JP2008052411A - 通過検知システム、通過検知システム用制御装置およびデータ書き換え装置 - Google Patents

通過検知システム、通過検知システム用制御装置およびデータ書き換え装置 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の非接触式タグを利用して対象物の管理を行う場合、対象物の検知を行う検知装置の設置に要するコストやスペースを可及的に抑制することが可能な対象物の検知システム、特に所定の場所を対象物が通過するのを検知する。
【解決手段】検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する対象物の、所定場所の通過を検知する通過検知システムであって、複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、対象物に対して検知用送信を行う送信手段3、11と、送信手段による検知用送信に応じて、対象物が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該対象物から受信する受信手段3、11と、受信手段による受信結果に基づいて、対象物の所定場所の通過を検知する検知手段10と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、RFIDタグ等の非接触式のタグを利用した対象物の通過を検知するためのシステムおよび該システムに組み込まれる制御装置に関する。
RFIDタグや共振タグ等を利用した商品の在庫管理や商品盗難防止のためのシステムが広く構築されている。例えば、特許文献1においては、図書館における物品の追跡をRFIDタグを利用して行うことで、自動的に且つ確実に物品の貸し出し状態を把握することが可能となる。更には、物品の返却時にもこのRFIDタグを利用することで、物品の棚への並べ直しの効率化を図ることができる。
また、特許文献2は、共振タグを商品に付することで、その商品が適切に購入された状態で、店外に持ち出されているか否かを判断する技術が公開されている。更に、特許文献3には、無線タグを利用した入出管理用のゲートに関する技術が公開されている。このように、RFIDタグ等の非接触式のタグは、商品管理やセキュリティ確保等の目的に広く利用されている。
特表2001−511427号公報 特開2004−178544号公報 特開2006−79270号公報 特開平5−86770号公報 特開平6−20166号公報 特開2005−284670号公報 特表2001−511574号公報 特許第3516019号公報
上述したように、RFIDタグに代表される非接触式のタグを利用すると、商品の盗難防止や在庫管理等が効率的に行われる。しかし、各非接触式タグにはそれぞれの仕様があり、対象物に付された非接触式タグの種類が変われば、それに応じた検知用のゲート等の検知装置が必要となってくる。これは、RFIDタグ、磁気式タグ、共振タグ等による非接触式の対象物検知方法は、その検知の原理がそれぞれ異なることに起因している。特に、昨今では、RFIDタグの技術的ポテンシャルの高さから、従来の共振タグや磁気式タグからRFIDタグへの乗換えが盛んに行われるが、その過程において、対象物にはRFIDタグと他の非接触式タグとが混在した状態で付されている場合がある。これは、管理の対象となる対象物が極めて多い場合に、よく見受けられる。
このような場合にも対象物を確実に管理しようとすると、そこで使用されている非接触式タグの種類の分だけ、検知用のゲート等の検知装置を設ける必要がある。そうすると、検知装置の設置に要するコストやスペースが大きくなり、RFIDタグへの移行が円滑に行えない虞がある。例えば、RFIDタグによる商店での商品管理や図書館での書籍管理は広く行われつつあるが、既に他の非接触式タグを利用している場合にはそのために幾らかのコストが生じているため、RFIDタグの導入のためのコストは更なる負担となる。また、RFIDタグへの移行だけではなく、複数の非接触式タグを利用して対象物を管理しようとする場合にも、同様のことが言える。
本発明では、上記した問題に鑑み、複数の非接触式タグを利用して対象物の管理を行う
場合、対象物の検知を行う検知装置の設置に要するコストやスペースを可及的に抑制することが可能な対象物の検知システム、特に所定の場所を対象物が通過するのを検知するシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、一の通過検知システムにおいて、検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグとの検知用通信を行うこととした。詳細には、本発明は、検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する対象物の、所定場所の通過を検知する通過検知システムであって、前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、前記対象物に対して検知用送信を行う送信手段と、前記送信手段による検知用送信に応じて、前記対象物が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該対象物から受信する受信手段と、前記受信手段による受信結果に基づいて、前記対象物の前記所定場所の通過を検知する検知手段と、を備える。
