JP2008063302A - クルマエビ属ホワイトスポット病用経口ワクチン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ホワイトスポット病ウイルスの外被タンパク質に着目し、同タンパク質の組換えタンパク質を含有する経口ワクチンを作製することにより上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
また、同病に罹ったエビは、病理組織学的には、胃をはじめとするクチクラ層下の上皮組織、結合組織、リンパ様器官、造血組織などの中・外肺葉起源の組織には、細胞の核の肥大と無構造化が特徴的に認められる。これら細胞を電子顕微鏡観察すると、上皮細胞層の肥大した核内に桿状のウイルス粒子が密集している(非特許文献1、2)。
浸漬ワクチンは、予め調製したワクチン液に対象魚を所定の時間浸すことにより投与されるため、注射ワクチンと比べて対象魚へストレスの負担をかけず、労力の負担も少なく投与することができる。しかし、対象魚に取り込まれるワクチンが少量であるため、実用化されているのはアユおよびマス類のビブリオ病ワクチンに限られている。また、経口的水平伝播によってWSDVが感染することを考慮すると、鰓からの免疫抗原の投与となる浸漬処理によるワクチン投与法は、WSDVの経口的水平伝播(径消化管感染)を十分に防げるとは言えない。
更に、注射ワクチンが全身系の免疫を賦活し血液中に抗体を作らせるものの、大多数のウイルスが侵入してくる咽頭や腸管の粘膜に抗体を作らせないのに対し、経口ワクチンは粘膜固有の抗体と血液中の抗体との両方を作らせるという特徴を有する。腸管の粘膜が免疫されると体全体の粘膜免疫(例えば咽頭や鼻粘膜)が賦活されるので、経口ワクチンは、あらゆる侵入口への対応が可能である。
このように経口ワクチンは、優れた点を持ち合わせているが、投与量の把握が難しいことや、胃などで消化作用を受けて変性するため効果が低いことが懸念され、その開発は殆ど試みられてこなかった。特に、無脊椎動物に属するエビをはじめとする甲殻類については、脊椎動物とは異なって獲得免疫系を有しないとされていたことから、経口ワクチンを含めワクチンの開発は殆んど試みられてこなかった。
また、WSDVの外被タンパク質を免疫原として用いた研究も試みられている。Namikoshiらは、WSDVの外被タンパク質VP26とVP28の組換えタンパク質(rVP26、rVP28)を筋肉注射投与したクルマエビを対象としてWSDVについての注射攻撃試験をおこなったところ、クルマエビがWSDVに対して抵抗性を示したことを報告している(非特許文献8)。Witteveldtらは、遺伝子操作によってWSDVの外被タンパク質VP19、VP28それぞれを過剰発現させた大腸菌組換え菌体を経口投与したウシエビ(Penaeus monodon)を対象としてWSDVについての浸漬攻撃試験をおこなったところ、ウシエビがWSDVに対して抵抗性を示したことを報告している(非特許文献6)。
2.組換え外被タンパク質が、配列番号:1(図2)に記載のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列に対して1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失または付加されているアミノ酸配列を含むものである、上記1に記載の経口ワクチン。
3.組換え外被タンパク質が、配列番号:2(図4)に記載のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列に対して1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失または付加されているアミノ酸配列を含むものである、上記1に記載の経口ワクチン。
4.上記1〜3のいずれか1つに記載の経口ワクチンを含有するグルマエビ属用飼料。
上記の培養後、形質転換細胞を含む培養液を低温で冷蔵した後、遠心分離にかける。遠心分離により得られた沈殿物を緩衝液、例えば、TE緩衝液(50mMトリス−HCl (pH8.0)− 2mM EDTA)に懸濁し、これにリゾチーム及びトリトン X-100(Triton X-100)などの界面活性剤を加えた後、超音破砕機にかけて菌体を溶解するとともに菌体の核酸を破砕する。超音破砕処理後の懸濁液を更に遠心分離にかけ、ここで得られる沈殿物を緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)に再懸濁する。
(1)ウイルスDNA試料の調製
