JP2008061860A - メタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置およびメタボリックシンドロームスクリーニングシステム - Google Patents

メタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置およびメタボリックシンドロームスクリーニングシステム Download PDF

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Abstract

【課題】容易かつ正確な測定が可能なメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置を提供する。
【解決手段】帯尺材2には長手方向に単位長さあたりの抵抗値が一定の被覆されていない導体4が基部1と先端部3を結ぶように配置されている。先端部3には抵抗値測定器11が配置され、抵抗値測定器11の一方の端子11aは被覆されていない導体4の端部に予め接続されており、抵抗値測定器11の他方の端子11aは先端部3内で接触端子5に接続されている。接触端子5は先端部3から露出している。測定対象17に対して帯尺材2を巻き付けてループ23を形成し、接触端子5を導体に接触させる。ループ23の部分の導体4の抵抗を測定し、これを長さ情報に変換する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被験者の胴体に帯尺材を巻き付けることにより、胴体部の周囲長を測定し、測定結果を自動的に出力するメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置と、これを備えるメタボリックシンドロームスクリーニングシステムに関する。
近年、虚血性心疾患などの動脈硬化性疾患が急増している。動脈硬化性疾患の重大な危険因子として、高脂血症、特に高コレステロール血症が注目され、その低下によるリスク軽減が臨床的に明らかになっている。そのため、血中脂質濃度が動脈硬化性疾患の指標として注目され、治療や予防に役立てられている。一方、高コレステロール血症以外にも、耐糖能異常、脂質代謝異常、高血圧など、他の危険因子が合併することにより、動脈硬化性疾患の発症の危険性が増大することが明らかになってきている。これら高コレステロール血症分析以外の危険因子が集積している病態は、別々に発症するのではなく、互いに関連しあって、これに肥満を伴って発症することが明らかになっている。こうした一連の症候群について「メタボリックシンドローム」という概念が提唱され、これをもとに診断および治療にあたるべく、日本動脈硬化学会を始めとする8学会の合同で2005年に診断基準が策定された。この診断基準によると、必須項目として、内臓脂肪蓄積が提示され、更にこれに高トリグリセリド血症かつ/または低HDLコレステロール血症、収縮期高血圧かつ/または拡張期高血圧、空腹時高血糖のうち2項目以上の該当をもってメタボリックシンドロームとする、とされた。
これらの項目のうち、必須項目とされる内臓脂肪蓄積を正確に測定するためには、CTスキャンなどによる断層撮影による内臓脂肪面積の測定が必要であるが、予防医学の最前線たる開業医、企業の診療所などにおいて、何処でも簡便に用いることができる基準として、ウエスト周囲径を基準値とすることが定められている。
このメタボリックシンドロームの概念による診断、予防と、これまで既に独立した生活習慣病の危険因子とされてきた高コレステロール血症や糖尿病の予防により、生活習慣病としての動脈硬化性疾患を始めとする循環器疾患の予防が進むものと期待されている。
糖尿病の予防や糖尿病患者の自己血糖値管理のために、簡易型の自己血糖測定装置が多く提案され、既に利用されている。また、臨床検査分野では、簡易迅速測定を第一とし、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間の短縮を目的とした小型で携帯性があり、操作性が良い測定装置を用いたポイント・オブ・ケアテスティング(POCT)と呼ばれる診断が、生活習慣病の診断や予防に活用されている。
今日、簡易測定原理の構築、それに伴う生体成分の固相化技術、センサデバイス化技術、センサシステム化技術、微細加工技術、及びマイクロ流体制御技術の進歩によって、実用性の高いPOCT対応測定機器が提供されるようになってきている。
上記、メタボリックシンドロームの診断のためには、このようなPOCT測定機器で得ることのできる血液成分に関する情報と、必須項目とされるウエスト径、その他の危険因子についての診断情報を用いた統合的な診断が必要である。そのためには、まず、それら個々の危険因子の測定のための手段が必要である。それら個々の危険因子の測定結果を統合的に判断するのは医師などの専門家の役割であるが、そのデータの収集、管理は一元的に行われることが望ましい。
しかし、POCT測定機器で得られる測定結果については、PCなどに直接データを転送し、管理ソフトで一元的に管理することができるが、ウエスト径は、通常、巻尺などで計測され、そのデータを管理するためには、測定者が記録したり、PCに入力したりする必要があった。また、ウエスト径の測定に巻尺を用いる場合には、いちいち、数値を眼で確認して読み取る必要があり、記録するにしてもPCに入力するにしても、読み上げて他の人が記録や入力するなり、測定者自らが一旦記憶して、記録や入力をすることが必要であった。
目視での目盛りの読み取り操作を必要としない巻尺として、特許文献1に例が示されている。図8は、特許文献に示された巻尺の斜視図である。
