以下に、本発明を実施するための複数の形態について説明する。以下の説明において、先行する形態で説明している事項に対応する部分については同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の各形態同士を部分的に組合せることも可能である。本実施の形態に係る運転情報記録装置(以下「ドライブレコーダ」という場合がある)は、たとえばバッテリ電圧が24ボルトの運輸トラックに好適に搭載される。ただし適用車両は、運輸トラックだけに限定されるものではなく、たとえばバッテリ電圧が12ボルトのタクシーに搭載されてもよい。以下の説明は、運転情報記録方法についての説明をも含む。
図1は、センタ機器の構成の一例を示す図である。図2は、ドライブレコーダ1を示す斜視図である。運転情報記録装置であるドライブレコーダ1は、車両の運転に関する運転情報を巡回して記憶するとともに、予め定める条件が成立した場合に、前記運転情報などと関連付けて画像および音声情報を、記録媒体、具体的にはコンパクトフラッシュ(登録商標)カード(以下「CFカード」という場合がある)2に記録するように構成されている。CFカード2は、通電しなくても記憶が消えないフラッシュメモリと、外部との入出力を受け持つコントローラ回路とが電気的に接続されたものである。
センタ機器は、CFカード2に記録された情報を解析可能かつ出力可能に構成されている。センタ機器は、情報を解析するパーソナルコンピュータ(以下「PC」という)3、CFカード2に記録された情報を読出すCFカードリーダ4、解析された情報などを出力するディスプレイ5およびプリンタ6を含んで構成され、これらは電気的に接続されている。PC3に、予め定める画像解析ソフトウェアなどのアプリケーションソフトウェアをインストールすることによって、PC3の演算手段は情報を解析可能に構成されている。ただし、アプリケーションソフトウェアは、画像解析ソフトウェアに限定されるものではない。
ドライブレコーダ1は、運転情報記録装置本体であるドライブレコーダ本体7、撮像手段であるカメラ8、車室内の音声情報を取得するマイクロフォン9および記録スイッチの機能を含むスイッチ(以下「記録スイッチ」という場合がある)10を有する。カメラ8、マイクロフォン9およびスイッチ10は、ドライブレコーダ本体7に電気的に接続されて別体に設けられる、当該車両には、少なくとも一台のカメラ8が設けられる。カメラ8は、CCD(Charge Coupled Device)カメラによって実現される。カメラ8は、車両前方を撮影すべく車両に固定される。車両前方以外たとえば車両後方を撮影すべく、増設カメラを車両に固定することも可能である。
ドライブレコーダ本体7には、CFカード2を挿抜可能な挿入口7aが形成されている。挿入口7aに挿抜可能な記録媒体は、前述のCFカード2に限らず、たとえばSD
(Secure Digital)メモリカード、メモリースティックおよびスマートメディアであってもよい。
図3は、ドライブレコーダ1の電気的構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ1の構成について、図2も参照しつつ説明する。ドライブレコーダ本体7は、制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)11、フラッシュROM(Flash Read Only
Memory;略称:F−ROM)12、記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)13、CFカードインターフェース(略称:CFカードIF)14、JPEG IC(JPEG:Joint Photographic coding Experts Group、IC:Integrated Circuit)
15、ビデオスイッチ(略称:ビデオSW)16および発光ダイオード17を有する。
ドライブレコーダ本体7は、USB(Universal Serial Bus)ホスト機能を有する手段であるUSB HOST18、USBインタフェース(略称:USB IF)19、通信用ドライバ20、LCD(Liquid Crystal Display)操作器コネクタ21、バッファ22、車両から与えられるHi/Lo信号の電源起動信号を含む車両信号を検出する起動信号検出回路23、ウォッチドック機能を有するウォッチドックIC(略称:WD IC)24、電源部25、Gセンサ26、GPS(Global Positioning System)レシーバ40、GPSアンテナ41および車速パルスを集計する図示外のカウンタをさらに有する。LCD操作器コネクタ21には、乗務員データを入力可能なLCD操作器27が接続可能に構成されている。
検出手段としての前記Gセンサ26は、互いに直交する3軸方向の重力加速度を検出するセンサである。さらに述べると、Gセンサ26は、車両の前後方向、左右方向および上下方向に作用する重力加速度、いわゆるGセンサ出力値を検出可能である。車両に着座した乗務員の正面方向およびその後方を前後方向とし、車両に着座した乗務員の左および右方向を左右方向とする。鉛直方向を前記上下方向とする。CPU11は、Gセンサ26によって検出される車両の前後、左右および上下方向の重力加速度の少なくともいずれか一つの出力値を記録開始条件として、RAM13に記憶された運転情報をCFカード2に記録するよう制御する。
CPU11は、たとえばCFカード2の挿入口7aを基準(CFカード2の挿抜を妨げないような基準)とするドライブレコーダ本体7の当該車両への取付け姿勢に基づいて、上下方向の重力加速度を検出する軸方向を特定する。具体的に述べると、センタ機器のPC3の入力手段3aおよび演算手段を用いて、CFカード2の挿入口7aを基準とするドライブレコーダ本体7の当該車両への取付け姿勢に基づいて、上下方向の重力加速度を検出する軸方向を特定する演算を実行する。
PC3の演算手段は、演算されたデータをCFカード2に記録する制御を行う。ドライブレコーダ本体7の前記挿入口7aにCFカード2を挿入し、CFカード2に記録された前記データに基づいて、ドライブレコーダ本体7のCPU11は、上下方向の重力加速度を検出する軸方向を特定する。またCPU11は、下方向に作用する重力加速度の出力値に基づいて上下方向の重力加速度を検出する軸方向を特定し、当該車両の走行開始時の重力加速度の出力値の変化に基づいて、前後方向の重力加速度を検出する軸方向を特定する機能を有する。この場合は、予めセンタ側で上下方向の重力加速度を検出しなくても、ドライブレコーダ本体7の車両への取付け状態で、自動で上下方向の重力加速度を検出し、残り2軸を前後方向、左右方向の軸に特定することができる。前述のようにCFカード2の挿入口7aを基準とすることは一例であり、該基準は、挿入口7aだけに限定されるものではない。たとえば記録スイッチなど、装置本体の向きを特定できるものであればどのようなもの、部品を基準としてもよい。
記録スイッチ10を使用したGセンサ26のオフセット調整について概略説明する。本実施の形態では、Gセンサ26を内蔵するドライブレコーダ本体7を完全に水平に設置できない状況が考えられるので、Gセンサ26の前後および左右方向のオフセットを補正するオフセット調整を行うようになっている。ドライブレコーダ本体7の電源起動時またはドライブレコーダ1の動作中に、予め定める記録スイッチ10の操作、たとえば3秒以上記録スイッチ10を継続して押す操作、いわゆる長押しによって、オフセット調整の設定モード(以下「オフセットモード」という)に入れる。換言すればCPU11は、電源起動の開始条件で、記録スイッチ10が予め定める操作をされたか否かを判断する。「否」との判断で本処理を終了し、予め定める操作がされたとの判断でCPU11はオフセット調整の設定モードに入れる。
