JP2008068386A - 表面処理媒体及びそれを有する表面処理装置 - Google Patents

表面処理媒体及びそれを有する表面処理装置 Download PDF

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寿樹 杉山
Tomohiro Atsumi
智浩 厚美
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宏志 小室
Shigeji Nakamura
茂治 中村
Masaki Watanabe
将樹 渡辺
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Abstract

【課題】被処理物の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体の粗面化処理能力の低下を防止しつつ使用寿命を長くした表面処理媒体を提供する。
【解決手段】被処理物132の外表面に粗面化処理を施す表面処理媒体において、前記表面処理媒体Aが、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材65からなり、そして、前記線条材65が、その両端T1 ,T2 の近傍に円周方向に設けられた1つ又は2つ以上の溝65bを有しているものとする。前記溝65bは、好ましくは、前記線条材の両端面から同一のピッチで設けられ、かつ、同一の溝幅に設けられているものとする。また、前記溝65bは、好ましくは、前記線条材65の両端T1 ,T2 の近傍にそれぞれ複数かつ同数に設けられているものとする。また、前記溝65bの底面の断面形状は、好ましくは、V字状である。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理物、例えば、電子写真装置の現像装置において用いられる中空円筒形状物(現像スリーブ)の外表面に衝突させて、該中空円筒形状物の外表面に粗面化処理を施す表面処理媒体、及び、それを有する表面処理装置に関する。
中空円筒状物、円柱状物等の被処理物の表面を粗面化するのに、回転磁場を発生させる磁場発生手段による磁場と、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材からなる表面処理媒体と、の間に働く電磁力によって、該表面処理媒体をランダムに励磁させて該被処理物の表面に衝突させることにより、該被処理物の表面を粗面化する表面処理装置(例えば、特許文献1を参照。)が提案されている。
特開2005−46999号公報
図8は、従来の表面処理装置において用いられる表面処理媒体を構成する線条材の説明図である。図9は、従来の表面処理媒体で被処理物の表面を粗面化処理する状態を説明する説明図であって、(a)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突する状態を示し、そして、(b)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突して線条材の先端が磨耗した状態を示す。図6,7に示すように、回転磁場を発生させる磁場発生手段(図示せず)による磁場と、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材165からなる表面処理媒体と、の間に働く電磁力で該表面処理媒体を構成する線条材165を被処理物(現像スリーブ)132の表面に衝突させて該被処理物132の表面を粗面化する従来の表面処理装置(図示せず)においては、被処理物132の表面に粗面化処理を施す際に、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材165を被処理物132に衝突させることを繰り返し行うので、円柱状の短線よりなる線条材165の端面T1 ,T2 が磨耗してR形状になって、被処理物の表面を粗面化処理する能力が低下し、そのために、表面処理媒体の使用寿命が短くなる、という問題があった。
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。
即ち、本発明は、被処理物の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体の粗面化処理能力の低下を防止しつつ使用寿命を長くした表面処理媒体を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、被処理物の外表面に粗面化処理を施す表面処理媒体において、
(イ)前記表面処理媒体が、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材からなり、そして、
(ロ)前記線条材が、その両端近傍に円周方向に設けられた1つ又は2つ以上の溝を有している
ことを特徴とする表面処理媒体である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された発明において、前記溝が、前記線条材の両端面から同一のピッチで設けられ、かつ、同一の溝幅に設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載された発明において、前記溝が、前記線条材の両端近傍にそれぞれ複数かつ同数に設けられていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された発明において、前記溝の底面の断面形状が、V字状であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載された発明において、前記線条材の外径が、0.5mm〜1.2mmであることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載された発明において、前記線条材が、ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料で構成されていること特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載された発明において、前記ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料が、オーステナイト系のステンレス鋼又はマルチンサイト系のステンレス鋼であること特徴とするものである。
請求項8に記載された発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載された発明において、前記被処理物が、電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒形状物であることを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、
磁性材からなる多数の表面処理媒体と、
前記表面処理媒体を収容する収容槽と、
