JP2008069725A - カムシャフト支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】カムシャフトの支持構造における固体潤滑剤の配置位置について、適正化を図る。
【解決手段】軸方向の一端部で駆動され、軸方向に沿って複数のジャーナル部14が設けられたカムシャフト2、3の各ジャーナル部14を、エンジン本体側に設けられた複数の軸受部50により各々回転可能に支持するカムシャフト支持構造において、軸方向の一端側に位置するジャーナル部14又はこれに対応する軸受部50の摺動面に固体潤滑剤を設ける。面圧が大きく潤滑油が不足しがちな部位に固体潤滑剤を配置するので、その配置位置を適正化できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンにおいてカムシャフトを支持するカムシャフト支持構造に関し、特にカムシャフトと軸受部との少なくとも一方に固体潤滑剤を設けたカムシャフト支持構造に関する。
一般に、エンジンにおけるクランクシャフトやカムシャフト等の軸がシリンダブロックやシリンダヘッド等の軸受部に支持されながら回転するとき、軸と軸受部との間の摺動部で磨耗が起きないように、そこに潤滑油や固体潤滑剤が配置されて潤滑状態とされる。
摺動部に関して一方では、振動を抑えるために軸と軸受部との隙間を狭めることへの要求がある。他方、軸と軸受部との隙間を小さくし過ぎると潤滑切れを起こし易くなり、それらの間で磨耗が発生するという問題がある。
軸と軸受部との間における磨耗の発生に対しては、カムシャフトと軸受との間の摺動部で、それらが摺動する部位を固体潤滑剤によって被覆する手法が開示されている。特許文献1では、カムシャフトにおける軸受によって支持される部分が硬質炭素膜によって被覆され、硬質炭素被膜には、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いることが記載されている。これにより、摺動部位での耐磨耗性が向上し、耐久性が向上すると記載されている。
特開2005−54617号公報
しかしながら、特許文献1には、ダイヤモンドライクカーボンといった硬質炭素被膜をカムシャフトと軸受との間の摺動部に用いると記載されているが、それ以上については記載されていない。つまり、固体潤滑剤をどの位置にどのように設ければ良いのかという点については言及されておらず、この点について課題が依然として残されている。
そこで、本発明はかかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、カムシャフトの支持構造における固体潤滑剤の配置位置について、適正化を図ることにある。
上記課題を解決するため、第1の発明は、軸方向の一端部で駆動され、軸方向に沿って複数のジャーナル部が設けられたカムシャフトの各ジャーナル部を、エンジン本体側に設けられた複数の軸受部により各々回転可能に支持して、軸方向に複数の支持部を設けたカムシャフト支持構造において、軸方向の一端側に位置する支持部に固体潤滑剤を設け、その軸方向一端側に位置する支持部以外の他の支持部の少なくとも一つには固体潤滑剤を設けないことを特徴とする。
この第1の発明によれば、カムシャフトが軸方向の一端部で駆動されることで軸方向の一端側に位置する支持部に大きな面圧がかかることになるが、この支持部に固体潤滑剤が設けられるので、大きな面圧により潤滑油が押し退けられて油膜の厚さが薄くなり、潤滑油が不足するような状況になったとしても、固体潤滑剤によって潤滑状態が保たれることになる。また、軸方向一端側に位置する支持部以外の他の支持部の少なくとも一つには固体潤滑剤を設けないこととした。よって、必要な部位に固体潤滑剤を配置し、その配置位置について適正化を図ることができる。
なお、一つの支持部は、互いに対となって組み合わされる一つずつのジャーナル部及び軸受部によって構成される。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記カムシャフトが、軸方向の最も一端側に位置された軸受部よりも一端側に突出された部位で駆動され、前記固体潤滑剤が、軸方向の最も一端側に位置する支持部に設けられることを特徴とする。
この第2の発明によれば、カムシャフトが軸方向の最も一端側に位置された軸受部よりも一端側に突出された部位で駆動されるので、軸方向の最も一端側に位置する支持部に最大の面圧がかかることになる。しかしながら、その最も大きな面圧がかかる支持部に固体潤滑剤が設けられるので、その最大面圧となる部位の潤滑状態を好適に保つことができる。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記固体潤滑剤が、軸方向の一端側に位置する支持部のうち、軸方向一端側の部位に設けられることを特徴とする。
この第3の発明によれば、軸方向の一端側に位置する支持部のうち、軸方向一端側の部位に固体潤滑剤が設けられるので、一つの支持部の中で固体潤滑剤が特に必要な部位に対してのみに固体潤滑剤を設けることができ、さらなる適正化を図ることができる。
また、第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明において、
軸方向の一端側に位置する支持部において、ジャーナル部と軸受部との間の隙間の軸方向両端部に、当該隙間に潤滑油を保持するためのシールリングが設けられることを特徴とする。
この第4の発明によれば、ジャーナル部と軸受部との間の隙間の軸方向両端部をシールリングによって封止するので、カムシャフトが回転駆動される際やエンジンが停止した際に、その隙間から潤滑油が軸方向に流出する流出量を少なくし、潤滑油による潤滑状態を好適に保つことができる。
また、第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、
前記固体潤滑剤が、前記他の支持部のうち、軸方向の他端側に位置する支持部に設けられることを特徴とする。
この第5の発明によれば、例えばカムシャフトが軸方向の他端部で他の部材を駆動することにより、軸方向他端側の支持部において大きな面圧が発生し、潤滑油が不足することになったとしても、固体潤滑剤により潤滑状態を保つことができる。
