JP2008051903A - アクチュエータ、光スキャナ、および画像形成装置 - Google Patents

アクチュエータ、光スキャナ、および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度に質量部の挙動を検知することができるアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置を提供すること。
【解決手段】本発明のアクチュエータ1は、第2の弾性部28、29の本体部上に形成された抵抗領域を備えたピエゾ抵抗素子41、42とを有し、本体部および抵抗領域のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、本体部と抵抗領域との間には、pn接合が形成されており、ピエゾ抵抗素子41、42の抵抗値の変化に基づいて、第2の質量部25の挙動を検知し、第1の弾性部26、27を捩れ変形させながら第1の質量部21、22を回動させ、これに伴い、第2の弾性部28、29を捩れ変形させながら第2の質量部25を回動させるものであって、pn接合を逆バイアス状態に維持するように、本体部にバイアスを印加する電源回路12を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、アクチュエータ、光スキャナ、および画像形成装置に関するものである。
近年、マイクロマシニング技術を用いて形成された捩り振動子を備えるアクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照。)。かかるアクチュエータは、例えば、レーザープリンタやディスプレイなどの光走査を行うための光スキャナとして用いることができる。
例えば、特許文献1には、1自由度振動系の捩り振動子を備えるアクチュエータが開示されている。このようなアクチュエータは、1自由度振動系の捩り振動子として、ミラー(質量部)をトーションバーにより支持した構造体を有している。この構造体は、Si単結晶基板を加工することにより得られる。そして、ミラーに対し間隔を隔てて電極が設けられており、この電極とミラーとの間に電圧(駆動電圧)を印加することにより、これらの間に静電引力を生じさせ、トーションバーを捩れ変形させながらミラーを回動させる。
また、かかるアクチュエータにあっては、トーションバー上に、p型の拡散抵抗が形成されている。そして、拡散抵抗に電圧を印加しつつ、トーションバーを捩れ変形による拡散抵抗での電圧値を検知する。この検知結果に基づき、拡散領域の比抵抗値の変化量を検知し、その結果に基づき、ミラーの回動角を検知する。このような検知結果に基づいてミラーを回動駆動することにより、ミラーの挙動を所望のものとすることができる。
しかしながら、特許文献1にかかるアクチュエータにあっては、拡散抵抗とトーションバーとの間にpn接合が形成されているため、駆動電圧の電圧値などによっては、このpn接合が順バイアス状態となり、リーク電流を生じる場合がある。この場合、拡散抵抗からトーションバーへ電流がリークし、検出される電圧値が小さくなったり、トーションバーから拡散抵抗へ電流がリークし、検出される電圧値に例えば駆動電圧の周期的な変動がノイズとして混入したりする。その結果、ミラーの挙動の検知精度(感度)の低下を招いてしまう。
特開平5−119280号公報(段落0013、0014等参照。)
本発明の目的は、高精度に質量部の挙動を検知することができるアクチュエータ、光スキャナ、および画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のアクチュエータは、質量部と、
前記質量部を支持するための支持部と、
前記支持部に対し前記質量部を回動可能にするように、弾性変形可能な少なくとも1つの弾性部を備えるとともに前記支持部と前記質量部とを連結する連結部と、
前記質量部を回動駆動させる駆動手段と、
前記質量部の挙動を検知する挙動検知手段とを有し、
前記連結部の少なくとも一つの前記弾性部は、その本体部と、該本体部上に形成された抵抗領域を備えたピエゾ抵抗素子とを有し、前記本体部および前記抵抗領域のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、前記本体部と前記抵抗領域との間には、pn接合が形成されており、
前記挙動検知手段は、前記ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて、前記質量部の挙動を検知し、
前記駆動手段の作動により、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させるように構成されているアクチュエータであって、
前記pn接合を逆バイアス状態に維持するように、前記本体部にバイアスを印加するバイアス印加手段を有することを特徴とする。
これにより、抵抗領域から弾性部の本体部への電流のリーク、および、弾性部の本体部から抵抗領域への電流のリークを防止することができる。その結果、高精度に質量部の挙動を検知することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記駆動手段は、静電引力により駆動するための電極を有し、該電極の電位の最小値が前記本体部の電位とほぼ等しいことが好ましい。
これにより、弾性部の本体部から抵抗領域への電流のリークを防止しつつ、所望の静電引力を生じさせ、質量部を安定的に回動させることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記質量部と前記支持部と前記連結部とは、p型またはn型のシリコン単結晶基板を加工することにより一体的に形成されていることが好ましい。
これにより、優れた機械的強度および振動特性を有するアクチュエータを提供することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記質量部と前記支持部と前記連結部とのうちのいずれかの上には、前記シリコン単結晶基板と同じ導電型でかつ前記シリコン単結晶基板よりも高い濃度で不純物を拡散したシリコンで構成された高導電性領域が形成され、前記バイアス印加手段は、前記高導電性領域を介して前記本体部にバイアスを印加することが好ましい。
これにより、質量部と支持部と連結部とのいずれかと高導電性領域とをオーミック接合させ、バイアスを効率的に本体部へ印加することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記高導電性領域は、前記本体部上に、前記抵抗領域の外周を囲むように形成されていることが好ましい。
これにより、高導電性領域がシールドとしても機能する。そのため、外部から抵抗領域へのノイズの混入を防止することができる。その結果、より高精度に質量部の挙動を検知することができる。また、高導電性領域と抵抗領域との間の距離が小さくなるため、バイアスをより効率的に本体部へ印加することができる。その結果、より確実かつ簡単に、pn接合を逆バイアス状態に維持することができる。
本発明のアクチュエータでは、前記高導電性領域の厚さは、前記抵抗領域の厚さよりも大きいことが好ましい。
これにより、高導電性領域のシールドとしての機能を向上させることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記各連結部は、第1の質量部と、前記第1の質量部を前記支持部に対し回動可能とするように、前記第1の質量部と前記支持部とを連結する第1の弾性部と、前記質量部を第2の質量部として前記第1の質量部に対し回動可能とするように、前記第1の質量部と前記第2の質量部とを連結する第2の弾性部とを有し、前記弾性部が前記第1の弾性部および前記第2の弾性部で構成され、前記駆動手段の作動により、前記第1の弾性部を捩れ変形させながら前記第1の質量部を回動させ、これに伴い、前記第2の弾性部を捩れ変形させながら前記第2の質量部を回動させるように構成されており、前記第2の弾性部が、前記本体部および前記抵抗領域を有することが好ましい。
これにより、本発明を2自由度振動系のアクチュエータに適用することができる。このようなアクチュエータは、第1の質量部の回動角を抑えつつ、第2の質量部の回動角を大きくすることができる。したがって、第2の弾性部に抵抗領域が設けられていると、第2の質量部(質量部)の回動に伴う抵抗領域の抵抗値変化を大きくすることができる。その結果、質量部の挙動検知の検知精度の向上を図ることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記駆動手段は、前記第1の質量部に対し間隔を隔てて対向する電極を備え、該電極と前記第1の質量部との間に電圧を印加することにより、前記電極と前記第1の質量部との間に静電引力を生じさせ、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させることが好ましい。
これにより、弾性部の本体部から抵抗領域への電流のリークを防止しつつ、第2の質量部の必要な所望の静電引力を生じさせ、第2の質量部を回動させることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記電極および前記第1の質量部は、それぞれが櫛歯状をなす部分を有し、これらが互いに噛み合うように配設されていることが好ましい。
