JP2008044065A - Mems素子及びその製造方法 - Google Patents

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Tomomi Sakata
知巳 阪田
Hitoshi Ishii
仁 石井
Norio Sato
昇男 佐藤
Hiroshi Kuwabara
啓 桑原
Toshishige Shimamura
俊重 島村
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Abstract

【課題】MEMS素子の可動部とこれに対向する制御電極との間で起こる「リリース時のスティッキング」及び「駆動時のスティッキング」を、高価な処理装置を必要とせずに、同時に抑制できるようにする。
【解決手段】シリコーン系高分子を内包したスルフォニウムイオンを含有する電着液(例えば、日本ペイント(株)、INSULEED3020X)に、上述した制御電極115が形成された基板とSUS304からなる対向電極とを浸漬し、制御電極115に負電圧を印加するとともに、上記対向電極に正電圧を印加する。以上の操作により、電着液に分散(溶解)している撥水性有機絶縁膜形成材料を、負電圧が印加された制御電極115の表面に析出させ、制御電極115の露出している表面に膜厚0.3μm程度の撥水性有機絶縁膜109が形成された状態とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電極などの微細な構造体表面が撥水性有機絶縁膜で被覆されたMEMS素子及びその製造方法に関する。
MEMS(MicroElectro Mechanical System)素子では、微細な可動部や制御電極などが3次元的に配置されて構成されている。このような可動部の駆動は、これに対向して配置されている制御電極との間に電圧を印加することで発生する静電力によって行われている。例えば、図7に示すように、絶縁膜702が形成されたシリコンなどからなる基板701上に、支持部703により支持された可動部704は、可動部704の先端部下の基板701上に設けられた電極705の発生する静電気により駆動させるようにしている。
上述したMEMS素子の製造過程では、可動部704などの3次元構造は、公知のエッチング法により作製される。エッチング法を用いた製造では、ウエットエッチング法及びドライエッチング法のいずれであっても、エッチング液による処理や、エッチング後の水洗処理などのウエット処理が行われることになるため、可動部704は水などの液体中に浸漬される状態を経由することになる。
このため、水などの液体を除去する乾燥工程において、図8(a)に示すように、可動部704とこれに対向する制御電極705との間に残渣する水などの液体711の表面張力により、可動部704の先端部が制御電極705に引き寄せられて接触する。この後、残渣していた水などの液体711が完全に乾燥除去された後、図8(b)に示すように、可動部704の先端部と制御電極705とが、接触箇所706で接触したままの状態となる場合がある。この現象は「リリース時のスティッキング」と呼ばれ、MEMS素子の製造において、歩留まりを劣化させる大きな要因となっている。
上述したウエット処理による可動部の先端部と制御電極との接触による問題を回避するため、例えば、二酸化炭素を用いた超臨界乾燥方法が提案されている(非特許文献1参照)。この超臨界乾燥方法では、上述したような残渣する液体を液化二酸化炭素に置換し、しかる後に、液化二酸化炭素を超臨界状態とし、超臨界状態した二酸化炭素を気化させることで乾燥を行うようにしている。可動部704と制御電極705との間に超臨界状態の二酸化炭素が残渣しても、これには表面張力が発生しないため、可動部704が制御電極705に引き寄せられて接触することがない。
また、少なくとも一方の接触面を疎水性の自己組織化単分子層膜(SAM)で被覆する技術が提案されている(非特許文献2参照)。このSAMによる被覆法では、上述したような可動部704とこれに対向する制御電極705との間に水などの液体711が残渣しても、少なくとも一方の接触面が疎水性の膜で覆われた状態となっている。このため、水などの液体の表面張力による影響が低減され、可動部704が制御電極705に引き寄せられて接触するという現象は低減する。
G.T.Mulhern, D.S.Soane, and R.T.Howe, "Supercritical Carbon Dioxide Drying of Microstructures", The 7th International Conference on Solid-State Sensors and Actuators, pp.296-299, 1993 R.T.Alley, G.J.Cuan, R.T.Howe, and K.Komvopoulos, "The Effect of Release-Etch Processing on Surface Microstructure Stiction", IEEE Solid-State Sensor and Actuator Workshop, pp.202-207, 1992.
