JP2008039987A - イオンビーム加工方法およびイオンビーム加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被露光材上に精度良く「抜け勾配」を持った形状を加工することのできるイオンビーム加工方法およびイオンビーム加工装置を提供する。
【解決手段】被露光材Wの材質および厚さd、イオンビームのイオン種ならびにイオンビームエネルギー値に基づいて被露光材におけるイオンの注入角度αを予測し、注入角度と目標注入角度とを比較してこれらが異なるときは注入角度が目標注入角度になるまでイオンビームエネルギー値を増減させて注入角度を予測し、注入角度が目標注入角度になったときのイオンビームエネルギー値により被露光材にイオンビームを照射する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、被露光材にイオンビームを照射し被露光材に所望する微細構造を形成するイオンビーム加工方法およびイオンビーム加工装置に関する。
近年、ナノインプリント等の微細加工装置に使用される金型の製作に、LIGA(Lithographie,Galvanoformung und Abformung)と称されるプロセスが利用されるようになっている。LIGAプロセスは、アスペクト比(加工幅に対する加工深さの比)を大きくすることができるという優れた特徴を有する(非特許文献1,2)。
このLIGAプロセスは、近接X線マスクを使用してパターンをレジスト層(ポリメチルメタクリレート:PMMA)に転写するため、近接X線マスクを別途製作しなければならず、そのためのコストを見込まなければならないという問題を有している。また、X線を使用することにより設備費が増加し、稼働の際には厳格な安全管理が求められる。
これらの問題に対して、マスクを使用しないで、水素イオン(プロトン)、ヘリウムイオン、またはリチウムイオン等の軽イオンのビームによって直接レジスト層にパターンを露光するイオンビーム加工装置が開示されている(特許文献1)。
また、マスクを使用しないで、水素イオン、ヘリウムイオン、またはリチウムイオン等の軽イオンのビームによって直接レジスト層にパターンを露光するイオンビーム加工装置の別の例として、薄片化加工を施す必要がある断面透過電子顕微鏡用ワークを加工するに際し、収束イオンビーム法によってイオンビームをワーク上の加工ラインに沿って走査照射することで、ワークをスパッタエッチングする方法および装置が開示されている(特許文献2)。
LIGAプロセス、 http://www.ritsumei.ac.jp/se/~sugiyama/research/re_5.1.html 放射光による金型、 http://staff.aist.go.jp/k.awazu/Japanese-folder/nanoimprint1021.htm 特表2001−503569号公報 特開2005−317330号公報
特許文献1に開示されたイオンビーム加工装置および方法においては、平行なイオンビームを利用して柱状の(現像により形成されたレジストの側面が表面に対して直交する)形状の加工を施す技術が開示されている。
ところで、加工され現像されたレジストにより成形を行うことを考慮すると、型抜きをする際に柱状の形状のものよりも抜きが容易な、いわゆる「抜け勾配」を持った形状のレジストの加工を施す技術が好ましいと考えられる。しかし、そのような技術についての開示は特許文献1になされていない。
また、特許文献2にはワーク上の加工ラインの方向およびイオンビームの照射軸の角度の少なくとも一方を変更することにより、加工されるレジストの側面の傾きを制御することのできる技術について開示されている。しかし、特許文献2に記載の発明は、ワーク上の加工ラインの方向またはイオンビームの照射軸の角度の決定のために走査電子顕微鏡による画像を必要とするので、その決定に時間を要しかつ決定のための処理が煩雑になるおそれがある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、被露光材に照射するイオンビームの形状と加工される対象である被露光材との相関を考慮し、被露光材上に精度良く「抜け勾配」を持った形状を加工することのできるイオンビーム加工方法およびイオンビーム加工装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係るイオンビーム加工方法は、イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工方法であって、前記被露光材の材質および厚さ、前記イオンビームのイオン種ならびにイオンビームエネルギー値から前記被露光材における前記イオンの注入角度を予測し、前記注入角度と予め設定された目標注入角度とを比較してこれらが異なるときは注入角度が前記目標注入角度になるまで前記イオンビームエネルギー値を増加または減少させて注入角度を予測し、予測された注入角度が前記目標注入角度になったときのイオンビームエネルギー値により前記被露光材に前記イオンビームを照射する。