JP2008063608A - 摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度を確保しつつも、母体と摺動被膜との密着性を高めた摺動部材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】下パンチ13を二つの分割型15、16に分割し、第一分割型15の上端に設けられた第一成形面17を、第二分割型16の上端に設けられた第二成形面18より高くした状態で原料粉末11を充填し、圧粉成形を行う。これにより、被膜下層部における圧縮比を、内部領域の圧縮比に比べて小さくした圧粉成形体11’が得られる。また、この圧粉成形体11’を焼結することで、被膜下層部の気孔率を、内部領域の気孔率に比べて大きくした摺動部材の母体が形成される。
【選択図】図3

Description

本発明は、摺動部材とその製造方法に関する。
従来より、各種機械部品、特に動力伝達機構の摺動部においては、摩擦低減をはじめとする摺動特性の向上が求められており、これを達成するため種々の提案がなされている。
例えば、内燃機関等に使用されるカムシャフトのカム部の摺動特性を改善する目的で、鉄系焼結金属からなる母材の外周摺動面に、二硫化モリブデン粒子、二硫化タングステン粒子等の固体潤滑剤粒子を噴射することで固体潤滑剤被膜を形成したカムロブ材が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、ピストンピンやピストンリングなど、自動車内燃機関の動弁系における摺動部の磨耗を低減する目的で、相手部材との摺動面の表面粗さが十点平均粗さで3μm以下のセラミックス材と、セラミックス材の少なくとも相手部材との摺動面に設けられ、固体潤滑材としての金属化合物の粉末粒子がポリマーに分散した複合材被膜とからなるセラミックス系摺動部材が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2004−2912号公報 特開平7−98052号公報
上述のように、この種の摺動部材においては、母体を焼結金属など比較的強度や剛性に優れた材料で形成すると共に、潤滑剤を有する被膜を金属製母体の摺動面に形成することで、摺動部材自体の強度を確保しつつ、摺動特性の向上を図っている。しかしながら、この種の摺動部材は、他部材との摺動を前提としたものであるから、上述のように、母体の表面に単に被膜を形成しただけでは他部材との摺動に伴うせん断力で被膜が剥れることがある。特に、軽量化、低コスト化を狙って母体を焼結材で形成した場合、強度確保の観点から、比較的高密度に圧縮成形することも少なくない。そのため、母体の表面が密となって凹凸等の引っ掛かりが少なくなり、この表面上に形成される被膜の剥れがより顕著に生じる恐れがある。
ここで、上記特許文献1に記載の摺動部材は、固体潤滑材粒子を直接母体の摺動面に噴き付けることで被膜を形成するものであるから、そもそも母体との密着性に乏しく、また被膜自体の強度(形状安定性)も不十分である。母体の材料と固体潤滑剤との組み合わせとして比較的密着性に優れたものを採用することで、母体と被膜との密着性改善を試みているが、これでは根本的な解決にはならない。
また、特許文献2には、摺動部材の母材となるセラミックス材の表面を所定の表面粗さに研磨することで、当該表面に所要の微細な凹凸を形成し、当該箇所に固体潤滑剤を分散させた液状ポリマーを塗布することで被膜を形成する旨が記載されている。しかしながら、当該文献に開示の摺動部材の被膜は、そもそも摺動相手材の摺動面を研磨する目的で形成されたものである。そのため、上述の表面研磨は、被膜とセラミックス材との密着力向上を目的として行われたものではない。
