JP2008069243A - 接着状態予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】適切な温度と時間の組み合わせで、熱硬化性樹脂からなる接着剤による接着条件が、容易に得られるようにする。
【解決手段】加熱開始初期段階の第1処理温度T1における初期段階の第1処理時間t1経過した後の時点の硬化率P0を求める。次に、初期より第2処理温度T2とした条件で硬化率P0となる仮想時間t’を求める。次に、第2処理温度T2の条件(硬化率曲線)において、仮想時間t’経過した時点からの単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔP1を求める。次に、求めた変化分ΔP1を、第1処理温度T1による第1処理時間t1の硬化率P0に加算し、この加算して得られた硬化率P0+1を、第1処理時間t1+単位時間Δt時間後の硬化率とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂を用いた接着の状態を予測する接着状態予測方法に関するものである。
半導体などの電子部品実装やプリント配線板製造などでは、エポキシ樹脂を代表とする熱硬化性樹脂を加工プロセスの中で加熱硬化させて使用している。例えば、半導体チップを有機系プリント配線板の上に、はんだや金などのバンプを端子として接合するフリップチップ接続では、熱膨張率が5倍程度に異なる材料同士を接合し、かつ電子部品としての温度保証範囲の環境に耐えなければならない。
従来より、このような電子部品の接続技術において、電気的な接続を担う金属(端子)間の接合に加え、樹脂(総称してアンダーフィル樹脂又は単に樹脂と略す)接着を併用する接続法が用いられている。電子部品の接続(実装)においては、熱的膨張収縮や機械的負荷によって生じる応力が、バンプや導電粒子などに加わって接合部が破壊されることがある。樹脂接着を併用することで、強度が補強され、応力の分散及び緩和が可能となり、上述した接合部の破壊が抑制できるようになる。また、樹脂接着により接合部を覆うことで、外界からの汚染から接合部を保護することも可能となる。なお、以降では、金属間の接続に対して「接合」、熱硬化性樹脂との接続を「接着」、これらを総称して加工行為全般を行うことを「接続」と表現する。
しかしながら、樹脂接着を併用する接続法においても、金属間の接合を行った後に熱硬化性樹脂を硬化させる場合には、この硬化プロセスにおける加熱によって熱応力発生し、金属間の接合時点では良好な接続状態であっても、樹脂硬化時に接合部が破壊される現象がみられる。この問題を回避するために、樹脂自体の改良とともに、低温から高温へ段階的に加熱温度を上昇させる多段硬化(ステップキュアとも呼ばれる)させる接着方法が用いられている(非特許文献1参照)。
また、接続工程全体の時間短縮や接合荷重によるスプリングバックを回避する目的で、アンダーフィル樹脂を先に供給し、樹脂を介して金属間の接合と同時に樹脂を硬化・接着させて接続を完成させる方法も用いられている。なお、スプリングバックは、半導体チップを実装するプリント配線板側が、接合のために加えられた荷重を取り除いた後、元に戻ろうとする逆方向の応力(復元力)が接合面を引き剥がす方向の応力として生じる現象である。
Rao R.Tummala,Eugene J.Rymaszewski、「マイクロエレクトロニクス・パッケージング・ハンドブック」、日経BP、pp736 (1991). エポキシ樹脂技術協会編、「総説エポキシ樹脂」、応用編II、pp.6−9、2003
上述したような樹脂併用接続技術においては、プロセス温度の低温化又は短時間化を目的にアンダーフィル樹脂などの用いる熱硬化性樹脂の最適な接着条件を設定することが求められるが、これには硬化過程における所望の接着強度が発現する硬化率の把握が必要となる。
例えば、従来より、熱硬化性樹脂の硬化率を時間の関数で示したKJMA(Kolmogorov-Johnson-Mehl-Avrmi)モデルがあり、これにより、硬化開始より所定時間後の硬化状態を推定することが可能である。KJMAモデルでは、「硬化率P=1−exp(−Ztm)」により、硬化率Pを常数Zを用いて時間tの関数で示している。しかしながら、KJMAモデルを用いると、推定される硬化特性は、図18の実線(曲線)に示すようになるが、これが、黒三角,黒丸,黒四角で示す実際の硬化特性とあまり一致しないという問題があった。なお、図18では、指数mを一定として扱うため、各反応温度毎の解析で得られた値の平均値を用いて推定した結果を示している。また、黒三角は、反応温度180℃における実際の硬化特性を示し、黒丸は、反応温度150℃における実際の硬化特性を示し、黒四角は、反応温度120℃における実際の硬化特性を示している。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、実際の接着状態により一致するモデルを用いることで、適切な温度と時間の組み合わせで、熱硬化性樹脂からなる接着剤による接着条件が、容易に得られるようにすることを目的とする。
本発明に係る接着状態予測方法は、所望とする熱硬化性樹脂よりなる接着剤に所定の熱を加えたときの所定時間後の接着状態を予測する接着状態予測方法において、第1温度とした加熱開始より第1時間t後の第1硬化率Pを、P=1−exp{−(K・t)1/N}よりなる第1の式と、第1常数QK,第2常数α0,加えた熱の絶対温度T,及びボルツマン常数kを用いて第1の式のKを規定するK=α0exp{−QK/(kT)}よりなる第2の式と、第3常数QN,第4常数β0,加えた熱の絶対温度T,及びボルツマン常数kを用いて第1の式のNを規定するN=β0exp{−QN/(kT)}よりなる第3の式とにより予測する第1ステップと、第2温度とした加熱により第1硬化率Pとなる時間t’を第1の式,第2の式,及び第3の式より求め、第2温度とした加熱による時間t’から所定の単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔPを、第2の式,第3の式、及び、ΔP=1/N・K1/N・t1/N-1・exp[−(Kt)1/N]・Δtよりなる第4の式より求める第2ステップと、第1硬化率Pに硬化率の変化分ΔPを加えた第2硬化率P+ΔPを求める第3ステップとを少なくとも備え、第2硬化率により、第1温度で第1時間処理してから第2温度として単位時間Δt処理した後の接着状態を予測するようにしたものである。
上記接着状態予測方法において、第2温度の条件において、時間t’+Δtの時点からのΔtの間の硬化率の変化分ΔP’を第4の式より求める第4ステップと、第2硬化率P+ΔPに硬化率の変化分ΔP’を加えた第3硬化率P+ΔP+ΔP’を求める第5ステップとを新たに備え、第3硬化率により、第1温度で第1時間処理して、第2温度として単位時間Δt処理し、加えて第2温度として単位時間Δt処理した後の接着状態を予測するようにしてもよい。
また、上記接着状態予測方法において、第3温度とした加熱により第2硬化率P+ΔPとなる時間t”を第1の式,第2の式,及び第3の式より求め、第3温度とした加熱による時間t”から所定の単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔP’を、第2の式,第3の式、及び、第4の式より求める第4ステップと、第2硬化率P+ΔPに硬化率の変化分ΔP’を加えた第3硬化率P+ΔP+ΔP”を求める第5ステップとを少なくとも備え、第3硬化率により、第1温度で第1時間処理し、第2温度として単位時間Δt処理し、加えて第3温度として単位時間Δt処理した後の接着状態を予測するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、P=1−exp{−(K・t)1/N}よりなる第1の式のNを、第3常数QN,第4常数β0,絶対温度T,及びボルツマン常数kを用いてN=β0exp{−QN/(kT)}より規定し、加えて第4の式を用いて加熱温度を変更した後の状態を求めるようにしたので、適切な温度と時間の組み合わせによる熱硬化性樹脂よりなる接着剤の接着条件(状態)が、容易に得られるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明では、熱硬化性樹脂よりなる接着剤に異なる温度の熱を段階的に加えたときの所定時間後の接着状態を、硬化速度常数K(K>0),常数N,及び時間tを用いて以下の式(1),式(2),式(3),及び式(4)により予測するようにした。
P=1−exp{−(K・t)1/N}・・・(1)
K=α0exp{−QK/(kT)}・・・(2)
N=β0exp{−QN/(kT)}・・・(3)
Figure 2008069243
式(4)は、式(1)を時間で微分して得られたものであり、式(4)により、式(1)で定義される硬化率PのΔt時間内の変化分を求めることができる。
