JP2008044213A - インクジェット記録用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性に優れ、良好な走行性を維持することのできるインクジェット記録用シートを提供する。
【解決手段】支持体の表面上にインク受像層を有し、支持体の裏面に導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層、静摩擦係数が0.30以下の摩擦係数低減層を、この順に有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【選択図】なし
【解決手段】支持体の表面上にインク受像層を有し、支持体の裏面に導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層、静摩擦係数が0.30以下の摩擦係数低減層を、この順に有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。
【選択図】なし
Description
本発明は耐摩耗性に優れ、良好な走行性を維持することのできるインクジェット記録用シートに関する。
インクジェット記録用シートにおいて、インクの吸収性、耐水性、光沢性に優れるばかりでなく、さまざまな環境下でも良好な走行性を維持する必要がある。特に、近年のインクジェットプリンターの高速化に伴い、インクジェット記録用シートの走行性がますます重要になってきている。しかしながら、受像面及びバックコート面の表面電気抵抗(SR)が高いと、帯電によりシート付着が生じ、また、摩擦係数が高いとインクジェット記録用シートの走行性が低くなる問題がある。
このため、インクジェット記録用シートのインク受像層に平均一次粒子径が20nm以下の無機微細粒子を含有する多孔性層を用いてインク受像層の表面電気抵抗を下げることが提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、温度、湿度が異なる条件ではSRが変化し、特に低湿度ではSRが大きくなり摩擦帯電によるシート接着が生じるため、高速プリントで通紙不良が発生する。
また、OHP用途のようにバックライト方式のインクジェット記録用シートにおいても、良好な走行性が求められている。OHPシートは一般に光透過性支持体にプラスチックフィルムを用いているため、基材の帯電によりごみが付着したり、シート接着により通紙不良(重走)が生じ易い。そのため、インク受像層に無機微粒子と親水性バインダーを設け、支持体の裏面層に導電性金属酸化物又は塩基性ポリ水酸化アルミニウムと親水性バインダーを設けたインクジェット受像シートが提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、支持体が光透過性支持体であることから、反射型の受像シートには適応できない。かかるインクジェット受像シートは、シート裏面が裏面層のみから形成されることから、脆く、シートを曲げるとひび割れや擦り傷が生じやすく、シートが磨耗し易い。また裏面層のみが導電性であるために高速プリントで走行不良が生じやすい。
本発明は、耐摩耗性に優れ、良好な走行性を維持することのできるインクジェット記録用シートを提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体の表面上にインク受像層を有し、支持体の裏面に導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層、静摩擦係数が0.30以下の摩擦係数低減層を、この順に有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。
<2> 前記インク受像層が気相法シリカと親水性樹脂を含有する多孔質構造であることを特徴とする<1>に記載のインクジェット記録用シートである。
<3> 前記インク受像層の表面にコロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する表面上層を有することを特徴とする<1>または<2>に記載のインクジェット記録用シートである。
<4> 前記支持体の両面に、導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層を有することを特徴とする、<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<5> 前記導電性下塗層が、少なくとも数平均粒子径が150nm以下の導電性金属酸化物粒子と結着樹脂からなることを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<6> 前記導電性下塗層が、少なくともアスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が5以上、短軸長さが5〜50nmの針状導電性金属酸化物粒子と結着樹脂からなることを特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<7> 前記インクジェット記録用シートの表面と裏面の表面電気抵抗が、環境温湿度が20℃・25%から20℃・85%の範囲内で1×1012Ω/cm2以下であることを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<8> 前記インクジェット記録用シートの裏面の表面張力が36mN/m以下であることを特徴とする、<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<9> 前記支持体がポリオレフィン系樹脂を原紙の両面にラミネートした耐水性支持体であることを特徴とする、<1>から<8>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<1> 支持体の表面上にインク受像層を有し、支持体の裏面に導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層、静摩擦係数が0.30以下の摩擦係数低減層を、この順に有することを特徴とするインクジェット記録用シートである。
<2> 前記インク受像層が気相法シリカと親水性樹脂を含有する多孔質構造であることを特徴とする<1>に記載のインクジェット記録用シートである。
<3> 前記インク受像層の表面にコロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する表面上層を有することを特徴とする<1>または<2>に記載のインクジェット記録用シートである。
<4> 前記支持体の両面に、導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層を有することを特徴とする、<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<5> 前記導電性下塗層が、少なくとも数平均粒子径が150nm以下の導電性金属酸化物粒子と結着樹脂からなることを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<6> 前記導電性下塗層が、少なくともアスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が5以上、短軸長さが5〜50nmの針状導電性金属酸化物粒子と結着樹脂からなることを特徴とする<1>から<5>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<7> 前記インクジェット記録用シートの表面と裏面の表面電気抵抗が、環境温湿度が20℃・25%から20℃・85%の範囲内で1×1012Ω/cm2以下であることを特徴とする<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<8> 前記インクジェット記録用シートの裏面の表面張力が36mN/m以下であることを特徴とする、<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
<9> 前記支持体がポリオレフィン系樹脂を原紙の両面にラミネートした耐水性支持体であることを特徴とする、<1>から<8>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートである。
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、良好な走行性を維持することのできるインクジェット記録用シートを得ることができる。
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体の表面上にインク受像層を有し、支持体の裏面に導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層、静摩擦係数が0.30以下の摩擦係数低減層を、この順に有する。以下、本発明を説明する。
[支持体]
支持体としては、例えば、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙、ラミネート紙、等が挙げられ、これらの中でも、原紙の両面にポリオレフィン樹脂を被覆した支持体が、耐水性、カール抑制、手触り感、及び腰の強さの点で好ましい。これらの支持体は、単層構成でもよく、2層以上の積層構成でもよい。
支持体としては、例えば、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙、ラミネート紙、等が挙げられ、これらの中でも、原紙の両面にポリオレフィン樹脂を被覆した支持体が、耐水性、カール抑制、手触り感、及び腰の強さの点で好ましい。これらの支持体は、単層構成でもよく、2層以上の積層構成でもよい。
−原紙−
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(224)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(224)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
前記原紙としては、支持体に使用されるものとして公知の材料であれば特に制限なく、目的に応じて各種の材料から適宜選択することができ、例えば、針葉樹、広葉樹等の天然パルプ、該天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