前記設定モードに入った状態で、さらに記録スイッチ10を操作することによって、Gセンサ26のオフセット調整を行う。つまりCPU11は、設定モードに移行後、記録スイッチ10が操作されたか否かを判断し、操作されたとの判断でGセンサ26のオフセット調整を行う。「否」との判断で設定モードに戻り、記録スイッチ10の操作待ち状態となる。Gセンサ26のオフセット調整後、本処理を終了する。
F−ROM12は、ドライブレコーダ本体7を構成するハードウェア資源を統括的に制御するための制御プログラムを記憶する。前記RAM13は、第1SD−RAM
(Synchronous Dynamic Random Access Memory)28および第2SD−RAM29を備える。第1SD−RAM28は、JPEG IC15によってJPEG形式に変換された画像データを一時的に記憶する。第2SD−RAM29は、Gセンサ26によって検出されるGセンサ出力値、後述する車速センサ33によって検出されるか、または後述するGPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて測定される車両の走行速度(以下「車速」という)情報、および起動信号検出回路23によって検出される車両信号などの車両に関する車両情報、前記JPEG形式に変換された画像情報、マイクロフォン9に入力される音声情報などを巡回して一時的に記憶する。
CPU11には、F−ROM12、第2SD−RAM29、CFカードIF14がそれぞれ電気的に接続される。CPU11には、JPEG IC15を介して第1SD−RAM28およびビデオSW16が電気的に接続されている。ビデオSW16は、複数のカメラ8が設けられる場合に、所定時間間隔で撮像する複数のカメラ8を切換えるための切換えスイッチである。
CPU11には、USB HOST18を介してUSB IF19が電気的に接続されるとともに、通信用ドライバ20、LCD操作器コネクタ21、バッファ22、WD IC24、Gセンサ26がそれぞれ電気的に接続されている。バッファ22は、起動信号検出回路23に電気的に接続される。WD IC24には、電源部25が電気的に接続される。前記電源起動信号が得られない場合、通信用ドライバ20からの入力をスイッチ30でGPSアンテナ41側への入力に切換える。この場合には、単独でGPSから当該車両の位置を検出できる。
GPSレシーバ40は、GPSアンテナ41を介して、不図示のGPS用衛星から送信される複数の電波信号を受信する。GPSレシーバ40は、受信した複数の電波信号をCPU11に与える。CPU11は、GPSレシーバ40から与えられた複数の電波信号に基づいて、車速情報、時刻情報および位置情報を測定する。
本実施の形態の受信手段は、GPSレシーバ40およびGPSアンテナ41に相当する。パルス検出手段は、車速センサ33に相当する。車速測定手段および車速検出手段は、CPU11およびF−ROM12に相当する。切換手段および判断手段は、CPU11に相当する。
次に、画像記録の条件などについて説明する。図4は、Gセンサ出力値31および速度変化32に基づいて、静止画像情報が一定間隔δおきにCFカード2に記録される態様を示す図である。図5は、画像情報の一部と位置情報等との関係を示す図である。CPU11は、カメラ8で撮像されドライブレコーダ本体7に入力された入力画像をJPEG IC15によってJPEG形式の画像情報に変換して、JPEG形式に変換された画像情報を第1SD−RAM28に一時的に記憶させる。その後CPU11は、JPEG形式に変換された画像情報を第2SD−RAM29に順次記録させる。このとき一枚の静止画像は、たとえば「画像*.jpg」という形式で第2SD−RAM29に記憶される(図5参照)。前記「*」は整数である。
CPU11は、静止画像の付加情報として、当該車両のGセンサ出力値と、位置情報と、時刻情報と、車速センサ33(図3参照)またはGPSレシーバ40からの車速情報と、マイクロフォン9からの音声情報とを、第2SD−RAM29に順次記憶させる。
予め定める記録条件を満たした場合、CPU11は、第2SD−RAM29に記憶されるJPEG変換画像、Gセンサ出力値、位置情報、時刻情報および車速情報をCFカード2に記録させる。本実施の形態では、たとえば1秒間に10枚の静止画像がCFカード2に記録され、1イベント最大30秒間で300枚の静止画像がCFカード2に記録可能に構成されている。1イベントとは、予め定める記録条件を満たした一つの状態と同義である。
さらに述べると、たとえば図5に示すように、CFカード2には、最大30秒間で300枚の静止画像「画像1.jpg」,・・・,「画像300.jpg」から成る画像情報群が記録され、また前記画像情報群に含まれる各静止画像のファイル名「画像0」,・・・,「画像299」と、前記車両の位置情報、時刻情報、Gセンサ出力値および車速情報を含む車両情報とがそれぞれ関連付けられた情報が、画像情報群の付加情報として、CFカード2に記録される。
次に、車速情報の取得の切換処理について説明する。車速情報を取得する方法としては、車速センサ33によって検出される車速パルスに基づいて取得する方法と、GPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて測定して取得する方法とがある。車速情報を取得するにあたって、これらの2つの取得方法のうちいずれか1つに固定して取得するようにすると、前記従来技術のように、正確な車速を取得することができない、または確実に車速を取得することができないなどの不具合が発生してしまう。
そこで、本実施の形態では、車速センサ33によって検出される車速パルスに基づいて車速情報を取得する場合(以下「車速検出モードという)と、GPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて車速情報を測定して取得する場合(以下「車速測定モード」という)とを、所定の条件に基づいて切換可能に構成している。
CFカード2には、予めセンタ機器のPC3の入力手段を用いて、ドライブレコーダ1の動作時に車速検出モードおよび車速測定モードのうちいずれのモードによって車速を取得するかを表す車速取得情報が記録される。また車速取得情報として、車速検出モードが選択されてCFカード2に記録される場合は、さらに車速パルスの種別を表すパルス種別情報も併せてCFカード2に記録される。車速パルスの種別としては、電気式および機械式などがあり、車両に応じて設定可能になっている。このような車速取得情報およびパルス種別情報が記録されたCFカード2をドライブレコーダ1に装着すると、CPU11によって前記車速取得情報およびパルス種別情報が読出され、各情報に基づいた動作が実行される。
車速パルスの種別は、前述のように車両に応じて設定可能となっているが、この設定を誤った場合、あるいは車速パルスを伝送する信号線の断線などによって車速パルスを検出することができない故障が生じた場合には、車速検出モードからGPSによる車速測定モードに移行する必要がある。そのため、車速検出モード時の車速と、車速測定モード時の車速とが10km/h以上異なる場合は、車速測定モードにする。