ここで、常数N(N>0)はワイブル(Weibull)モデルにおける形状因子m(又はKJMAモデルにおけるアブラミ常数m)の逆数であり、近似的には反応次数に相当する値(概ね0.5≦N≦1.2の場合)を示す。また、式(1)における硬化速度常数K及び常数Nは,アレニウス(Arrhenius)型の温度依存性を持つと仮定して、式(2)及び式(3)で示すものとした。ここで、QKは、熱硬化性樹脂が硬化するための活性化エネルギーを示す常数であり(第1常数)、QNは式(3)における活性化エネルギーに相当する常数(第3常数)、Tは加えた熱の絶対温度、kはボルツマン常数である。また、α0は、熱硬化性樹脂の硬化のために有効な熱硬化性樹脂の分子同士の衝突の確率を示す頻度因子(第2常数)であり、β0は、式(3)における頻度因子に相当する常数(第4常数)である。なお、硬化速度常数K及び頻度因子α0は[時間-1]の次元を持ち、常数N及び常数β0は無次元である。また、一般にQK>0であるが、常数QNは主にゼロに近い正又は負の値を示す。
以下、本実施の形態に係る接着状態の予測方法について図1を用いて説明する。以下では、初期に第1処理温度T1としてこの加熱を第1処理時間t1行い、次いで、第2処理温度T2としてこの加熱を第2処理時間t2行った後の硬化率を予測する場合について説明する。先ず、図1の(S1)に示すように、加熱開始初期段階の第1処理温度T1における初期段階の第1処理時間t1経過した後の時点の硬化率P0を、式(1),式(2),及び式(3)により求める。
次に、図1の(S2)に示すように、初期より第2処理温度T2とした条件で硬化率P0となる仮想時間t’を、式(1),(2),及び(3)より求める。
次に、図1の(S3)に示すように、第2処理温度T2の条件(硬化率曲線)において、仮想時間t’経過した時点からの単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔP1を、(2),(3),及び式(4)により求める。なお、仮想時間t’を式(4)におけるtとして計算する。
次に、図1の(S4)に示すように、求めた変化分ΔP1を、第1処理温度T1による第1処理時間t1の硬化率P0に加算し、この加算して得られた硬化率P0+1を、第1処理時間t1+単位時間Δt時間後の硬化率とする。
この後、第2処理温度T2の条件において、仮想時間t’+Δtの時点からのΔtの間の硬化率の変化分ΔP2を式(4)より求め、求めた変化分ΔP2を、既に加算して得られている硬化率P0+1に加算し、この加算して得られた硬化率P0+1+2を、第1処理時間t1+Δt時間+Δt時間後の硬化率とする。これを繰り返すことで、硬化率の変化を求めることができる。
また、単位時間毎に加熱の温度を変更し、変更した温度における硬化率の変化分の総和をとることで、所定の同一間隔で多段に温度を変化させた場合の累積的な硬化率の変化を求めることができる。なお、この場合、単位時間Δtを非常に短い時間とすることで、擬似的に連続的に温度を変化させる場合の硬化率の変化を求めることができる。
例えば、第1処理時間t1+Δtの時点からは第3処理温度とした場合、先ず、初期より第3処理温度とした条件で硬化率P0+1となる仮想時間t”を、式(1),式(2),及び(3)より求める(追加ステップ1)。
次に、第3処理温度の条件において、仮想時間t”経過した時点からの単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔP2’を、式(2),式(3),及び式(4)により求める(追加ステップ2)。
次に、求めた変化分ΔP2’を、硬化率P0+1に加算し、この加算して得られた硬化率P0+1+2’を、第1処理時間t1+単位時間Δt+単位時間Δt時間後の硬化率とする(追加ステップ3)。
処理温度(硬化温度)が変更される毎に、追加ステップ1,追加ステップ2,及び追加ステップ3を繰り返すことで、単位時間Δt毎に処理温度が変化する場合に適用させることができる。
上記式(4)では、熱硬化性樹脂よりなる接着剤の密着性や接着強度発現などの、加熱による硬化過程で変化する機械的物性値から所望の物性値を選択し、完全硬化状態として仮定した物性値との比率(硬化率)Pとし、単位時間Δt当たりの比率Pの増加分ΔPを、硬化速度常数Kと常数Nとを用いて表している。また、式(4)における硬化速度常数K及び常数Nを、式(2)及び式(3)で表される温度依存性を持つ硬化モデルで表している。これらの式(4),式(2),及び式(3)より求められた変化分の累積値により、加熱温度を変化させた処理による熱硬化性樹脂の硬化率を予測することで接着状態を予測する。
ここで、式(1),式(2),及び式(3)による硬化率の予測について説明する。例えば、150℃で30分間加熱することで99%硬化し、この硬化温度(150℃)における常数Nが0.80,活性化エネルギーQKが0.80eV,QNが0.30eVである熱硬化性樹脂について、加熱の時間と硬化率との関係を式(1)により求めると、図2に示すような硬化率曲線が得られる。このように表すことで、化学的反応率と機械的硬化率の違いは、常数Nの違いで総括的に表現できる。またn乗モデルとの比較より常数Nが小さいほど分子内の架橋点(反応基)数が多いなどの反応次数に関する情報や、KJMAモデルとの比較より常数Nが小さいほど硬化物は3次元的成長を行うなど、硬化過程の固相成長に関する幾何学的情報が得られる。なお、化学的反応率,n乗モデル,及びKJMAモデルについては、以降に詳述する。
ここで、各常数の決定について説明する。上記式(1)の両辺の対数を2回とって整理すると、以下の式(5)で示されるようになる。
Figure 2008069243
式(5)は、縦軸にln[−ln(1−P)]、横軸にlntをとってグラフ化すると、傾き1/Nの直線になることを示している。従って、実験を行った種々の反応温度毎に各々の反応温度における経過時間t毎の硬化率Pの実験値Pを用い、式(5)から得られる値を上述した定義の縦軸と横軸を用いたグラフにプロットし、最小2乗法で近似直線を求め、求めた近似直線の傾きから、各反応温度における常数Nの値(実験値)を求めることができる。
例えば、対象の熱硬化性樹脂を所定の温度で加熱して完全硬化状態とし、この状態における剪断強度を剪断強度試験器で測定し、測定された剪断強度S0を硬化率99%とする。次に、この熱硬化性樹脂に、例えば、反応温度100℃を時間t1加えたときの剪断強度S1を剪断強度S0で除することで、反応温度100℃を時間t1加えたときの実験値P1を求めることができる。同様にして、反応温度100℃を時間t2加えたときの実験値P2、反応温度100℃を時間t3加えたときの実験値P3・・・を求め、得られた実験値P1,P2,P3,・・・を用いて式(5)の左辺を時間tの対数に対してプロットして近似直線を求め、この傾きから反応温度100℃における指数Nの実験値を求めることができる。これらを、反応温度110℃、反応温度120℃、反応温度130℃・・・と、各反応温度毎に行う。
なお、上述では、剪断強度により硬化率の実測値を求めるようにしたが、引張り強度試験器により得られる引張り強度、粘弾性測定装置により得られる粘弾性、示差熱走査型熱量計により得られる熱量、フーリエ変換赤外分光光度計により測定される反応基のピークの状態(減小)により、硬化率の実測値を求めるようにしても良い。
次に、式(3)の両辺の対数をとり整理すると以下の式(6)で示されるようになる。
Figure 2008069243
式(6)は、縦軸に各温度毎に求めた常数Nの対数lnN,横軸に各反応温度の絶対温度の逆数1/Tをとってグラフ化すると、切片がlnβ0で傾き−QN/kの直線になることを示している。従って、各反応温度における常数Nの実験値を用い、式(6)から得られる値を上述した定義の縦軸と横軸を用いたグラフにプロットし、最小2乗法で近似直線を求め、求めた近似直線の傾きと切片より、常数QN及び常数β0を求めることができる。さらに、ここで求めた常数QN及び常数β0を用い、上記式(6)より各反応温度毎の常数Nの近似値を求めておく。
次に、再度式(1)を用い、この両辺の対数をとって整理すると、以下の式(7)で示されるようになる。
Figure 2008069243
式(7)は、縦軸に−ln(1−P)、横軸にt1/Nをとってグラフ化すると、傾きK1/Nの直線になることを示している。従って、実験を行った各反応温度毎に、各々の反応温度における経過時間t毎に硬化率Pの実験値を用い、式(7)から得られる値を上述した定義の縦軸と横軸を用いたグラフにプロットし、最小2乗法で近似直線を求め、求めた近似直線の傾きより硬化速度常数Kを求めることができる。なお、これらのことにより求めた硬化速度常数Kは、実験値Pと常数Nの近似値より求めた第1次的な近似値となる。なお、上記式(5)から常数Nを求めた段階で、同様に切片からも硬化速度常数Kを求めることができるが、この段階の常数Nは、近似値を求める前の値であるため、硬化速度常数Kの値に影響してバラツキの多い数値となる。このため、先ず、他の反応温度のデータを含めて温度依存性を考慮した常数Nの近似値を求め、この値を用いて硬化速度常数Kを算出する方が、より確からしい値を得ることができる。
