JP2008031242A - ガスバリア材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品や医薬品、各種生活関連用品や各種電子機器などの包装に適した酸素および水蒸気の透過に対して高度なガスバリア性をもったガスバリア材の製造方法に関する。
【解決手段】
高分子樹脂基材上の少なくとも片面に、分子内に1個のトリアルコキシシルル基と(メタ)アクリル基を1から3個含む(メタ)アクリル化合物からなる放射線硬化樹脂層とガスバリア層を順次積層形成するガスバリア材の製造方法であって、
前記放射硬化線樹脂層の原材料を真空中でマイクロ波プラズマに曝すことによって放射硬化線樹脂層を硬化形成することを特徴とするガスバリア材の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品や医薬品、各種生活関連用品や各種電子機器などの包装に適した酸素および水蒸気の透過に対して高度なガスバリア性をもったガスバリア材の製造方法に関する。
一般的に食品や、日用品、医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制し、それらの機能や性質を包装中においても保持できるようにするため、そこを透過する酸素、水蒸気等の内容物を変質させる気体による影響を防止する必要がある。
そして、これらを遮断するガスバリア性を備えていることが求められている。通常のガスバリア性を有する包装材料としては、高分子の中で、ガスバリア性に優れている塩化ビニリデン樹脂フィルムまたは塩化ビニリデンをコーティングしたフィルム等がよく用いられてきた。
しかし、これらは高度なガスバリア性が要求される包装に用いることはできず、また塩素を構造内に含むことから、その焼却過程において有毒な塩素系ガスを排出するため環境衛生上好ましくなく、かつ塩素ガスによって焼却炉の腐食などをもたらす問題もあった。
そのため、このような高度なガスバリア性が要求される場合には、アルミニウム等の金属箔等をガスバリア層として用いた包装材料を用いざるを得なかった。
ところが、アルミニウム等の金属箔等を用いた包装材料は、温度や湿度の影響が殆どなく高度なガスバリア性を持つ反面、包装材料を透視して内容物を確認することができないという問題がある。
また、使用後、廃棄のする際には不燃物として処理しなければならない。そして、包装されている収納物の中に異物等が混入していないかを検査する際に、金属探知器が使用できない。
さらに、マイクロ波が通らないために電子レンジ食品類などには使用できないという欠点がある。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、プラスチックフィルムからなる基材層に酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機化合物の蒸着薄膜層を積層してなる蒸着フィルムが開発されている。
これらのフィルムはアルミ箔に比べて透明であるメリットを有するが、ガスバリア性が不充分である上に柔軟性に劣る。このため、引っ張りなどの応力が加わると無機化合物に割れ(クラック)が発生しガスバリア性が低下することから、ガスバリア材としての用途が制限されていた。
また、ガスバリア性と柔軟性を両立のために、基材フィルムの一方に珪素酸化物などの透明無機化合物層と、ポリ塩化ビニリデン系共重合体などのバリア性樹脂コーティング層とが形成されたガスバリア性フィルムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
前記ガスバリア性フィルムはガスバリア性および柔軟性は向上するものの、樹脂コーテ
ィング層に塩素を含んでいるため環境衛生の問題を回避することができない。
また、無機化合物からなるガスバリア層を高分子樹脂基材へ付着させるプロセスとしては、生産性や高分子樹脂基材への熱的なダメージの低減を考慮すると物理的堆積法(PVD法)が適している。
特に、透明性を有する酸化珪素膜や酸化アルミニウム膜を高速で形成する場合には、電子線加熱方式による巻取式蒸着による成膜手法が好適とされる。
また、電子線加熱方式は蒸着物のみを加熱し不純物の混入を最小限に抑えることが可能である上に、蒸発速度も速く高速巻取が可能であり生産性に優れている。しかし真空蒸着は蒸着物のもつエネルギーが低いために高分子樹脂との密着低く、界面で剥離するといった問題があった。
これらの問題改善のために、有機物を硬化させたアンカーコート層の上に無機化合物を積層した透明導電性フィルムも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
この透明導電性フィルム110は図3に示すようにプラスチックフィルム111に有機樹脂層112と酸化ケイ素層113と透明導電性薄膜114が順次積層されている。
また、アンカー層として用いる有機物の硬化手段としては、熱、電子線、紫外線がある。前記熱による硬化は重合速度が遅く、また乾燥オーブンが必要となり、多大なスペースと設備コストが必要となる。そして、基材に熱がかかり、カールしたりダメージを受けたりする。
また、電子線で硬化させる手法は重合速度が速く、光開始剤を必要としないメリットを持つが、硬化後の基材には余剰電子による帯電が生じる。このため、成膜装置内の塵埃を引き付ける場合が多々ある。