しかしながら、超臨界乾燥方法では、超臨界状態を実現するために、例えば8MPaという高い圧力状態が必要となるため、乾燥装置が非常に高価なものとなる。また、現状では、上述したような高い圧力を保持できる大型の処理容器の実現が困難なため、例えば、直径が6インチ以上の大きなウエハ(基板)を、一度に複数枚バッチ処理できる超臨界乾燥装置が実現されていない。
また、超臨界乾燥方法で「リリース時のスティッキング」を防止して製造されたとしても、MEMS素子は、実使用においては駆動させる。例えば、可動部704と制御電極705との間に電圧を印加させ、電極705から発生させた静電気により可動部704を電極705方向に引き寄せることで可動部704を動作させている。このように駆動しているときに、可動部704の先端部が電極705の表面に接触すると、可動部704の先端部と制御電極705との接触箇所で溶接が起こる。これは、「駆動時のスティッキング」と呼ばれ、この状態となると、可動部704の弾性力による反発(復元力)では接触したままの状態から元に戻らなくなる。
また、SAMによる被覆法では、単分子層レベルでの膜厚しか得られず、厚膜化が困難である。このため、可動部704を駆動させるために可動部704と制御電極705との間に電圧を印加させた際、可動部704の先端部と制御電極705とが接触すると、これらの間に形成されているSAMが絶縁破壊を起こし、結果として直接接触する状態となり、上述した「駆動時のスティッキング」問題は解消されない。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、MEMS素子の可動部とこれに対向する制御電極との間で起こる「リリース時のスティッキング」及び「駆動時のスティッキング」を、高価な処理装置を必要とせずに、同時に抑制できるようにすることを目的とする。
本発明に係るMEMS素子は、基板の上に形成された導電性を備える第1構造体と、第1構造体とは絶縁分離した状態に基板の上に形成された導電性を備える第2構造体と、撥水性を有する高分子を内包したカチオン種が含まれた電着液を用いた電着により、第1構造体の表面及び第2構造体の表面の少なくとも1つに形成された高分子から構成された撥水性有機絶縁膜とを少なくとも備えるものである。例えば、第2構造体は、基板の表面と離間して所定の方向に延在する可動部分を備えた可動構造体であり、第1構造体は、基板の表面上に形成されて、可動部分の動作を制御する制御電極である。
また、本発明に係るMEMS素子の製造方法は、基板の上に導電性を備える第1構造体が形成された状態とする第1工程と、導電性を備える第2構造体が、第1構造体とは絶縁分離して基板の上に形成された状態とする第2工程と、第1構造体及び第2構造体を、撥水性を有する高分子を内包したカチオン種が含まれた電着液中に浸漬し、第1構造体と第2構造体との少なくとも1つに電圧を印加し、第1構造体の表面及び第2構造体の表面の少なくとも1つに、電着により上記高分子から構成された撥水性有機絶縁膜が形成された状態とする第3工程とを備えるようにしたものである。従って、第1構造体と第2構造体との間の微小領域に水などの液体が進入しても、形成されている撥水性有機絶縁膜によりはじかれ、進入した液体の表面張力により第1構造体と第2構造体とが引き寄せられることが抑制される。
上記MEMS素子の製造方法において、第2構造体は、基板の表面と離間して所定の方向に延在する可動部分を備えた可動構造体であり、第1構造体は、基板の表面上に形成されて、可動部分の動作を制御する制御電極である。また、上記MEMS素子の製造方法において、カチオン種は、スルフォニウムイオンであればよい。また、第3工程は、電着液の液温を所定温度以下として行うことで、形成される撥水性有機絶縁膜の飽和膜厚を一定の状態とすることができる。また、第3工程は、所定値以下の電圧を印加する状態とすることで、形成される撥水性有機絶縁膜の膜厚を、ある値以上には形成されない状態とすることができる。
また、本発明に係るMEMS素子は、上述したMEMS素子の製造方法により製造されたものである。