特許文献1に記載された巻尺は、屈曲性を有する材料で形成された帯尺材110、この帯尺材110の長手方向へ摺動自在に設けられたカーソル部120、及び帯尺材110の長手方向に沿って一定ピッチ間隔で設けられた変位検知素子としての格子電極115を備え。また、この巻尺は、格子電極115とカーソル部120との相対移動変位量を検出するエンコーダ、及びこのエンコーダによって検出された相対移動変位量を表示する表示手段としてのデジタル表示器133を備える。カーソル部120の帯尺材引出口131から引き出された帯尺材110の一端を折り返し、前記引出し方向に対して反対向きの状態で帯尺材引出口131近傍に着脱自在に係止する係止手段が、図8においてカーソル部120の背面側に設けられている。測長に当たっては、カーソル部120の測定基準面(通常、カーソル部120の左端面)を被測定物の測定部位の一方端側に位置させたのち、ゼロセットスイッチ135を押すと、デジタル表示器133の表示値が0にセットされる。続いて、カーソル部120を測定部位に沿ってかつ帯尺材110の長手方向へスライドさせていくと、カーソル部120と帯尺材110との相対移動変位量がエンコーダによって検出されたのち、デジタル表示器133にデジタル表示されていく。カーソル部120の測定基準面が測定部位の他方端側までスライドしたとき、ホールドスイッチ132を押すと、デジタル表示器133に表示されていた表示値がホールドされる。従って、デジタル表示器133の表示値を読み取るだけで測定部位の寸法を間違いなく簡単に測定することができる。このようにカーソル部120と帯尺材110との相対移動変位量をエンコーダで検出する方法を用いることで、測定対象の周囲長を測定する場合にも、2点間の距離を測定する場合にも長さの検出や読み取りを巻尺自体に行わせることが可能になる。
しかし、特許文献1に記載された巻尺では、測定部位の寸法を測定するために、帯尺材110上をスライドさせたカーソル部120の相対変位量を検出し、長さに換算して表示する方式を用いているため、帯尺材に沿う形でカーソル部120を動かす必要があった。
特許文献2には、帯尺材上をスライドさせたカーソル部の相対変位量を検出する方法の1つとして、帯尺材の長手方向に沿って抵抗線を設け、基準位置からカーソル部までの抵抗線の抵抗値から両者(基準位置とカーソル部)の相対移動変位量を検出することが提案されている。この場合も、相対移動変化量を検出する方式のため、やはり、帯尺材に沿ってカーソル部を動かす必要があった。巻取り部から引き出された帯尺材の引き出し量を検出する方法を用いれば、帯尺材を測定対象に巻き付けるだけで測定を完了させることが可能である。しかし、この場合には、帯尺材の先端部分と巻き取り部の両方が測定対象に接触した状態を維持しつつ、両者を接触させなければならない。
特開平6−167301号公報 特開平9−166432号公報
例えば、機能を病院や診療所でメタボリックシンドロームの診断指標としてのウエスト径を測定するという目的に特化した場合、これに用いる巻尺は、測定対象物の周囲長を測定できればよく、任意の2点間の距離を測定する機能を有する必要は無い。
また、ウエスト径の測定値と血清成分中の他の診断指標を踏まえて統合的に診断するために、他の診断指標の測定器にウエスト径に関するデータを送るということ考慮する場合、巻尺での測定と血清成分の測定は、なるべく診療中に行えることが望ましい。診療中にこれらの数値を得ることができれば、医師などは直ちにそれらの数値から診断を下すことができ、また、患者に直接指導を行うことが可能になる。従って、患者のウエスト径の測定は、本来、医師や看護師が行うことが望ましい。一方、患者の精神衛生面を考慮すれば、巻尺をウエストに巻き付ける行為は患者自身が行える方が望ましい。しかし、患者自身が巻尺で測定する場合、巻尺の目盛りを読む操作にあいまいな要素が生じ、測定値の正確性が損なわれる恐れがある。そこで、巻尺を巻き付けた後の測定、即ち、目盛りを読み取る操作と等価な操作が自動的になされることが求められる。また、患者自身による容易かつ正確な測定を可能にするには、巻尺のうちウエストに巻き付けた部分と、巻き取り機構などで収納されている本体部分とを、ある程度離しても計測できることが望ましい。
本発明のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置およびメタボリックシンドロームスクリーニングシステムは、上記の課題を解決するために、以下の特徴を有するものである。
本発明のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置は、基部、帯尺材、及び先端部を備える。前記帯尺材は、測定対象を少なくとも1周囲むに足る柔軟性と長さを有し、かつ前記帯尺材には長手方向に少なくとも1本の単位長さあたりの抵抗値が一定の被覆されていない導体が前記基部と前記先端部を結ぶように配置されている。前記先端部には抵抗値測定器が配置され、前記抵抗値測定器の一方の端子は前記被覆されていない導体の端部に予め接続されており、前記抵抗値測定器の他方の端子は前記先端部内で、前記被覆されていない導体の任意の位置に接触させることができるような位置に配置されている。測定して得られた抵抗値から長さ情報を算出する演算機構と、算出された長さ情報を出力する出力機構が前記基部と前記先端部の何れかに備えられている。前記基部は帯尺材を格納する機構を有する。
このような特徴により、測定対象に帯尺材を巻き付け、先端部と帯尺部とを接触させて、測定対象の周囲に沿ったループを形成し、前記の先端部に設けられた抵抗値測定器の端子のうち、先端部の表面に露出した端子を、前記帯尺部に配置されている被覆されていない導体に接触させることで、このループ、即ち、測定対象の周囲長分の前記露出した導体の抵抗値を測定することができる。この抵抗値は導体の長さに比例するので、予め長さと抵抗値の関係を把握しておいて得られた抵抗値を長さの情報に変換することが可能である。
また、前記演算機構は前記先端部に配置され、前記出力機構は前記基部に配置され、かつ前記演算機構と前記出力機構との間の情報伝達のために、これらの機構間を接続された導線が、絶縁体で被覆されて前記巻尺材の長手方向に配置されている。あるいは、前記演算機構及び前記出力機構が前記基部に配置されてもよく、この場合、前記先端部に配された前記抵抗値測定器と前記演算機構及び前記出力機構との間の情報伝達のために、前記抵抗値測定器と前記演算機構及び前記出力機構の間を導線で接続することができる。この場合も、導線は絶縁体で被覆されて前記巻尺部の長手方向に沿って配置される。