目標注入角度は上限値および下限値を有する範囲として設定されていてもよい。
他の本発明に係るイオンビーム加工方法は、イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工方法であって、前記イオンビームが照射された場合に前記被露光材におけるイオンの注入角度が目標注入角度となるイオンビームエネルギー値を前記被露光材の材質および厚さならびにイオンビームのイオン種の少なくとも2以上の組み合わせと関連づけたデータテーブルとして記憶しておき、加工しようとする被露光材の材質および厚さならびに照射しようとするイオンビームのイオン種の組み合わせに対応するイオンビームエネルギー値を前記データテーブルから検索し、検索したイオンビームエネルギー値により当該被露光材に当該イオンビームを照射する。
データテーブルからイオンビームエネルギー値を検索するキーは、データテーブルにおいてイオンビームエネルギー値と関連づけられた被露光材の材質および厚さならびにイオンビームのイオン種の少なくとも2以上の組み合わせである。
本発明に係るイオンビーム加工装置は、イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工装置であって、前記被露光材の材質および厚さ、前記イオンビームのイオン種ならびにイオンビームエネルギー値から前記被露光材における前記イオンの注入角度を予測する注入角度予測手段と、予測された注入角度が予め設定され記憶された目標注入角度であるかどうかを判断する判断手段と、前記被露光材にイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、を有し、注入角度が前記目標注入角度でないと前記判断手段により判断されたときは注入角度が前記目標注入角度になるまで前記イオンビームエネルギー値を増加または減少させて前記注入角度予測手段により注入角度を予測し注入角度が前記目標傾斜角度であると判断されたときのイオンビームエネルギー値に基づいて前記イオンビーム照射手段が前記被露光材にイオンビームを照射するように構成されてなる。目標注入角度は上限値および下限値を有する範囲として設定されていてもよい。
他の本発明に係るイオンビーム加工装置は、イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工装置であって、前記イオンビームが照射された場合に前記被露光材におけるイオンの注入角度が目標注入角度となるイオンビームエネルギー値を前記被露光材の材質および厚さならびにイオンビームのイオン種の少なくとも2以上の組み合わせと関連づけたデータテーブルとして記憶する手段と、加工しようとする被露光材の材質および厚さならびに照射しようとするイオンビームのイオン種の組み合わせに対応するイオンビームエネルギー値を前記データテーブルから検索する検索手段と、被露光材にイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、を有し、前記検索手段により検索されたイオンビームエネルギー値に基づいて前記イオンビーム照射手段が当該被露光材に当該イオンビームを照射するように構成されてなる。
データテーブルからイオンビームエネルギー値を検索する検索条件は、データテーブルにおいてイオンビームエネルギー値と関連づけられた被露光材の材質および厚さならびにイオンビームのイオン種の少なくとも2以上の組み合わせである。
本発明にかかるイオンビーム加工方法およびイオンビーム加工装置を用いることで、被露光材上に精度良く「抜け勾配」を持った形状を加工することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明にかかるイオンビーム加工装置1の構成図、図2は演算器2の構成を示す図である。
