JP2008057027A - 耐熱性および耐食性に優れた鋳鉄 - Google Patents

耐熱性および耐食性に優れた鋳鉄 Download PDF

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Abstract

【課題】延性,靭性,切削性を維持しつつ、耐熱性および耐食性に優れた鋳鉄を提供する。
【解決手段】 C:3.2〜3.8質量%,Si:2.0〜2.8質量%,Mn:0.4質量%以下,Al:0.05質量%以下,Cr:0.2質量%以下,Mo:1.0〜3.0質量%,P:0.05質量%以下およびS:0.02質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、鋳鉄の基地に球状黒鉛を分散して析出させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた耐熱性および耐食性を有する鋳鉄に関するものである。なお、ここで耐熱性,耐食性とは、溶融状態の非鉄金属(たとえばAl,Zn)に対する耐熱性,耐食性を指す。
従来から複雑な形状の機械部品を製造する方法として、
(a)機械部品を構成する部材を個別に製作して組立てる方法、
(b)機械部品を一体的に鋳造し、さらに切削加工して所定の寸法精度に仕上げる方法
がある。上記の(a)の方法では、鋼板を加工して製作した各部材の強度は高いが、部材の接合部(たとえば溶接,ボルト等)の強度が低下するのは避けられない。一方、(b)の方法では接合部が存在しないので均質な機械部品を製造できるという利点はある。しかし(b)の方法で鋳鉄を鋳込んで製作した機械部品の特性は、(a)の方法で鋼板を加工して製作した部材に比べて劣るという欠点がある。
そこで(b)の方法で製作した機械部品の特性を改善するために、材料となる鋳鉄の特性を向上する技術が種々検討されている。
たとえば特許文献1には、成分を規定することによって耐溶湯溶損性を高めた鋳鉄が開示されている。この鋳鉄は、溶湯に接触するルツボ等を鋳造にて製作するために用いられる。ルツボは単純な形状であり、厳しい寸法精度は要求されない。したがって鋳込んだ後で切削加工を行なう必要はなく、Crを10〜30質量%含む硬い鋳鉄であっても使用できる。つまり特許文献1に開示された鋳鉄は、脆弱で切削加工が困難であるから、限られた用途にしか使用できない。
また特許文献2には、成分を規定することによって耐食性を高めた合金鋼が開示されている。この合金鋼は、溶融亜鉛めっきを行なうシンクロールやコーティングロールを遠心鋳造にて製作するために用いられる。これらのロールは厳しい寸法精度と優れた表面性状が要求されるので、鋳込んだ後で切削加工を行ない、所定の寸法精度と表面性状を確保しなければならない。ところがCrを20〜35質量%かつNiを10〜20質量%含む合金鋼は、オーステナイト組織を有し極めて軟らかく、切削抵抗が高いので、鋳込んだ後で切削加工するのは困難である。しかも合金鋼は多大な加工コストを費やしてロール等を製作しても、オーステナイト組織を有する故に割れが発生し易いので、ロール等を使用するにあたって十分な耐用性は得られない。
特開2004-124170号公報 特開平7-278754号公報
本発明は、従来の鋳鉄が備えている延性,靭性,切削性を維持しつつ、溶融状態の非鉄金属に対する耐熱性および耐食性に優れた鋳鉄を提供することを目的とする。
発明者は、溶融状態の非鉄金属(たとえばAl,Zn)に対する鋳鉄の耐熱性,耐食性を改善する技術について鋭意検討した。その結果、Moを結晶粒内に固溶させることによって、鋳鉄の耐熱性および耐食性を改善することが可能であることを見出した。ところがMoは鋳鉄の延性や切削性に悪影響を及ぼすばかりでなく、結晶粒界に炭化物を析出し易いので靭性を低下させる原因になる。一方で、鋳鉄の結晶粒を細かくすれば、Moが結晶粒内に固溶し易く、有害な炭化物が析出しないので、靭性の低下を防止できることが判明した。しかも結晶粒を細かくすることによって鋳鉄の延性が向上し、Mo添加に起因する延性低下を防止できることが明らかになった。
