JP2008055359A - 水道水用3次元フィルタ及びその製作方法 - Google Patents
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Abstract
小型高性能の水道水用のフィルタについて、外圧等に対する保形力が強く、また一部の目詰まりによる流通抵抗の増加が小さいフィルタ構造を工夫したこと。
【解決手段】
小型高性能の水道水用フィルタを前提として、極細の金属細線で編成したメッシュシートを重ねて積層体にし、これをプレス加工して3次元フィルタを構成したこと。
極細の金属細線で編成したメッシュシートを重ねて積層体にし、これをプレス加工して3次元フィルタに成形した多層構造のものであるから、このフィルタは比較的肉厚の3次元的多孔性フィルタであり、外圧に対する保形力が強い。したがって、水圧等の外力によって大きく変形しあるいは潰れることはない。
【選択図】 図1
Description
他方、食器洗い機、給湯器などでは水道管からの給水を電磁弁で制御しており、当該電磁弁に異物が侵入するのを防止するためにその上流側にフィルタが配置されている。当該フィルタにはさまざまの形態のものがあるが、形態の如何に関わらず、一般的には粒径が0.25mm以上の異物を捕捉する性能を有することが求められる。そして、最も一般的な構造のフィルタが特開2005−172070号公報に記載されている。
以上のことから、上記従来のフィルタはメッシュシートを外圧に強い半球状に成形したもの(2次元のもの)であり、上流側に向かって凸の状態で装着されている。
なお、上流側に向かって凹の状態で配置すると捕捉された異物は逃げ場がなくてフィルタ底部に堆積してゆき、だんだんフィルタが目詰まりしてゆく。これに対して、上流側に向かって凸状の場合は、一旦捕捉された異物は水流によってフィルタから離脱するので、これがフィルタ上に堆積することはない。
なお上記の「3次元フイルタ」は濾過部がメッシュシートをプレス成形したもので2次元的な多孔性フィルタに対するものであり、相当の厚さを有し、3次元的な多孔性のフィルタを意味する。
なお、多数のメッシュシートを重ねて積層体にするについては、メッシュシートを重ね合わせて一体化して積層体を構成することもでき、または、積層メッシュシートを丸めて球体にし、これをプレスして所定の円板状の積層体を形成することもできる。また、金属細線をシート状に編んでこれを折り畳んで積層体にすることもでき、あるいは、金属細線を筒状に編んで所定長さに切断し、その両端を内側に織り込み、これを折りたたんで積層体にすることもでき、さらに、上記積層体を丸めて球体にしこれをプレス加工して再び積層体(円板状の積層体)にすることもできる。
積層体を丸めて球状にし、これをプレス加工して円板状の積層体を形成することで、積層体内の金属細線の方向がランダムになるので、3次元メッシュの均一性(メッシュ密度の均一性)が高められる。
さらに、フィルタ自体の剛性が金属メッシュの2次元フィルタに比して剛性が高いので、フィルタの取扱が容易であり、水道配管への組み込み作業も容易である。
実施態様1は、フィルタの形状が円筒状のフィルタ本体部と半球状又は円錐状の頂部とによる細長フィルタである。
メッシュシートを積層してプレス成形したもので厚さのある3次元フィルタであるから外力に対する保形力が強く、したがって、フィルタ本体を円筒状にすることが可能である。フィルタ本体部が円筒状でありこれに半球状又円錐状の頂部を設けた構造であるから、その外表面積が半球状のものに比して著しく大きい。したがって、高性能フィルタであり、フィルタの流通抵抗が小さく、また、供用中の部分的な目詰まりによる流通抵抗の増大はほとんどない。
フィルタ全体を細長い円錐形状にすることも可能であり、このような形状もこの実施態様1に相当するものである。
実施態様2は、円筒状の本体部の開口端の外周に環状フランジを一体成形して設けたことである。
〔作用〕
金属メッシュシートを積層してプレス成形した3次元構造のフィルタであるから肉厚で強度、剛性が高い。したがって、開口端に厚い環状フランジを一体形成することができ、この環状フランジを用いてフィルタを管内に固定することができる。
それゆえ、取り付け用フランジを後付けで設ける必要がなく、その分だけ製作コストが低減される。