前記原紙の原料として使用できるパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランス良く、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が望ましいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP) 等を使用することもできる。
前記パルプの叩解には、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプのカナダ標準濾水度は、抄紙工程において紙の収縮を制御できるため、200〜440mlC.S.F.がより好ましく、250〜380mlC.S.F.が更に好ましい。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
前記パルプの叩解には、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプのカナダ標準濾水度は、抄紙工程において紙の収縮を制御できるため、200〜440mlC.S.F.がより好ましく、250〜380mlC.S.F.が更に好ましい。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物、などが挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)等に記載のものを用いることができる。
これら各種添加剤等は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら各種添加剤等の前記パルプ紙料中への添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常0.1〜1.0質量%が好ましい。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物、などが挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。
前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)等に記載のものを用いることができる。
これら各種添加剤等は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら各種添加剤等の前記パルプ紙料中への添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常0.1〜1.0質量%が好ましい。
前記パルプスラリーには、更に必要に応じて、前記各種添加剤等を含有させたパルプ紙料を手抄紙機、長網抄紙機、丸網抄紙機、ツインワイヤーマシン、コンビネーションマシンなどの抄紙機を用いて抄紙し、その後乾燥して原紙を作製する。また、所望により前記乾燥の前後のいずれかに表面サイズ処理を実施することができる。
前記表面サイズ処理に使用される処理液は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性高分子化合物、耐水性物質、顔料、染料、蛍光増白剤、等が含まれていてもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられる。
前記表面サイズ処理に使用される処理液は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性高分子化合物、耐水性物質、顔料、染料、蛍光増白剤、等が含まれていてもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられる。
前記耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、等が挙げられる。
前記原紙は、剛性及び寸法安定性(カール性)の向上を図る点で、縦方向ヤング率(Ea)と横方向ヤング率(Eb)の比(Ea/Eb)が1.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。Ea/Eb値が1.5未満、或いは2.0を超える範囲では、電子写真用受像シートの剛性や、カール性が悪くなり易く、搬送時の走行性に支障をきたすことになるため、好ましくない。
一般に、紙の「こし」は、叩解の様式の相違に基づいて異なることが分かっており、叩解後、抄紙してなる紙が持つ弾性力(率)を紙の「こし」の程度を表す重要な因子として用いることができる。特に、紙が持つ粘弾性体の物性を示す動的弾性率と密度との関係を利用し、これに超音波振動素子を使って紙中を伝播する音速を測定することにより、紙の弾性率を下記の式より求めることができる。
E=ρc2(1−n2)
但し、前記数式において、Eは、動的弾性率を意味する。ρは密度を意味する。cは、紙中の音速を意味する。nは、ポアソン比を意味する。
E=ρc2(1−n2)
但し、前記数式において、Eは、動的弾性率を意味する。ρは密度を意味する。cは、紙中の音速を意味する。nは、ポアソン比を意味する。
また、通常の紙の場合、n=0.2程度であるため、下記の式で計算しても大差なく、算出することができる。
E=ρc2
即ち、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。上式において、音速を測定する場合には、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
E=ρc2
即ち、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。上式において、音速を測定する場合には、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
前記原紙には、表面に所望の中心線平均粗さを付与するために、例えば、特開昭58−68037号公報に記載されているように、繊維長分布(例えば、24メッシュスクリーン残留分と、42メッシュスクリーン残留分との合計が、例えば、20〜45質量%であり、かつ24メッシュスクリーン残留分が5質量%以下)のパルプ繊維を使用するのが好ましい。また、マシンカレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及び圧力を加えて表面処理することにより、中心線平均粗さを調整することができる。
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、50〜250g/m2が好ましく、100〜200g/m2がより好ましい。
−合成紙−
前記合成紙は、セルロース以外のポリマー繊維を主成分とする紙であり、前記ポリマー繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、などが挙げられる。
前記合成紙は、セルロース以外のポリマー繊維を主成分とする紙であり、前記ポリマー繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、などが挙げられる。
−合成樹脂シート(フィルム)−
前記合成樹脂シート(フィルム)としては、合成樹脂をシート状に成形したもの等が挙げられ、例えば、ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。また、延伸により白色にしたフィルム、白色顔料を含む白色フィルムなどを用いることもできる。
前記合成樹脂シート(フィルム)としては、合成樹脂をシート状に成形したもの等が挙げられ、例えば、ポリプロピレンフィルム、延伸ポリエチレンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、延伸ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。また、延伸により白色にしたフィルム、白色顔料を含む白色フィルムなどを用いることもできる。
−コート紙−
前記コート紙は、原紙等の基体に、各種の樹脂を片面及び両面の少なくともいずれかに塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
前記コート紙は、原紙等の基体に、各種の樹脂を片面及び両面の少なくともいずれかに塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
前記原紙等の表面に塗工する樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂が好適である。該熱可塑性樹脂としては、(1)ポリオレフィン系樹脂、(2)ポリスチレン系樹脂、(3)アクリル系樹脂、(4)ポリ酢酸ビニル又はその誘導体、(5)ポリアミド系樹脂、(6)ポリエステル樹脂、(7)ポリカーボネート樹脂、(8)ポリエーテル樹脂(又はアセタール樹脂)、(9)その他の樹脂、などが挙げられる。これら熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用しても構わない。
前記(1)のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、エチレン、プロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合樹脂、などが挙げられる。オレフィンと他のビニルモノマーとの共重合樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸やメタクリル酸との共重合体であるアイオノマー樹脂などが挙げられる。なお、ポリオレフィン樹脂の誘導体としては、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレンなどが挙げられる。
前記(2)のポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−イソブチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン−無水マレイン酸樹脂などが挙げられる。
前記(3)のアクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸又はそのエステル類、ポリメタアクリル酸又はそのエステル類、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。前記ポリアクリル酸エステル類及びポリメタアクリル酸エステル類はエステル基の種類により特性が大きく異なる。また、他のモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル等)との共重合体も挙げられる。前記ポリアクリロニトリルは単独重合物としてよりも上記AS樹脂、ABS樹脂の共重合体として用いることが多い。
