本発明は、手で把持する把持部材を備え、所定の負荷を手、腕にかけることができるトレーニング器に関して、特にひねる動作を行いながら、筋肉の緊張(伸張)と弛緩を交互に切り替えることができるトレーニング器具に関する。
従来のトレーニング器具としては、特許文献1や2のように、錘または自身の体重などの重量負荷を利用して運動抵抗を訓練者に加えるものが開示されている。これらのトレーニング器具は、全身を鍛えることができるように工夫されたものである。つまり、ねらった筋肉を訓練するために、ねらった筋肉の伸張収縮の際に、通常以上の負荷をかける運動である。また、手や肩の筋肉を鍛える例としては、野球の練習場などでゴムや自転車のタイヤチューブを所定箇所に取り付け、これに手首を巻きつけるなどして引っ張り、手首の筋肉を鍛えたり、肩を振り回すようにして(ピッチャーの投球姿勢に入るような姿勢等にして)、肩の筋肉を鍛えたりしている。
特開2003−220155
特開平7−178197
ところで、従来の筋力アップが「表層筋(アウターマッスル)」を鍛えることに主眼がおかれていたのに対して、近年、体を支える役割を担う(奥の方に位置する)「深層筋(インナーマッスル)」にスポットライトが当てられている。そして、「深層筋」が弱体化、不活性化すると、支える力が衰えて、姿勢が変化し、それに伴って、高齢者等において腰痛、膝痛、五十肩、肩こりといった症状が生じ易いことが分かって来ている。ここで、「深層筋」とは、関節を固定・保護する役割をもち,回旋系の動きに重要な筋肉である。そして、この「深層筋」を活性化させるためには、「弱く、小さく、ゆっくり」動かすことが重要であることが分かって来ている。しかしながら、従来のトレーニング器具は、例えば腕を曲げ伸ばしする動作を行うことによって、表層筋に負荷を加えるため、表層筋を鍛える効果はあるが、腕を曲げ伸ばしする際、手、腕、肩の関節をひねる動作は行えず、深層筋を鍛える効果は乏しいものであった。
また、上記従来のトレーニング器具は、棒状の部材を両手で把持して引き上げたり引き下げたり、左右の手を内側に近づけるようにするなどして、所定の負荷に抗して手や肩の筋肉を鍛えるものである。ゴムや自転車のタイヤチューブによりトレーニングすることも行われているが、このようなトレーニングは、一方的に負荷をかける点では、上記従来公報と同じであり、上記負荷に抗することを止めると、その反動により急に手等が戻されてしまう。すなわち、無理なく自然に手のひねり動作を行うことはできなかった。また、野球の試合が終わった後のような酷使した手首や肩や肘等の筋肉をクールダウンするためには、必ずしも好適なトレーニングとは考えられない。
そこで本発明の目的は、負荷をかけて手、手首、腕や肩の筋肉を鍛えることができるほか、手等に負荷をかけない運動を無理なく行うことができ、しかも、これら筋肉の緊張(伸張)と弛緩の動作を交互に速やかに切り替えることができ、野球等の試合や練習の終わった後などでのクールダウン等や障害者や高齢者の機能回復訓練にも好適なトレーニング器具を提供することを目的とする。
この目的を達成するため、本発明のトレーニング器具は、手で把持する把持部材を備え、所定の負荷を手、腕、肘や肩にかけることができるトレーニング器具において、把持部材は、基台に取り付けられ移動可能なシャフトに回転自在に取り付けられていることを特徴とする。
この発明においては、上記把持部材を手で把持することにより、手を内側にひねったり外側にひねったりの動作を負荷をかけたり負荷をかけずに行うことができる。負荷をかけるか否かは、基台に取り付けられ移動可能なシャフトに抗して手をひねれば負荷をかけることができ、シャフトに抗しないで手をひねれば負荷をかけずに済む。負荷をかけることにより、手、手首、腕、肘や肩の筋肉を鍛えることができ、負荷をかけないことにより、筋肉の緊張(伸張)と弛緩を交互に行うことができる。
本発明としては、前記把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部と、嵌合部の長手方向と直交する上下方向に突出した突起部と、突起部に軸支される一方のネジと、この一方のネジを介して接続し、かつ一方のネジに直交する方向の他方のネジとを備え、シャフトに対して回転自在に取り付けられていることが好ましい。また、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材と下方側の把持部材とは、シャフトに嵌合される一つの嵌合部と連結され、上方側の把持部材と下方側の把持部材とが同時に連結されることが好ましい。さらに、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部と、嵌合部の長手方向と直交する方向に突出した突起部と、突起部に軸支される一方のネジと、この一方のネジを介して接続し、かつ一方のネジに直交する方向の他方のネジとを備え、シャフトに対して回転自在に取り付けられ、下方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部とネジを介して接続し、シャフトに対して回転自在に取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記嵌合部によりシャフトの任意の位置で把持部材を取り付けることができる。上記把持部材は、一方のネジと他方のネジにより、前後方向の回転動作と上下方向の回転動作を行うことができ、手首の全方位的な動きに対応させたトレーニングを行うことができる。また、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材と下方側の把持部材とは、シャフトに嵌合される一つの嵌合部と連結されている構成により、上方側の把持部材と下方側の把持部材とが同時にシャフトに対して連結される。
本発明としては、前記基台は、床側から立設された支柱と、支柱の長手方向と直交する方向の横棒を備え、前記シャフトは、その一方先端側に前記把持部材が取り付けられ、横棒を支点として回転自在に連結されていることが好ましい。また、前記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、前記シャフトは2本一組として取り付けられ、これらの一方先端側を連結する連結部材が取り付けられていることが好ましい。さらに、前記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、前記シャフトは、その一方先端側に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材が取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、前記シャフトは横棒を支点として回転自在に連結されていることから、訓練者が把持部材を把持して、手を内外にひねる運動を行いながら、例えば横棒の位置を支点としてこの位置よりも下方に下げることにより、手、手首、腕や肩に負荷をかける運動を行うことができ、上記下方に下げる方向の運動を解除することにより(上記支点よりも上方に移動させると)、重量負荷をかけないひねり運動を無理なく自然に行うことができる。上記支点を境に負荷をかけたり負荷をかけなかったりでき、筋肉の緊張と弛緩を交互にすばやく切り替えることができる。また、左右のシャフトの一方先端側を連結する連結部材を取り付けたり、又、シャフトの一方先端側に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材を取り付けたりすることで、肩に連結部材をかけて、負荷をかけながらスクワット運動を行ったり、又、足掛止部材に足を引っ掛けて足の回転運動を行う等の種々の運動に利用することができる。
本発明としては、前記シャフトに、錘の位置が移動自在に取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記シャフトの片側に錘を移動自在に取り付けたことにより、上記シャフトの所定の位置に錘を移動させたり、重い錘と軽い錘とを交換したりすることにより、負荷重量を調節することができる。また、シャフトに錘が取り付けられることにより、上記横棒の位置を支点としてこの位置よりも下方に下げることにより、手、手首、腕や肩に錘による負荷をかけることができ、上記支点を境にその位置よりも上方に速やかに切り替えると、錘の重量負荷をかけない、軽い状態での手のひねり運動を無理なく自然に行うことができる。
本発明としては、前記基台に、前記シャフトを所定高さ位置で停止させる停止用部材が取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記停止用部材のサイズまたは上記支柱への取り付け位置を適宜調節することにより、上記シャフトの片側高さ(傾き姿勢)を適宜調節可能である。これにより、訓練者がトレーニングを開始するときの把持部材を把持する姿勢に合わせることができ(傾斜角度の調整を行うことができ)、訓練者は素早く訓練姿勢にはいることができる。