前記収容槽内に前記表面処理媒体を移動させる回転磁場を発生させて、該回転磁場により、前記表面処理媒体を電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒状物の外表面にランダムに衝突させる磁場発生手段と、
前記中空円筒形状物を回転自在に把持する把持手段と、
を有する表面処理装置において、
前記収容槽に収容する表面理媒体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理媒体であることを特徴とする表面処理装置である。
請求項10に記載された発明は、請求項9に記載された発明において、前記被処理物が、電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒形状物であることを特徴とするものである。
請求項1に記載された発明によれば、(イ)前記表面処理媒体が、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材からなり、そして、(ロ)前記線条材が、その両端近傍に円周方向に設けられた1つ又は2つ以上の溝を有しているので、被処理物の外表面に電磁力を用いて繰り返し粗面化処理を施すと、該表面処理媒体を構成する線条材の端部が磨耗してR形状になった後、その端部のR形状になった部分が削りとられて、該表面処理媒体を構成する線条材の軸が溝の端面で分離されて生じた角度を持った溝の端面で粗面化処理を施すことができるようになり、そのために、被処理物の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体の粗面化処理能力の低下を防止しつつ使用寿命を長くした表面処理媒体を提供することができる。
請求項2に記載された発明によれば、前記溝が、前記線条材の両端面から同一のピッチで設けられ、かつ、同一の溝幅に設けられているので、前記線条材の両端が摩耗されていくにつれて、前記線条材の軸が前記溝の両端面で分離されて該線条材の長さが全体として一定の長さになり、そのために、被処理物の外表面に均一な粗面化処理を施すことができる。
請求項3に記載された発明によれば、前記溝が、前記線条材の両端近傍にそれぞれ複数かつ同数に設けられているので、前記線条材の両端が摩耗されていくにつれて、前記線条材の軸が前記溝の両端面で複数回分離されて該線条材の長さが全体として一定の長さになると共に、該表面処理媒体を構成する線条材の軸が次の溝の端面ごとに複数回にわたり順次分離されて新たに生じた角度を持った溝の端面で次々と粗面化処理を施すことができるようになり、そのために、被処理物の外表面に均一な粗面化処理を施すことができると共に、被処理物の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体の粗面化処理能力の低下を防止し、使用寿命をいっそう長くすることができる。
請求項4に記載された発明によれば、前記溝の底面の断面形状が、V字状であるので、前記表面処理媒体を構成する線条材の軸がいっそう分離しやすくなり、そのために、被処理物の外表面にいっそう均一な粗面化処理を施すことができる。
請求項5に記載された発明によれば、前記線条材の外径が、0.5mm〜1.2mmであるので、経年変化によっても被処理物の外表面に形成された凹凸が摩耗しにくくなり、そのために、被処理物を現像スリーブとしたときに、該現像スリーブが、経年変化により現像剤の汲み上げ量が低下することを防止することができ、よって、経年変化によって、画像が薄くなることを防止できる。
請求項6、7に記載された発明によれば、前記線条材が、ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料で構成されているので、表面処理媒体の粗面化処理能力の低下をいっそう防止でき、使用寿命をいっそう長くすることができる。
請求項8,10に記載された発明によれば、前記被処理物が、電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒形状物であるので、経年変化によっても被処理物の外表面に形成された凹凸が摩耗しにくくなって、該被処理物、即ち、現像スリーブが経年変化により現像剤の汲み上げ量が低下することを防止でき、そのために、経年変化によって、画像が薄くなることを防止でき、よって、現像スリーブの経年変化により現像剤の搬送量の低下を抑制できるとともに、画像のムラが生じることを防止できる。
請求項9に記載された発明によれば、
磁性材からなる多数の表面処理媒体と、
前記表面処理媒体を収容する収容槽と、
前記収容槽内に前記表面処理媒体を移動させる回転磁場を発生させて、該回転磁場により、前記表面処理媒体を電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒状物の外表面にランダムに衝突させる磁場発生手段と、
前記中空円筒形状物を回転自在に把持する把持手段と、
を有する表面処理装置において、
前記収容槽に収容する表面理媒体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理媒体である表面処理装置おしたので、被処理物の外表面に電磁力を用いて繰り返し粗面化処理を施すと、該表面処理媒体を構成する線条材の端部が磨耗してR形状になった後、その端部のR形状になった部分が削りとられて、該表面処理媒体を構成する線条材の軸が溝の端面で分離されて生じた角度を持った溝の端面で粗面化処理を施すことができるようになり、そのために、被処理物の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体の粗面化処理能力の低下を防止しつつ使用寿命を長くすることができる表面処理装置となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の説明図である。図2は、本発明の他の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の説明図である。図3は、本発明の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材で被処理物の表面を粗面化処理する状態を説明する説明図であって、(a)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突する状態を示し、そして、(b)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突してその線条材の端面が磨耗した状態を示す。図4は、本発明の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の軸を分離する状態を説明する説明図であって、(a)は、軸が繋がったした状態を示し、そして、(b)は、軸が分離した状態を示す。図5は、本発明の他の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の軸を分離する状態を説明する説明図であって、(a)は、軸が繋がったした状態を示し、(b)は、一つ目の軸が分離した状態し、(c)は、二つ目の軸が分離した状態を示す。図6は、本発明の一実施の形態を示す表面処理装置の概略斜視図である。図7は、図6中のII−II線に沿う断面図である。
