JP2008058777A - 光学装置及び画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】クロストーク現象が発生し難い構成、構造を有する光学装置を提供する。
【解決手段】光学装置は、第1、第2及び第3の平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板21、導光板21に入射された第1、第2及び第3の平行光束群が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射された第1、第2及び第3の平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30、並びに、導光板21の内部を全反射により伝播した第1、第2及び第3の平行光束群を回折反射し、導光板21から第1、第2及び第3の平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材40を備え、第2及び第3の平行光束群を回折反射するための第2及び第3の干渉縞のピッチP2,P3は略等しく、第1の平行光束群を回折反射するための第1の干渉縞のピッチP1とは異なる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、画像形成装置によって形成された2次元画像を観察者に観察させるために使用される光学装置、及び、係る光学装置を組み込んだ画像表示装置に関する。
画像形成装置によって形成された2次元画像を虚像光学系により拡大虚像として観察者に観察させるために、反射型体積ホログラム回折格子を用いた画像表示装置が、例えば、WO 2005/093493 A1 から周知である。
図17の(A)に概念図を示すWO 2005/093493 A1 に開示された画像表示装置510は、画像形成装置11と、画像形成装置11から出射された光束を平行光束とするコリメート光学系12と、コリメート光学系12にて平行光束とされた光が入射され、導光され、出射される光学装置520とから成る。そして、光学装置520は、
(A)進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板21、
(B)導光板21に入射された平行光束群が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射された平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材530、及び、
(C)導光板21の内部を全反射により伝播した平行光束群を回折反射し、導光板21から平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材540、
を備えている。
ところで、図17の(A)に示した光学装置520にあっては、導光板21の屈折率nOwを例えば1.5としたとき、平行光束の導光板21の内部における全反射角度(導光板21の表面に対する法線と、導光板21の内部において全反射する光との成す角度。以下においても同じであり、単に、全反射角度と呼ぶ場合がある)の範囲は、41.2度乃至90度である。そして、このことは、画像形成装置11の点「c」から出射され、導光板に入射角度0度で入射する平行光束が、第1回折格子部材530において回折反射され、導光板21の内部を全反射角度約60度にて伝播した場合、第2回折格子部材540によって回折反射されて観察者に観察される虚像の画角θは、最大で±14度程度となることを示している。尚、図17の(A)、あるいは、後述する図1の(A)、図4の(A)、図5、図7においては、導光板21と第1回折格子部材との界面、あるいは、導光板21と第2回折格子部材との界面で光が回折反射されるように図示しているが、実際には、第1回折格子部材の内部、及び、第2回折格子部材の内部で光が回折反射される。また、図面の参照番号50は、導光板21から出射された光が入射する観察者の瞳である。
ここで、画角θとは、より厳密には、光学系の物体範囲を光学系の像空間から見たときの視角であると定義される。また、全反射という用語は、内部全反射、あるいは、導光板内部における全反射を意味する。更には、干渉縞の傾斜角φとは、回折格子部材(あるいは回折格子層)の表面と干渉縞の成す角度を意味する。
導光板21の内部における現実的な全反射の条件を鑑みて、上記と同様の条件で虚像の画角θが最大±10度程度となるように、赤色、緑色、及び、青色の各色に対応した干渉縞を記録した、反射型体積ホログラム回折格子から成る回折格子層530R,530G,530B,540R,540G,540Bが積層されて構成された回折格子部材を、第1回折格子部材530及び第2回折格子部材540として使用したと想定する。尚、回折格子層530R,540Rには赤色の光を回折反射する干渉縞が形成されており、回折格子層530G,540Gには緑色の光を回折反射する干渉縞が形成されており、回折格子層530B,540Bには青色の光を回折反射する干渉縞が形成されている。そして、この場合、平行光束の全反射角度の範囲を約45度乃至70度とする。尚、WO 2005/093493 A1 に開示された光学装置にあっては、例えば、赤色に対応する干渉縞の傾斜角φR、緑色に対応する干渉縞の傾斜角φG、及び、青色に対応する干渉縞の傾斜角φBは、同じ値である。即ち、φR=φG=φBである。そして、この場合、赤色の光を回折反射する干渉縞のピッチPR、緑色の光を回折反射する干渉縞のピッチPG、及び、青色の光を回折反射する干渉縞のピッチPBは異なる。
図18、図19及び図20に、赤色、緑色、及び、青色の各色に対応する干渉縞が記録された回折格子層から構成された回折格子部材において、全反射角度と、青色、緑色、及び、赤色の3種類の波長帯域を有する平行光束の回折効率との関係を示す。尚、導光板21の内部における全反射角度を45度乃至70度と想定している。ここで、図18、図19及び図20において、全反射角度の値を負の値としているが、これは、座標定義の関係によるものであり、特に大きな意味はない。また、図18において、青色に対応した干渉縞を記録した回折格子層530B,540Bが回折効率を有する領域に符号「B」を付し、図19において、緑色に対応した干渉縞を記録した回折格子層530G,540Gが回折効率を有する領域に符号「G」を付し、図20において、赤色に対応した干渉縞を記録した回折格子層530R,540Rが回折効率を有する領域に符号「R」を付した。
図18から、青色に対応した干渉縞を記録した回折格子層530B,540B(図18においては、青色用反射型ホログラムグレーティングと表記している)は、緑色の波長帯域を有する平行光束に対して回折効率を有していることが判る。また、図19から、緑色に対応した干渉縞を記録した回折格子層530G,540G(図19においては、緑色用反射型ホログラムグレーティングと表記している)は、青色の波長帯域を有する平行光束に対して回折効率を有しているが、赤色の波長帯域を有する平行光束に対しては回折効率を殆ど有していないことが判る。更には、図20から、赤色に対応した干渉縞を記録した回折格子層530R,540R(図20においては、赤色用反射型ホログラムグレーティングと表記している)は、赤色の波長帯域を有する平行光束に対して回折効率を有しているが、緑色及び青色の波長帯域を有する平行光束に対しては回折効率を僅かしか有していないことが判る。
WO 2005/093493 A1
つまり、図18〜図20から、第1回折格子部材における或る干渉縞(例えば、青色に対応した干渉縞)によって回折反射され、導光板21内を内部全反射する平行光束の一部は、第1回折格子部材の係る干渉縞とは対応していない第2回折格子部材の干渉縞(例えば、緑色に対応した干渉縞)によって回折反射されることを示している。以下、このような現象を、クロストーク現象と呼ぶ。図21に、クロストーク現象の発生の概念図(但し、主要光線のみ)を示す。尚、図21においては、図面の簡素化のために、第1回折格子部材530において、青色回折反射用の回折格子層530Bによって回折反射された青色の光のみを図示している。そして、第1回折格子部材530を構成する青色回折反射用の回折格子層530Bによって回折反射された青色の平行光束の一部は、第2回折格子部材540を構成する緑色回折反射用の回折格子層540Gによっても回折反射される結果、係る緑色回折反射用の回折格子層540Gによって回折反射された青色の平行光束(図21には、符号「c’」で示す)が、所望の角度から外れた角度で観察者の瞳に入射する。そして、その結果、それぞれの干渉縞で回折反射された光がゴーストとして観察され、光の利用効率が低下すると共に、画像品質が低下するといった問題が発生する。
また、WO 2005/093493 A1 には記載されていないが、第1回折格子部材230及び第2回折格子部材240の構造に依っては、観察者の瞳が位置aにある場合と位置bにある場合とでは、各画角の導光板21内での光線パスが図5に示すように変化する。反射型体積ホログラム回折格子は、その干渉縞の傾斜角φに応じて最も強く回折する波長が変化するため、瞳位置aと瞳位置bとでは色の分布が変化するだけでなく(具体的には、短波長側にシフトするだけでなく)、導光板21から射出される波長スペクトルに応じて輝度も変化する。尚、参照番号220は光学装置を示し、参照番号230G,240Gは、緑色の光を回折反射する回折格子層を示し、参照番号232,242は、回折格子層230G,240Gに設けられた干渉縞を示す。
ここで、設計上の瞳位置をa、この瞳位置aから水平画角方向に瞳がコリメート光学系12側に移動した位置を瞳位置bとする。また、瞳位置aにおける水平画角0度の光線(一点鎖線で示す)が通る第2回折格子部材240の位置をa0、瞳位置aにおける水平画角−8度の光線(細い実線で示す)が通る第2回折格子部材240の位置をa-8とする。同様に、瞳位置bにおける水平画角0度の光線(一点鎖線で示す)が通る第2回折格子部材240の位置をb0、瞳位置bにおける水平画角−8度の光線(細い実線で示す)が通る第2回折格子部材240の位置をb-8とする。
図22、及び、図23に、これらの位置a0,a-8,b0,b-8における回折効率の入射波長依存性(図22及び図23では点線で示す)、更には、第1回折格子部材230によって回折反射され、導光板21を伝播し、第2回折格子部材240に入射する波長のスペクトルP(図22及び図23では実線で示す)が、これらの位置a0,a-8,b0,b-8によって変化する状態を示す。ここで、スペクトルP(a0)は、位置a0におけるスペクトルであり、スペクトルP(a-8)は、位置a-8におけるスペクトルであり、スペクトルP(b0)は、位置b0におけるスペクトルであり、スペクトルP(b-8)は、位置b-8におけるスペクトルである。瞳に入射する光強度は、第2回折格子部材240に入射する光の強度と、第2回折格子部材240における回折効率との積で決まる。瞳位置a及び瞳位置bにおける水平画角0度及び水平画角−8度での相対輝度を計算した結果を、表1に示す。表1から、瞳位置が水平画角方向に沿って移動すると、相対輝度が変化することが判る。更には、カラー画像に対応するため、赤色、緑色、青色の3種類の波長帯域の光に対応した干渉縞を有する回折格子部材を構成したとき、それぞれの波長帯域で異なる光路をとると、赤色、緑色、青色の3種類の波長帯域の光がばらばらに輝度変化し、輝度変化が色ムラとして観察される。
[表1]
水平画角0度 水平画角−8度
瞳位置a 0.9 0.9
瞳位置b 0.3 0.5
このような色ムラの対策として、それぞれの波長帯域の光に対応した干渉縞の傾斜角φ1,φ2,φ3を等しくする方法が考えられる。干渉縞の傾斜角φ1,φ2,φ3が等しいと、第2回折格子部材240における赤色を回折反射する回折格子層によって回折反射され、導光板21から出射される赤色の光の角度、緑色を回折反射する回折格子層によって回折反射され、導光板21から出射される緑色の光の角度、青色を回折反射する回折格子層によって回折反射され、導光板21から出射される青色の光の角度が等しくなり、3色に対応した波長の光路が一致するので、瞳移動に対して、全ての波長で等しい輝度変化となる。しかしながら、3色に対応した干渉縞の傾斜角を等しくすると、先に説明したとおり、ゴーストが発生する。特に、青色及び緑色の波長は、それぞれ、例えば、450〜470nm及び510〜530nmと近接しているため、特にクロストーク現象が発生し易く、赤色の波長は、例えば、620〜660nmと離れているため、クロストーク現象が発生し難いことは、先に説明したとおりである。
従って、本発明の第1の目的は、第1回折格子部材における或る干渉縞によって回折反射され、導光板内を内部全反射する平行光束の一部が、第1回折格子部材の係る干渉縞とは対応していない第2回折格子部材の干渉縞によって回折反射されるといったクロストーク現象が発生し難い構成、構造を有する光学装置、及び、係る光学装置を組み込んだ画像表示装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、観察者の瞳が位置が所定の位置から移動し、あるいは又、ずれた場合であっても、色ムラが観察され難い構成、構造を有する光学装置、及び、係る光学装置を組み込んだ画像表示装置を提供することにある。
上記の第1あるいは第2の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る光学装置及び本発明の第2の態様に係る光学装置は、
(A)第1の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第1の平行光束群、第1の波長帯域の中心波長λ1よりも短い中心波長λ2を有する第2の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第2の平行光束群、及び、第2の波長帯域の中心波長λ2よりも短い中心波長λ3を有する第3の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第3の平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
(B)導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材、並びに、
(C)導光板の内部を全反射により伝播した第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射し、導光板から第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材、
を備えている。
そして、上記の第1の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る光学装置にあっては、
第1回折格子部材及び第2回折格子部材のそれぞれには、第1の平行光束群、第2の平行光束群、及び、第3の平行光束群のそれぞれを回折反射するための第1の干渉縞、第2の干渉縞、及び、第3の干渉縞が形成されており、
第1回折格子部材及び第2回折格子部材の表面における第2の干渉縞のピッチP2と第3の干渉縞のピッチP3とは略等しく、
第1回折格子部材及び第2回折格子部材の表面における第1の干渉縞のピッチP1は、第2の干渉縞のピッチP2及び第3の干渉縞のピッチP3と異なることを特徴とする。
一方、上記の第2の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る光学装置にあっては、