本発明のトレーニング器具は、上記把持部材を手で把持することにより、手を内側にひねったり外側にひねったりの動作を負荷をかけたり負荷をかけずに行うことができる。また、基台のシャフトに錘を移動自在に取り付けたことにより、上記横棒を支点としてシャフトを持ち上げる際に錘に抗して持ち上げたり下げたりすることにより筋肉に負荷を加えることができるのみならず、横棒を支点として持ち上げたり、支点の位置よりも下方に下げたりすることにより、負荷のかからない状態にしたり、その運動をすばやく切り替えることができ、無理なく自然な力で手のひねり動作を十分に行うことができる。したがって、手のひねり運動が回内筋や回外筋を鍛えたり、肩の球状関節に伝達することにより、肩甲骨と上腕骨をつないでいる深層筋に負荷を加え、深層筋を鍛えたりすることができる。また、負荷をかけない手のひねり運動においては、野球選手などの肩を酷使した後のクールダウンや、障害防止及びリハビリ、の高齢者等の五十肩、肩こり等の痛み緩和と予防効果が期待できる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態のトレーニング器具は、図1から図6に示すように、把持部材1A,1Bが取り付けられたシャフト4,4が基台10に取り付けられて構成されている。基台10は、地面や床面に載置される載置フレームf1と、載置フレームf1上に立設される2つの支柱f2,f2と、この二本の支柱f2,f2間に掛け渡される横棒11等により構成されている。支柱f2,f2は、人(訓練者)Tの背丈よりも一回り大きなものであり、その長手方向に沿って高さ調整用の穴aが形成され、この穴aを介して横棒11が支柱f2,f2の間に架け渡されている。また、寝台(ベンチ)Sが基台10に近接配置されている。また、高さ調整用の穴aを利用して、停止用部材7,7が取り付けられている。停止用部材7,7は、傾斜板7aを有して、横棒11の下方側に取り付けられ、シャフト4が一回転してしまう危険な状態にはならないようにしている。
シャフト4,4は、上記横棒11に回転可能に取り付けられ、このシャフト4,4の一方先端側と他方後方側に把持部材1A,1Bが各々取り付けられている。シャフト4と横棒11とは、その直交する交差部分に嵌合部材2A,2Bが溶接され、二本のシャフト4が平行になるように横棒11に取り付けられている。なお、上記二本のシャフト4は平行に配置されているが、上記嵌合部材2A,2Bをネジ止めする等により、その幅間隔が拡開するように上記横棒11に取り付けることも可能である。シャフト4,4は、停止用部材7,7に対して所定角度で接触して、それ以上には傾かないようにして、訓練者Tの安全を考慮するとともに、訓練者Tが素早く訓練姿勢に入れるようにしている。シャフト4は、横棒11に所定間隔をおいて二本配置され、この二本のシャフト4に取り付けられた把持部材1A,1Bに対して左右の手で把持部材1A,1Bを同時に把持したり、二人が並んだ姿勢において、互いの片手のみを使用したりするトレーニングも可能になっている。
把持部材1A,1Bは、図2と図3に示すように、シャフト4,4の上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備える。上方側の把持部材1Aは、手で把持する把持部1hと、シャフト4,4に嵌合される嵌合部1kと、嵌合部1kの長手方向と直交する方向に突出した突起部p1と、突起部p1に軸支される一方のネジn1と、この一方のネジn1を介して接続する連結部p2と、一方のネジn1に直交する方向の他方のネジn2とを備え、ネジn2と上記把持部1hと連結して、把持部1hが回転する。連結部p2は、把持部1hとネジn5により回転可能に連結されている。嵌合部1kには、シャフト4に対して固定する固定用のネジn3が設けられている。したがって、シャフト4に嵌合部1kに嵌合させ、ネジn3で螺合すると、シャフト4の長手方向の任意の位置で取り付けることができる。本実施の形態では、把持部材1A,1Bは、この上下動可能なシャフト4の上側に向けて取り付けられたもの1Aと下側に向けて取り付けられたもの1Bがあり、その取り付け方向の違いに応じた手、手首、腕や肩の運動を行う。すなわち、上方側の把持部材1Aは、二つのネジn1,n2により、横―上―横方向への180度の回転(図2(c)で示す回転方向A)と、前―上―後方向での180度の回転(図2(b)で示す回転方向B)が得られ、さらにネジn5により360度の回転(図2(a)で示す回転方向CとD)が得られる。これにより全方位的な回転が保障される。一方、下方側の把持部材1Bは、一つのネジn7により、横方向の360度の回転(図2(a)中の矢印D)が得られる。本実施の形態では、把持部材1A,1Bを基台10に横棒11に取り付けるものであるが、シャフト4の他方後方側を所定箇所(室内練習場)に取り付けて使用することもできる。つまり、図1に示す状態において、例えば室内や屋外の鉄棒が上記横棒11であるとして把持部材1A,1Bを備えたシャフト4を取り付けることも可能である。
下方側の把持部材1Bは、シャフト4に嵌合される嵌合部1kとネジn7を介して接続し、シャフト4に対して回転自在に取り付けられている。すなわち、上記上方側の把持部材1Aとは異なり、横方向での360度の回転(回転方向D)である。これは、ベンチSで仰向け姿勢になり、訓練者Tが下方側の把持部材1Bを把持したときに、上記上方側の把持部材1Aのように回転すると、下支えする左右の手や腕に無理な負荷がかかるおそれがあることから、その動きを横方向の回転(図2中の矢印D)のみとしたものである。そして、上方側の把持部材1Aと下方側の把持部材1Bとは、各々別部材として構成してシャフト4と連結させることができる(図14)。なお、本実施の形態では、上方側の把持部材と下方側の把持部材とは、一つの嵌合部1kで連結され、シャフト4に上下とも同時に嵌合され得る構成になっている(図3)。
各シャフト4には、錘6が取り付けられている。錘6は、筋肉にかかる負荷重量を調整するものであり、錘6は、L字型の金具6aと、金具6aの先端に取り付けられる嵌合部材6kとから構成され、嵌合部材6kにはシャフト4に対して固定するネジn3が設けられている。したがって、金具6に取り付けられる錘6を交換して、嵌合部材6kをシャフト4の長手方向に移動させることにより、シャフト4の長手方向に移動自在に取り付け可能で、把持部材1A,1Bをひねるときにかかる負荷重量を調整することができる。なお、シャフトにはそれ自体の重みがあるため、必ずしも錘を使用しなければ負荷をかけられないというものではない。
次に、本実施の形態のトレーニング器具を用いた使用例(トレーニング方法)を説明する。
訓練者Tは、自身の身長に合わせて、上記支柱f2の高さ調整用の穴aに対する横棒11の位置を調整したり、シャフト4に対する位置を調整したりしてからトレーニングに入る。図4では、訓練者Tは、把持部材1A,1Bを左右の手で把持し、シャフト4が水平となる位置で保持する。このとき、訓練者Tには、上記横棒11を支点Oとし、シャフト4に錘6が取り付けられた位置を作用点とした場合の力点に相応する負荷が把持部材1A,1Bに加わる。訓練者Tは、把持部材1Aを手で把持した状態で、図5、図6に示すように腕を伸ばしながら手を体の内側や外側にひねるか、または、手を体の内側や外側にひねりながら腕を伸ばすか、いずれかの動作をする。図5に示すように手をひねりながら下方側に力を加えると(負荷に抗する力を加えると)、手首、腕等に緊張を加え鍛えることができるが、負荷に抗する力を解除すると(図4の水平位置Oよりも高くすると)、錘6の重さにより、支点Oを境に負荷がかからなくなり、急に軽くなる。つまり、手に負荷をかけるときには、支点Oよりも下方にすると、反対側の錘6の重量負荷に抗して手をひねることになり、他方、支点Oよりも上方位置にすると、錘6による重量加重が加わらなくなり(錘6による重量負荷がなくなるとともに、逆に錘6により手を上方に押し上げるようになり)、軽い力で手のひねり運動を行うことができる。上記支点Oを境に錘6の重量負荷が加わったり解除されたりし、図5に示す位置(停止用部材7にまで接触させる位置)で最も重い重量負荷がかかることになり、この位置から上方に引き上げながら手をひねると(図6)、重量加重を考慮しながら手のひねりトレーニングを行うことができる。
また、使用例の図示はしていないが、図3に示すトレーニング器具を用いたベントオーバ・ロウのトレーニングの一例としては、訓練者Tは、上半身を折り曲げた姿勢(上半身が床面と平行になるような姿勢)になって、左右の手で把持部材1A,1Aを持ち、手をひねり、手、腕、僧帽筋肉子、広背筋、肉金肘や肩の筋肉に無理なく刺激を与える(鍛える)ことも可能である。
上記動作を強弱、小から大への広範囲に亘って、更に、早さの調節を行い、「弱く、小さく、ゆっくり」行うと、手首、腕や肩の筋肉(肩の球状関節等)に伝達して肩の部分の深層筋を鍛える効果がある。ここで肩甲骨と上腕骨をつないでいる深層筋とは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲骨筋という4つの筋の総称である。このような交互運動は、肩を故障した野球選手には好適な運動である。また、痛みの緩和、肩こりの予防や、野球等の試合や練習の終わった後などのクールダウンにも好適な動作と考えられる。
図7は、一方のシャフト4の把持部材1Bのみを把持して、片側の腕のみを訓練する例を示す。このような状態で、2名の訓練者Tが並んで互いの片方の手によりトレーニングしたり、2名の訓練者Tが対向して、訓練することも可能である。