以上の事情に鑑み、本発明では、強度を確保しつつも、母体と摺動被膜との密着性を高めた摺動部材およびその製造方法を提供することを技術的課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、焼結金属製の母体と、母体の表面に形成され、摺動相手材と摺接する摺動被膜とを備えた摺動部材において、母体の、摺動被膜が形成される被膜下層部の気孔率が、被膜下層部より内部の領域の気孔率に比べて大きいことを特徴とする摺動部材を提供する。ここで、気孔率は、母体の単位体積当たりに占める各内部空孔の容積の総和の割合をいう。
このように、母体の、摺動被膜が形成される被膜下層部の気孔率を、被膜下層部より内部の領域の気孔率に比べて大きくした摺動部材であれば、例えば摺動被膜の形成時、被膜材料が、前記内部領域に比べて比較的疎となる被膜下層部の開孔部分に入り込み易くなる。また、当該被膜材料の進入深さやその割合を高めることができる。そのため、摺動被膜の、被膜下層部の開孔内部に入り込んだ部分が高いアンカー効果を示し、母体に対する係合力を向上させることができる。また、摺動被膜と母体との接触面積(密着面積)が増えることで化学的な結合力の向上を図ることもできる。これにより、摺動被膜の剥離を極力防いで、摺動相手材との間で安定した摺動状態を維持することが可能となる。
摺動被膜は、樹脂で形成されているものが好ましい。樹脂のように液体状で被膜下層部の表面に供給可能なものであれば、母体の表面開孔に流れ込み易い。また、通常金属粉末で構成される母体の焼結温度以下の温度で固化可能なため、被膜形成処理も容易である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、焼結金属製の母体と、母体の表面に形成され、摺動相手材と摺接する摺動被膜をとを備えた摺動部材の製造方法であって、母体の原料粉末を圧粉成形する工程を含み、圧粉成形工程において、母体の、摺動被膜が形成される被膜下層部の圧縮比が、被膜下層部より内部の領域の圧縮比に比べて小さくなるよう、圧縮成形を行うことを特徴とする摺動部材の製造方法を提供する。ここでいう圧縮比は、圧縮後の粉末の圧縮方向厚みに対する圧縮前の粉末の圧縮方向厚みの割合を意味し、例えば値が1より大きいほど大きく圧縮したことを示す。
このように、圧粉成形時、被膜下層部と、この被膜下層部より内部の領域とで圧縮比を異ならせることで、金型の充填空間に充填された原料粉末のうち、被膜下層部に対応する箇所が比較的疎に圧縮されると共に、内部領域に対応する箇所が比較的密に圧縮される。従って、上述の方法であれば、被膜下層部の気孔率を、内部領域の気孔率に比べて大きくした焼結金属製の母体を、同一組成の原料粉末で一体に形成することができる。そのため、被膜下層部と内部領域とをそれぞれ別体に成形したものを一体化する場合と比べて、工程数が少なくて済む。
また、研磨など、成形後の加工で表面の凹凸や開孔度合を調整することもできるが、この場合には表面開孔が埋まり易いため、被膜の密着性向上手段としては適当でない。これに対して本件発明に係る製造方法であれば、かかる問題点を生じることなく摺動被膜との間で良好な密着性を得ることができる。また、母体成形後に、密着力向上のための後処理を必要としない点でも経済的である。
被膜下層部における圧縮比を、内部領域の圧縮比に比べて小さくする方法としては種々の手段が考えられる。例えば、上パンチとの間で被膜下層部を圧縮成形する下パンチの第一成形面を、上パンチとの間で母体の残部領域を圧縮成形する下パンチの第二成形面より高くした状態で原料粉末を充填する工程と、上パンチを下パンチに相対近接させて原料粉末を圧縮成形する第一成形工程と、第二成形面を第一成形面と同一高さにまで相対移動することで原料粉末をさらに圧縮する第二圧縮工程とを経て、原料粉末の圧粉成形を行う方法を挙げることができる。