図1,2,7に示すように、本発明の表面処理媒体Aは、被処理物132の外表面に粗面化処理を施すものである。前記表面処理媒体Aは、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材65からなり、そして、前記線条材65は、その両端T1 ,T2 の近傍に円周方向に設けられた1つ又は2つ以上の溝65bを有している。
このように、前記表面処理媒体Aが、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材65からなり、そして、前記線条材65が、その両端T1 ,T2 の近傍に円周方向に設けられた1つ又は2つ以上の溝65bを有していると、被処理物132の外表面に電磁力を用いて繰り返し粗面化処理を施すと、図3,4に示すように、該表面処理媒体Aを構成する線条材65の端部T1,T2が磨耗してR形状になった後、その端部T1,T2のR形状になった部分が削りとられて、該表面処理媒体Aを構成する線条材65の軸が溝65bの端面で分離されて生じた角度を持った溝65bの端面で粗面化処理を施すことができるようになり、そのために、被処理物132の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体Aの粗面化処理能力の低下を防止しつつ使用寿命を長くした表面処理媒体を提供することができる。図4に示すように、前記線条材65の軸が溝65bの端面で分離されると、それに伴って線条材65の端部65aも分離される。図3,4において、65cは、線条材65の本体部である。
本発明においては、前記溝65bは、好ましくは、前記線条材65の両端T1 ,T2 の面から同一のピッチで設けられ、かつ、同一の溝幅に設けられている。このように、前記溝が、前記線条材65の両端T1 ,T2 の面から同一のピッチで設けられ、かつ、同一の溝幅に設けられていると、前記線条材65の両端T1 ,T2 が摩耗されていくにつれて、前記線条材65の軸が前記溝65bの両端面で分離されて該線条材65の長さが全体として一定の長さになり、そのために、被処理物の外表面に均一な粗面化処理を施すことができる。
図2,5,7に示されているように、本発明においては、前記溝65bは、前記線条材65の両端近傍にそれぞれ複数かつ同数に設けられている。このように、前記溝65bが、前記線条材65の両端近傍にそれぞれ複数かつ同数に設けられていると、前記線条材65の両端が摩耗されていくにつれて、前記線条材65の軸が前記溝65bの両端面で複数回分離されて該線条材65の長さが全体として一定の長さになると共に、該表面処理媒体Aを構成する線条材65の軸が溝の端面ごとに複数回にわたり順次分離されて新たに生じた角度を持った溝の端面で次々と粗面化処理を施すことができるようになり、そのために、被処理物132の外表面に均一な粗面化処理を施すことができると共に、被処理物132の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体Aの粗面化処理能力の低下を防止し、使用寿命をいっそう長くした表面処理媒体を提供することができる。図5に示すように、前記線条材65の軸が溝65ba,65bbの端面ごとに複数回分離されると、それに伴って線条材65の端部65aa,65abも分離される。図3,4において、65cは、線条材65の本体部である。
本発明においては、前記溝65bの底面の断面形状は、好ましくは、V字状である。このように、前記溝65bの底面の断面形状が、V字状であると、前記表面処理媒体Aを構成する線条材65の軸がいっそう分離しやすくなり、そのために、被処理物132の外表面にいっそう均一な粗面化処理を施すことができる。
本発明においては、前記線条材65の外径は、好ましくは、0.5mm〜1.2mmである。このように、前記線条材65の外径が、0.5mm〜1.2mmであると、経年変化によっても被処理物132の外表面に形成された凹凸が摩耗しにくくなり、そのために、被処理物を現像スリーブとしたときに、該現像スリーブが、経年変化により現像剤の汲み上げ量が低下することを防止することができ、よって、経年変化によって、画像が薄くなることを防止できる。
本発明においては、前記線条材65は、好ましくは、ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料で構成されている。前記ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料は、例えば、オーステナイト系のステンレス鋼又はマルチンサイト系のステンレス鋼である。このように、前記線条材65が、ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料で構成されていると、表面処理媒体132の粗面化処理能力の低下をいっそう防止でき、使用寿命をいっそう長くした表面処理媒体を提供することができる。
本発明においては、前記被処理物132は、好ましくは、電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒形状物である。このように、前記被処理物132が、電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒形状物であると、経年変化によっても被処理物132の外表面に形成された凹凸が摩耗しにくくなって、該被処理物132、即ち、現像スリーブが経年変化により現像剤の汲み上げ量が低下することを防止でき、そのために、経年変化によって、画像が薄くなることを防止でき、よって、現像スリーブの経年変化により現像剤の搬送量の低下を抑制できるとともに、画像のムラが生じることを防止できる。
図6,7に示されているように、本発明の表面処理装置1は、磁性材からなる多数の表面処理媒体Aと、前記表面処理媒体Aを収容する収容槽9と、前記収容槽9内に前記表面処理媒体Aを移動させる回転磁場を発生させて、該回転磁場により、前記表面処理媒体Aを被処理物の外表面にランダムに衝突させる磁場発生手段8と、前記被処理物132を回転自在に把持する把持手段(チャック爪)40と、を有している。そして、前記収容槽9に収容する表面理媒体Aは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理媒体である。
