JP2008063264A - 高級脂肪族アルコールの分離精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
天然ワックス中に含まれる炭素数20〜40の高級脂肪族アルコールの液体クロマトグラフィーによる分離精製方法、高級脂肪族アルコールの分析方法を提供する。
【解決手段】
天然ワックス成分を加水分解し、脂溶性溶剤で抽出した高級脂肪族アルコールを、高級脂肪族アルコール中に含まれる脂肪酸量を10質量%以下、及び総炭素数35〜49個のトリグリセライドを5質量%以下となるように精製し、メタノール/テトラヒドロフラン混合溶剤を溶離液としODSシリカを充填剤とする液体クロマトグラフィーで分離する。
【選択図】図1

Description

本発明は、天然ワックス中に含まれる炭素数20〜40の高級脂肪族アルコールを分離精製する方法及び高級脂肪族アルコールの分析方法に関する。
高級脂肪族アルコールには、その炭素数等の分子種により様々な作用が知られている。例えば、ヘキサコサノール(炭素数26)にはコレステロール低下作用(特許文献1)、オクタコサノール(炭素28)には性ホルモンによい影響を与える作用(特許文献2)が報告されており、その分子種において生体における生理活性機能が相違する。これらのアルコールについてのメカニズムに解明のため、薬物等としての利用には、高級脂肪族アルコールを効率的に高純度に分離精製する方法及びその組成についての分析方法の確立が求められている。
高級脂肪族アルコールは、通常、長鎖脂肪酸とエステル結合した天然ワックスとして存在している。天然ワックスを長鎖脂肪酸と高級脂肪族アルコールとに分解し高級脂肪族アルコールを得る方法は、例えば、天然ワックスを鹸化分解した後、ヘキサンなどの有機溶剤に高級脂肪族アルコールを溶解せしめ、水洗浄により長鎖脂肪酸石鹸を分離除去して高級脂肪族アルコールを得る方法(特許文献3)、天然ワックスを鹸化分解した後、融点30℃以下の油脂を溶剤として、55℃以上の温水洗浄により長鎖脂肪酸石鹸を分離除去し、高級脂肪族アルコールを得る方法(特許文献4)等が挙げられるが、いずれの方法も脂肪鎖長の異なる高級脂肪族アルコールを含み、分子種において分離精製することはできていない。
高度な精製技術としては、液体クロマトグラフィーを用いることが一般的である。高級脂肪族アルコールは極性が低く、脂溶性であるため、順相液体クロマトグラフィーにより分離する方法(非特許文献1)が知られている。この方法では脂肪酸鎖長による分子種の相違において分離できなかった。
また、逆相液体クロマトグラフィーでは、一般的には分子種の相違において分離度を向上させるため溶離液に水を含有させた極性溶媒を使用する。高級脂肪族アルコールは脂溶性が高くこのような溶離液に殆ど溶解しないので、このような溶離液を逆相液体クロマトグラフィーに使用することはできなかった。
特開昭62−99323号公報 特開昭61−263937号公報 特開平8−157359号公報 特開2004−217633号公報 Hwang.K.T et al,Cereal Chemistry (2005) 82(3),242−245
本発明は、炭素数20〜40の高級脂肪族アルコールを効率良く、分子種において高純度に分離精製できる方法を提供するものである。
さらに、炭素数20〜40の高級脂肪族アルコールの分析方法を提供するものである。
すなわち本発明は、次の(1)〜(3)である。
(1)天然ワックス成分を加水分解し、脂溶性溶剤で抽出した高級脂肪族アルコールを、高級脂肪族アルコール中に含まれる脂肪酸量を10質量%以下、及び総炭素数35〜49個のトリグリセライドを5質量%以下となるように精製し、メタノール/テトラヒドロフラン混合溶剤を溶離液としODSシリカを充填剤とする液体クロマトグラフィーで分離する、天然ワックス中の高級脂肪族アルコールの分離精製方法。
(2)脂溶性溶剤が総炭素数27〜33の中鎖脂肪酸トリグリセライドである前記(1)の天然ワックス成分中の高級脂肪族アルコールの分離・精製方法。