上述の方法によれば、原料粉末の、被膜下層部に対応する箇所における充填量を、残部領域の対応箇所における充填量より少なくした状態で圧粉成形を行うことができる。また、第一圧縮工程で上パンチにより一旦圧縮成形された原料粉末を、第二成形面を第一成形面と同一高さにまで相対移動してさらに圧縮することで、母体の残部領域を、被膜下層部に比べて第一成形面と第二成形面との高低差の分だけ大きく圧縮することができる。従って、上述の方法であれば、圧縮比を異ならせたい領域ごとに原料粉末の充填量を調整して、各領域における圧縮比を所望の値に容易かつ高精度に制御することができる。
さらに、第一圧縮工程において、第一成形面との間で被膜下層部を圧縮成形する上パンチの第三成形面を、第二成形面との間で残部領域を圧縮成形する上パンチの第四成形面より低くした状態で、原料粉末を圧縮成形すると共に、第二圧縮工程において、第四成形面を第三成形面と同一高さにまで相対移動することで原料粉末をさらに圧縮することも可能である。
このように、上パンチの成形面を被膜下層部用の成形面(第三成形面)と、母体の残部領域用の成形面(第四成形面)とに分割したもので圧粉成形を行うことで、第一圧縮工程において、第三成形面が第四成形面に先立って原料粉末を圧縮し始める。そのため、先に第三成形面によって圧縮された原料粉末の一部が、内径側の領域へと押し出され、さらには第四成形面との間の空間へと持ち上げられ、結果的に、被膜下層部を構成する原料粉末の量が充填時より減少する。これにより、被膜下層部の圧縮比を一層小さくすると共に、内部領域の圧縮比を大きくすることができる。
以上より、本発明によれば、強度を確保しつつも、母体と摺動被膜との密着性を高めた摺動部材およびその製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1および図2は、本発明に係る摺動部材の一例を示しており、図1は、当該摺動部材を斜方から見た図、図2は当該摺動部材の一部拡大断面図である。この摺動部材1は、例えば外周に摺動面2としてのカム面を有するもので、焼結金属製の母体3と、母体3の表面に形成され、摺動相手材と摺接する摺動面2(ここではカム面)を有する摺動被膜4とを備える。この実施形態では、摺動部材1の内周に、回転軸を挿通し、固定するための孔5が設けられている。
図2に示すように、摺動部材1の母体3は、表層部を構成し、摺動被膜4をその表面に形成する被膜下層部6と、この被膜下層部6より内側に位置する内部領域7とを一体に有する。この実施形態では、母体3は、その外周全周にわたって摺動被膜4を形成し、かつ摺動被膜4と接する被膜下層部6を外周全周にわたって形成している。
ここで、被膜下層部6の気孔率は、内部領域7の気孔率に比べて大きい。そのため、摺動被膜4の形成時、被膜材料が、内部領域7に比べて比較的疎となる被膜下層部6の開孔部分に入り込み易くなる。そのため、摺動被膜4のうち、被膜下層部6の開孔内部に入り込んだ部分が高いアンカー効果を示し、母体に対して高い係合力を付与することができる。また、摺動被膜4と母体3との接触面積(密着面積)が増えることで化学的な結合力の向上を図ることもできる。これにより、摺動被膜4の母体3に対する密着性を高めて摺動被膜4の剥離を極力防ぐことが可能となる。
摺動被膜4の材料としては、被膜下層部6の表面開孔の内部に入り込むことで母体3との間でアンカー効果を奏するものであればよく、例えば開孔内部に入り込んだ部分が摺動被膜4本体と一体化するものである限り任意の材料が選択可能である。その中でも、特に樹脂を摺動被膜4の材料として使用するのが好ましい。樹脂であれば、種類を問わず、比較的低温で液状化が可能であり、被膜形成処理(コーティング処理)も容易である。また、樹脂は金属に比べて柔らかいため、摺動相手材を傷付けることもなく好適である。もちろん、摺動被膜4と摺接する摺動相手材との間の摺動特性をさらに改善する目的で、樹脂に固体潤滑剤等を添加したものを摺動被膜4の材料として使用することもできる。
