以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態について詳細に説明する。
図1に本発明の実施の形態1に係る半透過型の液晶パネル50を説明する平面図を示す。液晶パネル50の表示領域内には複数の画素60が配列されている。図1では画素60がマトリクス状に配列された場合を例示しているが、画素60の配列はこれに限られるものではない。
図2に画素60を説明する平面図を示す。半透過型の液晶パネル50では、単一の画素60内に透過領域70と反射領域80とが設けられており、透過領域70においてバックライト光を利用した表示(透過表示)が行われ、反射領域80において外光を反射させて表示(反射表示)が行われる。
図3に画素60を説明する平面図(レイアウト図)を示し、図3中の4−4線における液晶パネル50の断面図を図4に示す。なお、図3では画素電極や反射膜を省略している。また、図面の煩雑を避けるため、ハッチングを省略し、各図において要素の一部を省略している。
液晶パネル50は、第1基板100と、第1基板100に対向して配置された第2基板200と、両基板100,200間に封入された液晶300とを含んで構成されている。液晶パネル50では画素60ごとに画素TFT(Thin Film Transistor)180および補助容量190が設けられ、画素TFT180および補助容量190は画素60の平面視上すなわち液晶パネル50の画面の平面視上、反射領域80内に並べて配置されている。なお、画素TFT180は後述の走査線114に重ねて設けてもよい。
ここで、透過領域70および反射領域80はそれぞれ、上記平面視における2次元領域だけでなく、当該2次元領域を液晶パネル50の厚さ方向すなわち基板100,200の重ね合わせ方向に投影して規定される液晶パネル50の3次元領域をも指すものとする。
第1基板100は、透光性基板112と、走査線114と、補助容量線116と、絶縁膜118と、絶縁膜120と、半導体層122と、信号線124と、導電膜126と、保護膜128と、レジスト膜130と、反射膜132と、画素電極136と、不図示の配向膜と、を含んで構成されている。
透光性基板112は、例えばガラスで構成されている。
走査線114は、例えばモリブデン、アルミニウム等の金属で構成され、透光性基板112のうちで第2基板200の側、換言すれば液晶300の側の表面上に配置されている。走査線114は、図3の例では全体として図面横方向に延在している。走査線114は延在方向に交差する方向(図3の例では図面縦方向)に突出した部分を有しており、当該部分が画素TFT180のゲート電極114aを構成している。
補助容量線116は、例えば走査線114と同じ材料および同じ厚さで構成され、透光性基板112の上記表面上に配置され、全体として走査線114と平行に延在している。補助容量線116は延在方向に交差する方向に突出した部分を有しており、当該部分が補助容量190の一方の容量電極116aを構成している。図3では、補助容量線116のうちで上記突出部分付近の部分も上記突出部分とともに容量電極116aを構成する場合を例示しており、この場合、図面横方向に並んだ画素60の容量電極116aが補助容量線116によって連結していると捉えることも可能である。また、図3では、容量電極116aおよびゲート電極114aを構成する両突出部分が補助容量線116と走査線114との間に配置された場合を例示している。
絶縁膜118は、例えば窒化シリコン、酸化シリコン等で構成され、走査線114と、ゲート電極114aと、補助容量線116と、容量電極116aの一部とを覆って透光性基板112の上記表面上に配置されている。絶縁膜118の厚さは、例えば300nm(3000オングストローム)である。
ここで、反射領域80は第1領域81と第2領域82とを含んで領域が分けられており、この場合、両領域81,82は隣接しており、ここでは第1領域81は第2領域82を取り囲んで設けられている場合を例示する。また、第2領域82は容量電極116aの形成領域の少なくとも一部に設けられているものとする。この場合、平面視上、容量電極116aの形成領域内に第2領域82の全体が設けられ、第2領域82は容量電極116aの形成領域からはみ出してはいない。なお、第1領域81および第2領域82は、反射領域80等と同様に2次元領域だけでなく3次元領域をも指すものとする。
