JP2008057719A - プーリ、回転駆動力伝達装置、記録装置、液体噴射装置 - Google Patents

プーリ、回転駆動力伝達装置、記録装置、液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 はす歯ベルトの摩耗粉によってはす歯ベルトとプーリとの噛合が不安定となって歯飛びが生ずる虞を低減させる。
【解決手段】 従動プーリ70は、はす歯の歯車72と歯車72の回転軸方向両側に配設されるフランジ71とを有している。従動プーリ70は、歯車72の回転軸方向両側がフランジ71に形成された円形嵌合孔711に圧入嵌合されて構成されているので、歯車72の各歯の頂部721がフランジ71の円形嵌合孔711の内周面712に接した嵌合状態となる。それによって、円形嵌合孔711の内周面712と歯溝722との間に空間が形成されて、歯車72の各歯溝722の両端からフランジ71の外側への連通路が構成される。
【選択図】図9

Description

本発明は、はす歯の歯車と歯車の回転軸方向両側に配設されるフランジとを有するプーリ、駆動プーリと従動プーリとの間にはす歯無端ベルトが掛架された構成を有する回転駆動力伝達装置及び被記録材の記録面にドットを形成する記録ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する記録装置並びに被噴射材へ液体を噴射するための液体噴射ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する液体噴射装置に関する。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
また、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
駆動プーリと従動プーリとの間に無端ベルトが掛架された構成を有する一般的な回転駆動力伝達機構においては、無端ベルトを回転駆動する際に生ずる振動及びその振動に起因した騒音が問題となる場合がある。このような振動及び騒音を低減可能な従来技術の一例としては、例えば、一対のはす歯プーリ間にはす歯タイミングベルトが張設されたプリンタキャリッジの駆動システムが公知である。プーリ及びタイミングベルトの歯を一定の角度を有するはす歯とすることによって、タイミングベルト(無端ベルト)の回転時に生ずる振動及び騒音が低減される(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、このようにプーリ及び無端ベルトの歯を一定の角度を有するはす歯とすることによって、プーリの歯車の回転軸方向両側に配設されたフランジへ無端ベルトの側端が、そのはす歯の角度に比例した強さで押圧された状態で摺接することとなる。そのため、無端ベルトの側端が摩耗し、無端ベルトの耐久性が低下してしまう。また、その摩耗粉がプーリの歯溝に徐々に蓄積され、それによって、無端ベルトの歯との噛合が不安定となり歯飛びが生じ易くなるという課題が生ずる。
このような課題を解決可能な従来技術の一例としては、例えば、内部の複数の芯線を一定の撚り方向及び撚り角度としたはす歯ベルトが公知である。数本のコードを撚り合わせた撚り糸が用いられており、このような撚り糸は、張力が作用すると撚りが締め込まれる方向へ回転モーメントが発生する。したがって、張力が作用したときに生ずる回転モーメントが、はす歯ベルトに働くフランジへの押圧力に対抗して打ち消し合うような方向及び強さで作用するように、はす歯ベルト内部の芯線の撚り方向及び角度を設定する。それによって、はす歯ベルトに働くフランジへの押圧力(スラスト力)が低減されるので、無端ベルトの側端の摩耗を低減することができ、はす歯ベルトの耐久性を向上させることができる(例えば、特許文献2を参照)。
特開平9−300767号公報 特開2005−161665号公報
しかしながら、上記特許文献2に開示されている従来技術においては、はす歯ベルトの耐久性を向上させることはできても、依然としてはす歯ベルトの側端の摩耗が生ずる限り、その摩耗によって生じた摩耗粉に起因した課題、すなわち、プーリの歯溝に蓄積された摩耗粉によってはす歯ベルトとプーリとの噛合が不安定となり歯飛びが生じ易くなるという課題を解決することはできない。