回折格子部材における干渉縞が回折格子部材の表面と成す角度を傾斜角としたとき、第1回折格子部材及び第2回折格子部材のそれぞれには、第1の波長帯域の中心波長λ1に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ1を有する第1の干渉縞、第2の波長帯域の中心波長λ2に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ2を有する第2の干渉縞、及び、第3の波長帯域の中心波長λ3に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ3を有する第3の干渉縞が形成されており、
傾斜角φ1と傾斜角φ2とは略等しく、
傾斜角φ3は、傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なることを特徴とする。
上記の第1あるいは第2の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置及び本発明の第2の態様に係る画像表示装置は、
(a)画像形成装置と、
(b)画像形成装置から出射された光束を平行光束とするコリメート光学系と、
(c)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光束とされた光束が入射され、導光され、出射される光学装置、
から成る。
そして、上記の第1の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る画像表示装置にあっては、光学装置は、上記の本発明の第1の態様に係る光学装置から構成されていることを特徴とする。また、上記の第2の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る画像表示装置にあっては、光学装置は、上記の本発明の第2の態様に係る光学装置から構成されていることを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る光学装置あるいは画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、第1の態様に係る本発明と呼ぶ場合がある)において、第1の干渉縞のピッチP1は、第2の干渉縞のピッチP2及び第3の干渉縞のピッチP3よりも大きい(即ち、P1>P2,P1>P3)ことが好ましい。
また、上記の好ましい構成を含む第1の態様に係る本発明にあっては、干渉縞が回折格子部材の表面と成す角度を傾斜角としたとき、
第1の干渉縞は、第1の波長帯域の中心波長λ1に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ1を有し、
第2の干渉縞は、第2の波長帯域の中心波長λ2に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ2を有し、
第3の干渉縞は、第3の波長帯域の中心波長λ3に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ3を有することが好ましい。
そして、この場合、傾斜角φ1と傾斜角φ2とは略等しく、傾斜角φ3は、傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なることが望ましく、傾斜角φ1及び傾斜角φ2は、傾斜角φ3よりも大きいことが一層望ましい。即ち、φ3≠φ1,φ3≠φ2、好ましくは、φ1>φ3,φ2>φ3であることが望ましい。
一方、本発明の第2の態様に係る光学装置あるいは画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、第2の態様に係る本発明と呼ぶ場合がある)において、傾斜角φ1及び傾斜角φ2は、傾斜角φ3よりも大きいことが望ましい。即ち、φ1>φ3,φ2>φ3であることが望ましい。
以上に説明した好ましい構成を含む第1の態様あるいは第2の態様に係る本発明にあっては、第1の波長帯域の中心波長λ1は赤色に相当する波長であり、第2の波長帯域の中心波長λ2は緑色に相当する波長であり、第3の波長帯域の中心波長λ3は青色に相当する波長である構成とすることができる。より具体的には、第1の波長帯域の中心波長λ1として610nm乃至660nmを例示することができるし、第2の波長帯域の中心波長λ2として500nm乃至550nmを例示することができるし、第3の波長帯域の中心波長λ3として440nm乃至490nmを例示することができる。
また、以上に説明した好ましい構成を含む第1の態様あるいは第2の態様に係る本発明にあっては、
第1回折格子部材及び第2回折格子部材は、反射型体積ホログラム回折格子から成る3層の回折格子層が積層されて成り、
第1の回折格子層には第1の干渉縞が形成され、第2の回折格子層には第2の干渉縞が形成され、第3の回折格子層には第3の干渉縞が形成されている構成とすることができる。この場合、第1の回折格子層、第2の回折格子層、第3の回折格子層の積層の順番は、本質的に任意である。あるいは又、
第1回折格子部材及び第2回折格子部材は、反射型体積ホログラム回折格子から成る1層の回折格子層から成り、
回折格子層には、第1の干渉縞、第2の干渉縞、及び、第3の干渉縞が形成されている構成とすることができる。そして、これらの構成を採用することで、各波長帯域(あるいは、波長)を有する光が第1回折格子部材や第2回折格子部材において回折反射されるときの回折効率の増加、回折受容角の増加、回折角の最適化を図ることができる。
また、以上に説明した好ましい構成を含む第1の態様に係る本発明あるいは第2の態様に係る本発明にあっては、
第1の干渉縞及び第2の干渉縞は、第1の露光波長λ1-Exp及び第2の露光波長λ2-Expを用いて、同一の光路で露光、形成され、
第1の波長帯域及び第2の波長帯域の中で、第1回折格子部材及び第2回折格子部材にて最も高い効率で回折反射される波長λ1-max及びλ2-maxと、第1の露光波長λ1-Exp及び第2の露光波長λ2-Expとは、以下の式(1)を満足することが望ましい。但し、
Ow(λ1-Exp):第1の露光波長λ1-Expにおける導光板を構成する材料の屈折率
Ow(λ2-Exp):第2の露光波長λ2-Expにおける導光板を構成する材料の屈折率
Ow(λ1-max):波長λ1-maxにおける導光板を構成する材料の屈折率
Ow(λ2-max):波長λ2-maxにおける導光板を構成する材料の屈折率
である。
[λ1-Exp/nOw(λ1-Exp)]/[λ1-max/nOw(λ1-max)]
=[λ2-Exp/nOw(λ2-Exp)]/[λ2-max/nOw(λ2-max)] (1)
第1の態様に係る本発明において、第2の干渉縞のピッチP2と第3の干渉縞のピッチP3とが略等しい(即ち、P2≒P3)とは、限定するものではないが、
0.95≦P3/P2≦1.05
好ましくは、
0.99≦P3/P2≦1.01
であることを意味し、第1の干渉縞のピッチP1が第2の干渉縞のピッチP2及び第3の干渉縞のピッチP3と異なる(即ち、P1≠P2,P1≠P3)とは、限定するものではないが、
1.11≦P1/P2≦1.32
1.11≦P1/P3≦1.32
好ましくは、
1.15≦P1/P2≦1.27
1.15≦P1/P3≦1.27
であることを意味する。
一方、第1の態様あるいは第2の態様に係る本発明において、傾斜角φ1と傾斜角φ2とが略等しい(即ち、φ1≒φ2)とは、限定するものではないが、
0.984≦φ1/φ2≦1.016
好ましくは、
0.992≦φ1/φ2≦1.008
であることを意味し、傾斜角φ3が傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なる(即ち、φ3≠φ1,φ3≠φ2)とは、限定するものではないが、
0.80≦sin(2φ3)/sin(2φ2)≦0.98
0.80≦sin(2φ3)/sin(2φ1)≦0.98
好ましくは、
0.83≦sin(2φ3)/sin(2φ2)≦0.94
0.83≦sin(2φ3)/sin(2φ1)≦0.94
であることを意味する。
以上に説明した好ましい構成を含む本発明にあっては、第1回折格子部材及び第2回折格子部材を構成する材料として、フォトポリマー材料を挙げることができる。そして、回折格子部材には、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法は、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、回折格子部材を構成する部材(例えば、フォトポリマー材料)に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角を得ることができる。
また、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む第1の態様に係る発明あるいは第2の態様に係る発明(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)においては、進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群を導光板に入射する必要があるが、このような、平行光束であることの要請は、これらの光束が導光板へ入射したときの光波面情報が、第1回折格子部材と第2回折格子部材を介して導光板から出射された後も保存される必要があることに基づく。尚、具体的には、進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群を生成するためには、コリメート光学系における焦点距離の所(位置)に、画像形成装置を位置させればよい。ここで、コリメート光学系は、画像形成装置から出射された光束の画像形成装置における画素の位置情報を、光学装置の光学系における角度情報に変換する機能を有する。
本発明において、導光板は、導光板の軸線と平行に延びる2つの平行面(便宜上、第1面及び第2面と呼ぶ)を有している。ここで、平行光束群が入射する導光板の面を導光板入射面、平行光束群が出射する導光板の面を導光板出射面としたとき、第1面によって導光板入射面及び導光板出射面が構成されていてもよいし、第1面によって導光板入射面が構成され、第2面によって導光板出射面が構成されていてもよい。前者の場合、第2面に第1回折格子部材及び第2回折格子部材が配置されている。一方、後者の場合、第2面に第1回折格子部材が配置され、第1面に第2回折格子部材が配置されている。
導光板を構成する材料として、石英ガラスやBK7等の光学ガラスを含むガラスや、プラスチック材料(例えば、PMMA、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、非晶性のポリプロピレン系樹脂、AS樹脂を含むスチレン系樹脂)を挙げることができる。
反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材及び第2回折格子部材の構成材料や基本的な構造は、従来の反射型体積ホログラム回折格子の構成材料や構造と同じとすればよい。ここで、反射型体積ホログラム回折格子とは、+1次の回折光のみを回折反射するホログラム回折格子を意味する。
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置を構成する画像形成装置として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL、発光ダイオード(LED)といった発光素子から構成された画像形成装置;光源[例えば、LED]とライト・バルブ[例えば、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等の透過型あるいは反射型の液晶表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)]との組合せから成る画像形成装置;光源と光源から出射された平行光束を水平走査及び垂直走査する走査光学系[例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ガルバノ・ミラー]との組合せから成る画像形成装置を挙げることができる。尚、画像形成装置を構成する発光素子の数は、画像形成装置に要求される仕様に基づき、決定すればよい。
また、本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る画像表示装置を構成するコリメート光学系として、凸レンズ、凹レンズ、自由曲面プリズム、ホログラムレンズを、単独、若しくは、組み合わせた、全体として正の光学的パワーを持つ光学系を例示することができる。
本発明の光学装置を、例えば、頭部装着型のHMD(Head Mounted Display)に組み込むことができるし、本発明の画像表示装置によって、例えば、HMDを構成することができ、装置の軽量化、小型化を図ることができ、装置装着時の不快感を大幅に軽減させることが可能となるし、更には、製造コストダウンを図ることも可能となる。
以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む第1の態様に係る発明あるいは第2の態様に係る光学装置において、第1回折格子部材における傾斜角φ1,φ2,φ3のそれぞれが、
(B−1)傾斜角が最小傾斜角となる最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材から遠い所に位置する外側領域に形成された干渉縞の傾斜角は、最小傾斜角領域から離れるほど大きく、
(B−2)最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材に近い所に位置する内側領域に形成された干渉縞の傾斜角は、最小傾斜角領域に隣接する内側領域において最大傾斜角であり、最小傾斜角領域から離れるほど小さくなる、
ことを満足するような第1回折格子部材とすることができる。尚、このような第1回折格子部材を第A構成の第1回折格子部材と呼ぶ場合がある。
第A構成の第1回折格子部材において、傾斜角が最小傾斜角となる最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材から遠い所に第1回折格子部材の領域が存在しない場合があり、このような場合には上記の(B−1)項は無視する。また、最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材に近い所に第1回折格子部材の領域が存在しない場合があり、このような場合には上記の(B−2)項は無視する。
第A構成の第1回折格子部材にあっては、
第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸とし、第2回折格子部材によって回折反射され、導光板から出射された平行光束群に基づく像を観察するX軸上の地点と、第2回折格子部材によって回折反射された平行光束であってX−Y平面内に位置する平行光束の内、最も第1回折格子部材に近い平行光束との成す角度を画角θ=θ0(>0)、最も第1回折格子部材に遠い平行光束との成す角度を画角θ=−θ0(<0)としたとき、
画角θ=θ0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第1回折格子部材の領域が、前記最大傾斜角を有し、
画角θ=−θ0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第1回折格子部材の領域が、前記最小傾斜角を有する構成とすることができる。
あるいは又、第A構成の第1回折格子部材を構成する回折格子層(あるいは3層の回折格子層のそれぞれ)において、
