JP2008039271A - 熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成により、タンクにおけるチューブの接続部に亀裂等が発生することなく、有効に保護できるようにする。
【解決手段】タンク3は、チューブ10が接続された取付プレート20と、側面部21a,21aと天蓋部21bとからなる本体ケーシング21と、両側の端面を構成する端板22とから構成され、内部に仕切り板23が固着して設けられており、長さ方向には隔壁24が設けられて、複数分割されている。本体ケーシング21における取付プレート20への連結部の近傍に限定して剛性を高めるために補強板30を固着して設けられ、補強板30は本体ケーシング21の側面部21aから取付プレート20の端部20aにわたって溶接手段で固着されて、この補強板30で増強した分だけ取付プレート20がタンク3に作用するサージ圧により湾曲変形するのを抑制することができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、被冷却流体の流入側タンクと、流出側タンクと、これら両タンク間に設けられ、被冷却流体を流通させる多数のフィン付きチューブを接続して設けた熱交換器に関するものであり、特に被冷却流体の流入時にサージ圧が作用する状況下で使用される熱交換器の改良に関するものである。
例えば、建設機械等の作業機には、ラジエータやオイルクーラ等の熱交換器が設置される。ラジエータはエンジン冷却水を冷却するためのものであり、オイルクーラは機械に設けた油圧回路、具体的には油圧ポンプと、この油圧ポンプにより駆動される油圧アクチュエータと、作動油タンクとを有する油圧回路において、油圧ポンプから油圧アクチュエータに供給された圧油を作動油タンクに還流させる前の段階で冷却するためのものである。ラジエータの被冷却流体はエンジン冷却水であり、オイルクーラの被冷却流体は作動油というように、被冷却流体が異なるが、熱交換器の構成としては格別の差異はない。これらラジエータ及びオイルクーラの被冷却流体は液体であるが、建設機械にはエンジンの燃焼効率の向上及び排気ガスのクリーン化等の観点から、インタークーラ付きターボチャージャが設けられ、このターボチャージャに送り込まれる過給空気を冷却するためにインタークーラを備えたものもある。これらラジエータ,オイルクーラ及びインタークーラは、例えばエンジン,モータ等で駆動される冷却ファンによる冷却風の流路に臨むように配置される。
被冷却流体がエンジン冷却水や作動油のような液体であれ、過給空気等といった気体であれ、熱交換器の機器本体の基本構成は実質的に差異がない。即ち、流入側及び流出側のタンクと、両タンク間に接続した多数のチューブとから構成される。チューブには伝熱面積を大きくするために、放熱フィンが取り付けられ、所謂フィン付きチューブとなっている。タンクは側面部,天蓋部及び端壁からなる本体ケーシングと、この本体ケーシングの端部を閉塞する取付プレートとからなる密閉容器で構成され、本体ケーシングの天蓋部にはそれぞれ配管が接続される流入口または流出口が設けられている。タンクに接続されるチューブは取付プレートに設けた透孔に挿通されて、ろう付け等の手段で固着されており、このようにしてチューブを接続した取付プレートは本体ケーシングに連結される。チューブは放熱性を高めるために、薄肉で扁平な断面形状となっており、またチューブに固着されている放熱フィンは薄い金属板からなり、平板状またはコルゲート状等の形状とされる。
熱交換器は軽量化することが望ましく、このために流入側及び流出側の各タンクの壁面は薄肉のものが使用される。従って、タンクに流入する被冷却流体の圧力が高い場合には、薄肉化されたタンクの壁面が変形する可能性があり、特にチューブが接続されている取付プレートが変形を繰り返すと、やがてはチューブの取付プレートへの接続部に亀裂が発生する等といった不都合が生じることになる。
以上の点を勘案して、チューブの接続部となる取付プレートの変形を抑制する構成としたものが特許文献1に開示されている。この特許文献1によると、チューブを接続した取付プレート、つまりチューブプレートまたはチューブにナット部材を設けるようになし、このチューブプレートが固定されるタンクの本体ケーシングの天蓋部にボルトを挿通させてナット部材に螺挿することによって、このチューブプレートが曲らないように保持する構成としている。
特開平9−126680号公報