野中ら(非特許文献11)に記載のRNase-PEG沈法により、WSDVウイルスに感染したクルマエビ(Peneaeus japonicus)組織からWSDVのDNA抽出液を調製した。具体的には、以下の通りである。
1.5ml容のマイクロチューブ内でWSD病エビ組織約0.2gを300mlのプロティナーゼK(0.1mg/ml)とSDS(10mg/ml)の混合液とともに磨砕した後、37℃で15分間静置した。これに等量のTE緩衝液(50mMトリス−HCl (pH8.0)− 1mM EDTA)飽和フェノールを加え約1分間激しく攪拌した後、遠心分離(12,000 x g、5分間)を行って水層を回収した。回収した水層について再度フェノール抽出を行った後、等量のクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)混液を加えて約1分間激しく撹拌した。次いで、遠心分離(12,000 x g、1分間)を行って水層を回収し、1/10量の5M 酢酸アンモニア溶液および2.5倍量の100%エタノールを加えて混合した後、遠心分離(12,000 x g、15分間)して沈殿を得た。得られた沈殿物を200mlのRNase A溶液(20mg/ml、TE溶液)に懸濁し、37℃で20分間処理した。その後、半量の20%ポリエチレングリコール(PEG-6,000)-2.5M NaCl溶液を加えて撹拌し、遠心分離(12,000 x g、5分間)を行い、上澄み液を完全に除去した。更に、1.5mlの70%エタノールを加えて数秒間撹拌した後、遠心分離(12,000 x g、2分間)を行い、上澄み液を完全に除去し、1.5mlの100%エタノールを加えた。これを、遠心分離(12,000 x g、2分間)して上澄みを除去し、得られた沈殿を室温で約10分間乾燥させ、20mlのTEに懸濁してDNA抽出液とした。なお、遠心分離は全て室温で行った。
(2)外被タンパク質遺伝子クローニング用のPCRプライマーの設計
GenBankに登録されているVP26およびVP28をコードする遺伝子のヌクレオチド配列(GenBank登録番号:AF173992およびAF173993)に基づいて、以下のPCR用のフォワードプライマー(forward primer)およびリバースプライマー(reverse primer)を作製した。
VP26
フォワードプライマー (VP26F): 5’ - GTAAAGGAAGAACTTCCATC - 3’
(配列番号:3)
リバースプライマー (VP26R): 5’ - TATATTTGTACAATTCCCACTTTA - 3’
(配列番号:4)
VP28
フォワードプライマー (VP28F): 5’ - CAAGCAACGTTCGATAAAGA - 3’
(配列番号:5)
リバースプライマー (VP28R): 5 ’- GAAGGTTAAGTAGGTCAATAA - 3’
(配列番号:6)
上記VP26FおよびVP26Rのプライマーセットは、VP26遺伝子の塩基番号35から649に位置するオープンリーディングフレーム(ORF)を含む670塩基をPCRにより増幅するために用いた。VF28FおよびVP28Rのプライマーセットは、VP28遺伝子の塩基番号33から647に位置するORFを含む754塩基をPCRにより増幅するために用いた。これらクローニング用のPCRプライマーのVP26及びVP28遺伝子との結合部位は、図1(VP26)及び図3(VP28)に示されている通りである。
上記(2)において作製したプライマーセットを用いて、上記(1)で得られたウイルスDNA試料からVP26、及びVP28遺伝子のPCR増幅反応をDNAサマー サイクラー(PC800、アステック社)を用いて行った。PCR増幅反応の反応条件は、以下のとおりである。72℃・10分間、及び95℃・9分間の反応後、95℃・1分間、55℃・1分間、72℃・1分間の一連の反応を30サイクル行った後、72℃・5分間(最終伸張)反応をさせた。
大腸菌によるrVP26、及びrVP28の発現系を構築すべく、以下の実験を行った。
(1)ウイルスDNA試料
実施例1の「(1)ウイルスDNA試料の調製」と同じように、野中ら(非特許文献11)に記載のRNase-PEG沈法により、WSDVウイルスに感染したクルマエビ(Peneaeus japonicus)組織からWSDVのDNA抽出液を調製した。
Genetyx(SDCソフトウエア開発)により実施例1で得たVP26及びVP28遺伝子の塩基配列の結合、翻訳領域の推定等の解析を行い、VP26及びVP28遺伝子の両端に位置し、PCRプライマーとして適当な配列を検索した。その結果、VP26およびVP28の発現用のPCRプライマーとして、以下の(i)および(ii)に示すプライマーを設計した。
(i)VP26発現用のPCRプライマー(以下、VP26expとする)