回折格子層は、反射型体積ホログラム回折格子から成るQ層の単位回折格子層が積層されて成り、
各単位回折格子層には、その内部から表面に亙り、干渉縞が形成されており、
各単位回折格子層の表面における干渉縞のピッチは等しく、且つ、単位回折格子層相互の干渉縞のピッチも等しい構成とすることができる。尚、このような積層構造を採用することで、導光板の軸線方向に沿った第1回折格子部材の長さの短縮化、導光板の薄型化、第1回折格子部材が回折反射することのできる平行光束の第1回折格子部材への入射角度の拡大を図ることができる。
そして、この場合には、第1回折格子部材を構成する単位回折格子層の全てにおいて最小傾斜角は異なり、且つ、第1回折格子部材を構成する単位回折格子層の全てにおいて最大傾斜角は異なる構成とすることができ、あるいは又、第1回折格子部材を構成するQ層の単位回折格子層において、少なくとも一の単位回折格子層の最小傾斜角は、他の一の単位回折格子層の最小傾斜角以上、最大傾斜角以下であるか、あるいは又、該一の単位回折格子層の最大傾斜角は、他の一の単位回折格子層の最小傾斜角以上、最大傾斜角以下である構成とすることができる。
あるいは又、この場合、第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸とし、第2回折格子部材によって回折反射され、導光板から出射された平行光束群に基づく像を観察するX軸上の地点と、第q層目の単位回折格子層(但し、q=1,2・・・Q)によって回折反射され、第2回折格子部材によって回折反射された平行光束であってX−Y平面内に位置する平行光束の内、最も第1回折格子部材に近い平行光束との成す角度を画角θq=θq_0(>0)、最も第1回折格子部材に遠い平行光束との成す角度を画角θq=−θq_0(<0)としたとき、
画角θq=θq_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第q層目の単位回折格子層の領域が、前記最大傾斜角を有し、
画角θq=−θq_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第q番目の単位回折格子層の領域が、前記最小傾斜角を有する構成とすることができる。
あるいは又、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む第1の態様に係る発明あるいは第2の態様に係る光学装置における第1回折格子部材を構成する回折格子層(あるいは3層の回折格子層のそれぞれ)において、
回折格子層が、反射型体積ホログラム回折格子から成るQ層の仮想回折格子層が積層されて成ると仮定したとき、回折格子層を構成する各仮想回折格子層の表面における干渉縞のピッチは等しく、且つ、仮想回折格子層相互の干渉縞のピッチも等しく、
仮想回折格子層における干渉縞が仮想回折格子層の表面と成す角度を傾斜角としたとき、各仮想回折格子層において:
(B−1)傾斜角が最小傾斜角となる最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材から遠い所に位置する外側領域に形成された干渉縞の傾斜角は、最小傾斜角領域から離れるほど大きく、
(B−2)最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材に近い所に位置する内側領域に形成された干渉縞の傾斜角は、最小傾斜角領域に隣接する内側領域において最大傾斜角であり、最小傾斜角領域から離れるほど小さくなり、
回折格子層を、最も第2回折格子部材に近い部分から最も第2回折格子部材から遠い部分まで、R個の区画に分けたとき、r番目(但し、r=1,2・・・R)の回折格子層の区画RG1_rは、Q層の仮想回折格子層を、最も第2回折格子部材に近い部分から最も第2回折格子部材から遠い部分まで、R個の区画に分けたとき得られる仮想回折格子層の区画VG(r,q)(但し、qは、1からQの範囲内で選択された、重複の無い、任意の整数)の積層構造から構成されている第1回折格子部材とすることができる。尚、このような第1回折格子部材を第B構成の第1回折格子部材と呼ぶ場合がある。
第B構成の第1回折格子部材において、傾斜角が最小傾斜角となる最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材から遠い所に仮想回折格子層の領域が存在しない場合があり、このような場合には上記の(B−1)項は無視する。また、最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材に近い所に仮想回折格子層の領域が存在しない場合があり、このような場合には上記の(B−2)項は無視する。
第B構成の第1回折格子部材にあっては、各回折格子層において、領域と区画とは、一対一に対応している場合もあるし、一対一には対応していない場合もある。また、第B構成の第1回折格子部材にあっては、実体的には、第1回折格子部材は、反射型体積ホログラム回折格子から成る3×Q層の回折格子層が積層されて成る。
上記の好ましい構成を含む第B構成の第1回折格子部材にあっては、第2回折格子部材の中心を原点とし、原点を通る第2回折格子部材の法線をX軸、原点を通る導光板の軸線をY軸とし、第2回折格子部材によって回折反射され、導光板から出射された平行光束群に基づく像を観察するX軸上の地点と、第q層目の仮想回折格子層(但し、q=1,2・・・Q)によって回折反射され、第2回折格子部材によって回折反射されると想定した想定平行光束であってX−Y平面内に位置する想定平行光束の内、最も第1回折格子部材に近い想定平行光束との成す角度を画角θq=θq_0(>0)、最も第1回折格子部材に遠い想定平行光束との成す角度を画角θq=−θq_0(<0)としたとき、
画角θq=θq_0となる想定平行光束に相当する想定平行光束が回折反射される第q層目の仮想回折格子層の領域が、前記最大傾斜角を有し、
画角θq=−θq_0となる想定平行光束に相当する想定平行光束が回折反射される第q番目の仮想回折格子層の領域が、前記最小傾斜角を有する構成とすることができる。
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む第A構成の第1回折格子部材あるいは第B構成の第1回折格子部材にあっては、前記平行光束群の導光板内部における全反射の回数は、該平行光束群が導光板に入射する角度に依存して異なる構成とすることができ、これによって、導光板の軸線方向に沿った第1回折格子部材の長さの短縮化、導光板の薄型化、第1回折格子部材が回折反射することのできる平行光束の第1回折格子部材への入射角度の拡大を図ることができる。
第A構成の第1回折格子部材あるいは第B構成の第1回折格子部材にあっても、その内部から表面に亙り干渉縞が形成されているが、係る干渉縞それ自体の形成方法も、基本的には、従来の形成方法と同じとすればよい。具体的には、例えば、第1回折格子部材を構成する部材に対して一方の側の第1の所定の方向から物体光を照射し、同時に、第1回折格子部材を構成する部材に対して他方の側の第2の所定の方向から参照光を照射し、物体光と参照光とによって形成される干渉縞を第1回折格子部材を構成する部材の内部に記録すればよい。第1の所定の方向、第2の所定の方向、物体光及び参照光の波長を適切に選択することで、第1回折格子部材の表面における干渉縞の所望のピッチ、干渉縞の所望の傾斜角を得ることができる。但し、第1回折格子部材にあっては、上述したように、干渉縞が設けられている第1回折格子部材の領域に依存して、干渉縞の傾斜角を変化させている。
第A構成の第1回折格子部材において、例えば、第1回折格子部材は反射型体積ホログラム回折格子から成る3×Q層の回折格子層が積層されて成り、また、第B構成の第1回折格子部材においても、例えば、第1回折格子部材は反射型体積ホログラム回折格子から成る3×Q層の回折格子層が積層されて成るが、このような回折格子層の積層は、3×Q層の回折格子層をそれぞれ別個に作製した後、3×Q層の回折格子層を、例えば、紫外線硬化型接着剤を使用して積層(接着)すればよい。また、粘着性を有するフォトポリマー材料を用いて1層の回折格子層を作製した後、その上に順次粘着性を有するフォトポリマー材料を貼付けて回折格子層を作製することで、3×Q層の回折格子層を作製してもよい。
第A構成の第1回折格子部材あるいは第B構成の第1回折格子部材において、第1回折格子部材における干渉縞の傾斜角φ1,φ2,φ3は変化しているが、傾斜角φ1,φ2,φ3の変化は、段階的であってもよいし、連続的であってもよい。即ち、前者の場合、第1回折格子部材を、最も第2回折格子部材に近い部分から最も第2回折格子部材から遠い部分まで、S個の部分に分けたとき、s番目(但し、s=1,2・・・S)の第1回折格子部材の部分RG1_sにおける傾斜角φ1,φ2,φ3を一定とし、しかも、sの値が異なると第1回折格子部材の部分RG1_sにおける傾斜角φ1,φ2,φ3を変える形態とすればよい。一方、後者の場合、干渉縞の傾斜角φ1,φ2,φ3を徐々に変化させる形態とすればよく、このような傾斜角φ1,φ2,φ3に連続的な変化を与える方法として、プリズムやレンズを用いて物体光及び/又は参照光に適切な波面を与えて、反射型体積ホログラム回折格子を露光作製する方法を挙げることができる。
第A構成の第1回折格子部材あるいは第B構成の第1回折格子部材に対応する第2回折格子部材における干渉縞の傾斜角φ1,φ2,φ3は、一定であってもよいし、変化していてもよい。後者の場合、傾斜角φ1,φ2,φ3は、第1回折格子部材に近づくに従い、増加する構成とすることが望ましい。このような構成にすることで、色ムラや輝度ムラの一層の低減を図ることができる。傾斜角φ1,φ2,φ3の増加は、段階的であってもよいし、連続的であってもよい。即ち、前者の場合、第2回折格子部材を、最も第1回折格子部材から遠い部分から最も第1回折格子部材に近い部分まで、T個の部分に分けたとき、t番目(但し、t=1,2・・・T)の第2回折格子部材の部分RGtにおける傾斜角φ1,φ2,φ3を一定とし、しかも、tの値が増加するに従い、第2回折格子部材の部分RGtにおける傾斜角φ1,φ2,φ3を増加させる形態とすればよい。一方、後者の場合、干渉縞の傾斜角φ1,φ2,φ3を徐々に変化させる形態とすればよい。
第1の態様に係る発明にあっては、第2の干渉縞のピッチP2と第3の干渉縞のピッチP3とは略等しい。従って、本来、第2の干渉縞によって回折反射される第2の平行光束群が第3の干渉縞に入射したとき、係る第2の平行光束群が第3の干渉縞によって回折反射され、導光板から出射する方向と、第2の平行光束群が第2の干渉縞によって回折反射され、導光板から出射する方向とを、揃えることが可能となる。また、同様に、本来、第3の干渉縞によって回折反射される第3の平行光束群が第2の干渉縞に入射したとき、係る第3の平行光束群が第2の干渉縞によって回折反射され、導光板から出射する方向と、第3の平行光束群が第3の干渉縞によって回折反射され、導光板から出射する方向とを、揃えることが可能となる。
それ故、それぞれの干渉縞で回折反射された光がゴーストとして観察され、光の利用効率が低下すると共に、画像品質が低下するといった問題の発生を、確実に回避することができる。尚、第1の干渉縞のピッチP1を、第2の干渉縞のピッチP2及び第3の干渉縞のピッチP3と略等しくした場合、第1の平行光束群が回折反射され、第2の平行光束群及び第3の平行光束群が回折反射されないような第1の干渉縞を設けることが困難となる。
また、第2の態様に係る発明にあっては、傾斜角φ3は、傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なっている。従って、例えば、赤色及び緑色の波長に対応した干渉縞の傾斜角φ1,φ2を等しくすることで、赤色及び緑色を同じ傾向で輝度変化させ、青色が、赤色及び緑色と異なり、単独で輝度変化するように傾斜角φ3を変えることで、瞳移動時の輝度変化による色度変化を抑制することができる。
ところで、画像形成装置から出射され、コリメート光学系を通過した複数の平行光束は、画像形成装置からの出射位置に依存して、第1回折格子部材への入射角度が異なる。従って、干渉縞の傾斜角が一定の第1回折格子部材においては、領域毎でブラッグ条件を満たす回折波長が異なる。然るに、第A構成の第1回折格子部材あるいは第B構成の第1回折格子部材を採用した場合、第1回折格子部材において干渉縞の傾斜角を一定とせずに変化を付けているので、平行光束の第1回折格子部材への入射角度が異なっていても、第1回折格子部材の領域毎でブラッグ条件を満たすことが可能となる。その結果、第1回折格子部材の領域毎での或る波長帯域の回折効率を出来る限り一定とすることができ、画像形成装置の画素の位置によって瞳に導かれる画素の像における色合いや輝度が異なる(色ムラや輝度ムラが発生する)といった問題の発生を抑制することができる。しかも、第1回折格子部材の所定の領域において干渉縞の傾斜角を所定の値とすることで、第1回折格子部材に入射し、回折反射された平行光束を、第2回折格子部材の所定の領域に確実に入射させることができる。また、第1回折格子部材をQ層の回折格子層が積層された構造とすれば、導光板の軸線方向に沿った第1回折格子部材の長さの短縮化を図りつつ、画角を大きくすることができる。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
実施例1は、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る光学装置及び画像表示装置に関する。実施例1の画像表示装置の概念図を図1の(A)に示し、実施例1の光学装置における第1回折格子部材の模式的な一部断面図を図1の(B)に示す。
実施例1の画像表示装置10は、画像形成装置11と、画像形成装置11から出射された光束を平行光束とするコリメート光学系12と、コリメート光学系12にて進行方位の異なる複数の平行光束とされた光束が入射され、導光され、出射される光学装置20とから成る。画像形成装置11は、例えば、液晶表示装置(LCD)から構成され、コリメート光学系12は、例えば、凸レンズから構成され、進行方位の異なる複数の平行光束から成る平行光束群を生成するために、コリメート光学系12における焦点距離の所(位置)に画像形成装置11が配置されている。
実施例1の光学装置20は、
(A)第1の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第1の平行光束群、第1の波長帯域の中心波長λ1よりも短い中心波長λ2を有する第2の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第2の平行光束群、及び、第2の波長帯域の中心波長λ2よりも短い中心波長λ3を有する第3の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第3の平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板21、
(B)導光板21に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群が導光板21の内部で全反射されるように、導光板21に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材30、並びに、
(C)導光板21の内部を全反射により伝播した第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射し、導光板21から第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材40、