このように、磁性材からなる多数の表面処理媒体Aと、前記表面処理媒体Aを収容する収容槽9と、前記収容槽9内に前記表面処理媒体Aを移動させる回転磁場を発生させて、該回転磁場により、前記表面処理媒体Aを被処理物の外表面にランダムに衝突させる磁場発生手段8と、前記被処理物132を回転自在に把持する把持手段(チャック爪)40と、を有している表面処理装置1において、前記収容槽9に収容する表面理媒体Aが、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理媒体Aであるので、被処理物132の外表面に電磁力を用いて繰り返し粗面化処理を施すと、該表面処理媒体Aを構成する線条材65の端部が磨耗してR形状になった後、その端部のR形状になった部分が削りとられて、該表面処理媒体Aを構成する線条材65の軸が溝65bの端面で分離されて生じた角度を持った溝65bの端面で粗面化処理を施すことができるようになり、そのために、被処理物132の外表面に電磁力を用いて粗面化処理を施す表面処理媒体Aの粗面化処理能力の低下を防止しつつ使用寿命を長くした表面処理媒体Aを提供することができることとなる。
次に、前記表面処理装置1について説明する。
図6,7に示すように、本発明の表面処理装置1は、ベース3と、固定保持部4と、移動手段としての電磁コイル移動部5と、移動保持部6と、移動チャック部7と、磁場発生部としての電磁コイル8と、収容槽9と、回収部10と、冷却部11と、検出手段としてのリニアエンコーダ75と、制御手段としての制御装置76(図7に示す)とを備えている。
ベース3は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース3の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース3の平面形状は、矩形状に形成されている。
固定保持部4は、ベース3の長手方向(以下、矢印Xで示す)の一端部から立設した複数の支柱12と、保持ベース13と、立設ブラケット14と、円筒保持部材15と、保持チャック16と、を備えている。
保持ベース13は、平板状に形成され、支柱12の上端に取り付けられている。立設ブラケット14は、平板状に形成され、保持ベース13から立設している。円筒保持部材15は、円筒状に形成され、立設ブラケット14と保持ベース13とに取り付けられている。円筒保持部材15は、その軸芯が水平方向と矢印Xとの双方と平行な状態でかつ前記立設ブラケット14よりベース3の中央部寄りに配置されている。円筒保持部材15は、内側に収容槽9の後述する一端部9aに取り付けられた後述するフランジ部材51b,51c,51d(即ち一端部9a)を収容する。
保持チャック16は、前述した円筒保持部材15即ち保持ベース13の近傍に配され、前述したベース3に取り付けられている。保持チャック16は、円筒保持部材15内に一端部9aが収容された収容槽9をチャックして、該収容槽9の一端部9aを保持する。前述した構成の固定保持部4は、収容槽9の一端部9aを保持する。
電磁コイル移動部5は、一対のリニアガイド17と、電磁コイル保持ベース18と、電磁コイル移動用アクチュエータ19と、を備えている。リニアガイド17は、レール20と、スライダ21とを備えている。レール20は、ベース3上に設置されている。レール20は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース3の長手方向即ち矢印Xと平行に配されている。スライダ21は、レール20に該レール20の長手方向即ち矢印Xに沿って移動自在に支持されている。一対のリニアガイド17は、レール20がベース3の幅方向(以下、矢印Yで示す)に沿って互いに間隔をあけて配されている。なお、矢印Xと矢印Yとは、勿論、互いに直交しているとともに、それぞれ水平方向と平行である。
電磁コイル保持ベース18は、平板状に形成され、前述したスライダ21上に取り付けられている。電磁コイル保持ベース18の上面は、水平方向と平行に配されている。電磁コイル保持ベース18は、電磁コイル8を表面上に設置する。電磁コイル移動用アクチュエータ19は、ベース3に取り付けられているとともに、前述した電磁コイル保持ベース18を矢印Xに沿って、スライド移動させる。前述した電磁コイル移動部5は、電磁コイル移動用アクチュエータ19により電磁コイル保持ベース18即ち電磁コイル8を矢印Yに沿ってスライド移動させる。また、電磁コイル移動部5による電磁コイル8の移動速度は、0mm/秒〜300mm/秒の間で変更可能である。さらに、電磁コイル移動部5の電磁コイル8の移動範囲は、600mm程度である。
移動保持部6は、一対のリニアガイド22と、保持ベース23と、第1アクチュエータ24と、第2アクチュエータ25と、移動ベース26と、軸受け回転部27と、保持チャック28と、を備えている。
リニアガイド22は、レール29と、スライダ30とを備えている。レール29は、ベース3上に設置されている。レール29は、直線状に形成されているとともに、その長手方向が矢印X即ちベース3の長手方向と平行に配されている。スライダ30は、レール29に該レール29の長手方向即ち矢印Xに沿って移動自在に支持されている。一対のリニアガイド22は、レール29が矢印Y即ちベース3の幅方向に沿って互いに間隔をあけて配されている。
保持ベース23は、平板状に形成され、前述したスライダ30上に取り付けられている。保持ベース23の上面は、水平方向と平行に配されている。第1アクチュエータ24は、ベース3に取り付けられているとともに、前述した保持ベース23を矢印Xに沿って、スライド移動させる。
第2アクチュエータ25は、保持ベース23に取り付けられているとともに、移動ベース26を矢印Yに沿って、スライド移動させる。移動ベース26は、平板状に形成され、その上面が水平方向と平行に配されている。
軸受け回転部27は、一対の軸受31と、芯軸としての中空保持部材32と、回転手段としての駆動用モータ33と、チャック用シリンダ34とを備えている。一対の軸受31は、矢印Xに沿って、互いに間隔をあけて配置されているとともに、移動ベース26上に設置されている。中空保持部材32は、磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、前述した軸受31により軸芯回りに回転自在に支持されている。中空保持部材32は、その軸芯が前述した矢印X即ち固定保持部4の円筒保持部材15の軸芯と平行に配置されている。中空保持部材32は、一端部32aが収容槽9内に位置するように移動ベース26上から固定保持部4に向かって突出した格好で、かつ、他端部32cが移動ベース26上に位置した状態に配されている。中空保持部材32は、図7に示すように、被処理物(円筒状の現像スリーブ)132内に通される。また、中空保持部材32の移動ベース26上に位置付けられた他端部32cには、プーリ35が固定されている。プーリ35は、中空保持部材32と同軸に配置されている。
駆動用モータ33は、移動ベース26に設置されているとともに、その出力軸にプーリ35,36が取り付けられている。駆動用モータ33の出力軸の軸芯は、矢印Xと平行である。前述したプーリ35,36には、無端状のタイミングベルト37が掛け渡されている。駆動用モータ33は、中空保持部材32を軸芯回りに回転させる。駆動用モータ33は、中空保持部材32を軸芯回りに回転させることで、被処理物(現像スリーブ)132を収容槽9の長手方向と平行な中空保持部材32の軸芯回りに回転させる。