以上説明したように、本発明では、第1構造体及び第2構造体を、撥水性を有する高分子を内包したカチオン種が含まれた電着液中に浸漬し、第1構造体と第2構造体との少なくとも1つに電圧を印加し、第1構造体の表面及び第2構造体の表面の少なくとも1つに、電着により上記高分子から構成された撥水性有機絶縁膜が形成された状態とした。この結果、本発明によれば、MEMS素子の可動部とこれに対向する制御電極との間で起こる「リリース時のスティッキング」及び「駆動時のスティッキング」を、高価な処理装置を必要とせずに、同時に抑制できるようなるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるMEMS素子の製造方法を示す工程図である。まず、図1(a)に示すように、例えば、n形の不純物が高濃度にドーピングされた膜厚2μm程度のシリコン層110と膜厚4μm程度の埋め込み絶縁層102とシリコン基板部(基板)101から構成されるSOI(Silicon on Insulator)基板を用意する。埋め込み絶縁層102は、例えば酸化シリコンから構成されたものである。ついで、シリコン層110を公知のフォトリソグラフィ技術とエッチング技術によって加工し、図1(b)に示すように、所望の形状からなる支持部107及び可動部(第2構造体)108が、埋め込み絶縁層102の上に形成された状態とする。
次いで、図1(c)に示すように、支持部107及び可動部108を含む埋め込み絶縁層102の上に、例えばチタンからなる膜厚0.1μm程度の下部シード層103aが形成された状態とし、続いて、下部シード層103a上に、例えば金からなる膜厚0.3μm程度の上部シード層103bが形成された状態とする。次いで、この上にレジストを塗布して形成したレジスト膜をパターニングし、上部シード層103bの一部が露出する開口部106aを備えたレジスト膜106が形成された状態とする。例えば、感光性を有するレジストを用いた公知のフォトリソグラフィ技術によるパターニングで、レジスト膜106が形成可能である。
次に、レジスト膜106の開口部106aに露出した上部シード層103b上に、電解メッキ法により金からなる金属パターン105が形成された状態とする。金属パターン105は、上面が、支持部107及び可動部108と同じ高さに形成された状態とし、金属パターン105,支持部107,及び可動部108の表面により、ほぼ同一平面が形成される平坦な状態とする。形成された金属パターン105は、同一材料である金から構成された下層の上部シード層103bと一体となる。また、金属パターン105と可動部108との各々の対向面は、例えば、2〜4μm程度離間している。
次に、レジスト膜106を除去した後、金属パターン105をマスクとし、ヨウ素/ヨウ化アンモニウム溶液を用いたウエットエッチング法により金からなる上部シード層103bを選択的にエッチング除去し、続いて、フッ酸溶液によるウエットエッチングでチタンからなる下部シード層103aを選択的に溶解させて除去し、図1(d)に示すように、制御電極(第1構造体)115が形成された状態とする。制御電極115は、一部の下部シード層103a,一部の上部シード層103b,及び金属パターン105から構成されている。
更に、これらの上にレジストを塗布してレジスト膜を形成し、レジスト膜をパターニングすることで支持部107の一部が露出する開口部を備えたレジストパターンを形成し、開口部に電解メッキ法により金をメッキすることで、図1(e)に示すように、金からなる可動部電極104が、支持部107の上に形成された状態とする。
次に、シリコーン系高分子を内包したスルフォニウムイオンを含有する電着液(例えば、日本ペイント(株)、INSULEED3020X)に、上述した制御電極115が形成された基板とSUS304からなる対向電極とを浸漬し、制御電極115に負電圧を印加するとともに、上記対向電極に正電圧を印加する。すなわち、制御電極115を負極とし、対向電極を正極として電着液中に浸漬し、定電圧源を用いて電圧を印加してカチオン電着を行う。これは、カチオンとしてのスルフォニウムイオンをシェルとし、シリコーン系高分子などの撥水性を有する高分子をコアとして内包したコア・シェル型エマルションを用いた電着である。
以上の操作により、電着液に分散(溶解)している撥水性有機絶縁膜形成材料を、負電圧が印加された制御電極115の表面に析出させ、図1(f)に示すように、制御電極115の露出している表面に膜厚0.3μm程度の撥水性有機絶縁膜109が形成された状態とする。上記電着液に分散(溶解)している材料は、負電圧が印加されていない埋め込み絶縁層102,可動部電極104,支持部107,及び可動部108の表面には付着せず、負電圧が印加されている部分に選択的に析出して撥水性有機絶縁膜109を形成する。