を備えている。
尚、コリメート光学系12を経由して導光板21に入射する光と、導光板21から出射する光とは、導光板21の軸線と垂直に交わる適切な仮想平面に対して、対称であるし、第1回折格子部材30と第2回折格子部材40とは、導光板21の軸線と垂直に交わる適切な仮想平面に対して、対称である。参照番号21Aは、導光板21の第1面であり、導光板入射面及び導光板出射面に相当する。また、参照番号21Bは、導光板21の第1面と対向する第2面であり、第2面21Bに第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40が配置されている。後述する他の実施例にあっても、同様である。
ここで、第1回折格子部材30には、第1の平行光束群、第2の平行光束群、及び、第3の平行光束群のそれぞれを回折反射するための第1の干渉縞31、第2の干渉縞32、及び、第3の干渉縞33が形成されており、第2回折格子部材40には、第1の平行光束群、第2の平行光束群、及び、第3の平行光束群のそれぞれを回折反射するための第1の干渉縞41、第2の干渉縞42、及び、第3の干渉縞43が形成されている。そして、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の表面における第2の干渉縞32,42のピッチP2と第3の干渉縞33,43のピッチP3とは略等しく、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40の表面における第1の干渉縞31,41のピッチP1は、第2の干渉縞32,42のピッチP2及び第3の干渉縞33,43のピッチP3と異なる。具体的には、第1の干渉縞31,41のピッチP1は、第2の干渉縞32,42のピッチP2及び第3の干渉縞33,43のピッチP3よりも大きく、より具体的には、
3/P2=1.0であり、
1/P2=482.39(nm)/396.65(nm)
1/P3=482.39(nm)/396.65(nm)
である。
あるいは又、回折格子部材における干渉縞が回折格子部材の表面と成す角度を傾斜角としたとき、第1回折格子部材30及び第2回折格子部材40のそれぞれには、第1の波長帯域の中心波長λ1に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ1を有する第1の干渉縞31,41、第2の波長帯域の中心波長λ2に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ2を有する第2の干渉縞32,42、及び、第3の波長帯域の中心波長λ3に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ3を有する第3の干渉縞33,43が形成されている。そして、傾斜角φ1と傾斜角φ2とは略等しく、傾斜角φ3は、傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なる。具体的には、傾斜角φ1及び傾斜角φ2は、傾斜角φ3よりも大きく、より具体的には、φ1/φ2=1.0であり、φ3/φ2=65.5度/60.6度、φ3/φ1=65.5度/60.6度である。
ここで、ブラッグ条件とは、以下の式(A)を満足する条件を指す。式(A)中、mは正の整数、λは波長、dは格子面の間隔(干渉縞を含む仮想平面の法線方向の干渉縞の間隔)、Θは干渉縞への入射角の補角を意味する。尚、干渉縞の傾斜角φとは、回折格子部材の表面と干渉縞の成す角度を意味する(図3参照)。干渉縞は、回折格子部材の内部から表面に亙り、形成されている。以下においても同様である。また、入射角ψinにて回折格子部材に光が侵入した場合の、Θ、傾斜角φ、入射角ψinの関係は、式(B)のとおりである(図3参照)。
m・λ=2・d・sin(Θ) (A)
Θ=90°−(φ+ψin) (B)
実施例1にあっては、第1の波長帯域の中心波長λ1は赤色に相当する波長(具体的には、λ1=635nm)であり、第2の波長帯域の中心波長λ2は緑色に相当する波長(具体的には、λ2=522nm)であり、第3の波長帯域の中心波長λ3は青色に相当する波長(具体的には、λ3=470nm)である。
更には、実施例1において、第1回折格子部材30は、反射型体積ホログラム回折格子から成る3層の回折格子層(赤色に対応した第1の干渉縞31が記録された回折格子層30R、緑色に対応した第2の干渉縞32が記録された回折格子層30G、及び、青色に対応した第3の干渉縞33が記録された回折格子層30B)が積層されて成る。一方、第2回折格子部材40は、反射型体積ホログラム回折格子から成る3層の回折格子層(赤色に対応した第1の干渉縞41が記録された回折格子層40R、緑色に対応した第2の干渉縞42が記録された回折格子層40G、及び、青色に対応した第3の干渉縞43が記録された回折格子層40B)が積層されて成る。尚、積層の順番は、本質的に任意である。また、回折格子層30R,40Rにおける第1の干渉縞31,41のピッチP1は均一であり、回折格子層30G,40Gにおける第2の干渉縞32,42のピッチP2は均一であり、回折格子層30B,40Bにおける第3の干渉縞33,43のピッチP3は均一である。
例えば、導光板21に第1の平行光束群、第2の平行光束群、及び、第3の平行光束群が入射する角度の範囲を±8度、導光板21を構成する材料の屈折率nOwを1.52とし、導光板21に入射する角度が0度の第1の平行光束群、第2の平行光束群、及び、第3の平行光束群が導光板21の内部において全反射角度60度で導光板21の内部を伝播すると想定する。
このときの導光板21に入射する角度と、全反射角度と、このときにブラッグ条件を満足すると干渉縞の傾斜角φの変化とを、以下の表2に示す。表2中、「回折格子層R」は回折格子層30R,40Rを意味し、「回折格子層G」は回折格子層30G,40Gを意味し、「回折格子層B」は回折格子層30B,40Bを意味する。緑色に対応した第2の干渉縞32が記録された回折格子層40G、及び、青色に対応した第3の干渉縞33が記録された回折格子層40Bにあっては、干渉縞42,43のピッチが互いに同一であり、傾斜角φ2,φ3が互いに異なっているので、回折格子層40Gで回折される青色の光の射出角度と回折格子層40Bで回折される青色の光の射出角度が等しくなり、あるいは又、回折格子層40Bで回折される緑色の光の射出角度と回折格子層40Gで回折される緑色の光の射出角度が等しくなり(図2の概念図参照)、青色と緑色の光でゴーストが発生しなくなる。また、不要な回折が生じても、所望の光と同じ方向に回折していくので、ゴーストとして認識されない。しかも、赤色の光と緑色の光との波長差は青色の光と緑色の光との波長差に比べて大きいため、赤色の光に関しては回折効率を持ち難く、ゴーストが発生し難い。
光学装置作製時の回折格子部材の部分を拡大した概念図を図3に示す。回折格子部材は、フォトポリマー材料(ホログラム材料)を導光板21に貼り付け、屈折率マッチング液を介してフォトポリマー材料と露光プリズムとを接合し、導光板21と露光プリズムでホログラム材料を挟んだ状態として、導光板側から入射する参照光と露光プリズム側から入射する物体光によって形成された干渉縞をフォトポリマー材料に記録することで作製することができる。空気中から回折格子部材に、直接、光が入射せず、導光板21を介して回折格子部材に光が入射するので、このような方法で光学装置を製造する必要がある。
ここで、以下の説明に用いるパラメータを、以下に定義する。
λExp:フォトポリマー材料を露光するための露光光の波長
λmax:回折格子部材に入射した光がこの回折格子部材によって最も高い効率で回折反射 される光の波長
ωin :導光板からフォトポリマー材料に入射する参照光の入射角
ωout:露光プリズムからフォトポリマー材料に入射し、導光板へと射出する物体光の射 出角
P :干渉縞のピッチ
d :干渉縞の間隔
φ :干渉縞の傾斜角
Θ :干渉縞への光の入射角の補角
ψin :回折格子部材に入射する光の入射角
ψout:回折格子部材から出射する光の出射角
Ow(λExp):露光波長λExpにおける導光板の屈折率
Ow(λmax):波長λmaxにおける導光板の屈折率
Dg(λmax):波長λmaxにおける回折格子部材の屈折率
ωin,ωout,nOw(λExp),Pの間には、以下の式(2)の関係が成立する。そして、このとき、フォトポリマー材料には傾斜角φ、間隔dの干渉縞が記録される。一方、フォトポリマー材料内の干渉縞の間隔dは、フォトポリマー材料表面の干渉縞のピッチPと干渉縞の傾斜角φを用いると、以下の式(3)で表すことができる。
sin(ωout)−sin(ωin)=λExp/[P・nOw(λExp)] (2)
d=P・sin(φ) (3)
一方、この回折格子部材によって回折反射される光を考える。入射角ψinにてこの回折格子部材に入射した光がこの回折格子部材によって最も高い効率で回折反射される波長λmaxは、次の式(4)で表されるブラッグ回折の条件を満たす。尚、Θ,φ,ψinの関係は、式(B)に示したとおりであり、式(4)は、式(B)から、更に、式(5)のように変形される。
λmax/nDg(λmax)=2・d・sin(Θ) (4)
Θ=90°−(φ+ψin) (B)
λmax/nDg(λmax)=2・d・cos(φ+ψin) (5)
ここで、入射角ψin=0度とすると、式(5)は、以下の式(6)に変形される。更に、式(3)のdを式(6)に代入すると、以下の式(7)を導くことができる。
λmax/nDg(λmax)=2・d・cos(φ) (6)
λmax/nDg(λmax)=P・sin(2φ)
=P・sin(π−2φ) (7)
尚、sin(2φ)をsin(π−2φ)と書き直しているのは、この回折格子部材が反射型体積ホログラム回折格子であることによる。ここで、入射角ψin=0度のときの光が回折格子部材から出射されるときの出射角ψoutは、以下の式(8)で表すことができる。
sin(ψout)=λmax/[P・nOw(λmax)] (8)
ここで、式(7)のPの値を、式(8)に代入すると、以下の式(9)を得ることができる。
Dg(λmax)・sin(π−2φ)=nOw(λmax)・sin(ψout) (9)
更に、式(2)、式(7)、式(9)から、以下の式(10)を得ることができる。
{sin(ωout)−sin(ωin)}/sin(ψout
=[λExp/nOw(λExp)]/[λmax/nOw(λmax)] (10)
ここで、露光角ωin,ωoutが等しく、且つ、入射角ψin=0度に対する射出角ψoutが等しければ、同一の光路で露光された、同一の傾斜角φを有し、異なる波長帯域に対応する複数の干渉縞において、式(10)の右辺は等しくなる。従って、第1の干渉縞及び第2の干渉縞が、第1の露光波長λ1-Exp及び第2の露光波長λ2-Expを用いて、同一の光路で露光、形成され、第1の波長帯域及び第2の波長帯域の中で、第1回折格子部材及び第2回折格子部材にて最も高い効率で回折反射される波長λ1-max及びλ2-maxと、第1の露光波長λ1-Exp及び第2の露光波長λ2-Expとは、式(1)を満足する。但し、
Ow(λ1-Exp):第1の露光波長λ1-Expにおける導光板を構成する材料の屈折率
Ow(λ2-Exp):第2の露光波長λ2-Expにおける導光板を構成する材料の屈折率
Ow(λ1-max):波長λ1-maxにおける導光板を構成する材料の屈折率
Ow(λ2-max):波長λ2-maxにおける導光板を構成する材料の屈折率
である。
[λ1-Exp/nOw(λ1-Exp)]/[λ1-max/nOw(λ1-max)]
=[λ2-Exp/nOw(λ2-Exp)]/[λ2-max/nOw(λ2-max)] (1)
式(1)におけるそれぞれの具体的な値を、以下のとおりとしたところ、式(1)を満足していた。
λ1-Exp =647nm
Ow(λ1-Exp)=1.5206
λ1-max =635nm
Ow(λ1-max)=1.5210
λ2-Exp =532nm
Ow(λ2-Exp)=1.5260
λ2-max =522nm
Ow(λ2-max)=1.5266
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の光学装置120の概念図を図4の(A)に示し、第1回折格子部材130の模式的な一部断面図を図4の(B)に示す。実施例2にあっては、第1回折格子部材130及び第2回折格子部材140は、反射型体積ホログラム回折格子から成る1層の回折格子層から成り、回折格子層には、第1の干渉縞(赤色回折反射用の干渉縞)、第2の干渉縞(緑色回折反射用の干渉縞)、及び、第3の干渉縞(青色回折反射用の干渉縞)が形成されている。
以上の点を除き、実施例2の光学装置120、画像表示装置110の構成、構造は、実施例1において説明した光学装置20、画像表示装置10の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
実施例3も、実施例1の変形である。
実施例1においては、回折格子部材30,40を構成する各回折格子層30R,30G,30B,40R,40G,40Bにおける干渉縞31,32,33,41,42,43の傾斜角φ1,φ2,φ3を、各回折格子層30R,30G,30B,40R,40G,40B内において一定としたが、干渉縞の傾斜角φ1,φ2,φ3を、各回折格子層内において変化させる技術を、本特許出願人は、特願2005−258397にて出願した。
この特許出願における回折格子部材(回折格子部材230,240と呼ぶ)において、例えば、緑色の光を回折反射する回折格子層230G,240Gを取り上げ、この回折格子層230G,240Gにおける干渉縞232,242の傾斜角φ2を、回折格子層230G,240G内において段階的に変化させたときの、係る回折格子部材230,240を備えた画像表示装置210の概念図を図5に示す。尚、実際には、傾斜角が段階的に変化した3層の回折格子層が積層され、傾斜角が段階的に変化した3層の回折格子層が積層されている。
このような画像表示装置210における光学装置220にあっては、第1回折格子部材230の領域毎での或る波長帯域の回折効率を出来る限り一定とすることができ、画像形成装置11の画素の位置によって瞳に導かれる画素の像における色合いや輝度が異なる(色ムラや輝度ムラが発生する)といった問題の発生を抑制することができる。しかも、第1回折格子部材230の所定の領域において干渉縞の傾斜角を所定の値とすることで、第1回折格子部材230に入射し、回折反射された平行光束を、第2回折格子部材240の所定の領域に確実に入射させることができる。また、第1回折格子部材230を構成する回折格子層を、Q層の単位回折格子層が積層された構造とすれば、導光板21の軸線方向に沿った第1回折格子部材230の長さの短縮化を図りつつ、画角θを大きくすることができる。
先に説明したとおり、観察者の瞳が位置aにある場合と位置bにある場合とでは、各画角の導光板21内での光線パスが図5に示すように変化する。その結果、瞳位置aと瞳位置bとでは色の分布が変化するだけでなく(具体的には、短波長側にシフトするだけでなく)、導光板21から射出される波長スペクトルに応じて輝度も変化することになり、この輝度変化が色ムラとして観察される。赤色、緑色、青色の3色のうち、どれか1色に、単独で輝度変化が生じたときの色度Δ(u’,v’)の変化を図6に示す。図6は、赤の色度(x,y)=(0.67,0.33)、緑の色度(x,y)=(0.21,0.71)、青の色度(x,y)=(0.14,0.08)、白の色度(x,y)=(0.31,0.32)とし、赤色、緑色、青色のどれか1色が単独で10%変化したときのΔ(u’,v’)[但し、3色の輝度が等しいときを0とする]をプロットしたものである。