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、はす歯ベルトの摩耗粉によってはす歯ベルトとプーリとの噛合が不安定となって歯飛びが生ずる虞を低減させることにある。
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、はす歯の歯車と該歯車の回転軸方向両側に配設されるフランジとを有するプーリであって、前記フランジは、前記歯車の各歯溝の両端から前記フランジの外側への連通路が構成される形状を有している、ことを特徴としたプーリである。
このように、歯車の各歯溝の両端からフランジの外側への連通路が構成されるので、無端ベルトの側端がフランジに押圧されつつ摺接することで無端ベルトの側端が摩耗して生じた摩耗粉は、プーリの歯溝に蓄積されずに、この連通路を介してフランジ外側へ排出される。それによって、本発明の第1の態様に記載のプーリは、はす歯ベルトの摩耗粉によってはす歯ベルトとプーリとの噛合が不安定となって歯飛びが生ずる虞を低減させることができるという作用効果が得られる。
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様に記載のプーリにおいて、前記歯車の回転軸方向両側が前記フランジに形成された円形嵌合孔に圧入嵌合されて構成されており、前記円形嵌合孔は、前記歯車の外径と略同径で、嵌合状態において前記歯車と前記フランジとが略同心となる形状を有している、ことを特徴としたプーリである。
このように、本発明の第2の態様に記載のプーリは、フランジに形成されている歯車の外径と略同径の円形嵌合孔に、歯車の回転軸方向両側が圧入嵌合されて構成されているので、歯車とフランジとが圧入嵌合した状態において、歯車の各歯の頂部がフランジの円形嵌合孔の内周面に接した状態となる。そのため、歯車とフランジとが圧入嵌合した状態においては、歯車の各歯溝部分の両端は、フランジの円形嵌合孔を通じて外部に連通した状態となる。それによって、無端ベルトの側端がフランジに押圧されつつ摺接することで無端ベルトの側端が摩耗して生じた摩耗粉は、プーリの歯溝に蓄積されずに、この連通路を介してフランジ外側へ排出される。また、本発明の第2の態様に記載のプーリは、歯車の回転軸方向両側がフランジに形成された円形嵌合孔に圧入嵌合されて構成されているので、歯車とフランジとが一体成形されたプーリよりも製造が容易であり、製造コストを低減させることができる。
このように、本発明の第2の態様に記載のプーリによれば、前述した第1の態様に記載の発明による作用効果に加えて、プーリの材料及び製造方法の選択幅が広がり、プーリの製造コストを低減させることができるという作用効果が得られる。
本発明の第3の態様は、前述した第2の態様に記載のプーリにおいて、前記フランジは、内側面が前記歯車から外周縁へ向けて外側へ傾斜した形状を有している、ことを特徴としたプーリである。
本発明の第3の態様に記載のプーリによれば、前述した第1の態様又は第2の態様に記載の発明による作用効果に加えて、フランジがこのような形状を有していることによって、フランジ間に無端ベルトが入りやすくなるので、プーリに無端ベルトを掛架する作業が容易になるという作用効果が得られる。
本発明の第4の態様は、駆動プーリと従動プーリとの間にはす歯無端ベルトが掛架された構成を有する回転駆動力伝達装置であって、前記駆動プーリ又は前記従動プーリの少なくともいずれか一方が前述した第1〜第3の態様のいずれかに記載のプーリである、ことを特徴とした回転駆動力伝達装置である。
本発明の第4の態様に記載の回転駆動力伝達装置によれば、駆動プーリと従動プーリとの間にはす歯無端ベルトが掛架された構成を有する回転駆動力伝達装置において、前述した第1〜第3の態様のいずれかに記載の発明による作用効果を得ることができる。
本発明の第5の態様は、被記録材の記録面にドットを形成する記録ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する記録装置であって、前記キャリッジへ回転駆動力を伝達する手段として前述した第4の態様に記載の回転駆動力伝達装置を備えている、ことを特徴とした記録装置である。
本発明の第5の態様に記載の記録装置によれば、被記録材の記録面にドットを形成する記録ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する記録装置において、前述した第4の態様に記載の発明による作用効果を得ることができる。