また、抵抗値測定器を基部に内蔵させることも可能である。その場合、前記帯尺材には長手方向に少なくとも1本の単位長さあたりの抵抗値が一定の被覆されていない導体が基部と先端部を結ぶように配置され、かつ前記帯尺材の長手方向に前記先端部と前記基部を結び、全域を絶縁体で被覆された導体が少なくとも2本配置されており、前記絶縁体で被覆された導体のうち一方の1つの末端は、前記被覆されていない導体と、前記先端部で接続されており、前記絶縁体で被覆された導体のうち他方の前記先端部側の末端は、前記先端部でのみ被覆されておらず、前記被覆されていない導体の任意の位置に接触させることができるような位置で、かつ、前記絶縁体で被覆された一方の導体と前記被覆されていない導体の接続部とは物理的に接触不可能な位置に設置されている。また、前記基部には、抵抗値測定器が配され、この抵抗値測定器には前記2本の絶縁体で被覆された導線の前記先端部側と反対側の端部が接続されており、かつ前記抵抗値測定器で測定して得られた抵抗値から長さ演算する演算手段と、演算された長さ情報を出力する出力機構が前記基部に備えられている。
このような構造にすることで、測定対象に帯尺部を巻き付け、先端部と帯尺部を接触させて、測定対象の周囲に沿ったループを形成し、前記の先端部と帯尺部の接触部分において、前述した被覆されていない導体の先端部のみ被覆されず導通部が露出した部分と、帯尺部に露出した、被覆されていない導体が接触し、この状態で前記抵抗値測定器で抵抗値を測定することができる。そのとき計測される抵抗値は、前記2本の被覆された導線と、被覆されていない導線の、測定対象周囲に沿ったループ部分の抵抗値の合成値になる。このような測定を行うと、前記の被覆されていない導体の抵抗値は、ループ周囲長に比例するが、絶縁体で被覆された2本の導体の抵抗値は、ループ周囲長に依存せず一定である。従って、予め、前記絶縁体で被覆された2本の導体の抵抗値の合計値を測定しておいて、この測定で得られる抵抗値から引いた値を得ることで、ループ周囲長に比例する数値情報を得ることができ、この数値情報からループ周囲長を算出することができる。
また、抵抗測定器を基部に内蔵させる構造として、別の形態も可能である。この形態では、前記帯尺材には、少なくとも複数の抵抗器と、これらの抵抗器と比して十分に抵抗値が低い被覆されていない導線とが一定間隔で交互に直列に接続されてなる2本のひも状の抵抗体が、前記基部と前記先端部を結ぶように配置される。そして、前記先端部には前記2本のひも状の抵抗体の一方の端部を接続する、被覆されていない導体が配置される。前記基部には前記2本のひも状の抵抗体の他方の端部の間に接続された抵抗値測定器と、この抵抗値測定器により測定して得られた抵抗値から長さ情報を算出する演算機構と、演算された長さ情報を出力する出力機構が備えられている。
このような構造のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置でも、測定対象に帯尺部を巻き付け、先端部の被覆されていない導体部分を、互いに平行に帯尺材の長手方向に配置されている前記2本のひも状の抵抗体の、それぞれの抵抗器と抵抗器の間の導線部に接触させることで、前記2本のひも状の抵抗体の間に橋を架けるように接続させることになり、これによって前記2本のひも状抵抗体を含んだ帯尺材で測定対象の周囲に沿ったループを形成することができる。この状態で前記の抵抗値測定器で抵抗値を測定する。この場合、測定される抵抗値は、基部に設置された抵抗測定器と前記2本のひも状抵抗体の、前記ループの手前までの部分の抵抗値である。予め、前記2本のひも状の抵抗体を伸ばした状態での抵抗値を測定しておいて、前記ループの手前までの部分の抵抗値をこの値から引いた値が、前記ループ中の2本のひも状抵抗体の抵抗値に相当し、これが前記ループの長さに比例するので、ループ周囲長に換算することが可能である。
また、他の診断装置との統合的な判断を可能にするために、測定および演算により得られた数値を、前記数値出力機構が、外部の他の測定機器、あるいはコンピューターに伝達する手段を備えている。その手段は、アナログ無線、デジタル無線、有線アナログ、有線デジタルの何れかによるものである。
更に、前記演算機構で演算された長さ情報を表示する表示機構を、前記基部と前記先端部の何れかに備えている。
そして、前記抵抗値測定器により、帯尺材のうち測定対象の周囲に巻き付けられた部分、あるいは巻き付けられていない部分の抵抗値を測定する過程において、測定を開始し、抵抗値が確定した瞬間にその数値を保持する機構を有する。
そして、本発明のメタボリックシンドロームスクリーニング装置は、前述のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置と、前記伝達手段から前記長さ情報を受け取ることができる外部情報処理装置とを備える。前記外部情報処理装置は、前記長さ情報以外に、少なくとも血清トリグリセリド値、HDLコレステロール値、収縮期血圧、拡張期血圧、及び空腹時血糖値の測定値を入力可能であり、かつ前記長さ情報と前記測定値に基づいてメタボリックシンドロームの判定を行い及び/または判断の指標を提示する。
あるいは、本発明のメタボリックシンドロームスクリーニング装置は、前述のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置と、前記伝達手段から前記長さ情報を受け取ることができる外部情報処理装置と、少なくとも血清トリグリセリド値、HDLコレステロール値、収縮期血圧、拡張期血圧、及び空腹時血糖値を測定可能なものを含む複数の他の測定装置と、前記伝達手段から前記長さ情報を受け取ることができ、前記複数の他の測定装置から少なくとも前記血清トリグリセリド値、HDLコレステロール値、収縮期血圧、拡張期血圧、及び空腹時血糖値の測定値を受け取ることができ、前記長さ情報と前記測定値に基づいてメタボリックシンドロームの判定を行い及び/または判断の指標を提示する外部情報処理装置とを備える。
本発明のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置によれば、自分自身で容易に自分のウエスト径を測定することができ、あるいは第3者が測定値を知ることが容易かつ確実にでき、誰でもが簡単にかつより正確に測定することができる、という効果を奏する。また、このメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置を備えるメタボリックシンドロームスクリーニングシステムは、関連項目の測定値を一元的に処理することにより、メタボリックシンドロームの判断を確実に行なうことができる。