図6によれば、青色だけが単独で変化したときに色度変化(図6には黒菱形で示す)が最も小さく、緑色だけが単独で変化したときに色度変化(図6には黒四角で示す)が最も大きくなった。また、赤色だけが単独で変化したときに色度変化を、図6には黒三角で示す。これは、緑色の視感度が最も高く、青色の視感度が最も低い結果と一致する。即ち、色度変化に関して、影響度の最も低い青色の輝度変化の許容度は大きい。一方、緑色の輝度変化の許容度は小さい。従って、赤色及び緑色の波長に対応した干渉縞の傾斜角φ1,φ2を等しくして、赤色及び緑色は同じ傾向で輝度変化し、青色が、赤色及び緑色と異なり、単独で輝度変化するように回折格子部材を構成することで、瞳移動時の輝度変化による色度変化を抑制することができる。
尚、実施例3における以下の説明においては、説明の簡素化のために、第1回折格子部材230を構成する1つの回折格子層230G(緑色の光を回折反射する干渉縞が形成された回折格子層)、第2回折格子部材240を構成する1つの回折格子層240G(緑色の光を回折反射する干渉縞が形成された回折格子層)に着目して説明を行うが、積層された他の回折格子層(赤色の光を回折反射する干渉縞が形成された回折格子層230R,240R、青色の光を回折反射する干渉縞が形成された回折格子層230B,240B)も、基本的な構成、構造は同様とすることができる。
第1回折格子部材230を構成する回折格子層230Gには、例えば、図8の(A)あるいは(B)に模式的な断面図を示すように、その内部から表面に亙り干渉縞232が形成されており、且つ、回折格子層230Gの表面における干渉縞232のピッチP2は等しい。
そして、回折格子層230Gにおける干渉縞232が回折格子層230Gの表面と成す角度を傾斜角φ2としたとき、回折格子層230Gにおいて、図8の(A)あるいは(B)に模式的な断面図を示すように、
(B−1)傾斜角が最小傾斜角φMINとなる最小傾斜角領域RGMINよりも第2回折格子部材240から遠い所に位置する外側領域RGOUTに形成された干渉縞232の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMINから離れるほど大きく、
(B−2)最小傾斜角領域RGMINよりも第2回折格子部材240に近い所に位置する内側領域RGINに形成された干渉縞232の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMINに隣接する内側領域RGIN-NEARにおいて最大傾斜角φMAXであり、最小傾斜角領域RGMINから離れるほど小さくなる。
実施例3の画像表示装置の概念図を図7に示すように、第2回折格子部材240の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材240の法線をX軸、原点Oを通る導光板21の軸線をY軸とする。また、第2回折格子部材240によって回折反射され、導光板21から出射された平行光束群に基づく像を観察するX軸上の地点に瞳50が存在するとする。瞳50のX座標の値がアイレリーフDに相当する。以下の説明においては、説明の簡素化のため、X−Y平面内に位置する平行光束に関して説明を行う。また、第1回折格子部材230の第2回折格子部材240に近い端部から原点Oまでの距離をL1、第1回折格子部材230の第2回折格子部材240に遠い端部から原点Oまでの距離をL2とする。
画像形成装置11から出射された光束r1(実線で示す)、r2(一点鎖線で示す)、r3(点線で示す)は、コリメート光学系12を通過した後、それぞれ、角度+Θ’IN(>0)、0(度)、−Θ’IN(<0)の平行光束となって導光板21に入射し、次いで、第1回折格子部材230に入射(衝突)し、第1回折格子部材230によって回折反射され、導光板21内を全反射して、第2回折格子部材240に向けて伝播し、第2回折格子部材240に入射(衝突)し、瞳50の中心に、それぞれ、画角θ=−θ0(<0)、0(度)、+θ0(>0)で入射する。尚、角度Θ’で導光板21に入射した平行光束は、画角θ(=入射する角度[−Θ’])で導光板21から出射される。この場合、各平行光束r1,r2,r3は、それぞれの有する異なる全反射角度α1,α2,α3に基づき、導光板21内を異なった全反射位置及び全反射回数で進むことになる。ここで、平行光束が導光板21の第1面21A(第2面21Bと対向する面)での全反射を経て第2面21B(第1回折格子部材230及び第2回折格子部材240が配置された導光板21の面)で全反射するとき、第2面21Bで全反射する位置(原点Oからの距離L)と全反射回数Nとの関係は、平行光束が第1回折格子部材230に入射する位置(原点Oからの距離)をLf、導光板21の厚さをt、その平行光束の全反射角度をαとしたとき、以下の式(11)で表される。
L=Lf−2・N・t・tan(α) (11)
よって、平行光束r1,r2,r3の全反射角度α1,α2,α3における上記関係式(11)は、それぞれの平行光束の第1回折格子部材230への入射位置(最初の内部反射位置であり、原点Oからの距離)を、Lf_1,Lf_2,Lf_3、第2回折格子部材240への入射位置(最後の内部反射位置であり、原点Oからの距離)をLe_1,Le_2,Le_3、全反射回数をN1,N2,N3とすると、以下の式(12−1)、式(12−2)、式(12−3)で表すことができる。
e_1=Lf_1−2・N1・t・tan(α1) (12−1)
e_2=Lf_2−2・N2・t・tan(α2) (12−1)
e_3=Lf_3−2・N3・t・tan(α3) (12−1)
ここで、Le_1,Le_2,Le_3は、図7からも明らかなように、画角θとアイレリーフDの関係に基づき、平行光束が瞳50の中心部分に入射するように、一意的に決定される。また、N1,N2,N3は正の整数でなければならない。このような関係式は、導光板21の厚さtと、平行光束が入射する回折格子層230Gの範囲L1〜L2、及び、回折格子層230Gにおける干渉縞232のピッチP2と画角θによって導かれるα1,α2,α3のとる様々な条件で成り立つために、より実用的な構成でこれらの変数を決定する必要がある。
以下の表3に示す条件において、原点Oからの距離Ltを−3.0mmから3.0mmまで0.5mm刻みとし、各画角θtにおいて同一波長でブラッグ条件を満足する第2回折格子部材240を構成する回折格子層(赤色を回折反射する回折格子層240R、及び、緑色を回折反射する回折格子層240G)における干渉縞の傾斜の分布を計算した結果を、以下の表4に示し、青色を回折反射する回折格子層240Bにおける干渉縞の傾斜の分布を計算した結果を、以下の表5に示す。尚、一般に、平行光束が入射角ΨINにて回折格子部材に入射し、出射回折角ΨOUTで回折反射されるときの回折効率を最大とするような干渉縞の傾斜角φMAXは以下の式(13)で表すことができ、この式(13)はブラッグ条件に基づき導出することができる。
φMAX=(ΨOUT+ΨIN)/2 (13)
実施例3あるいは後述する実施例4における第2回折格子部材240の干渉縞は、表4及び表5の傾斜角の値に則り、形成されている。具体的には、第2回折格子部材240における干渉縞における傾斜角は、第1回折格子部材230に近づくに従い、増加する。このような構成にすることで、色ムラや輝度ムラの一層の低減を図ることができる。尚、傾斜角の増加は、段階的であってもよいし、連続的であってもよい。即ち、前者の場合、第2回折格子部材240を、最も第1回折格子部材230から遠い部分から最も第1回折格子部材230に近い部分まで、T個の部分に分けたとき、t番目(但し、t=1,2・・・T)の第2回折格子部材の部分RGtにおける傾斜角を一定とし、しかも、tの値が増加するに従い、第2回折格子部材の部分RGtにおける傾斜角を増加させる形態とすればよい。一方、後者の場合、干渉縞の傾斜角を徐々に変化させる形態とすればよい。
[表3]
導光板厚さ :2.7mm(波長522nmでの屈折率1.526)
アイレリーフ :20mm
画角θ0 : 8.0度
画角−θ0 :−8.0度
回折格子層240Rにおける干渉縞ピッチ:488.1nm
回折格子層240Gにおける干渉縞ピッチ:399.9nm
回折格子層240Bにおける干渉縞ピッチ:399.9nm
[表4]第2回折格子部材240を構成する回折格子層(赤色を回折反射する回折格子層240R、及び、緑色を回折反射する回折格子層240G)
距離Lt(mm) 画角θt(度) 傾斜角φt(度)
−3.0〜−2.5 −7.20 27.68
−2.5〜−2.0 −5.90 27.93
−2.0〜−1.5 −4.60 28.21
−1.5〜−1.0 −3.29 28.51
−1.0〜−0.5 −1.97 28.84
−0.5〜 0.0 −0.66 29.02
0.0〜 0.5 0.66 29.60
0.5〜 1.0 1.97 30.05
1.0〜 1.5 3.29 30.55
1.5〜 2.0 4.60 31.10
2.0〜 2.5 5.90 31.73
2.5〜 3.0 7.20 32.46
[表5]第2回折格子部材240を構成する回折格子層(青色を回折反射する回折格子層240B)
距離Lt(mm) 画角θt(度) 傾斜角φt(度)
−3.0〜−2.5 −7.20 24.14
−2.5〜−2.0 −5.90 24.30
−2.0〜−1.5 −4.60 24.48
−1.5〜−1.0 −3.29 24.67
−1.0〜−0.5 −1.97 24.88
−0.5〜 0.0 −0.66 25.11
0.0〜 0.5 0.66 25.36
0.5〜 1.0 1.97 25.62
1.0〜 1.5 3.29 25.91
1.5〜 2.0 4.60 26.22
2.0〜 2.5 5.90 26.55
2.5〜 3.0 7.20 26.93
表4及び表5からも明らかなように、画角θの値が増加すると、第2回折格子部材240における傾斜角が大きくなる。云い換えれば、画角θの値が小さい場合、全反射角度αの値は小さくなり、このような画角θに対応する平行光束の導光板21内部における全反射回数Nが多くなる。一方、画角θの値が大きい場合、全反射角度αの値は大きくなり、このような画角θに対応する平行光束の導光板21内部における全反射回数Nは少なくなる。
瞳50の中心に入射するλ1=635nm及び波長λ2=522nmの平行光束が、第1回折格子部材230を構成する回折格子層(赤色を回折反射する回折格子層230R、及び、緑色を回折反射する回折格子層230G)のどの位置で回折反射し、更に、この平行光束が導光板21の第2面21Bを何回全反射して瞳50に到達するかを、図9の(A)のグラフに示す。尚、このグラフは、全て式(11)に基づき計算している。また、グラフにおける縦軸は距離Lを表し、横軸は画角θを表す。尚、図9の(A)及び(B)においては、図面を簡素化のために、部分RG(q,s)を(q,s)で表示する。
実施例3にあっては、第1回折格子部材230を構成する回折格子層230Gは、反射型体積ホログラム回折格子から成るQ層(実施例3にあっては、Q=4)の単位回折格子層230G1,230G2,230G3,230G4が積層されて成り、各単位回折格子層には、その内部から表面に亙り、干渉縞が形成されており、各単位回折格子層の表面における干渉縞のピッチは等しく、且つ、単位回折格子層相互の干渉縞のピッチも等しい。
尚、単位回折格子層の全てにおいて最小傾斜角φMINは異なり、且つ、単位回折格子層の全てにおいて最大傾斜角φMAXは異なる。
図9の(A)において、右上がりの実線の曲線[1]は全反射回数N=4の場合を表し、右上がりの点線の曲線[2]は全反射回数N=5の場合を表し、右上がりの実線の曲線[3]は全反射回数N=6の場合を表し、右上がりの点線の曲線[4]は全反射回数N=7の場合を表す。
グラフの横軸(画角θであるが、入射する角度[−Θ’]にも相当する)のマイナス方向は、同一波長でブラッグ条件を満足する回折格子層230Gにおける干渉縞232の傾斜角φ2が相対的に小さくなる方向であり、グラフの横軸(画角θであるが、入射する角度[−Θ’]にも相当する)のプラス方向は、同一波長でブラッグ条件を満足する回折格子層230Gにおける干渉縞232の傾斜角φ2が相対的に大きくなる方向である。従って、グラフの曲線が左から右上がりになっているということは、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する回折格子層230Gにおける干渉縞232の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第1回折格子部材230の領域の原点Oからの距離が徐々に長くなることを意味している。
画角θ=4.3度〜7.1度(=入射する角度[−Θ’])に相当する平行光束は、L≒35mm〜47mmのところで回折格子層230Gを構成する第1層目の単位回折格子層230G1に入射し、この第1層目の単位回折格子層230G1の領域において回折反射され、導光板21の第2面21Bで4回、全反射した後、第2回折格子部材240に入射し、回折反射されて、導光板21から出射され、瞳50に導かれる。そして、この場合には、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する第1層目の単位回折格子層230G1の干渉縞の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第1層目の単位回折格子層230G1の領域の原点Oからの距離が徐々に長くなる。
また、画角θ=0.2度〜3.9度(=入射する角度[−Θ’])に相当する平行光束は、L≒35mm〜47mmのところで回折格子層230Gを構成する第2層目の単位回折格子層230G2に入射し、この第2層目の単位回折格子層230G2の領域において回折反射され、導光板21の第2面21Bで5回、全反射した後、第2回折格子部材240に入射し、回折反射されて、導光板21から出射され、瞳50に導かれる。そして、この場合にも、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する第2層目の単位回折格子層230G2の干渉縞の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第2層目の単位回折格子層230G2の領域の原点Oからの距離が徐々に長くなる。
更には、画角θ=−3.9度〜−0.2度(=入射する角度[−Θ’])に相当する平行光束は、L≒35mm〜45mmのところで回折格子層230Gを構成する第3層目の単位回折格子層230G3に入射し、この第3層目の単位回折格子層230G3の領域において回折反射され、導光板21の第2面21Bで6回、全反射した後、第2回折格子部材240に入射し、回折反射されて、導光板21から出射され、瞳50に導かれる。そして、この場合にも、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する第3層目の単位回折格子層230G3の干渉縞の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第3層目の単位回折格子層230G3の領域の原点Oからの距離が徐々に長くなる。
また、画角θ=−7.6度〜−4.5度(=入射する角度[−Θ’])に相当する平行光束は、L≒35mm〜43mmのところで回折格子層230Gを構成する第4層目の単位回折格子層230G4に入射し、この第4層目の単位回折格子層230G4の領域において回折反射され、導光板21の第2面21Bで7回、全反射した後、第2回折格子部材240に入射し、回折反射されて、導光板21から出射され、瞳50に導かれる。そして、この場合にも、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する第4層目の単位回折格子層230G4の干渉縞の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第4層目の単位回折格子層230G4の領域の原点Oからの距離が徐々に長くなる。
