JP2008069702A - 蒸気タービンの運転制御方法およびゴミ処理施設の発電装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 蒸気タービンの排気量が定格未満であるとき、復水器入口圧力を、同タービンの出力飽和能力線Xおよび復水器補機の限界能力線Y(またはそれに近い制御線Y’)に沿って低下させる。
【選択図】 図1
Description
復水器能力線図(すなわち、特定の外気温のもとで復水器のファンを定格運転するときの復水器の蒸気処理量(横軸)と復水器入口圧力(縦軸)との関係を示す線図)にタービン出力飽和線を記入すると図1のようになる。図1中の線Aw、Axおよび線Asは、外気温がそれぞれ10℃・20℃・33.5℃のときの復水器能力線であり、線Xはタービン出力飽和線である。上記の運転制御方法は、たとえば、外気温が10℃のとき、
・ 蒸気タービンの排気量が定格(乾き度1への換算蒸気処理量で約110t/h)であるときには図1中の点Nwで運転するものとして復水器入口圧力を設定し、
・ 蒸気タービンの排気量が定格未満である場合には、タービン出力飽和線である線Xを下回らない範囲で復水器入口圧力を低下させる
のである。なお、外気温が20℃を超える場合には、復水器のファンの能力が及ばなくなるために実際の復水器入口圧力は上記のように設定する値よりも多少高くなる(たとえば外気温が20℃のときは図中の線Axに沿った値になる)。
しかも、この運転制御方法では、タービンの出力飽和線を下回らない範囲で復水器入口圧力を低下させることから、前記のようにタービン翼と蒸気との間の相対速度が音速に達して摩擦や衝撃波による損失が大きくなるという事態が発生しない。そしてそのために、タービン運転効率が低下してかえって発電量が低下するようなことがない。
復水器補機は、復水器入口圧力を特定の圧力にまで低下させることができるが、その能力には限界があり、たとえば図1における直線Yを限界能力線とする。したがって、蒸気タービンの排気量が定格未満であるとき復水器入口圧力を低下させるとしても、そうした能力(の限界)を超えて低下させることはできない。
ここに示した制御方法は、蒸気タービンの排気量が定格未満であるとき、復水器入口圧力を低下させるものの補機の限界能力線である図1中の直線Y(またはそれと平行な、それに近い入口圧力を示す直線Y’)を下回ることがないようにするものである。
そうすれば、上記した二つの点で蒸気タービンを適切に運転することが可能である。すなわち、排気量が定格未満であるときタービン運転効率の低下を抑制することができる。
そのようにすれば、タービン運転効率の低下を避けながら、復水器入口圧力を最も低くすることになる。そのため、排気量が定格に満たないときタービン運転効率の低下を抑制するというメリットが、適切な範囲内で最大限にもたらされることとなる。なお、外気温が20℃を超えるときは、前述のように、実際の復水器入口圧力は、上記のように定める値よりも多少高くなるのが一般である。
運転台数およびゴミ質が変化する複数のゴミ焼却炉では、ゴミの量と質とによって発熱量が大幅に変動する。つまり、焼却炉の全数を運転して発熱量の高いゴミ質のゴミを焼却するという定格の運転を行う場合ばかりでなく、ゴミの量が少ないために1炉(1台の焼却炉)のみを運転し、しかもゴミが低発熱量のものである場合もある。前者に比べると後者の場合には、焼却炉からの発熱量は数分の一程度と小さく、したがって、廃熱ボイラで発生する蒸気量も蒸気タービンの排気量も大幅に少なくなる。
そのように蒸気タービンの排気量が大きく変動する用途においては、上述のように復水器入口圧力を適切な範囲で低下させることが重要であり有意義である。蒸気タービンの排気量が大幅に低下するとき、復水器入口圧力を下げることによって蒸気タービンの運転効率の低下を抑制することが望まれる。
a)測定する蒸気タービンの排気量に応じ、または、
b)ゴミ焼却炉の運転台数およびゴミ質から予想される蒸気タービンの排気量に応じて、
設定した復水器入口圧力となるよう、復水器ファンの回転数制御を行うこととするとよい。
蒸気タービンの実機における運転では、適切な復水器入口圧力をこのようにあらかじめ設定しておくのが有利である。蒸気タービンの排気量等を測定するとともに、それらに応じたタービン出力飽和線または復水器補機の限界能力線に相当する復水器入口圧力をそのつど算出したうえで適切な復水器入口圧力を決定する−という制御をすることも可能だが、そうする場合よりも制御手段が簡単化され、制御コストが低くなるからである。
そして、上記a)またはb)によって蒸気タービンの排気量を把握したうえ、それに応じた適切な復水器入口圧力を上記した事前の設定により決定することとすれば、制御はきわめて容易に行われる。とくに上記b)のように蒸気タービンの排気量を予想するなら、当該排気量を測定する必要がないため、制御コストは一層に低減できる。
こうした発電装置では、運転台数およびゴミ質が変化する複数台のゴミ焼却炉において発熱量が大幅に変動するため、蒸気タービンの排気量も、定格に対して数分の一程度にまで小さくなることが珍しくない。しかしそのような場合にも、この発電装置なら、上記した運転制御方法により蒸気タービンを運転制御するので、タービン運転効率の低下を抑制しながら、蒸気タービンによる発電量を高く維持することが可能である。
X タービン出力飽和線
Y 補機限界能力線
Y’制御線
1 ゴミ焼却施設の発電装置
2 ゴミ焼却炉
3 廃熱ボイラ
4 低圧蒸気だめ
5 脱気器給水ポンプ
6 脱気器
7 高圧蒸気だめ
8 ボイラ給水ポンプ
9 復水タンク
10 蒸気タービン
12 復水器
Claims (7)
- 蒸気タービンの排気量が定格に満たないとき、復水器入口圧力を、同タービンの出力飽和線を下回らない範囲で低下させることを特徴とする蒸気タービンの運転制御方法。
- 蒸気タービンの排気量が定格に満たないとき、復水器入口圧力を、復水器補機の能力を超えない範囲で低下させることを特徴とする蒸気タービンの運転制御方法。
- 蒸気タービンの排気量が定格に満たないとき、復水器入口圧力を、同タービンの出力飽和能力線を下回らず復水器補機の能力を超えることもない範囲で低下させることを特徴とする蒸気タービンの運転制御方法。
- 蒸気タービンの排気量が定格未満であり外気温が20℃以下であるとき、復水器入口圧力を、同タービンの出力飽和能力線および復水器補機の限界能力線に沿って低下させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した蒸気タービンの運転制御方法。
- 蒸気タービンへの蒸気を、運転台数およびゴミ質が変化する複数台のゴミ焼却炉に接続された廃熱ボイラにより発生させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載した蒸気タービンの運転制御方法。
- 上記運転制御方法にしたがう復水器入口圧力を蒸気タービンの排気量に対応づけてあらかじめ設定しておき、
測定もしくは計算により得られた蒸気タービンの排気量に応じ、または、ゴミ焼却炉の運転台数およびゴミ質から予想される蒸気タービンの排気量に応じて、設定した復水器入口圧力となるよう復水器ファンの回転数制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載した蒸気タービンの運転制御方法。 - 発電用の蒸気タービンが、運転台数およびゴミ質が変化する複数のゴミ焼却炉と、それらの排ガスを導入される廃熱ボイラ、および復水器に接続されていて、請求項1〜6のいずれかに記載した運転制御方法により運転制御されることを特徴とするゴミ処理施設の発電装置。
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- 2006-09-13 JP JP2006248729A patent/JP2008069702A/ja active Pending
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