前記(4)のポリ酢酸ビニル又はその誘導体としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られるポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールをアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)と反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。
前記(5)のポリアミド系樹脂はジアミンと二塩基酸との重縮合体であり、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどが挙げられる。
前記(6)のポリエステル樹脂は、アルコールと酸の重縮合体であり、各々の組み合わせにより特性が大きく異なる。芳香族系二塩基酸と二価アルコールからなる汎用樹脂ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
前記(7)のポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAとホスゲンから得られるポリ炭酸エステルが一般的である。
前記(8)のポリエーテル樹脂(又はアセタール樹脂) としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル樹脂、開環重合系としてポリオキシメチレン等のアセタール樹脂などが挙げられる。
前記(9)のその他樹脂として重付加系のポリウレタン樹脂などが挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂には、更に必要に応じて、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を含有させておくことができる。
前記(2)のポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−イソブチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン−無水マレイン酸樹脂などが挙げられる。
前記(3)のアクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸又はそのエステル類、ポリメタアクリル酸又はそのエステル類、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。前記ポリアクリル酸エステル類及びポリメタアクリル酸エステル類はエステル基の種類により特性が大きく異なる。また、他のモノマー(例えばアクリル酸、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル等)との共重合体も挙げられる。前記ポリアクリロニトリルは単独重合物としてよりも上記AS樹脂、ABS樹脂の共重合体として用いることが多い。
前記(4)のポリ酢酸ビニル又はその誘導体としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られるポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールをアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等)と反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。
前記(5)のポリアミド系樹脂はジアミンと二塩基酸との重縮合体であり、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどが挙げられる。
前記(6)のポリエステル樹脂は、アルコールと酸の重縮合体であり、各々の組み合わせにより特性が大きく異なる。芳香族系二塩基酸と二価アルコールからなる汎用樹脂ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
前記(7)のポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAとホスゲンから得られるポリ炭酸エステルが一般的である。
前記(8)のポリエーテル樹脂(又はアセタール樹脂) としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル樹脂、開環重合系としてポリオキシメチレン等のアセタール樹脂などが挙げられる。
前記(9)のその他樹脂として重付加系のポリウレタン樹脂などが挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂には、更に必要に応じて、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を含有させておくことができる。
−ラミネート紙−
前記ラミネート紙は、原紙等の基体に、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等のラミネート材料をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ラミネート紙は、原紙等の基体に、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等のラミネート材料をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、トリアセチルセルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオレフィン樹脂は、一般に低密度ポリエチレン樹脂を用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
前記高密度ポリエチレンと、前記低密度ポリエチレンとの混合比率(質量比)は1/9〜9/1が好ましく、2/8〜8/2がより好ましく、3/7〜7/3が更に好ましい。該原紙の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、原紙の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。前記ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックス(MI)が、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
なお、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタン等の顔料を配合する方法などが挙げられる。
なお、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタン等の顔料を配合する方法などが挙げられる。
前記支持体の厚みとしては、25〜300μmが好ましく、50〜260μmがより好ましく、75〜220μmが更に好ましい。該支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能である。
[導電性下塗層]
導電性下塗層は、支持体の裏面に形成され、導電性下塗層は導電性金属酸化物を含有する。また、該支持体の表面にも導電性下塗層を形成することが好ましい。
導電性下塗層は、支持体の裏面に形成され、導電性下塗層は導電性金属酸化物を含有する。また、該支持体の表面にも導電性下塗層を形成することが好ましい。
−導電性金属酸化物−
導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、WO3及びMoO3を挙げることが出来、これらは単独で使用しても良く、これらの複合酸化物を使用しても良い。特に、Zn、Ti、Sn、In、Si、Mo、及びWから選ばれる少なくとも1の金属の酸化物、及び/又は、該酸化物より構成される少なくとも1の金属複合酸化物を主体とするものであることが好ましい。また、導電性金属酸化物粒子は、異種元素をさらに含有するものが好ましく、例えば、ZnOに対してNb、Ta等、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させたものが好ましい。これらの中でもSbをドーピングしたSnO2が、経済的にも導電性の変化が少なく安定性が高いので、より好ましい。
導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、WO3及びMoO3を挙げることが出来、これらは単独で使用しても良く、これらの複合酸化物を使用しても良い。特に、Zn、Ti、Sn、In、Si、Mo、及びWから選ばれる少なくとも1の金属の酸化物、及び/又は、該酸化物より構成される少なくとも1の金属複合酸化物を主体とするものであることが好ましい。また、導電性金属酸化物粒子は、異種元素をさらに含有するものが好ましく、例えば、ZnOに対してNb、Ta等、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させたものが好ましい。これらの中でもSbをドーピングしたSnO2が、経済的にも導電性の変化が少なく安定性が高いので、より好ましい。
導電性金属酸化物の導電性下塗層(両面)中の割合は、好ましくは1〜80質量%であり、より好ましくは5〜70質量%である。導電性下塗層中の割合が1質量%以上であれば導電性が良好であり、80質量%以下であれば膜の脆さやクスミ・ニゴリの発生を少なくすることができる。
一方、導電性金属酸化物の導電性下塗層(片面)中の割合は、好ましくは2〜80質量%であり、より好ましくは10〜70質量%である。導電性下塗層中の割合が2質量%以上であれば導電性が良好であり、80質量%以下であれば膜の脆さやクスミ・ニゴリの発生を少なくすることができる。
一方、導電性金属酸化物の導電性下塗層(片面)中の割合は、好ましくは2〜80質量%であり、より好ましくは10〜70質量%である。導電性下塗層中の割合が2質量%以上であれば導電性が良好であり、80質量%以下であれば膜の脆さやクスミ・ニゴリの発生を少なくすることができる。
導電性下塗層で用いられる導電性金属酸化物粒子の形状としては、球状、針状、不定形等いかなる形状であってもよい。また、その大きさとしては光散乱をできるだけ抑え、受像シート全体の着色(クスミやニゴリ)を抑制する意味から、小さくすることが好ましい。導電性金属酸化物粒子の形状が球状乃至不定形の場合は、数平均粒子径が150nm以下であることが必要であり、好ましくは10〜100nmであり、より好ましくは10〜50nmである。150nm以下であれば、着色(クスミやニゴリ)が少なく、また塗布液への分散性を良くすることができる。
