JP2008047210A - 磁気テープの記録再生方法及び磁気記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】斜め蒸着磁気テープに対するリニア方式として磁気ヘッドの走行が磁性層に対して逆方向となる場合でも記録特性が優れ、従来のリニア方式の磁気記録再生装置の構成を用いることができる磁気テープの記録再生方法及び該記録再生方法を適用した磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】磁性層のカラム傾斜方向(正方向)に走行する場合と、磁性層のカラム傾斜方向とは逆方向(逆方向)に走行する場合とで異なる信号処理方式で変調されたデータ信号を記録し、正方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記正方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出し、逆方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記逆方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出す。
【選択図】図5
【解決手段】磁性層のカラム傾斜方向(正方向)に走行する場合と、磁性層のカラム傾斜方向とは逆方向(逆方向)に走行する場合とで異なる信号処理方式で変調されたデータ信号を記録し、正方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記正方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出し、逆方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記逆方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出す。
【選択図】図5
Description
本発明は、磁気テープの記録再生方法及び磁気記録再生装置に関するものであり、とくに斜め蒸着磁気テープに対するリニア方式の記録方法及びその方法による磁気記録再生装置に関する。
コンピュータやインターネットの発達に伴い扱う情報量も格段に増加してきているが、これに伴いそれらの情報のバックアップなどデータストレージに用いられる記録装置の高容量化が必要となってきている。ここで記憶装置としてはHDDやストレージテープが挙げられ、その高容量化を促進するためには面記録密度を上げる必要がある。また、この面記録密度を上げるためには記録波長を狭める方法で線記録密度を高めたり、トラックピッチを狭めてトラック方向の密度を上げたりする方法がある。さらに密度を上げることでSNの減少を信号処理により補う方法も開発されている。
テープストリーマーでは、記録方式としてDDSやAITに見られるビデオタイプと同じヘリカルスキャン方式と、デジタルリニアテープ(DLT)やリニアテープオープン(LTO)などに見られる、磁気ヘッドをテープ幅方向に複数ならべ長尺形状の磁気テープに対して長手方向に摺動させて信号がリニアにデジタル記録されるリニア方式の2種類があるが、データストレージ用途ではリニア方式が採用されている。
すなわち、ヘリカルスキャン方式においては、記録再生の際にヘリカル方向に磁気テープを傾斜させて走行させる必要があるため走行系が複雑化し、高速で磁気テープを走行させると、テープエッジに大きな力が作用してエッジダメージを生じることがあるため正確な制御が不可欠となる。一方、リニア方式では高速でテープを走行させても、走行系が簡易で、アクセス性が良好であるため、近年データストレージ用として多用されつつある。
また現在、リニア方式磁気記録再生装置として提案されているDLTシステムやLTOシステムにおいて、非磁性支持体の一主面にのみ情報記録層を有し、他の一の主面は情報記録に寄与しないものとされた構成の磁気テープが適用されている。このような磁気テープとしては、強磁性金属粉末をバインダー中に分散して得られる磁性塗料を、非磁性支持体上に塗布することによって情報記録層が形成されてなる、いわゆる塗布型メタルテープ(MPテープ)が適用されている。
ところで、高記録密度を実現する磁気テープとしてCo系の斜め蒸着磁気テープが実用化されている。この斜め蒸着磁気テープは線記録密度が飛躍的に高いだけでなく、保存安定性や実用信頼性にも優れ、記録容量も伸びてきている。