チャック用シリンダ34は、移動ベース26に設置されたシリンダ本体38と、該シリンダ本体38にスライド自在に設けられたチャック軸39とを備えている。チャック軸39は、円柱状に形成されその長手方向が矢印Xと平行に配されている。チャック軸39は、中空保持部材32内に収容されているとともに、該中空保持部材32と同軸に配置されている。チャック軸39には、一対のチャック爪40が複数取り付けられている。
一対のチャック爪40は、チャック軸39の外周面から該チャック軸39の外周方向に突出する格好で、該チャック軸39に取り付けられている。また、チャック爪40は、中空保持部材32の外周面から該中空保持部材32の外周に向かって突出可能となっている。チャック爪40は、チャック軸39及び中空保持部材32からの突出量が変更自在に設けられている。複数対のチャック爪40は、前述したチャック軸39の長手方向即ち矢印Xに沿って、間隔をあけて配置されている。一対のチャック爪40は、チャック用シリンダ34のチャック軸39がシリンダ本体38に近づく方向に縮小すると、前述したチャック軸39及び中空保持部材32からの突出量が増加する。
前述したチャック用シリンダ34は、チャック軸39がシリンダ本体38に縮小することで、チャック爪40をよりチャック軸39の外周方向に突出させて、該チャック爪40を中空保持部材32の外周に取り付けられた現像スリーブ132の内周面に押圧させて、チャック軸39と中空保持部材32と現像スリーブ132とを固定する。このとき、勿論、チャック軸39と中空保持部材32と現像スリーブ132と後述の円筒部材50即ち収容槽9は、同軸になる。
前述したチャック用シリンダ34とチャック爪40は、中空保持部材32と収容槽9と同軸となるように現像スリーブ132を保持する。即ち、チャック用シリンダ34とチャック爪40は、現像スリーブ132を収容槽9の中心に保持する。前述したチャック用シリンダ34とチャック爪40と、中空保持部材32とは、特許請求の範囲に記載された保持手段をなしている。
保持チャック28は、前述した移動ベース26上に設置されている。保持チャック28は、収容槽9の他端部9bに取り付けられた後述のフランジ部材51aをチャックして、該収容槽9の他端部9bを保持する。保持チャック28は、収容槽9がその軸芯回りに回転することを規制する。
前述した構成の移動保持部6は、保持チャック28及び中空保持部材32などをアクチュエータ24,25により互いに直交する矢印X,Yに沿って移動させる。即ち、移動保持部6は、保持チャック28で保持した収容槽9を矢印X,Yに沿って移動させる。
移動チャック部7は、保持ベース41と、リニアガイド42と、保持チャック43とを備えている。保持ベース41は、リニアガイド22のレール29の固定保持部4寄りの端部に固定されている。保持ベース41は、平板状に形成され、その上面が水平方向と平行に配されている。
リニアガイド42は、レール44と、スライダ45とを備えている。レール44は、保持ベース41上に設置されている。レール44は、直線状に形成されているとともに、その長手方向が矢印Y即ちベース3の幅方向と平行に配されている。スライダ45は、レール44に該レール44の長手方向即ち矢印Yに沿って移動自在に支持されている。
保持チャック43は、スライダ45上に設置されている。保持チャック43は、前述した保持チャック16,28間に位置付けられている。保持チャック43は、収容槽9の他端部9b寄りの箇所をチャックして、該収容槽9を保持する。前述した移動チャック部7は、保持チャック43が収容槽9を保持することで、該収容槽9を位置決めする。また、移動チャック部7は、保持チャック43が収容槽9を保持することで、収容槽9が軸芯に沿って移動する際に、前述した保持チャック28と協働して収容槽9を保持して、該収容槽9が軸受け回転部27即ち表面処理装置1から脱落することを防止する。
電磁コイル8は、図7に示すように、円筒状に形成された外皮46と該外皮46内に配された複数のコイル部47とを備えて、全体として円環状に形成されている。電磁コイル8の内径は、収容槽9の外径より大きい。即ち、電磁コイル8の内周面と収容槽9の外周面との間には、空間が形成されている。また、電磁コイル8の軸芯方向の全長は、収容槽9の軸芯方向の全長より十分に短い。電磁コイル8の軸芯方向の全長は、収容槽9の軸芯方向の全長の2/3以下であるのが望ましい。図示例では、電磁コイル8の内径は、90mmであるとともに、電磁コイル8の軸芯方向の長さは、85mmである。
外皮46は、その軸芯即ち電磁コイル8自身の軸芯が矢印Xと平行な状態で前述した電磁コイル保持ベース18に取り付けられている。電磁コイル8は、中空保持部材32、チャック軸39及び収容槽9と同軸に配置されている。複数のコイル部47は、外皮46即ち電磁コイル8の周方向に沿って互いに並設されている。コイル部47は、図7に示す三相交流電源48により印加される。複数のコイル部47には互いに移送のずれた電力が印加されて、これらの複数のコイル部47が互いに位相のずれた磁場を発生する。そして、電磁コイル8は、これらの磁場を合成して形成される該電磁コイル8の軸芯回りの回転方向の磁場(回転磁場)を内側に生じさせる。
前述した電磁コイル8は、三相交流電源48から印加されて、回転磁場を発生するとともに、電磁コイル移動部5によりその軸芯即ち収容槽9の長手方向に沿って移動される。そして、電磁コイル8は、前述した回転磁場により、収容槽9内に収容された線条材65を現像スリーブ132の外周に位置付け、該線条材65を収容槽9及び現像スリーブ132の軸芯回りに回転(移動)させる。そして、電磁コイル8は、前述した回転磁場により移動させた線条材65を現像スリーブ132の外表面に衝突させる。
また、三相交流電源48と電磁コイル8との間には、磁場変更手段としてのインバータ49が設けられている。則ち、表面処理装置1は、磁場変更手段としてのインバータ49を備えている。インバータ49は、三相交流電源48が電磁コイル8に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更自在である。インバータ49は、電磁コイル8に印加する電力の周波数、電流値、電圧値を変更することで、三相交流電源48が電磁コイル8に印加する電力を増減させて、該電磁コイル8が発生する回転磁場の強さを変更する。
収容槽9は、図7に示すように、外壁が一重構造(外壁が一枚の壁からなること)の円筒部材50と、複数のフランジ部材51と、一対の削り屑封止ホルダ52と、一対の削り屑封止板53と、一対の位置決め部材54と、複数の仕切手段としての仕切部材55と、一対の封止板56とを備えている。
円筒部材50は、円筒状に形成されており、収容槽9の外殻を構成している。このため、収容槽9は、円筒部材50が一重構造に形成されていることで、外壁が一重構造に形成されているとともに、円筒状に形成されている。円筒部材50即ち収容槽9の外径は、40mm〜80mm程度であるのが望ましい。さらに、円筒部材50の肉厚は、0.5mm〜2.0mm程度であるのが望ましい。円筒部材50の軸芯方向の長さは、600mm〜800mm程度であるのが望ましい。円筒部材50は、非磁性体で構成されている。
