JP2008029192A - 回転電機の回転子とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストアップを抑え、回転子のポールコア7の両軸受部基準に対する振れを低減し、性能低下を抑えることのできる回転電機の回転子3とその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポールコア7の外側端面72を基準として外側端面72に垂直な軸穴78を切削加工で加工した1対のポールコア7を、そのボス部端面76のボス部高さの高低を割り出してその高低方向が互いに密着して当接するように回転調整して組合せるマッチング工程と、割り出された下ポールコア7aにシャフト5を圧入し、界磁コイル8を装着して、その上に回転調整された上ポールコア7bを組合せ、シャフト5に順次圧入する圧入工程と、このシャフト圧入された対をなすポールコア7の両外側端面72とシャフト外周領域に付設された円環状の溝部と嵌合するかしめ工程とからなる製造方法により回転子3を製造する。
【選択図】図2

Description

本発明は、回転電機の回転子とその製造方法に関し、特に車両用交流発電機のように、回転子のコア部材が対をなす回転子鉄心からなる回転電機に適した回転電機の回転子とその製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来の車両用交流発電機は、その回転子の回転子鉄心としてランデル型ポールコアを有しており、このランデル型ポールコアは、互いに同形で一方端面を対向させてシャフトをその中心に圧入固着させた構造となっている(例えば、特許文献1参照)。従来の回転子鉄心(ポールコア)は、円筒状の基部と、基部の軸方向外端部から周方向所定間隔を隔てて径外方向へ向けて伸びる角柱状の多数の爪基部と、爪基部の径方向先端部から軸方向に向けて界磁コイルを囲包するように延伸する爪部とを備え、爪部はステータコア内に収容されている。
また、互いに対向したポールコアの中心には、多数の爪起し加工を施されたシャフトが圧入され、さらにシャフトのポールコア外側端面位置に付設された円環状の溝部をプレス成形によるステーキングかしめが加工されて、回転子が構成される。ステーキングかしめは高速回転時においても機械的強度を保持するためのものである(例えば、特許文献2参照)。このため、ポールコアの基部中心に、シャフトを貫通して通す穴、つまりシャフト貫通穴が切削加工によって開けられている。
一般的に、このポールコアを構成する回転子鉄心は軟鉄材を使用した鍛造設備によって製造されるが、製造設備の加工精度には限度があり、対向する一方端面は必ずしも幾何的平行または直角をなしているのでなく、シャフト貫通穴に対する対向する一方端面との直角度、および平面度にはバラツキが生じる。
従って、図10に示すように、対向する一方端面のボス部端面176は外側端面172とは互いに傾きを生じ、ポールコア107に切削により加工されるシャフト貫通穴178が、外側端面172を基準に外側端面172に垂直に加工される製造方法の場合には、外側端面172と交わる角度α1は90°であるが、ボス部端面176と交わる角度α2は90°とはならず、垂直に交わらないこととなる。このため、対向するボス部端面176を組合せた場合、密着して当接できず片当りして隙間が生じてしまう場合がある。
なお、シャフト貫通穴178の切削による加工は、必ずしも、外側端面172を基準に外側端面172に垂直に加工される場合に限ることなく、内側端面、つまりボス部端面176を基準にボス部端面176に垂直に加工される場合や、ボス部底端面177を基準にボス部底端面177に垂直に加工される場合の加工方法がある。どの加工方法を採用するかは、ポールコアの切削加工の容易さはもとより、加工精度やバラツキの程度を考慮して選択される。しかし、バラツキの程度によっては、同様に傾きは生じる。