そして、巻取搬送中にガイドロールに擦れて剥離する際に放電し、膜や基材に欠陥を与える場合が多い。
また、紫外線にて硬化させる手法は帯電の影響は少なく、熱による重合に比べて硬化は早いメリットを持つが、光源からの放射熱によって基材樹脂がダメージを受ける。そして、光重合開始剤が必要となり、層内に未硬化の重合開始剤が残留する場合がある。
さらに、大気中で塗工を行った場合は、大気中に含まれる酸素によって硬化不良が発生し、また窒素を充満させた雰囲気下にて硬化した場合も、塗工雰囲気中に含まれる少量の塵埃や酸素・水分によって、硬化不良が起。そして、塵埃物の混入による膜欠陥が生じるという問題点を抱えている。
これらの問題を回避するために、真空蒸着釜中でアクリル樹脂膜からなる有機物被覆膜を高分子樹脂基材表面上に形成する。そして、基材上に付着しているサブミクロンオーダーの塵埃を埋め、その表面上に他のガイドローラなどに接触させる前に無機化合物を成膜し、高性能なガスバリア材を作成する方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
また、真空中で有機物被覆物の製造方法としては、液状の有機物を加熱基板上に噴霧することで瞬時に気化させ、次いで冷却された被被覆物表面に凝縮・固化させる、いわゆるフラッシュ蒸着法(例えば、特許文献4または特許文献5参照。)が知られている。
この方法は気相を介する方法であるため、基材に塗工ヘッドが直接触れることなく有機膜を薄く均一に高純度で塗布することができる。
さらに、電子線や紫外線を照射して架橋させることで乾燥工程が不要となり、基材に対する熱的なダメージを与えずに有機物被覆物を製造できる方法として極めて有望なプロセスの一つである。
以下に先行技術文献を示す。
特開平7−80986号公報 特開平9−29885号公報 特許第3101682号公報 特許第2530350号公報 米国特許第4954371号明細書
しかしながら、従来の湿式塗布方式に比べて加熱基板上で有機物材料を瞬時に噴霧・蒸発・凝集できる材料に限定され、また溶剤による希釈ができない。そして、高分子材料や高粘度材料、分解温度と蒸発温度が近い材料や高沸点材料には応用できない欠点がある。
また、真空中での硬化手法としては、電子線によるものと紫外線によるものが開示されている。電子線にて有機膜を硬化させる場合は、基材を帯電させる問題点の他に、電子線硬化装置によるマイクロアークの問題を無視できない。
特に、食品包装材料や医療薬品包材に転用するためには、未硬化膜の管理が必要となり、これらの問題を取り除くことは現時点では極めて困難な状況にある。
また、高圧水銀ランプからなる紫外線照射ランプを真空中に配置することは照射時に生じるランプからの発熱を放熱させる手段と、紫外線を真空中に伝播させるための伝播窓部の温度管理が必要となる。
すなわち、極度に冷却されている場合、冷却した窓表面に蒸着物が凝集してしまうし、また窓部が冷却されていない場合、プロセス中に生じた発熱により、窓部が昇温する。そして、大気開放時に急速冷却されることで窓部が割れたりする恐れがある。
また、紫外線で硬化させるためには光反応開始剤の配合が必要であるが、これらは熱によって容易に分解したり、蒸発したりするために、他の有機材料と混合してフラッシュ蒸着させると蒸発器内の圧力変動が生じる。そして、安定に蒸気を供給することが困難となり、巻取成膜においては流れ方向での膜厚ムラが生じてという問題がある。
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、真空中において有機薄膜を形成する際に、その硬化手段としてマイクロ波による放電を用いることで、帯電やマイクロアークなどの異常放電を回避し、且つ、マイクロ波を伝播する窓部周辺に真空中に局所的に排気できる複合分子ポンプにより装置内の圧力を一定に管理
することで窓部周辺に放電が集中することを防ぐ。また、ホーンアンテナ部近傍に、光反応開始剤と不活性ガスを供給しプラズマを発生させることで指向性のあるプラズマを基材上に凝集された有機被膜上に照射させることができ、異常放電もなく真空中で安定した硬化促進を行える方法を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
高分子樹脂基材上の少なくとも片面に、分子内に1個のトリアルコキシシルル基と(メタ)アクリル基を1から3個含む(メタ)アクリル化合物からなる放射線硬化樹脂層とガスバリア層を順次積層形成するガスバリア材の製造方法であって、
前記放射硬化線樹脂層の原材料を真空中でマイクロ波プラズマに曝すことによって放射硬化線樹脂層を硬化形成することを特徴とするガスバリア材の製造方法である。
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記放射線硬化樹硬化脂層とガスバリア層が同一真空装置内で大気に曝されることなく順次積層形成することを特徴とする請求項1記載のガスバリア材の製造方法である。
本発明のガスバリア材の製造方法は以上の構成からなるので高分子樹脂基材上に安定して、均一な積層膜が形成される。
また、積層形成が同一真空装置内で、且つ、重合をすべてプラズマで行なうので、品質が安定した形成膜が効率良く形成できる。
また、積層形成がマイクロ波による重合・硬化であるため、硬化を促進させるエネルギ