最後に、フッ酸溶液によるウエットエッチングで埋め込み絶縁層102を選択的に溶解させて除去し、この後、水洗を行いまた乾燥をし、加えて加熱処理をすることで、図1(g)に示すように、撥水性有機絶縁膜109に表面を保護された制御電極115が、絶縁層112を介してシリコン基板部101の上に固定され、支持部107が、絶縁層111を介してシリコン基板部101の上に固定された状態が得られる。加熱処理により、撥水性有機絶縁膜109が硬化して安定化する。図2の斜視図に示すように、可動部108は、支持部107の1つの角より延在した棒状構造体であり、可動部108と制御電極115とは、シリコン基板部101の上で、絶縁分離した状態に形成されている。可動部108は、制御電極115に電気信号を印加することで、電界の作用により所定の方向に作動する。
ここで、上述したウエットエッチングや水洗などのウエット処理が行われていても、制御電極115の表面には、撥水性有機絶縁膜109が形成されているため、例えば制御電極115と可動部108とが接触したままの状態となるなどの「リリース時のスティッキング」が防止される。
上述した製造方法に対し、図5(f)の工程を行わず、撥水性有機絶縁膜109を形成することなく図2同様のMEMS素子を製造した場合、支持部107の1つの角より延在する長さが110μm以上とされた可動部108が、制御電極115にスティッキングを起こした。一方、図5(f)の工程を行って撥水性有機絶縁膜109を形成し、図2のMEMS素子を製造した場合、可動部108の長さが850μmまでスティッキングを起こさなかった。
また、可動部108と制御電極115の間に絶縁破壊電圧以下の電圧を印加することで、図2のMEMS素子を駆動させても、「駆動時のスティッキング」を起こすことなく、電界の作用により所定の方向に作動する状態が得られた。
なお、上述では、可動部108を高濃度にドーピングしたn形シリコンから構成し、制御電極115を金/クロムもしくは金/チタンから構成したが、これらは、電着により撥水性有機絶縁膜109が形成できる導体であれば良い。上述の導体として、例えば、銅/クロムもしくは銅/チタン、あるいは、SUS、鉄などの金属や、あるいは、高濃度にドーピングしたp形シリコンもしくはポリシリコン、あるいは、ポリアセチレン、ポリアズレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレンなどの炭化水素系導電性ポリマーや、あるいは、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレンなどのヘテロ原子含有系導電性ポリマーや、あるいは、電荷移動錯体でも構成できる。
また、上述では、制御電極115だけに撥水性有機絶縁膜109を形成するようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、可動部電極104を形成する前に、支持部107及び可動部108のみに負電圧を印加することで、選択的に支持部107及び可動部108に撥水性有機絶縁膜109を形成することができる。
また、可動部電極104を形成する前に、可動部108(支持部107を含む)に負電圧印加し、可動部電極104を形成した後、制御電極115に負電圧印加することで、可動部108(支持部107を含む)及び制御電極115の両方に撥水性有機絶縁膜109を形成することもできる。
なお、フッ酸溶液によるウエットエッチングで埋め込み絶縁層102を選択的に溶解させて除去した後に、制御電極115の表面に電着により撥水性有機絶縁膜109が形成された状態としてもよい。
また、上述では、電着液としてシリコーン系高分子を内包したスルフォニウムイオンを含有する電着液を用いたが、撥水性を有する高分子を内包したカチオン種を含有する液であればこれに限定されるものではない。
次に、上述した撥水性有機絶縁膜の形成について、より詳細に説明する。まず、表面に金/チタンを蒸着して金属層を形成したシリコン基板を用いる。このシリコン基板に対し、電着液(日本ペイント(株)、INSULEED3020X)の温度を30℃とした状態で、印加電圧を4Vから7Vの範囲に変化させて前述同様のカチオン電着を行い、金属層の表面に 撥水性有機絶縁膜が形成された状態とする。なお、負電極となる金属層の表面に析出した撥水性有機絶縁膜は、10分間水洗した後、引き続いて230℃で25分のアニール処理をする。このように形成された撥水性有機絶縁膜の膜厚を、触針式段差計で測定する。