現在、斜め蒸着磁気テープは、デジタル映像記録機器であるDV方式のムービー等に使用されているが、優れた特性を有するものであるとともに、従来のいわゆる塗布型の磁気テープよりも、薄層構造の磁気テープが容易に作製できるので、大容量記録のデータストレージ機器用として好適であり、AITやSAITと言ったデータストレージ用としても商品化されている。
しかしながら、上記斜め蒸着磁気テープに対し信号記録および再生を行うには、ヘリカルスキャン方式として実用化されている回転ドラムを用いた方式が適用されており、上記リニア方式の磁気記録媒体としては適用されていなかった。これは、ヘリカルスキャン方式では磁気テープと磁気ヘッドとの相対的な動きは一方向に決められているが、リニア方式では両方向になることに起因する。
すなわち、斜め蒸着磁気テープの磁性層は、斜方蒸着技術を利用した反応性真空蒸着法によって形成されるが、このようにして形成した磁性層のカラム傾斜方向(磁化容易方向)は、面内方向ではなく、面内から傾いた斜方方向となっており、そのために信号記録を行う磁気ヘッドの走行方向によって、高線記録密度を有する方向(正方向)とそれよりも線記録密度が劣る方向(逆方向)が存在するからである。このため、高密度記録では一定方向だけ記録するヘリカルスキャン方式に適することが知られており、両方向に記録するリニア方式には適していないとされてきた。
したがって、現在汎用されているリニア方式の磁気記録再生装置においては、その記録方式ゆえに、磁気記録媒体として記録の方向に依存しない塗布型メタルテープのみが適用されている。また斜め蒸着磁気テープはカラム傾斜方向(磁化容易方向)が片方に傾いているために、その走行方向によって記録再生特性が大きく異なってしまい、リニア方式の磁気記録再生装置には用いられていなかった。
この問題に対して、最近では斜め蒸着磁気テープをリニア方式の磁気記録再生装置に適用可能にする技術がいくつか提案されている。例えば、斜め蒸着磁気テープに情報の記録を行う磁気ヘッドの2つのコアギャップ部の一方と他方に飽和磁束密度が異なる金属軟磁性層を形成し、磁性層のカラム傾斜方向(磁化容易方向)が傾いている方向と磁気ヘッドが相対的に移動する方向との関係からこれらのコアギャップ部の配置を決定し、磁気ヘッドの走行が逆方向となる場合でも優れたS/N比を確保する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、テープ支持体の両主面それぞれにカラム傾斜方向(磁化容易軸)が相互に逆向きとなるように斜め蒸着磁性層を形成し、それぞれの磁性層に対して磁気ヘッドを配置することにより、該磁気テープの走行において正逆両方向でリニア方式の記録再生ができる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、上記いずれの技術においても、磁気記録再生装置として従来とは異なる構成が必要となり、現在汎用されている構成のリニア方式磁気記録再生装置を用いることはできなかった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、斜め蒸着磁気テープに対するリニア方式として磁気ヘッドの走行が磁性層に対して逆方向となる場合でも記録特性が優れ、従来のリニア方式の磁気記録再生装置の構成を用いることができる磁気テープの記録再生方法及び該記録再生方法を適用した磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、非磁性テープ上に斜め蒸着により形成された磁性層を有する磁気テープにリニア方式でデータ信号を記録、再生する磁気テープの記録再生方法であって、前記磁性層のカラム傾斜方向(正方向)に走行する場合と、前記磁気テープが前記磁性層のカラム傾斜方向とは逆方向(逆方向)に走行する場合とで異なる信号処理方式で変調されたデータ信号を記録し、前記正方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記正方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出し、前記逆方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記逆方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出すことを特徴とする磁気テープの記録再生方法である。