ポールコアの対向するボス部端面176を組合せた場合、密着して当接できず片当りして隙間が生じる場合の回転子の製造方法では、以下に述べる製造工程を採用する上で、避けられない不具合が生じる。以下に、その不具合を従来例の製造工程とともに説明する。
図11〜図14は、外側端面172を基準に外側端面172に垂直に加工されるシャフト貫通穴(以下、軸穴と称す)178をもつ一対のポールコア107(以下、下ポールコア107aと上ポールコア107bと呼ぶ)にシャフト105を圧入して回転子103を順番に組立てる従来例の順次組立方式の組立工程図を示す。
図11(a)、(b)は組立ての第1工程を示すシャフト圧入装置130の要部概略図である。図11(a)に示すように、シャフト圧入装置130は、パンチ部131とダイ部132からなる通常のダイセット構造であり、ダイ部132はベース133にベアリング134を介して受け台135が支持されている。そして、受け台135は、その中心にガイド穴が開けられ、このガイド穴にセンタ押え136が滑動可能に配置されている。また、ベアリング134はセンタ押え136の中心と受け台135の中心が一致しない時に受け台135を水平方向に移動させるためのものである。また、少なくとも2個の爪押え137がベース133に固定され、ワークである上ポールコア107bの爪部174を軸方向もしくは求心方向に押え、保持するもので、レバー138によって保持および解除が自在にできるものとなっている。
また、パンチ部131は、シャフト105を垂直方向に保持するシャフト保持パンチ139を備えた圧入パンチ140が垂直方向に下降または上昇するようにダイセットに組立てられている。
次に、上記のシャフト圧入装置130によるシャフト圧入について説明する。まず、第1工程として、前工程で送り出された上ポールコア107bを受け台135にセットする。受け台135にセットされた上ポールコア107bは、平面である外側端面172に垂直に軸穴178が加工されているので、上ポールコア107bは受け台135に対して外側端面172が水平に、かつその軸穴178は垂直に配置される状態となる。そして、センタ押え136が下方から上昇して、上ポールコア107bの垂直向きの軸穴178に挿入される。このとき、仮に圧入パンチ140の中心と受け台135の中心が芯ずれを起こしていても、センタ押え136の上ポールコア107bへの挿入により、芯ずれは調整され同心化される。そして、爪押え137のレバー操作によって上ポールコア107bを受け台135に固定する。
次に、図11(b)に示すように、圧入パンチ140のシャフト保持パンチ139にシャフト105を垂直に保持し、シャフト105の反保持側を、上ポールコア107bの軸穴178に挿入されたセンタ押え136の上端部に当接させ、ガイドするように圧入パンチ140を下降させる。すると、シャフト105は滑らかに、かつ垂直を維持して上ポールコア107bに圧入される。
そして、所定の位置まで圧入が進めば、圧入パンチ140はシャフト保持パンチ139とシャフト105の保持を解除して、上方へ上昇し、元の位置まで戻って停止する。そして、レバー138の操作によって爪押え137を解除して、シャフト105が圧入された上ポールコア107bが取り出される。
つづいて、第2工程の説明をする。第2工程は、第1工程でシャフト105が圧入された上ポールコア107bを下ポールコア107aに圧入する際の下ポールコア107aと界磁コイル108との組合せ工程である。図12(a)は組立ての第2工程を示すシャフト圧入装置130の要部概略図である。
前工程にて送り出される下ポールコア107aは、界磁コイル108を装着されパレット上に置かれている。この工程では、この界磁コイル108を装着した下ポールコア107aがパンチ部131に備えられた把持機構部160によって、パレットから抜き取られ、把持機構部160は把持したまま下降して、ダイ部132の受け台135の上に界磁コイル108を装着した下ポールコア107aをセットする。そして、把持機構部160は下ポールコア107aの把持を解除し、上昇して初期の停止位置に戻る。これと同様に、センタ押え136が上昇して下ポールコア107aの軸穴178に挿入される。そして、爪押え137のレバー操作によって下ポールコア107aを受け台135に固定する。