ところで、一般に、熱交換器は熱交換効率の向上を図るために、長尺で薄型構造となっており、前述した特許文献1のように、本体ケーシングの天蓋部にボルトを挿通させて、チューブプレートの保形を行うようにするには、複数本のボルトを挿通する必要がある。ここで、流入側であるにしろ、また流出側であるにしろ、タンクは密閉されており、このためにタンク本体にボルトを挿通させると、このボルト挿通用の透孔をシールしなければならない。特に、タンク内に高圧の流体が流入する場合には、高圧に耐えるシールを設ける必要があり、その分だけ構成が複雑になる等の不都合が生じることになる。また、タンク本体の内部にボルトを配置すると、その分だけタンク内容積が制約されるといった問題点がある。
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡単な構成により、タンクにおけるチューブの接続部に亀裂等が発生することなく、有効に保護できるようにすることにある。
前述の目的を達成するために、本発明は、本体ケーシングと、この本体ケーシングに装着された取付プレートとからなり、被冷却流体の流入側及び流出側のタンクと、前記両取付プレート間に接続され、被冷却流体の流通路となる複数本のフィン付きチューブとを備えた熱交換器であって、前記流入側及び流出側のタンクのうちの少なくとも一方のタンクの本体ケーシングに、前記取付プレートに連結した側面部を部分的に増厚することにより補強部とする構成としたことをその特徴とするものである。
熱交換器としては、前述したように、ラジエータ,オイルクーラがあり、またインタークーラ等も用いられる。これらの熱交換器が設けられるのは、主に建設機械を含む油圧駆動式の作業機である。これらのうち、作動油を冷却するオイルクーラは、油圧回路において、油圧アクチュエータからの戻り油を冷却するためのものであり、油圧アクチュエータが油圧シリンダである場合には、戻り油が流入するオイルクーラの流量及び圧力は大きく変動する。また、油圧アクチュエータが油圧モータである場合にも、その作動開始時及び増速時にはオイルクーラ内の圧力が変動する。この圧力変動、特に高圧が急激に作用する所謂サージ圧から熱交換器を構成する各部、特にそのタンクのチューブ接続部を保護するために補強部を設け、もって熱交換器の損傷防止が図られる。
熱交換器のうち、インタークーラのように、被冷却流体が気体である場合には、流入側のタンクが高圧になることから、補強部は必ずしも両タンクに設ける必要はなく、流入側のタンクのみに設ければ良い。一方、熱交換器がオイルクーラ等のように、被冷却流体が液体である場合には、熱交換器におけるサージ圧は熱交換器全体に、つまり流入側だけでなく、流出側のタンクにも作用することになる。従って、被冷却流体が液体である場合には、補強部は両方のタンクに設けるようにする。
一般に、熱交換器におけるタンクの構造は、被冷却流体の流入時に作用する圧力に応じた強度を持たせるようにして設計される。ただし、例えば、複数の油圧シリンダが装着され、これらの油圧シリンダが同時に作動する可能性のある油圧回路に設けられるオイルクーラでは、瞬間的に極めて高いサージ圧が作用する可能性がある。このようなサージ圧によってもタンク自体が破損しない程度の強度を持たせるが、このときにチューブが接続されている取付プレート等が変形するのを防止するまでの強度を持たせるようにはしない。タンクの変形防止のために、その剛性を必要以上高くすると、重量化することになり、かえって振動の作用等によりチューブに過大な負荷が作用することになる。
即ち、熱交換器がオイルクーラとして構成されるような場合には、このオイルクーラに通常作用する圧力を基準として、タンクの壁面の強度を持たせて、タンクが必要以上重量化するのを避ける。そして、サージ圧対策として、油圧回路において作用するサージ圧に応じて、予めタンクを構成する壁面の一部の厚肉にすることにより補強する。この補強はタンク全体ではなく、損傷のおそれがある箇所に限定する。取付プレートにおけるチューブの接続部がそれである。サージ圧が作用すると、タンクの内部が膨張しようとすることになり、取付プレートが湾曲するように変形しようとする。一方、チューブには放熱フィンが取り付けられているために、この放熱フィンに規制されることから、チューブの取付プレートへの接続部に過大な応力が作用することになる。これが繰り返されると、チューブの取付プレートへの接続部乃至その近傍に亀裂が発生することになる。
