JP2008063322A - HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、トコフェロール類及びCoQ10を含有する医薬組成物 - Google Patents

HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、トコフェロール類及びCoQ10を含有する医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】
(1)高尿酸血症又はこれに起因する疾患、(2)血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下、並びに(3)高脂血症又はこれに起因する疾患を同時に予防又は治療するための医薬組成物を提供すること。
【解決手段】
HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、トコフェロール類及びユビデカレノンを含有する医薬組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、トコフェロール類及びCoQ10を含有する医薬組成物に関する。
高尿酸血症とは、血中の尿酸濃度が高い状態である。尿酸の生成と排泄の均衡が破綻した結果、血中尿酸濃度が異常に増加し、血中に溶解しきれなかったものが体内の局所で結晶化すると炎症が惹起される。例えば、尿酸の結晶が関節に溜まると激しい痛みを伴う痛風発作(痛風関節炎)、皮下に溜まると痛風結節、尿中では激しい痛みを伴う腎結石や尿路結石、腎尿細管や腎間質では腎障害の原因となる。
近年では、高尿酸血症自体が心血管障害症の独立した危険因子であるとする報告が増えてきており(非特許文献1参照)、痛風患者に動脈硬化性疾患の患者が多いことも古くからよく知られている事実である(例えば、非特許文献2参照)。また、血中尿酸値とメタボリックシンドロームの危険因子(血中中性脂肪やHDL、ウエスト周囲径、尿pH)とは非常に良い相関があり、血中尿酸値がメトボリックシンドロームの良いバイオマーカーとなることが最近判明した(非特許文献3)。
このように、高尿酸血症および高尿酸血症に起因する疾患の予防並びに治療は極めて重要なことである。現在、高尿酸血症の治療薬は、アロプリノール等の尿酸生合成抑制薬やベンズブロマロン等の尿酸排泄促進薬が用いられているにとどまっている。
上述に加え、動脈硬化症の発症・進展には血管内皮の機能障害も深く関係している。血管内皮性一酸化窒素合成酵素から産生される一酸化窒素(以下NOと称す)の低下がその大きな原因であり、血管壁由来のNOは、血管弛緩、血小板の凝集抑制、好中球の内皮細胞への付着抑制、血管平滑筋細胞の遊走・増殖抑制、LDL酸化抑制、等の面から抗動脈硬化作用を示す(例えば、非特許文献4参照)。
以上、動脈硬化性疾患は多因子疾患であるが、最も良く知られた原因は高脂血症であり、血中総コレステロールのみならず、高LDLコレステロール血症や高トリグリセライド(中性脂肪、以下TGと称す)血症も重要な位置を占めている。血中LDLの上昇は、酸化LDLの産生、血管内皮細胞障害、マクロファージの泡沫化、マトリックスメタプロテアーゼの産生、プラークの脆弱化、冠動脈疾患・狭心症・閉塞性動脈硬化症等のイベントの発症という一連の過程の原点にある(非特許文献5参照)。また、血中TGは、臨床的に動脈硬化性疾患の危険因子としての重要性が明らかとなってきており、さらに、高TG血症がインスリン抵抗性症状を引き起こして動脈硬化症に関与することも判ってきた(例えば、非特許文献6参照)。
HMG−CoAリダクターゼ阻害剤(以下、スタチンと称する)は、コレステロール生合成系の律速酵素であるHMG−CoA還元酵素を特異的・拮抗的に阻害して血中コレステロールを低下させる薬物である(例えば、非特許文献7参照)。スタチンの血中尿酸値に及ぼす影響については、プラバスタチンとシンバスタチンでは認められず(非特許文献8及び非特許文献9参照)、アトルバスタチンでは認められた(非特許文献9参照)という2つの報告があるのみで、現時点ではまだよく判っていない。
ユビデカレノン(以下、CoQ10又は補酵素Q10と称する)は、低下した心機能を改善するため、代謝性強心剤として鬱血性心不全の治療薬として長年投与されてきた薬剤である。また、トコフェロール類は、末梢循環障害の治療に投与される(以上、例えば、非特許文献7参照)。しかし、CoQ10及びトコフェロール類のいずれも血中尿酸値に影響を与えたという報告は見当たらない。
本発明に関し、これまでに、以下のものが開示されている。
1)スタチンによる体内CoQ10の減少、ひいては骨格筋障害を防止するためのスタチンとCoQ10を含有する組成物(特許文献1参照)。
2)スタチンとトコフェロール類を併用すると血中総コレステロールが相乗的に低下する(特許文献2参照)。
3)トコフェロール類とCoQ10を併用すると血中LDL及び動脈硬化指数が相乗的に低減する(特許文献3参照)。
しかし、スタチン、トコフェロール類及びCoQ10の併用について具体的に記載した文献はなく、さらに、本併用が血中尿酸値に与える影響について示唆した報告も見当たらない。