(3)天然ワックス成分を加水分解し、脂溶性溶剤で抽出された高級脂肪族アルコールを、高級脂肪族アルコール中に含まれる脂肪酸を10質量%以下、及び総炭素数35〜49個のトリグリセライドを5質量%以下となるように精製し、メタノール/テトラヒドロフラン混合溶剤を溶離液としODSシリカを充填剤とする液体クロマトグラフィーで分離しこれを検出する、天然ワックス中の高級脂肪族アルコールの分析方法。
本発明の高級脂肪族アルコールの分離精製方法によれば、効率的に高純度に炭素数20〜40の高級脂肪族アルコールを分離精製する方法が提供される。
更に、本発明の高級脂肪族アルコールの分析方法によれば、炭素数20〜40の高級脂肪族アルコールの組成分析方法が提供される。
(高級脂肪族アルコール)
高級脂肪族アルコールは、天然ワックスを構成する成分である。一般的な天然ワックスとして、動物、植物、微生物由来の天然ワックスが挙げられ、例えば、植物起源の天然ワックスとしては、米糠ワックス(ライスワックス)、さとうきびワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、ホホバ油、木ろうなどが挙げられる。また、動物起源の天然ワックスとしては、ビーズワックス(蜜蝋)、マッコウ鯨油、羊毛脂などが挙げられる。
天然ワックスは、上記の植物、動物等より抽出されるが、その抽出物には、総炭素数45〜75のトリグリセライド、炭素数が12〜34個の飽和および不飽和の遊離脂肪酸等が不純物として含まれていることが多い。不純物として含まれるトリグリセライド及び遊離脂肪酸は、後の液体クロマトグラフィーにおける高級脂肪族アルコールの分離精製において高純度分離する際の妨害物質となるので、本発明においてはウィンタリング等によりトリグリセライド等を除いたワックスを使用することが好ましい。
本発明の高級脂肪族アルコールの分離精製方法において、米糠ワックス(ライスワックス)、さとうきびワックス、カンデリラワックス、木ろう、カルナウバワックス、蜜蝋は、高級脂肪族アルコールを多く含む原料のワックスとして好ましい。米糠ワックス、さとうきびワックスは、米や米油、砂糖の生産の副産物として大量に発生するため、安価で入手しやすいため、特に好ましい。
したがって、本発明の分離精製方法において、高純度に製造できる高級脂肪族アルコールとしては、具体的には、エイコサノール(C20、炭素数を示す。以降、同じ)、ドコサノール(C22)、テトラコサノール(C24)、ヘキサコサノール(C26)、オクタコサノール(C28)、ノナコサノール(C29)、ミリシルアルコール(C30)、メリシルアルコール(C31)、ラクセリルアルコール(C32)、セロメリシルアルコール(C33)、テトラトリアコンタノール(C34)、ヘプタトリアコンタノール(C35)、ヘキサトリアコンタノール(C36)、オクタトリアコンタノール(C38)エイコサン1,2−ジオール、ドコサン1,2−ジオール、テトラコサン1,2−ジオール、ドコサン1,3−ジオール、トリコサン1,3−ジオール、テトラコサン1,3−ジオールなどが挙げられる。
(高級脂肪族アルコールの製造)
高級脂肪族アルコールは、天然ワックス成分を加水分解し得られる。天然ワックスを加水分解する方法は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ触媒等を用いた化学反応法、リパーゼ等の油脂加水分解酵素を用いた生化学反応法のいずれでもよい。
具体的な加水分解の条件としては、例えば、1〜20質量%のアルカリ塩を含むエタノール/水溶液を、ワックス100質量部に対してアルカリ塩5〜50質量部加え、70℃以上の温度で還流加熱し加水分解する方法等が挙げられる。
加水分解の程度は、天然ワックスが10質量%以下まで分解することが好ましい。加水分解の程度が10質量%を超える場合には、後の精製工程にもよるが、高級脂肪族アルコール中に総炭素数45〜75個のトリグリセライド、あるいは未反応のワックス等が残ることになり、液体クロマトグラフィーに供したとき、高級脂肪族アルコールの高純度での分離精製が難しくなるおそれがある。