導電性金属酸化物粒子の形状が針状乃至略針状の場合は、アスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が5以上、短軸長さが5〜50nmであることが好ましい。アスペクト比は10以上がより好ましく、15以上がさらに好ましい。短軸長さは7〜30nmがより好ましく、10〜20nmがさらに好ましい。長軸長さは100〜3000nmが好ましく、150〜2500nmがより好ましい。また、アスペクト比が5以上であると、導電性効果を大きくすることができる。短軸長さが5nm以上であると破断しにくく、一定の針状形態が得られやすい。一方、短軸長さが50nm以下であると透明性の観点で好ましい。
−結着樹脂−
上記導電性下塗層の結着樹脂の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル、水溶性ポリウレタン、水溶性ナイロン、水溶性エポキシ樹脂、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの誘導体等の水溶性結着樹脂;水分散アクリル樹脂、水分散ポリエステル等の水分散型樹脂;アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、SBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)エマルジョン等のエマルジョン;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の有機溶剤可溶型樹脂を挙げることができる。水溶性結着樹脂、水分散型樹脂及びエマルジョンが好ましい。これらの結着樹脂に、さらに界面活性剤を添加してもよく、また架橋剤等を添加しても良い。
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンイミダゾールスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、カルボン酸スルホンエステル、リン酸エステル、ヘテロ環アミン類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類及びベタイン系両性塩類を挙げることができる。
上記導電性下塗層の結着樹脂の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリエステル、水溶性ポリウレタン、水溶性ナイロン、水溶性エポキシ樹脂、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びこれらの誘導体等の水溶性結着樹脂;水分散アクリル樹脂、水分散ポリエステル等の水分散型樹脂;アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、SBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)エマルジョン等のエマルジョン;アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の有機溶剤可溶型樹脂を挙げることができる。水溶性結着樹脂、水分散型樹脂及びエマルジョンが好ましい。これらの結着樹脂に、さらに界面活性剤を添加してもよく、また架橋剤等を添加しても良い。
界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンイミダゾールスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、カルボン酸スルホンエステル、リン酸エステル、ヘテロ環アミン類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類及びベタイン系両性塩類を挙げることができる。
上記導電性下塗層の形成は、例えば、上記導電性金属酸化物粒子及び結着樹脂等を水、あるいは有機溶剤に分散又は溶解させ、得られた塗布液を支持体上に塗布、加熱乾燥することにより実施することができる。塗布は、例えばエアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法で行なうことができる。
導電性下塗層の塗布量は、固形分で0.01〜10g/m2が好ましく、0.1〜5g/m2がより好ましい。該塗布量が0.01g/m2以上の場合は、導電性の観点で好ましく、10g/m2以下では着色を生じにくくすることができる。
導電性下塗層の塗布量は、固形分で0.01〜10g/m2が好ましく、0.1〜5g/m2がより好ましい。該塗布量が0.01g/m2以上の場合は、導電性の観点で好ましく、10g/m2以下では着色を生じにくくすることができる。
[インク受像層]
本発明のインク受像層は、気相法シリカと親水性樹脂を含有する多孔質構造であることが望ましい。インク受像層には気相法シリカ単独のみならず、気相法シリカと他の無機微粒子とを組み合わせたものを用いてもよいが、光沢、インク吸収性の面で、気相法シリカと、アルミナ、又はアルミナ水和物との組み合わせが好ましい。
本発明のインク受像層は、気相法シリカと親水性樹脂を含有する多孔質構造であることが望ましい。インク受像層には気相法シリカ単独のみならず、気相法シリカと他の無機微粒子とを組み合わせたものを用いてもよいが、光沢、インク吸収性の面で、気相法シリカと、アルミナ、又はアルミナ水和物との組み合わせが好ましい。
−気相法シリカ−
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、トクヤマ(株)からQSタイプとして市販されており入手することができる。
気相法シリカの平均一次粒子径は、5〜50nmが好ましく、より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつBET法による比表面積が90〜400m2/gのものを用いるのが好ましい。本発明で云うBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ、吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて、表面積が得られる。
アルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は、数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で50〜300nm程度まで粉砕したものが好ましく使用出来る。
アルミナ水和物は、Al2O3・nH2O(n=1〜3)の構成式で表される。nが1の場合がベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1より大きく3未満の場合が擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表す。アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。
アルミナ水和物の一次粒子の平均粒径は、5〜50nmが好ましく、より高い光沢を得るためには、5〜20nmでかつ平均アスペクト比(平均厚さに対する平均粒径の比)が2以上の平板状の粒子を用いるのが好ましい。
本発明において、インク受像層には皮膜としての特性を維持するために水溶性樹脂が含有されることが望ましい。水溶性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系等やそれらの誘導体が使用されるが、特に好ましい水溶性樹脂は完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
本発明のインク受像層には水溶性樹脂を気相法シリカに対して5〜35質量%の範囲で用いるのが好ましく、特に10〜30質量%の範囲で用いるのが好ましい。
インク受像層に気相法シリカを含有する際には、併せてカチオン性化合物を含有するのが好ましい。インク受像層にカチオン性化合物を含有することによって、インク受像層のひび割れの防止及び耐水性を向上することができる。更に、このカチオン性化合物を含有するインク受像層の上にコロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する層を設けることによって、耐傷性、耐水性、インク吸収性が更に向上し、加えて2つの層の界面における凝集が防止され、その結果塗布ムラや光沢ムラが解消することができる。インク受像層の無機微粒子としてアルミナあるいはアルミナ水和物を含有する場合は、カチオン性化合物を必ずしも併用しなくても、充分なひび割れ及び耐水性が得られる。
カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーあるいは水溶性の多価金属化合物が好ましく用いられる。これらのカチオン性化合物及び水溶性の多価金属化合物は、単独あるいは併用することができる。
カチオン性ポリマーとしては、4級アンモニウム基、ホスホニウム基、あるいは1〜3級アミンの酸付加物を有する水溶性カチオン性ポリマーが挙げられる。例えば、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアミン、ポリアリルアミン、アリキルアミンエピクロルヒドリン重縮合物、特開昭59−20696号、同59−33176号、同59−33177号、同59−155088号、同60−11389号、同60−49990号、同60−83882号、同60−109894号、同62−198493号、同63−49478号、同63−115780号、同63−280681号、特開平1−40371号、同6−234268号、同7−125411号、同10−193776号公報等に記載されたカチオン性ポリマーが挙げられる。本発明に用いられるカチオン性ポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましく、より好ましくは5万以下であり、下限は2千程度である。
これらのカチオン性ポリマーの使用量は無機微粒子に対して1〜10質重量%の範囲が好ましい。