ここで、前記信号処理方式は、正方向走行の場合がEPR4方式であり、逆方向走行の場合がPR4方式であることが好ましい。
また、前記磁性層の膜厚は、50nm以下であることが好適である。
前記課題を解決するために提供する本発明は、非磁性テープ上に斜め蒸着により形成された磁性層を有する磁気テープが該磁性層のカラム傾斜方向(正方向)に走行する場合、前記磁気テープが前記磁性層のカラム傾斜方向とは逆方向(逆方向)に走行する場合それぞれ別個にリニア方式でデータ信号を記録する記録用磁気ヘッドと、該データ信号を読み取る再生用磁気ヘッドとを備える磁気記録再生装置であって、正方向に走行する場合と、逆方向に走行する場合とで異なる信号処理方式で変調されたデータ信号を前記磁性層に記録し、前記正方向に走行して再生する場合には、前記磁性層から読み取ったデータ信号について前記正方向に走行して記録した場合の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出し、前記逆方向に走行して再生する場合には、前記磁性層から読み取ったデータ信号について前記逆方向に走行して記録した場合の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出すことを特徴とする磁気記録再生装置である。
ここで、前記信号処理方式は、正方向走行の場合がEPR4方式であり、逆方向走行の場合がPR4方式であることが好ましい。
また、前記磁性層の膜厚は、50nm以下であることが好適である。
本発明の磁気テープの記録再生方法によれば、斜め蒸着テープの逆方向記録での使用を可能にし、リニア方式での使用もできる。とくに、正逆走行それぞれの場合で異なる信号変調方式で変調されたデータ信号を記録するので、逆方向走行の場合でも再生の際に高いS/N比を維持しながら記録密度を向上させることができ、面記録密度1Gbits/inch2を達成することができる。
本発明の磁気記録再生装置によれば、従来のリニア方式の磁気記録再生装置の構成を用いながら、逆方向走行の記録密度を向上させることができ、面記録密度1Gbits/inch2を達成することができる。
本発明の磁気記録再生装置によれば、従来のリニア方式の磁気記録再生装置の構成を用いながら、逆方向走行の記録密度を向上させることができ、面記録密度1Gbits/inch2を達成することができる。
リニア方式ではヘリカルスキャン方式と異なり、磁気テープの記録方向は一方向だけでなく、双方向記録が求められ、それに対して斜め蒸着磁気テープは磁性層が斜め蒸着で形成されているゆえに記録密度に方向性が存在し、リニア方式の記録では逆方向で記録される場合は正方向で記録される場合よりも線記録密度が劣ることはすでに述べた。
しかし、逆方向記録が正方向記録に比べ線記録密度が劣るとしても、正方向記録に比べ30%程度の劣化であり、正方向記録の線記録密度が塗布型メタルテープに比べ格段に大きい場合、逆方向記録における特性も十分この塗布型メタルテープの記録特性を上回る可能性がある。この点については、前述したように斜め蒸着磁気テープはもっぱら一方向(正方向)記録のみ行われてきており、今までに厳密な意味で逆方向での記録特性やその特性を上げるための議論はほとんど行われなかったのが現状である。
また、最近の動向として再生ヘッドもインダクティブから磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)、巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)と変化し、磁性層の膜厚も薄くなる傾向からますます斜め蒸着膜の逆方向の特性を大幅に伸ばしてきている。
そこで、発明者は、従来双方向を使用するリニア方式には不向きとされてきた斜め蒸着磁気テープでもその高い記録密度ゆえリニア方式のシステムへの適用に十分に可能性がある点に着目し、リニア方式での記録容量を決める上でのキーとして如何に斜め蒸着磁気テープの逆方向記録再生の特性を伸ばすかという点について鋭意検討を行い、本発明を成すに至ったものである。