これにより、第1の質量部の回動角を大きくし、これに伴って、第2の質量部の回動角を大きくすることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記挙動検知手段は、前記抵抗領域に電圧を印加しつつ、前記抵抗領域の電圧値を検知し、その結果に基づき、前記抵抗領域の抵抗値を検知するように構成されており、前記本体部の電位をVbとし、前記pn接合の拡散電位をVpnとし、前記抵抗領域の電位をVsとしたとき、前記バイアス印加手段は、Vb−Vs>Vpnなる関係を満たすように、前記バイアスを印加することが好ましい。
これにより、抵抗領域から弾性部の本体部への電流のリーク、および、弾性部の本体部から抵抗領域への電流のリークをより確実に防止することができる。
本発明の光スキャナは、光反射性を有する光反射部を備えた質量部と、
前記質量部を支持するための支持部と、
前記支持部に対し前記質量部を回動可能にするように、弾性変形可能な少なくとも1つの弾性部を備えるとともに前記支持部と前記質量部とを連結する連結部と、
前記質量部を回動駆動させる駆動手段と、
前記質量部の挙動を検知する挙動検知手段とを有し、
前記連結部の少なくとも一つの前記弾性部は、その本体部と、該本体部上に形成された抵抗領域を備えたピエゾ抵抗素子とを有し、前記本体部および前記抵抗領域のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、前記本体部と前記抵抗領域との間には、pn接合が形成されており、
前記挙動検知手段は、前記ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて、前記質量部の挙動を検知し、
前記駆動手段の作動により、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成されている光スキャナであって、
前記pn接合を逆バイアス状態に維持するように、前記本体部にバイアスを印加するバイアス印加手段を有することを特徴とする。
これにより、高精度に質量部の挙動を検知し、その検知結果に基づいて質量部を駆動することで、長期に亘り光走査を所望の範囲で行うことができる。
本発明の画像形成装置は、光反射性を有する光反射部を備えた質量部と、
前記質量部を支持するための支持部と、
前記支持部に対し前記質量部を回動可能にするように、弾性変形可能な少なくとも1つの弾性部を備えるとともに前記支持部と前記質量部とを連結する連結部と、
前記質量部を回動駆動させる駆動手段と、
前記質量部の挙動を検知する挙動検知手段とを有し、
前記連結部の少なくとも一つの前記弾性部は、その本体部と、該本体部上に形成された抵抗領域を備えたピエゾ抵抗素子とを有し、前記本体部および前記抵抗領域のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、前記本体部と前記抵抗領域との間には、pn接合が形成されており、
前記挙動検知手段は、前記ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて、前記質量部の挙動を検知し、
前記駆動手段の作動により、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成されている光スキャナを備え、該光スキャナが光を主走査または副走査することにより画像を形成する画像形成装置であって、
前記pn接合を逆バイアス状態に維持するように、前記本体部にバイアスを印加するバイアス印加手段を有することを特徴とする。
これにより、長期に亘り、光走査を所望の範囲で行って、優れた画像を得ることができる。
以下、本発明のアクチュエータの好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明のアクチュエータの第1実施形態を説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す平面図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1中のB−B線断面図、図4は、図1に示すアクチュエータの第2の質量部および第2の弾性部を示す部分拡大斜視図、図5および図6は、それぞれ、図1に示すアクチュエータに備えられたピエゾ抵抗素子を説明するための図、図7は、(001)面シリコン基板における結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示す図、図8は、図1に示すアクチュエータの制御系の概略構成を示す図、図9は、図1に示すアクチュエータの駆動電圧の電圧波形の一例を示す図、図10は、図1に示すアクチュエータの駆動電圧として交流電圧を用いた場合における交流電圧の周波数と、第1の質量部および第2の質量部のそれぞれの振幅との関係を示すグラフである。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図2中および図3中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
アクチュエータ1は、図1ないし図3に示すような2自由度振動系を有する基体2と、この基体2を支持する支持基板3とを有している。
基体2は、1対の第1の質量部(駆動部)21、22と、1対の支持部23、24と、第2の質量部(可動部)25と、1対の第1の弾性部26、27と、1対の第2の弾性部28、29と、1対の電極32、33とを備えている。ここで、第1の質量部21と第1の弾性部26と第2の弾性部28とは、質量部である第2の質量部25を支持部23に対し回動可能とするように、第2の質量部25と支持部23とを連結する連結部である。これと同様に、第1の質量部22と第1の弾性部27と第2の弾性部29とは、質量部である第2の質量部25を支持部24に対し回動可能とするように、第2の質量部25と支持部24とを連結する連結部である。
このようなアクチュエータ1にあっては、1対の電極32、33に電圧を印加することにより、1対の第1の弾性部26、27を捩れ変形させながら1対の第1の質量部21、22を回動させ、これに伴って、1対の第2の弾性部28、29を捩れ変形させながら第2の質量部25を回動させる。このとき、1対の第1の質量部21、22および第2の質量部25は、それぞれ、図1に示す回動中心軸Xを中心にして回動する。
1対の第1の質量部21、22は、それぞれ、板状をなし、互いにほぼ同一寸法でほぼ同一形状をなしている。
また、第1の質量部21の平面視にて回動中心軸Xに直角な方向での両端部(回動中心軸Xからの遠位側の両端部)には、櫛歯状をなす櫛歯状電極部211、212が設けられている。これと同様に、第1の質量部22の平面視にて回動中心軸Xに直角な方向での両端部(回動中心軸Xからの遠位側の両端部)には、櫛歯状をなす櫛歯状電極部221、222が設けられている。
また、1対の質量部21、22の間には、第2の質量部25が設けられており、1対の質量部21、22は、図1における平面視にて、第2の質量部25を中心として、ほぼ左右対称となるように設けられている。
第2の質量部25は、板状をなし、その板面に光反射部251が設けられている。これにより、アクチュエータ1を光スキャナ、光アッテネータ、光スイッチなどの光学デバイスに適用することができる。
このような第1の質量部21、22および第2の質量部25にあっては、第1の質量部21が第1の弾性部26を介して支持部23に支持され、第2の質量部25が第2の弾性部28を介して第1の質量部21に支持されている。これと同様に、第1の質量部22が第1の弾性部27を介して支持部24に支持され、第2の質量部25が第2の弾性部29を介して第1の質量部21、22に支持されている。
支持部23、24は、それぞれ、支持基板3上に固定されている。そして、支持部23上には、基体2(シリコン単結晶基板)と同じ導電型でかつ基体2(シリコン単結晶基板)よりも高い濃度で不純物を拡散したシリコンで構成された高導電性領域231が形成されている。この高導電性領域231は、後述する電源回路12に接続されている。
また、支持部23上には、図示しない絶縁層を介して、後述するピエゾ抵抗素子41に接続された端子416〜419が設けられている。
一方、支持部24上には、図示しない絶縁層を介して、後述するピエゾ抵抗素子42に接続された端子426〜429が設けられている。
第1の弾性部26は、第1の質量部21を支持部23に対して回動可能とするように、第1の質量部21と支持部23とを連結している。これと同様に、第1の弾性部27は、第1の質量部22を支持部24に対して回動可能とするように、第1の質量部22と支持部24とを連結している。
第2の弾性部28は、第2の質量部25を第1の質量部21に対して回動可能とするように、第2の質量部25と第1の質量部21とを連結している。これと同様に、第2の弾性部29は、第2の質量部25を第1の質量部22に対して回動可能とするように、第2の質量部25と第1の質量部22とを連結している。