また、第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、
前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記ジャーナル部の摺動面に設けられることを特徴とする。
また、第7の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、
前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記軸受部の摺動面に設けられることを特徴とする。
また、第8の発明は、第1から第5のいずれかの発明において、
前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記軸受部の摺動面に設けられ、且つ、その摺動面のうち、最大面圧となる角度位置を中心に所定の角度範囲に亘って設けられることを特徴とする。
この第8の発明によれば、特に固体潤滑剤を設ける角度範囲について適正化を図ることができる。
また、第9の発明は、第8の発明において、
前記所定の角度範囲が略90°であることを特徴とする。
また、第10の発明は、第1から第9のいずれかの発明において、
前記固体潤滑剤が設けられない前記他の支持部が、軸方向中間部に位置する支持部であることを特徴とする。
この第10の発明によれば、軸方向中間部に位置する比較的大きな面圧がかからない支持部に固体潤滑剤が設けられないこととなる。このような支持部では、潤滑油が不足する状況が起こり難いと考えられるので、固体潤滑剤を配置する必要性はそれほど無い。むしろ、そのような支持部の摺動面を鏡面に仕上げ、摩擦抵抗を低減させた上で、潤滑油による流体潤滑を行う方が好ましい。なぜなら固体潤滑剤を設けると、鏡面仕上げと比較して表面粗さがより粗くなり、摩擦抵抗の増大につながってしまうからである。このように、固体潤滑剤がむしろ不要と考えられる場合にはそれを設けないこととすることによって、固体潤滑剤の配置位置について適正化を図ることができる。
また、第11の発明は、軸方向の一端部で駆動され、軸方向に沿って複数のジャーナル部が設けられたカムシャフトの各ジャーナル部を、エンジン本体側に設けられた複数の軸受部により各々回転可能に支持して、軸方向に複数の支持部を設けたカムシャフト支持構造において、軸方向の他端側に位置する支持部に固体潤滑剤を設け、その軸方向の他端側に位置する支持部以外の他の支持部の少なくとも一つには固体潤滑剤を設けないことを特徴とする。
この第11の発明によれば、軸方向の他端側に位置する支持部で潤滑油不足が発生しても、固体潤滑剤により潤滑状態を保つことができる。また、軸方向の他端側に位置する支持部以外の他の支持部の少なくとも一つには固体潤滑剤を設けないこととした。よって、必要な部位に固体潤滑剤を配置し、その配置位置について適正化を図ることができる。
また、第12の発明は、第11の発明において、
前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記ジャーナル部の摺動面に設けられることを特徴とする。
また、第13の発明は、第11の発明において、
前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記軸受部の摺動面に設けられることを特徴とする。
また、第14の発明は、第1から第13のいずれかの発明において、
前記固体潤滑剤がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする。
本発明によれば、潤滑切れを起こし易い部位に固体潤滑剤を設けるので、カムシャフトの支持構造における固体潤滑剤の配置位置について、適正化を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1から図7を用いて、本発明の第一実施形態を説明する。本実施形態において、エンジンは車両用であり、特にDOHCタイプの直列4気筒自動車用エンジンとして構成されている。
図1は、第一実施形態に係るエンジンのカムシャフト駆動機構を示し、このカムシャフト駆動機構は、クランクシャフト1と、動弁機構の一部である吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3とを備える。カムシャフト駆動機構においては、タイミングチェーン4によって、クランクシャフト1、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3が連結されている。
駆動側回転軸であるクランクシャフト1の一端部には、駆動部材としてのクランクスプロケット5が取り付けられている。吸気カムシャフト2の一端部には、被駆動部材としての吸気カムスプロケット6が設けられている。吸気カムシャフト3の一端部には、回転位相差可変アクチュエータ(可変バルブタイミング機構)7が取り付けられており、吸気カムスプロケット6は回転位相差可変アクチュエータ7に取り付けられている。また、排気カムシャフト3の一端部には被駆動部材としての排気カムスプロケット8が取り付けられている。タイミングチェーン4は、クランクスプロケット5、吸気カムスプロケット6及び排気カムスプロケット8に巻き掛けられている。
吸気カムシャフト2には、吸気バルブ9を駆動するための吸気カム10が設けられ、排気カムシャフト3には、排気バルブ11を駆動するための排気カム12が設けられている。吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3は、一つの気筒に対してそれぞれ二つの吸気カム10及び排気カム12を有しており、それぞれ計八つずつの吸気カム10及び排気カム12を有している。そして、吸気カムシャフト2が回転すると吸気カム10により吸気バルブ9が開閉駆動され、また、排気カムシャフト3が回転すると排気カム12により排気バルブ11が開閉駆動されるようになっている。
タイミングチェーン4は、テンショナ13によって適度なテンションが与えられるとともに、その走行軌道上に設けられたチェーンガイド19によって、タイミングチェーン4の走行軌道が規制され、クランクスプロケット5、吸気カムスプロケット6、排気カムスプロケット8からのタイミングチェーン4の外れが防止されている。