以下、摺動部材1の製造方法の一例を、焼結金属製の母体3の製造方法を中心に説明する。
母体3は、成形金型に原料粉末を充填する工程(a)と、金型内に充填された原料粉末を圧縮する工程(b)と、圧縮された原料粉末のうち被膜下層部対応箇所を除く領域をさらに圧縮することで所定形状に成形する工程(c)と、圧粉成形体を焼結する工程(d)とを経て製造される。
(a)粉末充填工程
まず、母体3を構成する原料粉末11を、成形金型内部に充填する。ここで、成形金型は、図3(a)に示すように、原料粉末11の充填空間を区画形成するダイ12および下パンチ13と、ダイ12および下パンチ13に対して相対移動が可能な上パンチ14とで構成される。
下パンチ13は、上パンチ14との間で母体3の被膜下層部6を圧縮成形する第一分割型15と、上パンチ14との間で母体3の残部領域(被膜下層部6を除く領域。ここでは内部領域7と、内部領域7両端側の表層部を合わせた部分に相当)を圧縮成形する第二分割型16とに分割されており、各分割型15、16の上端には、第一成形面17と第二成形面18とがそれぞれ設けられている。第一分割型15と第二分割型16とは相対的に上下動が可能なように構成されている。
上記構成の金型において、第一成形面17を、第二成形面18より高くした状態で原料粉末11を充填する。これにより、原料粉末11のうち、第一成形面17と上パンチ14の下端面19との間で圧縮成形される領域の充填高さが、第二成形面18と下端面19との間で圧縮成形される領域の充填高さより高くなるよう、原料粉末11が充填される。
(b)第一圧縮工程
次に、ダイ12および下パンチ13とで区画形成された空間に充填された原料粉末11を、上パンチ14を下パンチ13に対して相対近接することで圧縮する。これにより、原料粉末11が、全体にわたって所定量だけ圧縮される。
(c)第二圧縮工程
図3(b)に示す状態にまで原料粉末11を圧縮した後、さらに、下パンチ13の第二成形面18を第一成形面17と同一の高さにまで相対移動することで、原料粉末11をさらに圧縮する。これにより、原料粉末11のうち、母体3の残部領域に対応する領域のみがさらに圧縮され、製品形状に倣った形状の圧粉成形体11’が成形される。
(d)焼結工程
最後に、上記工程(c)で得られた圧粉成形体11’を、原料粉末11が焼結可能な温度まで加熱することで、圧粉成形体11’を焼結する。これにより、原料粉末11からなる摺動部材1の母体3が形成される。
このように、圧粉成形時、被膜下層部6の圧縮比が、内部領域7の圧縮比に比べて小さくなるよう、原料粉末11を圧粉成形することで、金型12、13の充填空間に充填された原料粉末11のうち、被膜下層部6に対応する箇所が比較的疎に圧縮されると共に、内部領域7に対応する箇所が比較的密に圧縮される。従って、上述の方法であれば、被膜下層部6の気孔率を、内部領域7の気孔率に比べて大きくした焼結金属製の母体3を、同一組成の原料粉末で一体に形成することができる。そのため、被膜下層部6と内部領域7とをそれぞれ別体に成形したものを一体化する場合と比べて、工程数が少なくて済む。
また、上述の方法であれば、成形体(母体3)の表面を研磨することで表面の凹凸や開孔率を調整する場合のように、後加工で表面開孔が埋まる恐れが小さいため、被膜下層部6の摺動被膜4に対する密着力を効果的に高めることができる。また、母体3成形後に、密着力向上のための後処理を必要としない点でも経済的である。
