JP2008059670A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】光透過層に用いられる材料を最適化することで、簡易な構造で環境変化に対しても反り量の少ない光記録媒体を提供する。
【解決手段】本発明の光記録媒体50によれば、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂に相対分子質量Mrが1000≦Mr≦1100の範囲を満たすようなプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを用いることで、光記録媒体50の耐候性後の反り量を小さくすることができる。また、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比を20wt%〜30wt%の範囲とすることで、光記録媒体50の耐候性後の反り量を小さくすることができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の光記録媒体50によれば、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂に相対分子質量Mrが1000≦Mr≦1100の範囲を満たすようなプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを用いることで、光記録媒体50の耐候性後の反り量を小さくすることができる。また、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比を20wt%〜30wt%の範囲とすることで、光記録媒体50の耐候性後の反り量を小さくすることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は外部からレーザ光を照射することにより情報信号の再生もしくは記録を行うための光記録媒体に関し、特に、このレーザ光が照射される面に形成される光透過層の材料を最適化することで光記録媒体の反りを低減した光記録媒体に関する。
デジタル化した情報信号の記録媒体としては、記録容量、ランダムアクセス性、可搬性、価格等の面から、外部からレーザ光を照射することによって情報信号の記録再生等が行われる光記録媒体が産業用から民生用まで広く普及している。これら、光記録媒体としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Varsatile Disc)等の再生専用型、CD−R、DVD−R等の1回のみ記録が可能な追記型、CD−RW、DVD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM等の何回でも記録が可能な書き換え型、更には大容量の光記録媒体としてBD(Blu−ray Disc)等、様々なものが開発されている。
これら光記録媒体においては、近年の情報通信及び画像処理技術の急速な発展に伴い、更なる記録容量の向上が要求されている。光記録媒体の記録容量を向上させる主な手法としては、情報信号が記録される情報層を複数形成する手法の他に、情報層のグルーブ及びランド等のトラックピッチやピット等を微細化し、情報層における記録密度を高めることで光記録媒体の高容量化を図る手法がある。
上記のような手法を用いて記録密度が向上した光記録媒体としては、例えば情報層を構成する凹凸パターンを最短ピット長0.16μm、トラックピッチ0.32μmにまで微細化したものがあり、このような高密度の光記録媒体は、直径120mmの光記録媒体に2T系の信号方式で22ギガバイト〜27ギガバイトもの高い記録容量を得ることができる。
案内溝やピット等を微細化し情報層における記録密度を高める手法においては、微細化した案内溝やピット等に合わせて照射するレーザ光のスポット径も小径化する必要がある。レーザ光のスポット径を小径化するためには、レーザ光の短波長化やレーザ光を照射するための対物レンズの開口数NAを大きくすることが一般的に行われている。
対物レンズの開口数NAを大きくした場合、照射するレーザ光の光軸に対して光記録媒体の情報層が垂直からずれたときに生じるコマ収差が、対物レンズの開口数NAの3乗に比例して急激に増大する。このコマ収差を低減するためは、レーザ光が光記録媒体に入射する際の入射面から情報層までの距離を短くし、コマ収差の発生量そのものを抑制することが効果的である。
しかしながら、従来の光記録媒体では基板の一方の面に情報層を形成しもう一方の平坦な面を入射面としており、この構成では基板の厚さが入射面から情報層までの距離に相当するため、入射面から情報層までの距離を短くするためには基板を薄く形成する必要がある。このような薄い基板に精度良く微細な凹凸パターンを形成することは極めて困難であり、従来の射出成型法等では作製することが技術的に難しい。従って、高密度の光記録媒体ではレーザ光の入射面は基板の平坦な面側からではなく、基板の情報層が形成された面側から行われる。このため、情報層上に形成される保護層として、情報層を保護する機能とレーザ光を透過する機能とを兼ね備えた光透過層が形成されることとなる。