特開平2-233611号公報 特開2002-249430号公報 特開2005-187454号公報 Progress in Medicine, Vol.14 No.12, 1994 p.50-53 東京都医師会雑誌, Vol.57 No.5, 2004 p.35-42 医薬ジャーナル, Vol.42 No.6, 2006 p.125-132 脈管学, Vol.38 No.4 1998 p.215-219 カレントテラピー, Vol.21 No.6 2003 p.573-574 Modern Physician, Vol.18 No.1 1998 p.53-56及びp.69-71 日本医薬品集 医療薬 2006年版 じほう Progress in Medicine, Vol.23 No.12, 2003 p.3354-3358 臨床薬理, 36(Supplement) 2005 p.S257
上述のように、生活習慣病に関連した疾患であるメタボリックシンドローム、インスリン抵抗性症状、高尿酸血症、高脂血症及び血管内皮機能障害等は、相互に深く関連している。そのため、それぞれ個別に治療するのではなく、同時に治療をすることが何よりも重要であり、そうすることによって治療効率のみならず医療コストが飛躍的に改善するという考えに至った。
そこで、本発明者は、血中尿酸値、血中脂質及び血管内皮機能障害を同時に改善する組成物を探索すべく鋭意研究を重ねた。その結果、HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、トコフェロール類及びCoQ10を含有する医薬組成物に、思いもよらないような優れた血中尿酸値の低下作用が発現すると共に、優れた血中総コレステロール、LDLコレステロール及びトリグリセライドの低下作用や内皮性一酸化窒素合成酵素活性向上作用及び/又は血中内皮性一酸化窒素濃度増加作用を有することを見出し、ひいては、(1)高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、(2)血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下、並びに(3)高脂血症又は高脂血症に起因する疾患を同時に予防又は治療するために有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、(1)HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、トコフェロール類及びユビデカレノンを含有する医薬組成物であり、好適には、
(2)HMG−CoAリダクターゼ阻害剤が、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン、並びにそれらの薬理上許容される塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、(1)に記載の医薬組成物、
(3)HMG−CoAリダクターゼ阻害剤が、プラバスタチンナトリウムである、(1)に記載の医薬組成物、
(4)トコフェロール類が、dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール及びコハク酸d−α−トコフェロールからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、(1)乃至(3)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物、
(5)高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患を予防又は治療するための(1)乃至(4)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物、
(6)高尿酸血症に起因する疾患が痛風、腎障害、尿路結石及びメタボリックシンドロームからなる群より選択される少なくとも1つである(5)に記載の医薬組成物、
(7)[1]高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、[2]血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下に起因する疾患、並びに[3]高脂血症又は高脂血症に起因する疾患を同時に予防又は治療するための(1)乃至(4)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物、
(8)[1]高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、[2]血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下に起因する疾患、並びに[3]高脂血症又は高脂血症に起因する疾患が、心血管障害症、動脈硬化症、インスリン抵抗性症状及びメタボリックシンドロームである(7)に記載の医薬組成物及び
(9)肩こり、首すじのこり、手足のしびれ及び手足の冷えからなる群より選ばれる少なくとも1つを予防又は治療するための(1)乃至(4)から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物である。
更に本発明は、
(10)(1)に記載の医薬組成物による高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患を予防又は治療する方法、
(11)(1)に記載の医薬組成物による[1]高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、[2]血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下に起因する疾患、並びに[3]高脂血症又は高脂血症に起因する疾患を同時に予防又は治療する方法及び
(12)(1)に記載の医薬組成物による肩こり、首すじのこり、手足のしびれ及び手足の冷えからなる群より選ばれる少なくとも1つを予防又は治療する方法を提供する。