この場合、絶縁膜118は、第2領域82内には設けられておらず、第1領域81と透過領域70とに渡って設けられている。
絶縁膜120は、例えば窒化シリコン、酸化シリコン等で構成される。絶縁膜118,120は同じ材料で構成してもよいし異なる材料で構成してもよい。絶縁膜120は、絶縁膜118および容量電極116aよりも第2基板200の側に位置し、絶縁膜118上および容量電極116aの上記一部上に配置されている。絶縁膜120は、上記領域81,82,70に渡っている。絶縁膜120の厚さは例えば100nm(1000オングストローム)である。
半導体層122は、例えばシリコン等で構成され、絶縁膜120よりも第2基板200の側に位置し、絶縁膜120上にゲート電極114aに対向して配置されている。半導体層122は画素TFT180のソース領域とドレイン領域と当該両領域間のチャネル形成領域とを構成し、少なくともチャネル形成領域がゲート電極114aに対向している。
ここで、絶縁膜120,118の積層膜のうちで半導体層122とゲート電極114aとの間の部分が画素TFT180のゲート絶縁膜を構成している。
信号線124は、例えばモリブデン、アルミニウム、チタン等の金属で構成され、絶縁膜120よりも第2基板200の側に位置して絶縁膜120上に配置されている。信号線124は全体として、走査線114と交差する方向(ここでは直交する方向)に延在している。信号線124は延在方向に交差する方向に突出した部分を有している。当該部分は半導体層122よりも第2基板200の側に位置して半導体層122のソース領域に接続され、画素TFT180のソース電極124aを構成している。
導電膜126は、例えば信号線124と同じ材料および同じ厚さで構成され、絶縁膜120よりも第2基板200の側に位置して絶縁膜120上に配置されている。導電膜126は、一部において、半導体層122よりも第2基板200の側に位置して半導体層122のドレイン領域に接続されている。当該一部は画素TFT180のドレイン電極126aを構成している。また、導電膜126は、他部において、容量電極116aに対向して配置され、当該他部は補助容量190の他方の容量電極126bを構成している。
容量電極126bは第1領域81と第2領域82とに渡って配置されている。このため、補助容量190において、第1領域81では絶縁膜118,120の積層膜と当該積層膜の両側の容量電極116a,126bとでコンデンサ構造が形成され、第2領域82では絶縁膜120と当該絶縁膜120の両側の容量電極116a,126bとでコンデンサ構造が形成されている。ここで、容量電極116a,126bとともにコンデンサ構造を形成する絶縁膜(換言すれば誘電体膜)を容量絶縁膜と呼ぶことにする。この場合、第1領域81では絶縁膜118,120の積層膜が容量絶縁膜を構成し、第2領域82では絶縁膜120が容量絶縁膜を構成する。
ここで、第1領域81内の容量絶縁膜は画素TFT180のゲート絶縁膜と同じ構成を有し同じ厚さであるのに対して、第2領域82内の容量絶縁膜は画素TFT180のゲート絶縁膜よりも薄い。このため第2領域82では第1領域81より容量が大きくなり、補助容量190の容量絶縁膜を全て絶縁膜118,120の積層膜で構成する場合と比べて、補助容量190の容量を大きくすることができる。このことは、仮に同じ容量の補助容量を実現する場合であっても、この実施形態と同様の構成を取ることによって補助容量のサイズを小さくすることができる。
保護膜128は、例えば窒化シリコン、酸化シリコン等で構成され、信号線124、導電膜126等よりも第2基板200の側に位置し、信号線124、導電膜126等を覆って配置されている。保護膜128は反射領域80と透過領域70とに渡っている。
上記のように絶縁膜118が第2領域82には設けられていないことに対応して、絶縁膜120、導電膜126および保護膜128の第2基板200側の表面は、第2領域82において、第1領域81よりも落ち込んでいる(透光性基板112の側に位置している)。
レジスト膜130は、平坦化膜として用いられている。レジスト膜130は、絶縁性かつ透光性の樹脂で構成され、フォトレジスト材を露光等することによって構成されている。レジスト膜130は、保護膜128よりも第2基板200の側に位置して保護膜128上に配置され、透過領域70および反射領域80に渡っている。