つづいて、第3工程の説明をする。第3工程は界磁コイル108を装着した下ポールコア107aに、第1工程でシャフト105が圧入された上ポールコア107bを組立てる工程である。図12(b)は組立ての第3工程を示すシャフト圧入装置130の要部概略図である。
第2工程で初期位置に戻った把持機構部160は、次に第1工程のシャフト105が圧入された上ポールコア107bをそのシャフト105が垂直に位置するように把持する。そして、シャフト105の下端部とセンタ押え136の上端部を当接させ把持機構部160を下降することにより、下ポールコア107aの軸穴178にシャフト105が圧入される。そして、所定の位置まで圧入が進めば、把持機構部160はシャフト105と上ポールコア107bの把持を解除して、上方へ上昇し、元の位置まで戻って停止する。
そして、次に、爪押え137を解除してシャフト圧入済みポールコア(回転子の形態をなすが、かしめ加工前であるので、以下これをかしめ前回転子103と呼ぶ)を取り出し、かしめ工程に移る。
かしめ工程は、上記のかしめ前回転子103の両外側端面172に円環状の所定の深さを有する凹状の圧痕を付けることにより、その圧痕が同様にシャフト105の両外側端面172位置に付設した円環状の溝部に塑性流れを呈してなされるかしめを形成する工程である。このかしめは、一般に、ステーキングかしめと呼ばれるものであり、車両用交流発電機等に高速回転で使用される回転子103が、高速回転時の遠心力や軸力に対し、ポールコア107が圧入されたシャフト105から抜けたり、締結力が低下しないように機械的な強度アップを図るものである。
図13はかしめ工程を説明するかしめ装置150の要部概略図である。上記の圧入工程にて使用するシャフト圧入装置130と異なるのは、パンチ部151、ダイ部152ともにかしめパンチ153、かしめダイ154に取り替わったことである。前工程で取り出されたかしめ前回転子103がそのまま受け台155にセットされる。
受け台155にはその中心に下センタ押え156にガイドされるかしめダイ154が、同様に中心を一致して配置されている。従って、受け台155にセットされたかしめ前回転子103のシャフト105の中心は、かしめダイ154の中心と一致するので、シャフト105と直角(垂直)に形成された上下ポールコア107a、107bのそれぞれの外側端面172は、かしめダイ154の中心とも直角(垂直)を形成する。つまり、かしめダイ154またはかしめパンチ153の上昇、下降に伴い、それぞれの外側端面172には円環状の凹状の圧痕が形成され、その圧痕が同様にシャフト105の両外側端面172位置に設けた円環状の溝部に塑性流れを呈してかしめが加工される。
以上の圧入工程とかしめ工程を経てかしめ後回転子、つまり、ランデル型ポールコアの回転子103が製造される。
〔従来技術の不具合〕
このようにポールコアの外側端面を基準に外側端面に垂直にシャフト貫通穴を切削加工した各ポールコアを互いに対向させてシャフトを圧入する組立工程を経て組付けされる回転子において、各ポールコアを互いに対向して当接するボス部端面に、外側端面に対してわずかに傾斜したり、平面度が悪化したことにより、各ポールコアの各ボス部端面が密着して当接できず、片当りして隙間が生じてしまう場合がある。
このような隙間が生じたままシャフトが、仮に、圧入できたとしても、ポールコアの軸方向厚さが所定厚さを超えてしまって、回転子が固定子内で接触して、異音を生じたり、性能低下を引き起こしたりする。しかし、通常は、シャフトと軸穴との結合は、嵌合結合によってなされるようにシャフトの圧入荷重は大きく、従って、図14(a)に示すように、圧入荷重によって隙間が減少するように変形して、この変形により軸穴とシャフトとのかじりが大きくなって、圧入がこれ以上進まなくなったりする。
