JP2008062618A - 一括加熱用サーマルヘッドおよび印画装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】データの一括消去やメディアへの転写用オーバーコーティング等で用いられる一括加熱用サーマルヘッドにおいて、その発熱体の温度立ち上がり特性を改善する。
【解決手段】消去ヘッド50は、薄膜部74と、発熱体52と蓄熱層54とを含む基板56と、筐体62とを備える。筐体62と基板56は、それら間に介装された接続層60により固定される。接続層60は、第1のエポキシ樹脂層64及び第2のエポキシ樹脂層68と、それらの間に挟まれるようにガラスクロス66とが積層されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、サーマルヘッドに係り、特に業務用や民生用の各種プリンタ機器に搭載される一括加熱用サーマルヘッド及び、その一括加熱用サーマルヘッドを搭載した印画装置に関する。
書換可能な記録メディアにおけるデータの一括消去や、メディアへの転写用オーバーコーティングなどにおいて、一括加熱用サーマルヘッドが用いられる。この一括加熱用サーマルヘッドは、印字を目的としたものではなく、ある温度まで加熱することで、メディアに印字された情報を消去したり、転写用のオーバーコーティングしたりする。
一般に、一括加熱用サーマルヘッドに要求される特性として、そのサーマルヘッドに備わる発熱体の温度を、データの消去に必要な温度に早期に到達させることがある。また、温度分布にばらつきがある場合、そのばらつきを考慮した温度制御を行う必要がある。
本発明者は、上記のような課題の一つである温度分布のばらつきを改善する技術を開示している(特許文献1参照)。この技術では、一括加熱用サーマルヘッドにおいて、発熱体に電力を供給する一対の電極を、発熱体の長手方向に亘って設け、温度分布のばらつきを抑えている。
特開2005−288918号公報
特許文献1に記載の技術によれば、一括加熱用サーマルヘッド全体に亘り、所望の温度に制御することが容易となり、一部でデータ消去が十分になされないといったことを回避できる。しかし、もう一つの課題、つまりサーマルヘッドに備わる発熱体の温度を、データの消去に必要な温度に早期に到達させるという点については、依然として改善の余地がある。
ところで、サーマルヘッドの温度を、データ消去に必要な温度に早期に到達させるためには、当然に、投入する電力の量を多くすればよい。しかしながら、消費電力は少ない方が好ましく、投入された電力を効率的に利用する必要がある。また、データ消去のために必要とされる温度を極力少ない熱量で保持する観点においても、外部に放出される熱量を抑えることが望まれる。
図6は、一般的なサーマルヘッド30の断面構造を模式的に示している。このサーマルヘッド30は、基板36と、薄膜部44と、筐体42とを備える。薄膜部44は、基板36の上に積層されており、発熱体32と蓄熱層34とを備える。基板36と筐体42は、接続層40により固定される。また、発熱体32を被って保護層38が設けられる。
発熱体32で発生した熱は、保護層38を介して、所望のメディアに投入され、そのメディアに記録されているデータを消去する。このとき、発熱体32で発生した熱の一部は、蓄熱層34、基板36、接続層40を通り、筐体42を介して外部に放出されてしまう。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、その目的は、一括加熱用のサーマルヘッドの温度をデータ消去に必要とされる温度に早期に到達させる技術を提供することにある。また、別の観点では、データ消去に用いられる熱量を低減する技術を提供することにある。
本発明のある態様は、一括加熱用サーマルヘッドに関する。この一括加熱用サーマルヘッドは、基板と、該基板に積層された薄膜部と、該薄膜部が配設されるマウントと、前記薄膜部と前記マウントとの間に介在する接合部と、を備える一括加熱用サーマルヘッドであって、前記接合部は、樹脂材と樹脂材との間に断熱材が介装された積層構造をなしている。
前記樹脂材は、エポキシ樹脂であってもよい。
前記断熱材は、ガラスクロスであってもよし、セラミッククロスであってもよい。
前記接合部の厚さは、0.27mm以上、0.67mm以下であってもよい。
本発明の別の態様は、印画装置に関する。この印画装置は、上記の態様の一括加熱用サーマルヘッドを備える。