次に、式(2)の両辺の対数をとり整理すると以下の式(8)のようになる。
Figure 2008069243
式(8)は、縦軸に各温度毎に求めた硬化速度常数Kの対数lnK、横軸に絶対温度の逆数1/Tをとってグラフ化すると、切片がlnα0で傾き−QK/kの直線になることを示している。従って、上記式(7)より求めた各反応温度における硬化速度常数Kを用いて上述した定義の縦軸と横軸を用いたグラフにプロットし、最小2乗法で近似直線を求め、求めた近似直線の傾きと切片より、活性化エネルギーQKと頻度因子α0とを求めることができる。なお、ここで求めた活性化エネルギーQKと頻度因子α0を用いて式(8)より求めた硬化速度常数Kが、各温度における最終的な近似値となる。
上述した式(5)〜式(8)を用いた手順により各常数(QK,QN,α0,β0)の統計的な近似値を求め、これらにより任意の反応温度における硬化速度常数Kと常数N及び硬化率Pを求めることができる。
なお、上述した各式を用いて硬化率を求める場合に、以下の点に注意を要する。
(1)常数Nの温度依存性は、必ずしもアレニウス型であるとは限らない。従って、実測挙動と理論モデルを比較することで樹脂材料の適切な硬化温度帯を考察することが望ましい。
(2)常数Nが温度によって変化するということは、温度差が小さければ異なる温度の曲線が、例えば、95%以上(m>0)の高硬化率又は5%以下(m<0)の低高硬化率の範囲など、いずれかの時点で交差して硬化率が逆転する場合があることを意味している。このような場合には、この現象を無視するか又は実測値(時間又は硬化率)に対して補正項を導入することが必要になる。
(3)測定の初期状態で硬化率が明らかにゼロではない場合には、実測値s’に対してs=s’−s0となる位置常数s0を導入する、又は実測硬化率P’に対してP=(1−P0)P’+P0となる初期硬化率P0を導入するなどの工夫が必要となる場合がある。しかしこれらの補正項は計算では求められず、理論曲線と実測値のズレをみて調整する必要があるので扱いには注意を要する。
(4)実験データから硬化率を求めるには、全ての温度帯におけるデータの最大値を99.0%などに仮定して個々の比率(硬化率)を求める方法が良いと考えられるが、最大値が温度によって大きく変わる場合には、その最大強度の定義の仕方に考察を要する。
[実施例1]
次に、本実施の形態における接着状態予測方法を多段硬化プロセスに適用させた場合について説明する。一般的なフリップチップ実装では、バンプを用いて端子間を接合した後に、半導体チップと配線基板の隙間に接着と封止の役目を担うアンダーフィル樹脂を充填して加熱硬化させている。しかし、特に配線基板がリジッドな有機系配線基板の場合、熱応力の影響を受けやすく、一般的な硬化温度である150℃に昇温する段階で接合が破壊する場合が多いという問題がある。
この問題を解消するためには、バンプ接合部分が、少なくともアンダーフィル樹脂の硬化温度における熱応力に耐えることができればよい。これを実現する1つの方法として、接着強度を向上させる方法があり、接合条件やバンプあたりの接合面積の観点から検討が行われている。ただし、接合強度の向上には限界があることから、上述した問題を完全に解消することが困難な場合があり、本質的な解消方法として、熱応力の低減が求められている。
この熱応力は、半導体チップと配線基板との間の熱膨張率差に起因するものであり、実装した場合の際の反り量として把握できる。熱膨張率の異なる物同士をある温度で接着し、固定後冷却した場合には、温度差ΔT、各々の材料の厚みh、熱膨張率α、ヤング率Eに従った反りωが生じる。この反り量は、複雑な形状の場合には有限要素法による弾性解析が行われるが、単純なバイメタル型弾性体の場合には厳密解として与えられ、曲率半径r、接着長さLとし、材料厚みh,熱膨張率α,ヤング率E,温度差ΔTについて各々にサフィックスとして0,1をつけて区別すれば、以下の式(9)で表される。
Figure 2008069243
ここで、熱膨張率やヤング率などの各材料常数が使用温度範囲で一定であると仮定すれば、反り量ωは温度差ΔTのみに依存する。従って、材料の反りや熱応力の発生を抑えるためには、硬化温度を低減させることが最も有効な方法である。しかし、硬化温度を単純に低減させると、一例として図2に示したように、150℃から120℃に30℃硬化温度を下げただけで、硬化時間が30分から90分に長くなる。また、さらに硬化温度を下げて100℃以下にすると、数時間の硬化時間が必要となる。これを改善するためには、硬化温度を2段又は3段以上の多段階に分けて、熱応力の少ない低温においてある程度硬化させることで接着強度を発現させて接合部を熱応力から保護し、この後硬化温度を上げて所定の硬化を行えばよい。この多段硬化プロセスにより、熱応力による破壊を抑制し、かつ硬化時間の短縮を図ることができる。
この具体例として、市販されているアンダーフィル樹脂Aを使用した場合について以下に示す。この樹脂の上記式(1),式(2),及び式(3)によるモデルにおける各硬化速度因子は、以下の表1に示す通りである。また、予め剪断強度を指標として求めた硬化率Pにおける表1に示す常数により式(1),式(2),及び式(3)を用いて計算した硬化率曲線は、図3に示すようになる。
Figure 2008069243
表1に示す各因子を用い、加熱温度を100℃一定とすると、図3から判るように、99.0%硬化には400分を要することになる。
これに対し、図4の波線で示すように、第1段階は100℃まで昇温してこれを所定時間維持し、この後、第2段階で150℃の加熱条件とする。この条件で、図1を用いて説明したように、式(4),式(2),及び式(3)より求められた変化分の累積値により、加熱温度を変化させた処理による熱硬化性樹脂の硬化率を予測すると、得られる硬化率予想曲線は、図4の実線で示すようになる。図4に実線で示す硬化率予想曲線によれば、100℃・130分の加熱処理で75%硬化が得られ、150℃・30分の加熱処理で99.0%硬化が得られている。99.0%硬化で完了とすると、合計の処理時間は160分となり、硬化時間を50%以下に短縮できることものとなる。
ここで、上述した多段階加熱において、第1段階以降に加わる温度により、第1段階における到達硬化率を考慮する必要がある。例えば、上述のように2段目の加熱温度を150℃する場合、2段目では、150℃未満の加熱の場合に比較して接合部に働く応力が大きいものとなる。従って、2段目の加熱温度が150℃を超える高温の場合、1段目における到達硬化率は、70〜80%とする必要がある。これに対し、以降に説明する半硬化法などのように、2段目の加熱温度が150℃より低い低温の場合、特に、120〜130℃程度でよい場合、1段目における到達硬化率は50%程度でよい。
[実施例2]
次に、本実施の形態における接着状態予測方法を半硬化法に適用させた場合について説明する。上述した実施例1では、バンプを用いて端子間を接合した後に半導体チップと配線基板との隙間にアンダーフィル樹脂を充填する後注入法又はサイドフィル法と呼ばれる方法について説明した。ところが、この方法では、接続ピッチの微細化に伴うバンプの小型化と、バンプ間の狭ピッチ化によってアンダーフィル樹脂が入り込む隙間自体が狭くなり、後からアンダーフィル樹脂を注入することが困難になる。
この問題を解決する1つの方法として、アンダーフィル樹脂を先に配線基板上に塗布し、後から半導体チップを実装する先塗布法と呼ばれる方法があり、導電粒子入り異方性導電フィルムを用いるACF(Anisotropic Conductive Film)や非導電性樹脂を用いるNCP(Non-Conductive Paste)工法として知られている。
このようなフリップチップ接続では、実装の過程において、半導体チップをプリント配線板の実装部に加圧して押し付けている。この加圧中においては、両者は接触(微視的には部分凝着が生じる)によって電気的に接続されるが、荷重印加を完了してボンディングツールを引き離すと、この除荷と同時に弾性体であるプリント配線板側が元に戻ろうとする逆方向の応力(復元力)が接合面に生じ、これが両者を引き剥がす方向の力として働く。これがいわゆるスプリングバックと呼ばれる現象である。
例えば、金バンプが形成された半導体チップをプリント配線板上の銅パターン上にフリップチップ実装する場合、圧接法などと呼ばれる単に静的荷重だけで接合を実現しようとすると、金バンプと銅パターンとの間の接合強度が弱い場合があり、スプリングバック現象により接合が破壊される場合がある。この接合の破壊を防止するためには、アンダーフィル樹脂の接着力で復元力に打ち勝つことができればよく、接合させるために必要な加圧と同時にアンダーフィル樹脂を硬化させるのに必要な加熱を行うようにしている。