さらに圧入荷重を増加させると、シャフトのかじりとのバランスによって、シャフトの圧入は進むものの、隙間の生じた各ボス部端面が密着するまで負荷されて、シャフト105には大きな曲げモーメントが作用するようになる。負荷が大きくなり、曲げモーメントがさらに大きくなって、弾性変形許容限界を超えてしまうと、図14(b)に示すように圧入装置またはかしめ装置から取り出した回転子103のシャフト105には曲がりが生じたりする。シャフト105に曲がりが生じると、回転子103の回転シャフト基準に対して外径振れが大きくなり、ステータコアとの干渉、振動や回転変動の増大、車両用交流発電機においてベアリング寿命の低下と発電の変動やバラツキが大きくなるという問題が生じる。
同様に、ステーキングかしめ工程では、各ボス部端面が一箇所で片当たりをして圧入がこれ以上進まずにポールコアの軸方向厚さが所定厚さを超えてしまった状態でかしめ加工をすると(図14(a)参照)、円環状の溝深さが不均一で偏りを生じる等、シャフトの締結力にバラツキが生じて、高速回転時にポールコアのシャフト抜けなどの問題が生じる可能性がある。また、ステーキングかしめはシャフト圧入に比べてパンチ加圧力は大きいので、かしめ工程にてポールコアのボス部両平面は片当たり状態から密着状態に加圧されることとなり、このときシャフトが曲げられ、ポールコアの各ボス部端面が面当りし密着状態となることもある。この場合も上記と同じく、取り出した回転子103のシャフト105には曲がりが生じたりする。結果、上記と同じ問題が生じる。
また、このシャフト振れを低減するために、組立前のポールコアのボス端面を軸穴直角に仕上切削する方法や、ポールコアやシャフトを前後工程で直角もしくは平行に対する仕上げ加工や、回転軸基準で修正する切削除去方法や矯正曲げ方法などあるが、これらはいずれも工程の追加が必要であり、また、切削代を見込まざるを得ず素材の無駄が生じ、コストアップとなる懸念がある。
特開平11−220845号公報 特開昭56−98349号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、コストアップを抑え、回転子のポールコアの両軸受部基準に対する振れを低減し、性能低下を抑えることのできる回転電機の回転子とその製造方法を提供することを目的とする。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の手段によれば、径外方向へ向けて伸びる多数の爪基部の径方向先端部から軸方向へ延伸する爪部を有した中空状コア部材からなる複数の回転子鉄心を対向して組合せ、形成される中空部にコイルを装着し、前記各回転子鉄心のシャフト軸穴に圧入固着されたシャフトを備える回転電機の回転子であって、シャフトに貫通され、位置固定される各回転子鉄心は軸方向に平面部が形成され、平面部はシャフトの回転中心軸と傾斜して、各回転子鉄心の平面部は互いに平行で当接しており、各回転子鉄心の平面部の軸方向前後で、シャフトが一直線状であって、かつ、各回転子鉄心の軸方向投影上の平面部の傾斜面に垂直な軸は、爪部中心とシャフト軸穴中心を結ぶ放射状仮想線と、爪部間中心とシャフト軸穴中心を結ぶ放射状仮想線との中線上にあることを特徴としている。
これにより、対向して当接する各回転子鉄心の平面部は互いに平行で密着できるので、鉄心間の磁気抵抗を減らすことができるとともに、シャフトが一直線状であるので、シャフト外周両端を基準に回転した際、この回転基準に対して振れが小さくなり、ステータコアとの干渉を起こすことなく、振動や回転変動を低減することができる。また、車両用交流発電機において、ベアリング寿命の向上と発電の変動やバラツキを抑制する。
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載の手段によれば、各回転子鉄心は、各回転子鉄心の軸方向外側に外端部平面と、軸方向内側にボス部端面を備え、各回転子鉄心の外端部平面は対向する他回転子鉄心の外端部平面と互いに平行であることを特徴としている。