本発明における「HMG−CoAリダクターゼ阻害剤」とは、コレステロール生合成系の律速酵素であるHMG(3−ヒドロキシ−3−メチルグリタリル)−CoA還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害する薬剤(一般名の語尾がスタチンであることからこの薬剤の総称としてスタチンと呼ばれている)であり、血中コレステロールを低下させることから、本来、高脂血症の治療剤として使用される。そのようなスタチンとしては、微生物由来の天然物質、それから誘導される半合成物質、及び全合成化合物のすべてが含まれ、例えば、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン、並びにそれらの薬理上許容される塩であり、好適には、プラバスタチンナトリウム、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチンナトリウム、アトルバスタチンカルシウム水和物、ピタバスタチンカルシウム及びロスバスタチンカルシウムである。
以下に、スタチンの代表的なものの平面構造式を示す。

これらのスタチンのうち、プラバスタチンナトリウム、シンバスタチン及びアトルバスタチンカルシウム水和物がより好適であり、プラバスタチンナトリウムがより更に好適である。
本発明における「トコフェロール類」とは、トコフェロール及びトコトリエノールであり、メチル基の置換位置により、α-、β-、γ-及びδ-の4種誘導体がある。また、不斉炭素が一つ存在することからそれぞれの誘導体にd-及びl-の光学異性体が存在する。また、トコフェロール及びトコトリエノールは、フェノール性水酸基を有することから、それらの薬理上許容されるエステル(例えば、酢酸、コハク酸、プロピオン酸等)をつくることができる。さらに、コハク酸のような二カルボン酸とのエステルの場合には、それらの薬理上許容される塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等)をつくることができる。トコフェロール類には、このような薬理上許容されるエステル及び薬理上許容される塩も含まれる。好適には、dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール又はコハク酸d−α−トコフェロールである。
本発明における「ユビデカレノン」とは、コエンザイムQ10、CoQ10、補酵素Q10、ユビキノン、ビタミンQ、コエンザイムQ(50)及びユビキノン50等と呼ばれる脂溶性ビタミン様物質であり、体内でも合成される。ミトコンドリア内でのATP産生に関わる回路における補酵素としての機能が知られている。コエンザイムQ10の「10」という数字は、構造中のイソプレンという化学構造の繰り返し単位の数を表している。また、ユビキノンの「ユビ」とは、ラテン語由来の「where」であり、従って「ユビキノン」とは、どこにでも存在するキノンとなる。実際、その名の通り、ユビキノンは体内のあらゆる組織に分布している。
本発明における「高尿酸血症に起因する疾患」とは、血中尿酸濃度が高くなりすぎて、血中に溶けきれなくなった状態に起因して惹起する疾患であればとくに限定はないが、例えば、痛風、腎障害、尿路結石、心血管障害症、動脈硬化症、インスリン抵抗性症状及びメタボリックシンドローム等が挙げられる。好適には、痛風、腎障害、尿路結石及びメタボリックシンドロームである。
本発明における「血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃度低下に起因する疾患」とは、血中の内皮性一酸化窒素濃度が不足する疾患であればとくに限定はないが、例えば、高血圧症、肺高血圧症、バージャー病、レイノー病及びインポテンツ等が挙げられる。
本発明において、「高脂血症に起因する疾患」とは、血中の総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪が高くなる状態に起因して惹起する疾患であればとくに限定はないが、例えば、狭心症や心筋梗塞症などの心血管障害症、脳梗塞症や脳血管性痴呆症等の脳血管障害症、動脈硬化症、インスリン抵抗性症状及びメタボリックシンドローム等が挙げられる。
ここで、「動脈硬化性疾患」とは、動脈壁が肥厚し、弾性を失った状態をいい、例えば、アテローム(粥状)硬化、メンケベルグ型動脈硬化及び細小動脈硬化の3型がある。
また、「メタボリックシンドローム」とは、内臓脂肪症候群とも言われ、内臓脂肪肥満を背景にして複数の生活習慣病(高血圧症、高脂血症及びインスリン抵抗性症状)が合併している状態であり、高尿酸血症も含まれる。
本発明において「治療」とは、病気若しくは症状を治癒させること又は改善させること、或いは症状を抑制させることを意味し、「予防」とは、病気又は症状の発現の未然に防ぐことを意味する。
本発明の医薬組成物は、優れた血中脂質改善作用及び血管内皮機能の改善作用を有するのみならず、顕著な血中尿酸値の低下作用をも有するので、高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、例えば、痛風、腎障害、尿路結石、心血管障害症、動脈硬化症、インスリン抵抗性症状及びメタボリックシンドロームの予防又は治療に有用であるとともに、高血圧症、肺高血圧症、バージャー病、レイノー病及びインポテンツ等に対しても極めて有用な組成物となる。そのため、生活習慣病を総合的に、同時に治療でき、治療効率のみならず医療コストが飛躍的に改善すると考えられる。更に、動脈硬化性疾患に起因する末梢血行障害による、肩こり、首すじのこり、手足のしびれ及び手足の冷えの治療又は予防にも有用である。