尚、或る単位回折格子層に入射した平行光束は、他の3層の内の少なくとも1層の単位回折格子層に入射する場合があるが、他の単位回折格子層にあっては、係る平行光束の回折効率が低いので、係る平行光束が他の単位回折格子層によって回折反射されることはない。
第1層目の単位回折格子層230G1にあっては、画角θ1=−θ1_0=4.3度に相当する平行光束が回折反射される第1層目の単位回折格子層230G1の領域であるL=35mm〜37mmの領域における干渉縞の傾斜角φ2が最小傾斜角φMINである。そして、傾斜角φ2が最小傾斜角φMINとなる最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)よりも第2回折格子部材240から遠い所に位置する外側領域RGOUT(L=47mmまでの領域が相当)に形成された干渉縞の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)から離れるほど大きい。そして、画角θ1=θ1_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第1層目の単位回折格子層230G1の領域(L=45mm〜47mmの領域が相当)が最大傾斜角φMAXを有する。
一方、第2層目の単位回折格子層230G2にあっては、画角θ2=−θ2_0=0.2度に相当する平行光束が回折反射される第2層目の単位回折格子層230G2の領域であるL=35mm〜37mmの領域における干渉縞の傾斜角φ2が最小傾斜角φMINである。そして、傾斜角φ2が最小傾斜角φMINとなる最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)よりも第2回折格子部材240から遠い所に位置する外側領域RGOUT(L=47mmまでの領域が相当)に形成された干渉縞の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)から離れるほど大きい。そして、画角θ2=θ2_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第2層目の単位回折格子層230G2の領域(L=45mm〜47mmの領域が相当)が最大傾斜角φMAXを有する。
更には、第3層目の単位回折格子層230G3にあっては、画角θ3=−θ3_0=−3.9度に相当する平行光束が回折反射される第3層目の単位回折格子層230G3の領域であるL=35mm〜37mmの領域における干渉縞の傾斜角φ2が最小傾斜角φMINである。そして、傾斜角φ2が最小傾斜角φMINとなる最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)よりも第2回折格子部材240から遠い所に位置する外側領域RGOUT(L=45mmまでの領域が相当)に形成された干渉縞の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)から離れるほど大きい。そして、画角θ3=θ3_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第3層目の単位回折格子層230G3の領域(L=43mm〜45mmの領域が相当)が最大傾斜角φMAXを有する。
また、第4層目の単位回折格子層230G4にあっては、画角θ4=−θ4_0=−7.6度に相当する平行光束が回折反射される第4層目の単位回折格子層230G4の領域であるL=35mm〜37mmの領域における干渉縞の傾斜角φ2が最小傾斜角φMINである。そして、傾斜角φ2が最小傾斜角φMINとなる最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)よりも第2回折格子部材240から遠い所に位置する外側領域RGOUT(L=43mmまでの領域が相当)に形成された干渉縞の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMIN(L=35mm〜37mmが相当)から離れるほど大きい。そして、画角θ4=θ4_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第4層目の単位回折格子層230G4の領域(L=41mm〜43mmの領域が相当)が最大傾斜角φMAXを有する。
ここで、最小傾斜角領域RGMINよりも第2回折格子部材240に近い所に回折格子層の領域は存在しないので、前述した(B−2)項は無視する。
外側領域RGOUTにおいて、図8の(A)あるいは(B)に第1回折格子部材230(回折格子層230G)の模式的な断面図を示すように、傾斜角φ2は、連続的に、しかも、Lの増加に伴い単調に増加する構成としてもよいし、あるいは又、外側領域RGOUTにおいて、傾斜角φ2は、段階的に、しかも、Lの増加に伴い単調に増加する構成としてもよい。即ち、導光板21の軸線方向に沿って回折格子層230GをS個(具体的には、S=6)の部分に分け、s番目(但し、s=1,2・・・,6)の単位回折格子層230G1,230G2,230G3,230G4の部分における傾斜角を一定とし、しかも、sの値が異なると単位回折格子層230G1,230G2,230G3,230G4の部分における傾斜角を変えてもよい。また、第1層目の単位回折格子層230G1と第2層目の単位回折格子層230G2と第3層目の単位回折格子層230G3と第4層目の単位回折格子層230G4の積層順序は、本質的に任意である。
部分RG(q,s)の距離L1_sの範囲と、画角θ1_s(=入射する角度[−Θ’]1_s)と、傾斜角φ1_s2)との関係を、以下の表6、表7に示す。尚、波長λ1、波長λ2、波長λ3を、それぞれ、635nm、522nm、470nmとしている。
[表6]第1回折格子部材230を構成する回折格子層(赤色を回折反射する回折格子層230R、及び、緑色を回折反射する回折格子層230G)
4回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(1,1) 35〜37 4.30 30.97
(1,2) 37〜39 4.99 31.28
(1,3) 39〜41 5.61 31.58
(1,4) 41〜43 6.16 31.87
(1,5) 43〜45 6.66 32.14
(1,6) 45〜47 7.12 32.41
5回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(2,1) 35〜37 0.15 29.45
(2,2) 37〜39 1.03 29.73
(2,3) 39〜41 1.84 30.00
(2,4) 41〜43 2.58 30.27
(2,5) 43〜45 3.26 30.53
(2,6) 45〜47 3.88 30.79
6回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(3,1) 35〜37 −3.86 28.37
(3,2) 37〜39 −2.85 28.62
(3,3) 39〜41 −1.91 28.86
(3,4) 41〜43 −1.04 29.09
(3,5) 43〜45 −0.23 29.33
7回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(4,1) 35〜37 −7.62 27.6
(4,2) 37〜39 −6.53 27.81
(4,3) 39〜41 −5.51 28.01
(4,4) 41〜43 −4.54 28.22
[表7]第1回折格子部材230を構成する回折格子層(青色を回折反射する回折格子層230B)
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(1,1) 35〜37 6.20 26.62
(1,2) 37〜39 7.19 26.91
(1,3) 39〜41 8.11 27.18
6回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(2,1) 35〜37 2.01 25.61
(2,2) 37〜39 3.12 25.85
(2,3) 39〜41 4.15 26.09
(2,4) 41〜43 5.12 26.34
(2,5) 43〜45 6.02 26.57
7回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(3,1) 35〜37 −1.85 24.89
(3,2) 37〜39 −0.68 25.09
(3,3) 39〜41 0.43 25.30
(3,4) 43〜45 1.48 25.50
8回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(4,1) 35〜37 −5.39 24.36
(4,2) 37〜39 −4.18 24.53
(4,3) 39〜41 −3.02 24.70
(4,4) 43〜45 −1.92 24.88
10回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(1,4) 41〜43 −8.00 24.03
(1,5) 43〜45 −6.9 24.16
(1,6) 45〜47 −5.84 24.30
実施例3にあっては、第1回折格子部材を構成する回折格子層を多層の単位回折格子層が積層された構造とすることで、導光板の軸線方向に沿った第1回折格子部材の長さの一層短縮化を図りつつ、画角を一層大きくすることができるし、導光板の厚さを薄くすることもでき、光学装置及び画像表示装置の一層の小型化を図ることができる。
実施例3の画像表示装置210において、設計上の瞳位置から瞳位置を±1mm移動したときの垂直画角0度における赤、緑の波長帯域での水平画角方向の輝度分布を計算した結果を図10に示す。尚、図10において、凹凸の曲線は、輝度分布の計算値であり、滑らかな曲線は、この凹凸の曲線のスムージング処理を施したものである。この画像表示装置210においては、赤色と緑色の輝度分布がほぼ等しく変化しているため、色ムラの悪化を低減する効果が得られる。
また、実施例3の画像表示装置210でもクロストーク現象によるゴーストの発生や光利用効率の低下が抑制されている。赤色、緑色に対応した干渉縞の傾斜角を、青色に対応した干渉縞の傾斜角よりも大きくしたときの、瞳径5mmにおいて観察される光の導光板21からの射出角を図11に示す。一方、比較のために、赤色、緑色、青色に対応した干渉縞の傾斜角を等しくしたときの、瞳径5mmにおいて観察される光の導光板21からの射出角を図12に示す。尚、設計値における波長λ1、波長λ2、波長λ3を、それぞれ、635nm、522nm、470nmとしている。ここで、図11及び図12の縦軸は、波長であり、横軸は画角である。
図12から、画角6〜8度、波長500nm付近において、青色に対応した回折格子層で回折反射される光の分布と、緑色に対応した回折格子層で回折反射される光の分布に重なりが生じていることが判る。これは、青色の光の一部が緑色に対応した回折格子層で回折反射される一方、緑色の光の一部が青色に対応した回折格子層で回折反射され、損失が発生することを示している。更に、画角が設計水平画角である±8度の範囲を超えていることから、ゴーストとして観察されることを示している。即ち、図12において、グレーの領域は、観察者の瞳に入射する光の入射角(つまり、観察される画像の画角)を示している。そして、図12のグレーの領域が重なる部分において、緑色に対応した回折格子層で回折反射された光の画角と青色に対応した回折格子層で回折反射された光の画角とが異なり、且つ、画角が±8度を越えていることを示している。即ち、画角±8度の元の画像が光学装置を通って、観察者の瞳に±8度の角度を超えて入射するので、ゴーストとなって見えていることになる。一方、緑色に対応した回折格子層の干渉縞のピッチと青色に対応した回折格子層の干渉縞のピッチとが等しくなっていると、青色に対応した回折格子層で緑色の光が回折しても、緑色に対応した回折格子層で緑色の光が回折した角度と同じとなり、ゴーストとして認識されることはなくなる。また、赤色の光は緑色、青色に対応した回折格子層では何の作用もされないことが判る。
即ち、図11から、赤色、緑色に対応した干渉縞の傾斜角を、青色に対応した干渉縞の傾斜角よりも大きくすると、瞳径5mmに入射する波長の分布が狭くなり、画角6〜8度付近で、導光板から射出された青色と導光板から射出された緑色との重なりが無くなることが判る。即ち、ゴーストの発生と光利用効率の低下を抑制する画像形成装置を構成することができる。
実施例4は、第B構成の第1回折格子部材に関する。実施例4の光学装置及び画像表示装置の概念図は、基本的には図7に示したと同様である。尚、以下の説明においては、緑色の光を回折反射する干渉縞について説明するが、赤色の光を回折反射する干渉縞、青色の光を回折反射する干渉縞についても、数値等が異なる点を除き、それらの構造、構成は、緑色の光を回折反射する干渉縞と同じ構造、構成を有する。
実施例4にあっては、実施例3の表3に示した種々のパラメータを、以下の表8に示すパラメータに変更した。
[表8]
導光板21の厚さt:5mm
アイレリーフd :20mm
第1回折格子部材330における緑色を回折反射する干渉縞のピッチ
:402.2nm
画角θ0 : 6.0度
画角−θ0 :−6.0度
実施例4の第1回折格子部材330の具体的な説明を行う前に、第1回折格子部材330が、反射型体積ホログラム回折格子から成るQ層(実施例4にあっては、Q=2)の単位回折格子層330a,330bが積層されていると想定し、先ず、これらの想定された単位回折格子層330a,330bに関する説明を行う。尚、単位回折格子層330a,330bから構成されたと想定した第1回折格子部材330の一例の模式的な断面図を図13の(B)に示す。
ここで、想定された各単位回折格子層330a,330bには、その内部から表面に亙り、干渉縞が形成されており、各単位回折格子層330a,330bの表面における干渉縞のピッチは等しく、且つ、各単位回折格子層330a,330b相互の干渉縞のピッチも等しいとする。そして、各単位回折格子層330a,330bの全てにおいて最小傾斜角φMINは異なり、且つ、各単位回折格子層330a,330bの全てにおいて最大傾斜角φMAXは異なるとする。
瞳50の中心に入射する波長λ=522nmの平行光束が、係る単位回折格子層330a,330bから構成されたと想定した第1回折格子部材330のどの位置で回折反射し、更に、この平行光束が導光板21の第2面21Bを何回全反射して瞳50に到達するかを、図13の(A)のグラフに示す。
図13の(A)において、右上がりの実線の曲線[1]は全反射回数N=3の場合を表し、右上がりの点線の曲線[2]は全反射回数N=4の場合を表す。ここで、グラフの曲線が左から右上がりになっているということは、実施例3において説明したと同様に、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する第1回折格子部材330の干渉縞の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第1回折格子部材330の領域の原点Oからの距離が徐々に長くなることを意味している。