上記通過検知システムでは、対象物が所定場所を通過するときその通過が検知される。この通過検知システムの特徴点は、検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグと検知用通信が可能な送信手段と受信手段とが、一の通過検知システムに設けられている点であり、この特徴点は従来までの通過検知システムには見当たらないものである。即ち、この一組の送信手段と受信手段によって、複数種類の検知用非接触式タグとの検知用通信が可能となることで、各検知用非接触式タグ毎の送信手段および受信手段を設ける必要がなくなる。これにより、対象物の検知を行うのに要するコストや通過検知システムのスペースを可及的に抑制することが可能となる。
更に、上記通過検知システムにおいて、前記検知手段は、前記対象物の前記所定場所の通過を検知したとき、更に、該対象物の通過の可否を判断するようにしてもよい。即ち、対象物の通過を検知することに加えて、その通過が適切なものであるか否かを判断し、対象物の移動を監視等するのに資するようにすることが可能となる。
また、前記所定場所を形成するゲート部を、更に備える場合、前記ゲート部は、前記検知手段によって前記対象物の通過の可否が否定判断されたとき、該対象物の該ゲート部の通過完了を阻止する通過阻止手段を有するようにしてもよい。即ち、対象物の通過が適切でないと判断されると、通過阻止手段によってその通過を阻止することで、対象物が散逸等することを防止することが可能となる。
また、上記通過検知システムは、前記所定場所を出口および/または入口とする所定空間内において、前記対象物の在庫を管理する在庫管理手段と、前記検知手段によって前記対象物の前記所定場所の通過が検知されたとき、その検知結果に基づいて前記管理手段による在庫管理を更新する在庫更新手段と、を更に備えるようにしてもよい。上記のように通過を阻止するという観点以外の観点から、この通過検知システムでは、対象物の通過を検知するとともに、その対象物の在庫管理を在庫管理手段と在庫更新手段とで行う。これにより、通過検知システムのコストやスペースの問題を解消しながら、対象物の在庫管理を円滑に行うことが可能となる。
ここで、前記対象物が有する検知用非接触式タグは、前記所定場所の通過に関する情報である通過情報を記憶する記憶部を有し、前記通過検知システムは、前記対象物が有する検知用非接触式タグの前記記憶部に記憶されている前記通過情報を更新する通過情報更新手段を、更に備える場合、前記受信手段は、前記通過情報更新手段によって更新された通過情報を前記応答信号として受信し、前記検知手段は、前記受信手段によって受信された通過情報に基づいて、前記対象物の前記所定場所の通過を検知するようにしてもよい。
対象物が有する記憶部には通過情報が記憶されており、この記憶形態は揮発性、不揮発性の何れでもよい。また通過情報とは、対象物の所定場所の通過に関する情報であって、少なくとも検知手段がその通過情報に基づいて対象物の通過を検知することができる情報であれば良く、例えば、その対象物の個体を特定できるような情報や、対象物を具体的な目的の下で管理するために所定場所の通過を検知することができる情報であれば良い。そして、この通過情報は、通過情報更新手段によって更新されることが可能であり、この更新結果によって対象物の通過、更にはその通過に伴う上述までの様々な判断を検知手段が行う。
また、更には、前記通過情報更新手段は、前記検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグの全種類に対応し、前記対象物が有する全ての検知用非接触式タグの前記記憶部内の通過情報を同時に更新し、又は前記対象物が複数あるとき各対象物が有する検知用非接触式タグの前記記憶部内の通過情報を同時に更新するようにしてもよい。即ち、本発明に係る通過検知システムでは、複数種類の検知用非接触式タグに対応して対象物が所定場所を通過するのを検知するのが可能となるだけでなく、その検知用非接触式タグへの通過情報の書込みも複数のタグに対して同時に行うことが可能となり、当該通過検知システムの利便性が向上する。