取付プレートを厚肉化して強度の向上を図ることも可能であるが、取付プレートにはチューブを接続するための透孔を穿設する必要があり、取付プレートを厚肉化すると、その透孔を穿設する加工が困難になる。このために、取付プレートの変形を抑制するために、必要な大きさと厚みとからなる補強板を後付けで溶接するように構成するのが望ましい。そして、サージ圧は使用される油圧回路に応じて異なってくる。そこで、各種の作業機に設置される熱交換器に対して、つまり作用するサージ圧の程度に応じて補強板の長さ,厚み等を変えることによって、作用するサージ圧の高低に応じて最適な補強を行うことができ、熱交換器を各種の油圧回路に共用のものとして使用する場合に有利になる。
以上のことから、本発明の最も特徴的な構成としては、油圧アクチュエータを有する作業機に設けられ、前記油圧アクチュエータからの戻り油を冷却するために、本体ケーシングと、この本体ケーシングに装着された取付プレートとからなり、被冷却流体の流入側及び流出側のタンクと、前記両取付プレート間に接続され、被冷却流体の流通路となる複数本のフィン付きチューブとを備えた熱交換器であって、前記流入側及び流出側のタンクのうちの少なくとも一方のタンクの本体ケーシングに、前記取付プレートに連結した側面部の外面に、この取付プレートの変形を抑制するための補強板を溶接手段により固着して設ける構成としたことをその特徴としている。
ここで、補強板は取付プレート自体に取り付けることも考えられるが、取付プレートにはチューブが直結されていることから、補強板を設けるためのスペースを確保できない。取付プレートに連結されている側面部にはスペースが確保される。従って、この側面部に補強板を溶接する構成とするのが望ましい。タンクには、本体ケーシングの側面部から取付プレートが所定の長さ分だけ外方に突出する状態に装着されている場合には、この取付プレートの突出部分に当接するようにして補強板を装着する。そして、補強板は本体ケーシングの側面だけでなく、この取付プレートの表面にも溶接するのが望ましい。そして、補強板は厚みの均一な板状または角棒状のものとすることもでき、また取付プレートへの当接側に向けて肉厚を連続的に増大させたテーパ形状とすることもできる。
タンクの構造としては、その強度増大を図るために、各種の補強部材が装着されているものもある。即ち、ケーシングの内部に取付プレートと平行に仕切り壁を設けて、相互に連通する上下2室に区画形成する構成としたものがあるが、このような構成としている場合には、側面部における取付プレートから概略仕切り壁までの高さ位置に補強板を溶接することができる。しかも、補強板をタンクの外部に固着することにより、オイルクーラを作業機に設置した後でもタンクを補強することができる。また、一般にタンクは長尺のものであり、中間部分に1乃至複数の隔壁を設ける構成としたものもある。この場合には、補強板はタンクの側面部と隔壁との間及び隔壁と隔壁との間に分割して配置することができる。
熱交換器のタンクを部分的に補強することにより、タンクを格別重量化することなく、タンク取付プレートのチューブ接続部分及びチューブに亀裂が生じるようなことがなくなり、その耐久性が向上する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1及び図2に熱交換器の全体構成を示す。図中において、1は熱交換器であって、熱交換器1は熱交換部2の上部位置に流入側タンク3が設けられ、下部側には流出側タンク4が設けられている。流入側タンク3には流体供給管が接続される流入口3aが設けられており、また流出側タンク4には流体流出管が接続される流出口4aが設けられている。この熱交換器1は図示しない冷却ファンによる冷却風により被冷却流体を冷却するためのものであり、熱交換部2が冷却風の流路に臨むようになっている。
熱交換部2はチューブ10と、放熱フィン11とから構成され、放熱フィン11はチューブ10に取り付けられて、フィン付きチューブとして構成されている。チューブ10の上下の両端部は、流入側及び流出側の各タンク3,4に接続されており、流入側タンク3から被冷却流体がチューブ10内に流入して、このチューブ10内を流れる間に、被冷却流体の温度を低下させる。そして、チューブ10は扁平な楕円形状となっており、扁平面が冷却風の流れと平行な方向に向くようにして両タンク3,4間に多数配設されている。また、放熱フィン11は厚みの薄い金属板から構成され、チューブ10とほぼ直交する方向に向けて所定のピッチ間隔をもって多数配列されており、これら放熱フィン11は各チューブ10に固定されている。