すなわち、本発明に係る磁気テープの記録再生方法は、非磁性テープ上に斜め蒸着により形成された磁性層を有する磁気テープにリニア方式でデータ信号を記録、再生する磁気テープの記録再生方法であって、前記磁性層のカラム傾斜方向(正方向)に走行する場合と、前記磁気テープが前記磁性層のカラム傾斜方向とは逆方向(逆方向)に走行する場合とで異なる信号処理方式で変調されたデータ信号を記録し、前記正方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記正方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出し、前記逆方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記逆方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出す方法である。
このとき、データ信号は、磁気テープの磁性層に高密度で記録するために信号波形を処理する信号処理方式の1つであるPartial Response(PR)方式で変調されるが、本発明ではその信号処理方式として、正方向走行の場合がEPR4(Extended Partial Respose Class4)方式であり、逆方向走行の場合がPR4(Partial Respose Class4)方式であることが好ましい。
また、このとき用いられる磁気テープの磁性層の膜厚は、50nm以下であることが好適である。
これにより、リニア方式による斜め蒸着磁気テープの高記録密度での記録、再生が可能となり、これまで以上にデータストレージに用いられる記録装置の高容量化も可能となる。
また本発明では、従来の磁気記録再生装置においてメカ的な装置構成はそのままでデータ信号の記録再生時の信号処理に関して変更するだけで、本発明の磁気テープの記録再生方法を実施することができる。
以下に、本発明の磁気テープの記録再生方法を適用した磁気記録再生装置について説明する。
図1は、本発明に係る磁気記録再生装置の一態様であるリニアテープシステムの構成を示す概略図である。このリニアテープシステム30は、非磁性テープ上に斜め蒸着により形成された磁性層を有する磁気テープについてリニア方式で信号を記録、再生する磁気記録再生装置である。
図1は、本発明に係る磁気記録再生装置の一態様であるリニアテープシステムの構成を示す概略図である。このリニアテープシステム30は、非磁性テープ上に斜め蒸着により形成された磁性層を有する磁気テープについてリニア方式で信号を記録、再生する磁気記録再生装置である。
リニアテープシステム30は、斜め蒸着磁気テープ10が収納されているカセット100から該斜め蒸着磁気テープ10を巻き出す巻出しロール31と、巻取りロール32と、これらの中間部に斜め蒸着磁気テープ10に対して所定のテンションを与え、所望の方向に走行させるために所定間隔に配設されたガイドロール33とからなる磁気テープの走行機構とを備える。また、これらガイドロール33間には、斜め蒸着磁気テープ10の主面に形成された磁性層12に対して信号の記録、再生を行うための記録用磁気ヘッド及び再生用磁気ヘッドを有する磁気ヘッドユニット34が配置されており、斜め蒸着磁気テープ10の正逆両方向の走行に対して、記録再生が可能となっている。
図2に、記録用磁気ヘッドの構成を示す。
記録用磁気ヘッド20は、リング状の部材の一部が開環してギャップ部Gを形成し、コイル20aが巻き付けられた構成であり、磁気ヘッド20のコアギャップ部には金属軟磁性層21が形成されている。
記録用磁気ヘッド20は、リング状の部材の一部が開環してギャップ部Gを形成し、コイル20aが巻き付けられた構成であり、磁気ヘッド20のコアギャップ部には金属軟磁性層21が形成されている。
また、磁気ヘッド20は、斜め蒸着磁気テープ10に対して磁気ヘッド20の相対的な動き一方向とその逆の方向の両方向に動くリニア方式の磁気記録再生装置に適用され、例えば、4〜10m/秒程度のリニア速度で斜め蒸着磁気テープ10を移動させ、マルチチャンネルタイプの磁気ヘッドにより、複数のトラックを同時に記録あるいは再生する。
コアギャップ部の金属軟磁性層21の材料は、飽和磁束密度を高める材料であり、例えば、CoZrNb、FeAlSi、NiFe、FeGaSiRu、FeGaSiRuO、FeTaC、CiNiFeB,CoFeB,CoNiFeS,CoNiFeC,CoNoFeMoC,FeTaN,FeAlN,FeRhN,FeMoN,FeZrN,FeSiN,FeZrO,FeAlNbNOなどを用いることができる。金属軟磁性層21の材料は、これらの例に限られない