本発明における、ワックスの分解生成物からの高級脂肪族アルコールの抽出方法として、ヘキサンまたは、大豆油、ナタネ油、ヤシ油、パーム核油、中鎖脂肪酸トリグリセライド等の融点30℃以下の油脂を脂溶性溶剤として用いて抽出する方法が挙げられる。なお、中鎖トリグリセライドは、炭素数3個のグリセロールに、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)のみが合計3箇所にエステル結合した総炭素数27〜33個のトリアシルグリセロールである。
具体的には、天然ワックスを加水分解し、上記脂溶性溶剤を添加後、60℃以上程度まで加熱して高級脂肪族アルコール成分を溶解し抽出する。これに温水を加え攪拌混合し、液/液分配法にて脂溶性溶剤層を数回洗浄する。
この操作により、高級脂肪族アルコール成分中の脂肪酸を10質量%以下まで低下させることが好ましい。脂肪酸が10質量%より多い場合、後の液体クロマトグラフィーにおける分離精製において、高級脂肪族アルコールの純度が下がる原因となる。
なお、ここで除かれる脂肪酸は、米糠、サトウキビ等のワックス原料に残存する成分、あるいは、加水分解によって生成する脂肪酸であり、具体的には、炭素数が12〜34個の飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸である。
本発明において、ワックスの分解生成物から抽出される高級脂肪族アルコールは、液体クロマトグラフィーに給する前に脂溶性溶剤から単離されて精製される。高級脂肪族アルコールの脂溶性溶液から高級脂肪族アルコールを単離するためには、蒸留方法、晶析方法を挙げることができる。
抽出に使用した脂溶性溶剤がヘキサンの場合は加熱、減圧等による蒸留させる方法が好ましい。ヘキサンは容易に蒸留するので、容易に高級脂肪族アルコールから除くことができる。
大豆油、ナタネ油、ヤシ油、パーム核油、中鎖脂肪酸トリグリセライド等の融点30℃以下の油脂の場合は、高級脂肪族アルコールを冷却晶析させ、ろ過による粗精製後、エタノールで油脂を洗浄する方法を使用するのが好ましい。
晶析工程においては、これを繰り返すことにより高級脂肪族アルコールの総炭素数35〜49個のトリグリセライドを5質量%以下となるように低下させる。このようなトリグリセライドが5質量%を超えて含まれると、液体クロマトグラフィーにおける分離・精製において、高級脂肪族アルコールの高純度での分離精製が難しくなりやすい。
高級脂肪族アルコール中に、脂肪酸と総炭素数35〜49個のトリグリセライドが共存すると、炭素数20〜34の高級脂肪族アルコールの分離精製が特に困難となるので、脂肪酸と総炭素数35〜49個のトリグリセライドの合計量が10質量%以下であることが好ましい。
晶析工程において除くことになる総炭素数35〜49個のトリグリセライドは、米糠、サトウキビ等のワックス原料から残存する成分、または、抽出に使用する脂溶性溶剤に含まれる成分である。上記脂溶性溶剤の中でも、中鎖脂肪酸トリグリセライドを用いた抽出法は、脂溶性溶剤中このようなトリグリセライドを含まないので好ましい。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセライドに対する高級脂肪族アルコールの溶解性が高い一方で、晶析においても、他のトリグリセライドを含まない高純度の高級脂肪族アルコールを単離できるので好ましい。そして、本発明における液体クロマトグラフィーにおいて、中鎖脂肪酸トリグリセライドと高級脂肪族アルコールとの分離が良好であることから、抽出後これを十分に取り除くことなく、直接に液体クロマトグラフィーに供することができるため好ましい。
(液体クロマトグラフィー)
本発明では、高級脂肪族アルコール中に含まれる脂肪酸を10質量%以下、及び総炭素数35〜49個のトリグリセライドを5質量%以下に精製した高級脂肪族アルコールを液体クロマトグラフィーにて分離・精製する。
