JP2008063754A - 既存壁の補強構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】既存壁の剛性を増大させるとともに、労力を削減することができる既存壁の補強構造を提供すること。
【解決手段】本発明の既存壁の補強構造は、予め板状に成型された補強壁10を具え、補強壁10が既存壁11の少なくとも片面全面を覆う態様で配置され、梁21及び柱22に支持されている。上記構造により、既存壁11と補強壁10との接触面を接着しなくても、地震時における既存壁11のひずみを防止することが可能になり、従来のように補強壁10と既存壁11との接触面を接着する作業や既存壁面の下地処理等を最小限度に減らすことができ、補強作業の労力を大幅に削減することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の既存壁の補強構造は、予め板状に成型された補強壁10を具え、補強壁10が既存壁11の少なくとも片面全面を覆う態様で配置され、梁21及び柱22に支持されている。上記構造により、既存壁11と補強壁10との接触面を接着しなくても、地震時における既存壁11のひずみを防止することが可能になり、従来のように補強壁10と既存壁11との接触面を接着する作業や既存壁面の下地処理等を最小限度に減らすことができ、補強作業の労力を大幅に削減することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、梁と柱とで囲まれた領域に設置された既存壁の補強構造に関する。
従来、建造物の耐震補強として、梁と柱とで囲まれた領域に鉄筋コンクリートの補強壁を新設したり、開口内に既存の壁が設置されている場合には、この既存壁の片面又は両面にコンクリートを増打ちすることにより既存壁の厚みを増加させることが行われている。上記補強壁の新設やコンクリートの増打ちを行う場合、鉄筋の組み込みや型枠の取付け・解体に多くの手間を要するとともに、コンクリートの養生に相当の期間を要し、その結果、作業完了までに長期間を要するという問題がある。
上記のコンクリート補強壁の新設やコンクリートの増打ちによらない耐震補強として、シート状又は板状の補強材を既存壁の壁面に接着する方法があり、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1では、帯状に形成された複数の補強板を既存壁の壁面に上下に間隔をあけて平行に接着することによって、既存壁の補強を行っている。
補強材を既存壁の壁面に接着する方法では、地震時に既存壁に作用する力を確実に補強材に伝達させる必要がある。そのため、補強材の剥離防止のために、補強材をボルトで柱や梁に固定しなければならず、柱や梁にボルト穴をあける工事が必要とされるほか、補強材を既存壁の表面に密着にさせるために、既存壁表面の下地処理といった種々の処理が必要となり、多くの労力を要するという問題は依然として解決されていない。
また、特許文献1の補強構造においては、帯状の板が既存壁面に沿って上下に間隔をあけて平行に配置されているだけなので、横方向の伸びを伴わない変形に弱いという問題がある。また、既存壁との接触面を接着する作業に加えて、補強板の両端部を定着部材によって既存壁面に固定する作業も行わなければならず、労力が軽減されていない。
また、特許文献1の補強構造においては、帯状の板が既存壁面に沿って上下に間隔をあけて平行に配置されているだけなので、横方向の伸びを伴わない変形に弱いという問題がある。また、既存壁との接触面を接着する作業に加えて、補強板の両端部を定着部材によって既存壁面に固定する作業も行わなければならず、労力が軽減されていない。
本発明は、上記の点に鑑み、既存壁の剛性を増大させるとともに、補強作業の労力を削減することができる既存壁の補強構造を提供することを目的とする。
本発明の既存壁の補強構造は、既存建物の梁と柱とで囲まれた領域に設置された既存壁の補強構造であって、予め板状に成型された補強壁を具え、該補強壁を前記既存壁の少なくとも片面全面を覆う態様で配置し、該補強壁を前記梁及び柱に支持させたことを特徴とする。
また、本発明の請求項2の既存壁の補強構造は、上記請求項1において、前記補強壁が複数のパネルからなり、該パネルの互いに隣接する部分を接着することにより構築したものであることを特徴とする。
また、本発明の請求項3の既存壁の補強構造は、上記請求項1又は2において、前記既存壁と補強壁との接触面における周縁部を接着したことを特徴とする。
また、本発明の請求項4の既存壁の補強構造は、上記請求項1から3のいずれか一つにおいて、前記補強壁が炭素繊維補強樹脂製であることを特徴とする。
本発明の既存壁の補強構造によれば、板状に成型された補強壁を既存壁の少なくとも片面全面を覆う態様で配置し、この補強壁を梁及び柱に支持させることにより、地震時に梁及び柱に作用する力を補強壁に直接伝達させる構造としたので、既存壁と補強壁との接触面を接着しなくても、地震時における既存壁のひずみを防止することが可能となり、既存壁の剛性を増大させることができる。その結果、従来のように補強壁と既存壁との接触面の接着作業を最小限度に減らすことができるため、補強作業の労力を大幅に削減することができる。