そこで発明者は、溶解した鋳鉄を鋳込んで凝固させる過程で結晶粒を細分化する技術を研究した。発明者の研究によれば、鋳鉄の成分を規定するとともに、凝固過程における冷却速度を制御することによって、凝固の過程で黒鉛を基地に細かく分散して析出せることができ、その多数の黒鉛が結晶の生成核となって鋳鉄の結晶粒を細分化できることが明らかになった。しかも、黒鉛が析出することによって切削性を維持することができる。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、C:3.2〜3.8質量%,Si:2.0〜2.8質量%,Mn:0.4質量%以下,Al:0.05質量%以下,Cr:0.2質量%以下,Mo:1.0〜3.0質量%,P:0.05質量%以下およびS:0.02質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、基地に球状黒鉛が分散して析出した組織を有する鋳鉄である。
本発明の基地に球状黒鉛が分散した鋳鉄(いわゆる球状黒鉛鋳鉄)においては、球状黒鉛の粒径が20〜50μmの範囲内であることが好ましい。
また本発明は、C:2.6〜3.2質量%,Si:1.6〜2.2質量%,Mn:0.4質量%以下,Al:0.05質量%以下,Cr:0.6質量%以下,Mo:1.0〜3.0質量%,P:0.05質量%以下およびS:0.05質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、基地に片状のA型黒鉛が大きさ4で析出した組織を有する鋳鉄である。
なお、ここでA型黒鉛とは、片状に析出する黒鉛(平成5年1月18日発行「鋳鉄の生産技術」p21参照)を指し、その大きさはISO945-1975(平成5年1月18日発行「鋳鉄の生産技術」p20参照)に規定される分類に準拠する。
本発明によれば、延性,靭性,切削性を維持しつつ、優れた耐熱性および耐食性を有する鋳鉄を得ることができる。したがって本発明の鋳鉄を鋳込んで製作した機械部品は、形状や用途の制約を受けず、様々な分野で使用できる。
まず本発明の球状黒鉛が分散した鋳鉄の組成について説明する。
C:3.2〜3.8質量%
Cは、鋳鉄の強度を確保するとともに、基地に球状黒鉛を分散して析出させるために必要な元素である。Cが3.2質量%未満では、十分な強度の鋳鉄が得られず、しかも十分な黒鉛化が得られない。一方、3.8質量%を超えると、基地に析出する球状黒鉛が大粒になり、結晶粒を細分化できない。したがって、Cは3.2〜3.8質量%の範囲内とする。
Si:2.0〜2.8質量%
Siは、Mnと同様に、酸素を除去する作用(以下、脱酸作用という)と基地に析出する黒鉛を細粒化する作用(以下、黒鉛細粒化作用という)とを有する元素であり、鋳込みに先立って溶解した鋳鉄の酸化を防止するとともに、鋳込んで凝固させる過程にて細かい球状黒鉛を基地に分散して析出させる効果がある。Siが2.0質量%未満では、有害な炭化物が析出することがあり、十分な黒鉛化が得られない。また、溶解した鋳鉄に種々の酸化物が形成されて鋳鉄の特性に悪影響を及ぼすばかりでなく、基地に析出する球状黒鉛が大粒になり、結晶粒を細分化できない。一方、2.8質量%を超えると、鋳鉄基地の靭性が著しく低下する。したがって、Siは2.0〜2.8質量%の範囲内とする。
Mn:0.4質量%以下
Mnは、著しく偏析し易く、黒鉛化を阻害する元素である。ただし黒鉛化を阻害するMnの影響は、球状黒鉛の粒径が後述する範囲内では、Mn含有量0.4質量%以下で抑えられる。その理由は、Mn含有量が0.4質量%を超えると炭化物の析出を促進するからである。したがって、Mnは0.4質量%以下とする。