各第1の弾性部26、27および各第2の弾性部28、29は、同軸的に設けられており、これらを回動中心軸(回転軸)Xとして、第1の質量部21、22が支持部23、24に対して、また、第2の質量部25が第1の質量部21、22に対して回動可能となっている。
このように、基体2は、第1の質量部21、22と第1の弾性部26、27とで構成された第1の振動系と、第2の質量部25と第2の弾性部28、29とで構成された第2の振動系とを有する。すなわち、基体2は、第1の振動系および第2の振動系からなる2自由度振動系を有する。
このような2自由度振動系は、図2および図3に示すように、基体2の全体の厚さよりも薄く形成されているとともに、基体2の上部に位置している。換言すれば、基体2には、基体2の全体の厚さよりも薄い部分が形成されており、この薄い部分に異形孔が形成されることにより、第1の質量部21、22と第2の質量部25と第1の弾性部26、27と第2の弾性部28、29とが形成されている。
本実施形態では、前記薄肉部の上面が支持部23、24の上面と同一面上に位置することにより、前記薄い部分の下方には、各質量部21、22、25の回動のための空間(凹部)30が形成されている。
このような基体2は、後述するように、p型シリコン単結晶基板またはn型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである。すなわち、第1の質量部21、22と、第2の質量部25と、支持部23、24と、第1の弾性部26、27と、第2の弾性部28、29とは、p型シリコン単結晶基板またはn型シリコン単結晶基板を加工することにより一体的に形成されたものである。これにより、優れた機械的強度および振動特性を有するアクチュエータ1を提供することができる。
そして、基体2が(001)面のp型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、第1の弾性部26、27および第2の弾性部28、29は、それぞれ、(001)面のp型シリコン単結晶基板の<110>方向に沿って延在している。一方、基体2が(001)面のn型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、第1の弾性部26、27および第2の弾性部28、29は、(001)面のn型シリコン単結晶基板の<100>方向または<010>方向に沿って延在している。
なお、基体2は、SOI基板等の積層構造を有する基板から、第1の質量部21、22と、第2の質量部25と、支持部23、24と、第1の弾性部26、27と、第2の弾性部28、29と、電極32、33とを形成したものであってもよい。その際、第1の質量部21、22と、第2の質量部25と、支持部23、24の一部と、第1の弾性部26、27と、第2の弾性部28、29とが一体的となるように、これらを積層構造の基板の1つの層で構成するのが好ましい。
前述した第2の弾性部28の上面には、図1および図4に示すように、ピエゾ抵抗素子41が設けられている。これと同様に、図1および図4に示すように、第2の弾性部29の上面には、ピエゾ抵抗素子42が設けられている。
より具体的には、ピエゾ抵抗素子41は、第2の質量部25の平面視にて、回動中心軸X方向における第2の弾性部28の中央部に設けられている。
このピエゾ抵抗素子41は、図5および図6に示すように、第2の弾性部28の本体部281上に設けられたn型またはp型の不純物の拡散あるいはイオン注入により形成された抵抗領域411と、抵抗領域411上に回動中心軸X方向に並接された1対の入力電極412、413と、抵抗領域411上に回動中心軸Xに対し直角な方向に並接された1対の出力電極414、415とを有している。
抵抗領域411は、第2の弾性部28表面に不純物をドーピングすることにより形成されたものである。より具体的には、基体2がp型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、第2の弾性部28表面にリンなどの不純物をドーピングすることにより形成されたn型シリコン単結晶(n型抵抗領域)である。一方、基体2がn型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、第2の弾性部28表面にボロンなどの不純物をドーピングすることにより形成されたp型シリコン単結晶(p型抵抗領域)である。
したがって、第2の弾性部28は、その本体部281および抵抗領域411のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、本体部281と抵抗領域411との間には、pn接合が形成されている。
そして、基体2が(001)面のp型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、抵抗領域411の<110>方向(すなわち、回動中心軸X方向)に沿って、第2の弾性部28が延在している。一方、基体2が(001)面のn型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、抵抗領域411の<100>方向または<010>方向(すなわち、回動中心軸X方向)に沿って、第2の弾性部28が延在している。
このような結晶方位に沿って第2の弾性部28が延在していると、第2の弾性部28の捩れ変形により抵抗領域411にせん断応力が生じたとき、抵抗領域411の比抵抗値の変化率を最も大きくすることができる。
ここで、抵抗領域411における結晶方位と比抵抗値の変化率との関係を説明する。
第2の弾性部28が捩れ変形すると、第2の弾性部28の上面には引張応力や圧縮応力よりもせん断応力が支配的に生じる。これにより、抵抗領域411にせん断応力が生じる。
一方、シリコン単結晶(立方晶)にせん断応力τxyが生じたとき、シリコン単結晶における比抵抗の変化率Δρxy/ρは、次の式(1)のように表される。
Δρxy/ρ=πτxy・・・(1)
ここで、πは、ピエゾ抵抗係数である。
式(1)から明らかなように、一定のせん断応力τxyのもとでは、ピエゾ抵抗係数πが大きいほど、シリコン単結晶における比抵抗の変化率Δρxy/ρが大きくなる。すなわち、ピエゾ抵抗係数πが大きいほど、シリコン単結晶に生じたせん断応力τxyに対しシリコン単結晶の比抵抗値が大きく変化する。
ピエゾ抵抗係数はシリコン単結晶の結晶構造による異方性を有しており、シリコン単結晶がp型である場合には、ピエゾ抵抗係数πは、図7(a)に示すように、<010>方位または<100>方位で最大となる。一方、シリコン単結晶がn型である場合には、ピエゾ抵抗係数πは、図7(b)に示すように、<110>方位で最大となる。
アクチュエータ1では、前述したように基体2が(001)面のp型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、抵抗領域411は、n型のシリコン単結晶であり、かつ、抵抗領域411の<110>方向(すなわち、回動中心軸X方向)に沿って、第2の弾性部28が延在している。一方、基体2が(001)面のn型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、抵抗領域411は、p型のシリコン単結晶であり、かつ、抵抗領域411の<100>方向または<010>方向(すなわち、回動中心軸X方向)に沿って、第2の弾性部28が延在している。
そのため、抵抗領域411に生じたせん断応力に対し抵抗領域411の比抵抗値が大きく変化する。
このような抵抗領域411上における回動中心軸X方向での両端部のうち、一端部(図5および図6にて左側の端部)に入力電極412が設けられ、他端部(図5および図6にて右側の端部)に入力電極413が設けられている。入力電極412は、前述した支持部23上に設けられた端子416に接続され、入力電極413は、前述した支持部23上に設けられた端子417に接続されている(図1参照)。このような端子416、417を介して1対の入力電極412、413間に電圧を印加することができる。
また、抵抗領域411上における回動中心軸Xに対し直角な方向での両端部のうち、一端部(図5および図6にて上側の端部)に出力電極414が設けられ、他端部(図5および図6にて下側の端部)に出力電極415が設けられている。出力電極414は、前述した支持部23上に設けられた端子418に接続され、出力電極415は、前述した支持部23上に設けられた端子419に接続されている(図1参照)。このような端子418、419を介して1対の出力電極414、415間の電圧値や比抵抗値を検知することができる。
このように構成されたピエゾ抵抗素子41にあっては、1対の入力電極412、413を介して抵抗領域411に電界を印加しつつ、1対の出力電極414、415を介して抵抗領域411の電圧値を検知することにより、抵抗領域411の比抵抗値を検知することができる。
より具体的に説明すると、1対の入力電極412、413間に電圧を印加することにより、抵抗領域411上に電界を生じさせる。そして、このような電界のもと、抵抗領域411にせん断応力が生じると、そのせん断応力の程度に応じて、抵抗領域411の比抵抗値が変化し、1対の出力電極414、415間に電位差が生じる。この電位差は、第2の弾性部28の捩れ変形量や第2の質量部25の回動角に応じたものである。したがって、この電位差に基づき、第2の質量部25の挙動を検知することができる。