次に、ベンチSに仰向けでトレーニングする場合の例を示す。図8では、訓練者Tは、寝台Sに仰向けになり、下側の把持部材1B,1Bを左右の手で把持し、腕を鉛直方向に曲げ、上腕を寝台Sよりもやや低い位置から、図9に示すように、上腕を寝台Sよりもやや高い位置に動かすような動作を行う。このとき、訓練者Tには、横棒11を支点Oとし、上記シャフト4に錘6がそれぞれ取り付けられた位置を作用点とした場合の力点に相応する負荷が把持部材1B,1Bにそれぞれ加わる。上述した動作により、主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部等が鍛えられる。
本実施の形態では、シャフト4が停止用部材7に接触してそれ以上は傾斜しないように設定されているので、ベンチプレスのような使用状態でも訓練者Tの顔面や体に錘6が誤って接触することがない。錘6の位置は、訓練者Tの側からは遠い位置に配することが安全上の観点からは好ましい。
上記トレーニングは、ベンチプレスのような加重負荷を利用するものであるが、手を持ち上げ、上記支点Oの位置に近づけると、重量負荷は軽くなる。このため、無理なく自然な力で手のひねり動作運動が可能であり、速さと強さの強弱、及び、可動範囲を自由自在に行う、上記動作を「弱く、小さく、ゆっくり」行うことが保障され、回内筋・回外筋等を鍛えることができる。手のひねり運動は、肩の球状関節に伝達するために、肩の深層筋に負荷を加え、深層筋を鍛えることができ、高齢者等の肩こり・五十肩の緩和や、高齢者等の機能回復訓練にも優れた効果を発揮することが期待できる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、図11に示すように、上記左右のシャフト4,4に連結部材21を取り付け、この連結部材21を利用していわゆるスクワット運動を行うものである。上記連結部材21は、シャフト4とほぼ同じ径の棒状のものであり、この棒状の左右端側が各々L字状屈曲するとともに、左右端からやや内側にシャフト4,4と連結させるための嵌合部21kが各々取り付けられている。また、手で把持するグリップ部21gも形成されている。
したがって、本実施の形態のトレーニング器具によりスクワット運動を行うときは、図11に示すように、上記連結部材21の左右のグリップ部21gを左右の手で把持して上記連結部材21を担ぐようにする。この状態で、膝を屈伸させるスクワット運動を行うと、左右の肩に錘6の負荷がかかった状態でのスクワット運動となり、単にスクワット運動を行う場合とは異なり、負荷によりスクワット運動の効率を高めることができる(大腿筋を鍛える効果が高くなる)。なお、錘6の位置は、図面上ではシャフト4の訓練者T側に取り付けられているが、支柱f2を介してこれとは反対側に錘6を取り付けて行っても良い。更に、初心者及び低筋力者の正しいスクワットフォームの獲得と、調整が可能である。フリーウエイトで行う場合と比べ、格段の安全性が確保される。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、図12に示すように、上記シャフト4に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材31を取り付け、この足掛止部材31にて足の運動(足の回転運動により股関節部分を鍛える運動)を行うものである。上記足掛止部材31は、シャフト4とほぼ同じ径のコの字状のものであり、このコの字状の一方側にシャフト4と連結させるための嵌合部31kが取り付けられている。また、コの字状の中央に手で把持するグリップ部31gも形成され、手で把持して運動することも可能になっている。
したがって、本実施の形態のトレーニング器具により足の運動(足の回転運動により股関節部分を鍛える運動)を行うときは、図13に示すように、訓練者Tは、上記足掛止部材31のグリップ部31gをクッションとして利用して片足を引っ掛けた状態(例えば足の甲の部分がコの字状の足掛止部材31に引っ掛ける)にして足の回転運動を行う。この足掛止部材31に引っ掛けた方の足を他方の足の前や後ろになるようにして、片足で図13中の矢印方向に回転させることにより、足の回転運動により股関節部分を鍛える運動を行うことができる。なお、強い力で足を回転させても、上記シャフト4を所定高さ位置で停止させる停止用部材7が取り付けられているので、シャフト4が横棒11に対して一回転してしまう危険はなく、所定の角度で停止することとなる。
このように、本発明によれば、シャフト4,4に種々の補助具を取り付け、シャフト4,4の横棒11に対する回転運動を利用して、様々な運動を行うことが可能である。以上、本発明は、重量負荷を自在に調整できるため、野球などのスポーツに限定せず、障害者や高齢者の機能回復訓練などにも応用することができる。
本発明の実施の形態のトレーニング器具を示す斜視図である。
上記第1の実施の形態の把持部材とシャフトを示す斜視図である。
上記第1の実施の形態の把持部材とシャフトを示す斜視図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
本発明の第2の実施の形態の斜視図である。
上記第2の実施の形態における使用説明図である。
本発明の第3の実施の形態の斜視図である。
上記第3の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における把持部材の他の例を示す図である。
符号の説明
1A,1B 把持部材、
1A 上側の把持部材、
1B 下側の嵌合部材、
1h 把持部、
1k,21k,31k 嵌合部、
p1,p2 突起部、
n1,n2,n3,n4,n5,n7 ネジ、
10 基台、
11 横棒、
21 連結部材、
31 足掛止部材、
f1 載置フレーム
f2 支柱、
4 シャフト、
6 錘、
7 停止用部材、
O 支点、
S 寝台、
T 訓練者
本発明は、手で把持する把持部材を備え、所定の負荷を手、腕にかけることができるトレーニング器に関して、特にひねる動作を行いながら、筋肉の緊張(伸張)と弛緩を交互に切り替えることができるトレーニング器具に関する。
従来のトレーニング器具としては、特許文献1や2のように、錘または自身の体重などの重量負荷を利用して運動抵抗を訓練者に加えるものが開示されている。これらのトレーニング器具は、全身を鍛えることができるように工夫されたものである。つまり、ねらった筋肉を訓練するために、ねらった筋肉の伸張収縮の際に、通常以上の負荷をかける運動である。また、手や肩の筋肉を鍛える例としては、野球の練習場などでゴムや自転車のタイヤチューブを所定箇所に取り付け、これに手首を巻きつけるなどして引っ張り、手首の筋肉を鍛えたり、肩を振り回すようにして(ピッチャーの投球姿勢に入るような姿勢等にして)、肩の筋肉を鍛えたりしている。
特開2003−220155
特開平7−178197
ところで、従来の筋力アップが「表層筋(アウターマッスル)」を鍛えることに主眼がおかれていたのに対して、近年、体を支える役割を担う(奥の方に位置する)「深層筋(インナーマッスル)」にスポットライトが当てられている。そして、「深層筋」が弱体化、不活性化すると、支える力が衰えて、姿勢が変化し、それに伴って、高齢者等において腰痛、膝痛、五十肩、肩こりといった症状が生じ易いことが分かって来ている。ここで、「深層筋」とは、関節を固定・保護する役割をもち,回旋系の動きに重要な筋肉である。そして、この「深層筋」を活性化させるためには、「弱く、小さく、ゆっくり」動かすことが重要であることが分かって来ている。しかしながら、従来のトレーニング器具は、例えば腕を曲げ伸ばしする動作を行うことによって、表層筋に負荷を加えるため、表層筋を鍛える効果はあるが、腕を曲げ伸ばしする際、手、腕、肩の関節をひねる動作は行えず、深層筋を鍛える効果は乏しいものであった。
また、上記従来のトレーニング器具は、棒状の部材を両手で把持して引き上げたり引き下げたり、左右の手を内側に近づけるようにするなどして、所定の負荷に抗して手や肩の筋肉を鍛えるものである。ゴムや自転車のタイヤチューブによりトレーニングすることも行われているが、このようなトレーニングは、一方的に負荷をかける点では、上記従来公報と同じであり、上記負荷に抗することを止めると、その反動により急に手等が戻されてしまう。すなわち、無理なく自然に手のひねり動作を行うことはできなかった。また、野球の試合が終わった後のような酷使した手首や肩や肘等の筋肉をクールダウンするためには、必ずしも好適なトレーニングとは考えられない。
そこで本発明の目的は、負荷をかけて手、手首、腕や肩の筋肉を鍛えることができるほか、手等に負荷をかけない運動を無理なく行うことができ、しかも、これら筋肉の緊張(伸張)と弛緩の動作を交互に速やかに切り替えることができ、野球等の試合や練習の終わった後などでのクールダウン等や障害者や高齢者の機能回復訓練にも好適なトレーニング器具を提供することを目的とする。
この目的を達成するため、本発明のトレーニング器具は、手で把持する把持部材を備え、所定の負荷を手、腕、肘や肩にかけることができるトレーニング器具において、上記把持部材は、基台に取り付けられ移動可能なシャフトに回転自在に取り付けられるものであり、上記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、上記シャフトは、その一方先端側に上記把持部材が取り付けられ、横棒を支点として回転自在に連結されていることを特徴とする。