円筒部材50には、複数の砥粒供給孔57が設けられている。砥粒供給孔57は、勿論、円筒部材50を貫通して、該円筒部材50の内外を連通している。砥粒供給孔57には、封止キャップ58が取り付けられている。砥粒供給孔57は、内側に線条材65を通して、該線条材65を円筒部材50即ち収容槽9に出し入れする。また、封止キャップ58は、砥粒供給孔57を塞いで、線条材65が円筒部材50即ち収容槽9の外部に流出することを規制する。
複数のフランジ部材51は、円環状又は円柱状に形成されている。複数のフランジ部材51のうち一つを除く大多数のフランジ部材51(図示例では、三つ)は、円筒部材50の一端部9aに取り付けられ、一つのフランジ部材51(以下、符号51aで示す)は、円筒部材50の他端部9bに取り付けられている。
円筒部材50の一端部9aに取り付けられた複数のフランジ部材51のうち一つのフランジ部材51(以下、符号51bで示す)は、円環状に形成され、かつ円筒部材50の外周に嵌合している。他の一つのフランジ部材51(以下、符号51cで示す)は、円環状に形成され、かつ前述したフランジ部材51bの外周に嵌合している。残りのフランジ部材51(以下、符号51dで示す)は、円環状のリング部59と、円柱状の円柱部60とを一体に備えている。リング部59は、円柱部60の外縁から立設した格好となっている。フランジ部材51dは、リング部59がフランジ部材51cの外周に嵌合している。
前述したフランジ部材51dには、軸受74により従動軸73が回転自在に支持されている。従動軸73は、円柱状に形成され、かつ収容槽9の円筒部材50と同軸に配されている。従動軸73は、端面に中空保持部材32が押し付けられる。従動軸73は、中空保持部材32とともに回転するとともに、該中空保持部材32の自由端としての一端部32aを支持する。
前述した一つのフランジ部材51aは、円環状に形成され、かつ円筒部材50の他端部9bの外周に嵌合している。フランジ部材51aは、内側に中空保持部材32を通している。なお、円筒部材50の一端部9aは、収容槽9の一端部をなしているとともに、円筒部材50の他端部9bは、収容槽9の他端部をなしている。
一対の削り屑封止ホルダ52は、それぞれ、円環状に形成されている。一方の削り屑封止ホルダ52は、円筒部材50の一端部9aの内周に嵌合し、他方の削り屑封止ホルダ52は、円筒部材50の他端部9bの内周に嵌合している。該他方の削り屑封止ホルダ52は、内側に中空保持部材32を通している。
一対の削り屑封止板53は、それぞれ、メッシュ状に形成されている。一方の削り屑封止板53は、円板状に形成され、かつ円筒部材50の一端部9aの内周に配されているとともに、前述した一方の削り屑封止ホルダ52に取り付けられている。さらに、一方の削り屑封止板53は、内側に従動軸73を通している。他方の削り屑封止板53は、円環状に形成され、かつ円筒部材50の他端部9bの内周に配されているとともに、前述した他方の削り屑封止ホルダ52に取り付けられている。他方の削り屑封止板53は、内側に中空保持部材32を通している。削り屑封止板53は、後述の線条材65が現像スリーブ132の外表面に衝突して、該現像スリーブ132から削りとられて形成される削り屑が円筒部材50即ち収容槽9外に漏れ出ることを規制する。
一対の位置決め部材54は、円筒状に形成されている。一方の位置決め部材54は、中空保持部材32の自由端である一端部32aの外周に嵌合している。他方の位置決め部材54は、円筒部材50内に位置しかつ他端部9b寄りの中空保持部材32の中央部32bの外周に嵌合している。一対の位置決め部材54は、互いに間に現像スリーブ132を挟んで、該現像スリーブ132を中空保持部材32に位置決めする。なお、一端部32aは、中空保持部材32の固定保持部4寄りでかつ移動保持部6から離れた側の端部をなしている。中央部32bは、収容槽9内でかつ中空保持部材32の固定保持部から離れた側であるとともに移動保持部6寄りの端部をなしている。
仕切部材55は、円環状に形成された本体部61と、メッシュ部62とを備えている。本体部61即ち仕切部材55は、円筒部材50の内周に嵌合して、該円筒部材50に取り付けられているとともに、内側に中空保持部材32を通している。本体部61即ち複数の仕切部材55は、一対の削り屑封止板53間に配されている。また、本体部61即ち複数の仕切部材55は、円筒部材50の軸芯P即ち長手方向に沿って、互いに間隔をあけて、並設されている。図示例では、仕切部材55は、7つ設けられている。
本体部61には、貫通孔63が設けられている。メッシュ部62は、貫通孔63を塞ぐ格好で本体部61に取り付けられている。メッシュ部62は、メッシュ状に形成されており、気体と削り屑が通ることを許容するとともに、線条材65が通ることを規制する。
前述した複数の仕切部材55は、円筒部材50内即ち収容槽9内の空間を、該円筒部材50即ち収容槽9の軸芯即ち現像スリーブ132の軸芯Pに沿って、仕切っている。また、軸芯Pは、収容槽9の軸芯と中空保持部材32の軸芯との双方をなしているとともに、収容槽9の長手方向をなしている。即ち、軸芯Pと収容槽9の長手方向とは、互いに平行である。さらに、前述した本体部61とメッシュ部62との双方即ち仕切部材55は、非磁性体で構成されている。
一対の封止板56は、円環状に形成されている。また、封止板56は、メッシュ状に形成されているとともに、気体と削り屑が通ることを許容するとともに、線条材65が通ることを規制する。一方の封止板56は、最も一端部9a寄りの仕切部材55に取り付けられているとともに、他方の封止板56は、最も他端部9b寄りの仕切部材55に取り付けられている。封止板56は、内側に現像スリーブ132の両端に取り付けられた後述するキャップ64を通す。封止板56は、仕切部材55間に位置付けられた線条材65を通すことを規制して、該線条材65の円筒部材50即ち収容槽9の外部への流出を規制する。
前述した構成の収容槽9は、複数の仕切部材55間に磁性体で構成される線条材65を収容するとともに、中空保持部材32に取り付けられた現像スリーブ132を円筒部材50内に収容する。即ち、収容槽9は、現像スリーブ132と線条材65との双方を収容する。また、線条材65は、前述した回転磁場により現像スリーブ132の外周を回転(移動)するなどして、現像スリーブ132の外表面に衝突する。線条材65は、現像スリーブ132の外表面に衝突して、現像スリーブ132の外表面から該現像スリーブ132の一部を削り取り、該現像スリーブ132の外表面を粗面化する。
回収部10は、図7に示すように、気体流入管66と、気体排出用孔67と、メッシュ部材68と、気体排出用ダクト69と、集塵機70(図6に示す)とを備えている。気体流入管66は、他方の削り屑封止ホルダ52より円筒部材50即ち収容槽9の端(移動保持部6)寄りに設けられ、円筒部材50即ち収容槽9の内部に開口している。気体流入管66は、図示しない加圧気体供給源から加圧された気体などが供給される。気体流入管66は、加圧された気体を円筒部材50即ち収容槽9内に導く。