レジスト膜130は、保護膜128上に配置されているので、透光性基板112側の表面(保護膜128との界面)のうちで第2領域82内の部分は第1領域81内の部分よりも透光性基板112の側に位置している(透光性基板112の側へ突出している)。換言すれば、当該表面は上記薄い容量絶縁膜に対向する部分が隣接部分よりも透光性基板112の側に位置している(透光性基板112の側へ突出している)。他方、レジスト膜130は、平坦化膜として用いられているので、第2基板200側の表面は、全体としてだいたい平坦になる。このため、レジスト膜130では第2領域82内の部分が第1領域81内の部分よりも厚い。換言すれば、上記薄い容量絶縁膜に対向する部分が隣接部分よりも厚くなる。
レジスト膜130の第2基板200側の表面は、透過領域70内の平坦面部130aと、反射領域80内の凹凸面部130bとを含んで構成されている。なお、図2では凹凸面部130bの凸部を平面視上円形で以て簡略的に図示しているが、凸部の形状、大きさ、個数等は図2の例示に限られるものではない。凹凸面部130bによれば、平坦な表面の場合に比べて、反射表示のための外光を乱反射させることができ、視野角が広くなる。凹凸面部130bの各凹部の深さは、だいたい同じ深さになっている。なお、凹凸面部130bの凹部の深さは、換言すれば凸部の高さであり、凹凸面部130bにおける凸部(の頂部)と凹部(の底部)との高低差である。凹凸面部130bについては後にさらに説明をする。
反射膜132は、反射表示のために外光(可視光)を反射可能な材料、例えばアルミニウム等の金属で構成されている。反射膜132は、レジスト膜130よりも第2基板200の側に位置してレジスト膜130上に配置されている。反射膜132は反射領域80内に配置されており、画素TFT180上方および補助容量190の上方に渡って配置されている。反射膜132はレジスト膜130の凹凸面部130bの凹部の深さよりも薄く、反射膜132の第2基板200側の表面は凹凸面部130bに沿っており凹凸面部130bと同様の凹凸表面になっている。
反射膜132とレジスト膜130と保護膜128とを貫いてコンタクトホール134が設けられている。コンタクトホール134は、第2領域82内に設けられ容量電極126bに至っている。
画素電極136は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料で構成されている。画素電極136は、反射膜132およびレジスト膜130よりも第2基板200の側に位置し、反射膜132の全体を覆ってレジスト膜130上に配置されている。また、画素電極136は、コンタクトホール134を介して容量電極126bに接続されている。画素電極136は、透過領域70と反射領域80とに渡って配置されている。画素電極136はレジスト膜130の凹凸面部130bの凹部の深さよりも薄く、画素電極136の第2基板200側の表面は凹凸面部130bに沿っており凹凸面部130bと同様の凹凸表面になっている。
なお、反射膜132を導電性材料で構成しコンタクトホール134を介して容量電極126bに接続することも可能であり、この場合には画素電極136は反射膜132に接続されている限りコンタクトホール134内に設けなくてもよい。また、導電性の反射膜132によれば、画素電極136は反射膜132に接続されている限り反射膜132の全体を覆わなくてもよい。導電性の反射膜は反射電極とも呼ばれる。
不図示の配向膜は、画素電極136よりも第2基板200の側に位置し、画素電極136上に配置され、液晶300に接している。
第2基板200は、透光性基板212と、カラーフィルタ214と、トップコート層216と、対向電極218と、不図示の配向膜と、を含んで構成されている。
透光性基板212は、例えばガラスで構成されている。
カラーフィルタ214は、例えば染色された樹脂で構成され、透光性基板212のうちで第1基板100の側、換言すれば液晶300の側の表面上に画素電極136および反射膜132に対向して設けられている。カラーフィルタ214によって、第1基板100側から入射したバックライト光および第2基板200側から入射した外光が着色されて画素60が所定の色に点灯する。カラーフィルタ214の色は各画素60の表示色に応じて設定されている。