この実施例のフィルタ10の全体構造は図5に示すとおりであり、ほぼ円筒状の本体部11とほぼ半球状の頂部12とフランジ13とからなるものであり、本体部の外径Dが9mm、内径dが5mmであり(厚さは2mm)、本体部11の長さはL1は8mm、半球状の頂部12の長さL2は3mmである。そして、このフィルタの頂部12の厚さは本体部の厚さとほぼ等しく2mmである。
この3次元フィルタは円筒状の本体部11とほぼ半球状の頂部12とで濾過するので、図6の従来のフィルタに比して濾過面積が大きい。したがって、部分的に目詰まりしてもその流通抵抗の増加が微小で、濾過性能が長期的に安定する。また、本体部11,頂部12は3次元の多孔構造であるから細い繊維状異物に対する捕捉能力が高い。
なお、この実施例はメッシュシートを積層した積層体72をプレス加工して所定形状のフィルタに成形しているが、上記積層体72を丸めて球体にし、これをプレスして再び所定厚さの積層体にしてから、これを所定形状のフィルタに成形することで、上記実施例に比して3次元フィルタの多孔構造の強度・剛性が高くなる。
図1の使用例はフィルタ10を、水道圧を受けて弾性変形しこの弾性変形量の変動によって流通抵抗が変動する流量調整リング、すなわちガバナリングと組み合わせて配管65に内装する例であり、配管65の段部にゴム円板5を嵌め、多孔性の弾性発泡樹脂製のガバナリング6を嵌め、さらにフィルタ10のフランジ13を嵌合させて、ガバナリング6をゴム円板5とフィルタ10のフランジ13で挟んでいる。
他方、フィルタ10を通過した水流は、ガバナリング6を半径方向内方に流れ、このとき流水はガバナリング6の空隙を通過するのでこの空隙による流通抵抗を受ける。水道水圧が上がるとガバナリング6の圧縮量が増大し、反対に水道水圧が下がるとガバナリング6の圧縮量が減少する。ガバナリング6が強く圧縮されるとそれだけガバナリングの空隙が縮小されて流通抵抗が強くなり、反対に、ガバナリングの圧縮が弱くなるとガバナリングの空隙が拡大されて流通抵抗が弱くなる。
以上のようにして、水道の水圧変動に応答してガバナリング6による流通抵抗が加減され、これによって流量が調整される。
メッシュシートを多数重ねて一体化して積層体を形成し、この積層体をプレス加工して3次元フィルタを作成する方法の一例を図4を参照して簡単に説明する。
図5の3次元フィルタはフランジ13が環状フランジであるから、素材は円板状メッシュシート71を使用する(図4(a))。なお、円板メッシュシート71を用いればプレス成形品のフランジを環状に裁断加工する必要がない。
次いで、他の加工例(成形加工例2)を図4−1を参照して説明する。
この成形加工例2は次の手順で円板状の積層体94を作成するものである。
(a)線径0.1mmのSUS細線を編成して直径20〜25mmの筒状メッシュを形成する(編み目間隔は0.2mm)。
(b)筒状メッシュを約50mmの長さに裁断して筒状メッシュシート91を作成する。
(c)筒状メッシュシート91の両端部を内側に折り込んで二重筒状メッシュシート92を作成する。
(d)二重の筒状メッシュシート92を丸めて直径約20mmのメッシュボール(球状体)93を作成する。
(e)メッシュボール94をプレスして直径約30mm、厚さ3mmの円板状の積層体94を成形する。
以上のようにして成形された積層体94は、図4の例における積層体72と同様にしてプレス加工して、3次元フィルタを成形する。
この製作方法によれば、積層されたメッシュシートをスポット溶接して一体化する必要はなく、編成されたメッシュシートの切断部が円筒体の中に収められるので、3次元フィルタに成形されたとき、上記切断部がフィルタの外表面に現れることはなく、したがって、編成が切断部から解れるおそれは全くないという利点がある。また、3次元の多孔構造は複雑な迷路状になっていて、これにより高い濾過性能が発揮されるという利点がある。
すなわち、線径0.1mmのSUS細線を編成してメッシュシートを作成し、このメッシュシートから幅20〜25mm、長さ20〜25mmの長尺シートを切り出し、この長尺シートを両端から2重に折りたたんで多重積層シートを作成し、この多重積層シートを丸めてメッシュボール93(図4−1のメッシュボール93と同じ)を作成し、さらにこのメッシュボール93をプレスして、円板状の積層体94(図4−1の積層体94と同じ)を作成する。
