JP2008041400A - 蓄光性突起付きケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】夜間もしくは暗所において残光輝度による識別が可能なケーブルにおいて、蓄光材料を含んだプラスチックの蓄光性成形層の劣化による、ケーブルのプラスチック層の絶縁耐力の低下や機械強度の低下、さらには耐候性の低下、また蓄光性成形層の剥がれによる残光輝度の低下を防止するケーブルを提供する。
【解決手段】ケーブル12の表面の長手方向に突起4を設け、その一部に蓄光性成形層3を設けた。
【選択図】図1
Description
本発明は、電線などのケーブルの表面の少なくとも一部分が残光により発光して、夜間もしくは暗所においてその存在を確認できる蓄光性突起付きケーブルに関するものである。
一般に用いられる電線などのケーブルは表面が黒色等であることが多く、夜間はその存在を認識することが困難である。また昼間においては、複数本のケーブルを同時に扱う場合は各々の識別が困難である。
そこで夜間の認識については、ケーブルの被覆に蓄光材料を含ませ、ケーブルコアと共に押出した蓄光性ケーブルを作製することにより対応している(特許文献1〜3参照)。また昼間においてはケーブルに色帯を設けて各々を識別できるよう対応している(特許文献4参照)。
従来の蓄光性ケーブルには、次のようなものがある。
まず、図3(a)に示すようにケーブルコア1の外周のケーブル外被2が凹状の溝6aを有し、この凹状の溝6aに発光性押出し成形層6を設けたものがある。この発光性押出し成形層6が直線状ストライプあるいは螺旋状ストライプとして認識される。
このケーブルは、例えばケーブルコア1:約21mm、ケーブル外被2:厚さ2.3mmのポリエチレン、蓄光性押出し成形層6の寸法:幅=約4.0mm、深さ=約1.0mmである。
また、図4(a)に示すようにケーブル外被2の表面全体が発光性押出し成形層9により覆われるものがある。
さらに、図5(a)に示すようにケーブルの表面全体が発光性押出し成形層11として設けられているものがある。
上記の発光性押出し成形層6、9、11が夜間もしくは暗所において発光するため、そのケーブルの存在を認識できる(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、蓄光性押出し成形層6はコポリマーであるため、長期使用により劣化し、図3(b)のようにボロボロになって剥げ落ちる。その結果、ケーブル外被2が有する凹状の溝6aの深さt1だけケーブル表面の厚さが薄くなり、その部分で絶縁耐力の低下、機械的強度の低下や耐候性の低下などが発生してしまう。
また、図4(a)のように蓄光性押出し成形層9で覆われるものについては、押出し成形した当初は、ケーブル外被2は厚さt2の蓄光性押出し成形層9を有している。しかしケーブルは任意の場所に布設する際に引き回しされるため、ケーブル表面が擦られ、図4(b)のように蓄光性押出し成形層9が剥がれてしまう。その結果、ケーブル表面の厚さがt2だけ薄くなり、布設当初から残光輝度の低下を招くことがある。
同様に図5(b)の蓄光性押出し成形層11も引き回しされるため欠損部15が発生して成形層11の厚さがt3だけ薄くなり、布設当初から残光輝度の低下を招くことがある。
さらに、特殊品、あるいは注意を必要とするために昼間もしくは明るい場所においても他のケーブルとの識別を要する場合、図3〜図5の直線状ストライプあるいは螺旋状ストライプでは、蓄光性押出し成形層が自然色(無色透明)のプラスチックに蓄光材料を配合しているため、明るい場所での識別用には不十分である。
図6は蓄光材料の老化特性を示したものである。
試験方法は、JIS K 6257に準拠して実施し、厚さ約1.0mmのポリエチレンシートの加熱老化を測定したものである。
図6において、Kは、蓄光材料を含まないポリエチレンシート、Lは、蓄光材料を質量比で10%練り込んだポリエチレンシートの経時変化を示している。
図7は同じく厚さ約1.0mmのポリエチレンシートの蓄光材料の耐候性を示したものである。
図7において、Mは、蓄光材料を含まないポリエチレンシート、Nは、蓄光材料を質量比で10%練り込んだポリエチレンシートの経時変化を示している。
これら図6、図7から分かるように、蓄光材料を含むポリエチレンシートは、蓄光材料を含まないポリエチレンシートより老化特性や耐候性の経時劣化が速い。従って、このような蓄光材料を含む蓄光性成形層を図3〜図5のような構造のケーブルに適用すると、蓄光材料を含まないケーブルより老化特性と耐候性が悪くなる。