このようなピエゾ抵抗素子41にあっては、第2の質量部25の回動量に対する抵抗領域411の比抵抗値変化を電圧値変化として検知するとともに、その電圧値変化を第2の弾性部28上のせん断応力のみによるものとすることができる。そのため、より高精度に第2の質量部25の挙動を検知し、第2の質量部25の挙動をより確実に所望のものとすることができる。
また、前述したピエゾ抵抗素子41と同様に、ピエゾ抵抗素子42も、図5および図6に示すように、第2の弾性部29上に設けられたn型またはp型の抵抗領域421と、抵抗領域421上に回動中心軸X方向に並接された1対の入力電極422、423と、抵抗領域421上に回動中心軸Xに対し直角な方向に並接された1対の出力電極424、425とを有している。
抵抗領域421は、第2の弾性部29表面に不純物をドーピングすることにより形成されたものである。したがって、第2の弾性部28と同様に、第2の弾性部29も、その本体部291および抵抗領域421のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、本体部291と抵抗領域421との間には、pn接合が形成されている。
また、基体2が(001)面のp型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、抵抗領域421の<110>方向(すなわち、回動中心軸X方向)に沿って、第2の弾性部29が延在している。一方、基体2が(001)面のn型シリコン単結晶基板を加工することにより形成されたものである場合、抵抗領域421の<100>方向または<010>方向(すなわち、回動中心軸X方向)に沿って、第2の弾性部29が延在している。
このような結晶方位に沿って第2の弾性部29が延在していると、第2の弾性部29の捩れ変形により抵抗領域421にせん断応力が生じたとき、前述した抵抗領域411と同様に、抵抗領域421の比抵抗値の変化率を最も大きくすることができる。
このような抵抗領域421上における回動中心軸X方向での両端部のうち、一端部(図6にて左側の端部)に入力電極422が設けられ、他端部(図6にて右側の端部)に入力電極423が設けられている。入力電極422は、前述した支持部24上に設けられた端子426に接続され、入力電極423は、前述した支持部24上に設けられた端子427に接続されている(図1参照)。このような端子426、427を介して1対の入力電極422、423間に電圧を印加することができる。
また、抵抗領域421上における回動中心軸Xに対し直角な方向での両端部のうち、一端部(図6にて上側の端部)に出力電極424が設けられ、他端部(図6にて下側の端部)に出力電極425が設けられている。出力電極424は、前述した支持部24上に設けられた端子428に接続され、出力電極425は、前述した支持部24上に設けられた端子429に接続されている(図1参照)。このような端子428、429を介して1対の出力電極424、425間の電圧値や比抵抗値を検知することができる。
このように構成されたピエゾ抵抗素子42にあっては、1対の入力電極422、423を介して抵抗領域421に電界を印加しつつ、1対の出力電極424、425を介して抵抗領域421の電圧値を検知することにより、抵抗領域421の比抵抗値を検知することができる。
より具体的に説明すると、1対の入力電極422、423間に電圧を印加することにより、抵抗領域421上に電界を生じさせる。そして、このような電界のもと、抵抗領域421にせん断応力が生じると、そのせん断応力の程度に応じて、抵抗領域421の比抵抗値が変化し、1対の出力電極414、415間に電位差が生じる。この電位差は、第2の弾性部29の捩れ変形量や第2の質量部25の回動角に応じたものである。したがって、この電位差に基づいて、第2の質量部25の挙動を検知することができる。
このようにピエゾ抵抗素子42が構成されていると、第2の質量部25の回動量に対する抵抗領域421の比抵抗値変化を電圧値変化として検知するとともに、その電圧値変化を第2の弾性部29上のせん断応力のみによるものとすることができる。そのため、より高精度に第2の質量部25の挙動を検知し、第2の質量部25の挙動をより確実に所望のものとすることができる。
特に、抵抗領域411、421の結晶方位と第2の弾性部28、29の延在方向(第2の質量部25の回動中心軸X方向)との関係が最適化され、第2の質量部25の回動に伴って第2の弾性部28、29上に生じたせん断応力により抵抗領域411、421の比抵抗値が大きく変化する。そのため、抵抗領域411、421の比抵抗値に基づき、高精度に第2の質量部25の挙動を検知し、第2の質量部25の挙動を所望のものとすることができる。
このようなピエゾ抵抗素子41、42において、抵抗領域411、421中の不純物濃度は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、1.0×1018〜1.0×1020cm−3であるのが好ましい。また、本実施形態では、図示しないが、図2にて基体2の上面には、入力電極412、413および出力電極414、415上を除き、シリコン酸化膜や樹脂膜などの絶縁層が形成され、この絶縁層上に金属製の端子416〜419、426〜429や金属製の配線が形成されている。
また、電極32、33は、第1の質量部21、22と第2の質量部25と支持部23、24と第1の弾性部26、27と第2の弾性部28、29とに対し、離間している。これにより、電極32、33は、第1の質量部21、22と第2の質量部25と支持部23、24と第1の弾性部26、27と第2の弾性部28、29に対し電気的に絶縁されている。
また、電極32は、前述した第1の質量部21の櫛歯状電極部211に対し間隔を隔てつつ噛み合うように設けられた櫛歯状電極部321と、第1の質量部22の櫛歯状電極部221に対し間隔を隔てつつ噛み合うように設けられた櫛歯状電極部322とが形成されている。
これと同様に、電極33は、前述した第1の質量部21の櫛歯状電極部212に対し間隔を隔てつつ噛み合うように設けられた櫛歯状電極部331と、第1の質量部22の櫛歯状電極部222に対し間隔を隔てつつ噛み合うように設けられた櫛歯状電極部332とが形成されている。
ここで、櫛歯状電極部211は、櫛歯状電極部321に対し、上下方向に初期変位しているのが好ましい。これと同様に、櫛歯状電極部212は櫛歯状電極部331に対し、櫛歯状電極部221は櫛歯状電極部322に対し、櫛歯状電極部222は櫛歯状電極部332に対し、上下方向に初期変位しているのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の回動駆動の開始を簡単にすることができる。
電極32、33は、後述する電源回路12に接続されており、電極32、33に交流電圧(駆動電圧)を印加できるよう構成されている。
前述したような基体2に接合した支持基板3は、例えば、ガラスやシリコンを主材料として構成されている。
支持基板3の上面には、図2および図3に示すように、第2の質量部25に対応する部分に開口部31が形成されている。
この開口部31は、第2の質量部25が回動(振動)する際に、支持基板3に接触するのを防止する逃げ部を構成する。開口部(逃げ部)31を設けることにより、アクチュエータ1全体の大型化を防止しつつ、第2の質量部25の振れ角(振幅)をより大きく設定することができる。
なお、前述したような逃げ部は、前記効果を十分に発揮し得る構成であれば、必ずしも支持基板3の下面(第2の質量部25と反対側の面)で開放(開口)していなくてもよい。すなわち、逃げ部は、支持基板3の上面に形成された凹部で構成することもできる。また、空間30の深さが第2の質量部25の振れ角(振幅)に対し大きい場合などには、逃げ部を設けなくともよい。
ここで、アクチュエータ1の制御系を説明する。
本実施形態にかかるアクチュエータ1は、図8に示すように、前述したピエゾ抵抗素子41、42に接続された検知回路11と、電極32、33(高導電性領域231、323、333)に電圧を印加する電源回路12と、検知回路11の出力信号に応じて電源回路12の駆動を制御する制御回路13(制御手段)とを有している。
検知回路11は、ピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値変化に応じた電圧を増幅する差動増幅回路112(差動アンプ)を有している。このように構成された検知回路11は、ピエゾ抵抗素子41、42の歪み量(変形量)に応じた信号を出力するようになっている。すなわち、検知回路11は、前述した第2の弾性部28、29上に設けられたピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値の変化に基づいて、第2の質量部25の挙動を検知するように構成されている。つまり、検知回路11とピエゾ抵抗素子41、42とが、質量部25の挙動を検知する挙動検知手段を構成する。