本発明の第6の態様は、被噴射材へ液体を噴射するための液体噴射ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する液体噴射装置であって、前記キャリッジへ回転駆動力を伝達する手段として前述した第4の態様に記載の回転駆動力伝達装置を備えている、ことを特徴とした液体噴射装置である。
本発明の第6の態様に記載の液体噴射装置によれば、被噴射材へ液体を噴射するための液体噴射ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する液体噴射装置において、前述した第4の態様に記載の発明による作用効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本願発明に係る「液体噴射装置」及び「記録装置」の一例であるインクジェットプリンタの全体構成の概略を説明する。
図1は、インクジェットプリンタ100の外観を示す斜視図である。図2は、ハウジングを取り外した状態のインクジェットプリンタ100の内部構造を示す斜視図である。図3は、インクジェットプリンタ100の内部構造の概略を示す側断面図である。
インクジェットプリンタ100は、プリンタ本体3の上部に公知のスキャナ装置4を備えている(図1)。プリンタ本体3の前面パネル6の中央には、液晶モニタ画面7、その左右には、操作ボタン8がそれぞれ配設されている。また、前面パネル6の下側には、デジタルカメラで撮影した写真データ等が保存されたメモリカードを挿入するためのメモリカード挿入部9が設けられている。インクジェットプリンタ100は、このメモリカード挿入部9に挿入されたメモリカード(図示せず)から、パーソナルコンピュータを介さず直接デジタル画像ファイルのデータを読み込んで、そのデジタル画像ファイルの画像を記録紙Pに記録することができる、いわゆるダイレクトプリント機能を有している。ユーザは、メモリカード挿入部9にメモリカードを挿入し、液晶モニタ画面7を見ながら操作ボタン8を操作することによって、好みの写真を簡単に家庭に居ながら何枚でも高品質にプリントすることができる。
プリンタ本体3の前面下部には、給送用カセット30が前後方向に着脱自在に設けられている。また、この給送用カセット30の上側には、排出用スタッカ50が設けられている。この排出用スタッカ50は、閉じた未使用状態(実線で図示した状態)ではプリンタ本体3の前面カバーの一部として機能し、手前側に開いて載置面51を上方に向けた状態で(二点鎖線で図示した状態)排出用スタッカとして機能する。一方、プリンタ本体3の背面側の上部には、「被噴射材」及び「被記録材」の一例である記録紙Pを連続して自動的に給送可能な公知の自動給送装置2が設けられている。
次に、インクジェットプリンタ100の各部の概略構成について、図3を参照しつつ記録紙Pの搬送経路に沿って説明する。
搬送方向(図3においては、向かって右から左への方向)の上流側に配設された自動給送装置2は、給送用トレイ5、ホッパ16、給送用ローラ14及び図示していない分離パッド等の分離手段や紙戻しレバー等を有している。給送用トレイ5には、複数の記録紙Pが積重可能であり、積重された記録紙Pの側端縁(エッジ)に当接して搬送方向への記録紙Pの搬送を案内するエッジガイド15が設けられている。給送用トレイ5上の記録紙Pは、給送用ローラ14の回転軸17の回転に伴って所定のタイミングで上昇するホッパ16によって、給送用ローラ14へ向けて押圧される。ホッパ16によって給送用ローラ14に押圧された給送用トレイ5上の記録紙Pは、最上位の記録紙Pが給送用ローラ14でピックアップされて給送される。その際には、分離パッド等の分離手段によって次位以降の記録紙Pが給紙されるべき最上位の記録紙Pから分離され、それによって、記録紙Pの重送が防止される。
給送用ローラ14の搬送方向下流側には、記録紙Pの通過を検出するための検出器(図示せず)が設けられている。その検出器の搬送方向下流側には、搬送用駆動ローラ19aと搬送用従動ローラ19bとで構成された搬送用ローラ19が配設されている。搬送用駆動ローラ19aは、DCモータ等(図示せず)の回転駆動力が伝達されて駆動回転する。搬送用従動ローラ19bは、従動回転可能に搬送用従動ローラホルダ18に軸支されているとともに、その搬送用従動ローラホルダ18に配設されている捻りコイルばね等の押圧手段(図示せず)によって、搬送用駆動ローラ19aに回動付勢されている。給紙後の記録紙Pは、この搬送用駆動ローラ19aと搬送用従動ローラ19bとで挟持され、搬送用駆動ローラ19aの駆動回転によって搬送方向へ所定の搬送量で搬送される。