以下に、本発明の既存壁の補強構造の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施例の既存壁の補強構造を示す正面図であり、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図である。本実施例で適用対象となる既存壁11は、建造物の梁21と柱22とで囲まれた領域に設置された鉄筋コンクリート造の壁である。
図1〜図3に示すように、補強壁10は、炭素繊維補強樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastics:以下、CFRPという。)製の予め成型された複数のパネル30からなる。
CFRPは、炭素繊維を熱硬化性樹脂等のマトリックスに混合分散させたものをハンドレイアップ法やスプレイアップ法等により成型して得られる複合材料であり、繊維補強樹脂(Fiber Reinforced Plastics:FRP)の中でも特に剛性及び耐力が高いうえに、比重が1.5程度と軽量であり、建造物の耐震補強材として好適に用いられるものである。
パネル30は、工場で予め中実の直方体状に形成され、その大きさは、縦500〜1500mm×横500〜1500mm×厚さ30〜150mm程度である。
CFRPは、炭素繊維を熱硬化性樹脂等のマトリックスに混合分散させたものをハンドレイアップ法やスプレイアップ法等により成型して得られる複合材料であり、繊維補強樹脂(Fiber Reinforced Plastics:FRP)の中でも特に剛性及び耐力が高いうえに、比重が1.5程度と軽量であり、建造物の耐震補強材として好適に用いられるものである。
パネル30は、工場で予め中実の直方体状に形成され、その大きさは、縦500〜1500mm×横500〜1500mm×厚さ30〜150mm程度である。
補強壁10は、現場で複数のパネル30の互いに隣接する部分33を接着剤41により接着して一体化させることにより構築され、既存壁11の少なくとも片面全面を覆う態様で、既存壁11の壁面に沿って配置され、補強壁10の梁21及び柱22に対向する面28,29が、それぞれ梁21及び柱22に接合されることにより、梁21及び柱22によって支持される。さらに、図1〜図3に示すように、本実施例では、補強壁10と既存壁11との接触面において周縁部25が接着され、周縁部25を除く接触面26は接着されていない構造となっている。なお、説明の便宜上、図1中の周縁部25に相当する部分を斜線で示している。
なお、パネル30同士の隣接部分33、及び、周縁部25を接着する接着剤41としては、例えばエポキシ系の接着剤を適用することができる。
以下、補強壁10によって既存壁11を補強する手順、及び、本実施例の補強構造における作用について説明する。まず、既存壁11の壁面において、補強壁10と接着される部分(周縁部25)の下地処理を適宜行う。次に、既存壁11に沿ってパネル30を配置し、パネル30の互いに隣接する部分33に接着剤41を塗布してパネル同士を接着することにより、下段から順次パネル30を積み上げていく。周縁部25を有するパネル30、すなわち、補強壁10の外周を構成するパネル30に関しては、既存壁11に接する面に接着剤を塗布し、既存壁11に接着する。なお、周縁部25の範囲、すなわち、補強壁10と既存壁11との接着範囲は、補強壁10の大きさを縦2〜3m×横6〜10m×厚み30〜150mm程度とした場合、梁21及び柱22から各0〜600mm程度の範囲である。以上の手順により、既存壁11の壁面が複数のパネル30により埋め尽くされ、補強壁10が構築される。なお、周縁部25の接着は、省略することも可能である。
この後、補強壁10の梁21に対向する面28と梁21との間、及び、柱10に対向する面29と柱22との間にモルタル(図示せず)を充填したり、又はボルト等を用いることにより、梁21及び柱22に対向する面28、29をそれぞれ梁21及び柱22に接合し、既存壁11の補強が完了する。
上記のようにして構成される既存壁の補強構造によれば、板状に成型された補強壁10を既存壁11の少なくとも片面全面を覆う態様で配置し、この補強壁10を梁21及び柱22に支持させることにより、地震時に梁21及び柱22に作用する力を補強壁10に直接伝達させる構造としたので、既存壁11と補強壁10との接触面を接着しなくても、地震時における既存壁11のひずみを防止することが可能となり、既存壁11の剛性を増大させることができる。その結果、従来のように補強壁10と既存壁11との接触面を接着する作業や既存壁面の下地処理等を最小限度に減らすことができるため、補強作業の労力を大幅に削減することができる。