また、この実施形態では、下パンチ13を二つの分割型15、16に分割し、各分割型15、16の上端に設けられた第一成形面17と、第二成形面18との間で高低差を与えることで、原料粉末11の、被膜下層部6に対応する領域の充填量(充填高さ)を、内部領域7に対応する領域の充填量(充填高さ)より少なくした。このように、ダイ12(の端面)に対する第一成形面17の相対位置、あるいは第二成形面18の相対位置をそれぞれ調整するだけで、被膜下層部6や内部領域7の圧縮比、ひいては気孔率を個々に設定することができる。また、各成形面17、18が設けられた下パンチ13の分割型15、16の相対移動量やその位置は、比較的高精度に制御可能であるから、これにより圧縮比も精度良く設定することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る摺動部材を説明したが、本発明は、母体の表面に摺動被膜を設け、かつ母体のうち少なくとも摺動被膜を形成した被膜下層部における気孔率を内部領域の気孔率に比べて大きくしたものである限り、他の形態や構成を採ることも可能である。また、被膜下層部の圧縮比を、内部領域の圧縮比に比べて小さくできるのであれば、上述の方法に限らず、任意の方法を採用することも可能である。
例えば下パンチ13に加えて、上パンチ14を、図4に示すように二つの型20、21に分割したものを用いて、原料粉末11の圧粉成形を行うようにしてもよい。図4(a)はその一例を示しており、同図に示す上パンチ14は、下パンチ13の第一分割型15との間で母体3の被膜下層部6を圧縮成形する第三分割型20と、第二分割型16との間で母体3の残部領域(内部領域7を全て含む)を圧縮成形する第四分割型21とに分割される。各分割型20、21の下端には、原料粉末11を加圧圧縮する第三成形面22と、第四成形面23とがそれぞれ設けられる。これら第三、第四成形面22、23は、上パンチ14の下端面19を分割構成している。また、第三分割型20と第四分割型21とが相対的に上下動することで、第三成形面22と第四成形面23との相対的な上下位置を調整できるようになっている。なお、ダイ12と下パンチ13の構成、および初期配置は、図4(a)に示す通り、既述の実施形態と同様である。
かかる構成の金型を用いて、原料粉末11の圧粉成形を行う。まず、図4(a)に示すように、原料粉末11を充填した後、上パンチ14の各分割型20、21を下パンチ13(第一、第二分割型15、16)に相対近接させて、原料粉末11を圧縮する。この際、図4(b)に示すように、原料粉末11の被膜下層部6に対応する箇所を加圧圧縮する第三成形面22を、第四成形面23より低くした状態で、各分割型20、21を相対的に下降させることで、他所に優先して、原料粉末11の被膜下層部6対応箇所が第三成形面22により加圧圧縮される。この場合、加圧された原料粉末11は上下方向に圧縮されると共に、その一部がまだ加圧圧縮されていない原料粉末11の内径側の領域に逃げる。
図4(b)に示す状態にまで原料粉末11を圧縮した後、さらに、下パンチ13の第二成形面18を第一成形面17と同一の高さにまで相対移動すると共に、上パンチ14の第四成形面23を第三成形面22と同一の高さにまで相対移動することで、原料粉末11をさらに圧縮する(図4(c)を参照)。これにより、原料粉末11のうち、母体3の残部領域に対応する箇所のみがさらに圧縮され、製品形状に倣った形状の圧粉成形体11’が成形される。なお、第二成形面18の相対移動と、第四成形面23の相対移動は何れを先に行ってもよいし、同時に行っても構わない。
このように、本実施形態では、他所に優先して、原料粉末11の被膜下層部6に対応する箇所を第三成形面22により加圧圧縮することで、加圧された原料粉末11の一部を原料粉末11の内径側の領域に逃がすようにした。この場合、各領域の充填高さとは別に、逃がした原料粉末11の分だけ、被膜下層部6の圧縮比を小さくすると共に、内部領域7の圧縮比を高めることができる。従って、より被膜下層部6の気孔率を高めた母体3を形成することができ、かつ母体3自体の強度をさらに高めた摺動部材1が得られる。
