JP2008068098A - 揮散容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】薬液含浸体の裏面の全体に薬液を均一に含浸でき、しかも構成が簡単で安価に得ることができ、さらに薬液含浸体に、薬液の含浸により膨潤やソリが生じてもこれがゆがむことなく収納できるようにする。
【解決手段】板状の薬液含浸体2の表側を沿わせる揮散窓3を有する枠体4と、揮散窓に沿わせた状態の薬液含浸体の背面をリブ5aを介して押圧しながら枠体の裏側を閉じる蓋体5とからなり、かつ薬液含浸体の背面側を蓋体との間の上記リブにより構成される隙間に対向させた。
【選択図】図2
【解決手段】板状の薬液含浸体2の表側を沿わせる揮散窓3を有する枠体4と、揮散窓に沿わせた状態の薬液含浸体の背面をリブ5aを介して押圧しながら枠体の裏側を閉じる蓋体5とからなり、かつ薬液含浸体の背面側を蓋体との間の上記リブにより構成される隙間に対向させた。
【選択図】図2
Description
本発明は、殺虫剤、防虫剤、芳香剤、消臭剤、防黴剤等、揮散性を有する薬液を含浸させ、この薬液を長時間にわたって揮散させるようにすると共に、この薬液を繰り返し補充して用いられ、さらに、板状に形成される薬液含浸体を収納して壁掛けやスタンドとして装飾的に用いる揮散容器に関するものである。
従来のこの種の揮散容器としては、特許文献1、特許文献2及び特許文献3等に示されたものがあり、上記特許文献1のものは、容器にいれた香料液に端部を接触または浸漬してなる吸水性材料を、額縁の背面に取り付けた構成となっている。また特許文献2のものは、多孔体からなる薬液含浸体が揮散窓を有する枠体内に収納され、この薬液含浸体の背面に保液性部材を接触させ、この保液性部材に薬液を貯留して長時間にわたって含浸体の表側からの揮散効果が得られるようにしている。さらに上記特許文献3のものは、放散孔を有する表蓋と裏蓋とからなる装身具内に板状の芳香材を内装した構成となっており、この芳香材に香料吸収材を用い、これに香料を吸収させて、繰り返し使用するようにしている。
上記従来の薬液含浸体及び揮散容器のうち、特許文献1のものにあっては、揮散面が壁側に来ざるを得ず、このため揮散効果を十分に発揮できず、また壁への薬剤の汚染の恐れがあった。また特許文献2のものにあっては、補充された薬液は含浸体と容器との間にある空間内に一旦ためられるようになっていて、含浸体と容器の間に密閉性が要求される関係上、容器の一部が薬液含浸体内に埋め込まれた構成となっていて、製造上の制約が生じ、コスト高となる問題がある。
またこの従来の技術の特許文献2において、薬液をためるための空間内にスポンジ等の保液性部材を収納させているものがあるが、これは単に上記空間内にためられる薬液が徐々に薬液含浸体側に浸透させるためのものであって、上記した密閉性を必要とする点においては同様である。そして特に、この従来の技術のものにあっては、薬液含浸体の背面の略中央部に単にスポンジ等の保液性部材を部分的に接触させるだけの構成となっていて、保液性部材から薬液含浸体への薬液の補充は部分的にしか行われず、この補充された部分から、薬液含浸体内を通ってこの薬液含浸体全体に浸透するようになっているため、薬液含浸体の形状は同心円状の円形か、または正方形のように、中心点から周縁までの距離が略同一になるようにした形状とせざるを得ず、その正面形状を長方形や長楕円形にする等のデザイン上の自由度が低かった。またこのものは、上記したように、容器の一部を薬液含浸体内に埋め込む構成となっていることにより、薬液含浸体を構成する素材は、薬液の含浸によって膨潤したり、ソリが生じてしまうようなものは不向きで、薬液含浸体としての構成素材が限定されてしまうという問題があった。
さらに上記特許文献3の従来のものにあっては、香料吸収材に香料を吸収させるだけであることにより、この香料吸収材より香料が漏れ出してしまい、衣服等周囲を汚染してしまうことがあった。
本発明は上記のことにかんがみなされたもので、薬液含浸体を、これの裏面の全体に薬液を均一に含浸することができ、しかも構成が簡単で安価に得ることができると共に、薬液含浸体に、薬液の含浸により膨潤やソリが生じても、これがゆがむことなく収納できる揮散容器を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、板状の薬液含浸体の表側を沿わせる揮散窓を有する枠体と、揮散窓に沿わせた状態の薬液含浸体の背面をリブを介して押圧しながら枠体の裏側を閉じる蓋体とからなり、かつ薬液含浸体の背面側を蓋体との間の上記リブにより構成される隙間に対向させた構成となっている。