トップコート層216は、例えば絶縁性の透明樹脂で構成され、カラーフィルタ214よりも第1基板100の側に位置し、カラーフィルタ214上に配置されている。液晶パネル50のトップコート層216は液晶300側の表面が平坦である。トップコート層216は、基板100,200間のギャップ(セルギャップ)すなわち液晶300の厚さを調整するものである。具体的には、トップコート層216は、反射領域80内に配置され、反射領域80において上記ギャップを透過領域70よりも小さくしている。これにより、第1基板100側から入射し第2基板200側から出射するバックライト光と、第2基板200側から入射し反射膜132で反射されて第2基板200側から出射する外光とで、液晶300内の経路長(光路長)を調整することができる。例えば反射領域80でのギャップが透過領域70でのギャップの半分になるように、トップコート層216の厚さが設定される。
対向電極218は、例えばITO等の透明導電材料で構成され、カラーフィルタ214およびトップコート層216よりも第1基板100の側に位置し、トップコート層216を覆ってカラーフィルタ214上に配置され、画素電極136に対向して配置されている。対向電極218は複数の画素60に共通に設けられている。
不図示の配向膜は、対向電極218よりも第1基板100の側に位置し、対向電極218上に配置され、液晶300に接している。
図5に液晶パネル50の製造方法の手順を説明するフローチャートを示す。本製造方法は、第1基板100の形成工程ST10と、第2基板200の形成工程ST20と、両基板100,200の貼り合わせ工程ST31と、液晶300の封入工程ST32とを含んで構成される。第1基板100の形成工程ST10は、素子形成工程ST11と、保護膜形成工程ST12と、レジスト膜形成工程ST13と、凹凸形成工程ST14と、反射膜形成工程ST15と、画素電極形成工程ST16と、配向膜形成工程ST17とを含んで構成されている。他方、第2基板200の形成工程ST20は、カラーフィルタ形成工程ST21と、トップコート層形成工程ST22と、対向電極形成工程ST23と、配向膜形成工程ST24とを含んで構成されている。
素子形成工程ST11では、画素TFT180および補助容量190を透光性基板112上に形成する。すなわち、ゲート電極114aを有した走査線114と、容量電極116aを有した補助容量線116と、絶縁膜118と、絶縁膜120と、半導体層122と、ソース電極124aを有した信号線124と、ドレイン電極126aおよび容量電極126bを構成する導電膜126とを、各種の成膜技術、パターニング技術等を利用して透光性基板112上に形成する。素子形成工程ST11では、絶縁膜118,120の形成工程によって画素TFT180のゲート絶縁膜および補助容量190の第1領域81内の厚い容量絶縁膜が形成され、絶縁膜120の形成工程によって補助容量190の第2領域82内の薄い容量絶縁膜が形成される。
保護膜形成工程ST12では例えば、信号線124および導電膜126を覆って窒化シリコンをプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等で堆積することによって、保護膜128を形成する。CVD等の堆積法によれば、保護膜128の上面(露出表面)は形成下地面とほぼ同様の凹凸になる。このため、保護膜128の上面は薄い容量絶縁膜に対向する部分が隣接部分よりも落ち込んだ形状になる。
レジスト膜形成工程ST13では例えば、保護膜128の上面上に画素TFT180および補助容量190を覆って液状またはペースト状のフォトレジストをスピンコート法等で塗布することによって、レジスト膜130を形成する。スピンコート法等の塗布法によれば、形成下地面を構成する保護膜128の上面が落ち込みを有している場合であっても、レジスト膜130の上面をほぼ平坦に形成することができる。この平坦な上面がレジスト膜130の平坦面部130aを構成する。
凹凸形成工程ST14では例えば、露光マスク越しにレジスト膜130を上面側から露光し、露光されたレジスト膜130を現像することによって、レジスト膜130の上面のうちで反射領域80内の部分を凹凸に加工して凹凸面部130bを形成する。なお、塗布されたレジスト膜130に対して、塗布後露光前にプリベーク処理をしてもよいし、現像後にポストベーク処理をしてもよい。上記フォトレジスト材がネガ型の場合、凹凸面部130bの凹部に対応する位置に露光光を遮光する遮光部が設けられた露光マスクを用いる。この場合、露光マスクの透光部を通過した露光光によって露光された部分が現像工程後にも残り凹凸面部130bの凸部を構成する。逆に、ポジ型のフォトレジスト材を用いる場合、凹部に対応する位置に透光部が設けられた露光マスクを用いればよい。凹凸面部130bの形成については後にさらに説明をする。