図1において、イオンビーム加工装置1は、イオンビーム照射装置3、被露光材支持ステージ4、電流計測プローブ5、ファラデーカップ6、チャンバー7、真空制御器8、演算器2、およびイオンビーム制御器9等を備えている。
イオンビーム照射装置3は、チャンバー7内の上部側に配置されたイオン源10、加速器11、および集束機器12から構成されている。
イオン源10は、水素雰囲気下で金属の鋭利な先端と周囲との間に電圧を印加して軽イオンであるプロトン(H+)を発生させる。
イオン源10の下方側に配置された加速器11は、複数に積層された引き出し電極13を含み、イオン源10で発生したイオンを一定の方向(下方)に引き出して加速する。
集束機器12は、加速器11の下方側に配置され、拡大レンズ14、偏向器15、および集束レンズ16から構成されている。集束機器12は、通電されて所定の電磁界を形成し、イオン源10から引き出され加速されたプロトンを集束させて被露光材Wの所定の位置に照射させる。
拡大レンズ14および集束レンズ16のいずれも巻回された電磁コイルから構成されており、それぞれの磁界分布や磁界強度により、中央を通過するプロトンを引き寄せて半径方向に拡大させたり、イオンビーム中心軸側に押し戻して集束させたりできるようになっている。
偏向器15は、互いに90度ずらされた2組の平行電極板で構成されており、所望するビームの偏向度合いに応じた直流電圧を各組の電極板に印加することにより、イオンビームの軸心を移動させて偏向させる。
被露光材支持ステージ4は、チャンバー7内に設けられており、イオンビーム加工装置1により加工される被露光材Wを載置するためのものである。被露光材支持ステージ4は、図示しない駆動装置によって水平面内の直交する2方向に移動し、載置した被露光材Wがイオンビームに露光される位置を変更可能なように構成されている。
電流計測プローブ5は、被露光材Wをイオンビームにより加工する前に、イオンビームを形成するイオンが有する電荷を電流値として計測するためのものである。
ファラデーカップ6は、集束機器12と被露光材支持ステージ4との間に配置されている。ファラデーカップ6は、被露光材Wをイオンビームにより加工する前に、イオンビームにおける全イオンの数を電流値として測定する。
チャンバー7は、前述したイオンビーム照射装置3、被露光材支持ステージ4、電流計測プローブ5、およびファラデーカップ6を収容する圧力容器である。チャンバー7には真空計17が取り付けられており、粗引き用のロータリーポンプおよび中真空域での真空引き用のターボ分子ポンプ等で構成された真空装置によって大気圧域から真空域までチャンバー7の内部圧力を調節できるよう構成されている。
真空制御器8は、真空計17による測定値に基づいて真空装置に接続された自動弁18またはリーク用の自動弁19の開閉を行うことにより、イオンビームによる被露光材Wの加工処理におけるチャンバー7内の真空度を適切に維持する。
演算器2は、イオンビーム形状算出部20、通信部21、記憶部22、および制御部23などからなる。
イオンビーム形状算出部20は、被露光材Wに照射されるイオンビームの被露光材W内におけるイオンビームの形状(軌跡)を予測するためのものである。イオンビーム形状算出部20は、例えばZieglerのSRIMコード(http://www.research.ibm.com/ionbeams/SRIM/SRIMLEGL.HTM)に開示されたと同様のアルゴリズムにより構成され、RAMまたはROM上にバイナリーコード化された、被露光材W内における注入イオンの軌跡を計算するためのプログラムである。
通信部21は、制御部23で決定されたイオンビームエネルギー値をイオンビーム制御器9に送信する。イオンビームエネルギー値は、デジタルデータまたは例えば4〜20mAのアナログデータとしてイオンビーム制御器9に送信される。
記憶部22は、イオンビームが照射されたときの被露光材Wに注入されるイオンの注入角度(以下「注入角度」ということがある)の適正な値(以下「目標注入角度」ということがある)または目標注入角度の範囲を、被露光材Wの材質、厚さ等と関連づけて記憶する。また、被露光材W内における注入イオンの形状(軌跡)を計算するときの種々の定数および変数を記憶し、イオンビーム形状算出部20および制御部23の要求に応じて記憶したデータを供給する。