この発明においては、上記把持部材を手で把持することにより、手を内側にひねったり外側にひねったりの動作を負荷をかけたり負荷をかけずに行うことができる。負荷をかけるか否かは、基台に取り付けられ移動可能なシャフトに抗して手をひねれば負荷をかけることができ、シャフトに抗しないで手をひねれば負荷をかけずに済む。負荷をかけることにより、手、手首、腕、肘や肩の筋肉を鍛えることができ、負荷をかけないことにより、筋肉の緊張(伸張)と弛緩を交互に行うことができる。また、前記シャフトは横棒を支点として回転自在に連結されていることから、訓練者が把持部材を把持して、手を内外にひねる運動を行いながら、例えば横棒の位置を支点としてこの位置よりも下方に下げることにより、手、手首、腕や肩に負荷をかける運動を行うことができ、上記下方に下げる方向の運動を解除することにより(上記支点よりも上方に移動させると)、重量負荷をかけないひねり運動を無理なく自然に行うことができる。上記支点を境に負荷をかけたり負荷をかけなかったりでき、筋肉の緊張と弛緩を交互にすばやく切り替えることができる。
本発明としては、前記把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部と、嵌合部の長手方向と直交する上下方向に突出した突起部と、突起部に軸支される一方のネジと、この一方のネジを介して接続し、かつ一方のネジに直交する方向の他方のネジとを備え、シャフトに対して回転自在に取り付けられていることが好ましい。また、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材と下方側の把持部材とは、シャフトに嵌合される一つの嵌合部と連結され、上方側の把持部材と下方側の把持部材とが同時に連結されることが好ましい。さらに、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部と、嵌合部の長手方向と直交する方向に突出した突起部と、突起部に軸支される一方のネジと、この一方のネジを介して接続し、かつ一方のネジに直交する方向の他方のネジとを備え、シャフトに対して回転自在に取り付けられ、下方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部とネジを介して接続し、シャフトに対して回転自在に取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記嵌合部によりシャフトの任意の位置で把持部材を取り付けることができる。上記把持部材は、一方のネジと他方のネジにより、前後方向の回転動作と上下方向の回転動作を行うことができ、手首の全方位的な動きに対応させたトレーニングを行うことができる。また、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材と下方側の把持部材とは、シャフトに嵌合される一つの嵌合部と連結されている構成により、上方側の把持部材と下方側の把持部材とが同時にシャフトに対して連結される。
本発明としては、前記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、前記シャフトは2本一組として取り付けられ、これらの一方先端側を連結する連結部材が取り付けられていることが好ましい。さらに、前記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、前記シャフトは、その一方先端側に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材が取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、左右のシャフトの一方先端側を連結する連結部材を取り付けたり、又、シャフトの一方先端側に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材を取り付けたりすることで、肩に連結部材をかけて、負荷をかけながらスクワット運動を行ったり、又、足掛止部材に足を引っ掛けて足の回転運動を行う等の種々の運動に利用することができる。
本発明としては、前記シャフトに、錘の位置が移動自在に取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記シャフトの片側に錘を移動自在に取り付けたことにより、上記シャフトの所定の位置に錘を移動させたり、重い錘と軽い錘とを交換したりすることにより、負荷重量を調節することができる。また、シャフトに錘が取り付けられることにより、上記横棒の位置を支点としてこの位置よりも下方に下げることにより、手、手首、腕や肩に錘による負荷をかけることができ、上記支点を境にその位置よりも上方に速やかに切り替えると、錘の重量負荷をかけない、軽い状態での手のひねり運動を無理なく自然に行うことができる。
本発明としては、前記基台に、前記シャフトを所定高さ位置で停止させる停止用部材が取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記停止用部材のサイズまたは上記支柱への取り付け位置を適宜調節することにより、上記シャフトの片側高さ(傾き姿勢)を適宜調節可能である。これにより、訓練者がトレーニングを開始するときの把持部材を把持する姿勢に合わせることができ(傾斜角度の調整を行うことができ)、訓練者は素早く訓練姿勢にはいることができる。
本発明のトレーニング器具は、上記把持部材を手で把持することにより、手を内側にひねったり外側にひねったりの動作を負荷をかけたり負荷をかけずに行うことができる。また、基台のシャフトに錘を移動自在に取り付けたことにより、上記横棒を支点としてシャフトを持ち上げる際に錘に抗して持ち上げたり下げたりすることにより筋肉に負荷を加えることができるのみならず、横棒を支点として持ち上げたり、支点の位置よりも下方に下げたりすることにより、負荷のかからない状態にしたり、その運動をすばやく切り替えることができ、無理なく自然な力で手のひねり動作を十分に行うことができる。したがって、手のひねり運動が回内筋や回外筋を鍛えたり、肩の球状関節に伝達することにより、肩甲骨と上腕骨をつないでいる深層筋に負荷を加え、深層筋を鍛えたりすることができる。また、負荷をかけない手のひねり運動においては、野球選手などの肩を酷使した後のクールダウンや、障害防止及びリハビリ、の高齢者等の五十肩、肩こり等の痛み緩和と予防効果が期待できる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態のトレーニング器具は、図1から図6に示すように、把持部材1A,1Bが取り付けられたシャフト4,4が基台10に取り付けられて構成されている。基台10は、地面や床面に載置される載置フレームf1と、載置フレームf1上に立設される2つの支柱f2,f2と、この二本の支柱f2,f2間に掛け渡される横棒11等により構成されている。支柱f2,f2は、人(訓練者)Tの背丈よりも一回り大きなものであり、その長手方向に沿って高さ調整用の穴aが形成され、この穴aを介して横棒11が支柱f2,f2の間に架け渡されている。また、寝台(ベンチ)Sが基台10に近接配置されている。また、高さ調整用の穴aを利用して、停止用部材7,7が取り付けられている。停止用部材7,7は、傾斜板7aを有して、横棒11の下方側に取り付けられ、シャフト4が一回転してしまう危険な状態にはならないようにしている。
シャフト4,4は、上記横棒11に回転可能に取り付けられ、このシャフト4,4の一方先端側と他方後方側に把持部材1A,1Bが各々取り付けられている。シャフト4と横棒11とは、その直交する交差部分に嵌合部材2A,2Bが溶接され、二本のシャフト4が平行になるように横棒11に取り付けられている。なお、上記二本のシャフト4は平行に配置されているが、上記嵌合部材2A,2Bをネジ止めする等により、その幅間隔が拡開するように上記横棒11に取り付けることも可能である。シャフト4,4は、停止用部材7,7に対して所定角度で接触して、それ以上には傾かないようにして、訓練者Tの安全を考慮するとともに、訓練者Tが素早く訓練姿勢に入れるようにしている。シャフト4は、横棒11に所定間隔をおいて二本配置され、この二本のシャフト4に取り付けられた把持部材1A,1Bに対して左右の手で把持部材1A,1Bを同時に把持したり、二人が並んだ姿勢において、互いの片手のみを使用したりするトレーニングも可能になっている。