このように、従来技術では蓄光材料を含んだプラスチックの蓄光性成形層の劣化による、ケーブルの絶縁耐力の低下や機械的強度の低下、さらには耐候性の低下、また上記蓄光性押出し成形層の剥がれによる残光輝度の低下、又は昼間もしくは明るい場所における識別が容易でない、などの様々な課題がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、蓄光性成形層の劣化によるケーブルの絶縁耐力の低下や機械的強度の低下、さらには耐候性の低下が発生しない蓄光性突起付きケーブルを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、夜間もしくは暗所における識別が可能な蓄光性ケーブルにおいて、ケーブル表面の長手方向に突起を設け、その一部に蓄光性成形層を設けたことを特徴とする蓄光性突起付きケーブルである。
請求項2の発明は、上記突起は凹状の溝を有し、その凹状の溝に上記蓄光性成形層が支持された請求項1に記載の蓄光性突起付きケーブルである。
請求項3の発明は、上記蓄光性成形層は、上記ケーブル表面と同一もしくは他のプラスチックに対し、蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面及び上記突起と同時に押出し成形して形成される請求項1又は2に記載の蓄光性突起付きケーブルである。
請求項4の発明は、上記蓄光性成形層は、上記ケーブル表面と同一もしくは他の自然色のプラスチックに蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面及び上記突起と同時に押出し成形して形成される請求項1〜3のいずれかに記載の蓄光性突起付きケーブルである。
請求項5の発明は、夜間もしくは暗所における識別が可能な蓄光性ケーブルにおいて、ケーブル表面の長手方向に蓄光性突起を設けたことを特徴とする蓄光性突起付きケーブルである。
請求項6の発明は、上記蓄光性突起は、上記ケーブル表面と同一もしくは他のプラスチックに対し蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面と同時に押出し成形して形成される請求項5に記載の蓄光性突起付きケーブルである。
請求項7の発明は、上記蓄光性突起は、上記ケーブル表面と同一もしくは他の自然色のプラスチックに対し蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面と同時に押出し成形して形成される請求項5又は6に記載の蓄光性突起付きケーブルである。
本発明によれば、蓄光性押出し成形層の劣化によるケーブルの絶縁耐力の低下や機械的強度の低下、更には耐候性の低下を防止できる。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
図1(a)は本実施の形態に係る蓄光性突起付きケーブルの横断面図であり、図1(b)は図1(a)の突起を拡大した図である。
蓄光性突起付きケーブル12は、ケーブルコア1と、ケーブルコア1に施したケーブル外被2と、その表面の長手方向に設けた突起4と、蓄光性成形層3とからなる。
突起4は上方に開口した凹状の溝5を有する。凹状の溝5は、その横断面視で半楕円状である。また凹状の溝5は、ケーブル外被2の外周線22から離間距離H2だけ径方向外方に離れた位置に底面20を有し、その底面20は、任意の曲率ρを有する。
蓄光性成形層3は、凹状の溝5によって支持されるよう成形され、凹状の溝5の開口部5aでケーブル表面に露出し、視認できるようになっている。
以上のケーブル外被2と、蓄光性成形層3と、突起4と、凹状の溝5は、同時に押出し成形されて形成される。
蓄光性成形層3の材料はケーブル外被2と同一もしくは他のプラスチックが良い。このプラスチックの種類は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ゴムなどが適当である。特にプラスチックに対しては酸化ストロンチューム等の蓄光材料を質量比10%配合したものを用いるのが好ましい。
突起4をケーブル表面の周方向に複数本設ける場合、突起4同士の間の寸法を1mm以上とすると押出し成形し易くなる。突起本数が1〜n本のとき、図1(a)において蓄光性突起付きケーブル12の外径をDとすると、n<πD/(W1+1)とするとバランスが良い。
突起幅W1は外径Dの1/2以下とすると押出し成形し易くなり、1〜(1/2)Dmmのとき外観のバランスも良い。