制御部23は、イオンビーム形状算出部20、通信部21および記憶部22の動作を制御する。また、制御部23は、入力装置24を制御して注入イオンの軌跡を計算するための条件を取り込み、イオンビーム形状算出部20に注入イオンの軌跡を計算させ、その結果に基づいて注入角度を算出して、算出した注入角度が目標注入角度と比較して適正かどうかを判断する。算出した注入角度が適正である場合には、通信部21を制御してイオンビームエネルギー値をイオンビーム制御器9に向けて送信させる。
演算器2は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、A/DまたはD/A変換機能を有するインタフェースおよびこれらを制御する制御プログラム等により実現される。また、演算器2には、タッチパネル式等の入力装置24およびLCD(液晶ディスプレイ)等の表示装置25が接続されている。
イオンビーム制御器9は、被露光材Wへのイオンビームの照射において、演算器2から受信したイオンビームエネルギー値に基づいて加速器11の加速電圧等を制御する。また、イオンビーム制御器9は、集束機器12(拡大レンズ14、偏向器15、集束レンズ16)に印加する電圧等を調整して、集束機器12が形成するイオンビームの集束の程度および照射位置を制御する。
また、イオンビーム制御器9には、イオンビーム照射装置3による露光時間および被露光材支持ステージ4の移動(イオンビームのスキャン速度)を制御するスキャン制御手段26が設けられている。
イオンビーム加工装置1による加工方法について説明する前に、「抜け勾配」について説明する。
図3はイオンビームエネルギー値を変化させて計算したプロトンの軌跡を示す図である。
被露光材にイオンビームを照射したときに被露光材の内部で注入されたイオンが被露光材の構成元素との衝突により広がること、その結果イオンの質量によってその飛程で広がりが異なることが従来知られている。また、照射するイオンビームエネルギー値が小さいほど被露光材の内部でイオンの到達する深さが浅くなりかつイオンの広がりの程度が大きくなることも知られている。そして、ZieglerのSRIMコードのように被露光材の材質、イオンビームのイオン種(イオンの質量)およびイオンビームエネルギー値から、被露光材内部におけるイオンビームの広がりの程度およびイオンビームの到達する深さ等のイオンビームの形状を求める計算方法も知られている。
図3は、このZieglerのSRIMコードを利用して、レジスト層がSU−8および注入イオンがプロトンの場合に、イオンビームエネルギー値の違いが被露光材内部におけるイオンビームの軌跡に与える影響を求めた結果である。
イオンビーム加工装置1は、イオンビームを照射して被露光材Wを加工するときに、被露光材W内部におけるイオンビームの形状(軌跡)に着目してレジスト層に適切な抜け勾配(図6(b)におけるα)を形成させるものである。
次に、イオンビーム加工装置1による被露光材Wの加工方法におけるイオンビームエネルギー値の決定について説明する。
図4は演算器2によるイオンビームエネルギー値を決定する処理のフローチャート、図5はイオンビームエネルギー値と抜け勾配との関係を示す図、図6は決定されたイオンビームエネルギー値により加工された被露光材Wの概要を示す図である。
図4を参照して、初めに、加工しようとする被露光材Wの材質および厚さdならびにイオンビームのイオン種が入力装置24から入力され、演算器2の記憶部22に記憶される(STEP1)。被露光材Wの材質は例えばSU−8などの「ネガ型のレジスト材」、イオンビームのイオン種は例えば「プロトン」と入力される。
演算器2は、入力された被露光材Wの材質、イオンビームのイオン種(イオンの質量)、および予め設定され記憶部22に記憶されていたイオンビームエネルギー値の初期値を用いて、イオンビーム形状算出部20により被露光材内におけるイオンビームの形状(軌跡)を算出する(STEP2)。イオンビームの形状は、被露光材内における3次元で特定される座標位置xi,yj,zkとその位置の単位体積当たりに存在するイオン数(ドーズ量)M(xi,yj,zk)との関係として求められる。
続いて、演算器2では、求めたイオン数を格納する配列M(x,y,z)から、被露光材Wの厚さdに相当する厚み方向位置(z=d)の平面におけるイオン数を格納するデータが抽出される(STEP3)。
以下、深さdといい厚さdということがあるが、いずれも被露光材Wの厚み方向における表面からの距離であって意味するところは同じである。