図3に流入側タンク3の断面を示す。なお、流出側タンク4もこの流入側タンク3とほぼ同じ構成となっており、流入側タンク3は熱交換部2の上部側に、また流出側タンク4は熱交換部2の下部側において、流入側タンク3とは天地を逆にして装着されている。タンク3は取付プレート20と、金属板体を曲成し、側面部21a,21aと天蓋部21bとからなる本体ケーシング21と、両側の端面を構成する端板22とから構成される。このタンク3の内部には、強度向上を図るために、取付プレート20から所定の間隔だけ離間した位置に仕切り板23が固着して設けられており、またタンク3の長さ方向には隔壁24が設けられて、複数分割されている。そして、前述した各部は溶接手段等により固着して設けられる。また、タンク3の内部は仕切り板23により上下に分割され、隔壁24により長さ方向に分割されているが、これら仕切り板23及び隔壁24には図示しない連通部が形成されており、内部は全体として被冷却流体が貯留される1つのチャンバを構成する。
取付プレート20にはチューブ10の接続部が形成されている。ここで、チューブ10は扁平な楕円形状をしており、これら各チューブ10を挿通させるために、図4に示したように、パンチ孔からなる透孔25が多数穿設されている。従って、チューブ10はこれら各透孔25に挿通させて、ろう付け等の手段で固着される。そして、各チューブ10はタンク3,4に対して、取付プレート20と仕切り板23との間の位置に開口しており、タンク3内の被冷却流体はチューブ10内に流入し、このチューブ10に沿って下降して、流出側タンク4に導かれ、この被冷却流体がチューブ10内を流下する間に、冷却風と熱交換して、流体の温度を低下させるようになっている。
例えば、熱交換器1を油圧式の作業機におけるオイルクーラとして用いる場合には、流入口3aには油圧アクチュエータからの戻り配管、より具体的にはコントロールバルブに接続した戻り配管が接続され、また流出口4aには作動油タンクに接続した配管が接続されることになる。油圧アクチュエータが駆動されると、戻り配管から流入側タンク3に戻り油が流入する。戻り油は油圧ポンプで加圧され、油圧アクチュエータを駆動するという仕事を行った後のものであるから、温度が上昇している。このように温度が上昇した作動油が流入側タンク3から熱交換部2を構成するチューブ10内を流れて流出側タンク4に至るまでの間に冷却される。
ここで、オイルクーラに戻り油が大量に流入すると、流入側タンク3の圧力が上昇する。タンク3を構成する取付プレート20及び本体ケーシング21、さらに端板22はこのような圧力に対する耐圧性を有している。また、仕切り板23及び隔壁24を設けたことによって、タンク3の耐圧性を高めている。ただし、油圧アクチュエータとして複数の油圧シリンダが設けられており、例えばこれらの油圧シリンダが同時に縮小する方向に作動したときには、熱交換器1全体に瞬間的ではあるが、極めて高いサージ圧が発生することになる。
このサージ圧が作用すると、図5に矢印で示したように、タンク3の内容積を拡大させる方向に荷重が作用する。その結果、取付プレート20が下方に向けて湾曲するように変形することになり、チューブ10の接続部に大きなストレスが作用する。特に、取付プレート20における本体ケーシング21との連結部には、この変形によって、端部側のチューブ10の軸線を鉛直状態から角度θ分だけ曲げ方向の力が作用することになる。しかしながら、チューブ10には放熱フィン11が連結して設けられており、チューブ10のこの方向への動きが規制される。その結果、チューブ10の取付プレート20の透孔25への装着部に過大な応力が作用することになる。
ただし、以上のようなサージ圧は瞬間的に作用するものであるから、チューブ10の振れも瞬間的に生じるだけで、このサージ圧の作用が開放されると、取付プレート20が復元して、前述した応力は解消される。しかしながら、サージ圧が繰り返し作用すると、前述した応力が作用する部位に金属疲労が生じることになり、やがてはチューブ10の取付プレート20への連結部に亀裂が生じて、流体の漏れが発生することになる。
以上の事態を防止するために、取付プレート20の厚みを増大させることが考えられるが、取付プレート20には多数の透孔25が穿設されており、その厚みを増大させると、これらの透孔25をパンチ孔で形成することができなくなり、レーザ加工が必要となる等、取付プレート20の形成及び加工が困難になる点で好ましくはない。また、チューブ10の肉厚を増大させることも考えられるが、そうすると熱交換器としての放熱条件が悪くなってしまう。