上記各工程ST15,ST16,ST17では、各種の成膜技術、パターニング技術等を利用して、反射膜132、画素電極136および配向膜を順次形成する。なお、画素電極136の形成前にコンタクトホール134を形成する。
また、上記各工程ST21,ST22,ST23,ST24では、各種の成膜技術、パターニング技術等を利用して、カラーフィルタ214、トップコート層216、対向電極218および配向膜を順次形成する。
また、貼り合わせ工程ST31および液晶封入工程ST32では、各種の技術を用いて、工程ST10,ST20によって形成された基板100,200を貼り合わせ、基板100,200間に液晶300を封入する。
次に、凹凸面部130bの形成についてさらに説明を加える。凹凸面部130bの凹凸形状は形成条件の設定によって種々に形成することが可能である。例えば、露光マスクのマスクパターンによって上記凹凸形状を制御することが可能である。この点を以下に説明する。
図6に凹凸面部130bを形成する際に利用可能な露光マスク401を説明する平面図を示す。なお、マスクパターンを分かりやすくするために、遮光部420にはハッチングを施している。ここでは、遮光部420の平面パターンが中空の円形の場合を例示する。
この円形のパターンにおいて、中空の円形の内周円と外周円との間の幅をwとし、中空の円形の内周円の直径をdとする。この幅wと直径dとの大きさを変えることで凹凸面部130bの表面を所望の形状にすることができる。凹凸形状はレジスト膜を部分的に取り除いて形成するため、例えば凸部を形成するときに、レジスト膜の除去部分を多くすれば凸部の頂点は低くなり、レジスト膜の除去部分を少なくすれば凸部の頂点は高くなる。円形のパターンの直径dを変えて色々な凹凸面部130bを形成したところ、直径dを大きくすると凸部の頂点が高くなり、直径dを小さくすると凸部の頂点が低くなることが分った。また、凹凸面部130bを微小な面の集合体として捉えこれらの微小面の傾斜角度の分布から凹凸面部130bの形状を把握した場合、幅wを大きくすると傾斜角度の大きい微小面の占める割合が多くなり、幅wを小さくすると傾斜角度の小さい微小面の占める割合が多くなった。
なお、上記傾斜角度とは、微小面の法線と凹凸面部130bの凸部の頂部または凹部の底部の法線とが形成する角度とする。上記の頂部または底部での法線は、ここでは透光性基板112の表面の法線と一致する。また、凹凸面部130bの傾斜角度の分布とは上記微小面の傾斜角度の分布を言うものとする。また、例えば(凹凸面部130bの)傾斜角度が大きいという表現は、傾斜角度分布におけるピークの傾斜角度を比較したときに大きい場合を含むものとし、(凹凸面部130bの)傾斜角度が小さい等の表現についても同様とする。
ここで図7に凹凸面部130bの傾斜角度の分布を例示する。凹凸面部の表面は、図7に示すようにある特定の傾斜角度(図7では10°)の存在率(または存在比)がピークを持ち、そのピークの傾斜角度を境にして傾斜角度が遠ざかるに従って存在率が徐々に下がるように設計されている。ここでこの存在率がピークとなる傾斜角度が異なる複数の凹凸面部を形成し、各凹凸面部における反射率やコントラストを検証した。その結果、ピークとなる傾斜角度を大きくすれば反射領域80の反射率が向上し、傾斜角度が約9°〜約13°で最適になり、それ以上傾斜角度を大きくすると反射率が低下した。ここで、反射率が高いと、液晶300が透過率の最も低い状態にある場合における反射表示の輝度が上昇するので、反射表示でのコントラストの低下が生じうる。すなわち、上記とは逆に、傾斜角度を小さくすると反射表示のコントラストが高くなり、傾斜角度が約3°〜約7°で良好な結果が得られた。
このため、反射表示について反射率を重視する場合、例えば露光マスク401のマスクパターンの設計によって、傾斜角度分布のピークが9°から13°までの範囲に存在するように、凹凸面部130bを形成すればよく、また、コントラストを重視する場合には、上記ピークが3°から7°までの範囲に存在するように、凹凸面部130bを形成すればよい。また、例えば上記の2種類のピークを混在させた凹凸面部130bによれば、反射率とコントラストとのバランスをとることが可能である。