図3は、上述した膜厚の測定結果として印加電圧と電着膜厚の関係を示す特性図である。図3に示すように、印加電圧が7V以下では、時間に関係することなく、膜厚がある値以上に厚く形成されることがなく飽和する。このように、上述したカチオン電着による撥水性有機絶縁膜の形成では、印加電圧を7V以下にすることで、撥水性有機絶縁膜の形成を自動的に停止させることが可能になり、電着時間を制御する必要がない。さらには、印加電圧を5V未満にすることで、電着により形成される撥水性有機絶縁膜の飽和膜厚をサブミクロンオーダーで制御することが可能となる。このように、上述したカチオン電着による撥水性有機絶縁膜の形成によれば、電着処理時の印加電圧を所定の電圧以下とすることで、処理時間時に対するプロセスマージンを大きくすること(製造工程に余裕を与えること)が可能となり、更に、サブミクロンオーダーの膜厚を有する撥水性有機絶縁膜の形成が可能となる。
次に、電着液の温度(液温)と電着膜との関係について説明する。まず、電着の工程において、印加電圧を7Vに固定した条件とし、液温を22.5℃から35℃の範囲で変化させてカチオン電着を行い、形成された撥水性有機絶縁膜の膜厚を計測する。また、上述と同様に、負電極となるシリコン基板表面の金属層に析出した撥水性有機絶縁膜は、10分間水洗した後、引き続いて230℃で25分の加熱処理を行う。また、膜厚の測定は、触針式段差計で行う。
図4は、上述した膜厚の測定結果として液温と電着膜厚の関係を示す特性図である。図4に示すように、液温を30℃以下に制御することで、飽和膜厚は殆ど一定になる。このように、上述したカチオン電着による撥水性有機絶縁膜の形成によれば、電着処理時の電着液の温度を、所定の温度以下とすることで、飽和膜厚は液温に対して無関係となり、電着液の温度に対するプロセスマージンを大きくすることができ、製造工程に余裕を与えることができる。なお、電着時の電着液の温度の下限は、電着液の凝固点(融点)より高くする。
次に、電着により形成された撥水性有機絶縁膜の撥水性の熱耐性について説明する。電着の工程において、印加電圧を4V、電着時間を5分、液温を30℃に固定した条件とし、上述同様のカチオン電着を行い、負電極となるシリコン基板表面の金属層に析出した撥水性有機絶縁膜は、10分間水洗した後、引き続いて100℃で25分の加熱処理をして硬化させる。この後、100℃から400℃までの温度で追加の加熱処理を実施した撥水性有機絶縁膜の撥水性を測定する。なお、追加の加熱処理の時間は25分間とした。なお、撥水性の測定は公知の接触角測定装置によって確認できる。図5は、上述した硬化させた後の追加の加熱処理を実施した撥水性有機絶縁膜上の水の接触角を示す特性図である。図5に示すように、幅広い温度領域で高い撥水性を維持する。
次に、電着により形成された撥水性有機絶縁膜の絶縁耐性について説明する。電着の工程において、印加電圧を4V、電着時間を5分、液温を30℃に固定した条件とし、上述同様のカチオン電着を行い、負電極となるシリコン基板表面の金属層に析出した撥水性有機絶縁膜を10分間水洗した後、引き続いて230℃で25分の加熱処理をして硬化させる。得られた撥水性有機絶縁膜の絶縁耐性の測定は公知のI−V測定装置によって確認できる。
図6は、上述した撥水性有機絶縁膜の絶縁耐性を示す特性図である。図6に示すように、膜厚0.3μm程度の撥水性有機絶縁膜は、300V程度まで絶縁破壊を起こさず、高い絶縁耐性を有している。
以上説明したように、図1に例示した製造方法によれば、アクチュエータなどの可動部と、この可動部と対向する、例えば制御電極などの構造体の表面において、少なくとも一方に、電着により撥水性有機絶縁膜を形成するようにした。従って、可動部と構造体との間に水などの液体が進入しても、液体の表面張力によって可動部が構造体に引き寄せられることが抑制され、水などの液体を用いた製造過程における液体の表面張力によるMEMS素子の可動部とこれに対向する構造体との(リリース時の)スティッキングを、高価な処理装置を必要とせずに抑制できるようになる。