把持部材1A,1Bは、図2と図3に示すように、シャフト4,4の上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備える。上方側の把持部材1Aは、手で把持する把持部1hと、シャフト4,4に嵌合される嵌合部1kと、嵌合部1kの長手方向と直交する方向に突出した突起部p1と、突起部p1に軸支される一方のネジn1と、この一方のネジn1を介して接続する連結部p2と、一方のネジn1に直交する方向の他方のネジn2とを備え、ネジn2と上記把持部1hと連結して、把持部1hが回転する(前―上―後方向での180度の回転(図3と、図2(b)で示す回転方向B))。連結部p2の上方は、把持部1hと連結されるネジn5により回転可能に連結されている(図2(a)で示す回転方向C)。嵌合部1kには、シャフト4に対して固定する固定用のネジn3が設けられている。したがって、シャフト4に嵌合部1kに嵌合させ、ネジn3で螺合すると、シャフト4の長手方向の任意の位置で取り付けることができる。本実施の形態では、把持部材1A,1Bは、この上下動可能なシャフト4の上側に向けて取り付けられたもの1Aと下側に向けて取り付けられたもの1Bがあり、その取り付け方向の違いに応じた手、手首、腕や肩の運動を行う。すなわち、上方側の把持部材1Aは、二つのネジn1,n2により、横―上―横方向への180度の回転(図3と、図2(c)で示す回転方向A)と、前―上―後方向での180度の回転(図2(b)で示す回転方向B)が得られ、さらにネジn5により360度の回転(図2(a)で示す回転方向CとD)が得られる。これにより全方位的な回転が保障される。一方、下方側の把持部材1Bは、一つのネジn7により、横方向の360度の回転(図2(a)中の矢印D)が得られる。本実施の形態では、把持部材1A,1Bを基台10に横棒11に取り付けるものであるが、シャフト4の他方後方側を所定箇所(室内練習場)に取り付けて使用することもできる。つまり、図1に示す状態において、例えば室内や屋外の鉄棒が上記横棒11であるとして把持部材1A,1Bを備えたシャフト4を取り付けることも可能である。
下方側の把持部材1Bは、シャフト4に嵌合される嵌合部1kとネジn7を介して接続し、シャフト4に対して回転自在に取り付けられている。すなわち、上記上方側の把持部材1Aとは異なり、横方向での360度の回転(回転方向D)である。これは、ベンチSで仰向け姿勢になり、訓練者Tが下方側の把持部材1Bを把持したときに、上記上方側の把持部材1Aのように回転すると、下支えする左右の手や腕に無理な負荷がかかるおそれがあることから、その動きを横方向の回転(図2中の矢印D)のみとしたものである。そして、上方側の把持部材1Aと下方側の把持部材1Bとは、各々別部材として構成してシャフト4と連結させることができる(図14)。なお、本実施の形態では、上方側の把持部材1Aと下方側の把持部材1Bとは、一つの嵌合部1kで連結され、シャフト4に上下とも同時に嵌合され得る構成になっている(図3)。
各シャフト4には、錘6が取り付けられている。錘6は、筋肉にかかる負荷重量を調整するものであり、錘6は、L字型の金具6aと、金具6aの先端に取り付けられる嵌合部材6kとから構成され、嵌合部材6kにはシャフト4に対して固定するネジn3が設けられている。したがって、金具6に取り付けられる錘6を交換して、嵌合部材6kをシャフト4の長手方向に移動させることにより、シャフト4の長手方向に移動自在に取り付け可能で、把持部材1A,1Bをひねるときにかかる負荷重量を調整することができる。なお、シャフトにはそれ自体の重みがあるため、必ずしも錘を使用しなければ負荷をかけられないというものではない。
次に、本実施の形態のトレーニング器具を用いた使用例(トレーニング方法)を説明する。
訓練者Tは、自身の身長に合わせて、上記支柱f2の高さ調整用の穴aに対する横棒11の位置を調整したり、シャフト4に対する位置を調整したりしてからトレーニングに入る。図4では、訓練者Tは、把持部材1A,1Bを左右の手で把持し、シャフト4が水平となる位置で保持する。このとき、訓練者Tには、上記横棒11を支点Oとし、シャフト4に錘6が取り付けられた位置を作用点とした場合の力点に相応する負荷が把持部材1A,1Bに加わる。訓練者Tは、把持部材1Aを手で把持した状態で、図5、図6に示すように腕を伸ばしながら手を体の内側や外側にひねるか、または、手を体の内側や外側にひねりながら腕を伸ばすか、いずれかの動作をする。図5に示すように手をひねりながら下方側に力を加えると(負荷に抗する力を加えると)、手首、腕等に緊張を加え鍛えることができるが、負荷に抗する力を解除すると(図4の水平位置Oよりも高くすると)、錘6の重さにより、支点Oを境に負荷がかからなくなり、急に軽くなる。つまり、手に負荷をかけるときには、支点Oよりも下方にすると、反対側の錘6の重量負荷に抗して手をひねることになり、他方、支点Oよりも上方位置にすると、錘6による重量加重が加わらなくなり(錘6による重量負荷がなくなるとともに、逆に錘6により手を上方に押し上げるようになり)、軽い力で手のひねり運動を行うことができる。上記支点Oを境に錘6の重量負荷が加わったり解除されたりし、図5に示す位置(停止用部材7にまで接触させる位置)で最も重い重量負荷がかかることになり、この位置から上方に引き上げながら手をひねると(図6)、重量加重を考慮しながら手のひねりトレーニングを行うことができる。
また、使用例の図示はしていないが、図3に示すトレーニング器具を用いたベントオーバ・ロウのトレーニングの一例としては、訓練者Tは、上半身を折り曲げた姿勢(上半身が床面と平行になるような姿勢)になって、左右の手で把持部材1A,1Aを持ち、手をひねり、手、腕、僧帽筋、広背筋、肉金肘や肩の筋肉に無理なく刺激を与える(鍛える)ことも可能である。
上記動作を強弱、小から大への広範囲に亘って、更に、早さの調節を行い、「弱く、小さく、ゆっくり」行うと、手首、腕や肩の筋肉(肩の球状関節等)に伝達して肩の部分の深層筋を鍛える効果がある。ここで肩甲骨と上腕骨をつないでいる深層筋とは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つの筋の総称である。このような交互運動は、肩を故障した野球選手には好適な運動である。また、痛みの緩和、肩こりの予防や、野球等の試合や練習の終わった後などのクールダウンにも好適な動作と考えられる。
図7は、一方のシャフト4の把持部材1Bのみを把持して、片側の腕のみを訓練する例を示す。このような状態で、2名の訓練者Tが並んで互いの片方の手によりトレーニングしたり、2名の訓練者Tが対向して、訓練することも可能である。
次に、ベンチSに仰向けでトレーニングする場合の例を示す。図8では、訓練者Tは、寝台Sに仰向けになり、下側の把持部材1B,1Bを左右の手で把持し、腕を鉛直方向に曲げ、上腕を寝台Sよりもやや低い位置から、図9に示すように、上腕を寝台Sよりもやや高い位置に動かすような動作を行う。このとき、訓練者Tには、横棒11を支点Oとし、上記シャフト4に錘6がそれぞれ取り付けられた位置を作用点とした場合の力点に相応する負荷が把持部材1B,1Bにそれぞれ加わる。上述した動作により、主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部等が鍛えられる。
本実施の形態では、シャフト4が停止用部材7に接触してそれ以上は傾斜しないように設定されているので、ベンチプレスのような使用状態でも訓練者Tの顔面や体に錘6が誤って接触することがない。錘6の位置は、訓練者Tの側からは遠い位置に配することが安全上の観点からは好ましい。
上記トレーニングは、ベンチプレスのような加重負荷を利用するものであるが、手を持ち上げ、上記支点Oの位置に近づけると、重量負荷は軽くなる。このため、無理なく自然な力で手のひねり動作運動が可能であり、速さと強さの強弱、及び、可動範囲を自由自在に行う、上記動作を「弱く、小さく、ゆっくり」行うことが保障され、回内筋・回外筋等を鍛えることができる。手のひねり運動は、肩の球状関節に伝達するために、肩の深層筋に負荷を加え、深層筋を鍛えることができ、高齢者等の肩こり・五十肩の緩和や、高齢者等の機能回復訓練にも優れた効果を発揮することが期待できる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、図11に示すように、上記左右のシャフト4,4に連結部材21を取り付け、この連結部材21を利用していわゆるスクワット運動を行うものである。上記連結部材21は、シャフト4とほぼ同じ径の棒状のものであり、この棒状の左右端側が各々L字状屈曲するとともに、左右端からやや内側にシャフト4,4と連結させるための嵌合部21kが各々取り付けられている。また、手で把持するグリップ部21gも形成されている。
したがって、本実施の形態のトレーニング器具によりスクワット運動を行うときは、図2に示すように、上記連結部材21の左右のグリップ部21gを左右の手で把持して上記連結部材21を担ぐようにする。この状態で、膝を屈伸させるスクワット運動を行うと、左右の肩に錘6の負荷がかかった状態でのスクワット運動となり、単にスクワット運動を行う場合とは異なり、負荷によりスクワット運動の効率を高めることができる(大腿筋を鍛える効果が高くなる)。なお、錘6の位置は、図面上ではシャフト4の訓練者T側に取り付けられているが、支柱f2を介してこれとは反対側に錘6を取り付けて行っても良い。更に、初心者及び低筋力者の正しいスクワットフォームの獲得と、調整が可能である。フリーウエイトで行う場合と比べ、格段の安全性が確保される。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、図12に示すように、上記シャフト4に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材31を取り付け、この足掛止部材31にて足の運動(足の回転運動により股関節部分を鍛える運動)を行うものである。上記足掛止部材31は、シャフト4とほぼ同じ径のコの字状のものであり、このコの字状の一方側にシャフト4と連結させるための嵌合部31kが取り付けられている。また、コの字状の中央に手で把持するグリップ部31gも形成され、手で把持して運動することも可能になっている。