演算器2は、抽出された深さdのデータにおけるイオン数から深さdにイオンが到達可能かどうか(所定数以上のイオンが到達するか)の判断を行い(STEP4)、イオンが到達不可能または到達するイオンが少ない場合には(STEP4でNO)、イオンビームエネルギー値を所定量増加させて(STEP5)被露光材内のイオンビームの軌跡を再計算する(STEP2)。イオンが到達不可能または到達するイオンが少ない場合に、イオンビームのイオン種が変更できるように表示装置25に「イオンビームが出力できません。イオン種などの設定を変更してください。」などのメッセージを表示させ、入力装置24からイオン種の変更が可能なようにしてもよい。
所定数以上のイオンが深さdに到達可能と判断された場合には(STEP4でYES)、演算器2は、抽出した深さdのイオンの分布データから、深さdにおけるイオンビームの広がりつまりイオンビームの半径rを求めて(STEP6)、深さdとイオンビームの半径rとからこれらの条件下におけるイオンの注入角度αを算出する(STEP7)。
注入角度αは、「180−arctan(d÷r)」により求められる。例えば、図6(a)に示されるような、厚さdが21μmの被露光材Wを加工するとしたときの注入角度αは、深さdが21μmにおけるイオンビームの軌跡の半径rが0.54μmであることから、180−arctan(21÷0.54)=91.5(゜)である。
記憶部22には、目標注入角度が特定の値ではなく範囲として記憶されており、演算器2は、求められた注入角度αが記憶された目標注入角度の範囲内であるかどうかを判断する(STEP8)。
そして、演算器2は、求められた注入角度αが目標注入角度の範囲内にないと判断すると(STEP8でNO)、注入角度αが目標注入角度の上限よりも大きいときは(図5(a))イオンビームエネルギー値を増加させ、注入角度αが目標注入角度の下限よりも小さいときは(図5(c))イオンビームエネルギー値を減少させる(STEP10)。
なお、図5は、イオンビームエネルギー値が小さい場合(a)、適正範囲内の場合(b)および大きい場合(c)においてイオンビームを走査しながら照射して被露光材Wを加工したときに形成されるレジストの断面形状(A,B,C)を示すものである。
イオンビームの形状の再計算(STEP2)に用いられるイオンビーム修正エネルギー値は、注入角度αの目標注入角度の中央値からの偏差を求め(STEP9)、例えば偏差とイオンビームエネルギー値とを関数化した関係式に、求めた偏差と先の計算に用いたイオンビームエネルギー値を代入して算出する(STEP10)。
演算器2は、求められたイオンビーム修正エネルギー値が、イオンビーム制御器9による加速器11の制御に利用可能な範囲内であるかどうかを判断し(STEP11)、制御可能な範囲内である場合には(STEP11でYES)、被露光材Wの材質、イオンビームのイオン種、およびイオンビーム修正エネルギー値を用いて、再度被露光材内のイオンの軌跡を算出する(STEP2)。
算出された被露光材内のイオンの軌跡により、上に説明した、厚さdに相当する厚み方向位置の平面におけるイオン数を格納するデータの抽出(STEP5)、抽出したデータからのイオンの軌跡における半径rの算出(STEP6)、およびイオンの注入角度αの算出(STEP7)が行われ、注入角度αが目標注入角度の範囲内であるかどうかが判断される(STEP8)。
なお、記憶部22に、イオンビームエネルギー値および算出される注入角度αの目標注入角度からの偏差に関連づけられたイオンビームエネルギー値の増加分または減少分のデータテーブルを予め記憶しておき、イオンビーム修正エネルギー値を、このデータテーブルを検索して求めるようにしてもよい。
求められたイオンビーム修正エネルギー値が、イオンビーム制御器9による加速器11の制御に利用可能な範囲を外れた場合には(STEP11でNO)、演算器2はイオンビームの照射ができないことを作業員に知らせる警報を発する。警報の発信は、表示装置25に「イオンビームが出力できません。イオン種などの設定を変更してください。」などのメッセージを表示することにより行われる(STEP13)。同時に警報音を発するようにしてもよい。
上に説明したSTEP2からSTEP12までの処理は、イオンビームの注入角度αが適正範囲内になるまで(STEP8でYES)、またはイオンビームの照射ができないことを知らせる警報が発せられるまで(STEP13)繰り返される。
イオンビームの注入角度αが目標注入角度の範囲内になったら(STEP8でYES)、そのときのイオンビームエネルギー値が通信部21からイオンビーム制御器9に送信される。イオンビームエネルギー値を受信したイオンビーム制御器9は、そのイオンビームエネルギー値に対応する加速電圧を加速器11に加えるように動作する。その後、イオンビーム加工装置1では、イオンビーム照射装置3から被露光材支持ステージ4に載置された被露光材Wに向けてイオンビームの照射が開始される。