この構成によれば、光透過層の厚さが入射面から情報層までの距離に相当するため、光透過層はレーザ光の波長や対物レンズの開口数NA等により所定の厚みに設定される必要がある。例えば、前述の最短ピット長が0.16μm、トラックピッチ0.32μmの案内溝等を有する22ギガバイト〜27ギガバイトの高密度の光記録媒体では、波長λが405nmの青色レーザ光と開口数NAが0.85の対物レンズとを用いているために、光透過層の厚さは90μm〜110μmに設定されなければならない。
しかしながら、光透過層の厚みが90μm〜110μmまで厚くなると、光記録媒体の使用環境、保存環境における温度、湿度等の長期的、短期的な環境変化によって生じる光透過層の反りが顕著となり、この光透過層の反りに伴って光記録媒体全体の反り量も増大してしまう。このため、却ってレーザ光の光軸に対して光記録媒体の情報層が垂直からずれることとなり、良好な記録再生を行うことができないという問題がある。
上記の問題を解決するために、下記[特許文献1]に開示された光ディスクに関する発明では、光記録媒体(光ディスク)を形成する二つの基板を金属もしくは樹脂製の補強板を介して接合することで、環境変化に対する光記録媒体の反りの抑制を行っている。
また、下記[特許文献2]に開示された光ディスクに関する発明では、図6に示すように、基板1の一方の面上に各機能層2a〜2dで構成される光記録層2と、樹脂保護層3と、基板1のもう一方の面にハードコート層4とが形成され、このハードコート層4を最適化し光記録媒体(光ディスク)を予め所定量湾曲させることで、環境変化に伴う光記録媒体の全体の反り量を規格内に抑えている。
しかしながら、[特許文献1]、[特許文献2]に開示された発明では、光記録媒体の反りを抑制するための補強板やハードコート層を形成する必要があり、光記録媒体の構造が複雑化するため更なる改善が望まれる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光透過層に用いられる材料を最適化することで、簡易な構造で環境変化に対しても反り量の少ない光記録媒体を提供することを目的とする。
本発明は、
基板1と、前記基板1の一面側に形成されて情報信号を記録し得る機能層からなる情報層6と、
前記情報層6上に形成されてプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを含む紫外線硬化樹脂からなる光透過層7と、を有し、
前記紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量Mrが
1000≦Mr≦1100であることを特徴とする光記録媒体50を提供することにより、上記課題を解決する。
基板1と、前記基板1の一面側に形成されて情報信号を記録し得る機能層からなる情報層6と、
前記情報層6上に形成されてプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを含む紫外線硬化樹脂からなる光透過層7と、を有し、
前記紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量Mrが
1000≦Mr≦1100であることを特徴とする光記録媒体50を提供することにより、上記課題を解決する。
また、前記紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比が
20wt%〜30wt%であることを特徴とする上記の光記録媒体50を提供することにより、上記課題を解決する。
20wt%〜30wt%であることを特徴とする上記の光記録媒体50を提供することにより、上記課題を解決する。
更に、前記紫外線硬化樹脂からなる前記光透過層7の弾性率Kが、15MPa≦K≦40MPaであることを特徴とする上記の光記録媒体50を提供することにより、上記課題を解決する。
本発明に係る光記録媒体によれば、上記の構成により、
光透過層に用いられる材料を最適化することで、構造を複雑化することなく環境変化に対しても反り量の少ない光記録媒体を得ることができる。
光透過層に用いられる材料を最適化することで、構造を複雑化することなく環境変化に対しても反り量の少ない光記録媒体を得ることができる。
本発明に係る光記録媒体の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る光記録媒体の模式断面図である。図2はプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量と光記録媒体の反り量との関係を示す図である。図3はプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量と紫外線硬化樹脂膜の弾性率との関係を示す図である。図4はプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比と光記録媒体の反り量との関係を示す図である。図5はプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比と紫外線硬化樹脂膜の弾性率との関係を示す図である。