この構成では、薬液含浸体の背面に注入された薬液は蓋体に阻害されることなく浸透される。またこのとき、薬液含浸体が薬液の含浸により膨潤したりソリにより変形したとしても、これが蓋体にて押さえられることにより、この変形が矯正されて枠体内に収納される。
本発明に係る揮散容器は、背面にシート部材を接触させた薬液含浸体を、これの背面側に隙間をあけて収納することができ、これにより、シート部材に注入された薬液は揮散容器に阻害されることなく浸透され、シート部材から薬液含浸体への薬液の含浸がこれの全面にわたって均一に行われる。また容器内に収納された薬液含浸体は蓋体を介してリブにて押さえ付けられることにより、薬液の含浸により変形してもソリ等が生じることなく収納される。また、この揮散容器は収納された薬液含浸体をリブを介して蓋体にて押圧するようになっているので、構成が簡単で安価に得ることができる。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図中1は揮散容器、2はこの揮散容器1内に収納される薬液含浸体である。揮散容器1は正面側に揮散窓3を設け、正面形状が四角形となった枠体4と、この枠体4の背面側を閉じ、上記薬液含浸体2をリブ5aを介して押えて保持する蓋体5とからなっている。そしてこの揮散容器1を壁掛けとして用いる場合には、図2に示すように、これの背面に設けた係合突起5bに壁掛け片6を係合し、またスタンドとして用いる場合には、図3に示すように、上記係合突起5bにスタンド部材7を係合する。なお、この壁掛け片6とスタンド部材7は同一部材にて構成し、これを使用状態によって図2に示す壁掛け用に用いたり、図3に示すスタンド用に用いるようにしてもよい。
上記揮散容器1の枠体4の縁部の断面形状は背面側を開放した略L字状になっており、その内側の背面側に、この揮散容器1内に収納される薬液含浸体2が当接される突条8が形成されている。上記蓋体5は枠体4の内側に圧入されるようになっている。そしてこの蓋体5の略中央には薬液注入用の穴9が設けてある。なおこの穴9は、後述するように、揮散容器1をこれの蓋体5を上側にした水平状態にしてこの穴9から薬液を注入する場合には、この実施例のように、蓋体5の略中央に設けた方がよいが、揮散容器1を垂直にして、あるいはこれの蓋体5を上側にして傾斜させた状態で上記穴9から薬液を注入するようにした場合には、この姿勢における上側にこの穴9を設ける。
薬液含浸体2は無機あるいは有機の多孔体よりなり、上記枠体4の揮散窓4の開口形状と略相似形で、かつこの揮散窓4より大きい板状に形成されている。そしてこの薬液含浸体2の背面の略全面には、この薬液含浸体2よりも薬液の浸透速度が速く、かつ、薬液の保持能力が低い材料、例えば紙、不織布、布などの繊維体にてシート状に構成されたシート部材10が接触されている。このシート部材10の接触手段としては、単なる当接、あるいは接着、融着、嵌合等がある。なお、単なる当接以外の手段の場合、この接触手段にてシート部材10から薬液含浸体2側への薬液の含浸が阻害されてはならないので、接着や融着は点状に行う必要がある。
上記シート部材10を構成する繊維体の繊維は方向性を有しており、このシート部材10の中心部に薬液を滴下したときの周囲への浸透速度が、繊維方向に従って、縦方向あるいは横方向に異なるようになっている。すなわち繊維方向と、繊維と直角方向とでは、繊維方向の方が薬液の浸透速度が速い(浸透しやすい)。
上記構成において、薬液含浸体2を揮散窓3に沿わせて枠体4に入れ、蓋体5を枠体4に圧入嵌合することにより、薬液含浸体2は枠体4の内側の背面部に設けられた突条8に当接し、背面を蓋体5のリブ5aにて押されて揮散容器1内に収納される。この状態で図4に示すように、略水平状態にして蓋体5の穴9から薬液ボトル11の薬液をシート部材10に滴下により注入する。
注入された薬液はシート部材10に吸収され、素早くシート部材10の全体に浸透して広がり、速やかに薬液含浸体2の全面にわたって含浸され、この薬液含浸体2に含浸された薬液は揮散容器1の開口窓3から揮散される。このとき、シート部材10の背面側には蓋体5との間の隙間があることにより、このシート部材10に注入された薬液は蓋体5に付着することなく、全量シート部材10側に吸収される。
またこのとき、シート部材10に注入された薬液は注入点から周囲に向けて浸透していくが、その浸透速度は、シート部材10の繊維方向の方が浸透されやすく、速く浸透されていく。
このことから上記実施の形態では揮散容器1の揮散窓3の形状、従ってこれと相似形の薬液含浸体2の形状は、略正四角形の場合を示したが、これは横方向あるいは縦方向に長い形状にした四角形、または楕円形、さらにそれ以外の異形のものであってもよく、この場合、上記したようにこの各薬液含浸体2の背面に接触させるシート部材10の繊維方向はこれの形状の長い方に向くように接触させる。