また再生用磁気ヘッドとしては、磁気抵抗効果型の磁気ヘッド、例えば異方性磁気抵抗効果型ヘッド(AMRヘッド)若しくは巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)を用いることが可能である。
図2において、磁気ヘッド20のコアギャップ部と斜め蒸着磁気テープ10とを拡大した状態を図3に示す。
リニア方式おいては、ヘリカルスキャン方式とは異なりテープの記録方向は一方向だけでなく、双方向記録が求められる。しかし、斜め蒸着磁気テープ10はその磁性層12を構成する結晶のカラムが傾斜しているために記録密度に方向性が存在する。ここでは、記録方向として図3に示すように斜め蒸着磁気テープ10の磁性層12のカラム傾斜方向(A方向)に磁気ヘッド20を相対的に走行(摺動)させた場合を正方向、該磁性層12のカラム傾斜方向とは逆方向(B方向)に相対的に走行(摺動)させた場合を逆方向とする。
リニア方式おいては、ヘリカルスキャン方式とは異なりテープの記録方向は一方向だけでなく、双方向記録が求められる。しかし、斜め蒸着磁気テープ10はその磁性層12を構成する結晶のカラムが傾斜しているために記録密度に方向性が存在する。ここでは、記録方向として図3に示すように斜め蒸着磁気テープ10の磁性層12のカラム傾斜方向(A方向)に磁気ヘッド20を相対的に走行(摺動)させた場合を正方向、該磁性層12のカラム傾斜方向とは逆方向(B方向)に相対的に走行(摺動)させた場合を逆方向とする。
つぎに、本発明で使用される斜め蒸着磁気テープ10(図3を参照)は、ベースフィルムである非磁性テープ11の一主面上に情報記録層として磁性層12が斜め蒸着により形成された構成である。
非磁性テープ11は、一般的に磁気記録媒体に使用されるものをいずれも適用できる。プラスチックフィルム単独で構成してもよく、あるいはプラスチックフィルムの一主面、あるいは両主面に所定の材料により形成された任意の下地層を積層形成した構成としてもよい。
非磁性テープ11は、一般的に磁気記録媒体に使用されるものをいずれも適用できる。プラスチックフィルム単独で構成してもよく、あるいはプラスチックフィルムの一主面、あるいは両主面に所定の材料により形成された任意の下地層を積層形成した構成としてもよい。
非磁性テープ11の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート等が挙げられる。また、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよい。
さらに非磁性テープ11は、各種表面処理や各種装飾を施してもよい。例えば、適宜微細な凹凸形状を形成したり、表面にコロナ放電処理や電子線照射処理等の前処理を施したりしてもよい。また、表面に易接着層を形成して成膜される層との接着性を向上させるようにしてもよい。
また、走行安定性や耐久性の向上を図るために、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等の無機フィラーや有機フィラーを内添させてもよい。
また、走行安定性や耐久性の向上を図るために、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ポリスチレン等の無機フィラーや有機フィラーを内添させてもよい。
磁性層12は、真空下で強磁性金属材料を加熱蒸発させ非磁性テープ11上に所定方向に積層させる斜め蒸着技術によって形成され、一定方向にカラムが傾斜した、すなわち磁化容易軸を有するように形成されている。
また、磁性層12は、磁気記録媒体用として従来公知の強磁性金属、合金をいずれも適用して形成することができる。例えば、Co、Ni等の強磁性金属、CoNi、FeCo、FeCoNi、CoCr、CoPt、CoPtB、CoCrPt、CoCrTa、CoCrPtTa等の合金材料や、これらの材料を酸素雰囲気中で成膜し、膜中に酸素を含有させたもの、またはこれらの材料に1種類あるいは2種類以上のその他の元素を含有させたもの等が挙げられる。
磁性層12の厚みは、50nm以下が好ましい。とくに、MRヘッドで再生する場合には25nm以上、50nm以下であることが好ましく、GMRヘッドで再生する場合には、その範囲よりもさらに薄いことが好ましい。
ここで斜め蒸着技術とは、図4に示すように非磁性テープ11に高真空のチャンバーの中でCo金属の蒸気を被着させるものである。