これにより、複数の回転子鉄心の軸方向外側端面間の厚みが最小となり、ステータコアとの干渉を起こすことなく、さらに、回転に伴う動的アンバランスを抑制できるので振動を低減する。
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載の手段によれば、各回転子鉄心は、ランデル型ポールコアであることを特徴としている。これにより、1対の回転子鉄心を対向させて組付けるのみであるので、より簡単に、また精度よくシャフト振れの極めて少ない回転子を得ることができる。
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載の手段によれば、各回転子鉄心は、各回転子鉄心の外端部平面のシャフト外周領域に付設された円環状の溝部にかしめ嵌合されることを特徴としている。
これにより、回転子鉄心と圧入したシャフトの固着強度がより強固になり、回転子が高速回転で使用されても、高速回転時の遠心力や軸力に対し、回転子鉄心が圧入されたシャフトから抜けたり、締結力が低下したりすることを抑止することができる。
〔請求項5の手段〕
請求項5の手段を採用する回転電機の回転子の製造方法は、径外方向へ向けて伸びる多数の爪基部の径方向先端部から軸方向へ延伸する爪部を有した中空状コア部材からなる複数の回転子鉄心を対向して組合せ、形成される中空部にコイルを装着し、各回転子鉄心のシャフト軸穴に圧入固着されたシャフトを備える回転電機の回転子の製造方法において、位置固定される各回転子鉄心は軸方向に平面部が形成され、平面部はシャフトの回転中心軸と傾斜して、各回転子鉄心の平面部は互いに平行で当接し、かつ、各回転子鉄心の平面部の軸方向前後で、シャフトが一直線状であるように、各回転子鉄心を回転調整して組合せるマッチィング工程と、マッチィング工程の後に、回転調整された各回転子鉄心にシャフトを圧入する圧入工程を採用することを特徴とする。
この方法によれば、切削追加工や矯正工程を加えることなく、複数の回転子鉄心を互いにシャフト軸穴中心に相対的に回転させることのみで軸方向の最小厚みを組合せることが簡単にでき、また、一直線状に配列した複数の回転子鉄心の軸穴に無理なく、所定の圧入嵌合保持力を維持するようなシャフト圧入が容易にできる。つまり、コストアップを抑え、回転子の振れを低減して回転電機の性能低下を抑えることができる。
〔請求項6の手段〕
請求項6に記載の回転電機の回転子の製造方法は、各回転子鉄心の対向面は平面であることを特徴とする。この方法によれば、平面の傾斜と傾斜の方向を簡単に検知することができ、また、この平面を対向させて当接したとき密着して隙間が生じにくく、つまり最小の厚みを確保しやすい。
〔請求項7の手段〕
請求項7に記載の回転電機の回転子の製造方法は、各回転子鉄心の対向側平面が密着していることを特徴とする。この方法によれば、平面を対向させて当接したとき密着して隙間が生じにくく、つまり最小の厚みを確保しやすい。
〔請求項8の手段〕
請求項8に記載の回転電機の回転子の製造方法は、各回転子鉄心の外端部平面のシャフト外周領域に付設された円環状の溝部に、各回転子鉄心をかしめ嵌合するステーキングかしめ加工をシャフト組立後に行うことを特徴とする。
この方法によれば、シャフト振れの低減された回転子の回転強度をさらに向上させることが容易にでき、シャフト振れの比較的大きな回転子のシャフト圧入荷重を増加するように調整して回転強度を確保する場合より、格段に容易であり、コストアップを抑制し、信頼性を向上できる。
〔請求項9の手段〕
請求項9に記載の回転電機の回転子の製造方法は、各回転子鉄心は、各回転子鉄心の周方向位置決めを行った後、軸方向に当接して組立てられることを特徴とする。