プラバスタチンナトリウム、dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸dl−α−トコフェロール及びユビデカレノンは第15改正日本薬局方に収載されている。
d−α−トコフェロール及びコハク酸d−α−トコフェロールは日本薬局方外医薬品規格2002に収載されている。
本発明の組成物に含まれるその他のスタチン、例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン、並びにそれらの薬理上許容される塩は、特開昭57−163374号(USP4231938)、特開昭56−122375号(USP4444784)、特表昭60−500015号(USP4739073)、特開平3−58967号(USP5273995)、特開平1−279866号(USP5854259及びUSP5856336)及び特開平5−178841号(USP5260440)等に記載の方法に従い、容易に製造することができる。
スタチンの1回投与量は、スタチンの種類、適応症、使用目的や年齢により異なるが、通常、0.005mg/kg乃至5.0mg/kgであり、好適には、0.01mg/kg乃至2.0mg/kgである。これを1日に1回乃至3回、症状に応じて、同時に、順次又は別個に投与することができる。
トコフェロール類の1回投与は、トコフェロールの種類、適応症、使用目的や年齢により異なるが、通常、0.02mg/Kg乃至100mg/Kgであり、好適には、0.2mg/Kg乃至20mg/Kgである
ユビデカレノンの1回投与量は、適応症、使用目的や年齢により異なるが、通常、0.05mg/kg乃至30mg/kgであり、好適には、0.1mg/kg乃至15mg/kgである。これを1日に1回乃至3回、症状に応じて、同時に、順次又は別個に投与することができる。
固形又は半固形の剤形の場合において1回量中に含有されるスタチンの含有量は、通常、0.1mg乃至100mgであり、好適には、0.5mg乃至50mgである。また、トコフェロール類の含有量は、通常、1mg乃至1000mgであり、好適には、10mg乃至500mgである。さらに、ユビデカレノンの含有量は、通常、1mg乃至100mgであり、好適には、5mg乃至50mgである。
本発明においては、上記有効成分の他、必要に応じて、尿酸生成抑制剤(アロプリノールなど)及び尿酸排泄促進剤(ベンズブロマロンなど)、並びにその他のビタミン類又はビタミン様物質及び生薬類等を本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
これらの具体的な形態としては、例えば、医薬品では錠剤、咀嚼錠剤、細粒剤(顆粒・散剤を含む)、カプセル剤及び液剤等をあげることができ、各剤形に適した医薬添加剤を適宜使用し、日本薬局方等に記載された通常の方法に従い、製造することができる。
例えば、錠剤の場合、乳糖又は結晶セルロース等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等をコーテイング剤として、ステアリン酸マグネシウム等を滑沢剤として使用することができ、細粒剤及びカプセル剤の場合、乳糖又は精製白糖等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、トウモロコシデンプン等を吸着剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等を結合剤として、使用することができる。その他、各形態において、必要に応じ、クロスポビドン等の崩壊剤、ポリソルベート等の界面活性剤、ケイ酸カルシウム等の吸着剤、三二酸化鉄やカラメル等の着色剤、安息香酸ナトリウム等の安定剤、pH調節剤、香料等を配合することができる。
以下に、実施例等を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)錠剤
(1)1回投与量中の構成成分とその重量
(表1) 1錠中重量(mg)
構成成分 (1a) (1b) (1c)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
プラバスタチンナトリウム
又はアトルバスタチンカルシウム水和物 10 − −
シンバスタチン − 5 −
ピタバスタチンカルシウム − − 1
酢酸d−α−トコフェロール 150 150 150
ユビデカレノン 20 20 20
酸化マグネシウム 90 70 50
ヒドロキシプロピルセルロース 60 60 60
クロスカルメロースナトリウム 20 20 20
ステアリン酸マグネシウム 15 15 15
乳糖 適量 適量 適量
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製造する。
(実施例2)細粒剤
(1)1回投与量中の構成成分とその重量
(表2) 2包中重量(mg)
構成成分 (2a) (2b) (2c)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
プラバスタチンナトリウム
又はアトルバスタチンカルシウム水和物 15 − −
シンバスタチン − 10 −
ピタバスタチンカルシウム − − 2
酢酸d−α−トコフェロール 150 150 150
ユビデカレノン 30 30 30
酸化マグネシウム 100 80 60
白糖 950 950 950
トウモロコシデンプン 920 920 920
ポリソルベート80 70 70 70