したがって、本実施の形態のトレーニング器具により足の運動(足の回転運動により股関節部分を鍛える運動)を行うときは、図13に示すように、訓練者Tは、上記足掛止部材31のグリップ部31gをクッションとして利用して片足を引っ掛けた状態(例えば足の甲の部分がコの字状の足掛止部材31に引っ掛ける)にして足の回転運動を行う。この足掛止部材31に引っ掛けた方の足を他方の足の前や後ろになるようにして、片足で図13中の矢印方向に回転させることにより、足の回転運動により股関節部分を鍛える運動を行うことができる。なお、強い力で足を回転させても、上記シャフト4を所定高さ位置で停止させる停止用部材7が取り付けられているので、シャフト4が横棒11に対して一回転してしまう危険はなく、所定の角度で停止することとなる。
このように、本発明によれば、シャフト4,4に種々の補助具を取り付け、シャフト4,4の横棒11に対する回転運動を利用して、様々な運動を行うことが可能である。以上、本発明は、重量負荷を自在に調整できるため、野球などのスポーツに限定せず、障害者や高齢者の機能回復訓練などにも応用することができる。
本発明の実施の形態のトレーニング器具を示す斜視図である。
上記第1の実施の形態の把持部材とシャフトを示す斜視図である。
上記第1の実施の形態の把持部材とシャフトを示す斜視図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
本発明の第2の実施の形態の斜視図である。
上記第2の実施の形態における使用説明図である。
本発明の第3の実施の形態の斜視図である。
上記第3の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における把持部材の他の例を示す図である。
符号の説明
1A,1B 把持部材、
1A 上側の把持部材、
1B 下側の嵌合部材、
1h 把持部、
1k,21k,31k 嵌合部、
p1,p2 突起部、
n1,n2,n3,n4,n5,n7 ネジ、
10 基台、
11 横棒、
21 連結部材、
31 足掛止部材、
f1 載置フレーム
f2 支柱、
4 シャフト、
6 錘、
7 停止用部材、
O 支点、
S 寝台、
T 訓練者
本発明は、手で把持する把持部材を備え、所定の負荷を手、腕にかけることができるトレーニング器に関して、特にひねる動作を行いながら、筋肉の緊張(伸張)と弛緩を交互に切り替えることができるトレーニング器具に関する。
従来のトレーニング器具としては、特許文献1や2のように、錘または自身の体重などの重量負荷を利用して運動抵抗を訓練者に加えるものが開示されている。これらのトレーニング器具は、全身を鍛えることができるように工夫されたものである。つまり、ねらった筋肉を訓練するために、ねらった筋肉の伸張収縮の際に、通常以上の負荷をかける運動である。また、手や肩の筋肉を鍛える例としては、野球の練習場などでゴムや自転車のタイヤチューブを所定箇所に取り付け、これに手首を巻きつけるなどして引っ張り、手首の筋肉を鍛えたり、肩を振り回すようにして(ピッチャーの投球姿勢に入るような姿勢等にして)、肩の筋肉を鍛えたりしている。
特開2003−220155
特開平7−178197
ところで、従来の筋力アップが「表層筋(アウターマッスル)」を鍛えることに主眼がおかれていたのに対して、近年、体を支える役割を担う(奥の方に位置する)「深層筋(インナーマッスル)」にスポットライトが当てられている。そして、「深層筋」が弱体化、不活性化すると、支える力が衰えて、姿勢が変化し、それに伴って、高齢者等において腰痛、膝痛、五十肩、肩こりといった症状が生じ易いことが分かって来ている。ここで、「深層筋」とは、関節を固定・保護する役割をもち,回旋系の動きに重要な筋肉である。そして、この「深層筋」を活性化させるためには、「弱く、小さく、ゆっくり」動かすことが重要であることが分かって来ている。しかしながら、従来のトレーニング器具は、例えば腕を曲げ伸ばしする動作を行うことによって、表層筋に負荷を加えるため、表層筋を鍛える効果はあるが、腕を曲げ伸ばしする際、手、腕、肩の関節をひねる動作は行えず、深層筋を鍛える効果は乏しいものであった。
また、上記従来のトレーニング器具は、棒状の部材を両手で把持して引き上げたり引き下げたり、左右の手を内側に近づけるようにするなどして、所定の負荷に抗して手や肩の筋肉を鍛えるものである。ゴムや自転車のタイヤチューブによりトレーニングすることも行われているが、このようなトレーニングは、一方的に負荷をかける点では、上記従来公報と同じであり、上記負荷に抗することを止めると、その反動により急に手等が戻されてしまう。すなわち、無理なく自然に手のひねり動作を行うことはできなかった。また、野球の試合が終わった後のような酷使した手首や肩や肘等の筋肉をクールダウンするためには、必ずしも好適なトレーニングとは考えられない。
そこで本発明の目的は、負荷をかけて手、手首、腕や肩の筋肉を鍛えることができるほか、手等に負荷をかけない運動を無理なく行うことができ、しかも、これら筋肉の緊張(伸張)と弛緩の動作を交互に速やかに切り替えることができ、野球等の試合や練習の終わった後などでのクールダウン等や障害者や高齢者の機能回復訓練にも好適なトレーニング器具を提供することを目的とする。
この目的を達成するため、本発明の請求項1記載のトレーニング器具は、手で把持する把持部材を備え、所定の負荷を手、腕、肘や肩にかけることができるトレーニング器具において、上記把持部材は、基台に取り付けられ移動可能なシャフトに回転自在に取り付けられるものであり、上記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、上記シャフトは、その一方先端側に上記把持部材が取り付けられ、横棒を支点として回転自在に連結されているレーニング器具であって、上記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられ、この上方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部と、嵌合部の長手方向と直交する方向に突出した突起部と、突起部に軸支される一方のネジと、この一方のネジを介して接続し、かつ一方のネジに直交する方向の他方のネジとを備え、シャフトに対して回転自在に取り付けられて、上記上方側の把持部材は、横棒の位置を支点として、この位置よりも下方と上方に切り替えられ、これにより負荷を加えたり負荷のかからない状態にしながら回転させることを特徴とする。
また、本発明の請求項2記載のトレーニング器具は、手で把持する把持部材を備え、所定の負荷を手、腕、肘や肩にかけることができるトレーニング器具において、上記把持部材は、基台に取り付けられ移動可能なシャフトに回転自在に取り付けられるものであり、上記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、上記シャフトは、その一方先端側に上記把持部材が取り付けられ、横棒を支点として回転自在に連結されているレーニング器具であって、上記把持部材は、シャフトの下方側に取り付けられ、この下方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部とネジを介して接続し、シャフトに対して回転自在に取り付けられて、上記下方側の把持部材は、横棒の位置を支点として、この位置よりも下方と上方に切り替えられ、これにより負荷を加えたり負荷のかからない状態にしながら回転させることを特徴とする。
これらの発明においては、上記把持部材を手で把持することにより、手を内側にひねったり外側にひねったりの動作を負荷をかけたり負荷をかけずに行うことができる。負荷をかけるか否かは、基台に取り付けられ移動可能なシャフトに抗して手をひねれば負荷をかけることができ、シャフトに抗しないで手をひねれば負荷をかけずに済む。負荷をかけることにより、手、手首、腕、肘や肩の筋肉を鍛えることができ、負荷をかけないことにより、筋肉の緊張(伸張)と弛緩を交互に行うことができる。また、前記シャフトは横棒を支点として回転自在に連結されていることから、訓練者が把持部材を把持して、手を内外にひねる運動を行いながら、例えば横棒の位置を支点としてこの位置よりも下方に下げることにより、手、手首、腕や肩に負荷をかける運動を行うことができ、上記下方に下げる方向の運動を解除することにより(上記支点よりも上方に移動させると)、重量負荷をかけないひねり運動を無理なく自然に行うことができる。上記支点を境に負荷をかけたり負荷をかけなかったりでき、筋肉の緊張と弛緩を交互にすばやく切り替えることができる。