例えば、画角θ=1.3度〜6.0度(=入射角[−Θ])に相当する平行光束は、L≒36mm〜51mmのところで第2層目の単位回折格子層330bに入射し、この第2層目の単位回折格子層330bの領域において回折反射され、導光板21の第2面21Bで3回、全反射した後、第2回折格子部材240に入射し、回折反射されて、導光板21から出射され、瞳50に導かれる。そして、この場合には、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する第2層目の単位回折格子層330bの干渉縞の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第2層目の単位回折格子層330bの領域の原点Oからの距離が徐々に長くなる。
一方、画角θが1.3度以下の場合にあっては、即ち、画角θ=−6.0度〜1.3度(=入射角[−Θ])に相当する平行光束は、第1層目の単位回折格子層330aにおいて、L≒36mm〜52mmのところで第1層目の単位回折格子層330aに入射し、この第1層目の単位回折格子層330aの領域において回折反射され、導光板21の第2面21Bで4回、全反射した後、第2回折格子部材240に入射し、回折反射されて、導光板21から出射され、瞳50に導かれる。そして、この場合にも、画角θがプラス方向に変化するにつれて、同一波長の平行光束を回折反射する第1層目の単位回折格子層330aの干渉縞の傾斜角φ2が小から大に変化し、更には、このような傾斜角が設けられた第1層目の単位回折格子層330aの原点Oからの距離が徐々に長くなる。
尚、画角θ=−6.0度〜1.3度(=入射角[−Θ])に相当する平行光束は、第2層目の単位回折格子層330bに入射する場合があるが、係る平行光束の第2層目の単位回折格子層330bにおける回折効率が低いので、係る平行光束が第2層目の単位回折格子層330bによって回折反射されることはない。同様に、画角θ=1.3度〜6.0度(=入射角[−Θ])に相当する平行光束は、第1層目の単位回折格子層330aにも入射するが、係る平行光束の第1層目の単位回折格子層330aにおける回折効率が低いので、係る平行光束が第1層目の単位回折格子層330aによって回折反射されることはない。
第1層目の単位回折格子層330aにあっては、画角θ1=−θ1_0=−6.0度に相当する平行光束が回折反射される第1層目の単位回折格子層330aの領域であるL≒36mmの領域における干渉縞の傾斜角φ2が最小傾斜角φMINである。そして、傾斜角φ2が最小傾斜角φMINとなる最小傾斜角領域RGMIN(L≒36mmが相当)よりも第2回折格子部材240から遠い所に位置する外側領域RGOUT(L=52mmまでの領域が相当)に形成された干渉縞の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMIN(L≒36mmが相当)から離れるほど大きい。そして、画角θ1=θ1_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第1層目の単位回折格子層330aの領域(L=52mmの領域が相当)が最大傾斜角φMAXを有する。
一方、第2層目の単位回折格子層330bにあっては、画角θ2=−θ2_0=1.3度に相当する平行光束が回折反射される第2層目の単位回折格子層330bの領域であるL≒36mmの領域における干渉縞の傾斜角φ2が最小傾斜角φMINである。そして、傾斜角φ2が最小傾斜角φMINとなる最小傾斜角領域RGMIN(L≒36mmが相当)よりも第2回折格子部材240から遠い所に位置する外側領域RGOUT(L=51mmまでの領域が相当)に形成された干渉縞の傾斜角φ2は、最小傾斜角領域RGMIN(L≒36mmが相当)から離れるほど大きい。そして、画角θ2=θ2_0となる平行光束に相当する平行光束が回折反射される第2層目の単位回折格子層330bの領域(L=51mmの領域が相当)が最大傾斜角φMAXを有する。
ここで、最小傾斜角領域RGMINよりも第2回折格子部材240に近い所に単位回折格子層の領域は存在しないので、実施例3において説明したと同様に、(B−2)項は無視する。
外側領域RGOUTにおいて、傾斜角φ2は、連続的に、しかも、Lの増加に伴い単調に増加する構成としてもよい。あるいは又、図13の(B)に示すように、導光板21の軸線方向に沿って第1回折格子部材330をS個(具体的には、S=6)の部分に分け、s番目(但し、s=1,2・・・,6)の第1層目の単位回折格子層330aの部分RG(q,s)[RG(1,1),RG(1,2),RG(1,3),RG(1,4),RG(1,5),RG(1,6)]、s番目の第2層目の単位回折格子層330bの部分RG(q,s)[RG(2,1),RG(2,2),RG(2,3),RG(2,4),RG(2,5),RG(2,6)]における傾斜角を一定とし、しかも、sの値が異なると単位回折格子層330a,330bの部分における傾斜角φ1を変えてもよい。
部分RG(q,s)の距離L1_sの範囲と、画角θ1_s(=入射角[−Θ]1_s)と、傾斜角φ1_sとの関係を、以下の表9に示す。
[表9]
3回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(2,1) 36.0 〜38.25 1.74 29.97
(2,2) 38.25〜40.75 2.8 30.36
(2,3) 40.75〜43.25 3.7 30.72
(2,4) 43.25〜45.75 4.5 31.07
(2,5) 45.75〜48.5 5.2 31.40
(2,6) 48.5 〜52.0 5.8 31.70
4回全反射
(q,s) 距離L1_s(mm) 画角θ1_s(度) 傾斜角φ1_s(度)
(1,1) 36.0 〜38.25 −5.4 28.03
(1,2) 38.25〜40.75 −4.0 28.34
(1,3) 40.75〜43.25 −2.9 28.60
(1,4) 43.25〜45.75 −1.75 28.90
(1,5) 45.75〜48.5 −0.76 29.17
(1,6) 48.5 〜52.0 0.08 29.42
さて、このような想定された単位回折格子層330a,330bと等価である仮想単位回折格子層430a,430bを考える。ここで、実施例4にあっては、第1回折格子部材330は、図14の(B)に概念図(断面)を示すように、反射型体積ホログラム回折格子から成るQ層(実施例4にあっては、Q=2である)の仮想単位回折格子層が積層されて成ると仮定したとき、第1回折格子部材330を構成する各仮想単位回折格子層430a,430bの表面における干渉縞のピッチは等しく、且つ、仮想単位回折格子層430a,430b相互の干渉縞のピッチも等しい。
仮想単位回折格子層430a,430bにおける干渉縞が仮想単位回折格子層430a,430bの表面と成す角度を傾斜角としたとき、各仮想単位回折格子層430a,430bにおいて:
(B−1)傾斜角が最小傾斜角となる最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材から遠い所に位置する外側領域に形成された干渉縞の傾斜角は、最小傾斜角領域から離れるほど大きく、
(B−2)最小傾斜角領域よりも第2回折格子部材に近い所に位置する内側領域に形成された干渉縞の傾斜角は、最小傾斜角領域に隣接する内側領域において最大傾斜角であり、最小傾斜角領域から離れるほど小さくなる。
そして、第1回折格子部材330を、最も第2回折格子部材に近い部分から最も第2回折格子部材から遠い部分まで、R個の区画(実施例4にあっては、R=6)に分けたとき、r番目(但し、r=1,2・・・R)の第1回折格子部材の区画RG1_rは、Q層の仮想単位回折格子層を、最も第2回折格子部材に近い部分から最も第2回折格子部材から遠い部分まで、R個の区画に分けたとき得られる仮想単位回折格子層の区画VG(r,q)(但し、qは、1からQの範囲内で選択された、重複の無い、任意の整数)の積層構造から構成されている。
具体的には、図14の(A)に示すように、第1層目の単位回折格子層430A及び第2層目の単位回折格子層430Bは、第2回折格子部材側から、以下の表10の順で配列されている。表10にあっては、上段に記載された単位回折格子層ほど、第2回折格子部材240に近いところに位置する。
[表10]
第1層目の単位回折格子層430A 第2層目の単位回折格子層430B
区画VG(1,2) 区画VG(1,1)
区画VG(2,1) 区画VG(2,2)
区画VG(3,2) 区画VG(3,1)
区画VG(4,2) 区画VG(4,1)
区画VG(5,1) 区画VG(5,2)
区画VG(6,2) 区画VG(6,1)
ここで、区画VG(1,1),VG(2,1),VG(3,1),VG(4,1),VG(5,1),VG(6,1)の有する特性は、上述の想定された単位回折格子層330aの部分RG(q,s)[RG(1,1),RG(1,2),RG(1,3),RG(1,4),RG(1,5),RG(1,6)]の有する特性と同じとすることができるし、区画VG(1,2),VG(2,2),VG(3,2),VG(4,2),VG(5,2),VG(6,2)の有する特性は、上述の想定された単位回折格子層330bの部分RG(q,s)[RG(2,1),RG(2,2),RG(2,3),RG(2,4),RG(2,5),RG(2,6)]の有する特性と同じとすることができる。
図15には、図14の(A)に示したように積層された第1回折格子部材330への平行光束の入射状態を模式的に示す。簡略化のため導光板21は省略している。画像形成装置11の各画素位置から出射された光束群がコリメート光学系12によりコリメートされ、進行方向の異なる平行光束から成る光束群に変換される。その後、これらの平行光束は図示しない導光板21を通過し、図14の(A)に示した第1回折格子部材330に入射する。このとき、区画VG(1,2)に入射した平行光束r1は、区画VG(1,2)によって回折反射されること無く、区画VG(1,1)に入射し、ここで回折反射される。
即ち、平行光束r1は最もプラス方向の入射角(最もマイナス方向の画角−θ0)を有するので、区画VG(1,1)において所定のブラッグ条件に基づき回折反射され、導光板21内を全反射を繰り返しながら伝播していく。一方、この平行光束r1は、区画VG(1,2)においては殆ど回折反射されない。これは、図16に示すように、それぞれの区画VG(r,q)における回折効率の角度特性が同じ位置に積層されている他の区画VG(r,q')における回折効率の角度特性をカバーするほど大きくないためである。
しかも、積層されている単位回折格子層430A,430Bの厚さは、例えば20μmと非常に薄いため、平行光束r1と平行光束r7の全反射の位置がずれることがなく、実施例3にて説明したとほぼ同じ特性を有する。第1層目の単位回折格子層430Aと第2層目の単位回折格子層430Bの積層順序を逆にしてもよい。
第2回折格子部材240の中心を原点Oとし、原点Oを通る第2回折格子部材240の法線をX軸、原点Oを通る導光板の軸線をY軸とし、第2回折格子部材240によって回折反射され、導光板21から出射された平行光束群に基づく像を観察するX軸上の地点(瞳50)と、第q層目の仮想単位回折格子層(但し、q=1,2・・・Q)によって回折反射され、第2回折格子部材240によって回折反射されると想定した想定平行光束であってX−Y平面内に位置する想定平行光束の内、最も第1回折格子部材330に近い想定平行光束との成す角度を画角θq=θq_0(>0)、最も第1回折格子部材330に遠い想定平行光束との成す角度を画角θq=−θq_0(<0)としたとき、
画角θq=θq_0となる想定平行光束に相当する想定平行光束が回折反射される第q層目の仮想単位回折格子層の領域が、最大傾斜角を有し、
画角θq=−θq_0となる想定平行光束に相当する想定平行光束が回折反射される第q番目の仮想単位回折格子層の領域が、最小傾斜角を有する。
第1回折格子部材を構成する単位回折格子層の部分(領域)と仮想単位回折格子層の区画とが一対一に対応していなくともよく、図14の(C)及び図14の(D)に、それぞれ、第1回折格子部材の変形例の概念図(断面)、及び、仮想単位回折格子層の変形例の積層構造の概念図(断面)を示す。
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における回折格子部材の諸元は例示であり、適宜、変更することができる。画像形成装置から、第4の波長帯域(中心波長λ4)を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第4の平行光束群が導光板に入射される場合、第1の干渉縞、第2の干渉縞及び第3の干渉縞が係る第4の平行光束群に及ぼす影響を調べ、第4の平行光束を回折反射する第4の干渉縞のピッチP4と、ピッチP1,P2,P3との関係、傾斜角φ4と傾斜角φ1,φ2,φ3との関係を決定すればよい。
図1の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例1の画像表示装置、及び、実施例1の光学装置における第1回折格子部材の模式的な一部断面図である。 図2は、実施例1の光学装置における第2回折格子部材によって回折反射され、導光板から出射する光を図示する概念図である。 図3は、干渉縞への入射角の補角Θ、干渉縞の傾斜角φ、回折格子部材に光が侵入しているときの入射角ψin等の関係を示す図である。 図4の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例2の画像表示装置、及び、実施例2の光学装置における第1回折格子部材の模式的な一部断面図である。 図5は、回折格子層における干渉縞の傾斜角を、回折格子層内において段階的に変化させたときの、係る回折格子部材を備えた画像表示装置の概念図である。 図6は、赤色、緑色、青色の3色のうち、どれか1色に、単独で輝度変化が生じたときの色度Δ(u’,v’)の変化を示すグラフである。 図7は、実施例3の画像表示装置の概念図である。 図8の(A)及び(B)は、実施例3における第1回折格子部材を構成する単位回折格子層の模式的な断面図である。 図9の(A)は、実施例3において、導光板内部における平行光束の全反射回数と、画角θと、第1回折格子部材における平行光束の入射位置の関係を示すグラフであり、図9の(B)は、実施例3の第1回折格子部材を構成する単位回折格子層の模式的な断面図である。 図10は、実施例3の画像形成装置において、設計上の瞳位置から瞳位置を±1mm移動したときの垂直画角0度における赤、緑の波長帯域での水平画角方向の輝度分布を計算した結果を示すグラフである。 図11は、実施例3の画像形成装置において、赤色、緑色に対応した干渉縞の傾斜角を、青色に対応した干渉縞の傾斜角よりも大きくしたときの、瞳径5mmにおいて観察される光の導光板からの射出角を示すグラフである。 図12は、比較のために、赤色、緑色、青色に対応した干渉縞の傾斜角を等しくしたときの、瞳径5mmにおいて観察される光の導光板からの射出角を示すグラフである。 図13の(A)は、実施例4において、第1回折格子部材が、反射型体積ホログラム回折格子から成る2層の回折格子層が積層されていると想定したときの、導光板内部における平行光束の全反射回数と、画角θと、第1回折格子部材における平行光束の入射位置の関係を示すグラフであり、図13の(B)は、想定された第1回折格子部材の模式的な断面図である。 図14の(A)は、実施例4の光学装置における第1回折格子部材の概念図(断面)であり、図14の(B)は、仮想回折格子層が積層されて成ると仮定したとき、第1回折格子部材を構成する各仮想回折格子層の概念図(断面)であり、図14の(C)は、実施例4の光学装置における第1回折格子部材の変形例の概念図(断面)であり、図14の(D)は、仮想回折格子層が積層されて成ると仮定したとき、第1回折格子部材の変形例を構成する各仮想回折格子層の概念図(断面)である。 図15は、図14の(A)に示したように積層された第1回折格子部材への平行光束の入射状態を模式的に示す図である。 図16は、多層化された回折格子層に入射する光束が回折反射されるか否かを説明するための図である。 図17の(A)及び(B)は、それぞれ、WO 2005/093493 A1 に開示された画像表示装置の概念図、及び、第1回折格子部材の模式的な一部断面図である。 図18は、赤色、緑色、及び、青色の各色に対応する干渉縞が記録された回折格子層から構成された回折格子部材において、全反射角度と、青色の波長帯域を有する平行光束の回折効率との関係を示すグラフである。 図19は、赤色、緑色、及び、青色の各色に対応する干渉縞が記録された回折格子層から構成された回折格子部材において、全反射角度と、緑色の波長帯域を有する平行光束の回折効率との関係を示すグラフである。 図20は、赤色、緑色、及び、青色の各色に対応する干渉縞が記録された回折格子層から構成された回折格子部材において、全反射角度と、赤色の波長帯域を有する平行光束の回折効率との関係を示すグラフである。 図21は、クロストーク現象の発生原因を説明する概念図である。 図22は、瞳位置が移動したときの回折効率の入射波長依存性、第2回折格子部材に入射する波長のスペクトルPの変化する状態を示すグラフである。 図23は、瞳位置が移動したときの回折効率の入射波長依存性、第2回折格子部材に入射する波長のスペクトルPの変化する状態を示すグラフである。