搬送用ローラ19によって搬送される記録紙Pは、記録ポジション26において記録面に記録が実行される。この記録ポジション26には、主走査方向X(図1)に往復移動可能にキャリッジガイド軸12に軸支されたキャリッジ10が配設されている。キャリッジ10は、主走査方向Xと並行に掛架された無端ベルト11が連結されており、DCモータ等(図示せず)の回転駆動力が無端ベルト11を介して伝達されて主走査方向Xへ往復動する構成を有している。キャリッジ10の底面には、記録ポジション26にある記録紙Pの記録面とヘッド面が対面する位置に記録ヘッド13が配設されている。記録紙Pの記録面には、この記録ヘッド13からインクが噴射されてドットが形成される。また、キャリッジ10には、インクが充填されたインクカートリッジCが着脱可能に装着されており、このインクカートリッジCから記録ヘッド13へインクが供給される。
記録ポジション26の搬送方向下流側には、記録実行後の記録紙Pを排出用スタッカ50の載置面51へ排出するための排出用ローラ20が配設されている。この排出用ローラ20は、DCモータ等(図示せず)の回転駆動力が伝達されて駆動回転する排出用駆動ローラ20aと、記録実行後の記録面に接して記録紙Pを排出用駆動ローラ20aへ押圧しつつ従動回転する複数の排出用従動ローラ20bとで構成されている。また、排出用従動ローラ20bの搬送方向上流側には、複数の排出用補助従動ローラ22が配設されている。排出用従動ローラ20b及び排出用補助従動ローラ22は、外周に複数の歯を有する歯付きローラであり、図示していない排出用従動ローラホルダによって押圧付勢されつつ従動回転可能に軸支されている。
このような構成を有するインクジェットプリンタ100において、給送用トレイ5から自動給紙された記録紙Pは、搬送用ローラ19により記録ポジション26へ向けて搬送される。記録ポジション26において、記録ヘッド13のヘッド面と記録紙Pの記録面との間隔PGは、プラテン28により高精度に一定間隔に規定される。そして、記録紙Pは、主走査方向Xへ往復動するキャリッジ10の記録ヘッド13からインクが噴射される動作と搬送用ローラ19により副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送される動作とが交互に繰り返し行われて記録面への記録が実行される。記録実行後の記録紙Pは、排出用ローラ20により排出用スタッカ50の載置面51へ排出される。
つづいて、本発明に係るインクジェットプリンタ100におけるキャリッジ10の支持構造及びキャリッジ10への「回転駆動力伝達装置」について説明する。
図4は、キャリッジ10の支持構造を前方から図示した要部斜視図であり、図5は、後方から図示した要部斜視図である。
キャリッジ10を主走査方向Xへ往復動させるための「回転駆動力伝達装置」は、DCモータであるキャリッジ駆動用モータ65の駆動プーリ651と従動プーリ70との間に主走査方向Xと並行に掛架された無端ベルト11が連結された構成を有している。従動プーリ70は、従動プーリホルダ701に従動回転可能に軸支されている。従動プーリホルダ701は、ばね702によって無端ベルト11に所定の張力が付与されるように付勢されている。キャリッジ10は、キャリッジ駆動用モータ65の回転駆動力が無端ベルト11を介して伝達されて主走査方向Xへ往復動する。
また、キャリッジ10の近傍には、主走査方向Xと並行に公知のリニアスケール621がばね622を介して張設されている。キャリッジ10には、キャリッジ10の移動位置、移動方向及び移動速度等を演算する目的で、このリニアスケール621のスリットを検出してスリット検出信号を出力する公知のリニアスケールセンサ62が配設されている。キャリッジ10の上部には、キャリッジカバー66が配設されている。
図6は、キャリッジ10へ無端ベルト11を連結するためにキャリッジ10の背面側に形成された連結部64を拡大して図示した斜視図である。図7は、その連結部64の正面図である。図8は、無端ベルト11の一部を拡大して図示した正面図である。