上記水溶性の多価金属化合物における多価金属としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、チタン、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンが挙げられ、これらの金属の水溶性塩として用いることができる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム八水和物、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、塩化チタン、硫酸チタン、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの中でも特に、アルミニウムあるいは周期表IVa族元素(ジルコニウム、チタン)の水溶性塩が好ましい。本発明において、水溶性とは常温常圧下で水に1質量%以上溶解することを意味する。
上記以外の水溶性アルミニウム化合物として、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al2(OH)nCl6−n]m ・・・式1
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・・式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n ・・・式3
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・・式2
Aln(OH)mCl(3n−m) 0<m<3n ・・・式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。これらの塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物は、特公平3−24907、同平3−42591号公報にも記載されている。
本発明において、上記した水溶性の多価金属化合物のインク受像層中の含有量は、0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、より好ましくは0.2g/m2〜5g/m2である。
本発明において、インク受像層に皮膜の脆弱性を改良するために各種油滴を含有することができる。そのような油滴としては室温における水に対する溶解性が0.01質量%以下の疎水性高沸点有機溶媒(例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等)や重合体粒子(例えば、スチレン、ブチルアクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等の重合性モノマーを一種以上重合させた粒子)を含有させることができる。そのような油滴は好ましくは親水性樹脂に対して10〜50質量%の範囲で用いることができる。
本発明において、インク受像層には、親水性樹脂とともに硬膜剤を含有するのが好ましい。硬膜剤の具体的な例としては、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドの如きアルデヒド系化合物、ジアセチル、クロルペンタンジオンの如きケトン化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5トリアジン、米国特許第3,288,775号記載の如き反応性のハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、米国特許第3,635,718号記載の如き反応性のオレフィンを持つ化合物、米国特許第2,732,316号記載の如きN−メチロール化合物、米国特許第3,103,437号記載の如きイソシアナート類、米国特許第3,017,280号、同2,983,611号記載の如きアジリジン化合物類、米国特許第3,100,704号記載の如きカルボジイミド系化合物類、米国特許第3,091,537号記載の如きエポキシ化合物、ムコクロル酸の如きハロゲンカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサンの如きジオキサン誘導体、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、ほう酸及びほう酸塩の如き無機硬膜剤等があり、これらを1種または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にほう酸あるいはほう酸塩が好ましい。硬膜剤の添加量はインク受像層を構成する親水性樹脂に対して、0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
インク受像層には、更に着色染料、着色顔料、インク染料の定着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。また、本発明のインク受像層の塗布液のpHは、3.3〜6.0の範囲が好ましく、特に3.5〜5.5の範囲が好ましい。このインク受像層塗布液のpHと、上層のコロイダルシリカを含有する層の塗布液のpH3.3〜6とを組み合わせることによって、更にインク吸収性、光沢性、及び均一な塗布面が得られる。
インクジェット記録用シートの表面は、環境温湿度が20℃・25%から20℃・85%の範囲内で1×1012Ω/cm2以下の表面電気抵抗を有することが好ましい。1×1012Ω/cm2以下であれば、重送等の走行性不良が生じにくい。より好ましくは、1×1011Ω/cm2以下である。
この電気抵抗は、導電性下塗層の組成及び膜厚により調整されるが、摩擦係数低減層に帯電防止剤を含有させることのよっても微調整することができる。例えば、上記表面電気抵抗に設定することにより、インクジェット記録用シートがインクジェット機内で搬送されることにより通常生ずる静電気が大いに抑えられ、シート同士の接着もほとんど発生することがないため、走行性に優れる。
この電気抵抗は、導電性下塗層の組成及び膜厚により調整されるが、摩擦係数低減層に帯電防止剤を含有させることのよっても微調整することができる。例えば、上記表面電気抵抗に設定することにより、インクジェット記録用シートがインクジェット機内で搬送されることにより通常生ずる静電気が大いに抑えられ、シート同士の接着もほとんど発生することがないため、走行性に優れる。
[表面上層]
本発明のインクジェット記録用シートは、上記したインク受像層の上に更にコロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する表面上層を有することが好ましい。この表面上層は、最表面の層(最外層)であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用シートは、上記したインク受像層の上に更にコロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する表面上層を有することが好ましい。この表面上層は、最表面の層(最外層)であることが好ましい。
コロイダルシリカは、ケイ酸ナトリウムの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる二酸化珪素をコロイド状に水中に分散させたものであり、平均一次粒径が数nm〜100nm程度の湿式法合成シリカである。コロイダルシリカとしては、日産化学工業(株)社からスノーテックスST−20、ST−30、ST−40、ST−C、ST−N、ST−20L、ST−O、ST−OL、ST−S、ST−XS、STXL、ST−YL、ST−ZL、ST−OZL、STAK等が、市販されている。
コロイダルシリカは、インク吸収性及び光沢の観点から平均一次粒子径が30nm〜100nmの範囲のものが好ましい。更に平均一次粒子径の異なる2種類以上のコロイダルシリカを併用することが好ましい。この場合、平均一次粒子径が30nm以上〜60nm未満のコロイダルシリカと平均一次粒子径が60nm以上〜100nm以下のコロイダルシリカを組み合わせて用いるのがより好ましく、コロイダルシリカの合計量に対する平均一次粒子径が30nm以上〜60nm未満のコロイダルシリカの比は、60質量%以上が好ましい。
上記のコロイダルシリカの粒子形状としては、球状、鎖状(数珠状)等があるが、本発明の効果、特に耐傷性及び光沢性の点で球状のコロイダルシリカが好ましい。また、上記のコロイダルシリカは、アニオン性、ノニオン性、カチオン性があるが、表面上層の塗布液の安定性、特にポリビニルアルコールを有機バインダーとして含有する塗布液の安定性(塗布液の経時によるコロイダルシリカの凝集や分離)の点でアニオン性が好ましい。
表面上層におけるコロイダルシリカの固形分塗布量は、0.1〜8.0g/m2が好ましく、0.3〜5.0g/m2の範囲がより好ましい。これによって、インク吸収性を低下させずに、光沢性及び耐傷性の一段の改良が図られる。
本発明において、表面上層はカチオン性化合物を含有するが、カチオン性化合物としてはカチオン性ポリマーあるいは水溶性多価金属化合物が好ましく用いられる。これらのカチオン性ポリマー及び水溶性多価金属化合物の詳細は、前述のインク受像層での説明と同じである。本発明において、表面上層に用いられるカチオン性化合物としてはカチオン性ポリマーが好ましい。
上記カチオン性化合物の添加量は、コロイダルシリカに対して0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜8.0質量%の範囲がより好ましい。
表面上層には、更に有機バインダーを含有するのが好ましい。有機バインダーはコロイダルシリカに対して10質量%以下で用いるのが好ましく、下限は0.5質量%程度である。より好ましくは、1〜7質量%の範囲で有機バインダーを用いる。有機バインダーをこの範囲で含有させることによってインク吸収性を低下させずに耐傷性を更に向上させる。
上記有機バインダーとしては、インク受像層に用いられる前述した親水性樹脂のほか、水溶性ポリエステル、水溶性ポリウレタン、水溶性ナイロン、水溶性エポキシ樹脂、ゼラチン、水分散アクリル樹脂、アクリルエマルジョン、水分散ポリエステル、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、SBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)エマルジョンを挙げることができる。これらの中でも特に好ましい有機バインダーは完全または部分ケン化のポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールの中でも特に好ましいのは、ケン化度が80%以上の部分または完全ケン化したものである。平均重合度500〜5000のポリビニルアルコールが好ましい。
また、カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば特開昭61−10483号に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖あるいは側鎖中に有するポリビニルアルコールである。