この方法によれば、回転子鉄心の爪部が互いに干渉し周方向の回転を制限する場合でも容易に周方向位置決めを行い、傾斜した平面部を互いに平行に密着するように組立てることができる。
この発明の最良の実施形態を、図に示す実施例1とともに説明する。
〔実施例1の構成〕
(車両用交流発電機の全体構成)本発明の実施例1は、回転電機の回転子として車両用交流発電機に適用する場合について説明する。
図1は、車両用交流発電機を示す軸方向半断面図である。車両用交流発電機1は、電機子として働く固定子2と、界磁子として働く回転子3とを有している。固定子2は、ハウジング4に固定されるステータコア21と、ステータコア21に巻装されるステータコイル22とを有している。回転子3は、ハウジング4に回転自在に支承されるシャフト5と、このシャフト5を圧入固着したポールコア(本発明の回転子鉄心)7と、界磁コイル8とを有している。
また、シャフト5の後部(図示右部)には、1対のスリップリング9、10と、1対のブラシ11と、レギュレータ12、エンドカバー13、出力ターミナル14、および1対の冷却ファン15を有している。この車両用交流発電機1の回転子3以外のさらに詳細な構造説明および動作説明は省略する。
(回転子の全体構成)次に、回転子3について図2を参照して説明する。図2は、回転子の軸方向断面図である。回転子3は、互いに同形で対向して密着するポールコア7のシャフト貫通穴78に、ローレット加工もしくは多数の爪起し加工のシャフト5を相対回転不能に圧入して、ポールコア7を所定位置に固定し、圧入されたシャフト5の前後端の周径を軸受にて支持される回転体である。また、対向するポールコア7の内部(中空部)には発電のための界磁コイル8が挟装、固定され、対向するポールコア7の外側端面72には冷却ファン15が配設されている。
(ランデル型ポールコア)次に、ランデル型ポールコアについて図3を参照して説明する。図3(a)は1個のランデル型ポールコアの正面断面図であり、(b)は同平面図である。ランデル型ポールコアとは、以下に説明する構造を有する互いに同形のポールコア7を対にして対向して組合せたものをいう。
それぞれのポールコア7は、図3(a)に示すように、円筒状の基部71を有し、この基部71の軸方向の外側端部から径外方向へ向けて伸び、周方向に関して所定間隔を隔てて角柱状の多数の爪基部73を有する。そして、それぞれの爪基部73の径方向先端部から軸方向へ向けて中空部を形成するように延伸する爪部74を備える。本実施例では、ポールコア7には8個の爪部74が設けられ、これら爪部74はステータコア21内に収容されるよう同心円状に配設される。
また、ポールコア7の円筒状の基部71の一方端に平面で構成される外側端面72を備え、円筒状の基部71の他方端にはボス部75を設けて、同様に平面で構成される内側端面(ボス部端面)76を備えている。そして、ボス部75と基部71の略中間部にはボス底部端面77を構成して、ポールコア7には3つの端面がそれぞれ互いに幾何的平行となる構造を有している。
そして、ポールコア7の基部中心に、シャフト貫通穴(以下、軸穴と呼ぶ)78が切削加工によって開けられている。本実施例では、この軸穴78は、外側端面72を基準に外側端面72に垂直な穴加工によって形成される。
このとき、軸穴78は外側端面72に垂直(図示角度α1=90°参照)に切削加工されているため、他の端面、つまりボス部端面76やボス底部端面77とも垂直に加工される筈である。しかし、ポールコア7が生産性の高い軟鉄材の鍛造設備で製造される場合には、必ずしもボス部端面76やボス底部端面77とも垂直加工される訳ではない。鍛造設備の加工精度もしくはバラツキの大きさによって平面度や平行度の悪化が生じ、両端面間、即ち、外側端面72とボス部端面76との間、または外側端面72とボス底部端面77との間に、相対的な傾斜(図示角度α2≠90°参照)が生じるためである。