具体的には、非磁性テープ11の搬送に関して、非磁性テープ11は巻き出しロール41から巻き出され、サポートロール42を通過した後、冷却された金属製の円筒であるキャン43の表面に密着した状態で蒸着され、巻き取りロール44の方へ送られる構成となっている。
また、蒸着に関しては、マグネシアのるつぼ45に純Coのインゴッド46を入れ、それに電子ビームを当てることにより溶解・蒸発させて非磁性テープ11上に斜め蒸着を行う構成となっている。この時、ある程度Co蒸気47の粒子の方向性を揃えるためマスク48で遮断されており、Co蒸気47はチャンバー内に流される酸素ガスによって酸化されたものが非磁性テープ11に被着する。なお、るつぼ45からの輻射熱や蒸気の熱によって非磁性テープ11が変形または溶け出さないようにキャン43は氷点下以下に冷却されている。
また、蒸着された後に、スパッタまたはCVDにてダイヤモンドライクカーボン(DLC)のような保護膜、さらにその上に潤滑剤層、および非磁性テープ11の裏面には走行性を上げるためバック塗料を塗布して、斜め蒸着磁気テープ10とする。
本発明の磁気記録再生装置30では、斜め蒸着磁気テープ10が非磁性テープ11表面への磁性層12のカラム傾斜方向に対して逆方向に走行する際に、磁気ヘッドユニット34の記録用磁気ヘッドにより、予め求めておいた、該磁性層の孤立再生波の出力レベルが最大となる記録電流値で信号を記録可能となっている。また、磁気ヘッドユニット34の再生用磁気ヘッドにより、その記録された斜め蒸着磁気テープ10を再生することが可能となっている。その際のデータ処理プロセスは次の通りである。
図5に、本発明の磁気記録再生装置において磁気テープをデータストレージとして使う場合の記録再生時のデータ処理プロセスに関するブロック図を示す。
図5に示すように、データ処理プロセスとしてはライトデータ系とリードデータ系に分かれるが、ライトデータ系では、記録のデータにECC(エラー訂正符号)ユニット51でECCを付加したものを新たにデータ系列とし、それに変調回路52、記録補償ユニット53を通してライトアンプ54から記録用磁気ヘッド20で磁気テープ10に記録用のデータ信号を受け渡すものである。また、リードデータ系では、磁気テープ10から再生用磁気ヘッドで読み取ったデータ信号にAGC(信号出力補正)やPLL(時間補正)をかけ、その信号を波形等化ユニット56で記録時の変調の逆関数で波形等化を行うものである。
図5に示すように、データ処理プロセスとしてはライトデータ系とリードデータ系に分かれるが、ライトデータ系では、記録のデータにECC(エラー訂正符号)ユニット51でECCを付加したものを新たにデータ系列とし、それに変調回路52、記録補償ユニット53を通してライトアンプ54から記録用磁気ヘッド20で磁気テープ10に記録用のデータ信号を受け渡すものである。また、リードデータ系では、磁気テープ10から再生用磁気ヘッドで読み取ったデータ信号にAGC(信号出力補正)やPLL(時間補正)をかけ、その信号を波形等化ユニット56で記録時の変調の逆関数で波形等化を行うものである。
ここでデータ処理プロセスにおける本発明の特徴は、記録の時には正方向走行の場合と逆方向走行の場合では異なる変調を行った上で記録を行い、再生時の等化方式を正・逆方向の走行で異なる方式を用いることである。
すなわち、正方向走行(図3におけるA方向)の場合には、ライトデータ系では、記録のデータにECC(エラー訂正符号)ユニット51でECCを付加したものを新たにデータ系列とし、そのデータ系列について変調回路52でEPR4方式の信号処理によって変調を行い、その後、記録補償ユニット53、ライトアンプ54を通して記録用磁気ヘッド20で磁気テープ10に記録用のデータ信号を受け渡すものである。また、リードデータ系では、磁気テープ10から再生用磁気ヘッドで読み取ったデータ信号にAGC(信号出力補正)やPLL(時間補正)をかけ、その信号を波形等化ユニット56で前記記録時の変調(EPR4)の逆関数で波形等化を行い、その後、ビタビ複合ユニット57、復調回路58、ECCエラー訂正ユニット59を通して再生データを取り出すものである。