吸気カムシャフト2の平面図を図2に示す。各気筒の二つの吸気カム10の間には、吸気カムシャフト2が支持される部分であるジャーナル部14が形成されている。これらジャーナル部14を、軸方向の一端側(図中左側)から他端側(図中右側)に向かって順に第一のジャーナル部14a、第二のジャーナル部14b、第三のジャーナル部14c、第四のジャーナル部14d、第五のジャーナル部14eとする。そして、図14に示すように、これらのジャーナル部14に対応する軸受部50を軸方向の一端側(図中左側)から他端側(図中右側)に向かって順に第一の軸受部50a、第二の軸受部50b、第三の軸受部50c、第四の軸受部50d、第五の軸受部50eとする。なお、一組のジャーナル部14及び軸受部50で支持部40が構成され、本実施形態では軸方向の一端側(図中左側)から他端側(図中右側)に向かって順に第一の支持部40a、第二の支持部40b、第三の支持部40c、第四の支持部40d、第五の支持部40eが設けられる。このように、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3は複数のジャーナル部14を有しており、これらの各ジャーナル部14はエンジン本体側に設けられた複数の軸受部50により各々回転可能に支持され、複数の支持部40が設けられている。
本実施形態では、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3のための軸受部50は、同一気筒内で隣接する二つの吸気カム10の間及び同一気筒内で隣接する二つの排気カム12の間に配置されている。そして、同一気筒内で隣接する吸気カム10の間及び同気筒内で隣接する排気カム12の間で、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3を支持している。
軸受部50は、エンジン本体の一部であるシリンダヘッド16の上面部に突出して設けられた下部軸受部23と、上部軸受部としてのカムキャップ17とからなる。吸気カムシャフト2がエンジンに実装される際には、吸気カムシャフト2のジャーナル部14が下部軸受部23とカムキャップ17により上下から挟まれ、カムキャップ17が下部軸受部23にボルト18によって固定されることで、軸受部50に対して相対回転可能に支持されている。吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3は、軸方向の一端部で駆動される。そして、特に本実施形態では、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3は、軸方向の最も一端側に位置された第一の軸受部50aよりも一端側に突出された部位で駆動される。この突出された部位には、吸気カムスプロケット6及び排気カムスプロケット8が配置されており、これらがチェーン4によって駆動される。
第一の支持部40aの断面図を図3に示す。吸気カムシャフト2の中心部には、潤滑油の油路15がほぼ全長に沿って形成されている。第一のジャーナル部14aにおいては、油路15から吸気カムシャフト2の半径方向に二本の分岐油路24が延びている。シリンダヘッド16には潤滑用油路38が形成されており、潤滑用油路38は、第一のジャーナル部14aと第一の軸受部50aとの間の隙間に連通している。潤滑油は、潤滑用油路38から第一のジャーナル部14aと第一の軸受部50aと間の隙間及び分岐油路24を介して油路15内に供給されている。
図3のIV-IV線に沿う断面図を図4に示す。図示されるように、オイルパン25に貯留された潤滑油が、オイルポンプ26によって汲み上げられ、オイルフィルタ27を介して排出される。排出された潤滑油はオイルスイッチングバルブ(OSV)28によって回転位相差可変アクチュエータ7側と、吸気カムシャフト2内の油路15側と、に所定量ずつ振り分けられて供給される。
回転位相差可変アクチュエータ7は、吸気カムシャフト2に取り付けられた要素と、吸気カムスプロケット6に取り付けられた要素と、を備えており、油圧通路39からの油圧の給排に応じて両要素を相対回転させ、吸気カムスプロケット6に対する吸気カムシャフト2の相対位相を変換する。
より詳しくは、オイルフィルタ27から排出された潤滑油が潤滑用油路38を通って油路15に供給され、他方、オイルスイッチングバルブ28から排出された潤滑油が潤滑用油路38と並列に設けられた油圧通路39を通じて、吸気カムシャフト2内の回転位相差可変アクチュエータ側通路41に供給され、この回転位相差可変アクチュエータ側通路41から回転位相差可変アクチュエータ7に供給される。
第一の支持部40a以外の支持部40における断面図を図5に示す。吸気カムシャフト2の中心部に形成された油路15は、第一のジャーナル部14aから第五のジャーナル部14eまで軸方向に延びている。第一のジャーナル部14a以外のジャーナル部14では、油路15から一本の分岐油路24が延びている。分岐油路24はそれぞれのジャーナル部14の表面即ち摺動面に開放されている。これにより、それぞれのジャーナル部14と軸受部50との摺動面の間の隙間に油路15から潤滑油が供給されるようになっている。
本実施形態においては、軸方向の一端側に位置する支持部40に固体潤滑剤が設けられる。特に、最も一端側に位置する第一のジャーナル部14aの表面即ち摺動面の全体が、固体潤滑剤によって被覆されている(図2のドット部分参照)。本実施形態では、固体潤滑剤はダイヤモンドライクカーボン20からなっている。ダイヤモンドライクカーボン20は、CVD(化学蒸着)あるいはPVD(物理蒸着)によって成膜される。ダイヤモンドライクカーボン20は硬質な炭素薄膜材料であり、低摩擦係数、高耐摩耗性といった特性を有する。本実施形態では、第一の支持部以外の支持部に固体潤滑剤は設けられていない。
排気カムシャフト3の支持構造は、吸気カムシャフト2の支持構造と同様の構成であるので説明を省略する。