図4は、少なからず両端面間に傾斜が生じた1対のポールコア7(以下、下ポールコア7aと上ポールコア7bと呼ぶ)のボス部端面76を対向させて組合せた状態を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面断面図である。図4(b)に示すように、軸芯合わせをすれば対向する両ボス部端面76間は片当りして隙間が生じ(図示実線図形参照)、組合せたポールコア7の軸方向厚みが厚くなる。また、両ボス部端面76間の面合わせをすれば軸芯ずれ、または軸芯折れが生じて軸穴78は一直線状とはならず(図示2点鎖線図形参照)、シャフト5の圧入が困難となる。
従って、下ポールコア7aにまずシャフト5を圧入し、そして界磁コイル(図示せず)を装着し、その後上ポールコア7bをシャフト5に圧入して順次組立てる順次組立方式と、あるいはその内部に界磁コイルを挟装して下ポールコア7aと上ポールコア7bを対向して組合せ、その軸穴78にシャフト5を圧入する同時組立方式とのいずれにおいても、圧入荷重が著しく増大する。また、増大した圧入荷重により無理に圧入すればシャフト5が曲がって、シャフト振れが増大する問題があることは既に述べた。
しかし、このとき1対の上下ポールコア7a、7bのボス部端面76の傾斜によるボス部高さの最大領域と最小領域が分かっていれば、例えば、下ポールコア7aのボス部高さの最大領域と上ポールコア7bのボス部高さの最小領域が略一致するように相対的に上下ポールコア7a、7bを回転させて組合せれば、互いのボス部端面76は片当りすることなく隙間が減少でき、互いに平行に当接することが可能となる。以降、このような組合せを、面当り組合せと呼称する。
面当り組合せの場合の一対の上下ポールコア7a、7bを図5に模式図にて示す。図5(a)は平面図であり、(b)は正面断面図である。図5(b)に示すように、互いのボス部端面76は傾斜面ではあるが、互いに平行に当接して隙間なく密着し、上下ポールコア7a、7bの組合せ軸方向厚みが最小となっている。また、面当り組合せによって形成される互いに平行に当接する傾斜面の傾斜の方向は、ボス部端面76の傾斜面に垂直な軸を方向軸として考えると、図5(a)(または、図4(a))に示すように、傾斜面に垂直な軸は、爪部中心とシャフト軸穴中心を結ぶ放射状仮想線と、爪部間中心とシャフト軸穴中心を結ぶ放射状仮想線との中線上に存在することで特定が可能となる。
つまり、互いの傾斜面に垂直な軸が、互いの傾斜面を相対的に回転させることによって、互いに中線上に至るまで回転させれば、そこが互いの傾斜面が平行に当接して、上下ポールコア7a、7bの組合せ軸方向厚みが最小となる位置となる。本実施例のポールコア7は、8個の爪部と同数の爪部間を有する対をなす上下ポールコア7a、7bを対向して下ポールコア7aの爪部間に上ポールコア7bの爪部を組合せるため、組合せて後、自在に互いの傾斜面を相対的に回転して調整することはできず、また、必ずしも上ポールコア7bのボス部高さの最大位置と下ポールコア7aのボス部高さの最小位置とを完全に一致させての組合せはできない場合もある。しかし、少なくとも上ポールコア7bの爪部中心と下ポールコア7aの爪部中心との間、つまり上下ポールコア7a、7bのいずれかの爪部中心と爪部間中心との間だけは最大および最小位置のずれが生じることとなるが、この爪部中心と爪部間中心との周方向の位置ずれは軸方向の隙間に対しては殆ど影響を与えるものではない。
ボス部端面76の傾斜がそれぞれで略同一であれば、ボス部端面76上で軸穴中心の点対称とする互いのポールコア7の組合せ位置とすることで、両ポールコア7の軸穴78は互いに平行かつ同一軸上に位置して、つまり、シャフト貫通用の軸穴78は一直線状となって、シャフト圧入が容易となり、勿論、圧入されるシャフトが曲がることはない。このようなポールコア7同士の軸穴中心の点対称の回転、つまり、相対的回転を回転調整と呼ぶ。そして、さらに、軸穴中心の点対称の回転を適正に実施するには、その前に、ポールコア7のボス部高さの高低の位置割り出しが必要となる。