本発明によれば、一括加熱用サーマルヘッドの温度を、データ消去または転写用のオーバーコーティングに必要とされる温度に早期に到達させることができる。また、データ消去または転写用のオーバーコーティングに用いられる熱量を低減することができる。
図1は、本実施の形態に係るリライトプリンター10の概略図である。図1(a)は、リライトプリンター10の上面図であり、図1(b)は、A−A断面を模式的に示した図である。また、図2は、リライトプリンター10の主要部分に関する機能ブロック図である。リライトプリンター10は、本図に示すように、六面体状のケーシング13を有しており、ケーシング13内には、リライトメディアMが正逆方向(図1右左方向)に搬送されるメディア搬送路12が水平に形成されている。
メディア搬送路12の一端(図1左端)は開口してメディア挿入口11となっている。また、メディア搬送路12の他端(図1右端)は閉じられて最深部12aとなっている。さらに、ケーシング13内には、印字用サーマルヘッド15がその発熱体16をメディア搬送路12に臨ませて下向きに取り付けられているとともに、印字用サーマルヘッド15の後方(図1右側)に消去ヘッド50が取り付けられている。
さらに、これらの印字用サーマルヘッド15の前方(図1左側)には、一対のプラテンローラ17、17が、互いに所定の間隔を置いて上下2段で水平に配設されており、各プラテンローラ17はメディア搬送路12に臨む形で回動自在に支持されている。
また、消去ヘッド50の後方(図1右側)には、一対のプラテンローラ18、18が、互いに所定の間隔を置いて上下2段で水平に配設されており、各プラテンローラ18はメディア搬送路12に臨む形で回動自在に支持されている。
図3は、本実施の形態に係る消去ヘッド50の外観図である。図3(a)は、上面図を、図3(b)は、側面図を、図3(c)は底面図を示す。消去ヘッド50の底面、つまり筐体2の底面には、複数個(本図では8個)の取付用ねじ穴2aが等間隔で一列に並んで穿設されている。そして、この消去ヘッド50は、図1(b)に示したように、発熱体52がメディア搬送路12に臨む形でケーシング13内に取り付けられている。
リライトプリンター10を用いてリライトメディアMのデータの書換(リライト)を行う際には、一旦、リライトメディアMのデータが全面消去され、つづいて新たなデータが書き込まれる。この処理について簡単に説明する。
まず、リライトメディアMがメディア挿入口11に挿入されると、主制御部20はリライトメディアMのデータの書換を指令する。
すると、第1センサ21は、リライトメディアMがメディア挿入口11に挿入されたことを検知し、その旨の検知信号を主制御部20に出力する。これを受けて主制御部20は、ローラ駆動部23に対して、プラテンローラ17の正回転を指令する。すると、ローラ駆動部23は、プラテンローラ17を駆動して正方向に回転させる。
その結果、リライトメディアMは、メディア搬送路12を正方向(図1右向き)に搬送され、印字用サーマルヘッド15および消去ヘッド50の下側を順に通過する。そして、リライトメディアMは、消去ヘッド50の下側を通過するときに保護膜58に対して正方向に摺動することになる。その後、リライトメディアMは、プラテンローラ18に案内されてメディア搬送路12の最深部12aに達する。
すると、第2センサ22は、リライトメディアMがメディア搬送路12の最深部12aに達したことを検知し、その旨の検知信号を主制御部20に出力する。これを受けて主制御部20は、ローラ駆動部23に対して、プラテンローラ17の逆回転を指令する。すると、ローラ駆動部23は、プラテンローラ17を駆動して逆方向に回転させる。その結果、リライトメディアMは、メディア搬送路12を逆方向(図1左向き)に搬送され、消去ヘッド50および印字用サーマルヘッド15の下側を順に通過する。そして、リライトメディアMは、消去ヘッド50の下側を通過するときに保護膜58に対して逆方向に摺動することになる。
ここで、主制御部20は、ヘッド制御部25に対して、リライトメディアMのデータの消去動作を指令する。すると、ヘッド制御部25は、消去ヘッド50を駆動してリライトメディアMのデータを全面消去する。このとき、リライトメディアMは両端が二組のプラテンローラ17、18で把持されて緊張しているため、リライトメディアMのデータの消去動作は、消去ヘッド50の発熱体52がリライトメディアMの近傍で発熱する形で適正になされる。