本発明のガスバリア材の製造方法を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。図1は本発明のガスバリア材の製造方法に用いられる真空成膜装置の一例の概略を示す概略図である。また、図2は本発明のガスバリア材の製造方法で積層形成された一例の断面を示す断面図である。
本発明のガスバリア材の製造方法に用いられる真空成膜装置は図1に示すように真空成膜装置(1)に真空ポンプ(2a)(2b)が接続されている。そして、内部に冷却ロール(3)と、その上部に巻き出しロール(4)と、巻き取りロール(5)が形成されている。
前記冷却ロール(3)周囲に放射線硬化樹脂層A樹脂蒸着装置(6)と、放射線硬化樹脂層Aを硬化させるためのマイクロ波発振装置および整合回路(10)が形成されている。
そして、マイクロ波発振装置および整合回路(10)は大気中で電磁波を真空中に伝播させる石英ガラス(9)と、石英ガラス近傍をプラズマが励起しにくい圧力帯域(10−2Pa以下)に維持し、電磁波のエネルギーが集中するのを避けるための複合分子ポンプ(8)と、電磁波に指向性を持たせるための電磁ホーンアンテナ(7)が連設されている。
また、電磁ホーン周辺にてプラズマが安定して励起されるために、不活性ガスあるいは、光重合開始剤を減圧蒸発させた蒸気を導入し、アンテナ出口の圧力帯域を1Pa近辺になるように調整するためのガス導入装置(17)が形成されている。
また、真空成膜装置は、遮蔽版(11)、ガスバリア層蒸着用電子銃(12)と、坩堝(13)と、偏向コイル(14)と、さらに放射線硬化樹脂層A樹脂供給装置(15)と、ガスバリア層酸素供給装置(16)と、放射線硬化樹脂層Aガス供給装置(17)と、を形成している。そして、真空ポンプ(2a、2b)で、それぞれ、各プロセスに適した真空度に調整する。
上記は放射線硬化樹脂層Aと、ガスバリア層と、を順次積層してなるガスバリア材のそれぞれの層を真空蒸着法により形成する製造装置の例を説明したが、これに限るものではない。そして、以下に、工程を説明する。
まず、巻き出しロール(4)に高分子樹脂基材(101)の原反を装着する。そして、冷却ロール(3)を介して巻き取りロール(5)に至る原反搬送パスラインを形成する。
前記高分子樹脂基材(101)上に放射線硬化樹脂層A(102)を設ける。また、高分子樹脂機材(101)は特に限定するものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルスルフォン、シクロオレフィン系の材料や、ポリ乳酸フィルム等の生分解性プラスチックフィルム等が用いられる。これらのフィルムは延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
また、前記高分子樹脂基材には帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等の各種添加剤を含有していてもよく、他の層が積層される側の表面には密着性を良くするために、コロナ処理、低温プラズマ処理、薬品(鹸化)処理等のいずれかの処理を施してもよい。
また、該放射線硬化樹脂層A(102)は、酸化珪素薄膜や酸化アルミニウム薄膜などの無機化合物からなるガスバリア層の下に形成することにより、高分子基材(101)とガスバリア層(103)との層間の密着性を向上させる、いわゆるアンカー層となる物である。
そして、減圧下での蒸着による硬化型樹脂の塗工は、モノマーやオリゴマーの蒸気圧や蒸発温度を考慮して、適切に選定されなければならないが、特に限定されるものではなく、分子内に1個のトリアルコキシシリル基と、(メタ)アクリル基を1〜3個含めば良い。
また、(メタ)アクリル基が1個の時は、無機化合物層とより高い密着性を得ることができる。さらに、2、3個の時は架橋密度が高くなることにより、放射線硬化樹脂層Aの膜強度を高めることができるが、同時に密着性が低下する傾向がある。
中でも好適とされる分子量が150〜600のトリアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、トリメトキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシプロピルメタアクリレートなどや、その他のシランカップリング剤と、(メタ)アクリル酸を反応せしめて得られる化合物などを使用することができる。
また、該放射線硬化樹脂層Aには、強度、屈曲性、擦傷性等目的に応じて単官能(メタ)アクリレートや、二官能以上の(メタ)アクリル化合物を配合することもできる。例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する化合物、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエイチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシル基を有する化合物、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアクリル単官能化合物や、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレンジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルジ(メタ)アクリレート、ジメチロルトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等のアクリル2官能化合物、二官能エポキシ(メタ)アクリレート等、二官能ウレタン(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリル化合物等の二官能(メタ)アクリル化合物が挙げられる。