表面上層には、有機バインダーとともに硬膜剤を用いることができる。硬膜剤としては、前述したインク受像層に用いられる硬膜剤を挙げることができる。これらの硬膜剤の中でも特に、ほう酸あるいはほう酸塩が好ましく用いられる。表面上層には、他に界面活性剤、着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤等を含有することができる。
本発明のインクジェット記録用シートは、支持体上に気相法シリカと親水性樹脂を含有するインク受像層の塗布液と、コロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する層(表面上層)の塗布液をこの順に塗布して製造することが好ましく、表面上層の塗布液のpHが3.3〜6.0の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、表面上層の塗布液のpHの範囲は3.5〜5.5である。
カチオン性化合物を含有し、かつpHが3.3〜6.0の範囲内にある表面上層の塗布液をインク受像層の上に積層することによって、耐傷性、光沢性が改良され、特にインク吸収性が大幅に向上し、加えてインク受像層と表面上層との界面での凝集がなくなり、塗布ムラや光沢ムラを解消することができる。
本発明において、インク受像層及び表面上層の塗布方法は、1層ずつ塗布する逐次塗布方法(例えば、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、リバースコーター等)、あるいは多層同時重層塗布方法(例えば、スライドビードコーターやスライドカーテンコーター等)のいずれの方法であっても、本発明の効果は得られるが、多層同時重層塗布方法が好ましく用いられる。
[摩擦係数低減層]
支持体の裏面には導電性下塗層、摩擦係数低減層をこの順に有する。摩擦係数低減層は、膜にした時の表面の静摩擦係数が0.30以下のポリマーからなり、好ましくはさらにマット剤、界面活性剤を含む。
支持体の裏面には導電性下塗層、摩擦係数低減層をこの順に有する。摩擦係数低減層は、膜にした時の表面の静摩擦係数が0.30以下のポリマーからなり、好ましくはさらにマット剤、界面活性剤を含む。
静摩擦係数の低いポリマーとしては、低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;(メタ)アクリル酸/オレフィン共重合体(例、メタアクリル酸/エチレン共重合体);酢酸ビニル/オレフィン共重合体(例、酢酸ビニル/エチレン共重合体);アイオノマー(例、メタアクリル酸金属塩/エチレン共重合体(金属として、Zn、Na、K、Li、Ca、Mg;Na及びZnが好ましい));フッ素樹脂(例、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロオトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン);及びフッ素系アクリル樹脂(例、メタクリル酸のフルオロアルコールエステルの重合体)を挙げることができる。ポリオレフィンおよびオレフィン単位を含む共重合体((メタ)アクリル酸/オレフィン共重合体、酢酸ビニル/オレフィン共重合体及びアイオノマー)が好ましく、特にアイオノマーが好ましい。これらの樹脂は水分散体として使用することが、生産性の点で好ましい。これらの樹脂の水分散体として使用する場合は、150℃以下の加熱温度で膜を形成することができるような、造膜性に優れた樹脂の分散体を使用することが好ましい。摩擦係数低減層は、通常これらのポリマーを含む塗布液を塗布乾燥することにより形成するが、上記ポリマーのシートを導電性下塗層上に貼り付けても良い。
上記摩擦係数低減層は、マット剤を含有することが好ましい。マット剤の添加は、滑り性を向上させることができるので、耐摩耗性及び耐傷性においても良好な効果を与える。上記マット剤に使用される材料としては、フッ素系樹脂、低分子量ポリオレフィン系有機ポリマー(例、ポリエチレン系マット剤、パラフィン系又はマイクロクリスタリン系のワックスエマルジョン)、略球状のマット剤に使用される材料としては、ビーズ状プラスチックパウダー(材料例、架橋型PMMA、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン又はポリスチレン)、及び無機微粒子(例、SiO2、Al2O3、タルク又はカオリン)を挙げることができる。上記マット剤の含有量は、ポリマーに対して0.1〜10重量%が好ましい。
インクジェット記録用シート裏面の表面電気抵抗を調整するために、摩擦係数低減層に界面活性剤や金属酸化物を含有させても良い。界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンイミダゾールスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、カルボン酸スルホンエステル、リン酸エステル、ヘテロ環アミン類、アンモニウム塩類、ホスホニウム塩類及びベタイン系両性塩類を挙げることができ、金属酸化物としては、あるいはZnO、SnO2、Al2O3、In2O3、MgO、BaO及びMoO3等を挙げることができる。
摩擦係数低減層は、所望により、さらに着色剤、紫外線吸収剤、架橋剤、酸化防止剤等公知の材料を、本発明のインクジェット記録用シートの特性を損なわない限り、使用することができる。
上記摩擦係数低減層の形成は、例えば、上記ポリマー、マット剤及び帯電防止剤等を水、あるいは有機溶剤に分散又は溶解させ、得られた塗布液を上記導電性下塗層上に塗布、加熱乾燥することにより実施することができる。塗布は、例えばエアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法で行なうことができる。ポリマーとして水分散物を使用する場合は、乾燥時にポリマーの造膜温度(通常80〜150℃程度)まで加熱する必要がある。加熱時間は10秒〜5分が一般的である。
上記摩擦係数低減層層の層厚は、0.1〜10μmの範囲が好ましく、特に0.2〜5μmの範囲が好ましい。
インクジェット記録用シートの裏面は、環境温湿度が20℃・25%から20℃・85%の範囲内で、1×1012Ω/cm2以下の表面電気抵抗を有することが好ましい。より好ましくは、1×1011Ω/cm2以下である。1×1012Ω/cm2以下であれば、摩擦帯電しにくいため、静電気によるシート接着を抑制することができ走行性に優れる。この電気抵抗は、導電性下塗層の組成及び膜厚により調整されるが、摩擦係数低減層に帯電防止剤を含有させることのよっても微調整することができる。
摩擦係数低減層の表面の静摩擦係数は0.30以下であり、0.10〜0.30がより好ましく、0.10〜0.20が特に好ましい。摩擦係数低減層の表面の静摩擦係数が0.30以下であれば、走行性に優れる。
また、摩擦係数低減層の表面の表面張力は36mN/m以下が好ましく、20〜36mN/mがより好ましく、20〜34mN/mが特に好ましい。摩擦係数低減層の表面の表面張力が36mN/m以下であれば、静摩擦係数が低くなり、重送等の走行性不良が生じにくい。
また、摩擦係数低減層の表面の表面張力は36mN/m以下が好ましく、20〜36mN/mがより好ましく、20〜34mN/mが特に好ましい。摩擦係数低減層の表面の表面張力が36mN/m以下であれば、静摩擦係数が低くなり、重送等の走行性不良が生じにくい。
摩擦係数低減層表面の静摩擦係数と表面張力の値は、摩擦係数低減層の性質によりほぼ決定される。インクジェット記録用シート裏面を、上記のような表面電気抵抗、静摩擦係数及び表面張力に調整することにより、走行性に特に優れ、さらにはシート同士の接着もほとんど発生することのないインクジェット記録用シートが得られる。例えば、上記表面電気抵抗に設定することにより、インクジェット記録用シートがインクジェット機内で搬送されることにより通常生ずる静電気が大いに抑えられ、上記静摩擦係数及び表面張力に設定することにより、インクジェット記録用シート同士(即ち受像層と)あるいは搬送時に接触するインクジェット機の搬送面との滑り性が大きく向上する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
−支持体の作成−
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をディスクリファイナーで300cc(カナダ標準ろ水度、C.S.F.)まで叩解し、繊維長0.58mmに調整した。このパルプ紙料に対して、パルプの質量に基づいて、表1に示す割合で添加剤を添加した。
(実施例1)
−支持体の作成−
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をディスクリファイナーで300cc(カナダ標準ろ水度、C.S.F.)まで叩解し、繊維長0.58mmに調整した。このパルプ紙料に対して、パルプの質量に基づいて、表1に示す割合で添加剤を添加した。
得られたパルプ紙料を、長網抄紙機により坪量150g/m2の原紙を作製した。なお、長網抄紙機の乾燥ゾーンの中間でサイズプレス装置により、ポリビニルアルコール(PVA)1.0g/m2、CaCl20.8g/m2を付着した。
抄紙工程の最後で、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理を行い、密度を1.01g/cm3に調整した。得られた基紙において、トナー受像層が設けられる側において、金属ロールが接するように通紙し、金属ロールの表面温度は140℃であった。得られた基紙の白色度は91%、王研式平滑度は265秒、ステキヒト・サイズ度は127秒であった。
抄紙工程の最後で、ソフトカレンダーを用いてカレンダー処理を行い、密度を1.01g/cm3に調整した。得られた基紙において、トナー受像層が設けられる側において、金属ロールが接するように通紙し、金属ロールの表面温度は140℃であった。得られた基紙の白色度は91%、王研式平滑度は265秒、ステキヒト・サイズ度は127秒であった。
得られた原紙を、出力17kWのコロナ放電によって処理した後、原紙裏面に表面マット粗さ10μmのクーリングロールを用い、表2に示した組成のポリエチレン樹脂を溶融吐出膜温度320℃、ラインスピード250m/分で単層押出ラミネートし、厚みが22μmとなるように原紙裏面にポリエチレン樹脂層を設けた。
次に、インク受像層を設ける側である原紙の表面に表面マット粗さ0.7μmのクーリングロールを用い、表3に示した組成のLDPEマスターバッチペレットと、群青を5質量%含有するLDPEマスターバッチペレットとを、最終的に組成が表4に示した組成になるように混合したものを、溶融吐出膜温度320℃、ラインスピード250m/分で単層押出ラミネートし、厚み29μmとなるように原紙表面にポリオレフィン樹脂層を設けた。