一方、超音波接合を利用したフリップチップ接続(以下、US−フリップチップ接続と略す)では、実装時には大きな荷重を加えることがないためにプリント配線板層への沈み込みが少なく、かつ金バンプと銅パターン上の金めっきとの接合強度が高い。このため、除荷した後でも、スプリングバックによる引き剥がし応力があまり大きくなく、この力に打ち勝って接合が維持される。
しかし、上述したUS−フリップチップ接続によりアンダーフィル樹脂を介して接合する実装方法は、薄いフレキシブル配線基板の上に実装するいわゆるCOF(Chip On Flex)では有効であるが、多層基板などの実装される基板が厚い場合、荷重印加時のスプリングバックが内層配線の配置に影響を受けて不均一となりやすく、均一な接合状態が得られない場合がある。また、半導体チップと熱膨張率の大きく異なり熱応力が発生しやすいリジッド基板を使用したCOB(Chip On Board)の場合には、アンダーフィル樹脂の硬化に必要な加熱を行うと熱応力に伴った基板の反りによって接合部に大きな引っ張り応力が発生し、ここで発生する応力がバンプとパターン間の金属間接合としての強度を上回り接合を破壊する場合がある。
このような場合には、前述の加圧と同時に硬化させる方法(加圧硬化)を取り入れることが望ましい。しかし、完全に硬化させるまでの時間を費やすことは、超音波接合の利点がなくなる。この問題を解消する技術として、半硬化法がある。半硬化法では、先ず、金属接合としての強度に多少のマージンを付加することを目的とし、加圧した状態では、完全硬化ではなく、接着強度として概ね50%程度の強度が発現した状態とする。この後、加圧と硬化(加熱)を停止して除荷し、フリップチップボンダーとは別の設備(オーブンなど)を使用して残りの硬化を行う。
ただし、フリップチップ接続における数秒のプロセスでは、除荷のタイミングを正確に把握する必要があり、また硬化が速すぎる場合には加圧によるバンプ変形や超音波振動に影響を与えてバンプとパターンの金属間接合を阻害することが予想される。従って、半硬化法を実現するためには、使用するアンダーフィル樹脂の硬化特性を把握し、温度と時間の関数で表した硬化モデルを用いて具体的な実装条件となる温度・加圧時間・超音波発振時間を設定することが求められる。
以下、本実施の形態における接着状態予測方法の半硬化法への適用例を説明する。
[適用例1]
先ず、用いる熱硬化性樹脂の実際の特性と、式(1),式(2),及び式(3)による硬化率予測(曲線)との一致状態により、加熱温度条件を設定する。例えば、市販されているアンダーフィル樹脂Bを用い、実際の半導体チップ(約6mm角)を加熱硬化を同時に行うUS−フリップチップ接続で実装する場合、図5の黒四角と黒三角で示すように、接着強度(硬化率P)が変化する。
なお、図5の黒四角と黒三角は、上記半導体チップを実際に実装した後、ダイシェアテストによりチップ破壊となる強度(550N)を基準とし、各加熱条件で各時間保持した試料の強度比を硬化率として示している。黒四角は、加熱温度が178℃であり、黒三角は加熱温度が212℃である。また、常時加熱タイプの高温超音波ヘッドを用いて加熱しており、加熱温度178℃は、ヘッド温度が200℃であり、加熱温度212℃は、ヘッド温度が250℃である。なお、加熱温度178℃、212℃は単なる一例である。また、加熱温度に対応するヘッドの温度も、使用する装置で変動することはいうまでもない。
この試験の結果、加熱温度178℃では黒四角で示すように、強度発現が65%程度で止まってしまう現象が現れることが判明した。ここで、上記テストの結果より、式(1),式(2),及び式(3)より、各常数を決定して各加熱温度における硬化率曲線を予測すると、図5の実線(212℃)及び波線(178℃)で示すものとなる。この硬化率曲線と比較すると、加熱温度212℃では、テスト結果と硬化率曲線とが一致し、加熱温度178℃では、テスト結果と硬化率曲線とが一致しない。これらの結果より、加熱温度条件を212℃(ヘッド温度250℃)と設定する。
また、加熱温度212℃では15〜20秒でほぼ完全硬化するが3秒でも50%の強度発現があり加熱時間を5分の1以下に短縮可能であることが判る。また、超音波発振は加熱開始0.2秒後から0.7秒までの0.5秒間加えることが標準的な条件と設定しているが、上記結果よりこの時点の硬化率は15%程度と超音波振動に大きな影響を与えない程度であることが判る。従って、上記樹脂を使用して半硬化法によるUS−フリップチップ接続を行う場合、先ず、初期の半硬化状態を得るためには、ヘッド温度250℃にて3秒程度の加熱(この内、超音波発振は0.5秒)を行えば良いことが判る。
次に、半硬化状態とした後に、より低温で完全硬化を得る条件を決定する。この条件の決定においても、前述同様に、アンダーフィル樹脂を試験温度条件で加熱硬化させ、ダイシェアテストによりチップ破壊となる強度(550N)を基準とし、各加熱条件で各時間保持した試料の強度比を硬化率として測定すればよい。しかしながら、フリップチップボンダー上で実際の半導体チップと基板を使う評価は、評価サンプル費用の都合上で多くのサンプルを使用することができない。このため、テストチップを使用して上記の強度データを蓄積すればよい。
例えば、1mm角の銅製テストチップを使用し、また、ホットプレートを用いて加熱硬化させてテストチップを基板に接着した後、ダイシェアテストにより強度測定を行って強度比を硬化率とし、この測定の結果より、式(1),式(2),及び式(3)のモデルにおけるK,N,QK,QN,α0,β0などの常数を決定し、決定した常数を用いて硬化率曲線を作製する。図6は、測定の結果と作製した硬化率曲線とを示す特性図である。例えば、当該アンダーフィル樹脂では、QK=0.76eV,QN=−0.14eVと決定される。
図6では、温度150℃とした場合の測定結果を黒三角で示し、この硬化率曲線を実線で示している。また、温度100℃とした場合の測定結果を黒丸で示し、この硬化率曲線を一点鎖線で示している。また、温度80℃とした場合の測定結果を黒四角で示し、この硬化率曲線を波線で示している。
これらの結果は、フリップチップボンダーを用いた試験による結果とは完全には一致しない。これは、加熱方法、チップサイズや材質などにより影響を受けているものと考えられる。しかしながら、温度依存性を決める活性化エネルギーはほぼ一定の値であると仮定すれば、テストサンプルによって得たQK=0.76eV,QN=−0.14eVを用い、半硬化状態でUS−フリップチップ接続した後に、オーブンなどで後硬化(最終硬化)させる硬化条件を求めることができる。
具体的には、図5より当該アンダーフィル樹脂Bの標準硬化条件が212℃,15秒で99.9%硬化とし、このときN=0.88であるので、式(1),式(2),及び式(3)のモデルによって、US−フリップチップ接続工程(212℃,3秒)と後硬化の硬化率の推移を計算すると、図7に示すような硬化(接着)過程が決定される。決定された過程において、後硬化条件は125℃・40分(硬化率99%)となる。
[適用例2]
上述したフリップチップ接続の適用例1とほぼ同様に、プリント配線板にフレキシブル基板端子を接続する端子接続においても、前述の熱可塑性フレキシブル基板材料や耐熱性の低いプリント配線板材料、又は熱に弱い表示ディスプレイパネルに対する接続では、より低い温度で短時間の接続が求められる。
これらの接続を実現する方法として、超音波併用の端子接続(以下、US−端子接続と略す)が考えられる。この方法は、数十マイクロスケールの金属粒子を接続用バンプとして使用する、図8に断面を模式的に示す接続構造を前提としたものである。この接続では、プリント配線板800の基板端子801及び基板端子802に、フレキシブル基板820の接続端子821及び接続端子822とを、金属粒子811及び金属粒子812で電気的に接続し、この接続領域のプリント配線板800とフレキシブル基板820とをアンダーフィル樹脂830で接着している。端子間の接続では、荷重と超音波による機械的応力を金属粒子811,金属粒子812に加えて塑性変形させ、この塑性変形によって接合界面の酸化膜や汚れを分散させて金属間接合を生じさせてある程度の接合強度を持たせ、さらに予め供給しておいた樹脂を硬化させて強度補強することで実用的な強度を発現させている。
US−端子接続による低温接続には、適用例1のUS−フリップチップ接続と同様な半硬化法が適しているが、US−フリップチップ接続よりもさらなる低温化が求められるため低温(115℃以下)短時間(2.5秒程度)で50%程度の硬化が実現できるアンダーフィル樹脂の開発又は選定が重要となる。この樹脂の選定に関し、実現可能な目標硬化特性は概ね次の通りである。