VP26のフォワードプライマー(forward primer; 以下、VP26expFとする)として、VP26遺伝子の塩基配列番号50−69に一致する20塩基と制限酵素Nde IおよびEco RIの認識部位を付加するために設けた5’末端側の11塩基のリンカー配列(5’ - aaagaattcat-3’)を合わせた31塩基を設計した。VP26のリバースプライマー(reverse primer;以下、VP26expRとする)として、VP26遺伝子の塩基配列番号643−664に相補的な22塩基と制限酵素Sal Iの認識部位を付加するために設けた5’末端側の9塩基のリンカー配列(5’ - gctgtcgac -3’)を合わせた31塩基を設計した。VP26発現用のPCRプライマーは、以下の通りである。
VP26exp
VP26expF: 5’ - aaagaattcatATGGAATTTGGCAACCTAAC -3’(配列番号:7)
VP26expR: 5’ - gctgtcgacTTACTTCTTCTTGATTTCGTCC- 3’ (配列番号:8)
これら発現用のPCRプライマーのVP26遺伝子との結合部位は、図1(VP26)に示されている通りである。
VP28のフォワードプライマー(forward primer;以下、 VP28expFとする)として、VP28遺伝子の塩基配列番号43−65に一致する23塩基と制限酵素Nde IおよびEco R Iの認識部位を付加するために設けた5’末端側の11塩基のリンカー配列(5’ - aaagaattcat-3’)を合わせた34塩基を設計した。VP28のリバースプライマー(reverse primer;以下、VP26expRとする)として、VP28遺伝子の塩基配列番号640−657に相補的な18塩基と制限酵素Sal Iの認識部位を付加するために設けた5’末端側の9塩基のリンカー配列(5’ - gctgtcgac -3’)を合わせた27塩基を設計した。VP28発現用のPCRプライマーは、以下の通りである。
VP28exp
VP28expF: 5’ - aaagaattcatATGGATCTTTCTTTCACTCTTTC - 3’(配列番号:9)
VP28expR: 5’ - gctgtcgacTTACTCGGTCTCAGTGCC- 3’(配列番号:10)
これら発現用のPCRプライマーのVP28遺伝子との結合部位は、図3(VP28)に示されている通りである。
上記(2)において作製した発現用のPCRプライマーを用いて、上記(1)のウイルスDNA試料からVP26およびVP28遺伝子のPCR増幅反応を行った。PCR増幅反応の反応条件は、DNAサマー サイクラー(PC800、アステック社)を用いて、72℃・10分間、及び95℃・9分間の反応後、95℃・1分間、55℃・1分間、72℃・1分間の一連の反応を30サイクル行った後、72℃・5分間(最終伸張)反応をさせた。
前述のPCR増幅反応により得られた反応産物から、フェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により濃縮、1%アガロース(TAE緩衝液(40mM トリス酢酸−1mM EDTA、pH8.0))ゲル電気泳動後、NaIとガラスビーズ法を用いた方法で目的のDNA断片を回収した。回収したDNA断片を、所定の制限酵素(Nde IまたはEcoR I、及びSal I)で切断後、フェノール/クロロホルム抽出およびガラスビーズ法で回収し、TE緩衝液に溶解してcDNAとした。発現ベクターはpET-25b(+)(ノバゲン社(Novagen))を用いた。pET-25b(+)を前述の所定の制限酵素で切断後、CIAP(Calf Intestine Alkaline Phosphatase(宝酒造社製)で処理し、フェノール/クロロホルム抽出およびガラスビーズ法で回収し、TE緩衝液に溶解してベクターDNA溶液とした。ライゲーションは、ライゲーションキット(宝酒造社製)のプロトコールに従い、cDNA溶液、ベクターDNA溶液、ライゲーションA及びB液を混合し、16℃で一晩反応することで行った。ライゲーションにより得られた組換えプラスミドを用いて、大腸菌BL21のコンピテント細胞を形質転換した。このようにして得られたrVP26およびrVP28のそれぞれについての組換え大腸菌を大腸菌pET VP26、及び大腸菌pET VP28と呼ぶ。これら組換え大腸菌は、本発明におけるrVP26、及びrVP28の発現系として用いた。
実施例2で構築した組換え大腸菌pET VP26、及び大腸菌pET VP28によるrVP26、及びrVP28の発現とその確認を、以下の実験によりおこなった。
(1)rVP26、及びrVP28の発現