電源回路12は、高導電性領域231、323、333に接続され、基体2(より具体的には第2の弾性部28、29の本体部)の電位を所望の電位に維持しつつ、電極32、33と基体2との間(より具体的には櫛歯状電極部211と櫛歯状電極部321との間等)に駆動電圧を印加するように構成されている。このような電源回路12は、前述した第2の弾性部28の本体部281と抵抗領域411との間のpn接合や、第2の弾性部29の本体部291と抵抗領域421との間のpn接合(以下、これらのpn接合を単に「pn接合」とも言う。)を逆バイアス状態に維持しつつ、駆動電圧を印加する。
ここで、電極32、33および電源回路12は、第1の質量部21、22を回動駆動させる駆動手段を構成する。また、電源回路12および高導電性領域231は、前述した本体部と抵抗領域との間のpn接合を逆バイアス状態に維持するように、本体部にバイアスを印加するバイアス印加手段を構成する。
制御回路13は、検知回路11の出力信号に基づき、電源回路12の駆動を制御するように構成されている。
以上のような構成のアクチュエータ1は、次のようにして駆動する。
例えば、電源回路12の作動により、図9に示すように、第1の質量部21、22に電位Vbを印加しつつ、電極32の電位と電極33の電位とに、それぞれ、振幅Vaの交流電位に電位(Va+Vb)の直流電位を重畳した電位を印加する。これにより、基体2の電位は常にVbに維持したまま、電極32と基体2との間と、電極33と基体2との間には、それぞれ、最大値Va×2〔V〕、最小値0〔V〕で周期的に変化する電位差が生じる。
このようにして、電源回路12がpn接合を逆バイアス状態に維持するように、本体部281、291にバイアスを印加する。
特に、図9に示すように、本体部281、291の電位をVbとし、pn接合の拡散電位をVpnとし、抵抗領域411、421の電位をVsとしたとき、Vb−Vs>Vpnなる関係を満たすように、電源回路12が前記バイアスを印加する。
これにより、抵抗領域411から弾性部28の本体部281への電流のリーク、および、弾性部28の本体部281から抵抗領域411への電流のリークをより確実に防止することができる。また、抵抗領域421から弾性部29の本体部291への電流のリーク、および、弾性部29の本体部291から抵抗領域421への電流のリークをより確実に防止することができる。以下、これらの電流のリークを単に「電流のリーク」とも言う。
また、前述したようにバイアスを印加することにより、電流のリークを防止しつつ、電極32、33と基体2との間に所望の静電引力を生じさせ、第2の質量部25を回動させることができる。
前述したような電位差により、電極32と第1の質量部21、22との間(より具体的には、櫛歯状電極部321と櫛歯状電極部211との間、および、櫛歯状電極部322と櫛歯状電極部221との間)と、電極33と第1の質量部21、22との間(より具体的には、櫛歯状電極部331と櫛歯状電極部212との間、および、櫛歯状電極部332と櫛歯状電極部222との間)とに静電引力が生じる。
この静電気力により、第1の弾性部26、27を軸に(すなわち、回動中心軸Xまわりに)、支持基板3の板面(図1における紙面)に対して傾斜するように振動(回動)する。
そして、この第1の質量部21、22の振動(駆動)に伴って、第2の弾性部28、29を介して連結されている第2の質量部25も、第2の弾性部28、29を軸に(すなわち、回動中心軸Xまわりに)、支持基板3の板面(図1における紙面)に対して傾斜するように振動(回動)する。
このとき、捩れ変形する第2の弾性部28、29上では、主にせん断応力を生じる。これにより、ピエゾ抵抗素子41、42がそれぞれせん断応力を受ける。
より具体的には、例えば、第2の質量部25の回動に際し第2の弾性部28が捩れ変形すると、ピエゾ抵抗素子41の抵抗領域411には、図6にて矢印で示すような方向にせん断応力が生じる。
これと同様に、第2の質量部25を回動に際し第2の弾性部29が捩れ変形すると、ピエゾ抵抗素子42の抵抗領域421には、図6にて矢印で示すような方向にせん断応力が生じる。
このようなせん断応力を受ける抵抗領域411、421は、図6に示すように、互いの電界の方向が同方向となっている。そのため、第2の質量部25の回動に伴い、ピエゾ抵抗素子41の比抵抗値とピエゾ抵抗素子42の比抵抗値とは、一方が増加し、他方が減少する。
このようなピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値の変化は、それぞれ、第2の弾性部28の捩れ変形量(第2の質量部25の回動量)に応じたものとなる。
このように第2の質量部25の回動に伴ってピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値が変化すると、その変化量に応じて、図5に示す検知回路11の出力信号(電圧値)も変化する。
すなわち、検知回路11からの出力信号は、第2の質量部25の挙動(例えば、回動角、振幅、振動数など)に対応したものとなる。
したがって、制御回路13は、検知回路11からの出力信号に基づき、電源回路12の駆動を制御して、第2の質量部25の挙動を所望のものとすることができる。
特に、アクチュエータ1では、ピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値変化に応じた電圧を差動増幅回路112にて増幅するように構成されているため、ピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値変化(電圧値変化)を高精度に(高感度で)検知することができる。その結果、より高精度に第2の質量部25の挙動を検知することができる。
ここで、ピエゾ抵抗素子41における電界の方向とピエゾ抵抗素子42における電界の方向とが互いに同方向であるため、これらの比抵抗値変化に応じた電圧を差動増幅回路112にて増幅でき、ピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値変化をより高精度に(高感度で)検知することができる。その結果、さらに高精度に第2の質量部25の挙動を検知することができる。
また、1対のピエゾ抵抗素子41、42は平面視にて互いに第2の質量部25に対して対称に設けられているため、ピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値変化を電圧値変化としてさらに高精度に(高感度で)検知することができる。その結果、極めて高精度に第2の質量部25の挙動を検知することができる。
以上説明したように、本実施形態のアクチュエータ1は、前述したように、電源回路12が、前述した第2の弾性部28の本体部281と抵抗領域411との間のpn接合や、第2の弾性部29の本体部291と抵抗領域421との間のpn接合を逆バイアス状態に維持するように、基体2(本体部281、291)にバイアスを印加する。そのため、抵抗領域411から弾性部28の本体部281への電流のリーク、および、弾性部28の本体部281から抵抗領域411への電流のリークを防止することができる。また、抵抗領域421から弾性部29の本体部291への電流のリーク、および、弾性部29の本体部291から抵抗領域421への電流のリークを防止することができる。その結果、高精度に第2の質量部25の挙動を検知することができる。
特に、本実施形態では、電極32、33の電位の最小値が基体2(本体部281、291)の電位とほぼ等しいため、前述したような電流のリークを防止しつつ、所望の静電引力を生じさせ、第1の質量部21、22を安定的に回動させ、ひいては、第2の質量部25を安定的に回動させることができる。
また、電源回路12が高導電性領域231を介して本体部281、291にバイアスを印加するため、バイアスを効率的に本体部281、291へ印加することができる。これは、支持部23と高導電性領域231とがオーミック接合されていることによるものである。
また、抵抗領域411が第2の弾性部28に設けられ、また、抵抗領域421が第2の弾性部29に設けられているため、第2の質量部25(質量部)の回動に伴う抵抗領域411、421の抵抗値変化を大きくすることができる。その結果、第2の質量部25の挙動検知の検知精度の向上を図ることができる。
また、抵抗領域411、421の結晶方位と第2の弾性部28、29の延在方向(回動中心軸X方向)との関係が最適化されているため、第2の質量部25の回動に伴って第2の弾性部28、29上に生じたせん断応力により抵抗領域411、421の比抵抗値が大きく変化する。そのため、抵抗領域411、421の比抵抗値に基づき、高精度に第2の質量部25の挙動を検知し、第2の質量部25の挙動を所望のものとすることができる。
前述したような抵抗領域411、412は第2の弾性部28、29表面に不純物をドーピングすることにより形成されたものであるため、比較的簡単に、抵抗領域411、421の結晶方位を所望のもの、すなわち、抵抗領域411、421の結晶方位を回動中心軸X方向に正確に平行とすることができる。