このように構成されたエンジンが運転される際、不図示のシリンダの内部で不図示のピストンが往復運動を行う。この往復運動は、クランクシャフト1の回転運動に変換され、これにより、クランクシャフト1が回転駆動力を得る。クランクシャフト1が回転を行うと、クランクスプロケット5が回転し、この回転駆動力がタイミングチェーン4によって吸気カムスプロケット6および排気カムスプロケット8に伝達される。このようにして、駆動側回転軸としてのクランクシャフト1の回転が、タイミングチェーン4を介して、従動側回転軸としての吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3に伝達される。こうして、これら吸気カムシャフト2および排気カムシャフト3がクランクシャフト1の回転に同期して回転する。そして、エンジンの運転条件に応じて回転位相差可変アクチュエータ7を作動させ、吸気バルブ9の開閉のタイミングを制御している。
ここで、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3におけるジャーナル部14から軸受部50へかかる力の大きさは、支持部40の位置によって異なる。本実施形態の吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3の支持では、軸方向両端に位置する第一の支持部40a及び第五の支持部40eにおける面圧が、軸方向中央部に位置する他のジャーナル部である第二の支持部14b、第三の支持部14c、第四の支持部14dに比べて大きい。また、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3が第一の軸受部50aよりもさらに一端側に突出した部位でタイミングチェーン4によって駆動されるので、最も一端側に位置する第一の支持部40aにおける面圧の大きさが、複数ある支持部40の中で最も大きい。支持部40の面圧が大きい程、ジャーナル部14とそれに対応する軸受部50との隙間にある潤滑油がこれらの間から流出し、潤滑切れを起こし易くなる。
また、本実施形態のように吸気カムシャフト2に回転位相差可変アクチュエータ7が設けられている場合、回転位相差可変アクチュエータ7が作動している間に、潤滑油が回転位相差可変アクチュエータ7側に供給されることがある。このときは、潤滑油が全て支持部40の潤滑に用いられるわけではない。これにより、支持部において、回転位相差可変アクチュエータ7が作動していないときよりも潤滑油が少ない状態となる。
このように、第一の支持部40では元々面圧が高く、潤滑切れを起こし易い。また、回転位相差可変アクチュエータ7の作動時にはさらにこの傾向が強くなる。しかしながら、本実施形態においては、第一のジャーナル部14aに、ダイヤモンドライクカーボン20である固体潤滑剤が配置されているので、第一のジャーナル部14aと第一の軸受部50aとの摺動面の間における潤滑油の油膜厚さが薄くなり、これらの摺動面が直接接触したとしても、ダイヤモンドライクカーボン20による固体潤滑により潤滑状態が好適に保たれることになる。こうして、面圧が大きく潤滑状態が厳しい部位にダイヤモンドライクカーボン20を配置するので、その配置位置について適正化を図ることができる。また、第一の支持部40a以外にはダイヤモンドライクカーボン20を配置しない構成としたので、ダイヤモンドライクカーボン20は最も必要な部位にしか用いられず、従って、全ての支持部40に用いられるよりも少ないダイヤモンドライクカーボン20の消費量で済む。このように、ダイヤモンドライクカーボン20の効率的な使用を図ることができる。
そして、第一の支持部40aでの摩擦抵抗が減少し、エンジンの燃費が向上する。また、第一の支持部40aで磨耗が減少し、エンジンの信頼性が向上する。また、第一の支持部40aで潤滑状態が良好に保たれることにより、これらの間で発生する騒音が低減される。
また、潤滑油がまだ行き渡っていないようなエンジンの始動時といった状況においても、第一の支持部40aで固体潤滑剤による潤滑状態が保たれているので、これらの部品での磨耗の発生が抑えられる。また、摩擦抵抗が減少することにより始動時における燃費が向上し、燃料の消費が少なくなることから、始動時に問題とされる炭化水素(HC)の排出量が抑えられる。従って、始動性能や始動時のエミッションに優れたエンジンとすることができる。
また、始動時における摩擦抵抗が少なく抑えられることから、エンジンを始動させるのに必要とされるトルクが少なくて済む。これにより、始動のためのスタータやバッテリーといった補機を小型化させることができる。また、エンジンがハイブリッドエンジンである場合には、始動時に必要とされるモーターのパワーが少なくて済み、モーターを小型化させることができる。従って、エンジンにおける補機の容量や重量を抑制することができる。
さらに、ダイヤモンドライクカーボン20による固体潤滑剤が配置されるので、潤滑油の供給量を少なくすることができる可能性もある。これにより、オイルポンプ26の必要とされる吐出量が低減されることから、オイルポンプ26を小型化、軽量化することができる。従って、エンジンにおける補機の容量や重量を抑制することができる。
また、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3が高回転領域となると、吸気バルブ9及び排気バルブ11がバルブシートで跳ねたり吸気カム10及び排気カム12との衝突でカムから離間したりすることで、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3の回転が安定せず、ジャーナル部14にかかる面圧が瞬間的に大きくなり、これにより潤滑油の量が摺動面で不足することも考えられる。このような場合にも、第一の支持部40aで潤滑状態が保たれるので、各部品の磨耗の発生が抑えられ、摩擦抵抗が減少することにより燃費も向上する。従って、高回転領域においても有利なエンジンとすることができる。
また、高回転領域での摩擦抵抗が減少することから、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3における駆動力が摩擦による抵抗として失われることなく、吸気カム10及び排気カム12により吸気バルブ9及び排気バルブ11を押す力に使うことができる。吸気バルブ9及び排気バルブ11を押す力が向上し、これにより、バルブスプリングをさらに強いものにすることができるので、エンジンの高出力化が期待でき、併せてエンジンの高回転化も期待できる。