図1に示される光記録媒体50の基板1の一方の面上には、同心円状もしくは螺旋状にピット列や案内溝が凹凸パターン5として射出成型法などの従来の方法により形成される。また、基板1の凹凸パターン5上に機能層を成膜することで情報層6が形成され、更に情報層6上には情報層6を保護すると共にレーザ光を透過する光透過層7が形成される。
基板1の材料としては、ポリカーボネート、ポリメチル・メタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート・ポリスチレン共重合体、ポリビニルクロライド、脂環式ポリオレフィン、ポリメチルペンテン等の各種熱可塑性樹脂や熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂及び可視光硬化樹脂を含む各種放射線硬化樹脂等の合成樹脂を用いることができるが、中でも成形が容易であることから特にポリカーボネートを用いることが好ましい。
凹凸パターン5上に形成される機能層は、光記録媒体50が再生専用型の光記録媒体の場合は、例えばAl(アルミニウム)等の光に対して高反射率を示す反射膜が成膜される。また、光記録媒体50が書き換え型の光記録媒体の場合は、例えばGe(ゲルマニウム)−Sb(アンモチン)−Te(テルル)合金等の相変化材料からなる記録膜と、ZnS(硫化亜鉛)−SiO2(酸化珪素)等の誘電体からなる誘電体膜、Al等の金属からなる反射膜等の複数の膜が機能層として成膜される。更に、機能層にはこれらの膜に加え、拡散防止膜、熱拡散膜、光学調整膜、透過率向上膜等を必要に応じて適宜成膜しても良い。尚、これらの機能層の成膜にはスパッタリング法や蒸着法などの従来の成膜方法が用いられる。
光透過層7は後述する材料からなる紫外線硬化樹脂で形成される。光透過層7は、スピンコート法などの従来の方法により、所定の厚みの紫外線硬化樹脂層を情報層6上に形成した後、紫外線の照射により硬化させることで形成することができる。
光記録媒体50には光透過層7側からレーザ光が照射され、光透過層7を通して情報層6にレーザ光が到達する。光記録媒体50が再生専用型の光記録媒体の場合には、照射されたレーザ光は情報層6にて反射され、その反射光の強度が情報層6のピットの有無で異なることを利用して記録された情報信号の再生を行う。
また、光記録媒体50が書き換え型の光記録媒体の場合には、記録する情報信号に応じて照射する記録レーザ光のパワーを2段階に変えることで、情報層6を構成する記録膜の相を結晶相もしくは非結晶相に変化させ情報信号の記録を行う。また、記録された情報信号を再生する場合には、記録レーザ光よりも強度の低いレーザ光を情報層6に照射して、その反射光の強度が結晶相と非結晶相とで異なることを利用して記録された情報信号の再生を行う。
次に、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂に関する詳細な説明を行う。
図2に本発明に係る紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量と光記録媒体の反り量との関係を示す。
尚、図2における試料の作製及び測定は次のように行った。先ず、直径120mm厚み0.6mmのポリカーボネート製の基板1に、機能層として3nmのAu(金)反射膜を成膜し情報層6とした。このとき、マイクロメータを用いて基板1の半径53mmの位置の高さの値と半径20mmの位置の高さの値とを測定し、半径53mmの位置の高さの値から半径20mmの位置の高さの値を引くことで基板形成後の反り量を得た。
次に、相対分子質量がそれぞれ異なるプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを30wt%、プロピレンオキサイド付加ジアクリレートを30wt%、フェノキシアクリレートを40wt%、の組成比で調製した後、その混合物の重量に対して光開始剤としてのヒドロキシシルフェニルケトンを4wt%添加して紫外線硬化樹脂を得た。この紫外線硬化樹脂を基板1の情報層6上にスピンコーターを用いて塗布した後、1000mJの紫外線を照射することで硬化させ、厚さ約100μmの光透過層7を形成することで光記録媒体50を得た。得られた光記録媒体50の半径53mmの位置の高さの値と半径20mmの位置の高さの値とを測定し、半径53mmの位置の高さの値から半径20mmの位置の高さの値を引くことで光透過層形成後の反り量を得た。また、得られた光透過層形成後の反り量から基板形成後の反り量を引いた値を初期反り量とした。
次に、得られた光記録媒体50に環境変化による光記録媒体への変化を調べるための耐候性試験(温度80℃、湿度85%、96時間)を行った。この耐候性試験後の光記録媒体50の半径53mmの位置の高さの値と半径20mmの位置の高さの値とを測定し、半径53mmの位置の高さの値から半径20mmの位置の高さの値を引くことで耐候性試験後の光記録媒体の反り量を得た。また、得られた耐候性試験後の光記録媒体の反り量から初期反り量を引いた値を耐候性後反り量とした。更に、耐候性試験後の光記録媒体の反り量から基板形成後の反り量を引いた値、即ち初期反り量と耐候性後反り量との和を全反り量とした。