本発明としては、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部と、嵌合部の長手方向と直交する方向に突出した突起部と、突起部に軸支される一方のネジと、この一方のネジを介して接続し、かつ一方のネジに直交する方向の他方のネジとを備え、シャフトに対して回転自在に取り付けられ、下方側の把持部材は、シャフトに嵌合される嵌合部とネジを介して接続し、シャフトに対して回転自在に取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記嵌合部によりシャフトの任意の位置で把持部材を取り付けることができる。上記上方側の把持部材は、一方のネジと他方のネジにより、前後方向の回転動作と上下方向の回転動作を行うことができ、手首の全方位的な動きに対応させたトレーニングを行うことができる。また、前記把持部材は、シャフトの上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備え、上方側の把持部材と下方側の把持部材とは、シャフトに嵌合される一つの嵌合部と連結されている構成により、上方側の把持部材と下方側の把持部材とが同時にシャフトに対して連結される。
本発明としては、前記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、前記シャフトは2本一組として取り付けられ、これらの一方先端側を連結する連結部材が取り付けられていることが好ましい。さらに、前記基台は、床側から立設された支柱と、支柱と支柱の間に架け渡される横棒を備え、前記シャフトは、その一方先端側に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材が取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、左右のシャフトの一方先端側を連結する連結部材を取り付けたり、又、シャフトの一方先端側に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材を取り付けたりすることで、肩に連結部材をかけて、負荷をかけながらスクワット運動を行ったり、又、足掛止部材に足を引っ掛けて足の回転運動を行う等の種々の運動に利用することができる。
本発明としては、前記シャフトに、錘の位置が移動自在に取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記シャフトの片側に錘を移動自在に取り付けたことにより、上記シャフトの所定の位置に錘を移動させたり、重い錘と軽い錘とを交換したりすることにより、負荷重量を調節することができる。また、シャフトに錘が取り付けられることにより、上記横棒の位置を支点としてこの位置よりも下方に下げることにより、手、手首、腕や肩に錘による負荷をかけることができ、上記支点を境にその位置よりも上方に速やかに切り替えると、錘の重量負荷をかけない、軽い状態での手のひねり運動を無理なく自然に行うことができる。
本発明としては、前記基台に、前記シャフトを所定高さ位置で停止させる停止用部材が取り付けられていることが好ましい。
この発明においては、上記停止用部材のサイズまたは上記支柱への取り付け位置を適宜調節することにより、上記シャフトの片側高さ(傾き姿勢)を適宜調節可能である。これにより、訓練者がトレーニングを開始するときの把持部材を把持する姿勢に合わせることができ(傾斜角度の調整を行うことができ)、訓練者は素早く訓練姿勢にはいることができる。
本発明のトレーニング器具は、上記把持部材を手で把持することにより、手を内側にひねったり外側にひねったりの動作を負荷をかけたり負荷をかけずに行うことができる。また、基台のシャフトに錘を移動自在に取り付けたことにより、上記横棒を支点としてシャフトを持ち上げる際に錘に抗して持ち上げたり下げたりすることにより筋肉に負荷を加えることができるのみならず、横棒を支点として持ち上げたり、支点の位置よりも下方に下げたりすることにより、負荷のかからない状態にしたり、その運動をすばやく切り替えることができ、無理なく自然な力で手のひねり動作を十分に行うことができる。したがって、手のひねり運動が回内筋や回外筋を鍛えたり、肩の球状関節に伝達することにより、肩甲骨と上腕骨をつないでいる深層筋に負荷を加え、深層筋を鍛えたりすることができる。また、負荷をかけない手のひねり運動においては、野球選手などの肩を酷使した後のクールダウンや、障害防止及びリハビリ、の高齢者等の五十肩、肩こり等の痛み緩和と予防効果が期待できる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態のトレーニング器具は、図1から図6に示すように、把持部材1A,1Bが取り付けられたシャフト4,4が基台10に取り付けられて構成されている。基台10は、地面や床面に載置される載置フレームf1と、載置フレームf1上に立設される2つの支柱f2,f2と、この二本の支柱f2,f2間に掛け渡される横棒11等により構成されている。支柱f2,f2は、人(訓練者)Tの背丈よりも一回り大きなものであり、その長手方向に沿って高さ調整用の穴aが形成され、この穴aを介して横棒11が支柱f2,f2の間に架け渡されている。また、寝台(ベンチ)Sが基台10に近接配置されている。また、高さ調整用の穴aを利用して、停止用部材7,7が取り付けられている。停止用部材7,7は、傾斜板7aを有して、横棒11の下方側に取り付けられ、シャフト4が一回転してしまう危険な状態にはならないようにしている。
シャフト4,4は、上記横棒11に回転可能に取り付けられ、このシャフト4,4の一方先端側と他方後方側に把持部材1A,1Bが各々取り付けられている。シャフト4と横棒11とは、その直交する交差部分に嵌合部材2A,2Bが溶接され、二本のシャフト4が平行になるように横棒11に取り付けられている。なお、上記二本のシャフト4は平行に配置されているが、上記嵌合部材2A,2Bをネジ止めする等により、その幅間隔が拡開するように上記横棒11に取り付けることも可能である。シャフト4,4は、停止用部材7,7に対して所定角度で接触して、それ以上には傾かないようにして、訓練者Tの安全を考慮するとともに、訓練者Tが素早く訓練姿勢に入れるようにしている。シャフト4は、横棒11に所定間隔をおいて二本配置され、この二本のシャフト4に取り付けられた把持部材1A,1Bに対して左右の手で把持部材1A,1Bを同時に把持したり、二人が並んだ姿勢において、互いの片手のみを使用したりするトレーニングも可能になっている。
把持部材1A,1Bは、図2と図3に示すように、シャフト4,4の上方側に取り付けられるものと下方側に取り付けられるものとの2組を備える。上方側の把持部材1Aは、手で把持する把持部1hと、シャフト4,4に嵌合される嵌合部1kと、嵌合部1kの長手方向と直交する方向に突出した突起部p1と、突起部p1に軸支される一方のネジn1と、この一方のネジn1を介して接続する連結部p2と、一方のネジn1に直交する方向の他方のネジn2とを備え、ネジn2と上記把持部1hと連結して、把持部1hが回転する(前―上―後方向での180度の回転(図3と、図2(b)で示す回転方向B))。連結部p2の上方は、把持部1hと連結されるネジn5により回転可能に連結されている(図2(a)で示す回転方向C)。嵌合部1kには、シャフト4に対して固定する固定用のネジn3が設けられている。したがって、シャフト4に嵌合部1kに嵌合させ、ネジn3で螺合すると、シャフト4の長手方向の任意の位置で取り付けることができる。本実施の形態では、把持部材1A,1Bは、この上下動可能なシャフト4の上側に向けて取り付けられたもの1Aと下側に向けて取り付けられたもの1Bがあり、その取り付け方向の違いに応じた手、手首、腕や肩の運動を行う。すなわち、上方側の把持部材1Aは、二つのネジn1,n2により、横―上―横方向への180度の回転(図3と、図2(c)で示す回転方向A)と、前―上―後方向での180度の回転(図2(b)で示す回転方向B)が得られ、さらにネジn5により360度の回転(図2(a)で示す回転方向CとD)が得られる。これにより全方位的な回転が保障される。一方、下方側の把持部材1Bは、一つのネジn7により、横方向の360度の回転(図2(a)中の矢印D)が得られる。本実施の形態では、把持部材1A,1Bを基台10に横棒11に取り付けるものであるが、シャフト4の他方後方側を所定箇所(室内練習場)に取り付けて使用することもできる。つまり、図1に示す状態において、例えば室内や屋外の鉄棒が上記横棒11であるとして把持部材1A,1Bを備えたシャフト4を取り付けることも可能である。
下方側の把持部材1Bは、シャフト4に嵌合される嵌合部1kとネジn7を介して接続し、シャフト4に対して回転自在に取り付けられている。すなわち、上記上方側の把持部材1Aとは異なり、横方向での360度の回転(回転方向D)である。これは、ベンチSで仰向け姿勢になり、訓練者Tが下方側の把持部材1Bを把持したときに、上記上方側の把持部材1Aのように回転すると、下支えする左右の手や腕に無理な負荷がかかるおそれがあることから、その動きを横方向の回転(図2中の矢印D)のみとしたものである。そして、上方側の把持部材1Aと下方側の把持部材1Bとは、各々別部材として構成してシャフト4と連結させることができる(図14)。なお、本実施の形態では、上方側の把持部材1Aと下方側の把持部材1Bとは、一つの嵌合部1kで連結され、シャフト4に上下とも同時に嵌合され得る構成になっている(図3)。