また、上述までの通過検知システムにおいて、前記検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグは、RFIDタグ、共振タグ、磁気式タグのうち少なくとも二種類のタグであり、前記対象物は、前記複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有するものであってもよい。尚、これらRFIDタグ、共振タグ、磁気式タグは例示であり、この他の検知用非接触式タグを利用することを妨げるものではない。
ここで、上記の通過検知システムにおいて、検知用非接触式タグとしてRFIDタグを利用する場合に注目する。RFIDタグは、昨今その利用が普及してきており、今後通過検知システムの主格を為すものと考えられるからである。詳細には、上記の通過検知システムにおいて、前記検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグは、RFIDタグであって該RFIDタグが設けられる対象物の固有情報を記憶可能なRFIDタグと、該RFIDタグ以外の検知用非接触式タグである検知用非接触式タグのうち少なくとも一種類の検知用非接触式タグであり、前記対象物は、検知用非接触式タグとして少なくとも前記RFIDタグを有し、前記受信手段は、前記RFIDタグが記憶する前記対象物の固有情報を受信し、前記検知手段は、前記固有情報に基づいて前記対象物の前記所定場所の通過を検知し、更に、該固有情報に基づいて該通過状況の判断を行う。
即ち、受信手段が検知用通信の結果、RFIDタグから受信した固有情報に基づいて、対象物の通過検知およびその通過状況の判断が行われる。この通過状況とは、対象物が所定場所を通過することが認められるか否か、認められるとしたらどのようなステータスにあるのか等、対象物の所定場所の通過に関する様々な状況であり、これは当該通過検知システムを利用する目的等に応じて適宜設定すればよい。
ここで、対象物にRFIDタグが付されている場合は、RFIDタグが有する、対象物に関する固有情報に基づいた通過状況の判断が、検知手段によって行われる。この固有情報は、対象物の識別のためのID情報や対象物の現時点や過去での所定のステータス等様々な情報である。そこで、検知手段は、対象物にRFIDタグが付されている場合は、この固有情報を利用することで、単に対象物が所定場所を通過したか否かだけではなく、どのようなステータスを有した状態で所定場所を通過した等の通過状況の判断を行うことが可能となる。
上記通過検知システムにおいて、前記受信手段は、前記対象物が有するRFIDタグから該対象物の前記所定場所の通過の可否に関する情報を前記固有情報として受信し、前記検知手段は、前記固有情報に基づいて、前記対象物の通過を検知するとともに該通過の可否を判断してもよい。RFIDタグが一般に有する記憶部に通過の可否に関する情報を記憶させておき、その情報に基づくことで対象物の通過状況を判断する。これは、RFIDタグの利点を通過検知システムに効率的に活用する手法である。
また、上述までの通過検知システムにおいて、前記対象物が有する検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグに対して予め設定されている所定の通過条件が満たされるとき、該対象物の前記所定場所の通過の可否を肯定判断してもよい。
即ち、送信手段と受信手段は複数種類の検知用非接触式タグ毎に検知用通信を行うが、このときそれぞれの通信結果に対しては、対応する所定の通過条件が予め設定されており、そしてその各所定の通過条件が満たされない場合には、その対象物の通過が許可されないことになる。例えば、RFIDタグのときの所定の通過条件が条件Aであり、その他の検知用非接触式タグのときの所定の通過条件が条件Bであるとき、検知用通信の結果、RFIDタグに対して条件Aが満たされ、および/またはその他の検知用非接触式タグに対して条件Bの両者が満たされたとき、その対象物の通過は肯定判断(許可)される。尚、両条件をAND又はORで繋ぐかは、実際の通過検知システムの使用態様等に応じて適宜設定すればよい。
ここで、上述までの通過検知システムにおいて、前記送信手段および前記受信手段は、それぞれ若しくは一体的に、前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれに対応した複数のアンテナ部を有する場合、前記RFIDタグに対応した前記アンテナ部は、その他の前記検知用非接触式タグに対応した前記アンテナ部より、前記所定場所における前記対象物の通過方向に沿って出口側に位置するようにしてもよい。