同様に、突起4の高さH1は突起幅W1の2倍以下とすると押出し成形し易くなり、1〜2W1mmのとき外観のバランスも良い。
また、図1(b)において、離間距離H2は、ケーブル12の蓄光性成形層3に対する蓄光性の実験から0〜(7/10)H1mmが適当である。
同じく上面4aの幅W2は、外観のバランスから0〜(1/10)W1mmが適当である。
次に本実施の形態の作用を述べる。
上記のように、従来技術では改善できなかった蓄光材料を含んだプラスチックの蓄光性成形層の劣化による、ケーブルのプラスチック層の絶縁耐力の低下や機械的強度の低下、更には耐候性の低下、また上記蓄光性押出し成型層の剥がれによる残光輝度の低下などの様々な問題は、ケーブル表面の長手方向に突起を設け、それと同時にその一部に蓄光材料を押出し、蓄光性成形層を設けたことにより解消される。
また、本実施の形態の蓄光性突起付きケーブル12は、そのケーブル外被2の表面に断面凹状の溝5を備えた突起4を有し、その凹状の溝5の底面20はケーブル外被2の外周線22より径方向外方にある。よって、その凹状の溝5に支持した蓄光性成形層3が劣化で脱落しても、脱落して残された部分がケーブル外被2の外被厚Tより薄くなることはない。
一方、昼間もしくは明るい場所においては、ケーブルの存在を認識することは容易である。しかし前述したように一般的なケーブルは黒色等であることと、図3〜図5の蓄光性押出し成形層6、9、11では自然色(無色透明)のプラスチックに蓄光材料を配合していることにより、複数のケーブル同士の識別を同時に行うことが困難であった。そこで、本実施の形態において、蓄光性成形層3に用いるポリエチレンに着色顔料を配合してもよい。
しかし、着色された蓄光性突起付きケーブル12同士では、昼間にそのケーブル同士を色の違いによって識別することはできるが、残光輝度が低いため夜間にそのケーブル同士を色の違いによって識別することは困難である。そこで、夜間の識別のために、自然色のプラスチックに蓄光材料を10%配合し、かつ、絶縁耐力の低下や機械的強度の低下を防止するために、ケーブル表面及び突起4と同時に押出し成形して形成される蓄光性成形層3を設けてもよい。
すなわち、図1(b)の突起4が有する凹状の溝5で蓄光性成形層3を支持するだけでなく、図2(a)〜図2(d)の各図のように、突起4全体を、自然色のプラスチックを配合した蓄光性成形層3aで形成したり、突起4の左右の側面に自然色のプラスチックを配合した蓄光性成形層3b、3cを設けたり、突起4を適宜複数本増加させる。これにより、夜間もしくは暗所におけるケーブル同士の識別を容易に行うことができる。
なお、図2(a)における例では、この蓄光性突起の凹状の溝5の底面20aはケーブル外被2の外周線22とほぼ同一線で接しており、その作用は図1(b)に示す蓄光性成形層3と同様である。
また図2(d)における例では、蓄光性成形層3bを支持する凹状の溝の底面20d1、及び同成型層3cを支持する凹状の溝の底面20d2が所定の底面間隔W3を保つように成形されている。
さらに、これらの着色された蓄光性成形層3と、自然色の蓄光性成形層3を組み合わせ、ケーブル表面に図2(a)〜図2(d)のような突起4を1本〜複数本設けることにより、昼間もしくは明るい場所における存在の認識及び識別と、夜間もしくは暗所における存在の認識及び識別とが同時に可能な蓄光性突起付きケーブルを容易に得ることができる。
以下に、ポリエチレンに配合する着色顔料の質量比を変えた場合の残光特性の比較データを表1に示す。
表1のデータが示すように、蓄光材料入り着色ポリエチレンは、蓄光材料の質量比が10%の場合、着色顔料の質量比が0.5〜3%の範囲であれば残光特性を満足し、かつ、着色プラスチックとして認識できる。
この着色プラスチックを蓄光材料に配合して、図1(a)、図1(b)に示す蓄光性成形層3を成し、着色された蓄光性突起付きケーブル12を形成させる。
例えば、本発明の蓄光性突起付きケーブル12としては、ケーブルコア1:約21mm、ケーブル外被2:厚さ2.3mmのポリエチレン、突起寸法:W1=3.0mm、H1=3.0mm、W2=0.3mm、H2=0.5mmである。
この着色された蓄光性突起付きケーブル12により、昼間もしくは明るい場所におけるケーブル同士の認識及び識別は、ケーブル表面の突起4に設けられ、着色された蓄光性成形層3の色の違いにより行うことができる。また、蓄光性成形層3が剥がれた場合でも、ケーブル外被2に影響がないので、蓄光性突起付きケーブル12の絶縁耐力や機械的強度の低下を抑制できる。さらに夜間もしくは暗所においては、着色された蓄光性成形層3の残光輝度により存在を認識できる。