一方、逆方向走行(図3におけるB方向)の場合には、ライトデータ系では、記録のデータにECC(エラー訂正符号)ユニット51でECCを付加したものを新たにデータ系列とし、そのデータ系列について変調回路52でPR4方式の信号処理によって変調を行い、その後、記録補償ユニット53、ライトアンプ54を通して記録用磁気ヘッド20で磁気テープ10に記録用のデータ信号を受け渡すものである。また、リードデータ系では、磁気テープ10から再生用磁気ヘッドで読み取ったデータ信号にAGC(信号出力補正)やPLL(時間補正)をかけ、その信号を波形等化ユニット56で前記記録時の変調(PR4)の逆関数で波形等化を行い、その後、ビタビ複合ユニット57、復調回路58、ECCエラー訂正ユニット59を通して再生データを取り出すものである。
以上の本発明の磁気記録再生装置によれば、リニア方式により正方向はもちろん逆方向でも斜め蒸着磁気テープの高記録密度での記録、再生が可能となる。
本発明を実施した具体例を以下に示す。
(実施例1)
図1に示した磁気記録再生装置において、記録用磁気ヘッドとしてトラック幅10μm、ギャップ長0.21μmのMIGヘッドを用い、再生用磁気ヘッドとしてトラック幅1.3μm、シールド間距離0.17μmのAMRヘッドを用いた。また、磁気テープ10として高分子フィルムに膜厚45nm単層のCo酸化物系を斜め蒸着し、保護層厚み11nmとしたサンプルテープを用い、該サンプルテープを正逆方向に走行させ、その際の変調方式(図5の変調回路52における変調方式と波長等化ユニット56における前記記録時の変調の逆関数による波形等化)をEPR4またはPR4として記録再生を行い、再生時の出力周波数特性とノイズレベルからSNRを算出した。
(実施例1)
図1に示した磁気記録再生装置において、記録用磁気ヘッドとしてトラック幅10μm、ギャップ長0.21μmのMIGヘッドを用い、再生用磁気ヘッドとしてトラック幅1.3μm、シールド間距離0.17μmのAMRヘッドを用いた。また、磁気テープ10として高分子フィルムに膜厚45nm単層のCo酸化物系を斜め蒸着し、保護層厚み11nmとしたサンプルテープを用い、該サンプルテープを正逆方向に走行させ、その際の変調方式(図5の変調回路52における変調方式と波長等化ユニット56における前記記録時の変調の逆関数による波形等化)をEPR4またはPR4として記録再生を行い、再生時の出力周波数特性とノイズレベルからSNRを算出した。
なお、SNRの算出では、1T(波長0.24μm)での記録が線記録密度200kFCIとなるように帯域設定した。これはリニアシステムの記録用磁気ヘッドのトラック幅仕様としてLTM(Liner Tape Motion)の観点から5μmを想定しており、トラックピッチ換算では5kTPIとなり、上記の線記録密度と掛け算する事により面記録密度を1Gbits/inch2を実現するシステム構成を考えているためである。
得られたSNRの結果を表1に示す。
システム上必要とするSNRを17dBとすると、EPR4での変調方式を用いた場合には逆方向走行の記録では15.1dBとなりシステムは破綻しかねない。それに対して正方向走行の記録では17.1dBを達成しているので問題はない。これに対して、PR4での変調方式では逆方向走行では17dBとなり、実行レベルに達するSNRを実現できる。また正方向走行では19.7dBと高いが、スペーシングの増加に伴う出力変動の観点からはEPR4の方が優れていることから、正方向走行の場合にはEPR4方式を選択するほうが良い。逆方向走行も基本的には出力変動の影響を受けるが、少なくともEPR4方式では所要のSNRを確保できないことから、PR4方式がよい。このように、正逆方向の走行で変調方式を変えることで、ある程度の安定性の保証と正逆方向走行の両立を図ることが可能となる。
なお、磁性層12の膜厚として45nmより薄くすると、Mr・tも小さくなりノイズがシステムの影響を受けやすくなるため、SNRが返って悪くなることが予想される。一方、磁性層12の膜厚を60nmと厚くすると薄層時のようなシステムの影響を受けにくいがC/N比そのものが大きくなる可能性があり、SNRが落ちる可能性が高い。そのため、本発明の磁気記録再生装置の構成の場合には、磁性層膜厚としては45〜50nmがとくに好適である。
10…斜め蒸着磁気テープ、11…非磁性テープ、12…磁性層、20…記録用磁気ヘッド、20a…コイル、21…金属軟磁性層、30…リニアテープシステム、31…巻き出しロール、32…巻き取りロール、33…ガイドロール、34…磁気ヘッドユニット、41…巻き出しロール、42…サポートロール、43…キャン、44…巻き取りロール、45…るつぼ、46…Coインゴット、47…Co蒸気、48…マスク、100…テープカセット
Claims (6)