送信手段および受信手段は、それぞれ若しくは一体的に、複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれに対応した複数のアンテナ部を有することで、複数の検知用非接触式タグ毎に検知用通信を行うことが可能となる。上記「一体的」とは、一の検知用非接触式タグのアンテナ部で、送信および受信を行うことを意味する。ここで、RFIDタグとの検知用通信時間は極めて短いため、それより検知用通信に長い時間を要するその他の検知用非接触式タグに対応したアンテナ部を入口側に近いところに配置し、RFIDタグに対応したアンテナ部を出口側に近いところに配置することで、対象物が所定場所を通過する期間において、検知用非接触式タグとの検知用通信時間を可及的に長く確保することが可能となり、以て一組の送信手段および受信手段による対象物の検知がより確実に行われる。
また、上述までの通過検知システムにおいて、前記送信手段および前記受信手段は、それぞれ若しくは一体的に、前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれに対応した複数のアンテナ部を有し、且つ、前記対象物への検知用通信を、各アンテナ部毎に時間分割で切換えながら行うようにしてもよい。即ち、RFIDタグと検知用非接触式タグとに対応する検知用通信を交互に行うことで、RFIDタグとその他の検知用非接触式タグの検知をより確実にすることが可能となる。尚、この時間分割による各検知用通信の間隔は、RFIDタグとその他の検知用非接触式タグと各アンテナ部との通信特性を考慮して、適宜設定すればよい。
また、本発明を通過検知システムにおいて組み込まれる制御装置の側面から捉えることも可能である。即ち、本発明は、検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する対象物の、所定場所の通過を検知する通過検知システムにおいて組み込まれる制御装置であって、前記複数種類の検知用非接触式タグ
のそれぞれの検知方式に基づいて、前記対象物に対して検知用送信を行う送信部と、前記送信部による検知用送信に応じて、前記対象物が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該対象物から受信する受信部と、前記受信部による受信結果に基づいて、前記対象物の前記所定場所の通過を検知する検知部と、を備える。尚、この制御装置は、通過検知システムにおいて組み込まれるものであって、例えば、システム用集積回路やシステム用制御基板等の様々な形態を採用し得る。
そして、上記通過検知システム用制御装置において、前記検知部は、前記対象物の前記所定場所の通過を検知したとき、更に、該対象物の通過の可否を判断してもよい。
複数の非接触式タグを利用して対象物の管理を行う場合、対象物の検知を行う検知装置の設置に要するコストやスペースを可及的に抑制することが可能な対象物の検知システム、特に所定の場所を対象物が通過するのを検知するシステムを提供することが可能となる。
ここで本発明に係る通過検知システム1の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に述べる実施形態の構成は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
本実施例に係る通過検知システム1は、図1に示すように、図書館20において貸し出しされる書籍(本発明に係る対象物に相当する)21が、図書館20の室内側から外部へ持ち出されるとき、該書籍21が所定の貸し出し手続きを経た上での持ち出しか、即ち、該書籍21が正当な理由で持ち出されるか、又は盗難等正当な理由なくして持ち出されるかを検知するものである。そして、この通過検知システム1は、主に、後述するゲート装置7および書き換え装置30によって構成される。図書館20における書籍21には、検知用非接触式タグとしてRFIDタグ、磁気式タグのうち少なくとも何れかが備えられている。従って書籍21によっては、両検知用非接触式タグが備えられているものもあれば、何れか片方の検知用非接触式タグのみが備えられているものもある。また、図書館20における書籍21は、必要な貸し出し手続を経て(図中(1)で示される手続)各個人へ貸し出される(図中(2)で示される手続)。この貸し出し手続は係員のいるカウンタにおいて、データ書き換え装置30を用いて行われる。以下、図書館20における通過検知システム1の詳細を以下に説明する。
磁気式タグでは、いわゆる磁気テープ上に、書籍の貸し出しに関する所定の貸し出し手続が完了したか否かを表す信号が二値化された信号として記憶されている。従って、例えば、所定の貸し出し手続が完了していれば「1」の信号が、所定の貸し出し手続が完了していなければ「0」の信号が磁気式タグには記録されることになる。この二値化された信号が、本発明に係る「対象物の所定場所の通過の可否に関する情報」に相当し、以下、「通過情報」とも言う。尚、この磁気テープ上の磁気信号の書き換えは、後述するデータ書き換え装置30によって行われる。