図6は、車速情報の取得の切換えに関するCPU11の処理手順を示すフローチャートである。図3も参照しつつ説明する。ドライブレコーダ本体7が電源起動する条件で本処理が開始する。本処理は、CPU11によって実行される。本処理開始後、ステップa1に移行する。
ステップa1では、車速測定モードに設定され、GPSアンテナ41を介してGPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて車速情報を取得する。次にステップa2に移行し、前記GPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて取得した車速情報が表す速度が予め定める速度、本実施の形態では30km/h以上であるか否かを判断し、30km/h以上であれば、前記取得した車速情報が表す速度は比較的信頼性の高い速度であると判断してステップa3に移行し、30km/h未満であれば、前記取得した車速情報が表す速度は比較的信頼性の低い速度であると判断して、速度が30km/h以上になるまで待機する。
ステップa3では、車速センサ33を介して車速パルスをチェックし、たとえば第2SD−RAM29に一時記憶する。次にステップa4に移行して、車速センサ33から出力される車速パルスの入力があるか否かを判断し、車速パルスのCPU11への入力があればステップa5に移行し、車速パルスの入力がなければ、当該車両がトンネルに入るなどしてGPS用衛星からの電波信号を受信できない状態にあると判断して、車速パルスの入力があるまで待機する。
ステップa5では、車速測定モードから、車速検出モードすなわち車速センサ33によって検出される車速パルスに基づいて車速情報を取得するモードに設定を切換える。したがって車速情報は、車速パルスに基づいて取得される。次にステップa6に移行し、前述のステップa3と同様の処理を行い、ステップa7に移行する。
ステップa7では、車速センサ33から出力される車速パルスのCPU11への入力があるか否かを判断し、車速パルスの入力がなければステップa8に移行し、車速パルスの入力があればステップa6に戻る。
ステップa8では、GPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて取得される車速情報が表す速度が予め定める速度、本実施の形態では30km/h以上であるか否かを判断し、30km/h以上であれば、前記取得した車速情報が表す速度は比較的信頼性の高い速度であると判断してステップa9に移行し、30km/h未満であれば、前記取得した車速情報が表す速度は比較的信頼性の低い速度であると判断してステップa6に戻る。
ステップa9では、車速検出モードから、車速測定モードすなわちGPSアンテナ41を介してGPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて車速情報を取得するモードに設定を切換えて、ステップa2に戻り、前述と同様の処理を行う。
前述のように本実施の形態によれば、所定の条件、具体的には車速が予め定める速度以上である条件を満足するとき、CPU11によって、車速測定モードおよび車速検出モードのうち、いずれか一方のモードから他方のモードへ切換えられる。これによって、たとえば車速測定モード時に、車速センサ33によって車速パルスが検出され、車速パルスがCPU11に入力されている場合は、CPU11によって、車速測定モードよりも高精度に車速を検出することができる車速検出モードへ切換えられる。したがって、車速測定モードに比べて正確な車速を取得することができる。
また車速検出モード時に、車速パルスを伝送する信号線が断線するなどして、車速センサ33によって車速パルスが検出されない場合でも、CPU11によって、車速検出モードから車速測定モードへ切換えられるので、車速を確実に取得することができる。
また本実施の形態によれば、車速測定モード時に、GPSレシーバ40によって受信した電波信号に基づいて測定される車両情報が表す速度が予め定める速度以上であるとき、車速センサ33によって車速パルスが検出されたか否かが、CPU11によって判断される。車速センサ33によって車速パルスが検出されたとCPU11によって判断されたとき、CPU11によって、車速測定モードから車速検出モードへ切換えられる。これによって車速測定モード時に、車速センサ33によって車速パルスが検出されている場合は、CPU11によって車速測定モードよりも高精度に車速を検出することができる車速検出モードへ切換えられるので、車速測定モードに比べて正確な車速を取得することができる。
また本実施の形態によれば、車速検出モード時に、車速センサ33によって検出される車両情報が表す速度が予め定める速度以上であるとき、車速センサ33によって車速パルスが検出されたか否かが、CPU11によって判断される。車速センサ33によって車速パルスが検出されたとCPU11によって判断されたとき、CPU11によって、車速検出モードから車速測定モードへ切換えられる。これによって、車速検出モード時に、車速パルスを伝送する信号線が断線するなどして、車速センサ33によって車速パルスが検出されない場合でも、CPU11によって車速測定モードへ切換えられるので、車速を確実に取得することができる。
図7は、閾値を超過したGセンサ出力値31と、CFカード2に記録される画像情報の記録範囲Rhとの関係を示す図である。図3および図4も参照しつつ説明する。記録条件としてGセンサ出力値31が閾値GmaxまたはGminを超過し、かつ当該車両が急減速、たとえば一定時間(1秒間)に15km/h減速した場合、CPU11は、事故および危険運転、換言すれば画像記録の条件を満たしたと判断する。CPU11は、たとえば0.1秒毎に車速パルスによって車速を取得し、規定の速度変化つまり前記急減速の有無を判断する。急減速の有無の判断基準は、たとえば一般道路か高速道路かの道路区分毎にそれぞれ設定可能になっている。したがって事故または危険運転の確率が高い画像を確実にCFカード2に記録することが可能となる。
本件出願人は、Gセンサによって重力加速度を検出して事故および危険運転の画像を記録し、閾値つまりG検出値は走行速度に関係なく一定であるドライブレコーダを開発していた。該ドライブレコーダにおいては、段差またはカーブを走行する場合、低速走行時に比べて高速走行時の方がGセンサ出力値が大きく出る傾向がある。高速走行時を考慮して、G検出値を高く設定すると、低速走行時の事故画像がCFカードに記録されず、低速走行時を考慮してG検出値を低く設定すると、高速走行時にCFカードに不要な画像を記録してしまう。
これに対して本実施の形態に係るドライブレコーダ1では、低速走行時と高速走行時のG検出値を個別に設定できるようにし、走行時の車速に応じて設定すべきG検出値を自動的に判別することによって、前述の問題を解決している。具体的に述べると、センタ機器のPC3の入力手段3aおよび演算手段を用いて、CFカードリーダ4にCFカード2を挿入した状態でG検出値設定モードにする。該G検出値設定モードにおいて、PC3の演算手段は、低速走行時のG検出値および高速走行時のG検出値が入力されたか否かを判断する。「否」との判断でG検出値入力待ち状態となる。各G検出値が入力されたとの判断で、PC3の演算手段は前記各G検出値をCFカード2に記録する制御を行う。
ドライブレコーダ本体7の前記挿入口7aにCFカード2を挿入し、CFカード2に記録された前記各G検出値に基づいて、CPU11は低速走行時に該低速走行時のG検出値を超えたか否かを判断し、高速走行時に該高速走行時のG検出値を超えたか否かを判断する。本実施の形態では、低速走行時と高速走行時の2段階でのG検出値を設定しているが、車速条件は前記2段階に限定されるものではなく、3段階以上に設定して各段階でのG検出値を設定してもよい。この場合には、事故および危険運転をCFカード2に記録させる確率を一層高めることができる。