次いで、ヘッド制御部25は、印字用サーマルヘッド15を駆動してリライトメディアMのデータを新たに記録する。このとき、リライトメディアMは両端がプラテンローラ17、18で把持されて緊張しているため、リライトメディアMの書換動作は、印字用サーマルヘッド15の発熱体16がリライトメディアMの近傍で発熱する形で確実に行われる。その後、リライトメディアMは、引き続きメディア搬送路12を逆方向に搬送され、メディア挿入口11から排出される。
これにより、リライトプリンター10によるリライトメディアMの書換が終了する。なお、リライトメディアMのデータの消去のみが指示された場合、印字用サーマルヘッド15は駆動されず、データが消去されたデータリライトメディアMは、メディア搬送路12を逆方向に搬送され、メディア挿入口11から排出される。
つづいて、本実施の形態において特徴的である消去ヘッド50の構造について説明する。図4は、本実施の形態に係る消去ヘッド50の断面構造を模式的に示した図である。消去ヘッド50は、基板56と、その上に積層された薄膜部74と、筐体62とを備える。筐体62と基板56は、それら間に介装された接続層60により固定される。薄膜部74は、発熱体52と蓄熱層54とを備える。
基板56は、例えばアルミナなどの絶縁性を有するセラミックからなる。基板56の上には、所望の厚さのグレーズ層と呼ばれる蓄熱層54が、例えばガラスを軟化及び焼成させて形成される。この蓄熱層54の上には、所望の厚さの発熱体52が形成される。発熱体52は、例えば、ホウ素(B)がドーピングされたポリシリコン(Poly-Si)薄膜からなる抵抗体であり、単ドットの帯状に構成される。
この発熱体52には、電力を供給するための電極層(図示せず)が接続されている。この電極層は、例えばアルミニウムにより成膜されている。また、発熱体52の上側には、例えばSiOなどからなる所望の厚さの保護膜58が、蓄熱層54及び基板56を被うように成膜されている。
筐体62は、例えばアルミニウムなどで形成され、放熱材としても機能する。
接続層60は、複合材料であり、第1のエポキシ樹脂層64及び第2のエポキシ樹脂層68と、それらの間に挟まれるようにガラスクロス66とが積層されている。従来は、図6に上述したように、エポキシ樹脂材のみから構成されていた。本実施の形態のように、接続層60を複合材料で積層構造とすることにより、基板56と筐体62の間の断熱効果を高めることができる。第1及び第2のエポキシ樹脂層64,68は、テープ形状であり、ここではそれぞれ厚さ0.06mmである。第1のエポキシ樹脂層64は、基板56に付着され、第2のエポキシ樹脂層68は、筐体62に付着される。なお、本実施の形態では、第1及び第2のエポキシ樹脂層64,68の厚さは同一であるが、これに限る趣旨ではなく、異なる厚さであってもよい。また、第1及び第2のエポキシ樹脂層64,68は、シリコン系樹脂材からなってもよい。また、いずれか一方の層がエポキシ樹脂材で、他方がシリコン系樹脂材という構成であってもよい。
図5は、発熱体52の表面温度と、電力供給のために電圧を印加した時間の関係を示すグラフである。本図に示すように、ガラスクロス66を設けない場合と、ガラスクロス66の厚さを、0.15mm、0.35mm、および0.55mmとした場合の、計4条件について実験を行った。
本実験によると、例えば、発熱体52の表面温度が120℃に達するまでに、ガラスクロス66が無い場合では、約1.6秒要し、一方、ガラスクロス66の厚さが、0.15mmの場合では約1.3秒要し、0.35mmの場合では約1.1秒要し、0.55mmの場合では約1.0秒要した。また、発熱体52の表面温度が160℃に達するまでに、ガラスクロス66が無い場合では、約3.0秒要し、一方、ガラスクロス66の厚さが、0.15mmの場合では約2.7秒要し、0.35mmの場合では約2.3秒要し、0.55mmの場合では約2.2秒要した。
つまり、ガラスクロス66の厚さを0.15mmとした場合、発熱体52の表面温度が120℃に達するに要する時間は、ガラスクロス66が無い場合と比較して、20%弱改善され、160℃に達するに要する時間は10%弱改善される。
同様に、ガラスクロス66の厚さを0.55mmとした場合、ガラスクロス66が無い場合と比較して、発熱体52の表面温度が120℃に達するに要する時間は40%弱改善され、160℃に達するに要する時間は30%弱改善される。
上記の実験から、ガラスクロス66の厚さは、断熱効果の観点において、0.15mm以上が好ましい。つまり、接続層60の総厚は、0.27mm以上が好ましい。
ところで、ガラスクロス66を厚くするに伴い断熱効果は高まるが、せん断力が低下してしまう。この観点においては、製品の使用態様や寿命を考慮すると、ガラスクロス66の厚さは0.55mm以下にすることが好ましい。つまり、接続層60の総厚さは、0.67mm以下にすることが好ましい。