Al:0.05質量%以下
Alは、Crと同様に、鋳鉄の原材料となる鋼材スクラップや銑鉄から混入する元素である。Alが0.05質量%を超えると、軟弱なフェライト組織が生成し、溶融状態の非鉄金属(たとえばAl,Zn)に対する鋳鉄の耐熱性,耐食性が低下する。したがって、Alは0.05質量%以下とする。
Cr:0.2質量%以下
Crは、Alと同様に、鋳鉄の原材料となる鋼材スクラップや銑鉄から混入する元素である。Crが0.2質量%を超えると、鋳鉄の強度が上昇して延性が低下し、かつ黒鉛化を阻害して有害な炭化物が析出して切削性が低下する。したがって、Crは可能な限り低減する必要があり、0.2質量%以下とする。
Mo:1.0〜3.0質量%
Moは、鋳鉄の結晶粒内に固溶することによって、溶融状態の非鉄金属に対する鋳鉄の耐熱性,耐食性を高める作用を有する元素である。ところがMoは結晶粒界に析出し易い元素であり、Moが結晶粒界に析出した鋳鉄は炭化物の析出によって靭性が低下する。これに対して結晶粒を細分化すれば、Moは結晶粒内に均一に固溶する。本発明では、鋳鉄の成分を規定することによって黒鉛細粒化作用が発揮され、細かい黒鉛が基地に分散して析出する。その黒鉛が結晶の生成核となり、結晶の細分化が達成される。つまり本発明では、Moが鋳鉄の結晶粒内に固溶し、耐熱性および耐食性が向上する。Moが1.0質量%未満では、耐熱性,耐食性が十分に向上しない。一方、3.0質量%を超えると、Moは炭化物として析出し易くなり、鋳鉄の強度が上昇して延性,切削性が低下する。したがって、Moは1.0〜3.0質量%の範囲内とする。
P:0.05質量%以下
Pは、不可避的に混入する元素である。Pが0.05質量%を超えると、高温で鋳鉄に割れが発生し易くなる。したがって、Pは0.05質量%以下として可能な限り低減する必要がある。
S:0.02質量%以下
Sは、不可避的に混入する元素である。Sが0.02質量%を超えると、黒鉛の球状化を阻害し、鋳鉄の靭性が低下する。したがって、Sは0.02質量%以下として可能な限り低減する必要がある。
残部はFeおよび不可避的不純物である。
次に、本発明のA型黒鉛が分散した鋳鉄の組成について説明する。
C:2.6〜3.2質量%
Cは、鋳鉄の強度を確保するとともに、基地に片状のA型黒鉛を分散して析出させるために必要な元素である。Cが2.6質量%未満では、十分な強度の鋳鉄が得られず、しかも十分な黒鉛化が得られない。一方、3.2質量%を超えると、基地に析出する片状のA型黒鉛が著しく成長した大きさ1となり、材料強度を劣化させる。したがって、Cは2.6〜3.2質量%の範囲内とする。
Si:1.6〜2.2質量%
Siは、Mnと同様に、脱酸作用と黒鉛細粒化作用とを有する元素であり、鋳込みに先立って溶解した鋳鉄の酸化を防止するとともに、鋳込んで凝固させる過程にて片状の細かいA型黒鉛を分布させる効果がある。Siが1.6質量%未満では、有害な炭化物が析出することがあり、十分な黒鉛化が得られない。また、溶解した鋳鉄に種々の酸化物が形成されて鋳鉄の特性に悪影響を及ぼすばかりでなく、基地に析出する黒鉛がA型黒鉛とならない。一方、2.2質量%を超えると、黒鉛が著しく成長した大きさ1および2となり、鋳鉄基地の靭性が著しく低下する。したがって、Siは1.6〜2.2質量%の範囲内とする。
Mn:0.4質量%以下
Mnは、著しく偏析し易く、黒鉛化を阻害する元素である。ただし黒鉛化を阻害するMnの影響は、A型黒鉛の粒径が後述する範囲内では、Mn含有量0.4質量%以下で抑えられる。その理由は、Mn含有量が0.4質量%を超えると共晶セル粒界への炭化物の析出を促進するからである。したがって、Mnは0.4質量%以下とする。
Al:0.05質量%以下