また、補強壁10と既存壁11との接触面において、周縁部25を接着することで、地震時に既存壁11に作用する力が補強壁10に伝達されるので、既存壁の剛性をさらに増大させることができる。
また、予め成型された複数のパネル30を用い、これらを現場で積み上げて補強壁10を構築するようにしたので、建造物内への搬入を容易に行うことができる。また、補強壁10が細分化されているため、あらゆる形状の既存壁に適用することができる。さらに、補強壁10の材質に適用したCFRPは、コンクリート等の他の材質よりも軽量であるため、補強後の建造物の重量増加を抑えることができる。
なお、上記実施例では、補強壁10の梁21及び柱22に対向する面28、29と、梁21及び柱22との間にそれぞれモルタルを充填することにより両者を接合したが、両者のクリアランスが小さい場合には、接着剤により両者を接着してもよい。
また、上記実施例では、補強壁10と既存壁11との接触面において周縁部25を接着したが、周縁部25の接着を省略することも可能である。例えば図4に示すように、ボルト46で固定された断面L字型の鋼製の枠体45を介して補強壁10を梁21及び柱22に固定してもよい。この場合、ボルト46によって枠体45の底部を梁21及び柱22に固定し、さらに枠体45と梁21及び柱22との隙間にモルタル47を充填する。なお、図4は梁21に枠体45を固定した状態のみを示しており、柱22に枠体45を固定した状態は省略する。
また、上下から圧縮する力が作用したときに既存壁11と補強壁10が外側に膨らむのを防ぐために、必要に応じて既存壁11と補強壁10を座屈止め42で固定してもよい。
また、上記実施例では、補強壁10の材質としてCFRPを適用したが、GFRP(ガラス繊維強化樹脂)等の他の繊維補強樹脂を適用してもよい。
また、上記実施例では、補強壁10を複数のパネル30で構成し、パネル同士を接着し一体化させることにより構築したが、補強壁10を予め工場で成型された1枚板で構成してもよいのはもちろんである。
また、上記実施例では、既存壁11の片面のみに補強壁10を構築したが、既存壁11の両面に補強壁10を構築することもできる。
以上のように、本発明の既存壁の補強構造によれば、板状に成型された補強壁を既存壁の少なくとも片面全面を覆う態様で配置し、この補強壁を梁及び柱に支持させることにより、地震時に梁及び柱に作用する力を補強壁に直接伝達させる構造としたので、既存壁との接触面を接着しなくても、地震時における既存壁のひずみを防止することが可能となり、既存壁の剛性を増大させることができる。その結果、従来のように補強壁と既存壁との接触面の接着作業を最小限度に減らすことができるため、補強作業の労力を大幅に削減することができる。
10 補強壁
11 既存壁
21 梁
22 柱
25 周縁部
28 補強壁の梁に対向する面
29 補強壁の柱に対向する面
30 パネル
33 パネルの隣接部分
11 既存壁
21 梁
22 柱
25 周縁部
28 補強壁の梁に対向する面
29 補強壁の柱に対向する面
30 パネル
33 パネルの隣接部分
Claims (4)
- 既存建物の梁と柱とで囲まれた領域に設置された既存壁の補強構造であって、
予め板状に成型された補強壁を具え、該補強壁を前記既存壁の少なくとも片面全面を覆う態様で配置し、該補強壁を前記梁及び柱に支持させたことを特徴とする既存壁の補強構造。 - 前記補強壁が複数のパネルからなり、該パネルの互いに隣接する部分を接着することにより構築したものであることを特徴とする請求項1に記載の既存壁の補強構造。
- 前記既存壁と補強壁との接触面における周縁部を接着したことを特徴とする請求項1又は2に記載の既存壁の補強構造。
- 前記補強壁が炭素繊維補強樹脂製であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の既存壁の補強構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006240434A JP2008063754A (ja) | 2006-09-05 | 2006-09-05 | 既存壁の補強構造 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010127000A (ja) * | 2008-11-27 | 2010-06-10 | Ohbayashi Corp | 既存壁の補強方法、既存壁の補強構造 |
CN104328844A (zh) * | 2014-11-25 | 2015-02-04 | 德胜(苏州)洋楼有限公司 | 一种底脚加固式墙体 |
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2006
- 2006-09-05 JP JP2006240434A patent/JP2008063754A/ja active Pending
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