上記のように、補助容量190の容量絶縁膜のうちで第2領域82内の部分は第1領域81内の部分よりも薄い。このため、容量絶縁膜が補助容量190全体において第1領域81内の部分と同じ厚さの場合と比較して、容量(コンデンサ容量)を増大させることができる。換言すれば、容量が同じ場合には、上記薄い容量絶縁膜の採用によって、補助容量190の配置領域を縮小することが可能である。したがって、補助容量190の配置領域の縮小に伴って反射領域80を縮小して透過領域70を拡大することができる。その結果、高精細化等によって画素60のサイズを小さくしても、透過表示の輝度を確保し、さらには増大することができる。
また、液晶パネル50によれば、バックライト光の輝度を増大させなくても透過表示の輝度を確保・増大させることができるので、消費電力の増大を招くことがない。
反射表示については、凹凸面部130bの傾斜角度分布を反射率を重視した分布に制御することによって、反射領域80を縮小しても、反射表示の輝度を確保・増大させることができる。従って、高精細化の液晶パネルであっても、透過・反射の両方で高輝度な液晶パネルを実現することができる。
上記では、薄い容量絶縁膜を補助容量190の一部に適用した場合を例示したが、補助容量190の全体に薄い容量絶縁膜を適用してもよい。
なお、透過型の液晶パネルでは、遮光性要素である補助容量の形状、配置等を工夫することによって画素の開口率を確保し、高精細化を進める試みがなされている。しかし、半透過型の液晶パネルでそのような工夫はなされてこなかった。その一因として、半透過型の液晶パネルは単一の画素内に透過領域と反射領域との両方を有しており反射表示の輝度を確保するためには反射領域の面積を確保する必要があるので、仮に上記工夫を適用した場合であっても上記工夫がそのまま透過領域の開口率確保につながるものではないことが挙げられる。
これに対して、液晶パネル50によれば、薄い容量絶縁膜が適用された小型の補助容量190によって反射領域80の縮小を可能にし、さらには凹凸面部130bの制御によって反射表示の高効率化を可能にする。その結果、反射表示の輝度を確保・増大しつつ、透過領域の拡大、すなわち透過表示の輝度の確保・増大を実現可能である。
さて、反射領域80の第1領域81と第2領域82とでは、容量絶縁膜について絶縁膜118の厚さ分だけ厚みの差が生じる。レジスト膜130によって表面を平坦にすることはできるが、この容量絶縁膜部分での厚みの差が大きくなるとレジスト膜130を設けても確実に平坦にすることができず、第2領域82の部分が第1領域81の部分より少し低くなってしまう。この実施形態では容量絶縁膜の部分の厚みの差が300nmあり、この場合、レジスト膜130の凹凸面部130bにおいて第2領域82内の部分すなわち薄い容量絶縁膜に対向する部分が、隣接する第1領域81内の部分に対して透光性基板112の側へ若干落ち込む場合があることが見出された。上記落ち込みは液晶パネル50において両領域81,82間でギャップの差を生み、当該ギャップ差は反射表示について表示むら等の表示品位の低下を発生させる場合がある。
実施の形態2では上記落ち込みにも対応可能な液晶パネルを説明する。図8に実施の形態2に係る液晶パネル51を説明する断面図を示す。液晶パネル51は上記液晶パネル50において第2基板200を第2基板201に変えた構成を有し、第2基板201は上記第2基板200においてトップコート層216をトップコート層226に変えた構成を有する。
トップコート層226は、第2領域82内の部分すなわち凹凸面部130bの落ち込み部分に対向する部分が第1基板100の側へ隆起しており、その他の構成、配置等は上記トップコート層216と同様である。当該隆起部分の高さ、換言すれば第1領域81内の部分を基準にした隆起量は上記落ち込み部分の落ち込み深さに等しい。このため、トップコート層226によって基板100,200間のギャップが反射領域80内全体で均一化されている。その結果、表示品位の低下を低減・除去することができる。
トップコート層226は、トップコート層形成工程ST22(図5参照)において、例えばカラーフィルタ214上に形成した絶縁性の透明樹脂に対して2回のエッチングを施すことによって形成可能である。より具体的には、上記透明樹脂のうちで透過領域70内の部分を除去するエッチングと、上記透明樹脂のうちで反射領域80の第1領域81内の部分を薄化するエッチングとである。