一方で、RFIDタグはいわゆる無線タグであり、本実施の形態に係るRFIDタグはパッシブタイプのタグであるため、その内部には電池を持たない。そこで、後述するアンテナ12から送られてくる電波が、RFIDタグ内の整流器によって整流されて直流となり、これがRFIDタグ内のデータ処理部や各メモリへの供給電力となる。更に、RFIDタグ内には、電力の供給が断たれても記憶内容が保持される不揮発性メモリが設けられており、この不揮発性メモリ内には、後述する図4に示す、該RFIDタグが備えられる
書籍の貸し出しに関する固有情報(本発明に係る「固有情報」および「通過情報」に相当する)が記憶されている。この固有情報は、書籍21の所定の貸し出し手続きが為されると、適切な固有情報に上書きされるが、これも後述するデータ書き換え装置30によって為される。従って、このデータ書き換え装置30が、本発明に係る通過情報更新手段に相当し、例えば、このデータ書き換え装置30は卓上型装置として、後述するゲート部2とは離間した場所に配置される。
また、これらの検知用非接触式タグの他に、いわゆる共振タグも検知用非接触式タグとして利用することが可能である。この共振タグは、アンテナから特定の周波数の電波を受け取ると,電波がタグ内で共振し、反射波を返す。この反射波を検知することで、書籍の不当な持ち出しを検知することが可能である。
そして、本発明に係る通過検知システム1は、これらの検知タグのうち任意の複数種類を用いて書籍の不当な持ち出しの検知が可能であるが、以下の実施の形態においては、上述したように、磁気式タグとRFIDタグのうち少なくとも何れかを利用した検知システムとして説明を行う。
図2に示すように、通過検知システム1を構成するゲート装置7は、検知領域5(本発明に係る「所定場所」に相当する)の左右側方を挟むように設置されたゲート部2(本実施形態においては、右側に位置する方に更に添え字aを、左側に位置する方に更に添え字bを付する。以下、同じ)を有する。即ち、一対のゲート部2によって形成された検知領域5を、書籍21を持った図書館の利用者が通過するとき(図1中の白抜き矢印方向が図書館の内側から外側に向かう方向である。)、その書籍21が不当に持ち出されたものであるか否かがゲート装置7によって検知されるのである。
ここで、ゲート部2には、図書館20内の書籍21が有している検知用非接触式タグであるRFIDタグ用のアンテナ部12と磁気式タグ用のアンテナ部11の二つのアンテナ部を有するセンサー部3が設けられている(図3を参照。)。尚、図3中の白抜き矢印の向きは、図2中の白抜き矢印の向きに対応している。そして、アンテナ部11は磁気式タグが有する上記通過情報を検知し、アンテナ部12はRFIDタグが有する上記固有情報を検知する。
また、図3に示すように、RFIDタグ用のアンテナ部12は、磁気式タグ用のアンテナ部11に比べて、ゲート部2の出口側に近い位置(図面向かって右側)に設置されている。これは、アンテナ部12によるRFIDタグの検出に要する時間は、アンテナ部11による磁気式タグの検出に要する時間より比較的に短いため、後者の検出時間を可及的に長く確保することを目的とすることによる。このように、一つのセンサー部3に複数の検知用非接触式タグに対応したアンテナ部を設けることで、更にはそのアンテナ部の順序を考慮することで、ゲート部2の利用者の進行方向における長さを可及的に短くすることが可能となり、以てゲート装置7全体の大きさをより小さくすることが可能となる。尚、本発明に係るゲート装置においては、アンテナ部の設置順序は上記に限られない。
ここで、図4に、通過検知システム1を構成するデータ書き換え装置30の概略構成を示す。データ書き換え装置30は、水平に設置されるスライド面30aと、該スライド面30aに対して垂直に立ち、データ書き換え用の複数のセンサーが埋め込まれたセンサー面30bを有する。このセンサー面30bの中央部分には、書籍21に設けられた磁気式タグのデータを書き換えるための磁気センサー32が設けられ、その周りを囲むように書籍21に設けられたRFIDタグのデータを書き換えるためのRFID用コイル31が設けられ、これらが一体的にデータ書き換え装置30に組み込まれている。尚、本発明に係る書き換え装置30においては、必ずしも図4に示す構成に限られるものではなく、異な
る複数種類の非接触式タグへのデータ書き換えが同時に行うことが可能となる構成であればよい。
従って、図書館20の係員は、データ書き換え用端末40に、書籍21の貸し出しに必要なデータを入力し、そのデータがデータ書き換え装置30のRFIDコイル31と磁気センサー32に送られる。そして、係員は、貸し出しの対象となる書籍21をスライド面30a上をスライドさせることで、各センサーが対応する非接触式タグに必要な貸し出しのための情報(上記の通過情報や固有情報)が送られることになる。従って、本実施例に係るゲート装置7は、貸し出しの対象となる書籍21が、このデータ書き換え装置30を介した所定の貸し出し手続が為されているか否かを検知するものである。