本件出願人は、画像を記録するパラメータとしてG検出値および検出時間があり、センタ機器のPCの入力手段および演算手段を用いてこれらパラメータの設定を行うドライブレコーダを開発していた。PCの演算手段は、設定されたG検出値および検出時間はCFカードに記録する制御を行う。ドライブレコーダ本体の前記挿入口にCFカードを挿入し、CFカードに記録されたG検出値および検出時間に基づいて、ドライブレコーダを動作させている。事故発生時にGセンサ出力値がどのような波形で出力するか判らず、G検出値および検出時間を設定するときに、どのような値に設定したらよいか、ユーザーにとって判りにくい。
本実施の形態では、センタ機器のPC3によって、「敏感モード」(たとえば0.3GのG検出値)、「標準モード」(たとえば0.4GのG検出値)、「鈍感モード」(たとえば0.5GのG検出値)という簡易選択モードを追加した。このような簡易選択モードを追加することによって、ユーザーは、僅かなGセンサ出力値でも画像をCFカード2に記録したい場合は「敏感モード」を、大きな衝撃だけを記録したい場合は「敏感モード」を、標準的な値で記録したい場合は「標準モード」というように感覚的に選択できるようになっている。したがってG検出値を簡単かつ容易に設定することができる。本実施の形態では、三つのモードを選択可能に構成されているが、二つのモードを選択可能にしてもよいし、四つ以上のモードを選択可能にしてもよい。
以上説明したドライブレコーダ本体7において、閾値超過時点を基準として最大30秒間の記録範囲にわたって、第2SD−RAM29に巡回して記録されたJPEG変換画像、そのGセンサ出力値、位置、時刻および車速情報と、マイク9からの音声情報とをCFカード2に記録する。以下の説明において、閾値超過時点をトリガ発生時という場合がある。トリガ発生前の記録時間Tbef秒に、トリガ発生後の記録時間Taft秒を加えた時間が、1イベントにおける記録範囲の合計時間に相当する。トリガ発生前5秒以上25秒以下、トリガ発生後5秒以上25秒以下の範囲で最大30秒間を設定可能になっている。
本件出願人は、Gセンサ出力値が一定時間連続して設定した閾値を超えた場合に、事故および危険運転と判断して画像等をCFカード2に記録していた。乗用車の場合には、このような検知方法で問題ないが、トラックなどの大型車の場合は事故時にGセンサ出力値があまり大きく検出されないおそれがある。前記閾値を低くすればこの問題を解決できそうに考えられるが、前記閾値を低く設定すると、事故、危険運転以外の通常走行時において、単なる走行時における振動によってGセンサ出力値が閾値を超えてしまい、不要な画像をCFカードに記録してしまう。
これに対して適用車両が運輸トラックである本実施の形態では、事故または急ブレーキ時には、急減速することを利用して、急減速でかつ一定のGセンサ出力値を検出したときに、CPU11は事故および危険運転と判断して画像等をCFカード2に記録する。したがって不要な画像をCFカード2に記録することを可及的に解消することができ、CFカード2の記録容量を確保することができる。
図8は、Gセンサ出力値の閾値判定方法を説明するための図である。CPU11は、Gセンサ26の出力を取得し、閾値Gabeを超えたか否かを判定する。Gセンサ26は、前述のように互いに直交する3軸方向の重力加速度を検出するタイプのセンサであり、車両の前後、左右および上下方向の重力加速度を検出可能に構成されている。先ず、上下方向の重力加速度を検出する軸方向が特定され、次に前後方向の重力加速度を検出する軸方向が特定される。その後、左右方向の重力加速度を検出する軸方向が特定される。
したがって前後方向の衝突事故だけでなく、左右方向の衝突事故をも確実に検出することができ、その原因を分析することが可能となる。閾値判定は、前後方向の重力加速度と、左右方向の重力加速度とのベクトル和で実施する。この閾値は、設定により任意の値に変更可能になっている。
図9は、Gセンサ26から、使用する2軸および向きを自動判断する処理(自動判断i,ii)の手順を示すフローチャートである。図3も参照しつつ説明する。ドライブレコーダ本体7の電源起動時またはドライブレコーダ1の動作中に、たとえばスイッチ10の操作によってオフセットモードに移行する条件で、本処理が開始する。
本処理開始後ステップb1に移行して、CPU11は3軸方向の各Gセンサ出力値をチェックする。次にステップb2に移行して、CPU11は車両の前後方向および左右方向のGセンサ出力軸を確定すべく、Gセンサ出力値の大きい軸つまり縦方向の軸を破棄する。次にステップb3に移行して、オフセット調整を実行し、CPU11は使用する2軸を確定する。このオフセット調整を実行するサブルーチンについては、図14および図17に詳述する。
次にステップb4に移行してCPU11は、前記オフセットモードから通常運用モードに移行させる。次にステップb5に移行して、CPU11は、当該車両の速度が増加しているか否かを判断するため、車速センサ33を介して車速パルスをチェックし、たとえば第2SD−RAM29に一時記憶する。
次にステップb6に移行して、CPU11は車速が増加したか否かを判断する。「否」との判断でステップb6に戻る。車速が増加したとの判断でステップb7に移行し、CPU11は、前記使用する2軸のうち水平4方向のGセンサ出力値をチェックする。各Gセンサ出力値は、たとえば第2SD−RAM29に一時記憶される。
次にステップb8(i)に移行して、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を「−Y」と確定する。「−Y」は、進行方向とは逆向きの方向である。ステップb7の後、ステップb8(ii)に移行する場合もある。該ステップb8(ii)において、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を、進行方向である「Y」と確定する。ステップb8(i)またはステップb8(ii)の後、ステップb9に移行して、CPU11は、水平4方向のうち、確定した方向を除く残余の3方向を確定する。その後本処理を終了する。
図10は、Gセンサ26から、使用する2軸および向きを自動判断する処理(自動判断iii)の手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおいて、前述の図9に示すフローチャートと同一の処理内容のステップには、同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。本フローチャートの開始条件は、前述の図9に示すフローチャートの開始条件と同様とする。
図10に示すように、ステップb4の後、ステップb5(iii)に移行し、先ず進行方向またはその逆方向を確定するため、CPU11は当該車両の図示外のアクセルがオン(ON)か否かを判断する。「否」との判断でステップb5(iii)に戻る。アクセルが「オン」との判断でステップb6(iii)に移行し、CPU11は、トランスミッションのギヤがリバースであるか否かを判断する。「否」との判断でステップb7(iiib)に移行し、CPU11は、前記使用する2軸のうち水平4方向のGセンサ出力値をチェックする。