その後、原紙表面のポリオレフィン樹脂層に出力18kW、原紙裏面のポリオレフィン樹脂層に出力12kWのコロナ放電により処理した後、原紙表面にはゼラチン下塗層を、原紙裏面にはコロイダルアルミナ、コロイダルシリカ、及びポリビニルアルコール(PVA)を含有する帯電防止下塗層を設けて、支持体を作製した。
その後、原紙表面のポリオレフィン樹脂層に出力18kW、原紙裏面のポリオレフィン樹脂層に出力12kWのコロナ放電により処理した後、原紙表面にはゼラチン下塗層を、原紙裏面にはコロイダルアルミナ、コロイダルシリカ、及びポリビニルアルコール(PVA)を含有する帯電防止下塗層を設けて、支持体を作製した。
−導電性下塗層(表面)−
表5に示す組成の導電性下塗層形成用塗布液を、支持体の表面上にバーコーター#2.8を用いて塗布し、120℃で1分間乾燥し、導電性下塗層を形成した。膜厚は0.25μmであった。
表5に示す組成の導電性下塗層形成用塗布液を、支持体の表面上にバーコーター#2.8を用いて塗布し、120℃で1分間乾燥し、導電性下塗層を形成した。膜厚は0.25μmであった。
−インク受像層と表面上層−
上記導電性下塗層の上に、表6に示す組成のインク受像層塗布液、及び表7に示す組成の表面上層塗布液をスライドビードコーターで同時重層塗布した。インク受像層塗布液における気相法シリカの濃度は9質量%になるように調製した。インク受像層塗布液の湿分塗布量は200g/m2である(気相法シリカの固形分塗布量は18g/m2)。表面上層塗布液におけるコロイダルシリカの濃度は8質量%になるように調製した。表面上層塗布液の湿分塗布量は12.5g/m2である(コロイダルシリカの固形分塗布量は1g/m2)。
上記導電性下塗層の上に、表6に示す組成のインク受像層塗布液、及び表7に示す組成の表面上層塗布液をスライドビードコーターで同時重層塗布した。インク受像層塗布液における気相法シリカの濃度は9質量%になるように調製した。インク受像層塗布液の湿分塗布量は200g/m2である(気相法シリカの固形分塗布量は18g/m2)。表面上層塗布液におけるコロイダルシリカの濃度は8質量%になるように調製した。表面上層塗布液の湿分塗布量は12.5g/m2である(コロイダルシリカの固形分塗布量は1g/m2)。
上記の表面上層塗布液は以下のようにして作製した。まずコロイダルシリカの濃度が10質量%になるように水を加えてコロイダルシリカ水溶液を調製し、このコロイダルシリカ水溶液を高速回転ディスパーで高速撹拌しながらポリフィックス601(10質量%溶液)を添加し更に10分間高速撹拌した後、ポリビニルアルコール、界面活性剤を順に加えて塗布液を作製した。この塗布液のpHは3.0であった。
−導電性下塗層(裏面)−
表8に示す組成の導電性下塗層形成用塗布液を、前記支持体の裏面に、バーコーター#2.4を用いて、塗布速度105m/分で塗布し、120℃で1分間乾燥した。層厚は、0.15μmであった。
表8に示す組成の導電性下塗層形成用塗布液を、前記支持体の裏面に、バーコーター#2.4を用いて、塗布速度105m/分で塗布し、120℃で1分間乾燥した。層厚は、0.15μmであった。
−摩擦係数低減層−
表9示す組成の摩擦係数低減層形成用塗布液を、上記導電性下塗層の表面に、バーコーター#2.4を用いて、塗布速度105m/分で塗布し、120℃で1分間乾燥した。層厚は、0.4μmであった。
表9示す組成の摩擦係数低減層形成用塗布液を、上記導電性下塗層の表面に、バーコーター#2.4を用いて、塗布速度105m/分で塗布し、120℃で1分間乾燥した。層厚は、0.4μmであった。
(実施例2)
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を8.0質量部に変更し、純水92.1質量部を88.1質量部に変更し、さらに、実施例1の導電性下塗層(裏面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)1.8質量部を3.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を8.0質量部に変更し、純水92.1質量部を88.1質量部に変更し、さらに、実施例1の導電性下塗層(裏面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)1.8質量部を3.6質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(実施例3)
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を2.0質量部に変更し、純水92.1質量部を94.1質量部に変更し、さらに、実施例1の導電性下塗層(裏面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)1.8質量部を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を2.0質量部に変更し、純水92.1質量部を94.1質量部に変更し、さらに、実施例1の導電性下塗層(裏面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)1.8質量部を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(実施例4)
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を針状の二酸化錫微粒子(アスペクト比 25、短軸13nm、長軸320nm)2.0質量部に変更し、純水92.1質量部を94.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を針状の二酸化錫微粒子(アスペクト比 25、短軸13nm、長軸320nm)2.0質量部に変更し、純水92.1質量部を94.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(実施例5)
実施例1の摩擦係数低減層のエチレン/メタクリル酸アイオノマー水分散液を低密度ポリオレフィン水分散液(ケミパールM−200;三井石油化学工業(株)製、固形分40%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1の摩擦係数低減層のエチレン/メタクリル酸アイオノマー水分散液を低密度ポリオレフィン水分散液(ケミパールM−200;三井石油化学工業(株)製、固形分40%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(実施例6)
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を二酸化錫微粒子(数平均粒径=170nm)4.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を二酸化錫微粒子(数平均粒径=170nm)4.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した
(実施例7)
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を針状の二酸化錫微粒子(アスペクト比 4.5、短軸40nm、長軸180nm)2.0質量部に変更し、純水92.1質量部を94.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1の導電性下塗層(表面)の二酸化錫微粒子(SN−38:平均粒径=38nm:石原産業(株)製)4.0質量部を針状の二酸化錫微粒子(アスペクト比 4.5、短軸40nm、長軸180nm)2.0質量部に変更し、純水92.1質量部を94.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(比較例1)
導電性下塗層(裏面)を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
導電性下塗層(裏面)を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(比較例2)
摩擦係数低減層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
摩擦係数低減層を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
(比較例3)
実施例1の摩擦係数低減層のエチレン/メタクリル酸アイオノマー水分散液を水溶性アクリル(ジュリマーET−410;日本純薬(株)製、固形分27%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1の摩擦係数低減層のエチレン/メタクリル酸アイオノマー水分散液を水溶性アクリル(ジュリマーET−410;日本純薬(株)製、固形分27%)に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用シートを作製した。
[評価方法]
1)表面電気抵抗
電気抵抗計(アドバンテスイト(株)製、TR−8601)により、20℃・25%RH,20℃・85%RHの条件で、100Vで通電して1分後に測定した。
1)表面電気抵抗
電気抵抗計(アドバンテスイト(株)製、TR−8601)により、20℃・25%RH,20℃・85%RHの条件で、100Vで通電して1分後に測定した。
2)表面張力
摩擦係数低減層の表面を、表面張力測定装置(CA−A、協和界面科学(株)製)により、20℃・65%RHの条件で測定した。液滴としては、水とヨウ化メチレンを用いた。詳細は、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(D.K.Dwens &R.C.Wendt、13巻、1741頁、1969)に記載の方法に準拠した。
摩擦係数低減層の表面を、表面張力測定装置(CA−A、協和界面科学(株)製)により、20℃・65%RHの条件で測定した。液滴としては、水とヨウ化メチレンを用いた。詳細は、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(D.K.Dwens &R.C.Wendt、13巻、1741頁、1969)に記載の方法に準拠した。
3)静摩擦係数
摩擦係数低減層の表面を、摩擦係数測定装置(HEIDON−14、新東科学(株)製)により、20℃、65%RHの条件で測定した。詳細は、JIS K7125(1987)に準拠した。