また、本実施形態では、ピエゾ抵抗素子41は第2の弾性部28の長手方向での中央部に設けられ、ピエゾ抵抗素子42は第2の弾性部29の長手方向での中央部に設けられている。第2の弾性部28、29の捩れ変形に伴って第2の弾性部28、29上に生じるせん断応力は、第2の弾性部28、29の長手方向での中央部で、長手方向に亘ってほぼ一定となっている。そのため、アクチュエータ1の製造時に抵抗領域411、412を形成するに際し、その形成位置に高精度を要しなくても、アクチュエータ1の製品ごとの品質のバラツキを少なくすることができる。その結果、アクチュエータ1の低コスト化を図ることができる。
なお、ピエゾ抵抗素子41は第2の弾性部28の長手方向での端部に設けられていてもよく、また、ピエゾ抵抗素子42は第2の弾性部29の長手方向での端部に設けられていてもよい。第2の弾性部28、29の捩れ変形により第2の弾性部28、29上に生じるせん断応力は、第2の弾性部28、29の長手方向での中央部から端部に向け大きくなっている。そのため、前述したようにピエゾ抵抗素子41、42を配置すると、第2の質量部25の回動角に対するピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値の変化量を大きくして、第2の質量部25の検知精度の向上を図ることができる。
また、第1の質量部21の回動中心軸Xからこれにほぼ垂直な方向(長手方向)での長さ(最大長)をLとし、第1の質量部22の回動中心軸Xからこれにほぼ垂直な方向(長手方向)での長さ(最大長)をLとし、第2の質量部25の回動中心軸Xからこれにほぼ垂直な方向(長手方向)での長さ(最大長)をLとしたとき、本実施形態では、第1の質量部21、22が、それぞれ独立して設けられているため、第2の質量部25の大きさ(長さL)にかかわらず、第1の質量部21、22と第2の質量部25とが干渉せず、LおよびLを小さくすることができる。これにより、第1の質量部21、22の回転角度(振れ角)を大きくすることができ、その結果、第2の質量部25の回転角度を大きくすることができる。
また、第1の質量部21、22および第2の質量部25の寸法は、それぞれ、L<LかつL<Lなる関係を満足するよう設定されるのが好ましい。
前記関係を満たすことにより、LおよびLをより小さくすることができ、第1の質量部21、22の回転角度をより大きくすることができ、第2の質量部25の回転角度をさらに大きくすることができる。
この場合、第2の質量部25の最大回転角度が、20°以上となるように構成されるのが好ましい。
これらによって、第1の質量部21、22の低電圧駆動と、第2の質量部25の大回転角度での振動(回動)とを実現することができる。
このため、このようなアクチュエータ1を、例えばレーザープリンタや、走査型共焦点レーザー顕微鏡等の装置に用いられる光スキャナに適用した場合には、より容易に装置を小型化することができる。
なお、前述したように、本実施形態では、LとLとはほぼ等しく設定されているが、LとLとが異なっていてもよいことは言うまでもない。
ところで、このような質量部21、22、25の振動系(2自由度振動系)では、第1の質量部21、22および第2の質量部25の振幅(振れ角)と、印加する交流電圧の周波数との間に、図9に示すような周波数特性が存在している。
すなわち、かかる振動系は、第1の質量部21、22の振幅と、第2の質量部25の振幅とが大きくなる2つの共振周波数fm[kHz]、fm[kHz](ただし、fm<fm)と、第1の質量部21、22の振幅がほぼ0となる、1つの反共振周波数fm[kHz]とを有している。
この振動系では、電極32、33に印加する交流電圧の周波数Fが、2つの共振周波数のうち低いもの、すなわち、fmとほぼ等しくなるように設定するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振幅を抑制しつつ、第2の質量部25の振れ角(回転角度)を大きくすることができる。
なお、本明細書中では、F[kHz]とfm[kHz]とがほぼ等しいとは、(fm−1)≦F≦(fm+1)の条件を満足することを意味する。
第1の質量部21、22の平均厚さは、それぞれ、1〜1500μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
第2の質量部25の平均厚さは、1〜1500μmであるのが好ましく、10〜300μmであるのがより好ましい。
第1の弾性部26、27のばね定数kは、1×10−4〜1×10Nm/radであるのが好ましく、1×10−2〜1×10Nm/radであるのがより好ましく、1×10−1〜1×10Nm/radであるのがさらに好ましい。これにより、第2の質量部25の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
一方、第2の弾性部28、29のばね定数kは、1×10−4〜1×10Nm/radであるのが好ましく、1×10−2〜1×10Nm/radであるのがより好ましく、1×10−1〜1×10Nm/radであるのがさらに好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部25の振れ角をより大きくすることができる。
また、第1の弾性部26、27のばね定数kと第2の弾性部28、29のばね定数をkとは、k>kなる関係を満足するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部25の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
さらに、第1の質量部21、22の慣性モーメントをJとし、第2の質量部25の慣性モーメントをJとしたとき、JとJとは、J≦Jなる関係を満足することが好ましく、J<Jなる関係を満足することがより好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部25の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
ところで、第1の質量部21、22と第1の弾性部26、27とからなる第1の振動系の固有振動数ωは、第1の質量部21、22の慣性モーメントJと、第1の弾性部26、27のばね定数kとにより、ω=(k/J1/2によって与えられる。一方、第2の質量部25と第2の弾性部28、29とからなる第2の振動系の固有振動数ωは、第2の質量部25の慣性モーメントJと、第2の弾性部28、29のばね定数kとにより、ω=(k/J1/2によって与えられる。
このようにして求められる第1の振動系の固有振動数ωと第2の振動系の固有振動数ωとは、ω>ωなる関係を満足するのが好ましい。これにより、第1の質量部21、22の振れ角を抑制しつつ、第2の質量部25の回転角度(振れ角)をより大きくすることができる。
以上のように2自由度振動系を有するアクチュエータ1は、駆動電圧を低減しつつ、第2の質量部25の振れ角を大きいものとすることができる。特に、本実施形態のアクチュエータ1は、前述したような櫛歯状電極部211、212、221、222、321、322、331、332を用いて第1の質量部21、22を回動させるように構成されているので、平行平板型の電極を用いて第1の質量部21、22を回動するものに比し、第1の質量部21、22の回動角を大きくし、これに伴って、第2の質量部25の回動角を大きくすることができる。
また、2自由度振動系を有するアクチュエータ1は、前述したように、一般に、第2の質量部25の振れ角は第1の質量部21、22の振れ角よりも大きく、また、第2の弾性部28、29の捩れ変形量は第1の弾性部26、27の捩れ変形量よりも大きいため、ピエゾ抵抗素子41、42が第2の弾性部上に設けられていると、第2の質量部25の回動に伴うピエゾ抵抗素子41、42の比抵抗値の変化量を大きくして、第2の質量部25の挙動を高精度に検知することができる。
このようなアクチュエータ1は、例えば、次のようにして製造することができる。
図11、図12は、それぞれ、第1実施形態のアクチュエータの製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図11、図12中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[A1] まず、図11(a)に示すように、例えばシリコン基板5(n型の単結晶シリコン基板)を用意する。
次に、シリコン基板5の一方の面に、図11(b)に示すように、支持部23、24と各質量部21、22、25と各弾性部26、27、28、29と電極32、33との形状(平面視形状)に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク6を形成する。なお、このとき、金属マスク6は、図示しないが、支持部23、24に対応する部分と電極32、33に対応する部分とは互いに連結した形状とする。
そして、図11(c)に示すように、シリコン基板5の他方の面に、フォトレジストを塗布し、露光、現像を行って、空間30の平面視形状と同様の形状をなす開口を有するレジストマスク7を形成する。なお、レジストマスク7の形成は、金属マスク6の形成よりも先に行ってもよい。
次に、このレジストマスク7を介して、シリコン基板5の前記他方の面をエッチングした後、レジストマスク7を除去する。これにより、図11(d)に示すように、空間30の平面視に対応する領域に凹部51が形成される。