次にステップb8(iiib)に移行し、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を「−Y」と確定する。次にステップb9(iiib)に移行して、CPU11は、水平4方向のうち、確定した方向を除く残余の3方向を確定する。その後本処理を終了する。
ステップb6(iii)でギヤがリバースであるとの判断でステップb7(iiia)に移行し、CPU11は、使用する2軸のうち水平4方向のGセンサ出力値をチェックする。次にステップb8(iiia)に移行し、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を「Y」と確定する。次にステップb9(iiia)に移行して、CPU11は、水平4方向のうち、確定した方向を除く残余の3方向を確定する。その後本処理を終了する。
図11は、Gセンサ26から、使用する2軸および向きを自動判断する処理(自動判断iv)の手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおいて、前述の図9に示すフローチャートと同一の処理内容のステップには、同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。本フローチャートの開始条件は、前述の図9に示すフローチャートの開始条件と同様とする。
ステップb4の後、ステップb5(iv)に移行し、先ず進行方向またはその逆方向を確定するため、CPU11は、当該車両のブレーキが「オフ」から「オン」に切換わったか否かを判断する。「否」との判断でステップb5(iv)に戻る。ブレーキが「オン」との判断で、ステップb6(iv)に移行し、CPU11は、トランスミッションのギヤがリバースか否かを判断する。「否」との判断でステップb7(ivb)に移行し、CPU11は、前記使用する2軸のうち水平4方向のGセンサ出力値をチェックする。
次にステップb8(ivb)に移行し、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を「Y」と確定する。次にステップb9(ivb)に移行して、CPU11は、水平4方向のうち、確定した方向を除く残余の3方向を確定する。その後本処理を終了する。
ステップb6(iv)でギヤがリバースであるとの判断でステップb7(iva)に移行し、CPU11は、使用する2軸のうち水平4方向のGセンサ出力値をチェックする。次にステップb8(iva)に移行し、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を「−Y」と確定する。次にステップb9(iva)に移行して、CPU11は、水平4方向のうち、確定した方向を除く残余の3方向を確定する。その後本処理を終了する。
図12は、Gセンサ26から、使用する2軸および向きを自動判断する処理(自動判断v)の手順を示すフローチャートである。本フローチャートにおいて、前述の図9に示すフローチャートと同一の処理内容のステップには、同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。本フローチャートの開始条件は、前述の図9に示すフローチャートの開始条件と同様とする。
ステップb4の後、ステップb5(v)に移行し、先ず進行方向またはその逆方向を確定するため、CPU11は、排気ブレーキが「オフ」から「オン」に切換わったか否かを判断する。「否」との判断でステップb5(v)に戻る。排気ブレーキが「オン」との判断で、ステップa6(v)に移行し、CPU11は、使用する2軸のうち水平4方向のGセンサ出力値をチェックする。次にステップb7(v)に移行し、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を「Y」と確定する。次にステップb8(v)に移行して、CPU11は、水平4方向のうち、確定した方向を除く残余の3方向を確定する。その後本処理を終了する。
図13Aおよび図13Bは、Gセンサ26から、使用する2軸および向きを自動判断する処理(自動判断vi)の手順を示すフローチャートである。ドライブレコーダ本体7の電源が起動する条件で本処理が開始する。本処理開始後、ステップc1に移行し、CPU11は、オフセットモードであるか否かを判断する。「否」との判断でステップc6に移行する。オフセットモードであるとの判断でステップc2に移行し、CPU11は、3軸方向の各Gセンサ出力値をチェックする。
次にステップc3に移行して、車両の前後方向および左右方向のGセンサ出力軸を確定すべく、Gセンサ出力値の大きい軸つまり縦方向の軸を破棄する。次にステップc4に移行して、オフセット調整を実行し、CPU11は使用する2軸を確定する。このオフセット調整を実行するサブルーチンについては、図14および図17に詳述する。
次にステップc5に移行し、CPU11は、方向チェックカウンタを「0」にし、方向決定フラグを「0」にして、たとえば第2SD−RAM29に一時記憶させる。次にステップc6に移行し、使用する2軸が確定しているかを確認すべく、CPU11は、方向決定フラグが「0」であるか否かを判断する。「否」との判断で本処理を終了する。方向決定フラグが「0」との判断でステップc7に移行し、CPU11は、使用する2軸の水平4方向のうち最初にGセンサ出力値が大きく出た方向を、たとえば第2SD−RAM29に一時記憶する。
次にステップc8に移行し、ステップc2〜c5の処理をしてきたか否かを判断するため、CPU11は、方向チェックカウンタが「0」であるか否かを判断する。「否」との判断でステップc11に移行する。方向チェックカウンタが「0」との判断でステップc9に移行し、CPU11は、方向チェックカウンタを「1」カウントアップする。次にステップc10に移行し、CPU11は、カウントアップした方向チェックカウンタを、たとえば第2SD−RAM29にバックアップする。その後本処理を終了する。
ステップc11では、一致している方向の方向チェックカウンタをカウントアップするため、CPU11は、前回一時記憶された方向と、今回一時記憶された方向とが一致しているか否かを判断する。「否」つまり方向不一致との判断で、ステップc17に移行し、CPU11は方向チェックカウンタを「1」にする。次にステップc18に移行し、CPU11は、今回一時記憶された方向を、たとえば第2SD−RAM29にバックアップする。
ステップc11において方向一致との判断でステップc12に移行し、CPU11は、方向チェックカウンタを「1」カウントアップする。次にステップc13に移行し、確定する方向の正確さを高めるため、CPU11は、方向チェックカウンタが「5」であるか否かを判断する。本ステップで判断するカウント数は「5」に限定されるものではなく、自然数であれば足りる。ステップc13で「否」、つまり方向チェックカウンタが「5」ではないとの判断で本処理を終了する。ステップc13で方向チェックカウンタが「5」との判断でステップc14に移行し、CPU11は、Gセンサ出力値の最も大きい方向を「−Y」と確定する。
次にステップc15に移行して、CPU11は、水平4方向のうち、確定した方向を除く残余の3方向を確定する。次にステップc16に移行して、CPU11は、方向決定フラグを「1」にして、たとえば第2SD−RAM29に記憶する。その後本処理を終了する。