上述した材料を適宜選定し、所定の厚さに紫外線硬化樹脂A層を塗布した後、マイクロ波により励起されたプラズマに曝して重合させる。
前記重合においてプラズマが発生させる領域を電磁ホーン近傍に規定させるために、複合分子ポンプ(8)を配置し、導波管内を減圧することで、損失なくアンテナ開口部にまで電磁エネルギーが伝播される。
そして、電磁ホーンアンテナ近傍にガス供給装置(17)を設け、ガスを供給することで電磁波によりガスが励起されてプラズマ化する。
このときのガス種としては、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体を用いることが望ましいが、放射線硬化樹脂層Aの重合を効率良く進行させるために、光重合開始剤を配合してもよい。
前記光重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、アセトフェノン誘導体等を挙げることができる。例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチルー1−フェニルプロパンー1−オン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパンー1−オン、2,2−ジメトキシー1,2−ジフェニルエタンー1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシー2−メチル1−プロパンー1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノー1−(4−モルフォリノフェニル)ブタンー1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が使用できる。
本発明のガスバリア材の製造方法に用いられる光重合開始剤の配合量は、放射線硬化樹脂層A100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは1〜7重量部、更に好ましくは1〜5重量部とされる。
次にガスバリア層蒸着用電子銃(12)から電子線を坩堝(13)内の蒸着原料に照射して、蒸着原料を蒸気化させガスバリア層(103)を形成する。そして、ガスバリア層
(103)については、特に限定されるものではないが、酸化珪素層や酸化アルミニウム層などの酸化物蒸着薄膜層が透明性とガスバリア性に優れる。
前記酸化物蒸着薄膜層を形成する場合は、蒸着の際に酸素ガスなどの酸化ガスをガスバリアガス供給装置(16)から吹き込むことにより達成できる。
また、蒸着層の膜質の向上を狙った、低温プラズマやイオンビームによるアシスト反応蒸着法を用いることも可能である。そして、ガスバリア層(103)の厚さは5〜300nm、より好ましくは5〜100nmである。
また、膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られ難いことや層厚が十分ではないことがある。そして、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合があり、膜厚が300nmを越える場合は蒸着薄膜層に可撓性を保持させることが難しく、折り曲げや引っ張りなどの外部応力により亀裂を生じやすくなる。
以下に、本発明の具体的実施例を挙げて、さらに詳しく説明するが、それに限定されるものではない。
<実施例1>
厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(101)を真空成膜装置(1)の巻き出しロール(4)に装着し、真空成膜装置(1)内を 5.0×10-3Paまで減圧した。
そして、巻取速度を100m/分にて、冷却ロール(3)に密着させて走行させ、ポリエチレンテレフタレートフィルム(101)上にアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM5103)を放射線硬化樹脂層A樹脂蒸着装置(6)を用いて放射線硬化樹脂層Aを硬化後の膜厚を0.3μmとなるように制御した。
また、硬化方法としては、周波数2.45GHz、電力5KWの電磁波を電源(10)より供給し、真空中に石英ガラス(9)を通して伝播させた。また、複合分子ポンプ(8)よりホーン内の圧力を10-3Pa台にまで減圧させた。そして、ホーンの出口近傍には、ガス供給装置(17)からアルゴンガスを150sccmと、光硬化剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー製イルガキュア184)をタンクの中で加熱、蒸発させ100sccmと共に供給し、ホーン出口近傍の圧力を1Pa近傍になるように制御した。