気体排出用孔67は、円筒部材50を貫通して、収容槽9の内外を連通しているとともに、一方の削り屑封止ホルダ52より円筒部材50即ち収容槽9の端寄り(移動保持部6から離れた側)に設けられている。メッシュ部材68は、気体排出用孔67を塞いだ格好で、円筒部材50に取り付けられている。メッシュ部材68は、削り屑と気体とが通ることを許容し、線条材65が通ることを規制する。メッシュ部材68は、線条材65が円筒部材50即ち収容槽9の外部に流出することを規制する。
気体排出用ダクト69は、配管であるとともに、気体排出用孔67の近傍に取り付けられている。気体排出用ダクト69は、気体排出用孔67の外縁を囲んでいる。気体排出用孔67及び気体排出用ダクト69は、気体流入管66から円筒部材50即ち収容槽9内に供給された気体を、円筒部材50即ち収容槽9の外部に導く。
集塵機70は、気体排出用ダクト69に接続しているとともに、該気体排出用ダクト69内の気体を吸引する。集塵機70は、気体排出用ダクト69内の気体を吸引することで、円筒部材50即ち収容槽9内の気体を前述した削り屑とともに吸引する。集塵機70は、削り屑を回収する。前述した回収部10は、気体流入管66を通して円筒部材50即ち収容槽9内に気体を供給し、該気体と集塵機70により気体排出用孔67と気体排出用ダクト69を通して、削り屑を円筒部材50即ち収容槽9の外部に導く。そして、回収部10は、集塵機70に削り屑を回収する。
冷却部11は、図6に示すように、冷却用ファン71と、冷却用ダクト72とを備えている。冷却用ファン71は、加圧された気体を冷却用ダクト72に供給する。冷却用ダクト72は、配管である。冷却用ダクト72は、冷却用ファン71から供給された加圧された気体を電磁コイル8に導く。冷却用ダクト72は、冷却用ファン71から供給された加圧された気体を、電磁コイル8に吹き付ける。冷却部11は、加圧された気体を電磁コイル8に吹き付けて、該電磁コイル8を冷却する。
リニアエンコーダ75は、図7に示すように、本体部77と、該本体部77に移動自在に設けられた検出子78とを備えている。本体部77は、直線状の延在しており、ベース3に取り付けられている。本体部77は、レール20と平行に、該一対のレール20間に配置されている。本体部77の全長は、前述した収容槽9より長い。本体部77は、長手方向の両端部が前述した収容槽9より該収容槽9の長手方向に沿って外側に突出した位置に配置されている。
検出子78は、本体部77則ち収容槽9の長手方向に沿って移動自在に設けられている。検出子78は、電磁コイル保持ベース18に取り付けられている。則ち、検出子78は、電磁コイル保持ベース18を介して、電磁コイル8に取り付けられている。
前述したリニアエンコーダ75は、本体部77則ち収容槽9に対する検出子78の位置を検出して、該検出した結果を制御装置76に向かって出力する。このように、リニアエンコーダ75は、電磁コイル8の収容槽9則ち現像スリーブ132に対する相対的な位置を検出して、検出結果を制御装置76に向かって出力する。
制御装置76は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置76は、電磁コイル移動部5と、移動保持部6と、移動チャック部7と、電磁コイル8と、インバータ49と、回収部10と、冷却部11と、リニアエンコーダ75などと接続しており、これらを制御して、表面処理装置1全体の制御を司る。
制御装置76は、リニアエンコーダ75の検出した電磁コイル8の現像スリーブ132に対する相対的な位置に応じた電磁コイル8の回転磁場の強さを記憶している。則ち、制御装置76は、電磁コイル8の現像スリーブ132に対する相対的な位置に応じたインバータ49が電磁コイル8に印加する電力を記憶している。また、制御装置76は、前述した電力を現像スリーブ132の品番毎に記憶している。
図示例では、制御装置76は、電磁コイル8が現像スリーブ132の長手方向(軸方向)の中央部から両端部に向かうにしたがって、インバータ49が電磁コイル8に印加する電力を徐々に大きくするパターンを予め記憶している。そして、制御装置76は、予め記憶した前述した電力のパターン通りにインバータ49に電磁コイル8の発生する回転磁場の強さを変更させる。このように、図示例では、制御装置76は、現像スリーブ132の両端部を加工する際の回転磁場が、現像スリーブ132の中央部を加工する際の回転磁場より強くなるように、インバータ49に電磁コイル8の発生する磁場の強さを変更させる。前述したように、制御装置76は、リニアエンコーダ75が検出した電磁コイル8の収容槽9則ち現像スリーブ132に対する相対的な位置に基づいて、インバータ49に電磁コイル8の発生する回転磁場の強さを変更させる。
さらに、制御装置76には、キーボードなどの各種の入力装置や、ディスプレイなどの各種の表示装置が接続している。
次に、前述した構成の表面処理装置1を用いて現像スリーブ132の外表面を処理(粗面化)して、現像スリーブ132を製造する工程を、以下説明する。
まず、制御装置76に入力装置から現像スリーブ132の品番などを入力する。そして、現像スリーブ132の長手方向(軸方向)の両端の外周に円筒状のキャップ64を嵌合させる。そして、前述した他方の位置決め部材54を中空保持部材32の外周に嵌合させる。そして、両端にキャップ64が取り付けられた現像スリーブ132内に中空保持部材32を通す。その後、前述した一方の位置決め部材54を中空保持部材32の外周に嵌合させる。そして、チャック用シリンダ34のチャック軸39を縮小させて、中空保持部材32に現像スリーブ132を固定する。このとき、中空保持部材32と現像スリーブ132などが同軸になる。こうして、現像スリーブ132を中空保持部材32に取り付ける。
そして、収容槽9内に現像スリーブ132及び中空保持部材32を収容するとともに、収容槽9の円筒部材50内に線条材65を供給する。こうして、収容槽9内に線条材65及び現像スリーブ132を収容する。さらに、収容槽9を保持チャック28,43でチャックする。こうして、移動保持部6に現像スリーブ132と収容槽9とを取り付ける。すると、収容槽9の円筒部材50と中空保持部材32と現像スリーブ132などが同軸になる。
前述した作業は、勿論、アクチュエータ24,25で移動ベース26の位置を調整しながら行われる。さらに、前述した作業は、勿論、保持ベース41の位置を調整しながら行われる。保持チャック16で収容槽9の一端部9aをチャックさせるなどして、固定保持部4に収容槽9の一端部9aを保持させる。
そして、回収部10の気体流入管66を通して収容槽9内に気体を供給するとともに、集塵機70で収容槽9内の気体を吸引するとともに、冷却部11に加圧された気体を電磁コイル8に吹き付けさせる。
そして、駆動用モータ33で中空保持部材32とともに現像スリーブ132を軸芯P回りに回転させる。その後、電磁コイル8に三相交流電源48からの電力を印加して、電磁コイル8に回転磁場を発生させる。すると、電磁コイル8の内側に位置する線条材65が自転しながら軸芯P回りに公転(回転即ち移動)して、該線条材65が現像スリーブ132の外表面に衝突して、該現像スリーブ132の外表面を粗面化する。