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかるメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置(以下、胴回り測定装置と略称する。)の斜視図である。図2は本実施形態にかかる胴回り測定装置を実際に使用する様子を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる胴回り測定装置は、中空の筐体である基部1と、基部1内に巻き取られた形態で収納され、かつ基部1に設けられた引き出し口15から巻き取り可能に引き出すことができる、所定の長さ(約2m程度)の帯尺材2と、この帯尺材2の長手方向にみて基部1と反対側の端部に設けられた先端部3を備える。
帯尺材2は、後述する測定対象17を少なくとも1周囲むに足る柔軟性と長さを有し、かつ一定幅でかつ捩じれにくい程度の厚みを有する帯状基体22を備える。帯状基体22は、屈曲性を有し、かつ、電気絶縁性を有する材料によって形成されている。たとえば、内部にガラス芯線や塩ビゾルコートを有する軟質塩ビコートによって帯状基体22が形成されている。この帯状基体22の一方の表面22aには、単位長さあたりの抵抗値が一定である細長い導体4が帯尺材の長手方向に沿って接着されている。この導体4は帯尺材2の基端側と先端側を結ぶように連続して設けられている。また、この導体4の表面は絶縁体で被覆されることなく露出している。導体4は金属の導線でも金属箔でもよい。また、導電性材料をインクの形態などで塗布して導体4を形成してもよい。導体4の材質は、導電性を有する必要があるが、導体4の長手方向の線抵抗があまりに小さいと、後述する抵抗値測定器11の分解能との関連で精密な長さ測定が困難となる。従って、適度な線抵抗を有するように、導体4は抵抗値等の材質、厚み、幅などを調節する必要がある。
抵抗値測定に関する回路の概略を示す図3を併せて参照すると、先端部3内に、抵抗値測定器11が収容されている(図1には点線で概念と配置位置を図示)。この抵抗値測定器11の1つの端子11aは導体4の末端に接続され、もう1つの端子11bが接触端子5に接続されている。この接触端子5は先端部3の外部に露出している。詳細には、接触端子5の先端部3からの露出部分は、帯状基体22の導体4が形成されている表面22aと反対の表面22b側に配置されている。そのため、図2に示すように、帯状基体22の表面22bが測定対象17の表面に接触するようにして、帯尺材2を測定対象17に巻き付けてループ23を形成し、このループ23を閉じる形で導体4に接触端子5を接触させることにより、帯尺材2のうちループ23を構成する部分、すなわち測定対象17の外周に相当する部分にある導体4の抵抗値を測定することができる。図3において、符号「R」は、測定対象17の胴に巻き付けられたループ23の部分の導体4の抵抗値である。この抵抗値Rが抵抗値測定器11により測定される。
基部1には演算・制御部(演算機構)24、出力部(出力機構)26、表示部7、スイッチ8、及び出力端子(伝送手段)16が設けられている。ただし、これらの機構は出力部3に設けてもよい。また、先端部3には、抵抗値測定器11に加え、抵抗値の測定の開始、データの保持を指示するためのスイッチ6が設けられている。
演算・制御部24は、長さの算出に必要な演算を実行する。具体的には、演算・制御部24は、予め求めておいた抵抗値測定器11で測定された抵抗値Rと長さとを関連づけた関係式を記憶している。抵抗値測定器11で測定された抵抗値Rは演算・制御部24に送られ、この関係式などによって長さ、すなわち帯尺材23のループ23が巻き付けられた測定対象17の外周長に換算される。また、演算・制御部24は表示部7や出力端子15への出力、帯尺材2の巻き取り、基部1、あるいは後述する導線25を介して電気的に接続された先端部3に設けられた諸機構の電源の開閉などを含む装置全体の動作をする。この演算・制御部24にはスイッチ6,8により操作者の命令が入力される。図1では基部1について1個のスイッチ8のみを図示しているが、機能毎にスイッチを設けることも、1つのスイッチに複数の機能を担わせることもできる。
測定結果、すなわち演算・制御部24で算出された測定対象17の外周長は、表示部7に出力されて画面表示される。また、測定結果は、出力部26によって出力端子16から外部に出力される。この出力端子16の出力は、アナログ、デジタルのいずれでもよい。また、出力端子16の代わりに無線出力のための装置を基部1に搭載してもよい。換言すれば、出力部26はアナログ無線、デジタル無線、有線アナログ、又は有線デジタルの何れであってもよい。
先端部3に収容された抵抗器測定器11から演算・制御部24への測定結果(抵抗値R)の伝送や、スイッチ6からの入力の演算・制御部24への伝送のために、先端部3側と基部1側を接続する導線25が帯尺材2に装着されている(図1のみ模式的に示す。)。この導線25は、導体4と異なり、帯尺材2表面に電気的に露出していてはならない。即ち、帯尺材4中に包設されているか、導線25自体が絶縁皮膜で覆われていることが必要である。
本実施形態にかかる胴回り測定装置を実際に使用する場合、図2の模式図に示すように、基部1から、帯尺部2を適当な長さ、即ち測定対象17と基部1の距離とおおよその測定対象17の胴回り長を足した長さを引き出し、帯尺部2を測定対象17の胴に巻き付け、先端部3の接触端子5を帯尺部2の導体4に接触させ、スイッチ6を操作すると、測定対象17の胴回りに巻きついた帯尺部2部分の導体4の抵抗値を測定、保持し、基部1に伝達することができる。このような方式で測定するとき、帯尺部がねじれると正確な長さの測定ができないので、前述のように先端部3の接触端子5は、帯尺部2の導体4が露出する表面22aとは逆の表面22b側に設ける必要がある。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、抵抗器測定器11は先端部3に内蔵されているが、抵抗器測定器11を基部1に内蔵させることもできる。
図4及び図5は、抵抗値測定器11を基部1に内蔵させた第2の実施の形態における回路の概念図である。
この第2の実施の形態にかかる胴回り測定装置の構成は、図1に示す第1の実施の形態と同様である(ただし前述のように抵抗値測定器11は先端部3ではなく基部1内に収容されている。)。また、胴回り測定装置が演算・制御部24、表示部7、スイッチ6,8、及び出力端子16を備える点も第1の実施の形態と同様である。
以下に、図4及び図5に示す抵抗器測定器11を基部1に内蔵する方式を実現するための、具体的な構造を概説する。