上に説明した方法により決定したイオンビームエネルギー値に基づいて行ったネガレジストに対するプロトンビーム露光結果(現像後)から、加工された形状は、図6(b)に示されるように、イオン軌跡の計算結果を反映した傾斜(注入角度)を持つ。
イオンビーム加工装置1では、被露光材Wの材質および厚さに応じた適切なイオンビーム加工条件を採用して、被露光材Wに適切な抜け勾配を有するレジストパターンを形成することができる。
図7はイオンビーム適正エネルギー値を格納するデータテーブルの構成を示す図、図8は演算器2によるイオンビームエネルギー値決定のフローチャートである。
本実施例では、イオンビームエネルギー値は、種々のイオンビームのイオン種、被露光材Wの材質および被露光材Wの厚さの組み合わせについてそれぞれの適正な注入角度を実現することができるイオンビームエネルギー値(以下「イオンビーム適正エネルギー値」という)が格納されたデータテーブルを参照することにより決定される。
イオンビーム適正エネルギー値は、予め演算器2または他のコンピュータにより、イオンビームのイオン種、イオンビーム加工を予定する被露光材Wの材質およびその厚さの組み合わせを変えて図4に示された手順に準じた方法で求められ、演算器2の記憶部22にデータテーブルとして記憶される。データテーブルは、図7に示されるように、3次元の配列として構成されており、イオンビーム適正エネルギー値を範囲としてではなく特定の値として格納している。
次に、図8を参照しながらイオンビームエネルギー値を決定する方法について説明する。
初めに、加工しようとする被露光材Wの材質および厚さdならびにイオンビームのイオン種が入力装置24により演算器2に入力され、記憶部22に記憶される(STEP15)。
演算器2は、入力された被露光材Wの材質および厚さdならびにイオンビームのイオン種に対応するイオンビーム適正エネルギー値を、記憶部22に記憶されたデータテーブルから検索し抽出する(STEP16)。
入力された被露光材Wの材質等に対応するイオンビーム適正エネルギー値が抽出されると(STEP17でYES)、その値はイオンビームエネルギー値として通信部21からイオンビーム制御器9に送信される。イオンビーム制御器9は、受信したイオンビーム適正エネルギー値に対応する加速電圧が加速器11に加えられるように制御し、イオンビーム照射装置3により被露光材Wを加工するためのイオンビームの照射が開始される。
入力された被露光材Wの材質等に対応するイオンビーム適正エネルギー値がデータテーブルに格納されていないときは(STEP17でNO)、演算器2は、表示装置25にイオンビーム適正エネルギー値の決定ができない旨の警告を表示する(STEP19)。
イオンビーム加工装置1にこのようなイオンビームエネルギー値決定手段を採用することにより、被露光材Wの材質および厚さに応じた適切なイオンビーム加工条件を設定することができ、被露光材Wに適切な抜け勾配を有するレジストパターンを形成することができる。
上述の実施形態において、イオンビーム照射装置3、被露光材支持ステージ4、電流計測プローブ5、ファラデーカップ6、チャンバー7、真空制御器8、演算器2、およびイオンビーム制御器9等は、種々のものを使用することができる。
その他、イオンビーム加工装置1、およびイオンビーム加工装置1の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
本発明は、被露光材にイオンビームを照射し被露光材に所望する微細構造を形成するイオンビーム加工装置に利用することができる。
本発明にかかるイオンビーム加工装置の構成図である。 演算器の構成を示す図である。 イオンビームエネルギー値を変化させて計算したプロトンの軌跡を示す図である。 演算器によるイオンビームエネルギー値を決定する処理フローチャートである。 イオンビームエネルギー値と抜け勾配との関係を示す図である。 加工された被露光材Wの概要を示す図である。 イオンビーム適正エネルギー値を格納するデータテーブルの構成を示す図である。 演算器によるイオンビームエネルギー値決定のフローチャートである。
符号の説明
1 イオンビーム加工装置
2 注入角度予測手段(演算器)
2 判断手段(演算器)
2 検索手段(演算器)
3 イオンビーム照射手段(イオンビーム照射装置)