図8ではトップコート層226の隆起部分が段差を有して設けられた場合を例示しているが、当該隆起部分は段差を有さずに緩やかに隆起する形状であってもよい。
実施の形態3では上記落ち込みそのものが除去された液晶パネルを説明する。図9に実施の形態3に係る液晶パネル52を説明する断面図を示す。液晶パネル52は上記液晶パネル50において第1基板100を第1基板101に変えた構成を有し、第1基板101は上記第1基板100においてレジスト膜130をレジスト膜140に変えた構成を有する。
レジスト膜140の凹凸面部140b(上記凹凸面部130bに対応する)は、第2領域82内の部分すなわち薄い容量絶縁膜に対向する部分と隣接する第1領域81内の部分とで凸部の高さ位置(換言すれば凸部の頂部の位置)が等しい。すなわち、凹凸面部140bは薄い容量絶縁膜に対向する部分においても落ち込んでいない。レジスト膜140のその他の構成、配置等は上記レジスト膜130と同様である。このため、レジスト膜140によって基板100,200間のギャップが反射領域80内全体で均一化され、表示品位の低下を低減・除去することができる。
レジスト膜140の凹凸面部140bは、凹凸形成工程ST14(図5参照)において、凹凸面部130b用とは異なる露光マスクを用いることによって形成可能である。凹凸面部の落ち込みは、露光および現像によって除去されるフォトレジストの量が隣接部分よりも多いことによって起こる。また、フォトレジストが除去されて形成される凹部の形状は、上記のように露光マスクの遮光部420の直径dおよび幅wによって制御可能である。このため、露光マスクの第1領域81と第2領域82とでマスクパターンを異ならせることによって、落ち込みがなく凸部の頂部の位置が揃った凹凸面部140bを形成することが可能である。なお、露光マスクの反射領域80とは露光時にフォトレジスト膜の反射領域80を露光するための領域を指し、第1領域81等についても同様とする。
より具体的には、露光マスクのマスクパターンを、第1領域81内での凸部の頂部が第2領域82内での凸部の頂部に比べて低くなる条件、逆に言えば第2領域82内での凸部の頂部が第1領域81内での凸部の頂部に比べて高くなる条件に設計すればよい。例えば、図10の平面図に示す露光マスク402のように、遮光部420の直径dを、薄い容量絶縁膜に対向する部分である第2領域82内において、第1領域81内に比べて大きく設定する。
ここで、凸部の高さはdを変えることで制御可能であるが、dを領域81,82間で異ならせた場合、凸部の形状すなわち傾斜角度分布が上記凹凸面部130bとは異なったものになる。そこでwを変えることで、凸部の傾斜角度分布を調整することができる。つまり、露光マスク402でd,wの両方を制御することによって、凹凸面部130bの傾斜角度分布との同一性を保ちつつ、凸部の頂部の位置を揃えていることができる。このため、凹凸面部140bによれば、上記凹凸面部130bと同様の特性(例えば反射率重視)を得ることができる。
さて、第1基板100,101の製造により、凹凸面部130bにおいて第1領域81と第2領域82とで傾斜角度分布が異なること、さらにはレジスト膜130が厚いほど凹凸面部130bの傾斜角度が小さくなることが見出された。異なる傾斜角度が混在する場合、反射領域80に対する所望の特性(例えば反射率重視)が十分に得られない可能性がある。そのような場合には、領域81,82での傾斜角度分布の相違を解消するように上記d,wを選定すればよい。
なお、上記では、レジスト膜130,140用のフォトレジスト材がネガ型の場合を例示したが、ポジ型のフォトレジスト材を用いる場合には露光マスク401等において透光部410と遮光部420とを逆にすればよい。また、遮光部420の平面パターン、個数等は上記で例示したものに限定されるものではない。
また、上記ではゲート電極114aが半導体層122に対して透光性基板112の側に位置する構造、すなわちボトムゲート構造の画素TFT180を例示したが、ゲート電極が半導体層に対して第2基板(または液晶)の側に位置するトップゲート構造の画素TFTを適用することも可能である。
50〜52 液晶パネル、60 画素、70 透過領域、80 反射領域、100,101 第1基板、180 画素TFT、190 補助容量、200,201 第2基板、216,226 トップコート層、300 液晶、401,402 露光マスク、ST11 素子形成工程、ST13 レジスト膜形成工程、ST14 凹凸形成工程。