(a)先ず、頻度因子α0に関係し、110℃・15秒以下及び80℃・180秒程度で完全硬化すること。
(b)また、頻度因子α0と常数Nに関係し、硬化初期において超音波振動の加わる0.7秒までは硬化率上昇は概ね15%以下であること。
(c)また、常数Nに関係し、硬化が開始すれば急峻に硬化が進む特性を持つこと。
(d)また、活性化エネルギーQKに関係し、常温又は低温(0〜10℃)保管可能であること。
これらを、式(1),式(2),及び式(3)における硬化速度因子で表現すれば、頻度因子α0が8.5×1013[秒-1]程度、活性化エネルギーQKが1.1eV程度、常数Nが110℃近辺で0.75程度の、図9に示す硬化率曲線を有する材料と言い換えることができる。この特性を備えたアンダーフィル樹脂を用いることによって、US−端子接続時の加熱は110℃・2.5秒とし、後硬化は80℃・2分程度のベルト炉加熱の接続プロセスが実現でき、耐熱性の低い材料に対する新たな接続法を開発することができると考えられる。なお、上述では、アンダーフィル樹脂を例に説明したが、これに限るものではなく、基板間を接着して多層基板を形成するためのプリプレーグや接着フィルムなどを用いる場合も同様である。
[実施例3]
上述では、段階的に加熱の温度を変化させる場合について説明したが、以下に、連続的に温度を変化させる場合について説明する。
例えば、接続プロセス初期において接合材料の変形や樹脂材料の流動性を制御する必要がある場合には、初期段階では加熱温度を緩やかに昇温させる温度プロファイルが求められる。このような場合、昇温制御を行っている段階であっても温度を加えているからには硬化が進んでおり、全体の加熱時間を予測する上で硬化率の把握が必要となる。
このような連続的に加熱温度を高くする場合の熱硬化性樹脂の硬化率についても、温度プロファイルをモニターし、ある単位時間(Δt)のステップ毎に温度変化させるように、本実施の形態に係る図1を用いて説明した手順で計算すればよい。また、個々には温度モニターしなくても、予め温度プロファイルが時間を変数とした関数で近似できる場合には、同様な手順で接着(硬化)状態の予測が可能である。
図10は、50℃から直線的に200℃まで15秒かけて連続的に昇温させる比較的緩やかな昇温制御条件を設定し、200℃以降は定温保持とした温度プロファイルにおいて、アンダーフィル樹脂Bを硬化させた場合の予測例である。図10では、波線が温度プロファイルを示し、実線が予測される硬化率を示している。この例では、昇温開始から15秒後の200℃到達時点で既に硬化率35%の強度発現があり、定温保持をさらに35秒続けることで完全硬化することが予測されている。
なお、上述した本実施の形態に係る接着状態予測方法は、図1を用いて説明した各ステップの手順をプログラムとしてコンピュータにより処理させることで実施できる。例えば、図11に示すように、演算処理部1101と、主記憶部1102と、外部記憶部1103と、入力部1104と、表示部1105と、プリンター1106とを備えたコンピュータを用いればよい。このコンピュータにおいて、例えば、磁気記録装置である外部記憶部1103に、第1処理温度T1とした加熱開始より第1処理時間t1後の第1硬化率P0を、式(1),式(2),及び式(3)から予測する第1ステップと、第2処理温度T2とした加熱により第1硬化率P0となる仮想時間t’を、式(1),式(2),及び式(3)より求める第2ステップと、第2処理温度T2とした加熱による仮想時間t’から所定の単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔP1を、式(2),式(3)、及び、仮想時間をtとした式(4)より求める第3ステップと、第1硬化率P0に硬化率の変化分ΔP1を加えた第2硬化率P0+1を求める第4ステップとを少なくとも備えたプログラムなどが記憶されている。
このように外部記憶部1103に記憶されているプログラムが、演算処理部1101により、主記憶部1102に展開して実行され、この実行の結果が表示部1105にリアルタイムに表示され、また、プリンター1106により印刷出力される。また、処理結果は、外部記憶部1103に記憶される。また、演算処理に必要な常数などの情報(データ)は、操作者の操作により入力部1104より入力され、主記憶部1102に一時記憶され、また、外部記憶部1103に記憶される。これらの記憶された常数などのデータを用い、主記憶部1102に展開されたプログラムを実行することで、演算処理部1101は、硬化率P0,P0+1,P0+1+2,P0+1+2+3,・・・・を算出する。
ところで、式(1),式(2),及び式(3)による硬化率の予測は、熱硬化性樹脂の硬化挙動を接着強度などの機械的硬化率を指標として把握するために、硬化率を温度と時間の関数として表現できる反応速度論的硬化モデルを検討の結果、得られたものである。この検討において、発明者は、ワイブル(Weibull)型累積分布関数と同様なKJMAモデルを基本とし、この形状因子と尺度因子の温度依存性を加味した新たなモデルによって熱硬化性樹脂の硬化率を近似的に予測できることを見出した。
以下、より詳細に説明する。先ず、熱硬化性樹脂の反応機構について説明すると、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂は、エポキシ基を持つ分子の分子鎖生長だけが行われる反応率30%以下の第1段階(A Stage)、生長した直鎖状高分子のエーテル側鎖による架橋反応が起こり始める反応率50〜60%の第2段階(B Stage)を経て、3次元架橋反応が盛んに起こり網目状の強固な結合により硬化する第3段階(C Stage)にいたるとされている(非特許文献2参照)。
この場合、接着強度や弾性率は、第1段階ではほとんど上昇せず、第2段階以降で徐々に発現し、第3段階で所定の硬化物物性が得られる。従って、図12に示すように、示差熱走査型熱量計(Differential Scanning Caloriemeter、以降「DSC」と記す)などで測定した化学的な反応率と、ダイシェア試験などで得られる機械的な強度を指標とする硬化率とは、異なる上昇曲線を描くことになる。この曲線は、横軸に時間の対数、縦軸に反応率又は硬化率をとるとシグモイド(Sigmoid)曲線と呼ばれるS字曲線状となり、この曲線を数式化(関数の特定)することで、任意の温度と時間における反応率又は硬化率を求めることができるようになる。さらに、曲線を数式化した関数の係数(因子)を抽出することで、樹脂の硬化特性を数種類の数値データに置き換えて極めてシンプルに記述できることになる。
以下、化学反応速度論と確率密度関数等の信頼性工学との類似性、幾何学的核成長を考慮した等温結晶化理論など踏まえ、上述した曲線の数式化について述べる。
[1.0] 化学反応速度論からのアプローチ
[1.1] 1次反応モデルと指数分布
複雑な熱硬化性樹脂の反応モデルを論じる前に、先ず、単純な化学反応における反応速度の基本的な考え方について解説する。例えば、図13に示すように、ある瞬間において10個の未反応(丸)、3個の反応済み(四角)の状態から単位時間内に新たに2個が反応(六角)して、8個の未反応、5個の反応済み状態になる現象において、これまでもこの先も「新たに反応をする数(六角)」が「未反応数(丸)によって決まる」というルールに従ってっていると仮定する。
次に、このルールが「未反応数の一定割合が反応する。(比例常数Kとの掛け算)」となることを仮定すると今回の反応は2個(=10個×K)なのでK=0.2となる。Kは常に一定なので、同様に次の単位時間では(10−2)個×K(=0.2)=1.6個、この次の単位時間では(10−2−1.6)個×0.2=1.28個・・となり単位時間に反応する数は減ってくる。しかし、反応済みの量は、勢いは衰えるものの3+2+1.6+1.28個・・・と増えていく。
以上のことをより一般的に表現すると次の通りとなる。
「物質Aから何らかの反応で物質Bが生成される場合、物質Aの初期濃度をa、t時間後までの累積反応量(Bの生成量)をxとすれば、単位時間当たりの反応量dx/dtは、このdtにおける未反応量CAに比例し、この比例常数(反応速度常数)をKとする。」
このモデルは、未反応量の1次関数で表されるので1次反応モデルと呼ばれ、数式で表現すると以下の式(10)に示す通りとなる。なお、反応速度常数Kは[時間-1]の次元を持つ。
dx/dt=K・CA・・・(10)
さらに、未反応量CAは初期濃度aからt時間後までの累積反応量xを差し引いたものであるから「dx/dt=K・CA=K(a−x)」のようになる。よって、累積反応量xを時間tの関数として表現するためには、変数分離して微分方程式を解けばよい。
dx/dt=K(a−x) ・・・(11)
dx/(a−x)=Kdt
∫dx/(a−x)=∫Kdt
−ln(a−x)=K・t+const.