また、固体潤滑剤としてダイヤモンドライクカーボン20を使用した場合、長期間に亘って使用したとしても固体潤滑剤の劣化が少なく、部品が長寿命となる。
本実施形態における吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3と従来のそれらとを比較したグラフを図6及び図7に示す。図6には、横軸にエンジンの回転数(rpm)を取り、縦軸に吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3の回転の抵抗となるフリクショントルク(Nm)を取ったグラフが示されている。実線で示されているものがダイヤモンドライクカーボン20の配置されていない従来のカムシャフトであり、破線で示されているものが第一のジャーナル部14aにダイヤモンドライクカーボン20の配置されたカムシャフトである。このように、エンジンの低回転領域で従来のカムシャフトよりもフリクショントルクを低く抑えることができると共に、高回転領域においてもフリクショントルクを低く抑えることができる。
図7には、横軸に潤滑油の油温(℃)を取り、縦軸にフリクショントルク(Nm)を取ったグラフが示されている。実線で示されているものがダイヤモンドライクカーボン20の被覆されていない従来のカムシャフトであり、破線で示されているものが第一のジャーナル部14aにダイヤモンドライクカーボン20が配置されたカムシャフトである。一般的に、油温が高くなると油膜の厚さが薄くなり、カムシャフトと軸受部との間の潤滑油による良好な潤滑状態が保てなくなる。そのため、油温の高い領域ではフリクショントルクが高くなっている。しかし、本実施形態においては第一のジャーナル部14aの表面にダイヤモンドライクカーボン20が配置されているので、油膜の厚さが薄くなっても固体潤滑による潤滑状態が保たれる。従って、図7のように、油温の高い領域で従来のカムシャフトよりもフリクショントルクを低く抑えることができる。
なお、本実施形態においては、第一のジャーナル部14aの表面にダイヤモンドライクカーボン20を配置することとしたが、これに代えて、第一の軸受部50aの摺動面にダイヤモンドライクカーボン20を設けることとしても良い。また、必要に応じて、第二のジャーナル部14b又は第二の軸受部50bにも追加して設けても良い。また、軸方向一端側のジャーナル部14と、軸受部50の摺動面との両方にダイヤモンドライクカーボン20を被覆させても良い。
次に、本発明の第二実施形態を図8を参照しつつ説明する。前記第一実施形態と同様の構成については図中同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
第一実施形態では、固体潤滑剤であるダイヤモンドライクカーボン20を第一の支持部40aに設けた。これに対し、この第二実施形態においては、第一の支持部40aに加え、最も他端側に位置する第五の支持部40eにもダイヤモンドライクカーボン20を設けている。具体的には、第五の支持部40eにおける第五のジャーナル部14eの摺動面全体にダイヤモンドライクカーボン20を設けている(図8のドット部分参照)。排気カムシャフト3についても同様の構成がなされる。
吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3が駆動された際、第五の支持部40eにおける面圧は、第一の支持部40aほどではないにせよ、中間部の第二〜第四の支持部40b〜40dに比べて大きい。特に、図示しないが、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3の他端部で、エアコンコンプレッサやオルタネータ等の補機を駆動する場合があり、この場合には他端側に位置する支持部にも大きな面圧が加わることになる。この場合の構造としては例えば、一端側と対称的に、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3が第五の軸受部50eよりも他端側に突出され、その突出された部位に駆動スプロケットが取り付けられ、この駆動スプロケットでチェーンを介し補機のスプロケットを駆動する構造がある。
このように第五の支持部40eにおいても面圧が高くなるので、潤滑切れが生じる虞がある。また、第五のジャーナル部14eが油路15の末端部に位置しているため、潤滑油がここに到達するまでに既に消費され、第五のジャーナル部14eでの潤滑油の供給量が不足することが考えられる。また、ここに潤滑油が到達するまでに時間がかかってしまうため、始動時には潤滑油の少ない状態で運転されることが考えられる。かような理由から、第五のジャーナル部14eにもダイヤモンドライクカーボン20を配置したものである。そして、第一実施形態同様、第二〜第四の支持部40b〜40dには、ダイヤモンドライクカーボンを配置しないものとした。このように、中間部の第二〜第四の支持部40b〜40dに比べて潤滑不良が懸念される第五の支持部40eにもダイヤモンドライクカーボン20を配置したので、固体潤滑剤の配置位置について適正化を図ることができる。
なお、第五のジャーナル部14eの代わりに、或いはそれに加え、第五の軸受部50eの摺動面に固体潤滑剤を設けてもよい。また、必要に応じて、第四のジャーナル部14d又は第四の軸受部50dの摺動面に固体潤滑剤を設けてもよい。
ここで、第一の支持部40aの方が第五の支持部40eよりも摺動面にかかる面圧が大きいことから、ダイヤモンドライクカーボン20の厚さに差を持たせても良い。好ましくは、第一の支持部40aにおけるダイヤモンドライクカーボン20の厚さを厚くし、第五の支持部40eにおけるダイヤモンドライクカーボン20の厚さを薄くする。この場合、例えば第一の支持部40aでは膜厚を5〜10μmとし、第五の支持部40eでは膜厚を1〜2μmとすることができる。
なお、中間部の第二〜第四の支持部40b〜40dについては、前述したように面圧が比較的高くなく、潤滑油が不足する状況が起こり難いと考えられるので、固体潤滑剤を配置する必要性はそれほど無い。むしろ、中間のジャーナル部14b〜14dや軸受部50b〜50dの摺動面を鏡面に仕上げ、摩擦抵抗を低減させた上で、潤滑油による流体潤滑を行う方が都合が良い。鏡面仕上げと比較すると、固体潤滑剤の表面粗さはより粗くなり、摩擦抵抗の増大につながってしまうからである。