Alは、Crと同様に、鋳鉄の原材料となる鋼材スクラップや銑鉄から混入する元素である。Alが0.05質量%を超えると、軟弱なフェライト組織が生成し、溶融状態の非鉄金属に対する鋳鉄の耐熱性,耐食性が低下する。したがって、Alは0.05質量%以下とする。
Cr:0.6質量%以下
Crは、Alと同様に、鋳鉄の原材料となる鋼材スクラップや銑鉄から混入する元素である。Crが0.6質量%を超えると、鋳鉄の強度が上昇して延性が低下し、かつ有害な炭化物が析出して切削性が低下する。しかしながら片状黒鉛鋳鉄においては、Cr添加による劣化の作用は緩やかであり、耐食性を向上する効果があるので、Crは0.05〜0.6質量%の範囲内が好ましい。
Mo:1.0〜3.0質量%
Moは、鋳鉄の結晶粒内に固溶することによって、溶融状態の非鉄金属に対する鋳鉄の耐熱性,耐食性を高める作用を有する元素である。Moは結晶粒界(共晶セル粒界)に析出し易い元素であり、Moが共晶セル粒界に析出した鋳鉄は炭化物の析出によって靭性が低下する。片状のA型黒鉛を大きさ4にして分布させることによって、このMoの悪影響を排除できる。MoはA型黒鉛の成長を抑制する効果があり、Moの添加によって片状のA型黒鉛が適度に成長した大きさ4の組織を得ることができる。溶融状態の非鉄金属は、片状黒鉛に沿って鋳鉄内部に拡散進入し、材料を劣化するので、黒鉛の粗大化を回避しなければならない。つまり本発明では、Moが鋳鉄の結晶粒内に固溶し、耐熱性および耐食性が向上する。Moが1.0質量%未満では、耐熱性,耐食性が十分に向上しない。一方、3.0質量%を超えると、Moは炭化物として析出し易くなり、鋳鉄の強度が上昇して延性,切削性が低下する。したがって、Moは1.0〜3.0質量%の範囲内とする。
P:0.05質量%以下
Pは、不可避的に混入する元素である。Pが0.05質量%を超えると、高温で鋳鉄に割れが発生し易くなる。したがって、Pは0.05質量%以下として可能な限り低減する必要がある。
S:0.05質量%以下
Sは、不可避的に混入する元素である。Sが0.05質量%を超えると、鋳鉄の靭性が低下する。したがって、Sは0.05質量%以下として可能な限り低減する必要がある。
残部はFeおよび不可避的不純物である。
次に本発明の鋳鉄の組織(すなわち基地に球状黒鉛または片状A型黒鉛が分散して析出した組織)について説明する。
球状黒鉛が分散して析出した鋳鉄(いわゆる球状黒鉛鋳鉄)では、その多数の細かい黒鉛が生成核となるので結晶の細分化が達成される。結晶が細分化されることによって、鋳鉄の延性,靭性が向上するばかりでなく、Moが結晶粒内に固溶して耐熱性,耐食性が向上する。また、その黒鉛は鋳鉄の切削性を高める効果も有する。球状黒鉛鋳鉄では、球状黒鉛の粒径が20〜50μmの範囲内であることが好ましい。球状黒鉛の粒径が20μm未満では、鋳鉄の切削性を向上する効果が得られず、かつ結晶の生成核として機能しないので結晶の細分化が達成されない。一方、50μmを超えると、鋳鉄の靭性が低下し、かつ粗大な結晶が成長する。なお、ここで球状黒鉛の粒径とは、鋳鉄の任意の断面における球状黒鉛の最大径を指す。
片状のA型黒鉛が分散して析出した鋳鉄では、A型黒鉛を大きさ4に成長させる。C型黒鉛はC,Si含有量が大き過ぎるために生じる大粒の黒鉛であり、材料の強度,延性が著しく低下する。一方、B,D,E型黒鉛はC,Si含有量が少な過ぎる場合、あるいは接種が不十分な場合に生じ、Mo炭化物の生成を促進する傾向がある。本発明では、成分を上記のように規定することによってA型黒鉛を析出させる。A型黒鉛の大きさ1〜3は、凝固速度が極めて遅い場合に大きく成長した黒鉛の大きさを指す。この大きさ1〜3の黒鉛では、Moが偏析しMo炭化物を析出し易くなり、材料の強度,延性を低下させる。一方、大きさ5以上は、凝固速度が著しく速い場合に黒鉛が細分化した大きさを指す。この大きさ5以上では、材料の強度,延性が著しく低下する。本発明では、大きさ4のA型黒鉛を析出させる。