以上説明したドライブレコーダ1によれば、CPU11は、運転情報等をCFカード2に記録するよう制御する。特に記録開始条件として、Gセンサ26によって検出される当該車両の前後、左右および上下方向の重力加速度の少なくともいずれか一つの出力値を適用する。したがってドライブレコーダ1は、従来技術とは異なり、ドライブレコーダ本体を水平姿勢にし、かつ車両に対するドライブレコーダ本体の向きを特定する必要はない。それ故、従来技術のものより、ドライブレコーダ本体7を車両に迅速に取り付けることが可能となり、取付けの自由度を高めることができる。よって作業工数を可及的に小さくすることができるドライブレコーダを実現することができる。
図14は、スイッチ10によってGセンサ26のオフセット補正をする処理の手順を示すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンとなる条件で本処理が開始する。本処理開始後、ステップf1に移行する。
ステップf1において、CPU11は、スイッチ10から指令情報が与えられたか否かを判断し、与えられたと判断するとステップf2に移行し、与えられてないと判断するとステップf3に移行する。前記指令情報は、RAM13に記憶される運転情報を、CFカード2に書込む動作の指令を表す情報である。ステップf2では、指令情報が与えられたので、CPU11はRAM13に記憶される運転情報を、CFカード2に書込むように各部を制御し、ステップf1に戻る。
ステップf3では、CPU11は、スイッチ10から特定情報が与えられたか否かを判断し、与えられたと判断するとステップf4に移行し、与えられていないと判断するとステップf1に戻る。前記特定情報は、Gセンサ26の前後および左右方向のオフセットを補正することを表す情報である。ステップf4では、特定情報が与えられたので、CPU11は、前述したようにGセンサ26の前後および左右方向のオフセットを補正し、ステップf1に戻る。
以上説明した本実施の形態に係るドライブレコーダ1によれば、第2SD−RAM29に複数の運転情報、具体的には画像、Gセンサ出力値、位置、時刻、車速および音声などを巡回して記録する。前述したようにGセンサ26および車速などのトリガに基づいて、画像、Gセンサ出力値、位置、時刻、車速および音声をCFカード2に記録する。
CPU11は、指令情報が特定情報であると判断すると、Gセンサ26のオフセットを補正する。換言すると、Gセンサ26の初期値を設定する。したがってスイッチ10は、本来、書込む動作を指令する指令情報を入力するスイッチング手段であるが、スイッチ10によって入力される指令情報が特定情報であると、前述のようにGセンサ26の初期値が設定される。これによってスイッチ10を用いて、Gセンサ26の初期値を設定することができる。したがってドライブレコーダ1の構成を簡略化するために、Gセンサ26の初期値を設定するための専用の手段を設けることなく、またLCD操作器27をLCD操作器コネクタ21に接続して、ドライブレコーダ本体7を設定、検査するためのメンテナンスモードに移行することなく、スイッチ10を用いてオフセット補正を容易に設定することができる。これによって利便性が向上する。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るドライブレコーダ1Aに関して、図3も参照しつつ説明する。図15は、本発明の第2の実施の形態に係るドライブレコーダ1Aの斜視図である。図16は、ドライブレコーダ1Aを示す正面図である。本実施の形態に係るドライブレコーダ1Aは、入力手段としてのメモリスイッチ60と、電源手段としての電源スイッチ61とをさらに備える点に特徴を有する。前述の第1の実施の形態に係るドライブレコーダ1では、たとえば電源起動信号に基づいて、電源部25が立ち上がるように構成されているが、本発明の第2の実施の形態に係るドライブレコーダ1Aでは、電源スイッチ61を操作することによって、CPU11に電源オン情報が与えられる。CPU11は、電源スイッチ61からの起動情報である電源オン情報に基づいて、電源部25を立ち上げるように構成される。電源スイッチ61は、CPU11に電気的に接続される。電源スイッチ61は、ドライブレコーダ1Aを起動するための電源オン情報を入力可能である。
CPU11は、判断手段としての機能を有し、メモリスイッチ60によって入力される指令情報と、電源スイッチ61によって入力される電源オン情報とが同時に入力されたか否かを判断する。指令情報は、前述したようにメモリスイッチ60を通常のスイッチ操作することによって与えられる情報であって、予め定める時間、たとえば1秒間内に、予め定める回数、たとえば1回操作されたことに基づく情報である。電源オン情報は、前述したように電源スイッチ61を通常のスイッチ操作することによって与えられる情報であって、予め定める時間、たとえば1秒間内に、予め定める回数、たとえば1回操作されたことに基づく情報である。
またCPU11は、設定手段としての機能を有し、メモリスイッチ60から与えられる指令情報と電源スイッチ61から与えられる電源オン情報とが同時に入力されたと判断すると、前述の第1の実施の形態と同様に、Gセンサ26が検出する値を、予め定める初期値に設定する。ここで同時とは、完全に同時刻に各情報が与えられる場合に限らず、CPU11に指令情報が与えられる期間と、電源オン情報が与えられる期間との少なくとも一時期が重複していればよい。
図17は、メモリスイッチ60および電源スイッチ61によってGセンサ26のオフセット補正をする処理の手順を示すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンとなる条件で本処理が開始する。本処理開始後、ステップg1に移行する。
ステップg1において、CPU11は、メモリスイッチ60から指令情報が与えられたか否かを判断し、与えられたと判断するとステップg2に移行し、与えられていないと判断するとステップg4に移行する。
ステップg2において、CPU11は、指令情報が与えられている期間に、電源スイッチ61から電源オン情報が与えられたか否かを判断し、与えられた場合はステップg3に移行し、与えられていない場合はステップg6に移行する。
ステップg6では、指令情報だけが与えられたので、CPU11は、RAM13に記憶される運転情報を、CFカード2に書込むように各部を制御し、ステップg1に戻る。ステップg3では、指令情報と電源オン情報とが同時に与えられたので、CPU11は前述したようにGセンサ26の前後および左右方向のオフセットを補正し、ステップg1に戻る。
ステップg4では、CPU11は電源スイッチ61から電源オン情報が与えられたか否かを判断し、与えられたと判断するとステップg5に移行し、与えられていないと判断するとステップg1に戻る。ステップg5では、電源オン情報だけが与えられたので、電源部25を立ち上げ、ステップg1に戻る。
以上説明した本発明の第2の実施の形態に係るドライブレコーダ1Aによれば、CPU11は、メモリスイッチ60から与えられる指令情報と電源スイッチ61から与えられる電源オン情報とが同時に入力されたと判断すると、Gセンサ26が検出する値を、予め定める初期値に設定する。メモリスイッチ60は、本来、書込む動作を指令する指令情報を入力するスイッチング手段であり、電源スイッチ61は、本来、ドライブレコーダ1(1A)を起動する電源オン情報を入力する手段であるが、各スイッチ60,61によって入力される情報が同時に入力されると、前述のようにGセンサ26の初期値が設定される。これらのスイッチ60,61は、通常の操作では同時に入力することがないので、このような特殊な操作によって、Gセンサ26の初期値を設定することができる。