摩擦係数低減層の表面を、摩擦係数測定装置(HEIDON−14、新東科学(株)製)により、20℃、65%RHの条件で測定した。詳細は、JIS K7125(1987)に準拠した。
4)走行性
ブラザー工業(株)製MFC−5200Jカラープリンターを用い、モノクロモードで走行性試験を行った。A4サイズのインクジェット記録シート20枚を1セットにしてインクジェットプリンターの用紙トレイにセットし、合計5セット(計100枚)を連続的に20℃、25%RHの条件下にて印字試験を行い、通紙不良が発生した頻度をカウントした。ここで20℃、25%RHの条件下に設定した理由は低湿度の方がより差が明確に比較できるからである。通紙不良が発生した頻度は4枚以下が許容されるレベルである。
ブラザー工業(株)製MFC−5200Jカラープリンターを用い、モノクロモードで走行性試験を行った。A4サイズのインクジェット記録シート20枚を1セットにしてインクジェットプリンターの用紙トレイにセットし、合計5セット(計100枚)を連続的に20℃、25%RHの条件下にて印字試験を行い、通紙不良が発生した頻度をカウントした。ここで20℃、25%RHの条件下に設定した理由は低湿度の方がより差が明確に比較できるからである。通紙不良が発生した頻度は4枚以下が許容されるレベルである。
5)画質
インクジェット記録用シートの表面を目視により下記の評価基準で官能評価した。
◎ :色調の変化なし。
○ :クスミやニゴリが、極めて軽微に見られる。
△ :クスミやニゴリが、軽微に見られる。
× :クスミやニゴリが、強い。
インクジェット記録用シートの表面を目視により下記の評価基準で官能評価した。
◎ :色調の変化なし。
○ :クスミやニゴリが、極めて軽微に見られる。
△ :クスミやニゴリが、軽微に見られる。
× :クスミやニゴリが、強い。
6)耐磨耗性試験
図1に示す摩耗試験機(新東科学(株)製)を用いて図2に示す荷重3kgにて2.8cm/秒の移動速度で、1往復移動させ、インクジェット記録用シートの傷の有無により耐摩耗性を評価した。摩耗試験機は、図1に示すように、駆動部61、スイッチ62、送りネジ63、サンプル押え64、荷重65及びサンプルステージ66からなる。サンプルステージ66上にインクジェット記録用シートのサンプル67を置き、サンプル押え64で固定し、サンプル67上を荷重65を送りネジ63により移動させる。荷重65は、図2に示すように荷重部71、サンプルと接触する荷重部71の下側にはネル状布72及び黒紙73で覆われている。ネル状布72は、荷重を均一分散させるために使用し、黒紙73は、インクジェット記録用シートの表面の摩耗分が見やすいように使用している。
◎ :インクジェット記録用シートの裏面に傷の発生が無かった。
○ :インクジェット記録用シートの裏面にわずかな傷の発生があった。
× :インクジェット記録用シートの裏面全面に傷の発生があった。
図1に示す摩耗試験機(新東科学(株)製)を用いて図2に示す荷重3kgにて2.8cm/秒の移動速度で、1往復移動させ、インクジェット記録用シートの傷の有無により耐摩耗性を評価した。摩耗試験機は、図1に示すように、駆動部61、スイッチ62、送りネジ63、サンプル押え64、荷重65及びサンプルステージ66からなる。サンプルステージ66上にインクジェット記録用シートのサンプル67を置き、サンプル押え64で固定し、サンプル67上を荷重65を送りネジ63により移動させる。荷重65は、図2に示すように荷重部71、サンプルと接触する荷重部71の下側にはネル状布72及び黒紙73で覆われている。ネル状布72は、荷重を均一分散させるために使用し、黒紙73は、インクジェット記録用シートの表面の摩耗分が見やすいように使用している。
◎ :インクジェット記録用シートの裏面に傷の発生が無かった。
○ :インクジェット記録用シートの裏面にわずかな傷の発生があった。
× :インクジェット記録用シートの裏面全面に傷の発生があった。
[評価]
表10に実施例1〜7および比較例1〜3の結果を示す。
実施例1〜3からわかるように、導電性下塗層塗布液中に球状の二酸化錫を多く有するものほどインクジェット記録用シートの表面・裏面の表面電気抵抗が下がっている(実施例2)。しかし、導電性下塗層塗布液中における二酸化錫の量が4質量部以下である方が、画質が優れる傾向にある。針状二酸化錫であってアスペクト比が25のもの(実施例4)は、導電性下塗層塗布液中における二酸化錫の含有量が少なくてもインクジェット記録用シート両表面の表面電気抵抗が低くなった。一方、球状二酸化錫の数平均粒径が大きいもの(実施例6)や、針状に酸化錫のアスペクト比が小さいもの(実施例7)は表面電気抵抗が大きくなり、通紙不良を発生した頻度が多くなった。
また、摩擦係数低減層に低密度ポリオレフィンを用いたもの(実施例5)はインクジェット記録用シート裏面の表面張力、静摩擦係数が小さくなった。
表10に実施例1〜7および比較例1〜3の結果を示す。
実施例1〜3からわかるように、導電性下塗層塗布液中に球状の二酸化錫を多く有するものほどインクジェット記録用シートの表面・裏面の表面電気抵抗が下がっている(実施例2)。しかし、導電性下塗層塗布液中における二酸化錫の量が4質量部以下である方が、画質が優れる傾向にある。針状二酸化錫であってアスペクト比が25のもの(実施例4)は、導電性下塗層塗布液中における二酸化錫の含有量が少なくてもインクジェット記録用シート両表面の表面電気抵抗が低くなった。一方、球状二酸化錫の数平均粒径が大きいもの(実施例6)や、針状に酸化錫のアスペクト比が小さいもの(実施例7)は表面電気抵抗が大きくなり、通紙不良を発生した頻度が多くなった。
また、摩擦係数低減層に低密度ポリオレフィンを用いたもの(実施例5)はインクジェット記録用シート裏面の表面張力、静摩擦係数が小さくなった。
支持体の片面にのみ導電性下塗層を有するもの(比較例1)は、導電性下塗層を有しない側の面の表面電気抵抗が大きく、通紙不良を発生した頻度が多くなった。また、導電性下塗層を支持体の両面に設けているものであっても摩擦係数低減層のないもの(比較例2)は、インクジェット記録用シート裏面の静摩擦係数が大きく、通紙不良を発生した頻度が多くなった。また、摩擦係数低減層に水溶性アクリルを用いているもの(比較例3)は静摩擦係数が0.30を超えた。
61 駆動部
62 スイッチ
63 送りネジ
64 サンプル押さえ
65 荷重
66 サンプルステージ
67 インクジェット記録用シートのサンプル
71 荷重部
72 ネル状布
73 黒紙
62 スイッチ
63 送りネジ
64 サンプル押さえ
65 荷重
66 サンプルステージ
67 インクジェット記録用シートのサンプル
71 荷重部
72 ネル状布
73 黒紙
Claims (9)
- 支持体の表面上にインク受像層を有し、支持体の裏面に導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層、静摩擦係数が0.30以下の摩擦係数低減層を、この順に有することを特徴とするインクジェット記録用シート。
- 前記インク受像層が気相法シリカと親水性樹脂を含有する多孔質構造であることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記インク受像層の表面にコロイダルシリカとカチオン性化合物を含有する表面上層を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記支持体の表面に、導電性金属酸化物を含有する導電性下塗層を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記導電性下塗層が、少なくとも数平均粒子径が150nm以下の導電性金属酸化物粒子と結着樹脂を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記導電性下塗層が、少なくともアスペクト比(長軸長さ/短軸長さ)が5以上、短軸長さが5〜50nmの針状導電性金属酸化物粒子と結着樹脂を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記インクジェット記録用シートの表面と裏面の表面電気抵抗が、環境温湿度が20℃・25%から20℃・85%の範囲内で1×1012Ω/cm2以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記インクジェット記録用シートの裏面の表面張力が36mN/m以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
- 前記支持体がポリオレフィン系樹脂を原紙の両面にラミネートした耐水性支持体であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のインクジェット記録用シート。
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JP2006221211A JP2008044213A (ja) | 2006-08-14 | 2006-08-14 | インクジェット記録用シート |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2016104778A1 (ja) * | 2014-12-25 | 2016-06-30 | 富士フイルム株式会社 | 電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法、電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板 |
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2006
- 2006-08-14 JP JP2006221211A patent/JP2008044213A/ja active Pending
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WO2016104778A1 (ja) * | 2014-12-25 | 2016-06-30 | 富士フイルム株式会社 | 電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法、電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板 |
JPWO2016104778A1 (ja) * | 2014-12-25 | 2017-07-27 | 富士フイルム株式会社 | 電飾用インクジェット記録材料及びその製造方法、電飾用画像及びその形成方法、並びに電飾看板 |
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