なお、原料粉末11としては、摺動部材1に要求される機械的強度、剛性等が確保できるものであれば、特に制限なく使用できる。また、使用する材料との相性(濡れ性など)も関係するが、樹脂など被膜下層部6の表面に液体状で供給される材料が、被膜下層部6の表面開孔へ適度に流れ込むよう、圧縮比だけでなく適度な粒径のものを選択使用するのがよい。
また、上記実施形態では、成形金型を、ダイ12および上下パンチ13、14とで構成した場合を例示したが、例えば図1に示すように、中央に孔5を有する摺動部材1を形成する場合であれば、下パンチ13の中央に、孔5に対応した径のコアピン(図示は省略)を配設して、圧粉成形を行うようにすればよい。同様に、下パンチ13の分割により、被膜下層部6と内部領域7とで圧縮比を異ならせるものである限り、任意形状の母体3を形成することが可能である。
また、上記実施形態では、摺動面2が摺動部材1の外周全周にわたって存在するものを例示したが、本発明により製造可能な母体3(摺動部材1)はこれに限るものではない。例えば、摺動面2を円周方向の一部領域に設けた摺動部材1であれば、摺動面2(摺動被膜4)の形成位置に合わせて、下パンチ13を分割し、第一成形面17による原料粉末11の加圧領域を適当に定めればよい。
本発明に係る摺動部材の斜視図である。 図1に示す摺動部材の領域Aにおける部分断面拡大図である。 (a)は母体の原料粉末の充填工程、(b)は原料粉末の第一圧縮工程、(c)は原料粉末の第二圧縮工程をそれぞれ概念的に示す図である。 母体の圧粉成形工程の他の形態を概念的に示す図である。
符号の説明
1 摺動部材
2 摺動面
3 母体
4 摺動被膜
6 被膜下層部
7 内部領域
11 原料粉末
11’ 圧粉成形体
13 下パンチ
14 上パンチ
15 第一分割型
16 第二分割型
17 第一成形面
18 第二成形面

Claims (5)

  1. 焼結金属製の母体と、該母体の表面に形成され、摺動相手材と摺接する摺動被膜とを備えた摺動部材において、
    前記母体の、前記摺動被膜が形成される被膜下層部の気孔率が、該被膜下層部より内部の領域の気孔率に比べて大きいことを特徴とする摺動部材。
  2. 前記摺動被膜が、樹脂で形成されたものである請求項1記載の摺動部材
  3. 焼結金属製の母体と、該母体の表面に形成され、摺動相手材と摺接する摺動被膜とを備えた摺動部材の製造方法であって、
    前記母体の原料粉末を圧粉成形する工程を含み、
    前記圧粉成形工程において、前記母体の、前記摺動被膜が形成される被膜下層部の圧縮比が、該被膜下層部より内部の領域の圧縮比に比べて小さくなるよう、圧縮成形を行うことを特徴とする摺動部材の製造方法。
  4. 前記圧粉成形工程は、上パンチとの間で前記被膜下層部を圧縮成形する下パンチの第一成形面を、前記上パンチとの間で前記母体の残部領域を圧縮成形する前記下パンチの第二成形面より高くした状態で前記原料粉末を充填する工程と、
    前記上パンチを前記下パンチに相対近接させて前記原料粉末を圧縮成形する第一圧縮工程と、
    前記第二成形面を前記第一成形面と同一高さにまで相対移動することで前記原料粉末をさらに圧縮する第二圧縮工程とを含む請求項3記載の摺動部材の製造方法。
  5. 前記第一圧縮工程において、前記第一成形面との間で前記被膜下層部を圧縮成形する前記上パンチの第三成形面を、前記第二成形面との間で前記残部領域を圧縮成形する前記上パンチの第四成形面より低くした状態で、前記原料粉末を圧縮成形すると共に、
    前記第二圧縮工程において、前記第四成形面を前記第三成形面と同一高さにまで相対移動することで前記原料粉末をさらに圧縮する請求項4記載の摺動部材の製造方法。
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