したがってドライブレコーダ1Aの構成を簡略化するために、Gセンサ26の初期値を設定するための専用の手段を設けることなく、またLCD操作器27をLCD操作器コネクタ21に接続して、ドライブレコーダ本体7を設定、検査するためのメンテナンスモードに移行することなく、メモリスイッチ60および電源スイッチ61を用いてオフセット補正を容易に設定することができる。これによって利便性が向上する。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るドライブレコーダ1Bに関して説明する。ドライブレコーダ1Bは、前述の第1の実施の形態に係るドライブレコーダ1から、GPSに関する構成を除く残余の構成によって実現される。位置情報および時間情報は、GPSに関する構成によって取得することができるが、これらの構成がない場合は、運転手が時間情報を設定する必要がある。本発明の第3の実施の形態では、メモリスイッチ60は、RAM13に記憶される運転情報を、CFカード2に書込む動作を指令する指令情報を入力可能であり、予め定める操作をすることによって、CPU11によって計時されている時刻を補正することができる。
CPU11は、計時手段としての機能を有し、時刻を計時している。したがってCPU11によって計時される時間情報に基づいて、画像の撮像時間などが決定される。またCPU11は、判断手段としての機能を有し、メモリスイッチ60によって入力される指令情報が、予め定める特定情報か否かを判断する。指令情報は、メモリスイッチ60を通常のスイッチ操作することによって与えられる情報であって、予め定める時間、たとえば1秒間内に、予め定める回数、たとえば1回操作されたことに基づく情報である。特定情報は、メモリスイッチ60を通常ではしない特別なスイッチ操作することによって与えられる情報であって、予め定める時間、たとえば1秒間内に、予め定める回数、たとえば2回操作されたことに基づく情報である。また、たとえば特定情報は、予め定める時間たとえば5秒間継続して、メモリスイッチ60が操作されたことに基づく情報である。したがってCPU11は、メモリスイッチ60から与えられる指令情報が、特定情報であるか否かを判断することができる。
またCPU11は、設定手段としての機能を有し、メモリスイッチ60から与えられる指令情報が特定情報であると判断されると、CPU11が計時する時刻を予め定める時刻に設定する。したがってメモリスイッチ60を前述のように特別な操作をすることによって、時刻が補正される。たとえば、現在時刻が(T−1)時30分からT時29分までの期間(Tは、0〜23までの整数)に、前述の特定情報がCPU11に与えられると、現在時刻をT時00分00秒に設定するように構成される。このように設定されている場合、たとえば現在時刻が11時38分のとき、メモリスイッチ60によって特定情報を入力することによって、現在時刻が12時00分00秒に設定される。
また、たとえば現在時刻が(T−1)時45分からT時14分までの期間に、前述の特定情報がCPU11に与えられると、現在時刻をT時00分00秒に設定し、現在時刻がT時15分からT時44分までの期間に、前述の特定情報がCPU11に与えられると、現在時刻をT時30分00秒に設定するように構成してもよい。このように設定されている場合、たとえば現在時刻が11時38分のとき、メモリスイッチ60によって特定情報を入力することによって、現在時刻が11時30分00秒に設定される。また、たとえば現在時刻が12時02分のとき、メモリスイッチ60によって特定情報を入力することによって、現在時刻が12時00分00秒に設定される。
図18は、メモリスイッチ60によって時刻補正をする処理の手順を示すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンとなる条件で本処理が開始する。本処理開始後、ステップh1に移行する。
ステップh1において、CPU11は、メモリスイッチ60から指令情報が与えられたか否かを判断し、与えられた場合はステップh2に移行し、与えられていない場合はステップh3に移行する。ステップh2では、指令情報が与えられたので、CPU11はRAM13に記憶される運転情報を、CFカード2に書込むように各部を制御し、ステップh1に戻る。
ステップh3では、CPU11は、メモリスイッチ60から特定情報が与えられたか否かを判断し、与えられたと判断するとステップh4に移行し、与えられていないと判断するとステップh1に戻る。ステップh4では、特定情報が与えられたので、CPU11は、前述したように時刻を補正し、ステップh1に戻る。
以上説明した本発明の第3の実施の形態に係るドライブレコーダ1Bによれば、CPU11は、指令情報が特定情報であると判断すると、時刻を補正する。メモリスイッチ60は、本来、書込む動作を指令する指令情報を入力する手段であるが、メモリスイッチ60によって入力される指令情報が特定情報であると、前述のように現在時刻が予め定める時刻に設定される。これによってメモリスイッチ60を用いて、現在時刻を設定することができる。
したがってドライブレコーダ1Bの構成を簡略化するために、GPSに関連する構成がなく現在時刻をいわば自動的に補正する機能が無い場合であっても、時刻を設定するための専用のスイッチ手段を設けることなく、またLCD操作器27をLCD操作器コネクタ21に接続して、ドライブレコーダ本体7を設定、検査するためのメンテナンスモードに移行することなく、メモリスイッチ60を用いて時刻を容易に設定することができる。これによって利便性が向上する。
次に、本発明の第4の実施の形態に係るドライブレコーダに関して説明する。本実施の形態は、第2の実施形態に係るドライブレコーダ1Aに類似しており、電源スイッチ61をさらに備える点に特徴を有する。
CPU11は、判断手段としての機能を有し、メモリスイッチ60によって入力される指令情報と、電源スイッチ61によって入力される電源オン情報とが同時に入力されたか否かを判断する。指令情報は、前述したようにメモリスイッチ60を通常のスイッチ操作することによって与えられる情報であって、予め定める時間、たとえば1秒間内に、予め定める回数、たとえば1回操作されたことに基づく情報である。電源オン情報は、前述したように電源スイッチ61を通常のスイッチ操作することによって与えられる情報であって、予め定める時間、たとえば1秒間内に、予め定める回数、たとえば1回操作されたことに基づく情報である。
またCPU11は、設定手段としての機能を有し、メモリスイッチ60から与えられる指令情報と電源スイッチ61から与えられる電源オン情報とが同時に入力されたと判断すると、前述の第3の実施の形態と同様に、CPU11が計時する時刻を予め定める時刻に設定する。
図19は、メモリスイッチ60および電源スイッチ61によって時刻補正をする処理の手順を示すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンとなる条件で本処理が開始する。本処理開始後、ステップi1に移行する。
ステップi1において、CPU11は、メモリスイッチ60から指令情報が与えられたか否かを判断し、与えられたと判断するとステップi2に移行し、与えられていないと判断するとステップi4に移行する。ステップi2において、指令情報が与えられている期間に、電源スイッチ61から電源オン情報が与えられたか否かを判断し、与えられた場合はステップi3に移行し、与えられていない場合はステップi6に移行する。