9 イオンビーム照射手段(イオンビーム制御器)
d 厚さ
α 注入角度
W 被露光材

Claims (4)

  1. イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工方法であって、
    前記被露光材の材質および厚さ、前記イオンビームのイオン種ならびにイオンビームエネルギー値から前記被露光材における前記イオンの注入角度を予測し、
    前記注入角度と予め設定された目標注入角度とを比較してこれらが異なるときは注入角度が前記目標注入角度になるまで前記イオンビームエネルギー値を増加または減少させて注入角度を予測し、
    予測された注入角度が前記目標注入角度になったときのイオンビームエネルギー値により前記被露光材に前記イオンビームを照射する
    ことを特徴とするイオンビーム加工方法。
  2. イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工方法であって、
    前記イオンビームが照射された場合に前記被露光材におけるイオンの注入角度が目標注入角度となるイオンビームエネルギー値を前記被露光材の材質および厚さならびにイオンビームのイオン種の少なくとも2以上の組み合わせと関連づけたデータテーブルとして記憶しておき、
    加工しようとする被露光材の材質および厚さならびに照射しようとするイオンビームのイオン種の組み合わせに対応するイオンビームエネルギー値を前記データテーブルから検索し、
    検索したイオンビームエネルギー値により当該被露光材に当該イオンビームを照射する
    ことを特徴とするイオンビーム加工方法。
  3. イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工装置であって、
    前記被露光材の材質および厚さ、前記イオンビームのイオン種ならびにイオンビームエネルギー値から前記被露光材における前記イオンの注入角度を予測する注入角度予測手段と、
    予測された注入角度が予め設定され記憶された目標注入角度であるかどうかを判断する判断手段と、
    前記被露光材にイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、を有し、
    注入角度が前記目標注入角度でないと前記判断手段により判断されたときは注入角度が前記目標注入角度になるまで前記イオンビームエネルギー値を増加または減少させて前記注入角度予測手段により注入角度を予測し注入角度が前記目標傾斜角度であると判断されたときのイオンビームエネルギー値に基づいて前記イオンビーム照射手段が前記被露光材にイオンビームを照射するように構成されてなる
    ことを特徴とするイオンビーム加工装置。
  4. イオンビームを照射して被露光材を加工するイオンビーム加工装置であって、
    前記イオンビームが照射された場合に前記被露光材におけるイオンの注入角度が目標注入角度となるイオンビームエネルギー値を前記被露光材の材質および厚さならびにイオンビームのイオン種の少なくとも2以上の組み合わせと関連づけたデータテーブルとして記憶する手段と、
    加工しようとする被露光材の材質および厚さならびに照射しようとするイオンビームのイオン種の組み合わせに対応するイオンビームエネルギー値を前記データテーブルから検索する検索手段と、
    被露光材にイオンビームを照射するイオンビーム照射手段と、を有し、
    前記検索手段により検索されたイオンビームエネルギー値に基づいて前記イオンビーム照射手段が当該被露光材に当該イオンビームを照射するように構成されてなる
    ことを特徴とするイオンビーム加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102222595A (zh) * 2010-04-13 2011-10-19 日新离子机器株式会社 离子注入方法和离子注入装置
CN102237245A (zh) * 2010-04-28 2011-11-09 日新离子机器株式会社 离子注入装置及束电流密度分布的调整方法
KR101161087B1 (ko) * 2010-04-28 2012-06-29 닛신 이온기기 가부시기가이샤 빔 전류 밀도 분포의 조정 목표 설정 방법 및 이온 주입 장치

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