JP2008069797A - オイルシール - Google Patents

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岳洋 中川
Hiroki Matsui
宏樹 松井
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Abstract

【課題】熱膨張の大きい例えばアルミニウムで成形されているハウジングに装着された場合や二つ割りハウジングに装着された場合に、嵌合代を大きく設定することなく密封性を確保することができるオイルシールを提供する。
【解決手段】相対可動自在に同心で組付けられた軸12とハウジング11との環状の隙間をシールするもので、軸12に摺動自在に密接するシール部5が金属環2に接着し、ハウジング11に金属環2の円筒部21が嵌合するオイルシール1において、金属環2に円筒部21から外周方向に延出する貫通孔26を有するフランジ部22を形設すると共に、フランジ部22に接着しハウジング11に密接する固定密封部42に突起43を形設した。
【選択図】図1

Description

本発明は、相対可動自在に同心で組付けられた二部材間の環状の隙間をシールするオイルシールに関する。
従来この種のオイルシールとして、例えば図4に示すオイルシールが知られている。このオイルシール101は、円筒部102aと円筒部102aの外部側(大気側)B端部から内周方向に延出するフランジ部102bからなる断面略L字状の金属環102と、金属環102を被覆するように加硫接着しているゴム状弾性体からなるシール本体部103とを備えている。シール本体部103は、金属環102を被覆するように形成されている固定密封部104と、固定密封部104と一体に成形されているシール部105とからなる。固定密封部104は、円筒部102aの外周側に接着する外周側固定密封部104aとフランジ部102bの外部側に接着する外部側B固定密封部104bが一体で成形されている。シール部105は、金属環102のフランジ部102bの内周端部に接着し内部側(密封流体側)Aに延びるオイルシールリップ106と、オイルシールリップ106より外部側Bに位置するダストシールリップ107とからなり、オイルシールリップ106のリップエッジ106aの反対側である外周側には、ガータスプリング108を装着するための凹部106bが形設されている。
このように構成されたオイルシール101は、金属環102の外周側に位置するハウジング121と、金属環102の内周側であってハウジング121と同心の軸120とで形成される環状空間122に装着され、ハウジング121に対しては、金属環102の円筒部102aの嵌合により円筒部102aの外周側に接着している外周側固定密封部104aが密接し、軸120に対しては、オイルシールリップ106が摺動自在に密接する。そして、オイルシールリップ106のリップエッジ106aの反対側に形成されている凹部106bに装着されたガータスプリング108が、軸120の径方向の変動に対してオイルシールリップ106を追随させるように緊迫力を付与している。
これにより、内部側Aに封入されているオイルやグリース等の密封対象が外部側Bに漏れ出さないように、また外部側Bのダスト等の異物が内部側Aに侵入しないように、軸120に対してはオイルシールリップ106とダストシールリップ107によりシールされ、ハウジング121に対しては、金属環102の円筒部102a及び外周側固定密封部104aの嵌合代により円筒部102aの外周側に接着している外周側固定密封部104aに適正な圧縮率を確保させ密封性を維持している。
しかし、上記オイルシール101をアルミニウムで成形されているハウジング121に装着した場合、ハウジング121と、固定密封部104及び金属環102との熱膨張差により高温時に嵌合代が低下し、外周側固定密封部104aに適正な圧縮率を維持させることができずに密封性を確保することができない虞があるので、金属環102及び固定密封部104の嵌合代の低下を見込み初期・常温状態で嵌合代を大きく取っておく必要があった。特に、外径φ120以上の大径ハウジング121に装着するとき熱膨張差が拡大するので、より大きく嵌合代を取っておく必要があった。また、ハウジング121でも二つ割に装着される場合、二つ割りは一体型に比較してバラツキが大きく割り位置で、図5に示すような溝や段差121aが発生するので、溝や段差121aの寸法を見込んで嵌合代を大きく取っておく必要があったが、嵌合代を大きく設定すると、外周側固定密封部104aにゴムのムシレが発生したり、またオイルシールリップ106の浮き上りや傾斜嵌合等が発生したりする虞があり、組付け性に問題が生じる懸念があった。