まず、第1の実施の形態と同様、帯尺材2には長手方向に少なくとも1本の被覆されていない、単位長さあたりの抵抗値が一定の導体4が帯尺材2の一方の表面22aに配置に露出するように配置されている(図1参照)。帯尺材2、導体4の材質、形態などは第1の実施の形態と基本的に共通である。帯尺材2には、これに加えて、先端部と基部を結び、長手方向に沿って、全域を絶縁体で被覆された導体が少なくとも2本配置されている。図4中の導体9,10がこれに相当する。これらの導線9,10は、導体4と異なり、帯尺材2表面に電気的に露出していてはならない。また、帯尺材2中でこれらの導線9,10が電気的に導通してはならない。即ち、導線9,10が帯尺材4中に各々分離されて包設されているか、導線9,10自体が各々絶縁皮膜で覆われていることが必要である。これら絶縁体で被覆された導体9,10のうち、導体10の片方の末端は被覆されていない導体4と先端部3の内部で接続されている。導体9の先端部3側の末端は、先端部3表面に露出する接触端子5に接続されている。接触端子5および、接触端子5と導体9の接点は、帯尺材2でループ23を構成したときに(図2参照)、接触端子5の先端部3表面への露出部分を導体4の任意の位置に接触させることができ、かつ先端部3の内部に配された導体4と導体10の接続部とは物理的に接触不可能な位置に設置されている。また、基部1には抵抗値測定器11が収容され、基部1の内部で、導体9,10の末端が抵抗値測定器11の2つの端子11a,11bに接続されている。
測定対象17に帯尺材2を巻き付け、先端部3の接触端子5と帯尺材2上に露出する導体4を接触させてループ23を形成すると、電気回路的には、基部1内の抵抗値測定器11の一方の端子11bからループ23を介して他方の端子11aに戻る閉回路が形成される。この閉回路の経路をたどると、導体10の基端側が接続された抵抗値測定器11の端子11b、導体10、先端部3内にある導体10の先端側と導体4の先端側との接続部分、導体4のうちループ23を構成する部分、接触端子5と導体4の接触部分、先端部3内にある接触端子5と導体9の先端側との接続部分、導体9、及び導体9の基端側が接続された抵抗値測定器11の端子11cの順で接続されることになる。図4では、機構上ないしは外観上の位置関係を容易に理解できるように模式化した回路を図示しているが、図5にはこれと等価でより接続関係が明確な回路図を示した。図5に示すように、導体10の両端間を抵抗をRa、導体4の測定対象17に巻き付けられたループ23の部分の両端間の抵抗をR、導体9の両端間の抵抗をRbとすると、抵抗値測定器11で測定される抵抗値、すなわち直列に接続されているこれらの抵抗の合成抵抗Rtは以下の式(1)で表される。
Figure 2008061860
このうち、抵抗Ra,Rbは、図4からも明らかなように、測定対象17に巻き付けられる帯尺材2の長さ(ループ23の周長)によらず一定である。一方、抵抗Rは測定対象17に巻き付けられる帯尺材2の長さに比例する。測定対象に巻き付けられる帯尺材2の長さをLとしたとき、以下の式(2)の関係がある。なお、式(2)中のkは導体4の材質、幅、厚み等によって決まる定数である。
Figure 2008061860
式(1),(2)より、抵抗値測定器11で測定された抵抗値Rtと測定対象17に巻き付けられる帯尺材2の長さをLとの間には以下の式(3)の関係がある。
Figure 2008061860
従って、導体9,10の抵抗値Ra,Rbが予め解っていれば、抵抗値測定器11で測定した抵抗値Rtから測定対象17に巻き付けられる帯尺材2の長さ、即ち測定対象17の胴回り長を式(3)を使用して算出することが可能である。本実施の形態における演算・制御部24は、この式(3)を使用して胴回り長を算出している。
測定された抵抗値Rtから式(3)を使用して構成で長さLを高精度で算出するには、導体9,10の抵抗値Ra,Rbは、導体4の抵抗値より小さいことが望ましい。従って、導体9,10は、銅などの単位体積あたりの抵抗値が小さい材料からなり、かつ断面積が大きいことが望ましい。一方、導体4は、導体でなければならないが、過度に導電性が良好であると抵抗値測定器11の分解能との関連で精密な長さ測定が困難となる。従って、抵抗値測定器11によって適度に抵抗値が観測できるように、材質、厚み、幅などを調節する必要がある。この観点から、銀ペーストや導電性のインクなどの塗布で導体4を形成することは望ましい方法である。
第2の実施の形態のその他の構成及び作用は第1の実施の形態と同様であるので、同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
抵抗値測定器11に加え、演算・制御部24を先端部3に設ける場合にも、本実施の形態の導線25と同様に巻尺材2の長手方向に配置されている絶縁体で被覆された導線により先端部3側の演算・制御部24と基部1に配置された出力部26を接続すればよい。
(第3の実施の形態)
抵抗器測定器11を基部1に内蔵させる方式は、第2の実施の形態とは別の構造でも実現可能である。図6はそのような構造を採用した第3の実施の形態にかかる胴回り測定装置の斜視図である。第2の実施の形態と同様に、抵抗値測定器11は基部1に内蔵されている。帯尺材2は、第1及び第2の実施の形態と同様の一定幅でかつ捩じれにくい程度の厚みを有する帯状基体22を備える。帯状基体22は、屈曲性を有し、かつ、電気絶縁性を有する材料によって形成されている。帯状基体22の内部には2本のひも状抵抗体20,21が、帯尺材2の長手方向に平行に埋め込まれている。
ひも状抵抗体20,21はそれぞれ、抵抗器19と導線18が交互に等間隔で配置されて形成されている。導線18には抵抗器に比して十分に抵抗値が低い材料を用いている。例えば、ひも状抵抗体20,21が延びる方向の長さが3mmの抵抗器19と、長さ2mmの導体18が交互に接続されている。これらの2本のひも状抵抗体20,21は、帯状基体22の幅方向の両端に埋め込まれている。一方のひも状抵抗体20の導体18と他方のひも状抵抗体21の導体18とが帯状基体22の幅方向に互いに向かい合って配置され、かつひも状抵抗体20,21の抵抗器19同士も帯状基体22の幅方向に互いに向かい合って配置されている。換言すれば、2本のひも状抵抗対20の抵抗器19と導線18の帯尺材2の長手方向の配置の位相が揃っている。いずれのひも状抵抗体20,21についても、導体18は帯状基体22の一方の表面22aにのみ露出するように配置されている。仮に導体18が帯状基体22の両方の表面22a,22bで露出していると、基部1内に収納する方法として巻き取りを採用する場合に、巻き取られた帯尺材2の表裏の導体18が接触して導通が生じ、以下に述べる測定が不可能になる。従って、導体18は帯状基体22の両面に露出していてはならない。また、対向する2本のひも状抵抗体20,21の隣接する導体18同士も互いに接触していてはならない。