しかしながら、とりわけ第一の支持部40a、任意的に第五の支持部40eにおいて、摺動面を鏡面仕上げのみとすることは好ましくない。これらの部位では面圧が比較的高く、潤滑油量も比較的少なくなりがちなので、摺動面を鏡面仕上げのみとした場合はスカッフ等の傷がつき易くなる。仮に、鏡面に仕上げた摺動面にスカッフ等の傷が付くと、固体潤滑剤を設けてその摺動面の摩擦係数が高くなった場合よりも、さらに摺動面の摩擦係数が高くなる。このことから、第一の支持部40a及び第五の支持部40eでは固体潤滑剤を設ける方がむしろ好ましい。
次に、本発明の第三実施形態を図9を参照しつつ説明する。前記第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成については図中同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
この第三実施形態では、固体潤滑剤としてのダイヤモンドライクカーボン20が、軸方向の一端側に位置する支持部40の摺動面のうち、軸方向一端側の部位に部分的に設けられる。好ましくは、図示されるように、最も一端側に位置する第一の軸受部50aの摺動面のうち、軸方向一端側(図中左側)の部位にダイヤモンドライクカーボン20を配置するものである(図9のドット部分参照)。さらに好ましくはダイヤモンドライクカーボン20は、第一の軸受部50aの摺動面のうち、軸方向の最も一端側の位置から他端側に向かって所定距離までの領域、最大で中間位置までの領域に配置する。第一の軸受部50aにおける軸方向他端側には、ダイヤモンドライクカーボンは配置しない。
吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3が第一の軸受部50aよりも一端側に突出された部位で駆動されるので、第一の支持部40aでの摺動面にかかる圧力の分布は、一端側に向かう程高くなる。従って、本実施形態のように第一の軸受部50aの摺動面のうち、軸方向一端側の部位のみにダイヤモンドライクカーボンを配置することで、ダイヤモンドライクカーボンの効率的な使用を図り、その配置位置を適正化することができる可能性がある。
なお、第一の軸受部50aに代わって或いはそれに加え、第一のジャーナル部14aにも同様の方法で固体潤滑剤を配置することとしても良い。
次に、本発明の第四実施形態を図10から図12を参照しつつ説明する。前記第一実施形態から第三実施形態までと同様の構成については図中同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
図11に示すように、この第四実施形態では、固体潤滑剤としてのダイヤモンドライクカーボン20が軸方向の一端側に位置する軸受部50の摺動面に設けられ、且つ、その摺動面のうち、最大面圧となる角度位置を中心に所定の角度範囲に亘って部分的に設けられている。より具体的には、ダイヤモンドライクカーボン20が、最も一端側に位置する第一の軸受部50aの摺動面に設けられ、且つ、その摺動面のうち、最大面圧となる角度位置θmaxを中心に所定の角度範囲Δθに亘って設けられている。所定の角度範囲Δθは好ましくは略90°である。
図10も参照して、タイミングチェーン4によって吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3を駆動させるための力がそれぞれのスプロケット6,8にかかった際に、ジャーナル部14が軸受部50に押しつけられることにより生じる面圧が最も大きな角度位置を中心に所定の角度範囲に亘ってダイヤモンドライクカーボン20が配置される。図10はエンジンを軸方向一端側から見たときの側面視である。この側面視において、タイミングチェーン4は略逆三角形をなすように巻掛けられている。そして、このタイミングチェーン4の輪の内側に向かう力F1,F2が、上部右側に位置される吸気カムスプロケット6と、上部左側に位置される排気カムスプロケット8とに付加される。より具体的には、吸気カムシャフト2に対し、その中心から左斜め下に向かう方向の力F1が付加され、排気カムシャフト3に対し、その中心から右斜め下に向かう方向の力F2が付加される。この力F1,F2のベクトル線上で最大面圧が生じることとなる。
図11に示すように、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3の中心から鉛直上方に延びる線上の位置を基準の角度位置(θ=0°)として時計回りに正の座標を仮想する。この場合、右側の吸気カムシャフト2に関して、本実施形態の最大面圧角度位置θmaxは225°であり、この225°の角度位置を中心に±45°の範囲にダイヤモンドライクカーボン20が設けられる。つまりダイヤモンドライクカーボン20は、θ1=180°からθ2=270°までの角度範囲Δθに設けられる。他方、左側の排気カムシャフト3に関して、本実施形態の最大面圧角度位置θmaxは135°であり、この135°の角度位置を中心に±45°の範囲にダイヤモンドライクカーボン20が設けられる。つまりダイヤモンドライクカーボン20は、θ3=90°からθ4=180°までの角度範囲Δθに設けられる。
このように、最大面圧角度位置θmaxを中心に所定の角度範囲Δθに亘ってダイヤモンドライクカーボンを部分的に配置することで、ダイヤモンドライクカーボンを必要な部位にのみ効率的に使用することができ、ダイヤモンドライクカーボンの配置位置を適正化することができる。
なお、最大面圧角度位置θmaxや角度範囲Δθの値は実機試験等を通じて適宜最適化することができ、必ずしも上述の値に限られない。例えばSOHCタイプのエンジンで鉛直下向きの力が加わる場合には、最大面圧角度位置θmax=180°などとすることもできる。また、このようにダイヤモンドライクカーボンを所定角度範囲に亘って部分的に配置する構成は、第五の支持部40eに適用することもできるし、図12に示すように第一の軸受部50aの軸方向一端側のみに部分的に設けることもできるし、軸受部の全長に設けることもできる。