そして、通過検知システム1を構成するゲート装置7においては、各アンテナ部で検出される通過情報および/または固有情報は端末10に送信され、端末10によって、上記各情報を有する書籍21は、不当に持ち出されたものであるか否かが判断される。そこで、この端末10によって行われる当該判断の制御について、図5に基づいて説明する。図5に示す対象通過検知制御は、端末10の中央演算処理装置によって実行されるものである。
先ず、S101では、アンテナ部11によって磁気式タグの有する通過情報が検知できたか否かが判定される。例えば、対象となる書籍に磁気式タグが付されていない場合は、このS101における判定は否定判定となる。本判定において、磁気式タグの有する通過情報が検知できたと判定されるとS102へ進み、磁気式タグの有する通過情報が検知できなかったと判定されるとS103へ進む。
S102では、磁気式タグの有する通過情報において、所定条件S1が成立しているか否かが判定される。この所定条件S1は、当該書籍の持ち出しが不当なものではないことを示す通過条件である。具体的には、所定条件S1は、通過情報が二値化された信号のうち上記「1」信号であり、上述したようにこの「1」信号は、データ書き換え装置30によって入力される。本判定において、所定条件S1が成立したと判定されるとS103へ進み、所定条件S1が成立していないと判定されるとS106へ進む。
S103では、アンテナ部12によってRFIDタグの有する固有情報が検知できた否かが判定される。例えば、対象となる書籍にRFIDタグが付されていない場合は、このS103における判定は否定判定となる。この固有情報は、図6に示すように、当該RFIDタグが付されている書籍を示す対象物ID、その書籍を借りる利用者を示す利用者ID、書籍の貸し出し日、そして返却予定日の四つのフィールドで構成される情報であり、上述したようにデータ書き換え装置30によって入力される。本判定において、RFIDタグの有する固有情報が検知できたと判定されるとS104へ進み、RFIDタグの有する固有情報が検知できなかったと判定されるとS105へ進む。
S104では、RFIDタグが有する固有情報において、所定条件S2が成立しているか否かが判定される。この所定条件S2は、当該書籍の持ち出しが不当なものではないことを示す通過条件である。具体的には、利用者IDが、予め端末10側に登録されているID番号であるか、貸し出し日が端末10側の当日の日付であるか、端末10側の当日の日付が返却予定日を過ぎていないか等の条件が挙げられるが、所定条件S2は適宜設定されればよい。本判定において、所定条件S2が成立したと判定されるとS105へ進み、所定条件S2が成立していないと判定されるとS106へ進む。
S105では、ゲート部2aの上部に設けられているアラーム装置4において、アラームを非表示とする。即ち、当該書籍21の持ち出しは正当なものであるので、アラーム装
置4によるアラームは発せられない。一方で、S106では、アラーム装置4においてアラームを表示とする。即ち、当該書籍21の持ち出しは正当なものではないので、アラーム装置4によるアラームが発せられることになる。即ち、このアラーム発生が、本発明に係る通過阻止手段に相当する。
このように、対象通過検知制御を端末10によって実行することで、ゲート装置7が、図書館20からの書籍21の不当な持ち出しを抑制することができる。更に、書籍21に備えられている検知用非接触式タグに対応するアンテナ部を一つのセンサー部3に格納することで、本実施の形態に係る通過検知システム1を構成するゲート装置7の設置に要するコストやスペースを可及的に抑制することが可能となる。
また、上記の実施の形態では、書籍21に備えられた検知用非接触式タグの種類に対応して各アンテナ部毎に固有情報または通過情報を取得したが、一のアンテナ部で異なる検知用非接触式タグの検知が可能である場合には、その一のアンテナ部で、各検知用非接触式タグに対応した検知用通信を時間分割で交互に行うようにしてもよい。
本実施例においては、実施例1で示した対象物通過検知制御の第二の実施態様を図7に示す。本制御も、実施例1における制御と同様に、端末10の中央演算処理装置によって実行されるものである。先ず、S201では、上記S101と同様に、アンテナ部11によって磁気式タグで対象物の通過が検知できたか否かが判定される。磁気式タグによる検知については、上述の通りである。ここで、肯定判定されるとS202へ進み、否定判定されるとS203へ進む。
S202では、上記S102と同様に、磁気式タグの有する通過情報において、所定条件S1が成立しているか否かが判定される。本判定において、所定条件S1が成立したと判定されるとS205へ進み、所定条件S1が成立していないと判定されるとS203へ進む。