大腸菌pET VP26、及び大腸菌pET VP28を、個別にLB液体培地(各1,200mL、1%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキストラクト、1% NaCl、pH7.4、アンピシリン50mg/ml)に接種して37℃、6時間の振とう培養を行った。振とう培養中の菌体濃度が660nmの波長で吸光値が0.5程度になったところで、培養液にIPTG(イソプロピル-1-1-チオ-b-D-ガラクトシド、最終濃度が1mM)を加え、37℃で3時間、rVP26及びrVP28の発現誘導をおこなった。その後、培養液を4℃で冷蔵、遠心分離(2,500rpm、20分、4℃)した後、その上清液をデカンテーションにより除いた。デカンテーション後の沈殿物をTE緩衝液(50mMトリス−HCl (pH8.0)−2mM EDTA)に懸濁した。この懸濁液に0.1%のトリトンX-100を含む100mg/mLのリゾチーム液を加えて30℃で15分間インキュベートした。その後、菌体を溶解するとともに核酸を破砕する目的で懸濁液を超音波破砕機に供し、懸濁液の粘着性が無くなるまで超音波破砕処理を行った。超音波破砕後の懸濁液を12,000 x g、4℃、15分間の遠心分離に供し、遠心分離後の沈殿物をrVP26及びrVP28の発現タンパク質ワクチンとして15mLのPBS溶液に再懸濁した。
上記「(1)rVP26、及びrVP28の発現」で得られた最終産物であるPBS溶液を、SDS-PAGE電気泳動[Laemmli ら、Nature, 2277, 680-685 (1970)]にかけた。SDS-PAGE電気泳動には12 % ポリアクリルアミドゲルを使用し、染色にはクマーシー・ブリリアント・ブルー(CBB)染色を使用した。その結果、rVP26及びrVP28について、それぞれVP26及びVP28と同じ分子量を示す単一のバンドが認められた(rVP26は分子量約25.5kDa、rVP28は分子量約27.8kDa)(図5)。SDS-PAGE電気泳動後のゲルをデジタル映像にした後、画像解析ソフトによってデンシトグラムを作成し、示された面積から各バンドの量比を算出するとrVP26とrVP28のタンパク質純度は、それぞれ20.3%及び30.8%と推定された。この推定純度は、rVP26とrVP28の回収率は概ね良好であったことを示す。
上記「(1)rVP26、及びrVP28の発現」に記載の方法により大腸菌中で発現させたrVP26、及びrVP28は、同菌中において高次凝集物である封入体として不溶画分に現れたことから、大腸菌由来のDNAなどの核酸、及びポリサッカライドなどを含まないタンパク質製品として得ることができた。そして、これらrVP26、及びrVP28の純度は、上記「(2)SDS-PAGE電気泳動によるrVP26及びrVP28発現の確認」により概ね良好であることが確認された。これら結果は、得られたrVP26及びrVP28製品がともに免疫抗原、及びワクチン製品として使用することができることを示すものである。よって、本実施例で得られたrVP26及びrVP28製品を本発明における組換え外被タンパク質製品として以下の実験に用いた。
rVP26、及びrVP28のワクチンとしての効果の確認を行うために注射、浸漬および経口の3種類の攻撃試験方法の確立を行った。注射攻撃法では、病エビの血リンパ液をウイルス源として用い、浸漬攻撃法では、感染死亡個体の筋肉を磨砕して得た病エビ磨砕液を用いた。経口攻撃法は、感染死亡エビの筋肉を用いた。供試クルマエビは、独立行政法人水産総合研究センター上浦栽培技術開発センターで2005年に生産したクルマエビPenaeus japonicus当歳エビ(平均体重5.3g)個体を用いた。注射攻撃は、血リンパ液を1,500x g の10分間の遠心分離後、上清を原液として、PBS溶液(リン酸緩衝生理的食塩水)で10倍の希釈列段階を作り、10-6倍希釈まで行ったものをウイルス源として、25mL/尾で筋肉注射を行った。浸漬攻撃では、WSSV人為感染試験における死亡個体の筋肉36.6gを4倍量のPBSで磨砕後、3,000 x g、10分間、4℃の遠心分離を行い回収した上清をウイルス源とした。このウイルス源を体重30gに対して1Lの海水に10-2、10-3、および10-4に希釈し、1時間通気して浸漬した。1時間後、新鮮な海水でリンスし、水槽に収容した。経口攻撃では、攻撃するクルマエビの体重1gあたり0.1、0.2、0.3gのWSSV人為感染死亡個体の筋肉を投与した。なお、それぞれの攻撃法において、攻撃操作および病原ウイルスの感染以外の要因で死亡することがないことを証明するため非攻撃の対照区を設けた。注射攻撃では、PBS(リン酸緩衝液、インビトロジェン社製)を等量注射した。浸漬攻撃では、健康エビの磨砕液を10-2に希釈した海水に1時間浸漬し、同様に水槽に収容した。経口攻撃では、健康エビの筋肉(0.3g/g エビ)の投与をおこなった。