ここで、残光特性とは、JISZ9107(安全標識板)の5.10項「りん光輝度」で規定される測定方法により、照度200lx(ルクス)の蛍光ランプで20分間照射し、照射を止めた後、ある一定時間後(例:5分後、10分後、20分後、60分後)の残光輝度で、規格値は表2の値である。
このように、昼間もしくは明るい場所におけるケーブル同士の識別のために、蓄光性成形層3に識別用の着色顔料の配合を発案したが、上記データの通り着色顔料を入れない方が残光特性が優れていることがわかった。
これは自然色の蓄光性成形層3に蓄えられた光が放出されるとき、着色顔料等に光を吸収されないためと考えられる。
よって、夜間もしくは暗所における識別が特に必要とされる場合は、ケーブル表面と同一もしくは他の自然色のプラスチックに蓄光材料を質量比10%配合したものを、ケーブル表面及び上記突起と同時に押出し成形して形成される蓄光性突起付きケーブルが有効である。
1 ケーブルコア
2 ケーブル外被
3 蓄光性成形層
4 突起
5 凹状の溝
5a 凹状の溝の開口部
12 蓄光性突起付きケーブル
W1 突起幅
H1 突起の高さ
D ケーブルの外径
2 ケーブル外被
3 蓄光性成形層
4 突起
5 凹状の溝
5a 凹状の溝の開口部
12 蓄光性突起付きケーブル
W1 突起幅
H1 突起の高さ
D ケーブルの外径
Claims (7)
- 夜間もしくは暗所における識別が可能な蓄光性ケーブルにおいて、ケーブル表面の長手方向に突起を設け、その一部に蓄光性成形層を設けたことを特徴とする蓄光性突起付きケーブル。
- 上記突起は凹状の溝を有し、その凹状の溝に上記蓄光性成形層が支持された請求項1に記載の蓄光性突起付きケーブル。
- 上記蓄光性成形層は、上記ケーブル表面と同一もしくは他のプラスチックに対し、蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面及び上記突起と同時に押出し成形して形成される請求項1又は2に記載の蓄光性突起付きケーブル。
- 上記蓄光性成形層は、上記ケーブル表面と同一もしくは他の自然色のプラスチックに蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面及び上記突起と同時に押出し成形して形成される請求項1〜3のいずれかに記載の蓄光性突起付きケーブル。
- 夜間もしくは暗所における識別が可能な蓄光性ケーブルにおいて、ケーブル表面の長手方向に蓄光性突起を設けたことを特徴とする蓄光性突起付きケーブル。
- 上記蓄光性突起は、上記ケーブル表面と同一もしくは他のプラスチックに対し蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面と同時に押出し成形して形成される請求項5に記載の蓄光性突起付きケーブル。
- 上記蓄光性突起は、上記ケーブル表面と同一もしくは他の自然色のプラスチックに対し蓄光材料を質量比10%配合したものを、上記ケーブル表面と同時に押出し成形して形成される請求項5又は6に記載の蓄光性突起付きケーブル。
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JP2006213561A JP2008041400A (ja) | 2006-08-04 | 2006-08-04 | 蓄光性突起付きケーブル |
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JP2013120641A (ja) * | 2011-12-06 | 2013-06-17 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 架空ケーブル |
JP2016059188A (ja) * | 2014-09-11 | 2016-04-21 | 住友電装株式会社 | グロメット及びグロメット付ワイヤーハーネス |
FR3040235A1 (fr) * | 2015-08-21 | 2017-02-24 | Nexans | Gaine de protection reflechissante pour cable |
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2006
- 2006-08-04 JP JP2006213561A patent/JP2008041400A/ja active Pending
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