各シャフト4には、錘6が取り付けられている。錘6は、筋肉にかかる負荷重量を調整するものであり、錘6は、L字型の金具6aと、金具6aの先端に取り付けられる嵌合部材6kとから構成され、嵌合部材6kにはシャフト4に対して固定するネジn3が設けられている。したがって、金具6に取り付けられる錘6を交換して、嵌合部材6kをシャフト4の長手方向に移動させることにより、シャフト4の長手方向に移動自在に取り付け可能で、把持部材1A,1Bをひねるときにかかる負荷重量を調整することができる。なお、シャフトにはそれ自体の重みがあるため、必ずしも錘を使用しなければ負荷をかけられないというものではない。
次に、本実施の形態のトレーニング器具を用いた使用例(トレーニング方法)を説明する。
訓練者Tは、自身の身長に合わせて、上記支柱f2の高さ調整用の穴aに対する横棒11の位置を調整したり、シャフト4に対する位置を調整したりしてからトレーニングに入る。図4では、訓練者Tは、把持部材1A,1Bを左右の手で把持し、シャフト4が水平となる位置で保持する。このとき、訓練者Tには、上記横棒11を支点Oとし、シャフト4に錘6が取り付けられた位置を作用点とした場合の力点に相応する負荷が把持部材1A,1Bに加わる。訓練者Tは、把持部材1Aを手で把持した状態で、図5、図6に示すように腕を伸ばしながら手を体の内側や外側にひねるか、または、手を体の内側や外側にひねりながら腕を伸ばすか、いずれかの動作をする。図5に示すように手をひねりながら下方側に力を加えると(負荷に抗する力を加えると)、手首、腕等に緊張を加え鍛えることができるが、負荷に抗する力を解除すると(図4の水平位置Oよりも高くすると)、錘6の重さにより、支点Oを境に負荷がかからなくなり、急に軽くなる。つまり、手に負荷をかけるときには、支点Oよりも下方にすると、反対側の錘6の重量負荷に抗して手をひねることになり、他方、支点Oよりも上方位置にすると、錘6による重量加重が加わらなくなり(錘6による重量負荷がなくなるとともに、逆に錘6により手を上方に押し上げるようになり)、軽い力で手のひねり運動を行うことができる。上記支点Oを境に錘6の重量負荷が加わったり解除されたりし、図5に示す位置(停止用部材7にまで接触させる位置)で最も重い重量負荷がかかることになり、この位置から上方に引き上げながら手をひねると(図6)、重量加重を考慮しながら手のひねりトレーニングを行うことができる。
また、使用例の図示はしていないが、図3に示すトレーニング器具を用いたベントオーバ・ロウのトレーニングの一例としては、訓練者Tは、上半身を折り曲げた姿勢(上半身が床面と平行になるような姿勢)になって、左右の手で把持部材1A,1Aを持ち、手をひねり、手、腕、僧帽筋、広背筋、肉金肘や肩の筋肉に無理なく刺激を与える(鍛える)ことも可能である。
上記動作を強弱、小から大への広範囲に亘って、更に、早さの調節を行い、「弱く、小さく、ゆっくり」行うと、手首、腕や肩の筋肉(肩の球状関節等)に伝達して肩の部分の深層筋を鍛える効果がある。ここで肩甲骨と上腕骨をつないでいる深層筋とは、棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つの筋の総称である。このような交互運動は、肩を故障した野球選手には好適な運動である。また、痛みの緩和、肩こりの予防や、野球等の試合や練習の終わった後などのクールダウンにも好適な動作と考えられる。
図7は、一方のシャフト4の把持部材1Bのみを把持して、片側の腕のみを訓練する例を示す。このような状態で、2名の訓練者Tが並んで互いの片方の手によりトレーニングしたり、2名の訓練者Tが対向して、訓練することも可能である。
次に、ベンチSに仰向けでトレーニングする場合の例を示す。図8では、訓練者Tは、寝台Sに仰向けになり、下側の把持部材1B,1Bを左右の手で把持し、腕を鉛直方向に曲げ、上腕を寝台Sよりもやや低い位置から、図9に示すように、上腕を寝台Sよりもやや高い位置に動かすような動作を行う。このとき、訓練者Tには、横棒11を支点Oとし、上記シャフト4に錘6がそれぞれ取り付けられた位置を作用点とした場合の力点に相応する負荷が把持部材1B,1Bにそれぞれ加わる。上述した動作により、主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋前部等が鍛えられる。
本実施の形態では、シャフト4が停止用部材7に接触してそれ以上は傾斜しないように設定されているので、ベンチプレスのような使用状態でも訓練者Tの顔面や体に錘6が誤って接触することがない。錘6の位置は、訓練者Tの側からは遠い位置に配することが安全上の観点からは好ましい。
上記トレーニングは、ベンチプレスのような加重負荷を利用するものであるが、手を持ち上げ、上記支点Oの位置に近づけると、重量負荷は軽くなる。このため、無理なく自然な力で手のひねり動作運動が可能であり、速さと強さの強弱、及び、可動範囲を自由自在に行う、上記動作を「弱く、小さく、ゆっくり」行うことが保障され、回内筋・回外筋等を鍛えることができる。手のひねり運動は、肩の球状関節に伝達するために、肩の深層筋に負荷を加え、深層筋を鍛えることができ、高齢者等の肩こり・五十肩の緩和や、高齢者等の機能回復訓練にも優れた効果を発揮することが期待できる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、図11に示すように、上記左右のシャフト4,4に連結部材21を取り付け、この連結部材21を利用していわゆるスクワット運動を行うものである。上記連結部材21は、シャフト4とほぼ同じ径の棒状のものであり、この棒状の左右端側が各々L字状屈曲するとともに、左右端からやや内側にシャフト4,4と連結させるための嵌合部21kが各々取り付けられている。また、手で把持するグリップ部21gも形成されている。
したがって、本実施の形態のトレーニング器具によりスクワット運動を行うときは、図2に示すように、上記連結部材21の左右のグリップ部21gを左右の手で把持して上記連結部材21を担ぐようにする。この状態で、膝を屈伸させるスクワット運動を行うと、左右の肩に錘6の負荷がかかった状態でのスクワット運動となり、単にスクワット運動を行う場合とは異なり、負荷によりスクワット運動の効率を高めることができる(大腿筋を鍛える効果が高くなる)。なお、錘6の位置は、図面上ではシャフト4の訓練者T側に取り付けられているが、支柱f2を介してこれとは反対側に錘6を取り付けて行っても良い。更に、初心者及び低筋力者の正しいスクワットフォームの獲得と、調整が可能である。フリーウエイトで行う場合と比べ、格段の安全性が確保される。
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、図12に示すように、上記シャフト4に足を引っ掛けて動作させるための足掛止部材31を取り付け、この足掛止部材31にて足の運動(足の回転運動により股関節部分を鍛える運動)を行うものである。上記足掛止部材31は、シャフト4とほぼ同じ径のコの字状のものであり、このコの字状の一方側にシャフト4と連結させるための嵌合部31kが取り付けられている。また、コの字状の中央に手で把持するグリップ部31gも形成され、手で把持して運動することも可能になっている。
したがって、本実施の形態のトレーニング器具により足の運動(足の回転運動により股関節部分を鍛える運動)を行うときは、図13に示すように、訓練者Tは、上記足掛止部材31のグリップ部31gをクッションとして利用して片足を引っ掛けた状態(例えば足の甲の部分がコの字状の足掛止部材31に引っ掛ける)にして足の回転運動を行う。この足掛止部材31に引っ掛けた方の足を他方の足の前や後ろになるようにして、片足で図13中の矢印方向に回転させることにより、足の回転運動により股関節部分を鍛える運動を行うことができる。なお、強い力で足を回転させても、上記シャフト4を所定高さ位置で停止させる停止用部材7が取り付けられているので、シャフト4が横棒11に対して一回転してしまう危険はなく、所定の角度で停止することとなる。
このように、本発明によれば、シャフト4,4に種々の補助具を取り付け、シャフト4,4の横棒11に対する回転運動を利用して、様々な運動を行うことが可能である。以上、本発明は、重量負荷を自在に調整できるため、野球などのスポーツに限定せず、障害者や高齢者の機能回復訓練などにも応用することができる。
本発明の実施の形態のトレーニング器具を示す斜視図である。
上記第1の実施の形態の把持部材とシャフトを示す斜視図である。
上記第1の実施の形態の把持部材とシャフトを示す斜視図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における使用説明図である。
本発明の第2の実施の形態の斜視図である。
上記第2の実施の形態における使用説明図である。
本発明の第3の実施の形態の斜視図である。
上記第3の実施の形態における使用説明図である。
上記第1の実施の形態における把持部材の他の例を示す図である。
符号の説明
1A,1B 把持部材、
1A 上側の把持部材、
1B 下側の嵌合部材、
1h 把持部、
1k,21k,31k 嵌合部、
p1,p2 突起部、
n1,n2,n3,n4,n5,n7 ネジ、
10 基台、
11 横棒、
21 連結部材、
31 足掛止部材、
f1 載置フレーム
f2 支柱、
4 シャフト、
6 錘、
7 停止用部材、
O 支点、
S 寝台、
T 訓練者