ここで、t=0でx=0であるから、const.=−lnaとなる。また、時間tの関数として表す反応率P(t)は累積反応量xと初期濃度aとの比(=x/a)であるから、t時間後の反応率P(t)は反応速度常数(硬化速度常数)Kを用いて次のように表される。
−ln(a−x)=K・t−lna
−ln{(a−x)/a}=K・t
−ln{1−P(t)}=K・t・・・(12)
P(t)=1−exp(−K・t)・・・(13)
つまり、単位時間当たりの反応量が未反応量に比例する(1次関数として表される)と仮定すると式(13)が得られる。
この反応率曲線は、t=1000でP(t)=0.99に達する場合を例にすると、式(13),式(12)及び式(12)の両辺の対数をとった以下の式(14)より図14に示すようになる。
ln{−ln(1−P(t))}=lnt+lnK・・・(14)
一方、AからBへの反応を「Aが故障してBとなる」と信頼性工学上の言葉で言い換えれば、単位時間当たりの反応量は単位時間当たりの故障数となり反応率は累積故障分布関数と等価の意味となる。これら反応速度論と信頼性工学の相関を説明すると、よく知られているように次の通りとなる。
母数aとしてt時間までの累積故障数xとして、単位時間当たりの故障数dx/dtは未故障数(=a−x)と比例常数λとの積と仮定すると以下のように示すことができる。
dx/dt=λ(a−x) ・・・(15)
dx/(a−x)=λdt
∫dx/(a−x)=∫λdt
−ln(a−x)=λ・t+const.
ここで、t=0でx=0であるから、const.=−lnaとなり、累積故障分布関数(
cumulative distribution function)F(t)は、累積故障数xと母数aとの比(=x/a)であるから、次のような指数分布関数(exponential distribution function)が得られる。
−ln(a−x)=λ・t−lna
−ln{(a−x)/a}=λ・t
−ln{1−F(t)}=λ・t・・・(16)
F(t)=1−exp(−λ・t)・・・(17)
なお、式(17)を微分して故障確率密度関数(Probability density function)f(t)として表すと次の通りとなる。
dF(t)/dt=f(t)=λexp(−λ・t)・・・(18)
故障率関数(failure rate function又は、hazard rate function)λ(t)は、t時間後の残存数n(t)のうち、次の単位時間当たりに故障する個数の比率である。
λ(t)={−dn(t)/dt}/n(t)・・・(19)
式(19)右辺の分母と分子を母数aで割ったもので言い換えると故障率λ(t)とはt時間後に母数aに対する残存量の割合n(t)/a(=信頼度R(t))の中で、次の単位時間に故障する確率−(dn(t)/a)/dt(=故障確率密度関数f(t))の割合を示すので、次の式で与えられる。
λ(t)=f(t)/R(t)={dF(t)/dt}/R(t)={−dR(t)/dt}/R(t)・・・(20)
これを積分してt=0のときにR(t)=1とすると、次の通りとなる。
λ(t)dt=−dR(t)/R(t)・・・(21)
Figure 2008069243
また、故障率関数λ(t)の積分量である累積ハザードH(t)を用いると以下で表される。
Figure 2008069243
従って、累積故障分布関数」F(t)の基本形態は指数型であり、細部はλ(t)の形により関数の形が変わる。
Figure 2008069243
すなわち、指数分布における式(18)の仮定とはλ(t)=λであることを示しており、式(24)の指数部内を以下の式に示すようにt=0からtまで積分することで式(20)が得られる。
Figure 2008069243
また、式(11)と式(19)とは本質的な意味は等しく、式(11)において両辺をaで割り、これを式(20)と比較すると次のような相互関係となり、この比が反応速度常数Kであり、また故障率関数λ(t)となる。
左辺:(dx/a)/dt 単位時間当たりの反応率変化→確率密度関数f(t)と等価
右辺:(a−x)/a 未反応量(残存量)の割合→信頼度関数R(t)と等価
従って、ある関数がその微分型の関数との比で関係付けられいることが指数型となる所以となる。つまり、「単位時間当たりに変化する数量」が、「変化せず残存している数量」との比で表される場合は、この比の累積変化が指数型の増加関数となり、特に上記比が「時間に依らず常に一定の常数」で表される、いわゆる「構成要素一つ一つには何ら依存性が認められないランダムに生じる現象」は、指数分布を示すことになる。
以上に示した通り、化学反応における最も基本的な1次反応は、本質的に指数分布と全く同じ仮定に基づくモデルであり、1次反応率曲線は指数分布の累積分布関数で表される。
[1.2] n次反応におけるn乗モデルとワイブル分布
上述した図13を用いて説明した1次反応は、物質A単独の反応であり、この場合、未反応量CAのみを考え、反応速度常数Kとの積が瞬間の反応量となるものとしたが、これは図15のように「グランドに多くの人が目隠しをして自由に動き回っており、ある瞬間毎に出現しまた消滅する『水溜』に靴が入ったらグランドを出なければならない。」というゲームを行っていることに例えると、ある瞬間に「水溜」に靴が入りグランドから出ることが単位時間当たりに反応する量に相当すると考えれば良い。
グランド内に残された人は徐々に減っていくが、ある瞬間の時点で、グランドに残っている人が多ければ多いほど「水溜」に入る人は多く、グランドに残っている人が減れば「水溜」に入る人も減る。また、「水溜」ができること自体の数(確率)が多ければ、「水溜」に入る人も多い。このグランドにいる人が、反応系に存在する分子の量つまり濃度であり、「水溜」ができる確率が、反応速度常数を示す。これらのことを信頼性工学上の言葉でいえば、濃度は残存率(=信頼度)であり、反応速度常数は故障率にあたる。
次に、A,Bの2物質が反応して物質Cが生成される場合には、同様の考えを当てはめれば、「グランドにいる人は男女からなり、男と女が同時に『水溜』に入ると2人揃ってグランドから出る。」というゲームのルールになっているものと考えると良い。2人が水溜に入る確率は各々の確率の積であり、2つの物質が反応する場合は、未反応Aの濃度CAと未反応Bの濃度CBの積になる。なお、この例えでは、厳密には反応速度常数Kが2乗となるが、1個の常数として扱えば、各々の未反応成分濃度の積と反応速度常数の積として表される。
上述のことを数式で表現すれば、未反応Aの初期濃度をa,未反応Bの初期濃度をbとして次のように表される。
dx/dt=K・CA・CB=K(a−x)(b−x)
dx/{(a−x)(b−x)}=Kdt
∫dx/{(a−x)(b−x)}=∫Kdt・・・(25)
これをより一般化し、物質A,B,C,D.・・・という複数物質の反応において、単位時間当たりの反応量(生成量)が、各々の物質のべき乗の積に比例するとき、このべき乗の和を反応次数と呼ぶ。これを数式として表すと「dx/dt=K(CA a・CB b・CC c・CD d・・・) n次反応とは、n=a+b+c+d+・・・」となる。
自然界における反応は、複数物質が複雑に反応するものであるが、反応速度として見ると律速(速度の遅い)となる反応のみを考えれば良く、エポキシ系樹脂の場合でも、よく知られているように、以下に示す、式(26)、式(27)、式(28)(カマールの式,αは反応率)など高々数種類の積で近似できる場合が多い。
dx/dt=K(1−x)(1/r−x)(b+x)・・・(26)
dx/dt=K(a0−x)2(b0+x)・・・(27)
dα/dt=(K1+K2αm)(1−α)n・・・(28)
これらの中で最も単純な近似として単位時間当たりの反応量が物質A濃度のn乗に比例する(n乗モデル)とすると、aを初期濃度として下式のようになる。なお、自明ながらa>0,x>0,t>0,n>0である。
Figure 2008069243
これを[1.1]項の説明と同様に積分すると次のようになる。
Figure 2008069243
この反応率曲線は、t=1000でP(t)=0.99に達する場合を例にすると、式(14)及び図14と同様に、以下の式(31)及び式(32)より図16に示すようになる。なお、図16は、n次反応率曲線の形(n=0.8)である。
Figure 2008069243
ここまでは、図15に示したように、複数物質の反応によるn次反応を考えたが、熱硬化性有機分子のように1分子内に複数(i個)の官能基を持つ場合は、1分子内の官能基全てが反応してやっと1分子の反応が終わることになる。
この場合、官能基1個が反応する確率をpとし、i個の官能基で同時に起きる確率はpのi乗となる。よって分子1個の確率pとしてみると濃度が1/i乗になったということに等しい。つまり、反応速度式は下式の通りとなる。
dx/dt=K(a−x)1/i ・・・(33)