図2より、初期反り量(図2中○印)はプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量が大きくなるにつれ減少するのに対し、耐候性後反り量(図2中△印)は相対分子質量が1000〜1500の範囲で急激に増大することがわかる。従って、初期反り量と耐候性後反り量の和である全反り量(図2中□印)も、耐候性後反り量と同様に、相対分子質量が1000〜1500の範囲で急激に増大することがわかる。ここで全反り量の上限を、光記録媒体の耐候性後反り量の限界値である±200μmより小さい120μmと設定すれば、この反り量を満たすようなプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量Mrの範囲は1100≧Mrの範囲となる。尚、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートはウレタン骨格を形成するモノマーの分子量の関係上、相対分子質量が1000に満たないものは調製することが難しい。これらのことから、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂に、相対分子質量Mrが1000≦Mr≦1100の範囲を満たすプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを用いることで、光記録媒体50の耐候性後反り量を120μm以下の小さい値に抑えることができる。
次に、図3に本発明に係る紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量と紫外線硬化樹脂膜の弾性率との関係を示す。
尚、図3における試料の作製及び測定は次のように行った。図2と同様にして紫外線硬化樹脂を調製し、これを基板上に塗布した後に1000mJの紫外線を照射することで硬化させ、厚み約100μmの紫外線硬化樹脂膜を形成した。この紫外線硬化樹脂膜を基板から剥離し、幅1cmの長方形となるように裁断し試験片とした。この試験片の両端を試験片の長さが2.5cmとなるように引張り試験機の試料取り付け部に挟み込み、60℃の雰囲気中で試験片が破断するときの引張り強度を測定した。このようにして得られた試験片の引張り強度と試験片の寸法とから紫外線硬化樹脂膜の弾性率を算出した。
図3から、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量が1000〜1500の範囲で、紫外線硬化樹脂膜の弾性率は急激に減少することがわかる。尚、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量Mrの範囲が1000≦Mr≦1100のときの紫外線硬化樹脂膜の弾性率Kは35MPa≦K≦40MPaの範囲にある。
次に、図4に本発明に係る紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比と光記録媒体の反り量との関係を示す。
尚、図4における紫外線硬化樹脂は次のような組成比にて作製した。相対分子質量が1000のプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比を20wt%、30wt%、40wt%、と変化させ、残りをプロピレンオキサイド付加ジアクリレートとフェノキシアクリレートとで調製した。このとき、プロピレンオキサイド付加ジアクリレートとフェノキシアクリレートの重量比は3:4で固定した。調製された混合物の重量に対して光開始剤としてのヒドロキシシルフェニルケトンを4wt%添加して紫外線硬化樹脂を得た。図4における試料は上記の紫外線硬化樹脂を用い、図2と同様にして作製した。また、作製された光記録媒体50の各段階での反り量を、図2と同様に測定することで、初期反り量、耐候性後反り量、及び全反り量を得た。
図4より、初期反り量(図4中○印)及び、耐候性後反り量(図4中△印)はともにプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比が多くなるにつれ増加傾向を示すことがわかる。よって、初期反り量と耐候性後反り量の和である全反り量(図4中□印)もプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比が多くなるにつれ増加傾向を示す。ここで全反り量の上限を、図2同様120μmと設定すれば、この反り量を満たすようなプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比は33wt%以下の範囲となる。尚、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比が20wt%に満たないものは完全に硬化しないため、光透過層7の材料として用いることはできない。これらのことから、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比を20wt%〜30wt%の範囲とすることで、光記録媒体50の耐候性後反り量を120μm以下の小さい値に抑えることができる。
次に、図5に本発明に係る紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比と紫外線硬化樹脂膜の弾性率との関係を示す。尚、図5における試料の作製及び測定は、図4と同様にして紫外線硬化樹脂を調製し、これを図3と同様にして試験片を作製、引張り強度を測定した後、弾性率を算出した。