本発明においては、その解決手段として、本体ケーシング21における取付プレート20との連結部に着目した。取付プレート20が湾曲変形する際には、それに伴って本体ケーシング21における側面部21aの取付プレート20への連結部分が変形することになる。従って、本体ケーシング21の側面部21aが変形しなければ、取付プレート20が湾曲する方向に変形するのを抑制することができる。なお、本体ケーシング21には仕切り板23が固定されているので、この本体ケーシング21における仕切り板23の固定部と取付プレート20への連結部間の部位の強度が高くなっているが、重量等との関係で、側面部21aを含む本体ケーシング21が前述したサージ圧の作用によっても変形しない程度の強度を持たせるようにはしていない。
以上のことから、本体ケーシング21における取付プレート20への連結部の近傍に限定して剛性を高めるようにするために、その箇所に、図6に示したように、補強板30を固着して設ける構成としている。ここで、取付プレート20の両端部20aは本体ケーシング21の側面部21aより僅かな長さ分だけ外方に張り出している。そこで、補強板30は、本体ケーシング21の側面部21aから取付プレート20の端部20aにわたって固着する。これによって、タンク3にサージ圧が作用したときに、補強板30で増強した分だけ取付プレート20が湾曲変形するのを抑制することができる。しかも、補強板30は本体ケーシング21外面部分に溶接手段により固着するようにしている。従って、この補強板30による補強は熱交換器1として完成した後でも、また作業機に組み付けた後でも容易に装着することができる。
補強板30は、図6に示したように、所定の厚みを有する板状の部材から構成される。その取付位置としては、本体ケーシング21において、端板22と隔壁24との間、隔壁24,24の間(隔壁を設けない場合には、端板22,22間)であって、取付プレート20への連結部と仕切り板23の装着部との間の部位に限定して設けるようにする。これによって、本体ケーシング21の側面部21aにおける取付プレート20への連結部の剛性が向上して、タンク3,4内に導入される作動油の圧力により取付プレート20が湾曲変形するのを抑制することができる。その結果、チューブ10の取付プレート20への接続部に作用する応力が緩和されることになり、金属疲労の度合いを抑制することができ、チューブ10に亀裂が生じる等の損傷を抑制することができる。
このように、補強板30は本体ケーシング21の側面部21aの取付プレート20への連結部の強度を向上させるためのものであるから、図7に示したように、補強板30Aの外面側が側面部21aにおいて、取付プレート20への連結部に向けて連続的に厚肉化するテーパ面形状とすることもできる。これによって、側面部21aのうち、取付プレート20への連結部が最も厚肉になって、この部分の強度を極めて高くすることができる。そして、天蓋部21b側に向けて連続的に低下する強度分布を持つことになって、側面部21aに応力が集中する部位を緩和することができる。
ここで、タンク3,4の長さ方向においては、その全長にわたって1本の補強板30(または30A、以下同じ)を設ける構成とすることもできるが、タンク3,4の両端部と、隔壁24を設けた部位の強度は高いために、図8に示したように、端板22と隔壁24との間と、隔壁24,24間の部位に分割して設ける構成とする方が望ましい。しかも、図9に示したように、これら各部において2以上に分割した補強板31を装着することもできる。このように分割した補強板31を用いると、溶接線が長くなるので、補強板31の取付強度を高くすることができると共に、タンク3,4が部分的に損傷したときに、それを修理する際等にとっても便利になる。
ところで、熱交換器1としてのオイルクーラにおいて、流入側及び流出側のタンク3,4に作用するサージ圧は、それが接続されている油圧回路の構成により変化する。特に、油圧回路における油圧アクチュエータとして、油圧シリンダの数及びサイズ、さらには同時に同じ方向に作用するものの数等に応じて、オイルクーラに作用するサージ圧は大きく変化する。そして、必要以上の補強を行うのは、加工性の点で、また重量の点でも好ましくはない。従って、サージ圧の高さに応じて補強板30の材質,厚み乃至数のいずれかを異ならせるのが望ましい。