なお、反応次数の定義は濃度の指数部の和であるから、このような場合には反応次数nは式(29)で表した場合に1以下となる。
一方、[1.1]項において1次反応における反応率が指数分布における累積分布関数に一致することを述べたが、指数分布に形状因子(shape parameter)m(m>0)を導入して拡張したワイブル分布(weibull distribution)がn次反応における反応率に対応していることが予想される。
Pw(t)=1−exp{−(Kt)m}・・・(34)
t=1000でP(t)=0.99に達するなどの反応終止点が判っている反応について反応率曲線を推定することを想定した場合、式(34)のワイブル型累積分布関数(以下、ワイブルモデル」と呼ぶ)と式(30)のn乗モデルの反応率曲線を比較すると、反応次数nと形状因子mの逆数は、お互いに大小関係が同じであり、特に反応次数nが0.5〜1.2及び反応率Pが40%以上の範囲において、n≒1/mの関係にある。
熱硬化性樹脂の反応率を求める場合には、反応量を未反応分子の濃度として測定するのではなく、DSC(示差熱走査型熱量計)では全体の化学反応における発熱量の割合、フーリエ変換赤外分光光度計(Fourier Transform Infarred Spectroscopy,以降「FT−IR」と記す)では、特定官能基に基づく吸収波長強度の割合を求めることになるので、反応に係わる分子数や官能基数を正確に反映した反応速度式となるわけではない。さらに、分子が近接してから架橋反応による3次元網目構造が発展して硬化するモデルを考えると、官能基が自由に動き回って反応すべき相手と出会うというよりも官能基同士が対となった状態を考え、この1対としての存在量(濃度)として反応速度を考えた方が良い。従って、架橋反応による熱硬化性樹脂の化学的な反応率は、官能基の種類によらず、指数分布である1次反応速度式に近い反応次数を示すことが多いと考えられる。
つまり、これらを考え合わせると、式(34)と式(30)は数式としては全く異なるが、反応次数nが1前後と予想される実際の硬化反応を実験的に調べる範囲においては、ワイブルモデルに基づいて実験データの解析が適用でき、その形状因子の逆数からおおよその反応次数を予測できることになる。
また、式(28)で示したカマール(Kamal)モデルを用いた解析結果を、1次反応モデル(m=1.0)とワイブルモデル(m=1.2)の双方で比較すると、特に着目すべき高硬化率の領域においては、ワイブルモデルがよく一致した曲線になることが判る。
なお、信頼性工学におけるワイブルモデルは、尺度因子(scale parameter)ηを用いて式(35a)及び式(35b)のように表される。よって、式(34)におけるKは、ηの逆数に相当する。ちなみに、式(35a)においてt=ηとするとPw(η)=1−exp(−(1)m)=0.632となり、形状因子mの値に依らず累積故障率63.2%に達する時間がηに相当する。このため、ηは特性寿命(characteristic life)と呼ばれることもある。
Figure 2008069243
また、式(24)より累積ハザードH(t)は、以下の式(36)となるので、この微分である故障率λ(t)は式(37)となる。
Figure 2008069243
1次反応である指数分布(m=1)の場合には、λ(t)が時間に依らず一定のλであり、時間軸上でランダムな反応を意味していたが、ワイブルモデルに従う反応は時間とともに反応する割合が変化し、ある反応率に同じ時間で到達する場合で比較すると、m>1(反応次数nが1よりも小さい)の場合には、反応が時間とともに増加して反応率が急激に立ち上がる曲線となる。つまり、1分子内に官能基数の多い分子が反応する反応次数が1以下の場合には、ワイブルモデルで表した場合の形状因子mが1以上の値をとることが予想される。
[1.3] 反応速度常数の温度依存性
1次反応を含めたn次反応及びワイブル型累積故障率関数で表したモデルにおける反応速度常数K(すなわち、尺度因子ηの逆数)が、アレニウス型の温度依存性を持つと仮定すれば下式の通り表すことができる。ここでQは、活性化エネルギー、Tは絶対温度、kはボルツマン常数、α0は頻度因子である。
Figure 2008069243
さらに、式(38)の両辺の対数をとり整理すると以下の式(39)に示す通り、1/Tと1nKは線形関係となることが判る。よって、直線の傾きが−Q/k、切片がlnα0となることより、活性化エネルギーQと頻度因子α0を求めることができる。
Figure 2008069243
なお、このことに関連し、はんだ材料の疲労寿命試験では、以下の式(40)に示す「Coffin−Mansonの修正式」と呼ばれる寿命予測式に基づく解析が行われる。これは、疲労寿命をある累積不良率に達する応力繰り返しサイクル数Nfとして定義し、これがアレニウス型の温度依存性を持つと仮定して活性化エネルギーや歪み量・温度などの環境条件の依存性から、実際の使用状態におけるNfを予測するものである。
Figure 2008069243
累積不良率Pが応力繰り返し数Ncを変数としたワイブルモデルに従う場合には、式(35a)の時間tをNcに置き換えると式(41)となり、Ncで整理すると式(42)となる。
Figure 2008069243
よって、累積不良率Pの基準を設定すると、これに対応するNcが求められる。例えば、前述のとおりP=0.632とすれば,Nc=ηとなる。そこで、寿命として定義する不良率Pfと,そのときのNcをNfとすれば、式(38)より以下の式(43)が得られ、式(40)と同様な式となる。
Figure 2008069243
すなわち、式(38)と式(40)の「Coffin−Mansonの修正式」は温度依存性を示す部分において全く等価な意味を成すものであることが判る。従って、他の常数部分に温度依存性がなく、温度サイクル試験などの寿命試験結果がワイブルモデルに従ってっていると仮定すれば、式(43)のみを用いて寿命予測が可能である。また、疲労寿命以外の場合でもワイブルモデルで表される現象に温度依存性が認められる場合には、尺度因子ηの逆数(=K)を式(38)に当てはめることで活性化エネルギーを求めることができ、さらに未知の温度帯における現象を予測することができる。
[2.0] 幾何学的等温結晶化理論からのアプローチ
[1.0]項では個々の分子を中心に化学反応を考えたが、実際の熱硬化性樹脂の場合には、液相から固相に変化する結晶化又は相転移の現象に似ている。従って、幾何学的核成長を考慮した等温結晶化理論として知られ、またDSCなどの熱解析でよく用いられるKJMAモデルを適用すると次の通りとなる。
このモデルは、先ず、図17(a)に示すように初期の核発生の後に、図17(b)に示すように発生した核(ドメイン)同士が接触及び重なり合わずに素直に成長することを仮定した場合、固相体積(結晶化度又は相変化度)の単位時間当たりの微小変化の割合は、液相体積の中で単位時間当たりに固相に微小変化する割合に等しいとするものである。
ここで全体積Vtotalに対する固相体積Vの割合fと、割合fの変化率df、液相の中で固相に変化する変化率dfexとすれば、よく知られているように、以下のように表される。
Figure 2008069243
これは[1.0]項に説明した式(20)と比較して信頼性工学用語に書き直すと、fは累積分布関数F(t)、(1−f)は信頼度R(t)、dfは累積分布関数の微分である確率密度関数f(t)、dfexは故障率λ(t)、fexは累積ハザードH(t)に対応する。
これより、式(44)は、以下に示す式(45)のように置き換えることができ、式(21)〜(23)と同様に下記のようになる。
Figure 2008069243
よって、式(44)を解くと以下に示す式(46)が得られる。
f=1−exp(−fex)・・・(46)
次に、核が発生した固相が3次元的に半径rの球として等方成長する場合、成長した球状の微粒子の体積vは、半径rの3乗に比例し、半径rが時間tに比例して成長すると仮定すれば、比例常数Dとして次のように表すことができる。
Figure 2008069243
また、fexは、液相中における累積固相増加量Vの割合であり、これは個々の核成長している粒子数N個分の総和となる。
Figure 2008069243
よって式(48)を式(46)に代入すると以下の式(49)が得られる。
Figure 2008069243
また、式(49)の指数部の常数をまとめてZとおけば最終的に以下の式(50)が得られる。
Figure 2008069243
つまり、式(47)で体積が時間の3乗に比例して成長すると仮定することで式(50)においても指数部は時間の3乗に比例する。同様に、核成長が1次元的な樹枝状成長であれば、体積は時間の1乗に比例し、2次元的な薄片状成長であれば体積は時間の2乗に比例する。またさらに、液相から固相に変化する際、界面反応律速ならば核成長半径は時間の1乗に比例し、拡散による物質移動律速ならば1/2乗に比例することが予想される。