2本のひも状抵抗体20,21の基端側は、基部1内に収容されており、それぞれ抵抗値測定器11の端子11a,11bに接続されている。一方、ひも状抵抗体20,21の先端側は先端部3の内部に収容されており、それぞれ接触端子12に接続されている。換言すれば、ひも状抵抗体20,21の先端側は接触端子12を介して互いに接続されている。接触端子12は、第1及び第2の実施の形態の接触端子5と同様に一部が先端部3の表面に露出している。後に詳述するように、測定時には測定対象17に帯尺材2を巻き付けてループ23を形成し(図2参照)、接触端子12をひも状抵抗体20,21の一対の導体18に接触させ、これらを電気的に導通させる。
第1及び第2の実施の形態の接触端子5の場合と同様の理由により、先端部3からの接触端子12の露出部分は、帯状基体22の導体4が形成されている表面22aとは反対の表面22b側に配置されている。加えて、図6に示すように、接触端子12は、先端部3の両側面3aの一部にも露出していることが望ましい。この両側面3aへの露出は、電気的接触の確保のためには必ずしも必要ではないが、測定時の操作性を向上させる機能がある。即ち、図2のような形態で測定を行うとき、接触端子12の先端部3の両側面3aで露出している部分を容易に目視でき、この接触端子12の露出部分とひも状抵抗体20,21の導体18とが重なって見えれば、導体18と接触端子12が接触する位置関係にあることを視覚的に確認できる。先端部3の両側面3aと帯尺材2の両端面に接触端子12や導体18の存在を示す印を設けても、同様の操作性向上の機能が得られる。また、接触端子12の幅(帯尺材2長手方向の寸法)を、1個の抵抗器19の長さよりも長く設定しておけば、帯状基体22の表面22aに載せた接触端子12は確実に少なくとも1組の導体18と接触し、測定が可能となる。
図7(A)に非測定時の回路的な概要を示し、図7(B)に、帯尺材2のループ23を形成して接触端子12をひも状抵抗体20,21の一対の導体18に接触させた状態の回路的な概要を示す。
図7(A),(B)では、ひも状抵抗体20の抵抗器19の抵抗値を、基部1に近い方から順にR1,R2,…,Rm,Rm+1,…,Rnとしている。同様にひも状抵抗体21の抵抗器19の抵抗値をR1’,R2’,…,Rm’,Rm+1’,…,Rn’としている。ひも状抵抗体20,21は先端部3内部で、抵抗値Rn,R´nの抵抗器19が接続端子12を介して接続されることにより互いに接続されている。前述のように個々のひも状抵抗体20,21では、隣接する抵抗器19の間は導体18で接続されているが、この導体18の抵抗値は小さいので無視できる。逆に、各抵抗器19の抵抗値は導体18の抵抗値が無視できる程度に大きい必要がある。
図7(A)に示すように、測定対象17に帯尺材2を巻き付けていない状態では、基部1に内蔵された抵抗値測定器11の一方の端子11aにひも状抵抗体20の基端側が、もう一方の端子11bにひも状抵抗体21の基端側が接続され、かつひも状抵抗体20,21は先端側が接触端子12を介して互いに接続されている。従って、抵抗値測定器11で測定される抵抗値Rpは、ひも状抵抗体20の全ての抵抗器19の抵抗値R1,R2,…,Rm,Rm+1,…,Rn及びひも状抵抗体21の全ての抵抗器19の抵抗値R1’,R2’,…,Rm’,Rm+1’,…,Rn’の総和となる。一方、図7(B)に示すように、測定対象17の胴回りを帯尺材2で囲い、ループを形成し、m番目とm+1番目の抵抗器19の間の導体18と接触端子12を接触させることができた場合、抵抗値測定器11で計測される抵抗値Rpは、ひも状抵抗体20のR1からRmまでの抵抗器19の合成抵抗と、ひも状抵抗器21のR1’からRm’までの抵抗器19の合成抵抗の合成抵抗である。これらの抵抗器19は全て直列に接続されているので、抵抗値Rpはこれらの抵抗値の和である。ループを形成するために測定対象に巻き付けられた部分の抵抗器19、即ち、Rm+1〜Rn、R´m+1〜Rnは、この測定時には観測されない。従って、ループに巻き付けられた部分の抵抗器19の抵抗値の総和である抵抗値Rpは以下の式(4),(5)で表される。
Figure 2008061860
Figure 2008061860
式(5)の右辺第1項はひも状抵抗体20、21の全抵抗の総和である。また、第2項は測定対象17に帯尺材2を巻き付けて抵抗値を測定したときの数値である。
長さと抵抗値は比例関係なので、この場合も式(5)の演算と、抵抗値と長さの関係に関する演算を施すことで、測定対象の胴回り長を測定することが可能である。
なお、本第3の実施の形態では、帯尺材2に内蔵された2本のひも状抵抗体20,21は、導体18と抵抗器19が交互に連結されて形成されているが、これら2本のひも状抵抗体のかわりに第1及び第2の実施の形態の導体4と同じ材質、形態の導体を配することもできる。その場合、この導体は、帯尺材2の、ひも状抵抗体20、21の導体18の一部が露出していた側の表面に露出する形で帯尺材2の長手方向に沿うように、また、この表面の両端にそれぞれ配置されなければならない。そして、基部1側の端部は各々抵抗値測定器11の両端子に接続され、先端部3側の端部は接触端子12を介して先端部3内部で接続されている。接触端子12の形態は第3の実施の形態での記載と同様の形態である。
ひも状抵抗体を、第3の実施の形態で示した導体18と抵抗器19の交互連結で形成する場合、測定される抵抗値は測定対象の胴回り長に対応して、離散的な数値を示す。一方、ひも状抵抗体を、単位長さあたりの抵抗値が一定の導体で形成することで、測定される抵抗値は測定対象の胴回り長に対応し連続的な数値として検出される。導体18と抵抗器19の交互連結で形成する場合、帯尺材2表面に露出する導体18は、等間隔なので、そのまま巻尺の目盛りとして用いることも可能であるので、どちらの形態を用いるかは用途に応じて判断することが好ましい。