即ち、作用する可能性のあるサージ圧が図9に示した熱交換器より低い場合には、例えば、図10に示したように、図9の補強板と同じサイズかまたはそれとはサイズが異なる補強板32を、これを端板22と隔壁24との間と、隔壁24,24間との部位に各々1本ずつ装着する構成としても良い。作用する可能性のあるサージ圧がさらに低い場合、図11に示したように、小片化された補強板33を、端板22と隔壁24との間及び隔壁24,24間の部位にそれぞれ1個装着するように構成すれば良い。そして、これより低いサージ圧しか作用しないか、または格別サージ圧が作用することがない場合には、補強板を設けない。
以上のように、熱交換器1に作用するサージ圧の度合いに応じて、タンク3,4の補強を行うようになし、しかも必要以上の補強は行わないことによって、熱交換器1が装着される油圧回路にとって適切な強度を有する熱交換器1を装着することができ、熱交換器1に汎用性を持たせることができる。
本発明の一実施の形態を示す熱交換器の正面図である。 図1の側面図である。 図1の流入側タンクと、このタンクに接続した熱交換部の一部を示す断面図である。 取付プレートの平面図である。 タンク内にサージ圧が作用したときの取付プレートの状態を示す作用説明図である。 タンクに装着される補強板の構成を示す断面図である。 タンクに装着される補強板の他の構成例を示す断面図である。 補強板を装着したタンクの要部正面図である。 他の形態の補強板を装着したタンクを示す要部正面図である。 さらに他の形態の補強板を装着したタンクを示す要部正面図である。 さらに別の形態の補強板を装着したタンクを示す要部正面図である。
符号の説明
1 熱交換器
2 熱交換部
3 流入側タンク
4 流出側タンク
10 チューブ
11 放熱フィン
20 取付プレート
21 本体ケーシング
21a 側面部
21b 天蓋部
22 端板
23 仕切り板
24 隔壁
25 透孔
30,30A,31,32,33 補強板

Claims (6)

  1. 本体ケーシングと、この本体ケーシングに装着された取付プレートとからなり、被冷却流体の流入側及び流出側のタンクと、前記両取付プレート間に接続され、被冷却流体の流通路となる複数本のフィン付きチューブとを備えた熱交換器において、
    前記流入側及び流出側のタンクのうちの少なくとも一方のタンクの本体ケーシングに、前記取付プレートに連結した側面部を部分的に増厚することにより補強部とする
    構成としたことを特徴とする熱交換器。
  2. 油圧アクチュエータを有する作業機に設けられ、前記油圧アクチュエータからの戻り油を冷却するために、本体ケーシングと、この本体ケーシングに装着された取付プレートとからなり、被冷却流体の流入側及び流出側のタンクと、前記両取付プレート間に接続され、被冷却流体の流通路となる複数本のフィン付きチューブとを備えた熱交換器において、
    前記流入側及び流出側のタンクのうちの少なくとも一方のタンクの本体ケーシングに、前記取付プレートに連結した側面部の外面に、この取付プレートの変形を抑制するための補強板を溶接手段により固着して設ける構成としたことを特徴とする熱交換器。
  3. 前記取付プレートは前記本体ケーシングの側面部から外方に延在されており、前記補強板は前記側面部とこの取付プレートの延在部とに溶接されていることを特徴とする請求項2記載の熱交換器
  4. 前記補強板は前記取付プレートの延在部側に向けて厚肉化するテーパ形状とする構成としたことを特徴とする請求項3記載の熱交換器。
  5. 前記タンクには、前記本体ケーシングの内部に前記取付プレートと平行に仕切り壁を設け、前記側面部における前記取付プレートから前記仕切り壁またはその近傍位置までの高さ位置に前記タンクの全長または全長の一部に及ぶように補強板を溶接手段で固着する構成としたことを特徴とする請求項2記載乃至請求項4のいずれかに記載の熱交換器。
  6. 前記タンクには、その長さ方向に1または複数の隔壁が設けられ、前記補強板は前記タンクの端部と隔壁との間及び隔壁間の部位に1または複数分割して固着する構成としたことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の熱交換器。

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