実際の現象においてはこれらが複雑に合わさったものである可能性があるため、KJMAモデルの一般式は、以下の式(51)のように表される。
f=1−exp(−Ztm)・・・(51)
式(51)の指数m(m>0)は、特にアブラミ(Avrami)常数と呼ばれており、上記のような幾何学的成長に関連付けて、以下の表6に示すような値をとるとされている。これによると、アブラミ常数mが小さいほど1次元的で拡散律速の固相成長であり、逆にアブラミ常数mが大きいほど3次元的で界面反応律速の固相成長となるなどの情報が得られる。
Figure 2008069243
なお、このように表した常数Zは[時間-1/m]の次元を持つことになる。本来KJMAモデルは等温結晶化で良く用いられるものであり、指数(アブラミ常数)mが変化することを考慮していない。指数mが常に一定と仮定すればデータ解析上で特に支障が生じることはないが、温度によって変化し、これを含めて硬化率を記述しようとすると常数の次元が変化することは好ましくない。
よって、さらに式(51)を書き直し、K=Z1/mとなる常数Kを用いて以下の式(52)のように表現する場合もある。なお、この式(52)は式(34)及び式(35a),(35b)で示したワイブルモデルに一致する。
f=1−exp{−(Kt)m}・・・(52)
つまり、KJMAモデルから類推すれば、信頼性工学上でワイブルモデルに従う故障とは、式(36)に示す通り累積ハザードが時間のm乗となるが、これは時間の関数で表される素反応が引き金となり、この素反応のべき乗で現象が広がり、最終的な故障にいたるメカニズムに相当することが予想される。また、反応次数との相関を考えると、m>1となる反応とは、官能基数が多く、べき乗的に反応が進むn<1の低次反応に相当することを意味しており、化学反応的なイメージと一致する。
また、式(38)で示した反応速度常数の温度依存性と同様に、KJMAモデルにおいて常数Kがアレニウス型の温度依存性を持つと仮定すれば、以下の式(53)の通りに表すことができる。ここで、Qkは活性化エネルギーに相当する常数、Tは絶対温度、kはボルツマン常数、α0は頻度因子である。
Figure 2008069243
なお、式(51)で表したZと式(52)で表したKとの間には、K=Z1/mの関係にあるので、式(39)と同様に両辺の対数をとり整理すると、下記の式(54)に示す関係にあるため、式(51)で表した場合の活性化エネルギーQzをアブラミ常数(形状因子)mで割ったものが活性化エネルギーQKに相当する関係にある。
Figure 2008069243
[3.0] 熱硬化性樹脂の硬化モデル構築(本発明による新たなモデルの導入)
図12に示した熱硬化性樹脂の硬化反応模式図において、化学反応としては[1.1]項に説明した式(11)に示す1次反応又は[1.2]項の式(26)〜(28)に示した反応種の濃度から求めた反応速度式が最も正しいものと考えられるが、これらの式を適用できるのは、反応系が予測できる場合に限られ、未知の樹脂材料に対しても幅広く応用できる保証がない。まして機械的な強度に基づいた硬化率を表現することができない。
そこで機械的強度の発現が、架橋反応による重合や液相から固相に変化した相変化の結果で生じるとみなし、[1.2]項で示したn乗モデルとワイブルモデルの相関及び結果的にはワイブルモデルと全く同様な関数として得られる[2.0]項で示したKJMAモデルを用い、前述した式(1),(2),及び(3)に示すように熱硬化性樹脂の硬化率を表すことにした。
本発明の実施の形態に係る接着状態の予測方法を説明するための説明図である。 式(1),式(2),及び式(3)により求めた硬化率曲線の例を示す説明図である。 市販されているアンダーフィル樹脂Aを使用した場合の予測される硬化率曲線を示す特性図である。 設定した加熱温度条件に対する予測される硬化率の変化を示す特性図である。 市販されているアンダーフィル樹脂Bの測定される硬化率及び予測される硬化率の状態を示す特性図である。 アンダーフィル樹脂Bの測定される硬化率及び予測される硬化率の状態を示す特性図である。 設定した加熱温度条件に対する予測される硬化率の変化を示す特性図である。 超音波併用の端子接続により接続された状態を部分的に示す断面図である。 式(1),式(2),及び式(3)により求めた硬化率曲線の他の例を示す説明図である。 設定した加熱温度条件に対する予測される硬化率の変化を示す特性図である。 本発明の実施の形態に係る接着状態予測方法を実施するコンピュータの構成例を示す構成図である。 示差熱走査型熱量計などで測定した化学的な反応率を示す上昇曲線と、ダイシェア試験などで得られる機械的な強度を指標とする硬化率を示す上昇曲線との比較を示す説明図である。 単純な化学反応における反応速度の基本的な考え方について解説する説明図である。 単位時間当たりの反応量が未反応量に比例する(1次関数として表される)と仮定したときの反応率曲線を説明する説明図である。 1次反応は、物質A単独の反応であるとし、未反応量CAのみを考え、反応速度常数Kとの積が瞬間の反応量となるものとした場合の反応を説明するための説明図である。 単位時間当たりの反応量が物質A濃度のn乗に比例する(n乗モデル)としたときの反応率曲線の一例を示す説明図である。 KJMAモデルにおける反応を説明するための説明図である。 KJMAモデルを用いて推定される硬化特性の一例を示す説明図である。
符号の説明
800…プリント配線板、801,802…基板端子、811,812…金属粒子、820…フレキシブル基板、821,822…接続端子、830…アンダーフィル樹脂。

Claims (3)

  1. 所望とする熱硬化性樹脂よりなる接着剤に所定の熱を加えたときの所定時間後の接着状態を予測する接着状態予測方法において、
    第1温度とした加熱開始より第1時間t後の第1硬化率Pを、
    P=1−exp{−(K・t)1/N}よりなる第1の式と、
    第1常数QK,第2常数α0,加えた熱の絶対温度T,及びボルツマン常数kを用いて前記第1の式のKを規定するK=α0exp{−QK/(kT)}よりなる第2の式と、
    第3常数QN,第4常数β0,加えた熱の絶対温度T,及びボルツマン常数kを用いて前記第1の式のNを規定するN=β0exp{−QN/(kT)}よりなる第3の式と
    により予測する第1ステップと、
    第2温度とした加熱により前記第1硬化率Pとなる時間t’を前記第1の式,前記第2の式,及び前記第3の式より求め、前記第2温度とした加熱による前記時間t’から所定の単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔPを、前記第2の式,前記第3の式、及び、ΔP=1/N・K1/N・t1/N-1・exp[−(Kt)1/N]・Δtよりなる第4の式より求める第2ステップと、
    前記第1硬化率Pに前記硬化率の変化分ΔPを加えた第2硬化率P+ΔPを求める第3ステップと
    を少なくとも備え、
    前記第2硬化率により、前記第1温度で前記第1時間処理してから前記第2温度として前記単位時間Δt処理した後の接着状態を予測する
    ことを特徴とする接着状態予測方法。
  2. 請求項1記載の接着状態予測方法において、
    第2温度の条件において、時間t’+Δtの時点からのΔtの間の硬化率の変化分ΔP’を前記第4の式より求める第4ステップと、
    前記第2硬化率P+ΔPに前記硬化率の変化分ΔP’を加えた第3硬化率P+ΔP+ΔP’を求める第5ステップと
    を新たに備え、
    前記第3硬化率により、前記第1温度で前記第1時間処理して、前記第2温度として前記単位時間Δt処理し、加えて前記第2温度として前記単位時間Δt処理した後の接着状態を予測する
    ことを特徴とする接着状態予測方法。
  3. 請求項1記載の接着状態予測方法において、
    第3温度とした加熱により前記第2硬化率P+ΔPとなる時間t”を前記第1の式,前記第2の式,及び前記第3の式より求め、前記第3温度とした加熱による前記時間t”から所定の単位時間Δtの間の硬化率の変化分ΔP’を、前記第2の式,前記第3の式、及び前記第4の式より求める第4ステップと、
    前記第2硬化率P+ΔPに前記硬化率の変化分ΔP’を加えた第3硬化率P+ΔP+ΔP”を求める第5ステップと
    を新たに備え、
    前記第3硬化率により、前記第1温度で前記第1時間処理し、前記第2温度として前記単位時間Δt処理し、加えて前記第3温度として前記単位時間Δt処理した後の接着状態を予測する
    ことを特徴とする接着状態予測方法。
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