(1)経口投与方法
実施例3で得られたrVP26およびrVP28の経口投与によるWSD防御効果を検討した。1日にエビがその体重1gあたり35μgのrVP26またはrVP28(35μg/gエビ/日)を給餌するよう、rVP26またはrVP28を混合させたクルマエビ用配合飼料(稚エビ用4号、又は育成用シグマP-1、マルハ株式会社製に混合させた)を調製し、これをクルマエビに15日間給餌した。対照区として、rVP26またはrVP28に代わって、遺伝子組換えを施していない大腸菌(BL21DE3)由来のタンパク質(以下、BLタンパク質)を用いた。即ち、1日にエビがその体重1gあたり24mgのBLタンパク質(24.5μg/gエビ/日)を給餌するよう、BLタンパク質を配合したクルマエビ用配合飼料を調製し、これをクルマエビに15日間給餌した。
1回目の試験では、平均体重0.64gのクルマエビを各区30尾供試し、上述の方法でrVP26およびrVP28を投与して、投与終了10日後に経口攻撃では、rVP26投与群、rVP28投与群、及び対照区となるBL21DE3投与群それぞれに病エビの筋肉を0.1g/g エビで3日間投与した。非攻撃の対照として、rVP26及びrVP28投与群に対し、健康エビの筋肉を同様に投与した。浸漬攻撃では、攻撃群には、病エビ磨砕液10-4希釈海水へ、体重30gあたり1Lの水量で1時間浸漬した。非感染対照群は、健康エビの磨砕液を同様に希釈して浸漬した。なお、攻撃量は実施例3で得た半数致死量から対照(BL21DE3投与群)の累積死亡率が70%程度になると推定される攻撃量を計算して決定した。
この結果、経口攻撃では、BL21DE3投与群の累積死亡率が90%であったのに対して、rVP26、rVP28それぞれの累積死亡率は63%および60%であった。χ2検定の結果はP<0.05となり、rVP26、rVP28区それぞれの累積死亡率は、BL21DE3投与群の累積死亡率に比較して有意に低くかった(表2)。
2回目の試験では、平均体重6.78gのクルマエビを各区12から15尾供試した。上記「(1)経口投与方法」に記載の方法でタンパク質の投与を行った。攻撃試験は、各タンパク質の投与終了10日後におこない、rVP26及びrVP28投与攻撃区は、実験の再現性を確認するために各攻撃方法とも2水槽ずつ設置した。経口及び浸漬による攻撃試験は、1回目と同様におこなった。注射攻撃では、実施例3で得た半数致死量から対照(BL21DE3投与群)の累積死亡率が70%程度になると算出された攻撃量である、PBS溶液で10-4に希釈した前出の血リンパ液を100 ml/尾で筋肉注射した。
経口攻撃において、BL21DE3投与区の死亡率が31%であったのに対して、rVP26およびrVP28区は、それぞれ0%で推移した。浸漬攻撃では、BL21DE3投与区の死亡率が57%であったのに対して、rVP26およびrVP28区は、21および22%と低く推移した(P<0.05)。注射攻撃においては、BL21DE3投与区の累積死亡率は、93%に達し、rVP26およびrVP28区の死亡率は、それぞれ31および52%で、有意に累積死亡率が低かった(P<0.01)(表3)。
Claims (4)
- クルマエビ属ホワイトスポット病ウイルス(White spot syndrome virus)の組換え外被タンパク質を含有するホワイトスポット病(White spot disease)用経口ワクチン。
- 組換え外被タンパク質が、配列番号:1(図2)に記載のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列に対して1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失または付加されているアミノ酸配列を含むものである、請求項1に記載の経口ワクチン。
- 組換え外被タンパク質が、配列番号:2(図4)に記載のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列に対して1個若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失または付加されているアミノ酸配列を含むものである、請求項1に記載の経口ワクチン。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口ワクチンを含有するクルマエビ属用飼料。
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