「はす歯ベルト」としての無端ベルト11の内周面側には、従動プーリ70の歯車72及び駆動プーリ651の歯車のはす歯と略同角度のはす歯111が形成されている(図8)。無端ベルト11は、このはす歯111が従動プーリ70及び駆動プーリ651と歯車係合した状態で従動プーリ70と駆動プーリ651との間に掛架される。また、無端ベルト11の外周面側の一部には、キャリッジ10を連結するための連結歯112が形成されている。この連結歯112は、はす歯ではなくベルト回転方向と略直交する角度(角度0度)で等間隔に形成されている。
キャリッジ10の連結部64は、上ガイド部641と下ガイド部643とを有している。上ガイド部641の中央近傍は、図示の如く略V字形状となる凹部642を有しており、下ガイド部643は、その上ガイド部641の形状に沿った面を構成する形状を有している。そして、下ガイド部643は、凹部644の両側に形成された円弧状曲面部分に歯645が形成されており、この歯645は、無端ベルト11の連結歯112に対応する大きさ及び間隔で形成されている。
このような構成の連結部64において、無端ベルト11は、上ガイド部641と下ガイド部643との間に狭入され、連結歯112が歯645と係合した状態でキャリッジ10と連結される。それによって、はす歯111の一部で無端ベルト11とキャリッジ10の連結部64とを連結した場合と比較して、無端ベルト11がキャリッジ10から外れにくくなるというメリットが得られる。また、下ガイド部643に形成されている突起部646によって無端ベルト11の脱落が防止されるので、連結部64から無端ベルト11が外れてしまう虞をより低減させることができる。尚、当該実施例における無端ベルト11の幅は、約4mmであり、この場合、はす歯の角度を約10度〜13度にしたときに特に良好な振動低減効果及び騒音低減効果が得られた。
図9は、本発明に係る従動プーリ70の斜視図である。図10は、その側面図であり、図11は、その正面図である。
本発明に係る従動プーリ70は、はす歯の歯車72と歯車72の回転軸方向両側に配設されるフランジ71とを有している。フランジ71は、図示の如く、歯車72の各歯溝722の両端からフランジ71の外側への連通路が構成される形状を有している。このような形状を有する従動プーリ70は、歯車72の回転軸方向両側がフランジ71に形成された円形嵌合孔711に圧入嵌合されて構成されている。尚、はす歯の角度は、約7〜13度程度に設定されるのが好ましく、ベルト駆動時の振動及び騒音を低減させる観点からすれば、より大きい角度に設定するのがより好ましい。
フランジ71は、円形嵌合孔711が歯車72の外径(歯車72の各歯の頂部721を通る円の直径)と略同径であり、歯車72の両側端に嵌合固定される。この円形嵌合孔711は、嵌合状態において歯車72とフランジ71とが略同心となるように形成されている。そして、歯車72の回転軸方向両側が歯車72の外径と略同径の円形嵌合孔711に圧入嵌合されて構成されているので、歯車72の各歯の頂部721がフランジ71の円形嵌合孔711の内周面712に接した状態となる。それによって、図示の如く、円形嵌合孔711の内周面712と歯溝722との間に空間が形成されて、歯車72の各歯溝722の両端からフランジ71の外側への連通路が構成されることとなる。
また、フランジ71は、図示の如く、内側面713が歯車72から外周縁へ向けて外側へ傾斜した形状を有している。フランジ71がこのような形状を有していることによって、フランジ71間に無端ベルト11が入りやすくなるので、従動プーリ70に無端ベルト11を掛架する作業が容易になる。尚、駆動プーリ651は、上記説明した従動プーリ70と全く同じ構成なので、説明は省略する。
このようにして、本発明に係る従動プーリ70によれば、歯車72の各歯溝722の両端からフランジ71の外側への連通路が構成されているので、はす歯の無端ベルト11の側端がフランジ71に押圧されつつ摺接することで摩耗して生じた摩耗粉は、従動プーリ70の歯溝722に蓄積されずに、この連通路を介してフランジ71の外側へ排出される。それによって、無端ベルト11の摩耗粉で無端ベルト11と従動プーリ70の歯車72との噛合が不安定となって歯飛びが生ずる虞を低減させることができる。