ステアリン酸マグネシウム 20 20 20
乳糖 適量 適量 適量
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製造する。
(実施例3)カプセル剤
(1)1回投与量中の構成成分とその重量
(表3) 2カプセル中重量(mg)
構成成分 (3a) (3b) (3c)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
プラバスタチンナトリウム
又はアトルバスタチンカルシウム水和物 10 − −
シンバスタチン − 5 −
ピタバスタチンカルシウム − − 1
酢酸d−α−トコフェロール 150 150 150
ユビデカレノン 20 20 20
酸化マグネシウム 90 70 50
トウモロコシデンプン 440 440 450
ポリソルベート80 60 60 60
ステアリン酸マグネシウム 15 15 15
乳糖 適量 適量 適量
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製した後、カプセルに充填して硬カプセル剤を製造する。
(試験例)
(1)被験物質
プラバスタチンナトリウムは三共(株)製造のものを、酢酸d−α−トコフェロールは理研ビタミン(株)製造のものを、ユビデカレノンは日清ファルマ(株)製造のものを使用した。
(2)動物
試験動物としては、Covance Research Products Inc.からビーグル犬雄を5箇月齢で購入し、約1箇月間の検疫および馴化飼育後に使用した。
(3)投与剤形、製剤の調整方法および製剤の保存方法
試験動物毎の体重をもとに算出した必要量の被験物質を、TORPAC社のゼラチンカプセル(1/2オンス)に充填した。充填後、カプセルは動物毎に区分されたケースに入れ、投与時まで冷蔵保存した。
(4)投与経路および投与期間
被験物質を充填したカプセルは、1日1回9:00〜12:30の間に、試験動物に強制経口投与した。なお、試験動物は投与前2乃至3時間絶食させた。
投与期間は11日間とした。
(5)被験試料の調製
カプセル投与前−14および−7日(投与開始前第2週および第1週)、投与後4日、8日、12日に、橈側皮静脈から約10mL採血した。なお、採血前約18時間、試験動物は絶食させた。
得られた血液を試験管にとり、室温で30分から1時間放置後、遠心分離(約1600×g、10分間)して得られた血清を用いた。
(6)試験方法
血中の尿酸値は通常に用いられているUricase−POD法、総コレステロールは酵素的測定法、HDLはホモジニアス法、LDLは化学修飾酵素法、トリグリセライドは全酵素法により求め、動脈硬化指数はLDL/HDLで算出した。
なお、一酸化窒素合成酵素(NOS)により生成されたNOは、速やかに硝酸イオン(NO )と亜硝酸イオン(NO )に変換される。そこで、血中一酸化窒素(NO)はHPLC法を用いて求めたNO とNO の和として算出して求めた。
(7)試験結果
各被験薬投与における血清尿酸値は、投与2週間前および1週間前の血清尿酸値の平均を100として換算して求めた。
得られた結果を表4に示す。なお、各値とも1群5匹の平均値である。
(表4)
被験物質 血中尿酸値の変動率%
(mg/Kg) 投与後4日 投与後8日 投与後12日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P(2) 104.4 99.7 82.0**
E(300) 103.4 88.9 98.9
U(10) 119.4 106.4 108.8*
P(2)+E(300) 96.4 87.1 106.7
P(2)+E(300)+U(10) 98.2 87.3* 81.0**
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*:p<0.05 **:p<0.01 (paired t test vs. 投与前値)
ここで、Pはプラバスタチンナトリウム、Eは酢酸d−α−トコフェロール、Uはユビデカレノンである。
表4より、本発明の組成物に、各単剤の結果からでは予想できないほどの優れた血中尿酸値の低下作用が発現していることが判る。
血中の総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセライド、血中動脈硬化指数(LDL/HDL)、及び、血管内皮性一酸化窒素濃度の結果を表5乃至表9に示す。

(表5)
被験物質 血中総コレステロール値の変動率%
(mg/Kg) 投与後4日 投与後8日 投与後12日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P(2)+E(300)+U(10) 92.7** 90.0** 89.5*

(表6)
被験物質 血中LDL値の変動率%
(mg/Kg) 投与後4日 投与後8日 投与後12日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P(2)+E(300)+U(10) 79.4 66.7* 63.3**

(表7)
被験物質 血中トリグリセライド値の変動率%
(mg/Kg) 投与後4日 投与後8日 投与後12日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P(2)+E(300)+U(10) 84.1 79.7* 87.3*

(表8)
被験物質 血中動脈硬化指数(LDL/HDL)の変動率%
(mg/Kg) 投与後4日 投与後8日 投与後12日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P(2)+E(300)+U(10) 84.8 73.5* 70.5**