本発明において液体クロマトグラフィーの溶離液は、メタノール5〜40体積%及びテトラヒドロフラン(THFと略すこともある。)95〜60体積%からなる混合溶媒である。この混合溶媒は水を使用しないので高級脂肪族アルコールを良好に溶解することができ、高級脂肪族アルコールの分離・精製方法、分析方法を目的とした本発明の使用において適している。
液体クロマトグラフィーにおける分離について、メタノールが5体積%より小さい場合、高級脂肪族アルコールの溶出時間が短く、分離が悪い。逆に40体積%より大きい場合は、精製時間が長くなり好ましくなくなる。
本発明に使用するODSシリカは、母体球状シリカゲルにオクタデシル基が結合した高級脂肪族アルコールとは親和性の高い充填剤である。母体球状シリカゲルの粒径は、1〜6μmのものが好ましい。1μmより小さい場合、分離能は高くなるが、液体クロマトグラフィーにおいて溶離液を一定流量流すために高圧となり機器への過負荷などの問題が生じるので好ましくない。また6μmより大きい場合は、分離能が低下し、良好な分離状態を得られなくなるおそれがある。ODSシリカ粒子は粒径が均一なものが、分離を良好にし、圧力を低くできるので好ましい。ODSシリカの細孔径は70〜200オングストロームのものが好ましい。
更に、ODSシリカのオクタデシル基の結合様式には、モノメリック、ポリメリック、エンベッド、インターメディエイト等が挙げられるが、いずれも使用できる。オクタデシル基の炭素含有量が5〜35%の含有率の充填剤が好ましい。
液体クロマトグラフィーに使用するカラムの内径は径が大きいほど、一度に大量のサンプルをチャージすることができるため好ましい。カラムは、長いほど理論段数が高くなり高純度の分離には好ましい。
高級脂肪族アルコールの1回のチャージ量は、カラム内断面積1mmあたり0.1〜10μgが好ましい。10μgより大きい場合は、分子種における分離が悪くなり、高純度の分離精製ができなくなるおそれがある。
溶離液の流量は、カラムにかかる圧力が20〜200kg・f/cmとなるように設定することが好ましい。20kg・f/cmより小さい場合、流量が遅く、分離に時間がかかる。一方、200kg・f/cmより大きい場合、カラムに負荷がかかり好ましくない。
単離した高級脂肪族アルコールを溶解し液体クロマトグラフィーにチャージする際に使用できる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ベンゼン、ジクロロメタン、メタノール/テトラヒドロフラン混合溶媒が挙げられる。
(分析)
本発明における液体クロマトグラフィーにより分離された各高級脂肪族アルコールを検出し定量することにより、高級脂肪族アルコールの分子種の定量分析をおこなうことができる。
分析にあたっては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの高精度分析装置を用い、本発明の液体クロマトグラフィーの条件で高級脂肪族アルコールを分離しこれを検出・定量することが好ましい。検出装置としては、紫外線吸収検出器、光散乱検出器等が挙げられる。
以下、比較例、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
試験法1
(脂肪酸、トリグリセライド量の定量)
ワックスを加水分解し、脂溶性溶剤で抽出された高級脂肪族アルコールを1mg/mLクロロホルム溶液とし、イアトロスキャン用ロッドに1μLを供し、ヘキサン/ジエチルエーテル/酢酸(80:30:1 体積比)で展開する。イアトロスキャン装置で検出し、全ピーク面積の総和に対する、脂肪酸画分のピーク面積%(Rf値0.96)、トリグリセライド画分のピーク面積%(Rf値0.98)を質量%として計算した。
試験法2
(トリグリセライド分子種の定量)