S203では、上記S103と同様に、アンテナ部12によってRFIDタグで対象物の通過が検知できたか否かが判定される。RFIDタグによる検知については、上述の通りである。ここで、肯定判定されるとS204へ進み、否定判定されるとS206へ進む。
S204では、上記S104と同様に、RFIDタグが有する固有情報において、所定条件S2が成立しているか否かが判定される。本判定において、所定条件S2が成立したと判定されるとS205へ進み、所定条件S2が成立していないと判定されるとS206へ進む。
そして、S205では、アラーム装置4においてアラームを非表示とし、S206では、アラーム装置4においてアラームを表示とする。本制御においては、磁気式タグ又はRFIDタグの何れかにおいて対象物の通過が所定の条件を満たすものであれば、該対象物の通過は許可される。
上記実施例1においては、図書館の書籍の管理に、本発明に係る通過検知システム1が適用されていたが、本実施例においては、商店で販売する商品の在庫管理システムに該通過検知システム1が適用される例を示す。この在庫管理システムでは、上記ゲート装置7が在庫管理される倉庫の出入り口に設けられる。そして、パソコンなどの端末によって、この倉庫内に在庫として格納されている商品の情報が管理されている。ここで、複数種類
の検知用非接触式タグが設けられている商品が、ゲート装置7で構成される出入り口を通過することで、どの商品がどの時期に倉庫に搬入され、又は倉庫から搬出されることが検知され、その検知結果に基づいて、上記端末が倉庫内の在庫管理情報を更新することで、常に新しい在庫管理情報を保持することが可能となる。
本発明の実施例に係る通過検知システムが適用される図書館の概略を示す図である。 本発明の実施例に係る通過検知システムを構成するゲート装置の概略構成を表す第一の図である。 本発明の実施例に係る通過検知システムを構成するゲート装置の概略構成を表す第二の図である。 本発明の実施例に係る通過検知システムにおいて使用される非接触式タグのデータを書き換えるためのデータ書き換え装置の概略を示す図である。 本発明の実施例に係る通過検知システムにおいて、書籍の不当な持ち出しを検知するための対象物通過検知制御の流れを示す第一のフローチャートである。 本発明の実施例に係る通過検知システムにおいて、書籍に設けられたRFIDタグ内に記憶されている該書籍の固有情報の構造を示す図である。 本発明の実施例に係る通過検知システムにおいて、書籍の不当な持ち出しを検知するための対象物通過検知制御の流れを示す第二のフローチャートである。
符号の説明
1・・・・通過検知システム
2・・・・ゲート部
3・・・・センサー部
4・・・・アラーム装置
5・・・・検知領域
7・・・・ゲート装置
11・・・・磁気式タグ用のアンテナ部
12・・・・RFIDタグ用のアンテナ部

Claims (14)

  1. 検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する対象物の、所定場所の通過を検知する通過検知システムであって、
    前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、前記対象物に対して検知用送信を行う送信手段と、
    前記送信手段による検知用送信に応じて、前記対象物が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該対象物から受信する受信手段と、
    前記受信手段による受信結果に基づいて、前記対象物の前記所定場所の通過を検知する検知手段と、
    を備えることを特徴とする通過検知システム。
  2. 前記検知手段は、前記対象物の前記所定場所の通過を検知したとき、更に、該対象物の通過の可否を判断することを特徴とする請求項1に記載の通過検知システム。
  3. 前記所定場所を形成するゲート部を、更に備え、
    前記ゲート部は、前記検知手段によって前記対象物の通過の可否が否定判断されたとき、該対象物の該ゲート部の通過完了を阻止する通過阻止手段を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の通過検知システム。
  4. 前記所定場所を出口および/または入口とする所定空間内において、前記対象物の在庫を管理する在庫管理手段と、
    前記検知手段によって前記対象物の前記所定場所の通過が検知されたとき、その検知結果に基づいて前記管理手段による在庫管理を更新する在庫更新手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の通過検知システム。
  5. 前記対象物が有する検知用非接触式タグは、前記所定場所の通過に関する情報である通過情報を記憶する記憶部を有し、
    前記通過検知システムは、
    前記対象物が有する検知用非接触式タグの前記記憶部に記憶されている前記通過情報を更新する通過情報更新手段を、更に備え、