第3の実施の形態のその他の構成及び作用は第1の実施の形態と同様であるので、同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
また、本発明になる胴回り測定装置は、接続端子16を介し、他の卓上型測定器の付加機能として使用可能である。
例えば、第1の実施の形態の胴回り測定装置を他の卓上型測定器の一例である、卓上型血液成分分析装置の付加機能とする場合、演算のための装置、結果を出力、表示する手段、更に外部に伝達する手段のうち、結果を表示する手段は、卓上血液測定器と共用であり、外部に測定結果を伝達する手段は、直接測定器内部の統合演算機能に統合することができる。これは、本発明になる胴回り測定装置が、巻尺収納部から任意の巻尺を引き出し、巻尺収納部の位置と無関係に胴回りを測定できるという特徴を有しているからに他ならない。
また、例えば第2の実施の形態の胴回り測定装置において、測定された胴回り長が、一定値以上の場合に、警告を発する機構を内蔵することもできる。日本肥満学会他7学会が示した日本人のメタボリックシンドロームの診断基準では、ウエスト径が、男性の場合85センチメートル以上、女性の場合90センチメートル以上の場合、腹部肥満と認定しているので、これを閾値とすることも可能である。この場合、性別によって閾値が異なるので、何らかの方法で性別を入力する必要があるが、これは、基部1に入力のスイッチを内蔵させるか、あるいは、出力端子16を経由して、接続される他の測定機器や、PC側で入力するようにしてもよい。
図2を参照すると、接続端子16を介してPCなどの外部情報処理装置100と接続する機能を用いて、測定結果をより積極的に活用できるメタボリックシンドロームスクリーニングシステムを構築することもできる。
例えば、上述したメタボリックシンドロームの診断基準では、腹部肥満と、他の診断指標である血清トリグリセリド値とHDLコレステロール値(各々150mg/dl以上、40mg/dl未満)、収縮期血圧、拡張期血圧(各々130mg/dl以上、110mg/dl以上)、空腹時血糖値(110mg/dl以上)のうち2項目以上該当の場合、メタボリックシンドロームと診断されるが、胴回り測定装置と共にこれらの項目を測定できる複数の他の卓上型の測定器101を1台のPC100に接続し、これらの項目の測定値を一元的に管理でき、医師の判断をより容易にすることができる。この場合、PC100に対して胴回り長さ以外に、少なくとも血清トリグリセリド値、HDLコレステロール値、収縮期血圧、拡張期血圧、及び空腹時血糖値の測定値が入力さる。また、PC100は胴回り長さと他の測定値に基づいてメタボリックシンドロームの判定を行い及び/または判断の指標を提示する。なお、前述のように本発明の胴回り測定装置を他の卓上型測定器に接続する場合には、その卓上型測定器が外部情報処理装置100として機能する。
このように、本発明の胴回り測定装置を他の卓上型の測定器の付加機能として使用として使用したり、胴回り測定装置、他の測定装置、及び外部情話処理装置によりスクリーニングシステムを構成することが可能になることにより、血液成分や、その他、メタボリックシンドロームの診断に必要な指標の測定と、判定に必須の項目であるウエスト径の測定を1つの装置で行なうことも可能になる。このことは、1度の対面診断でこれらの指標を一度に得ることができるようになるということに留まらず、これらの指標についてのデータの収集と管理を一元的に行なうことにより、より多面的な診断が可能である。
以上のように、本発明の胴回り測定装置によれば、自分自身で容易に自分のウエスト径を測定することができ、あるいは第3者が測定値を知ることが容易かつ確実にでき、誰でもが簡単にかつより正確に測定することができる、という効果を奏する。また、巻尺部分が収納される本体部分から離れた位置で測定することが可能である。よって、測定操作の簡便性と測定値の正確性を確保することを可能たらしめ、血液成分測定装置等の付加機能として内蔵させることも可能である。更に、データの通信機能備えることが可能なので、血液成分測定装置等と併用して用いることができる、メタボリックシンドローム診断用のウエスト径測定装置として有用である。
本発明の一実施の形態に係るメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置の構成を示す斜視図 同上の測定の様子を示す図である。 図1の抵抗値測定の回路の模式図である 本発明の他の実施の形態に係るメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置の測定の回路の模式図 同上の等価回路の図である。 本発明の他の実施の形態に係るメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置の構成を示す斜視図 同上の抵抗値測定の回路の模式図 従来の巻尺の斜視図である。
符号の説明
1 基部
2 帯尺材
3 先端部
4 導体
5,12 接触端子
6,8 スイッチ
7 表示部
9,10 導体
11 抵抗値測定器
11a,11b 端子
13,18 導体
14,19 抵抗器
15 引き出し口
16 出力端子
17 測定対象
18 導線
20,21 ひも状抵抗体
22 帯状基体
22a 表面
23 ループ
24 演算・制御部(演算機構)
25 導線
26 出力部
110 帯尺材
115 変位検知素子
120 カーソル部
131 帯尺材引出口
132 ホールドスイッチ
133 デジタル表示器
135 ゼロセットスイッチ

Claims (11)

  1. 基部、帯尺材、及び先端部を備えるメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置であり、
    前記帯尺材は、測定対象を少なくとも1周囲むに足る柔軟性と長さを有し、かつ前記帯尺材には長手方向に少なくとも1本の単位長さあたりの抵抗値が一定の被覆されていない導体が前記基部と前記先端部を結ぶように配置され、
    前記先端部には抵抗値測定器が配置され、前記抵抗値測定器の一方の端子は前記被覆されていない導体の端部に予め接続されており、前記抵抗値測定器の他方の端子は前記先端部内で、前記被覆されていない導体の任意の位置に接触させることができるような位置に配置されており、
    測定して得られた抵抗値から長さ情報を算出する演算機構と、算出された長さ情報を出力する出力機構が前記基部と前記先端部の何れかに備えられており、かつ