ステップi6では、指令情報だけが与えられたので、RAM13に記憶される運転情報を、CFカード2に書込むように、各部を制御し、ステップi1に戻る。ステップi3では、指令情報と電源オン情報とが同時に与えられたので、前述したように時刻を補正し、ステップi1に戻る。
ステップi4では、電源スイッチ61から電源オン情報が与えられたか否かを判断し、与えられた場合、ステップi5に移行し、与えられていない場合、ステップi1に戻る。ステップi5では、電源オン情報だけが与えられたので、電源部を立ち上げ、ステップi1に戻る。
以上説明した本発明の第4の実施の形態に係るドライブレコーダによれば、CPU11は、メモリスイッチ60から与えられる指令情報と電源スイッチ61から与えられる電源オン情報とが同時に入力されたと判断すると、CPU11が計時する時刻を予め定める時刻に設定する。メモリスイッチ60は、本来、書込む動作を指令する指令情報を入力する手段であり、電源スイッチ61は、本来、ドライブレコーダを起動する電源オン情報を入力する手段であるが、各スイッチ60,61によって入力される情報が同時に入力されると、前述のように計時する時刻を予め定める時刻に設定される。これらのスイッチ60,61は、通常の操作では同時に入力することがないので、このような特殊な操作によって、時刻を予め定める時刻に設定することができる。
したがってドライブレコーダの構成を簡略化するために、GPSに関連する構成がなく現在時刻をいわば自動的に補正する機能が無い場合であっても、時刻を設定するための専用のスイッチ手段を設けることなく、またLCD操作器27をLCD操作器コネクタ21に接続して、ドライブレコーダ本体7を設定、検査するためのメンテナンスモードに移行することなく、メモリスイッチ60および電源スイッチ61を用いて時刻を容易に設定することができる。これによって利便性が向上する。
次に、本発明の第5の実施の形態に係るドライブレコーダに関して説明する。本発明の第5の実施形態に係るドライブレコーダは、前述のドライブレコーダ1Bと類似しており、GPSに関する構成を除く残余の構成によって実現される。本実施の形態のドライブレコーダは、前述したように、ACC信号がオフでかつ、車速に予め搭載される運行管理の制御装置の第2電源部がオフ(立ち下がり信号)になっても、データ記録を実施できるように、ソフトウェアによって終了制御するようになっている。この終了制御のとき、CPU11は、ACC信号がオフとなった時刻(以下「オフ時刻」という場合がある)をCFカード2に記録するように制御する。
前記センタ機器は、CFカード2に記録された情報を解析可能かつ出力可能に構成されている。センタ機器は、CFカード2に記録された情報を解析するために、CFカード2に記録される情報を読出し手段であるCFカードリーダ4によって読出す場合、CFカード2に記憶される最新のオフ時刻と、センタ機器が計時している現在時刻とを比較する。センタ機器は、この比較結果、オフ時刻から予め定める時間、たとえば24時間経過している場合、予め定める時間経過していることをディスプレイ5などによって報知する。ディスプレイ5は、たとえば「車両番号*に設定している車載装置の時刻設定が正しいか確認して下さい。」という文章を表示する。ただし前記「*」は整数である。
次に、本発明の第5の実施の形態に係るドライブレコーダの動作についてフローチャートを用いて説明する。図20は、オフ時刻を記録する処理の手順を示すフローチャートである。アクセサリー電源から供給されるACC信号がオンとなる条件で本処理が開始する。本処理開始後、ステップj1に移行する。
ステップj1では、CPU11は、ACC信号がオフとなったか否かを判断し、オフとなった場合、ステップj2に移行し、オフとなっていない場合、ステップj1を繰り返す。ステップj2では。ACC信号がオフとなったので、CPU11は、ACC信号がオフとなったオフ時刻をCFカード2に書込むように制御し、ステップj1に戻る。このように処理されることによって、ACC信号がオフとなった時刻が、CFカード2に書込まれる。
図21は、時刻補正を促す処理の手順を示すフローチャートである。図1も参照しつつ説明する。本処理は、センタ機器のPC3の演算手段によって実行される。PC本体の電源投入状態で、本処理が開始される。本処理開始後、ステップk1に移行する。
ステップk1では、前記演算手段は、CFカード2がCFカードリーダ4に挿入された否かを判断し、挿入されたと判断するとステップk2に移行し、挿入されていないと判断するとステップk1に戻る。
ステップk2では、前記演算手段は、CFカード2に記録される最新のオフ時刻を読出し、ステップk3に移行する。ステップk3では、前記演算手段は、センタ機器が計時している現在時刻と、最新のオフ時刻とを比較し、オフ時刻から予め定める時間、たとえば24時間経過している場合、ステップk4に移行し、経過していない場合、ステップk1に戻る。ステップk4では、オフ時刻から予め定める時間経過していることを報知し、ステップk1に戻る。このように処理されることによって、CFカード2に記録される最新のオフ時刻から、予め定める時間経過している場合に、経過していることをセンタ機器の操作者は認識することができる。
以上説明した本発明の第5の実施の形態に係るドライブレコーダによれば、CPU11は、ACC信号がオフとなったオフ時刻を、CFカード2に記録する。したがって本発明の第5の実施の形態に係るドライブレコーダの構成を簡略化するために、本実施の形態のドライブレコーダが計時している時刻を報知する手段がない場合であっても、運転手はドライブレコーダが計時している時刻をCFカードに記録されるオフ時刻に基づいて確認することができる。
またセンタ機器は、CFカード2に記録される最新のオフ時刻から、センタ機器が計時する時刻が、予め定める時間経過している場合、経過していることを報知する。車両を停止する時刻がある程度一定の場合、ACC信号がオフとなったオフ時刻はある程度一定であり、またCFカード2をセンタ機器に読込ませる時間も一定である場合が多いので、このような場合に、前述のようにオフ時刻と現在時刻とを比較することによって、第5の実施の形態のドライブレコーダが計時する時刻が現在時刻からずれていることを、認識することができる。
したがって本発明の第5の実施の形態に係るドライブレコーダの構成を簡略化するために、GPSに関連する構成がなく現在時刻をいわば自動的に補正する機能が無い場合であっても、時刻のずれをいわば自動的に認識することができるので、このような時刻のずれに基づいて、時刻の補正を運転手に促すことができる。これによって利便性が向上する。
前述の第1〜第4の実施の形態では、メモリスイッチ60によってGセンサのオフセット補正と、時刻補正とのいずれか一方が実現されているが、いずれか一方に限ることはなく、2つの補正をできるように構成してもよい。たとえばオフセット補正のための特定情報と、時刻補正のための特定情報とが互いに異なるように設定することによって、2つの補正を1つのメモリスイッチ60によって補正することができる。
またメモリスイッチ60および電源スイッチ61によって特定情報が入力された場合、特定情報が入力されたことを運転手が認識できるように、発光ダイオードの発光形態を個別に変更するように設定することが好ましい。これによって運転手は、特定情報を入力することができたか否かを発光ダイオードの発光形態によって認識することができ、誤操作することを防ぐことができる。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加した形態で実施することも可能である。