以上に説明した鋳鉄を鋳込んで機械部品を製造する際には、
(1)原材料となる鋼材スクラップや銑鉄を溶解する、
(2)溶融状態の鋳鉄の成分を上記した範囲内に調整する、
(3)溶融状態の鋳鉄を所定の形状の鋳型に流し込む、
(4)鋳型内の鋳鉄を凝固させるにあたって950〜1150℃の温度範囲を50〜300℃/分の冷却速度で冷却する
という手順を採用することによって、鋳鉄の基地に細かい球状黒鉛またはA型黒鉛が分散して析出した機械部品が得られる。
このようにして製造した機械部品は、溶融状態の非鉄金属(たとえばAl,Zn)に接触しても、AlやZnの拡散浸透を防止でき、機械部品の表面劣化を防止できる。
鋼材スクラップと銑鉄を溶解炉に装入して溶解し、さらに成分を調整して、表1に示す成分の鋳鉄を溶製した。表1中の発明例1〜3は、本発明の球状黒鉛が分散した鋳鉄の成分を満足する例であり、発明例4,5は、本発明の片状A型黒鉛が分散した鋳鉄の成分を満足する例である。比較例1〜4はMoを含有しない例である。
Figure 2008057027
これらの鋳鉄を鋳型に流し込み、900〜1150℃の温度範囲を110℃/分で冷却して直径30mm,長さ500mmの丸棒とし、さらに切削加工を施して直径25mm,長さ400mmの試験材を作製した。得られた試験材を用いて溶融亜鉛浸漬試験を行ない、各試験材の耐熱性,耐食性を調査した。溶融亜鉛浸漬試験は、純亜鉛を溶解した亜鉛浴を440〜450℃に保持しつつ、試験材を18日間連続して浸漬した後、亜鉛浴から試験材を引き上げて浸漬部位の直径を測定することによって、溶融亜鉛による浸食の進行を評価する試験である。溶融亜鉛浸漬試験の結果を表2に示す。表2に示した試験後の試験材の直径は、亜鉛浴に浸漬した部位の測定値である。
Figure 2008057027
表2から明らかなように溶融亜鉛浸漬試験を終了した後の試験材の直径は、発明例が20.5〜22.6mmであったのに対して、比較例は0.0〜16.0mmであった。したがって、本発明の鋳鉄は耐熱性,耐食性に優れていることが確かめられた。
なお、発明例1〜3の試験材の任意の断面を顕微鏡で観察したところ、いずれも鋳鉄の基地に球状黒鉛が析出しており、球状黒鉛の粒径は20〜50μmの範囲内であった。発明例4,5の試験材の任意の断面を顕微鏡で観察したところ、いずれも鋳鉄の基地にA型黒鉛が析出していた。一方、比較例1は、球状黒鉛の粒径が83μmであり、耐食性が阻害された。。比較例2,4は、片状のA型黒鉛であるが、その大きさは大き過ぎる(大きさ2)ので、耐食性が阻害された。比較例3は、E型黒鉛が析出したので、耐食性が阻害された。

Claims (3)

  1. C:3.2〜3.8質量%、Si:2.0〜2.8質量%、Mn:0.4質量%以下、Al:0.05質量%以下、Cr:0.2質量%以下、Mo:1.0〜3.0質量%、P:0.05質量%以下およびS:0.02質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、基地に球状黒鉛が分散して析出した組織を有することを特徴とする鋳鉄。
  2. 前記球状黒鉛の粒径が20〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の鋳鉄。
  3. C:2.6〜3.2質量%、Si:1.6〜2.2質量%、Mn:0.4質量%以下、Al:0.05質量%以下、Cr:0.60質量%以下、Mo:1.0〜3.0質量%、P:0.05質量%以下およびS:0.05質量%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、基地に片状のA型黒鉛が大きさ4で析出した組織を有することを特徴とする鋳鉄。
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