以上のようにして作成した積層体94を図4の金型に装着して、前記実施例と同様にしてフランジ付きのフィルタ10を成形する。
さらに、内部の多孔構造が複雑な迷路状になるので、濾過性能が高く、かつバラツキが小さい。
プレス金型を使った成形加工の仕方は前記の通りであるが、このプレス金型の構成については成形されたフィルタ10を金型から取り出し易くすることが大切である。
また、一対の雄金型と雌金型による成形部を多数備えた多連の金型を用いることもできる。この多連の金型を用いる場合、広い積層体72(又は94)を用いて一度に多数の3次元フィルタを成形し、これらの3次元フィルタを打ち抜いて分離するという方法を採用することもできる。
また雌金型と雄金型とを上下反対に配置し、雌金型に積層体72(又は94)を装着して、雄金型を昇降させるように構成することもできる。この場合は、雄金型の円錐突出部81aと一緒に成形品が雌金型のキャビティ82aから容易に抜け出るようにすることが必要である。
他の形態のフィルタは図5−1に示すものであり、当該フィルタ20の基本構造は図5のものと違いはないが、しかし、フランジ23の端面に十字状に半径方向溝23gが設けられている点で相違している。このフィルタ20の配管への装着状態は図1のそれと基本的に違いはないが、多孔性のガバナリング6の上流側側面が防水シート(樹脂シート)6aでカバーされている点が異なる。また、この例におけるゴム円板25は中心孔を有するリング状円板である。フランジ23に半径方向溝23gがあるので、水流は当該半径方向溝23gを半径方向外方に流れ、ガバナリング6内を半径方向内方に流れ、さらにゴム円板25の中心孔を流れる。このためガバナリング6の圧縮量の変化に対する流通抵抗の応答性が高く、従って水道水圧の変動に対する流量調整の応答性が高い。
他の形態のフィルタ20は図5−1に示すものである。この使用例は図2の使用例と基本的には違いはないが、ガバナリングの構造が異なり、したがって、フィルタ通過後の水の流れが異なる。すなわち、この使用例のガバナリング30は浅いカップ型の弾性体であり、開口端縁に半径方向の切り欠き30gが多数(4つ以上)設けられており、当該開口端縁が硬いゴム円板25に比較的狭い面積で当接している。水圧が高くなるとガバナリング30の周壁30aの端部が圧縮されて切り欠き30gの流路面積が縮小される。
水流はフランジ23の半径方向溝23gを半径方向外方に流れ、ガバナリング30の切り欠き30gを半径方向内方に流れ、さらにゴム円板25の中心孔を流れる。
したがって、水圧が変動するとガバナリング30の切り欠き30gの流路断面積が変化して流量が調整される。
水圧に応答して弾性変形するものが軟質ゴム製のゴム円板25であり、ガバナリング30はプラスチック材であるから、図2−1の使用例に比してこれらの成形加工が比較的容易であり、また、耐久性が向上するという利点がある。
6,30:ガバナリング
7:フィルタ固定部材
7a,7b:筋状突起
10,20,60:フィルタ
11:本体部
12:頂部
13,23:フランジ
23g:半径方向溝
30g:切り欠き
65:水道配管
71,91:メッシュシート
72,94:積層体
81:雄金型
82:雌金型
Claims (5)
- 水道水用フィルタであって、極細の金属細線を編成したメッシュシートを重ねて多層にして積層体とし、これをプレス加工して筒状に成形した水道水用3次元フィルタ。
- 上記フィルタの形状が円筒状のフィルタ本体部と半球状又は円錐状の頂部とによる細長フィルタである請求項1の水道水用3次元フィルタ。
- 上記の円筒状のフィルタ本体の開口端の外周に環状フランジを一体に成形して設けている水道水用3次元フィルタ。
- 極細の金属細線を編成してメッシュシートを作り、当該メッシュシートを多層にし、プレスして平板状の積層体を作り、当該積層体を成形金型でプレス加工して円筒状の本体部と半球状の頂部とを備えたフィルタを成形する、3次元フィルタの製作方法。
- 金属細線を編成したメッシュシートを多層にして積層メッシュシートとし、これを球状に丸めてメッシュボールを作成し、当該メッシュボールをプレス加工して円板状の積層体を作成し、当該円板状積層体を金型に装着してプレス加工してフィルタの円筒状本体部と頂部を成形する3次元フィルタの製作方法。
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