えば、短繊維としては、ポリエステル短繊維、ポリアミド系短繊維、アラミド短繊維、セルロース短繊維などの有機高分子繊維や、炭化ケイ素、チタン酸カリウムなどの無機繊維が例示でき、これらを一種又は二種以上を混合したものを用いることができる。
なお、本発明の伝動用平ベルト10に含有される短繊維とは、繊維径が5〜40μmであり、繊維長が0.1〜10mmのものをいう。
まず、伝動用平ベルト10の製造においては、接着ゴム層12、内カバーゴム層13、及び、中間ゴム層14aを形成するための未加硫ゴムシートと、RFL処理された心線11と、ゴムコート帆布とを用いる。
例えば、表面が平滑な円筒状の成形ドラムの周面にゴムコート帆布、中間ゴム層14a用未加硫ゴムシート、接着ゴム層12用未加硫ゴムシートをそれぞれ一層あるいは複数層巻きつけたものの上に心線11をらせん状にスピニングし、さらに接着ゴム層12用の未加硫ゴムシート、内カバーゴム層13用未加硫ゴムシートを一層あるいは複数層巻きつけて未加硫状態の積層体を作製する。
なお、このとき管状体は、上記のように作製されていることから、外周面側に内カバーゴム層13が露出した状態となっている。
したがって、例えば、この管状体を駆動ロールと従動ロールとに掛け渡して周動させつつ、所定間隔に配置した複数の刃物をこの周動させた外周面に接触させることにより、ベルト周方向に沿って延在された状態に切り込みを形成させることができる。
また、この切り込みは、管状体の外周面から内カバーゴム層13に対して切り込まれた状態に形成されることとなる。
なお、そのような場合においては、切り込みを内面側、背面側のどちらに設けてもよいが、その使用時には、より劣化が生じ易い側に切り込みが設けられた側が来るようにして用いることが好ましい。
このようにプーリに掛け渡して用いる際に、その表裏を選択して用いることにより伝動用平ベルトの寿命をより長期化させ得る。
この図4a)、b)は、いずれも、伝動用平ベルト10の切り込みが形成された面からの正面視を示すものであり、図4a)においては、切り込みC’は、ベルト周方向に不連続状態で延在されている。
このような、不連続状態で切り込みC’を形成するには、例えば、上記に説明した方法においては、所定間隔に配置した複数の刃物を、周動させた管状体表面に対して連続的に接触させるのではなく、接触させたり、離したりを繰り返すことにより不連続状態の切り込みC’を形成させ得る。
なおこの角度(θ)が所定以上の値となるように伝動用平ベルトに切り込みC”を形成させると、伝動用平ベルトの運転時において騒音の発生ならびに伝導能力の低下を発生させるおそれを有する。したがって、伝動能力の低下ならびに騒音の発生を抑制させ得る点において、この角度(θ)が、通常、45度以下、好ましくは、30度以下の状態となるように伝動用平ベルトに切り込みC”を形成させることが好ましい。
この傾斜を設けて切り込みC”を形成するには、例えば、上記に説明した方法においては、単一の刃物の刃先を管状体表面に対して進入させ、しかも、管状体を周動させつつ刃物の進入個所を管状体の長さ方向に一定速度で移動させることにより、管状体の外周面にスパイラル状に切り込みを形成させ、該管状体から伝動用平ベルトを切り出すことにより傾斜を設けた切り込みCを有する伝動用平ベルトを作製し得る。
(予備成形体の製造)
外周面の周長が約1200mmの円筒状の成形ドラムの周面にゴムコート帆布を巻付け、中間ゴム層14a用未加硫ゴムシートを巻付けた後にRFL処理された心線をらせん状にスピニングし、さらに内カバーゴム層用未加硫ゴムシートを巻きつけたものを加硫一体化させ、管状の予備成形体を作製した。
なお、この予備成形体の製造に用いたゴムは、水素化ニトリルゴムのメタクリル酸亜鉛ナノコンポジット品(日本ゼオン社製「ZEON SUPER COMPOSITE」)にポリアミド短繊維が分散されたものを用いた。
また、帆布には綿・ポリエステル混紡帆布を用いた。さらに、心線には、アラミド繊維が用いられた直径0.7mmのものを用いた。
この予備成形体の外周面を周回するように深さ0.6mmの周状の切り込みを予備成形体の長さ方向に2.5mmピッチ間隔で複数設けて、この切り込みが設けられた予備成形体から20mm幅で切り出した伝動用平ベルトを実施例の伝動用平ベルトとした。
なお、この切り込みについては傾斜を設けず(θ=0度)にベルト周方向に対して平行となる方向に形成した。
また、同じ、予備成形体で切り込みが設けられていない個所から、同じく20mm幅で切り出した伝動用平ベルトを比較例の伝動用平ベルトとした。
なお、この実施例、比較例の伝動用平ベルトは、幅20mm×周長1200mm×厚み2.5mmに形成されており、実施例の伝動用平ベルトには、ベルト周方向に連続した周状の切り込みが2.5mm間隔で7条形成されている。
比較例の伝動用平ベルトには、切り込みは設けていない。
ベルト走行試験は、図5に示すように各実施例、比較例の伝動用平ベルトを4個のプーリに接するように掛け渡して実施した。
すなわち、直径200mmの駆動プーリP1と、30馬力の負荷が接続された直径150mmの従動プーリP2と、直径75mmの無負荷のプーリ2個P3,P4とを用い、実施例の伝動用平ベルトを、切り込みが形成された側が駆動プーリP1と従動プーリP2とに接し、ゴムコート帆布層の形成されている側が無負荷のプーリ2個P3,P4に接するように掛け渡し、しかも、従動プーリP2に対して図中矢印方向に力を加えてこの伝動用平ベルトに40kgfの張力が生じるように調整しつつ駆動プーリP1を2000rpmの回転数で回転させてベルト走行試験を実施した。
比較例の伝動用平ベルトにあっては、実施例の伝動用平ベルトの切り込み形成側に相当する側を駆動プーリP1と従動プーリP2とに接し、ゴムコート帆布層の形成されている側が無負荷のプーリ2個P3,P4に接するように掛け渡して同様に走行させた。
このベルト走行試験を75±3℃の雰囲気下において実施したところ、比較例の伝動用平ベルトは、110時間経過時点において大きなスリップが発生して、実質、伝動できない状態になったが、実施例の伝動用平ベルトにおいては、400時間経過時点においてもなお正常に運転されていた。
Claims (3)
- 複数のプーリに掛け渡されて摩擦伝動に用いられるべく無端ベルト形状に形成され、内面側と背面側の少なくとも一方がカバーゴム層により形成され且つ表面が平坦に形成されており、該平坦な面が前記摩擦伝動に用いられる伝動用平ベルトであって、
前記平坦な面には、ベルト周方向に沿って延在する切り込みが形成されており、しかも、前記切り込みが、前記平坦な面の表面から前記カバーゴム層に対して切り込まれた状態に形成されていることを特徴とする伝動用平ベルト。 - 前記カバーゴム層の厚みをD0とし、前記カバーゴム層に形成された切り込みの深さをD1としたときに、(D0>D1≧D0/2)となるように前記切り込みが形成されている請求項1記載の伝動用平ベルト。
- 前記切り込みが、ベルト幅方向に間隔を隔ててカバーゴム層に複数形成されており、前記カバーゴム層に形成された切り込みの深さをD1とし、前記間隔をPとしたときに、P/D1=2.5〜25となるような間隔で複数の切り込みが前記カバーゴム層に形成されている請求項2記載の伝動用平ベルト。
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