図5から、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比が増加するにつれ、紫外線硬化樹脂膜の弾性率は急激に増加することがわかる。尚、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比の範囲が20wt%〜30wt%のときの紫外線硬化樹脂膜の弾性率Kは15MPa≦K≦40MPaの範囲にある。
射出成型法を用いて、トラックピッチ0.32μmの案内溝が凹凸パターン5として一面側に形成された、直径120mm、厚み1.1mmのポリカーボネート製の基板1を作製した。次に、基板1の凹凸パターン5上に機能層として、Al合金からなる厚み100nmの反射膜、ZnS−SiO2からなる厚み25nmの第1誘電体膜、GeSbTeからなる厚み20nmの記録膜、ZnS−SiO2からなる厚み100nmの第2誘電体膜、を順次スパッタ装置を用いて成膜し情報層6を形成した。
次に、相対分子質量が1000のプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを30wt%、プロピレンオキサイド付加ジアクリレートを30wt%、フェノキシアクリレートを40wt%、の組成比で調製した後、その混合物の重量に対して光開始剤としてのヒドロキシシルフェニルケトンを4wt%添加して紫外線硬化樹脂を得た。次に、基板1の情報層6が形成された面の内周部分に、上記の紫外線硬化樹脂を所定量同心円状に塗布した。次に、紫外線硬化樹脂が塗布された基板1を約700rpmの回転数で高速回転することで、紫外線硬化樹脂を基板1の情報層6上に均一に広げ紫外線硬化樹脂層を形成した。その後、1000mJの紫外線を照射することで紫外線硬化樹脂層を硬化させ厚み100μmの光透過層7を形成した。これにより、単層の情報層6を有する高密度の光記録媒体50を得た。
得られた光記録媒体50に温度80℃、湿度85%、96時間の条件の耐候性試験を行った後、マイクロメータを用いて光記録媒体50の半径53mmの位置の高さの値と半径20mmの位置の高さの値とを測定し、半径53mmの位置の高さの値から半径20mmの位置の高さの値を引くことで、光記録媒体50の反り量を測定した。この結果、耐候性試験後の光記録媒体50の反り量は120μm以下の値である100μmであった。
以上のことから本発明の光記録媒体50は、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂に、相対分子質量Mrが1000≦Mr≦1100の範囲を満たすようなプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを用いることで、光記録媒体50の耐候性後の反り量を小さくすることができる。
また、光透過層7を形成する紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比を20wt%〜30wt%の範囲とすることで、光記録媒体50の耐候性後の反り量を小さくすることができる。
これらのことから、本発明の光記録媒体50によれば、光透過層7の形成に用いられる紫外線硬化樹脂の材料を最適化することで、構造を複雑化することなく環境変化に対しても反り量の少ない光記録媒体50を得ることができる。
尚、本例においては、情報層6が単層の例を用いたが、情報層を複数有する光記録媒体に関しても適応が可能であることに加え、再生専用型、書き換え型の光記録媒体のみならず、追記型の光記録媒体、光磁気記録媒体にも適用することが可能である。更に、本発明は本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更して実施することが可能である。
1 基板
5 凹凸パターン
6 情報層
7 光透過層
50 光記録媒体
5 凹凸パターン
6 情報層
7 光透過層
50 光記録媒体
Claims (3)
- 基板と、前記基板の一面側に形成されて情報信号を記録し得る機能層からなる情報層と、
前記情報層上に形成されてプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートを含む紫外線硬化樹脂からなる光透過層と、を有し、
前記紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの相対分子質量Mrが
1000≦Mr≦1100であることを特徴とする光記録媒体。 - 前記紫外線硬化樹脂を構成するプロピレンオキサイド付加ビスフェノールA短鎖ジオールエチレングリコールウレタンアクリレートの組成比が
20wt%〜30wt%であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。 - 前記紫外線硬化樹脂からなる前記光透過層の弾性率Kが、15MPa≦K≦40MPaであることを特徴とする請求項2記載の光記録媒体。
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