符号の説明
10,110,210・・・画像表示装置、11・・・画像形成装置、12・・・コリメート光学系、20,120,220・・・光学装置、21・・・導光板、21A・・・導光板の第1面、21B・・・導光板の第2面、30,130,230・・・第1回折格子部材、40,140,240・・・第2回折格子部材、30R,30G,30B,40R,40G,40B,230G,240G・・・回折格子層、31,41・・・第1の干渉縞、32,42,232・・・第2の干渉縞、33,43・・・第3の干渉縞、230G1,230G2,230G3,240G4・・・単位回折格子層、50・・・瞳

Claims (15)

  1. (A)第1の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第1の平行光束群、第1の波長帯域の中心波長λ1よりも短い中心波長λ2を有する第2の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第2の平行光束群、及び、第2の波長帯域の中心波長λ2よりも短い中心波長λ3を有する第3の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第3の平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
    (B)導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材、並びに、
    (C)導光板の内部を全反射により伝播した第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射し、導光板から第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材、
    を備え、
    第1回折格子部材及び第2回折格子部材のそれぞれには、第1の平行光束群、第2の平行光束群、及び、第3の平行光束群のそれぞれを回折反射するための第1の干渉縞、第2の干渉縞、及び、第3の干渉縞が形成されており、
    第1回折格子部材及び第2回折格子部材の表面における第2の干渉縞のピッチP2と第3の干渉縞のピッチP3とは略等しく、
    第1回折格子部材及び第2回折格子部材の表面における第1の干渉縞のピッチP1は、第2の干渉縞のピッチP2及び第3の干渉縞のピッチP3と異なることを特徴とする光学装置。
  2. 第1の干渉縞のピッチP1は、第2の干渉縞のピッチP2及び第3の干渉縞のピッチP3よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  3. 干渉縞が回折格子部材の表面と成す角度を傾斜角としたとき、
    第1の干渉縞は、第1の波長帯域の中心波長λ1に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ1を有し、
    第2の干渉縞は、第2の波長帯域の中心波長λ2に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ2を有し、
    第3の干渉縞は、第3の波長帯域の中心波長λ3に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ3を有することを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  4. 傾斜角φ1と傾斜角φ2とは略等しく、
    傾斜角φ3は、傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なることを特徴とする請求項3に記載の光学装置。
  5. 第1の波長帯域の中心波長λ1は赤色に相当する波長であり、第2の波長帯域の中心波長λ2は緑色に相当する波長であり、第3の波長帯域の中心波長λ3は青色に相当する波長であることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  6. 第1回折格子部材及び第2回折格子部材は、反射型体積ホログラム回折格子から成る3層の回折格子層が積層されて成り、
    第1の回折格子層には第1の干渉縞が形成され、第2の回折格子層には第2の干渉縞が形成され、第3の回折格子層には第3の干渉縞が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  7. 第1回折格子部材及び第2回折格子部材は、反射型体積ホログラム回折格子から成る1層の回折格子層から成り、
    回折格子層には、第1の干渉縞、第2の干渉縞、及び、第3の干渉縞が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  8. (A)第1の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第1の平行光束群、第1の波長帯域の中心波長λ1よりも短い中心波長λ2を有する第2の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第2の平行光束群、及び、第2の波長帯域の中心波長λ2よりも短い中心波長λ3を有する第3の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第3の平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
    (B)導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材、並びに、
    (C)導光板の内部を全反射により伝播した第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射し、導光板から第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材、
    を備え、
    回折格子部材における干渉縞が回折格子部材の表面と成す角度を傾斜角としたとき、第1回折格子部材及び第2回折格子部材のそれぞれには、第1の波長帯域の中心波長λ1に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ1を有する第1の干渉縞、第2の波長帯域の中心波長λ2に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ2を有する第2の干渉縞、及び、第3の波長帯域の中心波長λ3に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ3を有する第3の干渉縞が形成されており、
    傾斜角φ1と傾斜角φ2とは略等しく、
    傾斜角φ3は、傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なることを特徴とする光学装置。
  9. 傾斜角φ1及び傾斜角φ2は、傾斜角φ3よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
  10. 第1の波長帯域の中心波長λ1は赤色に相当する波長であり、第2の波長帯域の中心波長λ2は緑色に相当する波長であり、第3の波長帯域の中心波長λ3は青色に相当する波長であることを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
  11. 第1回折格子部材及び第2回折格子部材は、反射型体積ホログラム回折格子から成る3層の回折格子層が積層されて成り、
    第1の回折格子層には第1の干渉縞が形成され、第2の回折格子層には第2の干渉縞が形成され、第3の回折格子層には第3の干渉縞が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
  12. 第1回折格子部材及び第2回折格子部材は、反射型体積ホログラム回折格子から成る1層の回折格子層から成り、
    回折格子層には、第1の干渉縞、第2の干渉縞、及び、第3の干渉縞が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
  13. 第1の干渉縞及び第2の干渉縞は、第1の露光波長λ1-Exp及び第2の露光波長λ2-Expを用いて、同一の光路で露光、形成され、
    第1の波長帯域及び第2の波長帯域の中で、第1回折格子部材及び第2回折格子部材にて最も高い効率で回折反射される波長λ1-max及びλ2-maxと、第1の露光波長λ1-Exp及び第2の露光波長λ2-Expとは、以下の式(1)を満足することを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
    [λ1-Exp/nOw(λ1-Exp)]/[λ1-max/nOw(λ1-max)]
    =[λ2-Exp/nOw(λ2-Exp)]/[λ2-max/nOw(λ2-max)] (1)
    但し、
    Ow(λ1-Exp):第1の露光波長λ1-Expにおける導光板を構成する材料の屈折率
    Ow(λ2-Exp):第2の露光波長λ2-Expにおける導光板を構成する材料の屈折率
    Ow(λ1-max):波長λ1-maxにおける導光板を構成する材料の屈折率
    Ow(λ2-max):波長λ2-maxにおける導光板を構成する材料の屈折率
  14. (a)画像形成装置と、
    (b)画像形成装置から出射された光束を平行光束とするコリメート光学系と、
    (c)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光束とされた光束が入射され、導光され、出射される光学装置、
    から成る画像表示装置であって、
    光学装置は、
    (A)第1の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第1の平行光束群、第1の波長帯域の中心波長λ1よりも短い中心波長λ2を有する第2の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第2の平行光束群、及び、第2の波長帯域の中心波長λ2よりも短い中心波長λ3を有する第3の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第3の平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
    (B)導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材、並びに、
    (C)導光板の内部を全反射により伝播した第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射し、導光板から第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材、
    を備え、
    第1回折格子部材及び第2回折格子部材のそれぞれには、第1の平行光束群、第2の平行光束群、及び、第3の平行光束群のそれぞれを回折反射するための第1の干渉縞、第2の干渉縞、及び、第3の干渉縞が形成されており、
    第1回折格子部材及び第2回折格子部材の表面における第2の干渉縞のピッチP2と第3の干渉縞のピッチP3とは略等しく、
    第1回折格子部材及び第2回折格子部材の表面における第1の干渉縞のピッチP1は、第2の干渉縞のピッチP2及び第3の干渉縞のピッチP3と異なることを特徴とする画像表示装置。
  15. (a)画像形成装置と、
    (b)画像形成装置から出射された光束を平行光束とするコリメート光学系と、
    (c)コリメート光学系にて進行方位の異なる複数の平行光束とされた光束が入射され、導光され、出射される光学装置、
    から成る画像表示装置であって、
    光学装置は、
    (A)第1の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第1の平行光束群、第1の波長帯域の中心波長λ1よりも短い中心波長λ2を有する第2の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第2の平行光束群、及び、第2の波長帯域の中心波長λ2よりも短い中心波長λ3を有する第3の波長帯域を有し、進行方位の異なる複数の平行光束から成る第3の平行光束群が入射され、内部を全反射により伝播した後、出射される導光板、
    (B)導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第1回折格子部材、並びに、
    (C)導光板の内部を全反射により伝播した第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を回折反射し、導光板から第1の平行光束群、第2の平行光束群及び第3の平行光束群を出射する、反射型体積ホログラム回折格子から成る第2回折格子部材、
    を備え、
    回折格子部材における干渉縞が回折格子部材の表面と成す角度を傾斜角としたとき、第1回折格子部材及び第2回折格子部材のそれぞれには、第1の波長帯域の中心波長λ1に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ1を有する第1の干渉縞、第2の波長帯域の中心波長λ2に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ2を有する第2の干渉縞、及び、第3の波長帯域の中心波長λ3に対してブラッグ条件を満足する傾斜角φ3を有する第3の干渉縞が形成されており、
    傾斜角φ1と傾斜角φ2とは略等しく、
    傾斜角φ3は、傾斜角φ1及び傾斜角φ2と異なることを特徴とする画像表示装置。
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