試験法1で得られたトリグリセライド量中における総炭素数35〜49個のトリグリセライドの割合は、分取用TLCとガスクロマトグラフィーより求めた。具体的には、分取用TLCプレート「Silica gel 60、0.5mm」を用いて同様に展開し、トリグリセライド画分(Rf値0.98)を掻きとり、ジエチルエーテルを用いて、シリカゲルよりトリグリセライドを抽出して、ガスクロマトグラフィーに供する。
ガスクロマトグラフィー条件は、カラム:DB−1カラム(J&W SCIENTIFIC社製、30m×0.32mm、0.25μm)、昇温:150℃→(10℃/分)→320℃→(ホールド20分)、インジェクター温度:320℃、検出器温度:320℃、検出器:FID、キャリアガス:He、キャリアガス流量:2mL/分で行い、18〜30分に検出したピークを総炭素数35〜49個のトリグリセライドとし、総面積に対する割合により該含量を求めた。
実施例1
天然ワックス(ライスワックス、(株)セラリカNODA製)を加水分解した。加水分解の条件は、ワックス2質量部に対して、7質量%水酸化カリウムのエタノール水(エタノール/水:50/50体積比)5質量部を加え、80〜90℃の還流条件下で2時間、加水分解した。反応終了後の分解率は100%であった。この反応液に8質量部のヘキサンを加え、高級脂肪族アルコールをヘキサンで抽出した。抽出液を60℃の温水で6回洗浄した後、この高級脂肪族アルコール抽出液から蒸留によりヘキサンを除去した。得られた高級脂肪族アルコールについて、上記試験法で、不純物を測定した結果、脂肪酸量8質量%であり、トリグリセライドは検出できなかった。これを1mg/mLTHF溶液に調整し、YMC−Pack Pro C18RS((株)ワイエムシー製、カラム径20mm、カラム長さ250mm、ODSシリカの粒子径5μm、細孔径80オングストローム)に500μLチャージした。溶離液をメタノール/テトラヒドロフラン混合溶剤(メタノール/テトラヒドロフラン:20/80体積比)、流速10mL/分で溶出した結果、テトラコサノール(C24)、ヘキサコサノール(C26)、オクタコサノール(C28)、トリアコンタノール(C30)、ドトリアコンタノール(C32)、テトラトリアコンタノール(C34)、ヘキサトリアコンタノール(C36)、ドトリアコンタンジオール(C32ジオール)、テトラトリアコンタンジオール(C34ジオール)を分離した。検出法は、光散乱検出器を使用した。HPLCのピークを図1に示す。
また、図1において、各高級脂肪族アルコールについて組成分析を行った。分析にあたっては、予め各高級脂肪族アルコールについて標品を用いて濃度定量用の検量線を作成し、これを基に相対感度を求め組成分析を行った。組成分析値を表1に記す。
比較として高級脂肪族アルコールの組成をガスクロマトグラフィーで分析した。ガスクロマトグラフィー分析では、高級脂肪族アルコールをトリメチルシリル化し、上記試験2のガスクロマトグラフィーと同条件で検出した。なお、組成分析値は、総面積値に対する各成分の面積値として算出した。
Figure 2008063264
図1より、高級脂肪族アルコールが分離されていることがわかる。表1の結果より、本発明の分析方法では、分子種の分布によらず組成分析できることがわかる。ガスクロマトグラフィーでは、C28より大きい分子種の分析値が低くなる傾向がある。これは、C28より大きい分子種においては、沸点が高くなり気化し難くなることに起因する。
比較例1
実施例1と同様に天然ワックスを加水分解し、ヘキサンで抽出した。60℃の温水で1回洗浄し、高級脂肪族アルコール抽出液を蒸留によりヘキサンを除去した。不純物を測定した結果、脂肪酸量は45質量%でありトリグリセライドは検出できなかった。実施例1と同様にして液体クロマトグラフィーにチャージした結果を図2に示した。
図2より、残存した脂肪酸がC24、C26の高級脂肪族アルコールのピークと重なるだけでなく、C32とC32ジオール、C34とC34ジオールの分離状態を悪くし、精製できないことがわかる。
実施例2