そして、電磁コイル移動部5が、適宜、電磁コイル8を軸芯Pに沿って移動する。すると、電磁コイル8の内側に侵入した線条材65が前述した回転磁場により移動(自転及び公転)するとともに、電磁コイル8の内側から抜け出た線条材65が停止する。また、仕切部材55が収容槽9内の空間を仕切っているので、線条材65が仕切部材55を越えて移動することが規制され、電磁コイル8の内側から抜け出た線条材65が前述した回転磁場内から抜け出ることとなる。さらに、電磁コイル移動部5が予め定められた所定の回数電磁コイル8を矢印Xに沿って往復移動させると、現像スリーブ132の外表面の粗面化が終了する。
さらに、電磁コイル8が現像スリーブ132の中央部から両端部に向かうにしたがって、電磁コイル8の発生する回転磁場が強くなる。回転磁場が強くなるにしたがって、線条材65の動きが激しくなる。すると、回転磁場が強くなるのにしたがって、線条材65がより勢い良く現像スリーブ132に衝突して、該現像スリーブ132の外表面の表面粗さがより粗くなる。
前述した現像スリーブ132の外表面の粗面化が終了すると、電磁コイル8への電力の印加を停止するとともに、駆動用モータ33を停止する。さらに、回収部10と冷却部11とを停止する。そして、固定保持部4の保持チャック16の収容槽9の保持を解除するとともに、移動チャック部7の保持チャック43と移動保持部6の保持チャック28とが収容槽9を保持したまま、第1アクチュエータ24で移動ベース26を矢印Xに沿って固定保持部4から離す。すると、収容槽9が固定保持部4から離れる。そして、収容槽9内から外表面の粗面化が終了した現像スリーブ132を取り出して、新たな現像スリーブ132を収容槽9内に収容する。こうして、現像スリーブ132の外表面の粗面化を行って、外表面の表面粗さが中央部から両端部に向かうにしたがって徐々に粗くなる現像スリーブ132(図7に示す)が得られる。
本発明の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の説明図である。 本発明の他の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の説明図である。 本発明の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材で被処理物の表面を粗面化処理する状態を説明する説明図であって、(a)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突する状態を示し、そして、(b)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突してその線条材の端面が磨耗した状態を示す。 本発明の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の軸を分離する状態を説明する説明図であって、(a)は、軸が繋がったした状態を示し、そして、(b)は、軸が分離した状態を示す。 本発明の他の一実施の形態を示す表面処理媒体を構成する線条材の軸を分離する状態を説明する説明図であって、(a)は、軸が繋がったした状態を示し、(b)は、一つ目の軸が分離した状態し、(c)は、二つ目の軸が分離した状態を示す。 本発明の一実施の形態を示す表面処理装置の概略斜視図である。 図6中のII−II線に沿う断面図である。 従来の表面処理装置において用いられる表面処理媒体を構成する線条材の説明図である。 従来の表面処理媒体で被処理物の表面を粗面化処理する状態を説明する説明図であって、(a)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突する状態を示し、そして、(b)は、表面処理媒体を構成する線条材の端面が被処理物に衝突して線条材の先端が磨耗した状態を示す。
符号の説明
65 表面処理媒体を構成する線条材
65a 線条材の端部
65b 線条材の溝
65c 線条材の本体部
T1,T2 線条材の両端

Claims (10)

  1. 被処理物の外表面に粗面化処理を施す表面処理媒体において、
    (イ)前記表面処理媒体が、磁性体で構成される円柱状の短線よりなる線条材からなり、そして、
    (ロ)前記線条材が、その両端近傍に円周方向に設けられた1つ又は2つ以上の溝を有している
    ことを特徴とする表面処理媒体。
  2. 前記溝が、前記線条材の両端面から同一のピッチで設けられ、かつ、同一の溝幅に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理媒体。
  3. 前記溝が、前記線条材の両端近傍にそれぞれ複数かつ同数に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理媒体。
  4. 前記溝の底面の断面形状が、V字状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面処理媒体。
  5. 前記線条材の外径が、0.5mm〜1.2mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面処理媒体。
  6. 前記線条材が、ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料で構成されていること特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面処理媒体。
  7. 前記ビッカース硬度で120[Hv]以上の硬度を有している材料が、オーステナイト系のステンレス鋼又はマルチンサイト系のステンレス鋼であること特徴とする請求項6に記載の表面処理媒体。
  8. 前記被処理物が、電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒形状物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理媒体。
  9. 磁性材からなる多数の表面処理媒体と、
    前記表面処理媒体を収容する収容槽と、
    前記収容槽内に前記表面処理媒体を移動させる回転磁場を発生させて、該回転磁場により、前記表面処理媒体を被処理物の外表面にランダムに衝突させる磁場発生手段と、
    前記中空円筒形状物を回転自在に把持する把持手段と、
    を有する表面処理装置において、
    前記表面理媒体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表面処理媒体であることを特徴とする表面処理装置。
  10. 前記被処理物が、電子写真装置の現像装置に用いられる中空円筒形状物であることを特徴とする請求項9に記載の表面処理装置。
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