次に、本発明の第五実施形態を図13を参照しつつ説明する。前記第一実施形態から第四実施形態までと同様の構成については図中同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
この第五実施形態では、吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3における第一のジャーナル部14aの摺動面全体にダイヤモンドライクカーボン20が配置され、そのうえで、第一のジャーナル部14a及び軸受部50aの摺動面の軸方向両端部に、ジャーナル部14a及び軸受部50aの隙間に潤滑油を保持するためのシールリング34が設けられている。シールリング34は好ましくはゴム製Oリングからなる。
第一のジャーナル部14aの軸方向両端部には、シールリング34が軸方向に対して固定されるように、シールリング34を嵌合させるための第一のリング溝35が形成され、これら第一のリング溝35に対向した位置における第一の軸受部50aにも第二のリング溝36が形成されている。従って、シールリング34はこれら第一及び第二のリング溝35,36に嵌め入れられつつ軸方向に位置決めされることとなる。
本実施形態によれば、潤滑油が、第一のジャーナル部14aと、第一の軸受部50aと、二つのシールリング34とによって囲まれた領域に封鎖される。よって、カムシャフト駆動時に大きな面圧が加わって第一のジャーナル部14aの下方の隙間が狭まったとしても、潤滑油の軸方向への流出を抑制すると同時に潤滑油を上方に回り込ませることができ、潤滑油による流体潤滑状態を好適に保つことができ、磨耗を抑制することができる。
ところで、一般的にエンジンの停止時においては、オイルポンプ26が作動しておらず、仮にテンショナ13が油圧式であればテンショナ13が作動しないのでタイミングチェーン4に対して張力がかけられない。従って吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3にはタイミングチェーン4からの下向きの力が掛からない。吸気カムシャフト2及び排気カムシャフト3は自重で下降するのみである。ここで前記シールリング34が無いと仮定すると、吸気カムシャフト2(又は排気カムシャフト3)のジャーナル部14aが下降して軸受部50aに対し下方に偏心し、ジャーナル部14aの下方の隙間の潤滑油を軸方向に押し退けて隙間を狭くする。この状態でエンジンが始動されれば当然に潤滑油量が少ない状態での始動となる。しかしながら、前記シールリング34が有る本実施形態によれば、ジャーナル部14aが下がって軸受部50aに対し偏心したとしても、潤滑油の軸方向への流出はなく、ジャーナル部14aの下方の狭められた隙間の潤滑油は上方の拡大された隙間に回り込むだけで、隙間全体での潤滑油の総量はほぼ同一に保持できる。よって結果的にエンジン始動時の潤滑状態は良好となり、多量の潤滑油が有る状態でエンジンを始動することが可能になる。
なお、第一のジャーナル部14aに代えて或いはこれに加えて、第一の軸受部50aの摺動面に固体潤滑剤を設けてもよい。また、第五の支持部40eに同様の構成を施しても良い。リング溝は、ジャーナル部及び軸受部のいずれか一方にのみ設けることも可能である。
次に、本発明の第六実施形態を図14を参照しつつ説明する。前記第一実施形態から第五実施形態までと同様の構成については図中同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
この第六実施形態では、固体潤滑剤としてのダイヤモンドライクカーボン20が、軸方向の他端側に位置するジャーナル部14又はこれに対応する軸受部50の摺動面に設けられる。具体的には、図示されるように、軸方向の最も他端側に位置する第五の軸受部50eの摺動面にダイヤモンドライクカーボン20が設けられ、特に本実施形態ではその摺動面のうち、軸方向他端側の部位にダイヤモンドライクカーボン20が部分的に設けられる(ドット部分参照)。本実施形態では、第五の支持部40e以外の支持部40にダイヤモンドライクカーボン20は設けられていない。
前述したように、各支持部40の面圧は第一の支持部40aで最も高くなり、次いで第五の支持部40eで高くなる。ここで、潤滑不良、摩耗及び摩擦抵抗の問題は、面圧のみならず、摺動面面積、カムシャフトの曲げモード、駆動方式、油路構造、油圧の大きさといった様々な要因が絡み合って生じる。従って、場合によっては、第一の支持部40aよりも第五の支持部40eの方で潤滑不良等の問題がより顕著となる可能性がある。そこで本実施形態においては、第五の支持部40eにのみダイヤモンドライクカーボンが配置されている。こうすることで、必要な部位にのみダイヤモンドライクカーボン20を設け、その配置位置の適正化を図ることができる。
なお、本実施形態では第五の軸受部50eの摺動面のうち他端側のみにダイヤモンドライクカーボン20を配置することとしたが、第五の軸受部50eの摺動面全体にダイヤモンドライクカーボン20を配置することとしても良い。
また、本実施形態では第五の軸受部50eにダイヤモンドライクカーボンを配置しているが、これに代えて或いはこれに加えて、第五のジャーナル部14eにダイヤモンドライクカーボンを配置することとしても良い。
本発明の実施形態は他にも様々なものが可能である。例えば上記第一実施形態から第六実施形態においては固体潤滑剤としてダイヤモンドライクカーボンが用いられたが、これに限定されない。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)あるいは二硫化モリブデン(MoS)等を用いても良い。
また、上記実施形態では、吸気カムシャフト及び排気カムシャフトを支持する軸受部は、同一気筒内の二つの吸気カムの間、及び排気カムの間に配置されることとしたが、気筒間に軸受部を配置することとしても良い。
また、上記実施形態では、吸気カムシャフト側と排気カムシャフト側との両方の支持構造に固体潤滑剤を設けたが、いずれか一方のみに固体潤滑剤を設けてもよい。
また、上記実施形態ではエンジンは直列4気筒のDOHCタイプのものを用いたがこれに限定されない。エンジンの形式は、カムシャフトが用いられる形式であれば何であっても良い。例えば、SOHCタイプ等のものでも良いし、また、V型エンジンであっても良い。