そこで、シールリップの浮き上りや傾斜嵌合が発生する虞に対し、シール幅(嵌合幅)を大きくする方法が検討されたが、シールスペースが拡大するため、省スペースの要求、特にシール外径φ120以上の場合で幅10mm程度の省スペースの要求に対応できなかった。
また内外径差の大きいシール(例えば内外径差φ25以上の場合)で内圧が生じる場合、オイルシールの圧力を受ける面積が大きくなりシール抜けの懸念が生じるため、シール幅を大きくする、若しくは嵌合代を大きく設定するなどの対策が必要となるが、その対策では上記と同様に、固定密封部の外周部にゴムのムシレが発生し、またシールリップの浮き上りや傾斜嵌合等が発生する虞があり、組付け性に問題が生じる懸念があった。
なお、下記の文献には、ハウジングの熱膨張により密封装置の締め代が減少した場合に、ハウジングとの密封性を確保するための静止リップを設けることが提案されているが、本発明と構成を異にしている。
特開2006−46549公報
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、熱膨張の大きい例えばアルミニウムで成形されているハウジングに装着された場合や二つ割りハウジングに装着された場合に、嵌合代を大きく設定することなく密封性を確保することができるオイルシールを提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係るオイルシールは、相対可動自在に同心で組付けられた二部材間の環状の隙間をシールするもので、一の部材に摺動自在に密接するシール部が金属環に接着し、他の部材に前記金属環の円筒部が嵌合するオイルシールにおいて、前記金属環に円筒部から外周方向に延出する貫通孔を有するフランジ部を形設すると共に、前記フランジ部に接着し前記他の部材に密接する固定密封部に突起を形設したことを特徴とするものである。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち、上記構成を備えた本発明のオイルシールにおいては、金属環に円筒部から外周方向に延出する貫通孔を有するフランジ部が形設されているので、フランジ部に形成されている貫通孔にボルトを挿通して金属環を他の部材に固定することができ、しかもフランジ部に接着している固定密封部には突起が形設されているので、固定密封部を介してフランジ部を他の部材に固定したときの密封性を確保することができ、したがって、熱膨張の大きな材質のハウジング、特に大径のハウジングにオイルシールを装着させる場合や、二つ割ハウジングに装着させる場合等であっても密封性を確保することができる。
また、オイルシールを他の部材に装着するときに、金属環の円筒部を嵌合させると共に、フランジ部に形成されている貫通孔にボルトを挿通して固定することで密封性を確保するので、嵌合代を大きくし、若しくはシール幅を広くする等の対策が不要となり、金属環の円筒部の外周側に接着している固定密封部の外周部に発生するゴムのムシレ、装着時の傾斜嵌合やシールリップの浮上りを防止することができ、また省スペースにも対応することができる。更に、内外径差が大きく内圧が生じる場合であっても、金属環がボルトで固定されているので、オイルシールの抜けを防止することができる。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示して説明する。ただし、この発明の範囲は、特に限定的記載がない限りは、この実施の形態に記載されている内容に限定する趣旨のものではない。
実施形態1:
図1は、本発明の実施形態1に係るオイルシールの要部断面図であり、図2は、図1のオイルシールを装着した状態を示す説明図である。
このオイルシール1は、図1に示す通り、金属環2と、シール本体部3と、ガータスプリング6とを備えている。
金属環2は、板金等をプレス加工することにより成形されており、後述する固定密封部4を介してハウジング(他の部材に相当)の内周に嵌合する円筒部21と、円筒部21の外部側(大気側)Bの端部から外周方向に延出する外周フランジ部22と、円筒部21の内部側(密封流体側)Aの端部から内周方向に延出する内周第一フランジ部23と、内周第一フランジ部23の内周端部から内周方向外部側Bに斜行して延出する斜行部24と、斜行部24の内周端部から内周方向に延出する内周第二フランジ部25とからなり、外周フランジ部22には、ハウジングに固定するためのボルト挿通用の貫通孔26が形成されている。