エッチング方法としては、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、以下の各工程におけるエッチングにおいても、同様の方法を用いることができる。
次に、金属マスク6を介して、シリコン基板5の前記一方の面側を、前記凹部51に対応する部分が貫通するまでエッチングする。
そして、金属マスク6を除去した場合、この後、第2の質量部25上に金属膜を成膜し、光反射部251を形成する。
なお、ここで、シリコン基板5に対しエッチングを行った後、金属マスク6は除去してもよく、除去せずに残存させてもよい。金属マスク6を除去しない場合、第2の質量部25上に残存した金属マスク6は光反射部251として用いることができる。
金属膜の成膜方法としては、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、金属箔の接合等が挙げられる。なお、以下の各工程における金属膜の成膜においても、同様の方法を用いることができる。
また、支持部23および電極32、33に対応する部分に、不純物をドープして、高導電性領域231、323、333を形成する。これと同様に、第2の弾性部28、29に対応する部分に、不純物をドープして、抵抗領域411、421を形成する。
このような高導電性領域231、323、333および抵抗領域411、421の形成に先立ち、高導電性領域231、323、333および抵抗領域411、421の形成予定部位以外の部分に、酸化膜などの絶縁膜を形成する。また、抵抗領域411、421の形成後、前記絶縁膜上に端子416〜419、426〜429および配線を公知の成膜法を用いて形成する。
以上の工程により、図11(e)に示すように、支持部23、24と各質量部21、22、25と各弾性部26、27、28、29と電極32、33が一体的に形成された構造体が得られる。なお、支持部23、24と電極32、33との間の部分を、後述する工程にて除去する。
[A2] 次に、図12(a)に示すように、支持基板3を形成するための基板として、例えばシリコン基板9を用意する。
そして、シリコン基板9の一方の面に、開口部31を形成する領域を除いた部分に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスクを形成する。
次に、この金属マスクを介して、シリコン基板9の一方の面側をエッチングした後、金属マスクを除去し、図12(b)に示すように、開口部31を形成する。すなわち、支持基板3が得られる。
[A3] 次に、図12(c)に示すように、前記工程[A1]で得られた構造体と、前記工程[A2]で得られた支持基板3とを直接接合により接合した後に、前記構造体の支持部23、24と電極32、33との間の部分を除去して、アクチュエータ1を得る。なお、基体2と支持基板3との間に可動イオンを含む硼珪酸ガラスのようなガラスを介在させ、これらを陽極接合により接合してもよい。また、シリコン基板9に代えてガラス基板を用いて、基体2と支持基板3とを陽極接合により接合することもできる。
以上のようにして、第1実施形態のアクチュエータ1が製造される。
<第2実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第2実施形態について説明する。
図13は、本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す平面図、図14は、図13に示すアクチュエータに備えられたピエゾ抵抗素子を説明するための図である。なお、以下では、説明の便宜上、図13および図14中の紙面に対し手前側を「上」、紙面に対し奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
以下、第2実施形態のアクチュエータについて、前述した第1実施形態のアクチュエータとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態のアクチュエータ1Aは、図13に示すように、高導電性領域の配置および形状が異なる以外は、第1実施形態のアクチュエータ1とほぼ同様である。なお、以下では、ピエゾ抵抗素子41について代表的に説明し、ピエゾ抵抗素子42についてはピエゾ抵抗素子41と同様であるため、その説明を省略を省略する。
第2実施形態のアクチュエータ1Aでは、図13および図14に示すように、ピエゾ抵抗素子41の抵抗領域411の近傍で本体部281上に、抵抗領域411の外周を囲むように、高導電性領域282が形成されている。
この高導電性領域282は、電源回路12に接続され、直流電位Vbが印加されるようになっている。
このように抵抗領域411の外周を囲むように形成された高導電性領域282は、シールドとしても機能する。そのため、外部から抵抗領域411へのノイズの混入を防止することができる。その結果、より高精度に第2の質量部25の挙動を検知することができる。また、高導電性領域282と抵抗領域411との間の距離が小さくなるため、バイアスをより効率的に本体部281へ印加することができる。その結果、より確実かつ簡単に、pn接合を逆バイアス状態に維持することができる。
このように高導電性領域282をシールドとして機能させる場合には、高導電性領域282の厚さ(深さ)は、抵抗領域411の厚さ(深さ)よりも大きいのが好ましい。これにより、抵抗領域411のシールドとしての機能を向上させることができる。
なお、シールドとして機能する高導電性領域282の形状および配置は、前述したものに限定されず、例えば、高導電性領域282は、第2の弾性部28の本体部281の厚さ方向の全域に亘って形成されていても、本体部281の厚さ方向での一部に形成されていてもよい。また、本実施形態では、高導電性領域282が本体部281の上側の面上にのみ設けられているが、高導電性領域282が本体部281の上側および下側のそれぞれの面上に設けられていてもよい。
以上説明したような第2実施形態のアクチュエータ1Aによっても、前述した第1実施形態のアクチュエータ1と同様の効果を得ることができる。
上述したようなアクチュエータ1、1Aは、各種の電子機器に適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
以上説明したようなアクチュエータ1、1Aは、例えば、レーザープリンタ、バーコードリーダー、走査型共焦点レーザー顕微鏡、イメージング用ディスプレイ等の画像形成装置に備えられた光スキャナに好適に適用することができる。
この場合、光反射部で反射した光を走査(主走査または副走査)し、画像を形成する(感光ドラム上の潜像形成や投射型スクリーンへの描画を行う)。本発明にかかるアクチュエータ1、1Aは、高精度に質量部の挙動を検知し、その検知結果に基づいて質量部を駆動することで、長期に亘り光走査を所望の範囲で行うことができる。そのため、長期に亘り、光走査を所望の範囲で行って、優れた画像を得ることができる。
以上、本発明のアクチュエータについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のアクチュエータでは、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
例えば、前述した実施形態では、ピエゾ抵抗素子を1対有するアクチュエータを説明したが、ピエゾ抵抗素子は、1つであっても、3つ以上であってもよい。また、ピエゾ抵抗素子の設置位置は、前述した実施形態のものに限られず、第1の質量部21、22上であってよい。また、複数のピエゾ抵抗素子を有する場合、複数のピエゾ抵抗素子は、平面視にて質量部(第2の質量部25)に対し非対称に配置されていてもよい。
また、前述した実施形態では、2自由動振動系のアクチュエータ(すなわち、質量部として第1の質量部21、22および第2の質量部25を有し、弾性部として第1の弾性部26、27および第2の弾性部28、29を有するもの)について説明したが、1自由度または3自由度以上の振動系のアクチュエータにも本発明を適用することができる。
また、前述した実施形態では、光反射部が第2の質量部の上面(支持基板とは逆側の面)に設けられている構成について説明したが、例えば、その逆の面に設けられている構成であってもよいし、両方の面に設けられている構成であってもよい。
また、前述した実施形態では静電駆動方式により駆動するものについて説明したが、これに限定されない。例えば、2自由度振動系を有するアクチュエータの駆動方式としては、第1の質量部を回動させ、これに伴い、第2の弾性部を捩れ変形させながら、第2の質量部を回動させることができるものであれば、前述したものに限定されず、例えば、圧電素子を用いた駆動方式や、磁力を用いた駆動方式などであってもよい。