続いて、ガスバリア層(103)を設けた。ガスバリア層蒸着用電子銃(12)に30KV、15Kwの電力を供給し、蒸着材料である金属アルミニウムに照射させて蒸発させた。酸素ガスを導入して厚さ20nmの酸化アルミニウムを積層した。この時の金属アルミニウムの酸化材として酸素ガスをガスバリアガス供給装置(16)よりアルミニウム蒸発速度に対してモル比にて0.4の割合で導入した。
<比較例1>
放射線硬化樹脂層A(102)の硬化をマイクロ波ではなく、真空中に配置された電子線硬化装置にて行った以外は実施例1と同じ条件にてガスバリア材を作成した。そして、加速電圧は10kVであった。
<比較例2>
放射線樹脂層A(102)の硬化をマイクロ波ではなく、大気中で紫外線によって行っ
た以外は実施例1と同じ条件にてガスバリア材を作成した。そして、120W/cmの高圧水銀ランプを用い、照射量は200mJ/cm2で硬化させた。
<比較例3>
放射線樹脂層A(102)の硬化をマイクロ波ではなく、大気中での電子線硬化装置を用いて行なった以外は実施例1と同じ条件にてガスバリア材を作成した。この時の電子線は加速電圧120KV、電子線照射量100kGyであった。
<比較例4>
放射線硬化樹脂層A樹脂蒸着装置(6)にアクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM5103)100重量部に対して光硬化剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー製イルガキュア184)を5重量部添加した以外は、実施例と同じ条件にてガスバリア材を作成した。
<評価>
実施例1および比較例1〜4で得られたガスバリア材について、酸素バリア値、水蒸気バリア値、膜厚変動値の測定、欠陥検査、可撓性等の評価を行った。その結果を表1に示す。
表1は、総合評価の結果を記す。
<評価方法>
・酸素バリア性・・・温度40℃、湿度90%RHの雰囲気下でMoconOxitran酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製)にて測定し、酸素透過度とした。
・水蒸気バリア性・・・温度40度、湿度90%RHの雰囲気下でMoconPermatranW6水蒸気透過測定装置(モダンコントロール社製)にて測定し、水蒸気透過度とした。
・欠陥検査・・・光学顕微鏡にて2×2cmの範囲の含まれる膜の欠陥を数え、塵埃などによって擦られたことに起因する損傷を調べた。
・可撓性・・・ガスバリア材の資料を長さ40cm、幅、14cmに切り出し、長さ方向に所定の歪(3%、6%)まで引っ張った後、元に戻して酸素バリア性、水蒸気バリア性を評価した。
・膜厚変動・・・長手方向での膜厚変動を平均値からの変動率にて測定した。
(尚、表中の酸素透過度の単位はml/m2/day・atm、水蒸気透過度の単位はg/m2/day・atmである。)。
<評価結果>
本発明のガスバリア材の製造方法で得られた実施例1のガスバリア材は高度なガスバリア性を有し、比較例2〜4に示されるガスバリア材に比べて初期のガスバリア性に優れ、更に所定の歪まで引っ張った後のガスバリア性に優れ、十分な可撓性を示すことが確認された、また、比較例4に示すとおり、長手方向での膜厚の安定性については、完全架橋を促進させるために配合した光重合開始剤の影響があると思われる。
本発明のガスバリア材の製造方法で得られたガスバリア材は食品や医薬品、各種生活関連品や各種電子機器などの包装の包装材料として優れていることはもとより、建築関連分野部材等にも使用できる素晴らしい発明である。
本発明のガスバリア材の製造方法に用いられる真空成膜装置の一例の概略を示す概略図である。 本発明のガスバリア材の製造方法で積層形成された一例の断面を示す断面図である。 従来のガスバリア材の積層形成断面図である。
符号の説明
1…真空成膜装置
2a…真空ポンプ
2b…真空ポンプ
3…冷却ロール
4…巻き出しロール
5…巻き取りロール
6…放射線硬化樹脂層A樹脂蒸着装置
7…電磁ホーン
8…複合分子ポンプ
9…石英ガラス
10…マイクロ波発振装置および整合回路
11…遮蔽板
12…ガスバリア層蒸着用電子銃
13…坩堝
14…偏向コイル
15…放射線硬化樹脂層A樹脂供給装置
16…ガスバリア層ガス供給装置
101…高分子樹脂基材
102…放射線硬化樹脂層A
103…ガスバリア層

Claims (2)

  1. 高分子樹脂基材上の少なくとも片面に、分子内に1個のトリアルコキシシルル基と(メタ)アクリル基を1から3個含む(メタ)アクリル化合物からなる放射線硬化樹脂層とガスバリア層を順次積層形成するガスバリア材の製造方法であって、
    前記放射硬化線樹脂層の原材料を真空中でマイクロ波プラズマに曝すことによって放射硬化線樹脂層を硬化形成することを特徴とするガスバリア材の製造方法。
  2. 前記放射線硬化樹硬化脂層とガスバリア層が同一真空装置内で大気に曝されることなく順次積層形成することを特徴とする請求項1記載のガスバリア材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010201888A (ja) * 2009-03-06 2010-09-16 Toppan Printing Co Ltd ガスバリア性積層フィルム

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