また、本発明に係る従動プーリ70は、歯車72の回転軸方向両側がフランジ71に形成された円形嵌合孔711に圧入嵌合されて構成されているので、歯車72とフランジ71とを一体成形で構成するよりも製造が容易であり、製造コストを低減させることができる。例えば、歯車72は、鉄系の焼結による圧粉成形、切削加工、樹脂成形等で製造することができ、樹脂成形では型の抜き方向の制約が生じないというメリットがある。或いは、押し出し成形により回転軸方向へ長尺な歯車を製造し、それを所定の幅で切断して歯車72を量産することも可能となる。一方、フランジ71は、板金によるプレス加工で製造することもできる。その際、摩擦係数の小さいステンレス(SUS)等を用いてフランジ71を製造すれば、無端ベルト11の側端の摩耗をより低減することができる。
尚、はす歯の無端ベルト11と従動プーリ70を例に上記説明したが、はす歯の歯車同士の歯車係合機構においても本発明の実施は可能であり、歯車から生ずる摩耗粉によって噛合が不安定となって歯飛びが生ずる虞を低減させることができる。そして、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
インクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。 インクジェットプリンタの内部構造を示す斜視図である。 インクジェットプリンタの内部構造の概略を示す側断面図である。 キャリッジの支持構造を前方から図示した要部斜視図である。 キャリッジの支持構造を後方から図示した要部斜視図である。 キャリッジの背面側に形成された連結部を拡大図示した斜視図である。 キャリッジの背面側に形成された連結部を拡大図示した正面図である。 無端ベルトの一部を拡大して図示した正面図である。 本発明に係る従動プーリの斜視図である。 本発明に係る従動プーリの側面図である。 本発明に係る従動プーリの正面図である。
符号の説明
2 自動給送装置、3 プリンタ本体、4 スキャナ装置、5 給送用トレイ、6 前面パネル、7 液晶モニタ画面、8 操作ボタン、9 メモリカード挿入部、10 キャリッジ、11 無端ベルト、12 キャリッジガイド軸、13 記録ヘッド、19 搬送用ローラ、20 排出用ローラ、22 排出用補助従動ローラ、26 記録ポジション、28 プラテン、30 給送用カセット、50 排出用スタッカ、64 連結部、65 キャリッジ駆動用モータ、70 従動プーリ、71 フランジ、72 歯車、100 インクジェットプリンタ、P 記録紙、X 主走査方向、Y 副走査方向

Claims (6)

  1. はす歯の歯車と該歯車の回転軸方向両側に配設されるフランジとを有するプーリであって、前記フランジは、前記歯車の各歯溝の両端から前記フランジの外側への連通路が構成される形状を有している、ことを特徴としたプーリ。
  2. 請求項1に記載のプーリにおいて、前記歯車の回転軸方向両側が前記フランジに形成された円形嵌合孔に圧入嵌合されて構成されており、前記円形嵌合孔は、前記歯車の外径と略同径で、嵌合状態において前記歯車と前記フランジとが略同心となる形状を有している、ことを特徴としたプーリ。
  3. 請求項1又は2に記載のプーリにおいて、前記フランジは、内側面が前記歯車から外周縁へ向けて外側へ傾斜した形状を有している、ことを特徴としたプーリ。
  4. 駆動プーリと従動プーリとの間にはす歯無端ベルトが掛架された構成を有する回転駆動力伝達装置であって、前記駆動プーリ又は前記従動プーリの少なくともいずれか一方が請求項1〜3のいずれか1項に記載のプーリである、ことを特徴とした回転駆動力伝達装置。
  5. 被記録材の記録面にドットを形成する記録ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する記録装置であって、
    前記キャリッジへ回転駆動力を伝達する手段として請求項4に記載の回転駆動力伝達装置を備えている、ことを特徴とした記録装置。
  6. 被噴射材へ液体を噴射するための液体噴射ヘッドを搭載したキャリッジが所定の往復動方向へ往復動可能に支持された構成を有する液体噴射装置であって、
    前記キャリッジへ回転駆動力を伝達する手段として請求項4に記載の回転駆動力伝達装置を備えている、ことを特徴とした液体噴射装置。
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