図5、図6はそれぞれ本発明に係る揮散容器の他の実施の形態を示すもので、図5に示すものは、蓋体5にばね12にて付勢されるようにしたトレイ13を設け、このトレイ13にて薬液含浸体2の背面側をばね付勢するようになっている。
薬液含浸体2は薬液の含浸によって膨張されるが、その膨張率は表側と裏側とで異なる。このためこの薬液含浸体2は薬液の含浸によってソリ等の変形が生じるが、この薬液含浸体2は図2,図3に示すようにリブ5aにて、また図5に示すようにトレイ13を介してばね12にて常時押えられていることにより、この薬液含浸体2の使用中の変形が抑制される。
図6に示す実施の形態は薬液含浸体2の表面に不透過膜からなるヨットや雲等の形状にした揮散調整材14を貼り付けたものを示す。薬液含浸体2はこの揮散調整材14により、その揮散面積が縮小される。つまり、揮散調整材14にて揮散量が調節される。
なお、薬液含浸体2の揮散面積を調節するための手段としては、薬液含浸体2の表面に溝を付けたりバスタブ型の彫り込みを入れたり、さらに凹凸部を設けたり、貫通穴を設ける等の手段がある。
次に、シート部材10を接触させた薬液含浸体2に、このシート部材10側へ薬液を注入したときの薬液の浸透状態を下記の実験例にて示す。
(実験例1)
大きさが85mm×85mm×5mmの板状コルクからなる薬液含浸体に、大きさが80mm×80mmの各種の不織布を接触させ、水平状で、このシート部材側の中央部に、4.5gのローズ系香料を一気に滴下した。このときの各種の不織布における含浸時間を表1に示す。この表1で明らかなように、各種の不織布を接触させた場合の薬液含浸体への薬液の含浸時間はいずれも14〜17秒と短く、しかも液漏れも生じなく、不織布を接触させない場合に比べて薬液の含浸効果が大きい。
大きさが85mm×85mm×5mmの板状コルクからなる薬液含浸体に、大きさが80mm×80mmの各種の不織布を接触させ、水平状で、このシート部材側の中央部に、4.5gのローズ系香料を一気に滴下した。このときの各種の不織布における含浸時間を表1に示す。この表1で明らかなように、各種の不織布を接触させた場合の薬液含浸体への薬液の含浸時間はいずれも14〜17秒と短く、しかも液漏れも生じなく、不織布を接触させない場合に比べて薬液の含浸効果が大きい。
(実験例2)
実験例1の場合と同じ大きさの薬液含浸体に、これと同じ大きさのシンワ社製の不織布ハイボン2550を接触させたものを用い、この薬液含浸体が水平状態と45°傾斜された場合でのそれぞれの繊維方向と、繊維方向と直角方向へのメトキシメチルブタノールの広がり方を調べた。
実験例1の場合と同じ大きさの薬液含浸体に、これと同じ大きさのシンワ社製の不織布ハイボン2550を接触させたものを用い、この薬液含浸体が水平状態と45°傾斜された場合でのそれぞれの繊維方向と、繊維方向と直角方向へのメトキシメチルブタノールの広がり方を調べた。
水平に含浸させる場合は、1.5gのメトキシメチルブタノールを不織布の中央に一気に、及び一滴ずつ滴下した。その結果を表2に示す。水平状態では繊維方向への薬液の広がりの方が繊維方向と直角方向より大きかった。
薬液含浸体を45°傾斜させる場合は、不織布側を上側に向け、これの上端の中央に1.0gのメトキシメチルブタノールを一気に、及び一滴ずつ滴下した。その結果を表3、表4に示す。表3は薬液を一気に滴下した場合であり表4は一滴ずつ滴下した場合である。両表において繊維方向を垂直方向(傾斜方向)にした場合は、繊維方向へ薬液が大きいことと、これの重量が作用することにより、その広がりが大きく、逆に繊維と直角方向への広がりは小さかった。一方繊維方向を水平方向にした場合は一滴ずつ滴下した場合は、両繊維方向とも略同じになり、薬液が広がりにくい水平方向へも、垂直方向と略同一に広げることができることがわかった。一気に滴下した場合は、滴下時の慣性があることにより、繊維方向を水平にした場合でも、上下方向となる繊維方向と直角方向の広がりが大きかった。しかし、このときの薬液は下側からこぼれることがなかった。
1…揮散容器、2…薬液含浸体、3…揮散窓、4…枠体、5…蓋体、5a…リブ、5b…係合突起、6…壁掛け片、7…スタンド部材、8…突条、9…穴、10…シート部材、11…薬液ボトル、12…ばね、13…トレイ、14…揮散調整材。
Claims (1)
- 板状の薬液含浸体の表側を沿わせる揮散窓を有する枠体と、揮散窓に沿わせた状態の薬液含浸体の背面をリブを介して押圧しながら枠体の裏側を閉じる蓋体とからなり、かつ薬液含浸体の背面側を蓋体との間の上記リブにより構成される隙間に対向させたことを特徴とする揮散容器。
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