また、上記実施形態ではスプロケット・チェーン方式のカムシャフト駆動機構を用いたが、これに限らず、プーリ・ベルト方式或いはギヤ方式のカムシャフト駆動機構を用いてもよい。
なお、上記実施形態の構成はクランクシャフトに適用することが可能である。
本発明の第一実施形態におけるカムシャフトの駆動機構を示した斜視図である。 本発明の第一実施形態における吸気カムシャフトを示した平面図である。 本発明の第一実施形態における第一支持部の断面図である。 本発明の第一実施形態における第一支持部周辺の部分断面図であり、図3のIV-IV断面図である。 本発明の第一実施形態における第一支持部以外の支持部の断面図である。 本発明の第一実施形態におけるエンジンの回転数に対するフリクショントルクの大きさを示すグラフである。 本発明の第一実施形態における潤滑油の油温に対するフリクショントルクの大きさを示すグラフである。 本発明の第二実施形態における吸気カムシャフトを示した平面図である。 本発明の第三実施形態における第一軸受部の平面図である。 カムシャフト駆動機構にかかる力の方向を示した説明図である。 本発明の第四実施形態における第一支持部の断面図である。 本発明の第四実施形態における第一軸受部の一例を示す平面図である。 本発明の第五実施形態における第一支持部の断面図である。 本発明の第六実施形態における軸受部の平面図である。
符号の説明
1 クランクシャフト
2 吸気カムシャフト
3 排気カムシャフト
4 タイミングチェーン
6 吸気カムスプロケット
8 排気カムスプロケット
9 吸気バルブ
10 吸気カム
11 排気バルブ
12 排気カム
14 ジャーナル部
16 シリンダヘッド
17 カムキャップ
20 ダイヤモンドライクカーボン
40 支持部
50 軸受部

Claims (14)

  1. 軸方向の一端部で駆動され、軸方向に沿って複数のジャーナル部が設けられたカムシャフトの各ジャーナル部を、エンジン本体側に設けられた複数の軸受部により各々回転可能に支持して、軸方向に複数の支持部を設けたカムシャフト支持構造において、
    軸方向の一端側に位置する支持部に固体潤滑剤を設け、その軸方向一端側に位置する支持部以外の他の支持部の少なくとも一つには固体潤滑剤を設けないことを特徴とするカムシャフト支持構造。
  2. 前記カムシャフトが、軸方向の最も一端側に位置された軸受部よりも一端側に突出された部位で駆動され、前記固体潤滑剤が、軸方向の最も一端側に位置する支持部に設けられることを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト支持構造。
  3. 前記固体潤滑剤が、軸方向の一端側に位置する支持部のうち、軸方向一端側の部位に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載のカムシャフト支持構造。
  4. 軸方向の一端側に位置する支持部において、ジャーナル部と軸受部との間の隙間の軸方向両端部に、当該隙間に潤滑油を保持するためのシールリングが設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカムシャフト支持構造。
  5. 前記固体潤滑剤が、前記他の支持部のうち、軸方向の他端側に位置する支持部に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカムシャフト支持構造。
  6. 前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記ジャーナル部の摺動面に設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカムシャフト支持構造。
  7. 前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記軸受部の摺動面に設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカムシャフト支持構造。
  8. 前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記軸受部の摺動面に設けられ、且つ、その摺動面のうち、最大面圧となる角度位置を中心に所定の角度範囲に亘って設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカムシャフト支持構造。
  9. 前記所定の角度範囲が略90°であることを特徴とする請求項8に記載のカムシャフト支持構造。
  10. 前記固体潤滑剤が設けられない前記他の支持部が、軸方向中間部に位置する支持部であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のカムシャフト支持構造。
  11. 軸方向の一端部で駆動され、軸方向に沿って複数のジャーナル部が設けられたカムシャフトの各ジャーナル部を、エンジン本体側に設けられた複数の軸受部により各々回転可能に支持して、軸方向に複数の支持部を設けたカムシャフト支持構造において、
    軸方向の他端側に位置する支持部に固体潤滑剤を設け、その軸方向の他端側に位置する支持部以外の他の支持部の少なくとも一つには固体潤滑剤を設けないことを特徴とするカムシャフト支持構造。
  12. 前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記ジャーナル部の摺動面に設けられることを特徴とする請求項11に記載のカムシャフト支持構造。
  13. 前記固体潤滑剤が、これが設けられる前記支持部のうち、前記軸受部の摺動面に設けられることを特徴とする請求項11に記載のカムシャフト支持構造。
  14. 前記固体潤滑剤がダイヤモンドライクカーボンからなることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のカムシャフト支持構造。
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