実施例1と同様に天然ワックス(ライスワックス、(株)セラリカNODA製)を加水分解後、中鎖脂肪酸トリグリセライドで抽出し、60℃の温水で6回洗浄した。得られた高級脂肪族アルコール抽出液(脂肪酸2質量%、総炭素数35〜49個のトリグリセライド1質量%)を直接に液体クロマトグラフィーにチャージし、実施例1と同様に分離した。結果を図3に示す。
中鎖脂肪酸トリグリセライドは、高級脂肪族アルコールのピークと重ならないため、抽出液を直接液体クロマトグラフィーにチャージしても良好な分離状態であり、容易に分離・精製できることがわかる。
比較例2
実施例2と同様に天然ワックス(ライスワックス、(株)セラリカNODA製)を加水分解後、中鎖脂肪酸トリグリセライドの代わりにヤシ油で抽出し、抽出液(脂肪酸1質量%、総炭素数35〜49個のトリグリセライド21質量%)を直接液体クロマトグラフィーにチャージした。結果を図4に示す。
総炭素数35〜49個のトリグリセライドが高級脂肪族アルコールのピーク群と重なり、良好に分離・精製するのが難しくなることがわかる。
実施例3
実施例1における、15分に溶出したトリアコンタノールのピークを回収し、これを10回繰り返して、トリアコンタノールを1.1mg精製した。ガスクロマトグラフィーによる純度試験では98.5%、液体クロマトグラフィーによる純度試験では99.8%と確認された。
なお、液体クロマトグラフィーは上記分離条件と同様に行い、ガスクロマトグラフィーは、高級脂肪族アルコールをトリメチルシリル化して、上記試験1と同様の条件で分析した。
本発明実施例1の液体クロマトグラフィーによる高級脂肪族アルコールのクロマトグラム。 図中のC24はテトラコサノール、C26はヘキサコサノール、C28はオクタコサノール、C30はトリアコンタノール、C32はドトリアコンタノール、C34はテトラトリアコンタノール、C36はヘキサトリアコンタノール、C32(ジオール)はドトリアコンタンジオール、C34(ジオール)はテトラトリアコンタンジオールのピークを示す。 本発明比較例1の液体クロマトグラフィーによる高級脂肪族アルコールのクロマトグラム。 図中のC24、C26、C28、C30、C32、C34、C32(ジオール)、C34(ジオール)の表記方法は図1と同じ。 本発明実施例2の液体クロマトグラフィーによる高級脂肪族アルコールのクロマトグラム。 図中のC24、C26、C28、C30、C32、C34、C36、C32(ジオール)、C34(ジオール)の表記方法は図1と同じ。 本発明比較例2の液体クロマトグラフィーによる高級脂肪族アルコールのクロマトグラム。 図中のC24、C26、C28、C30、C32、C34、C36、C32(ジオール)、C34(ジオール)の表記方法は図1と同じ。C35〜C49のTGは、炭素数35〜49個のトリグリセライドを示す。

Claims (3)

  1. 天然ワックス成分を加水分解し、脂溶性溶剤で抽出した高級脂肪族アルコールを、高級脂肪族アルコール中に含まれる脂肪酸量を10質量%以下、及び総炭素数35〜49個のトリグリセライドを5質量%以下となるように精製し、メタノール/テトラヒドロフラン混合溶剤を溶離液としODSシリカを充填剤とする液体クロマトグラフィーで分離する、天然ワックス中の高級脂肪族アルコールの分離精製方法。
  2. 脂溶性溶剤が総炭素数27〜33の中鎖脂肪酸トリグリセライドである請求項1記載の天然ワックス成分中の高級脂肪族アルコールの分離精製方法。
  3. 高級脂肪族アルコール中に含まれる脂肪酸を10質量%以下、及び総炭素数35〜49個のトリグリセライドを5質量%以下となるように精製し、メタノール/テトラヒドロフラン混合溶剤を溶離液としODSシリカを充填剤とする液体クロマトグラフィーで分離し、これを検出する、天然ワックス中の高級脂肪族アルコールの分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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