同時に、撥水性有機絶縁膜の厚さは、電着時に印加する電圧によってデバイス駆動電圧以上の耐圧を有する膜厚に制御可能である。このように膜厚を制御することで、撥水性有機絶縁膜が絶縁破壊を起こすことがなくなり、「駆動時のスティッキング」を防止できるという優れた効果も併せ持つことができる。また、上述した製造方法によれば、印加電圧を所定電圧以下とすることで、電着処理の時間にかかわらず、撥水性有機絶縁膜を、サブミクロンオーダーで所望の箇所に形成することが可能となる。また、電着液の温度を所定温度以下とすることで、形成される撥水性有機絶縁膜の飽和膜厚は、液温に対して無関係となるので、電着液の温度に対してもプロセスマージンを大きくすることができ、製造工程に余裕を与えることが可能となる。
本発明の実施の形態におけるMEMS素子の製造方法を示す工程図である。 マイクロマシンの構成例を示す斜視図である。 膜厚の測定結果として、印加電圧と電着膜厚の関係を示す特性図である。 膜厚の測定結果として、液温と電着膜厚の関係を示す特性図である。 撥水性の測定結果として、加熱温度と水の接触角の関係を示す特性図である。 絶縁耐圧の測定結果として、電流と電圧の関係を示す特性図である。 一般的なMEMS素子の構成を示す概略的な断面図である。 図7に示すMEMS素子の可動部と構造体が接触する状態を示した説明図である。
符号の説明
101…シリコン基板部(基板)、102…埋め込み絶縁層、103a…下部シード層、103b…上部シード層、104…可動部電極、105…金属パターン、106…レジスト膜、106a…開口部、107…支持部、108…可動部(第2構造体)、109…撥水性有機絶縁膜、110…シリコン層、111…絶縁層、112…絶縁層、115…制御電極(第1構造体)。

Claims (8)

  1. 基板の上に形成された導電性を備える第1構造体と、
    前記第1構造体とは絶縁分離した状態に前記基板の上に形成された導電性を備える第2構造体と、
    撥水性を有する高分子を内包したカチオン種が含まれた電着液を用いた電着により、前記第1構造体の表面及び前記第2構造体の表面の少なくともひとつに形成された前記高分子から構成された撥水性有機絶縁膜と
    を少なくとも備えることを特徴とするMEMS素子。
  2. 請求項1記載のMEMS素子において、
    前記第2構造体は、前記基板の表面と離間して所定の方向に延在する可動部分を備えた可動構造体であり、
    前記第1構造体は、前記基板の表面上に形成されて、前記可動部分の動作を制御する制御電極である
    ことを特徴とするMEMS素子。
  3. 基板の上に導電性を備える第1構造体が形成された状態とする第1工程と、
    導電性を備える第2構造体が、前記第1構造体とは絶縁分離して前記基板の上に形成された状態とする第2工程と、
    前記第1構造体及び前記第2構造体を、撥水性を有する高分子を内包したカチオン種が含まれた電着液中に浸漬し、前記第1構造体と前記第2構造体との少なくともひとつに電圧を印加し、前記第1構造体の表面及び前記第2構造体の表面の少なくともひとつに、電着により前記高分子から構成された撥水性有機絶縁膜が形成された状態とする第3工程と
    を備えることを特徴とするMEMS素子の製造方法。
  4. 請求項3記載のMEMS素子の製造方法において、
    前記第2構造体は、前記基板の表面と離間して所定の方向に延在する可動部分を備えた可動構造体であり、
    前記第1構造体は、前記基板の表面上に形成されて、前記可動部分の動作を制御する制御電極である
    ことを特徴とするMEMS素子の製造方法。
  5. 請求項3又は4記載のMEMS素子の製造方法において、
    前記カチオン種は、スルフォニウムイオンである
    ことを特徴とするMEMS素子の製造方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のMEMS素子の製造方法において、
    前記第3工程は、前記電着液の液温を所定温度以下として行う
    ことを特徴とするMEMS素子の製造方法。
  7. 請求項6記載のMEMS素子の製造方法において、
    前記第3工程は、所定値以下の前記電圧を印加する
    ことを特徴とするMEMS素子の製造方法。
  8. 請求項3〜7のいずれか1項に記載のMEMS素子の製造方法により製造されたMEMS素子。
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