    前記基部は帯尺材を格納する機構を有することを特徴とする、メタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  2. 前記演算機構は前記先端部に配置され、
    前記出力機構は前記基部に配置され、かつ
    前記演算機構と前記出力機構との間の情報伝達のために、これらの機構間を接続された導線が、絶縁体で被覆されて前記巻尺材の長手方向に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  3. 前記演算機構及び前記出力機構が前記基部に配置され、かつ
    前記先端部に配された前記抵抗値測定器と前記演算機構及び前記出力機構との間の情報伝達のために、前記抵抗値測定器と前記演算機構及び前記出力機構の間を接続する導線が、絶縁体で被覆されて前記巻尺部の長手方向に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  4. 基部、帯尺材、及び先端部を備えるメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置であり、
    前記帯尺材は、測定対象を少なくとも1周囲むに足る柔軟性と長さを有し、前記帯尺材には長手方向に少なくとも1本の単位長さあたりの抵抗値が一定の被覆されていない導体が基部と先端部を結ぶように配置され、かつ前記帯尺材の長手方向に前記先端部と前記基部を結び、全域を絶縁体で被覆された導体が少なくとも2本配置されており、
    前記絶縁体で被覆された導体のうち一方の1つの末端は、前記被覆されていない導体と、前記先端部で接続されており、
    前記絶縁体で被覆された導体のうち他方の前記先端部側の末端は、前記先端部でのみ被覆されておらず、前記被覆されていない導体の任意の位置に接触させることができるような位置で、かつ、前記絶縁体で被覆された一方の導体と前記被覆されていない導体の接続部とは物理的に接触不可能な位置に設置されており、
    前記基部には、抵抗値測定器が配され、この抵抗値測定器には前記2本の絶縁体で被覆された導線の前記先端部側と反対側の端部が接続されており、かつ前記抵抗値測定器で測定して得られた抵抗値から長さ演算する演算手段と、演算された長さ情報を出力する出力機構が前記基部に備えられ、かつ
    前記基部は帯尺材を格納する機構を有することを特徴とする、メタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  5. 基部、帯尺材、及び先端部を備えるメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置であり、
    前記帯尺材は、測定対象を少なくとも1周囲むに足る柔軟性と長さを有し、前記帯尺材には、少なくとも複数の抵抗器と、これらの抵抗器と比して十分に抵抗値が低い被覆されていない導線とが一定間隔で交互に直列に接続されてなる2本のひも状の抵抗体が、前記基部と前記先端部を結ぶように配置され、
    前記先端部には前記2本のひも状の抵抗体の一方の端部を接続する、被覆されていない導体が配置され、
    前記基部には前記2本のひも状の抵抗体の他方の端部の間に接続された抵抗値測定器と、この抵抗値測定器により測定して得られた抵抗値から長さ情報を算出する演算機構と、演算された長さ情報を出力する出力機構が備えられており、かつ
    前記基部は帯尺材を格納する機構を有することを特徴とする、メタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  6. 前記出力機構が、測定および演算により得られた数値を、外部の他の測定機器、あるいはコンピューターに伝達する伝達手段を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  7. 前記演算機構で演算された長さ情報を表示する表示機構を、前記基部と前記先端部の何れかに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  8. 前記抵抗値測定器により、帯尺材のうち測定対象の周囲に巻き付けられた部分、あるいは巻き付けられていない部分の抵抗値を測定する過程において、測定を開始し、抵抗値が確定した瞬間にその数値を保持する機構を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  9. 前記出力機構が備える前記伝達手段は、アナログ無線、デジタル無線、有線アナログ、又は有線デジタルの何れかによるものであることを特徴とする、請求項6に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置。
  10. 請求項6に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置と、
    前記伝達手段から前記長さ情報を受け取ることができる外部情報処理装置と
    を備え、
    前記外部情報処理装置は、前記長さ情報以外に、少なくとも血清トリグリセリド値、HDLコレステロール値、収縮期血圧、拡張期血圧、及び空腹時血糖値の測定値を入力可能であり、かつ前記長さ情報と前記測定値に基づいてメタボリックシンドロームの判定を行い及び/または判断の指標を提示することを特徴とする、メタボリックシンドロームスクリーニングシステム。
  11. 請求項6に記載のメタボリックシンドロームスクリーニング用胴回り測定装置と、
    前記伝達手段から前記長さ情報を受け取ることができる外部情報処理装置と
    少なくとも血清トリグリセリド値、HDLコレステロール値、収縮期血圧、拡張期血圧、及び空腹時血糖値を測定可能なものを含む複数の他の測定装置と、
    前記伝達手段から前記長さ情報を受け取ることができ、前記複数の他の測定装置から少なくとも前記血清トリグリセリド値、HDLコレステロール値、収縮期血圧、拡張期血圧、及び空腹時血糖値の測定値を受け取ることができ、前記長さ情報と前記測定値に基づいてメタボリックシンドロームの判定を行い及び/または判断の指標を提示する外部情報処理装置。
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