シール本体部3は、ゴム状弾性体により成形されており、金属環2の外周側に接着しハウジングに密接する固定密封部4と、金属環2の内周側に接着し軸(一の部材に相当)と摺動自在に密接するシール部5とが別体で成形されている。固定密封部4は、金属環2の円筒部21の外周面に接着しハウジング11の内周面11aに密接する外周固定密封部41と、外周フランジ部22の内部側A側面に接着しハウジング11の外部側B端面11bに密接する内部側固定密封部42とが一体に成形されている。内部側固定密封部42には、ハウジング11と接する内部側A側面42aに軸方向と直角に交わる方向(図1における前後方向)に延びる突起43が複数形設されており、また外周フランジ部22に形成されている貫通孔26と連通する貫通孔26aが形成されている。
シール部5は、金属環2の内周第二フランジ部25の内周端部に接着し内部側Aに延びるオイルシールリップ51と、オイルシールリップ51より外部側Bに位置するダストシールリップ52とからなり、オイルシールリップ51のリップエッジ51aの外周側には、径方向の変動に対してオイルシールリップ51が追随できるように緊迫力を与えるガータスプリング6を装着するための凹部51bが形成されている。また、オイルシールリップ51の摺動面である外部側A傾斜面51cには、内部側Aから漏洩したオイルを恰もポンプ機能により押し戻すように作用するリップエッジラインと所定の角度を有して交差するリブ51dが周方向に複数本形設されている。
このように構成されたオイルシール1は、図2に示すように、金属環2の外周側に位置するハウジング11と、金属環2の内周側であってハウジング11と同心であり互に相対可動する軸12との間に装着され、軸12に対しては、シール部5のオイルシールリップ51及びダストシールリップ52が摺動自在に密接してシールするので、軸12の周面に伝わって外部側Bに漏れ出ようとする油等の密封流体、及び外部側Bから内部側Aに侵入しようとするダスト等がシールされる。
また、ハウジング11に対しては、金属環2の円筒部21を嵌合させることで円筒部21の外周側に接着している外周固定密封部41がハウジング11の内周面11aに密接してシールする。更に、外周フランジ部22に形成されている貫通孔26にボルト13を挿通して外周フランジ部22を固定することで外周フランジ部22に接着している内部側固定密封部42がハウジング11の外部側B端面11bに密接してシールする。この場合に、内部側固定密封部42の内部側A側面42aには突起43が形設されているので、高温で固定密封部4が熱膨張しても密封性を確保することが可能となる。
したがって、オイルシール1をハウジング11に装着するときに、外周フランジ部22に接着している内部側固定密封部42がハウジング11に密接するので、嵌合代が不足した場合であっても密封性を確保することができ、熱膨張の大きな材質のハウジング11、段差を有するハウジング11等に装着することが可能となる。また、外周フランジ部22がハウジング11にボルトで固定されているので、内圧によるシール抜けを防止することが可能となる。
実施形態2:
図3は、本発明の実施形態2に係るオイルシールの要部断面図を示しており、実施形態1のオイルシール1に対して固定密封部4の形状を変更したものである。すなわち、金属環2の円筒部21の外周側に外周固定密封部が接着していない場合で、その他は実施形態1と同様である。なお、図3において、図1に示す構成と同様な構成については、同一の符号を付している。
したがって、本実施形態2の場合であっても、実施形態1の場合と同様に、外周フランジ部22がボルトでハウジングに固定され、外周フランジ部に接着している内部側固定密封部42がハウジング11の外部側B端面11bと密接して密封性を確保しているので、実施形態1と同様の作用効果を奏することが可能となる。
本発明の実施形態1に係るオイルシールの要部断面図 図1に係るオイルシールの装着状態の説明図 本発明の実施形態2に係るオイルシールの要部断面図 従来例のオイルシールの要部断面図 図4のX方向から見た二つ割ハウジングの段差状態の説明図
符号の説明
1 オイルシール
11 ハウジング(他の部材)
12 軸(一の部材)
13 ボルト
2 金属環
21 円筒部
22,23,25 フランジ部
24 斜行部
26 貫通孔
3 シール本体部
4,41,42 固定密封部
43 突起
5 シール部
51,52 シールリップ
6 ガータスプリング
A 内部側(密封対象側)
B 外部側(大気側)

Claims (1)

  1. 相対可動自在に同心で組付けられた二部材間の環状の隙間をシールするもので、一の部材に摺動自在に密接するシール部が金属環に接着し、他の部材に前記金属環の円筒部が嵌合するオイルシールにおいて、
    前記金属環に円筒部から外周方向に延出する貫通孔を有するフランジ部を形設すると共に、前記フランジ部に接着し前記他の部材に密接する固定密封部に突起を形設したことを特徴とするオイルシール。
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