このように、基板56と筐体62の間に、断熱効果にすぐれたガラスクロス66を設けることで、発熱体52の表面温度の立ち上がり特性を改善することができる。また、ガラスクロス66の厚さを適切にすることで、基板56と筐体62とがせん断力により分離することを防止できる。なお、ガラスクロス66の代わりに、断熱性及び耐熱性を有する他の材料が用いられてもよく、例えば、その材料として、セラミッククロスがある。
また、投入した電力を効率よく利用できるため、データを消去するために必要とされる消費電力を低減できる。さらにまた、電圧の印加時間を短縮することにより、消去ヘッド50に対して加えられるストレスを低減できるため、製品の寿命を延ばすことができるとともに、また、設計の際の自由度が増す。
なお、本実施の形態では、一括加熱用ヘッドを消去ヘッドに適用したが、これに限らず、転写用のオーバーコーティングに用いるサーマルヘッドにも適用できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。しかし、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
本発明は、業務用や民生用の各種プリンタ機器に搭載されるサーマルヘッド及び、そのサーマルヘッドを搭載した印画装置に広く利用できる。特に、データを一括して消去したり、また転写用のオーバーコーティングしたりする一括加熱用サーマルヘッドおよびそのサーマルヘッドを搭載した印画装置に広く利用できる。
本発明の実施の形態に係るリライトプリンターの概略図である。 本発明の実施の形態に係るリライトプリンターの主要構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る消去ヘッドの概略外観図である。 本発明の実施の形態に係る消去ヘッドの断面構造を模式的に示した図である。 発熱体の表面温度と、電力供給のために電圧を印加した時間の関係を示すグラフである。 従来の消去ヘッドの断面構造を模式的に示した図である。
符号の説明
10……リライトプリンター(印画装置)
50……消去ヘッド(一括加熱用サーマルヘッド)
52……発熱体
54……蓄熱層
56……基板
58……保護膜
60……接続層
62……筐体
64……第1のエポキシ樹脂層
66……ガラスクロス(断熱材)
68……第2のエポキシ樹脂層
74……薄膜部

Claims (6)

  1. 基板と、該基板に積層された薄膜部と、該薄膜部が配設されるマウントと、前記薄膜部と前記マウントとの間に介在する接合部と、を備える一括加熱用サーマルヘッドであって、
    前記接合部は、樹脂材と樹脂材との間に断熱材が介装された積層構造をなしていることを特徴とする一括加熱用サーマルヘッド。
  2. 前記樹脂材は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の一括加熱用サーマルヘッド。
  3. 前記断熱材は、ガラスクロスであることを特徴とする請求項1または2に記載の一括加熱用サーマルヘッド。
  4. 前記断熱材は、セラミッククロスであることを特徴とする請求項1または2に記載の一括加熱用サーマルヘッド。
  5. 前記接合部の厚さは、0.27mm以上、0.67mm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の一括加熱用サーマルヘッド。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の一括加熱用サーマルヘッドを備えたことを特徴とする印画装置。
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Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004125067A (ja) * 2002-10-02 2004-04-22 Nichias Corp 低温液体タンク用冷熱抵抗緩和材およびその施工方法、並びにライニング材
JP2005262850A (ja) * 2004-02-18 2005-09-29 Hideo Taniguchi 加熱ヘッド、それを用いた記録媒体の記録消去装置および記録消去方法

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