(表9)
被験物質 血管内皮性一酸化窒素濃度の変動率%
(mg/Kg) 投与後4日 投与後8日 投与後12日
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P(2)+E(300)+U(10) 108.1 108.3 127.4*
*:p<0.05 **:p<0.01 (paired t test vs. 投与前値)
ここで、Pはプラバスタチンナトリウム、Eは酢酸d−α−トコフェロール、Uはユビデカレノンである。
表5乃至表9から、本発明の組成物は、優れた血中総コレステロール、LDLコレステロール及びトリグリセライドの低下作用を有し、ひいては動脈硬化指数の低下作用、血管内皮性一酸化窒素合成酵素活性の亢進及び/又は血管内皮性血中一酸化窒素濃度増加作用も同時に示すことがわかる。
以上、本発明の組成物は、優れた血中尿酸値、血中脂質及び血管内皮機能の改善作用を同時にもたらすことが判明した。
本発明の医薬組成物は、優れた血中脂質改善作用及び血管内皮機能の改善作用を有するのみならず、顕著な血中尿酸値の低下作用をも有するので、高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、例えば、痛風、腎障害、尿路結石、心血管障害症、動脈硬化症、インスリン抵抗性症状及びメタボリックシンドロームの予防又は治療に有用であるとともに、高血圧症、肺高血圧症、バージャー病、レイノー病及びインポテンツ等に対しても極めて有用な組成物となる。そのため、生活習慣病を総合的に、同時に治療でき、治療効率のみならず医療コストが飛躍的に改善すると考えられる。更に、動脈硬化性疾患に起因する末梢血行障害による、肩こり、首すじのこり、手足のしびれ及び手足の冷えの治療又は予防にも有用である。

Claims (12)

  1. HMG−CoAリダクターゼ阻害剤、トコフェロール類及びユビデカレノンを含有する医薬組成物。
  2. HMG−CoAリダクターゼ阻害剤が、プラバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン、並びにそれらの薬理上許容される塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. HMG−CoAリダクターゼ阻害剤が、プラバスタチンナトリウムである、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. トコフェロール類が、dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール及びコハク酸d−α−トコフェロールからなる群より選ばれる1種又は2種以上である、請求項1乃至請求項3から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
  5. 高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患を予防又は治療するための請求項1乃至請求項4から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 高尿酸血症に起因する疾患が痛風、腎障害、尿路結石及びメタボリックシンドロームからなる群より選択される少なくとも1つである請求項5に記載の医薬組成物。
  7. (1)高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、(2)血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下に起因する疾患、並びに(3)高脂血症又は高脂血症に起因する疾患を同時に予防又は治療するための請求項1乃至請求項4から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. (1)高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、(2)血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下に起因する疾患、並びに(3)高脂血症又は高脂血症に起因する疾患が、心血管障害症、動脈硬化症、インスリン抵抗性症状及びメタボリックシンドロームからなる群より選択される少なくとも1つである請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 肩こり、首すじのこり、手足のしびれ及び手足の冷えからなる群より選ばれる少なくとも1つを予防又は治療するための請求項1乃至請求項4から選択されるいずれか1項に記載の医薬組成物。
  10. 請求項1に記載の医薬組成物による高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患を予防又は治療する方法。
  11. 請求項1に記載の医薬組成物による(1)高尿酸血症又は高尿酸血症に起因する疾患、(2)血管内皮機能障害及び/又は血管内皮細胞由来血中一酸化窒素濃低下に起因する疾患、並びに(3)高脂血症又は高脂血症に起因する疾患を同時に予防又は治療する方法。
  12. 請求項1に記載の医薬組成物による肩こり、首すじのこり、手足のしびれ及び手足の冷えからなる群より選ばれる少なくとも1つを予防又は治療する方法。
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