    前記受信手段は、前記通過情報更新手段によって更新された通過情報を前記応答信号として受信し、
    前記検知手段は、前記受信手段によって受信された通過情報に基づいて、前記対象物の前記所定場所の通過を検知する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の通過検知システム。
  6. 前記通過情報更新手段は、前記検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグの全種類に対応し、前記対象物が有する全ての検知用非接触式タグの前記記憶部内の通過情報を同時に更新し、又は前記対象物が複数あるとき各対象物が有する検知用非接触式タグの前記記憶部内の通過情報を同時に更新する
    ことを特徴とする請求項5に記載の通過検知システム。
  7. 前記検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグは、RFIDタグ、共振タグ、磁気式タグのうち少なくとも二種類のタグであり、
    前記対象物は、前記複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の通過検知システム。
  8. 前記検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグは、RFIDタグであって該RF
    IDタグが設けられる対象物の固有情報を記憶可能なRFIDタグと、該RFIDタグ以外の検知用非接触式タグである検知用非接触式タグのうち少なくとも一種類の検知用非接触式タグであり、
    前記対象物は、検知用非接触式タグとして少なくとも前記RFIDタグを有し、
    前記受信手段は、前記RFIDタグが記憶する前記対象物の固有情報を受信し、
    前記検知手段は、前記固有情報に基づいて前記対象物の前記所定場所の通過を検知し、更に、該固有情報に基づいて該通過状況の判断を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の通過検知システム。
  9. 前記受信手段は、前記対象物が有するRFIDタグから該対象物の前記所定場所の通過の可否に関する情報を前記固有情報として受信し、
    前記検知手段は、前記固有情報に基づいて、前記対象物の通過を検知するとともに該通過の可否を判断することを特徴とする請求項8に記載の通過検知システム。
  10. 前記検知手段は、前記対象物が有する検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグに対して予め設定されている所定の通過条件が満たされるとき、該対象物の前記所定場所の通過の可否を肯定判断することを特徴とする請求項2又は請求項9に記載の通過検知システム。
  11. 前記送信手段および前記受信手段は、それぞれ若しくは一体的に、前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれに対応した複数のアンテナ部を有し、
    前記RFIDタグに対応した前記アンテナ部は、その他の前記検知用非接触式タグに対応した前記アンテナ部より、前記所定場所における前記対象物の通過方向に沿って出口側に位置することを特徴とする請求項8又請求項9に記載の通過検知システム。
  12. 前記送信手段および前記受信手段は、それぞれ若しくは一体的に、前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれに対応した複数のアンテナ部を有し、且つ、前記対象物への検知用通信を、各アンテナ部毎に時間分割で切換えながら行うことを特徴とする請求項1から請求項11の何れかに記載の通過検知システム。
  13. 検知方式の異なる複数種類の検知用非接触式タグのうち少なくとも一の検知用非接触式タグを有する対象物の、所定場所の通過を検知する通過検知システムにおいて組み込まれる制御装置であって、
    前記複数種類の検知用非接触式タグのそれぞれの検知方式に基づいて、前記対象物に対して検知用送信を行う送信部と、
    前記送信部による検知用送信に応じて、前記対象物が有する検知用非接触式タグに対応した応答信号を該対象物から受信する受信部と、
    前記受信部による受信結果に基づいて、前記対象物の前記所定場所の通過を検知する検知部と、
    を備えることを特徴とする通過検知システム用制御装置。
  14. 前記検知部は、前記対象物の前記所定場所の通過を検知したとき、更に、該対象物の通過の可否を判断することを特徴とする請求項13に記載の通過検知システム用制御装置。
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