- 非磁性テープ上に斜め蒸着により形成された磁性層を有する磁気テープにリニア方式でデータ信号を記録、再生する磁気テープの記録再生方法であって、
前記磁性層のカラム傾斜方向(正方向)に走行する場合と、前記磁気テープが前記磁性層のカラム傾斜方向とは逆方向(逆方向)に走行する場合とで異なる信号処理方式で変調されたデータ信号を記録し、
前記正方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記正方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出し、前記逆方向走行での再生時には、読み取ったデータ信号について前記逆方向走行での記録時の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出すことを特徴とする磁気テープの記録再生方法。 - 前記信号処理方式は、正方向走行の場合がEPR4方式であり、逆方向走行の場合がPR4方式であることを特徴とする請求項1に記載の磁気テープの記録再生方法。
- 前記磁性層の膜厚は、50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気テープの記録再生方法。
- 非磁性テープ上に斜め蒸着により形成された磁性層を有する磁気テープが該磁性層のカラム傾斜方向(正方向)に走行する場合、前記磁気テープが前記磁性層のカラム傾斜方向とは逆方向(逆方向)に走行する場合それぞれ別個にリニア方式でデータ信号を記録する記録用磁気ヘッドと、該データ信号を読み取る再生用磁気ヘッドとを備える磁気記録再生装置であって、
正方向に走行する場合と、逆方向に走行する場合とで異なる信号処理方式で変調されたデータ信号を前記磁性層に記録し、
前記正方向に走行して再生する場合には、前記磁性層から読み取ったデータ信号について前記正方向に走行して記録した場合の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出し、前記逆方向に走行して再生する場合には、前記磁性層から読み取ったデータ信号について前記逆方向に走行して記録した場合の変調の逆関数で波形等化を行って再生データを取り出すことを特徴とする磁気記録再生装置。 - 前記信号処理方式は、正方向走行の場合がEPR4方式であり、逆方向走行の場合がPR4方式であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録再生装置。
- 前記磁性層の膜厚は、50nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の磁気記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006221491A JP2008047210A (ja) | 2006-08-15 | 2006-08-15 | 磁気テープの記録再生方法及び磁気記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2006221491A JP2008047210A (ja) | 2006-08-15 | 2006-08-15 | 磁気テープの記録再生方法及び磁気記録再生装置 |
Publications (1)
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JP2008047210A true JP2008047210A (ja) | 2008-02-28 |
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ID=39180800
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2006221491A Pending JP2008047210A (ja) | 2006-08-15 | 2006-08-15 | 磁気テープの記録再生方法及び磁気記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2008047210A (ja) |
-
2006
- 2006-08-15 JP JP2006221491A patent/JP2008047210A/ja active Pending
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