本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す平面図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1中のB−B線断面図である。 図1に示すアクチュエータの第2の質量部および第2の弾性部を示す部分拡大斜視図である。 図1に示すアクチュエータに備えられたピエゾ抵抗素子を説明するための図である。 図1に示すアクチュエータに備えられたピエゾ抵抗素子を説明するための図である。 (001)面シリコン基板における結晶方位とピエゾ抵抗係数との関係を示す図である。 図1に示すアクチュエータの制御系の概略構成を示す図である。 図1に示すアクチュエータの駆動電圧の電圧波形の一例を示す図である。 図1に示すアクチュエータの駆動電圧として交流電圧を用いた場合における交流電圧の周波数と、第1の質量部および第2の質量部のそれぞれの振幅との関係を示すグラフある。 図1に示すアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 図1に示すアクチュエータの製造方法を説明するための図である。 本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す平面図である。 図13に示すアクチュエータに備えられたピエゾ抵抗素子を説明するための図である。
符号の説明
1、1A……アクチュエータ 11……検知回路 112……差動増幅回路 12……電源回路 13……制御回路 2……基体 21、22……第1の質量部 211、212、221、222……櫛歯状電極部 23、24……支持部 231、282、323、333……高導電性領域 25……第2の質量部 251……光反射部 26、27……第1の弾性部 28、29……第2の弾性部 281、291……本体部 3……支持基板 30……空間 31……開口部 32、33……電極 321、322、331、332……櫛歯状電極部 41、42……ピエゾ抵抗素子 411、421……抵抗領域 412、413、422、423……入力電極 414、415、424、425……出力電極 416〜419、426〜429……端子 5……シリコン基板 51……凹部 6……金属マスク 7……レジストマスク 9……シリコン基板

Claims (12)

  1. 質量部と、
    前記質量部を支持するための支持部と、
    前記支持部に対し前記質量部を回動可能にするように、弾性変形可能な少なくとも1つの弾性部を備えるとともに前記支持部と前記質量部とを連結する連結部と、
    前記質量部を回動駆動させる駆動手段と、
    前記質量部の挙動を検知する挙動検知手段とを有し、
    前記連結部の少なくとも一つの前記弾性部は、その本体部と、該本体部上に形成された抵抗領域を備えたピエゾ抵抗素子とを有し、前記本体部および前記抵抗領域のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、前記本体部と前記抵抗領域との間には、pn接合が形成されており、
    前記挙動検知手段は、前記ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて、前記質量部の挙動を検知し、
    前記駆動手段の作動により、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させるように構成されているアクチュエータであって、
    前記pn接合を逆バイアス状態に維持するように、前記本体部にバイアスを印加するバイアス印加手段を有することを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記駆動手段は、静電引力により駆動するための電極を有し、該電極の電位の最小値が前記本体部の電位とほぼ等しい請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記質量部と前記支持部と前記連結部とは、p型またはn型のシリコン単結晶基板を加工することにより一体的に形成されている請求項1または2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記質量部と前記支持部と前記連結部とのうちのいずれかの上には、前記シリコン単結晶基板と同じ導電型でかつ前記シリコン単結晶基板よりも高い濃度で不純物を拡散したシリコンで構成された高導電性領域が形成され、前記バイアス印加手段は、前記高導電性領域を介して前記本体部にバイアスを印加する請求項3に記載のアクチュエータ。
  5. 前記高導電性領域は、前記本体部上に、前記抵抗領域の外周を囲むように形成されている請求項4に記載のアクチュエータ。
  6. 前記高導電性領域の厚さは、前記抵抗領域の厚さよりも大きい請求項5に記載のアクチュエータ。
  7. 前記各連結部は、第1の質量部と、前記第1の質量部を前記支持部に対し回動可能とするように、前記第1の質量部と前記支持部とを連結する第1の弾性部と、前記質量部を第2の質量部として前記第1の質量部に対し回動可能とするように、前記第1の質量部と前記第2の質量部とを連結する第2の弾性部とを有し、前記弾性部が前記第1の弾性部および前記第2の弾性部で構成され、前記駆動手段の作動により、前記第1の弾性部を捩れ変形させながら前記第1の質量部を回動させ、これに伴い、前記第2の弾性部を捩れ変形させながら前記第2の質量部を回動させるように構成されており、前記第2の弾性部が、前記本体部および前記抵抗領域を有する請求項1ないし6のいずれかに記載のアクチュエータ。
  8. 前記駆動手段は、前記第1の質量部に対し間隔を隔てて対向する電極を備え、該電極と前記第1の質量部との間に電圧を印加することにより、前記電極と前記第1の質量部との間に静電引力を生じさせ、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させる請求項7に記載のアクチュエータ。
  9. 前記電極および前記第1の質量部は、それぞれが櫛歯状をなす部分を有し、これらが互いに噛み合うように配設されている請求項8に記載のアクチュエータ。
  10. 前記挙動検知手段は、前記抵抗領域に電圧を印加しつつ、前記抵抗領域の電圧値を検知し、その結果に基づき、前記抵抗領域の抵抗値を検知するように構成されており、前記本体部の電位をVbとし、前記pn接合の拡散電位をVpnとし、前記抵抗領域の電位をVsとしたとき、前記バイアス印加手段は、Vb−Vs>Vpnなる関係を満たすように、前記バイアスを印加する請求項1ないし9のいずれかに記載のアクチュエータ。
  11. 光反射性を有する光反射部を備えた質量部と、
    前記質量部を支持するための支持部と、
    前記支持部に対し前記質量部を回動可能にするように、弾性変形可能な少なくとも1つの弾性部を備えるとともに前記支持部と前記質量部とを連結する連結部と、
    前記質量部を回動駆動させる駆動手段と、
    前記質量部の挙動を検知する挙動検知手段とを有し、
    前記連結部の少なくとも一つの前記弾性部は、その本体部と、該本体部上に形成された抵抗領域を備えたピエゾ抵抗素子とを有し、前記本体部および前記抵抗領域のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、前記本体部と前記抵抗領域との間には、pn接合が形成されており、
    前記挙動検知手段は、前記ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて、前記質量部の挙動を検知し、
    前記駆動手段の作動により、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成されている光スキャナであって、
    前記pn接合を逆バイアス状態に維持するように、前記本体部にバイアスを印加するバイアス印加手段を有することを特徴とする光スキャナ。
  12. 光反射性を有する光反射部を備えた質量部と、
    前記質量部を支持するための支持部と、
    前記支持部に対し前記質量部を回動可能にするように、弾性変形可能な少なくとも1つの弾性部を備えるとともに前記支持部と前記質量部とを連結する連結部と、
    前記質量部を回動駆動させる駆動手段と、
    前記質量部の挙動を検知する挙動検知手段とを有し、
    前記連結部の少なくとも一つの前記弾性部は、その本体部と、該本体部上に形成された抵抗領域を備えたピエゾ抵抗素子とを有し、前記本体部および前記抵抗領域のうち、一方がp型のシリコンで構成され、他方がn型のシリコンで構成され、前記本体部と前記抵抗領域との間には、pn接合が形成されており、
    前記挙動検知手段は、前記ピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に基づいて、前記質量部の挙動を検知し、
    前記駆動手段の作動により、前記弾性部を捩れ変形させながら、前記質量部を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成されている光スキャナを備え、該光スキャナが光を主走査または副走査することにより画像を形成する画像形成装置であって、
    前記pn接合を逆バイアス状態に維持するように、前記本体部にバイアスを印加するバイアス印加手段を有することを特徴とする画像形成装置。
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