位置割り出しは、ポールコア7のボス部高さ割り出し整列装置または治具によって、自動もしくは手動でなされる。自動と手動の違いは、後述するようにポールコア7のボス部高さの計測とその位置の割り出しと対をなすポールコア7の組み合わせ位置の設定を機械的に検出し電気的に制御するか、手作業で設定するかの違いであって、基本的な工程は同じである。従って、機械的な位置割り出し工程を以下に例示的に説明する。
ポールコア7のボス部高さ割り出し整列装置(図示せず)は、割り出しのための回転手段と回転位置検出手段を備えている。そして、これら回転手段と回転位置検出手段は昇降手段に架装され上昇・下降(上下)する。回転位置検出手段の先端(下方端)には、ポールコア高さ計測用接触子とポールコア回転伝達爪およびポールコア浮き防止押えが備えられている。回転位置検出手段の上昇・下降する軸心に直交する水平方向にワークであるポールコア7はコンベア上を移動し、回転位置検出手段の真下に至るポールコア7は、回転位置検出手段と対向して配置される昇降手段付きポールコア受け治具によって、上下から挟まれる。昇降手段付きポールコア受け治具には軸心にポールコア7の軸穴に嵌入可能なガイドシャフトが設けられているので、このガイドシャフトによってポールコア7は軸心基準の回転が許容され配置されることとなる。
そして、ポールコア7のボス部高さ割り出し整列装置を稼動すると回転手段と回転位置検出手段は下降し、下降によってポールコア浮き防止押えがポールコアを下方にガタなく押さえ込み、同時にポールコア回転伝達爪によってポールコア7は軸基準にて回転される。ポールコア7のボス部位置に設定されたポールコア高さ計測用接触子がポールコア7の1回転、つまり1周分のボス部高さをトレースする。そして、ボス部高さの最大領域と最小領域を検出し、その位置割り出しを設定して次工程である組立工程(組立機)のパレットまたはテーブル上にポールコア7を送り出す。
以上説明した機械的な位置割り出し工程は、機械的回転手段と電気的な検出手段によって実施する例で示したが、位置割り出し工程は、これに限ることなく、上述したように回転手段が手動であっても、検出手段が機械的であってもよい。要は、ポールコア7のボス部高さの位置割り出し工程で、割り出されたポールコア7を上記した軸穴中心の点対称の相対的回転による回転調整を加えて組付けるところのマッチング工程が採り得るものであればよい。ここで、マッチング工程は、位置割り出し工程と回転調整工程とを組合せたものを呼ぶ。
本実施例の回転子3の組付工程の一例を、図6〜図8に示す。図6〜図8はポールコア7とシャフト5を順次圧入する場合の圧入工程とかしめ工程のそれぞれの工程図である。
図6は順次圧入方式の圧入工程の第1工程を示す圧入装置の要部概略図である。圧入装置30は、パンチ部31とダイ部32からなる通常のダイセット構造であり、ダイ部32はベース33にベアリング34を介して受け台35が支持されている。そして、受け台35はその中心にガイド穴が開けられ、このガイド穴にセンタ押え36が滑動するに十分な隙間を有して配置されている。また、ベアリング34はセンタ押え36の中心と受け台35の中心が一致しない時に受け台35を水平方向に移動させるためのものである。また、少なくとも2個の爪押え37がベース33に固定され、ワークである下ポールコア7aの爪部74を軸方向もしくは求心方向に押え、保持し、レバー38によって保持および解除が自在にできるものとなっている。
また、パンチ部31は、シャフト5を垂直方向に保持するシャフト保持パンチ39を備えた圧入パンチ40が垂直方向に下降または上昇するようにダイセットに組立てられている。
次に、上記の圧入装置30によるシャフト圧入について説明する。まず、前工程のマッチング工程で既にボス部端面76の傾斜方向の割り出しが得られた下ポールコア7aを受け台35にセットする。受け台35にセットされた下ポールコア7aは、その外側端面72が平面であって、かつその平面に垂直に軸穴78が加工されているので、下ポールコア7aは受け台35に対して外側端面72が水平に、かつ軸穴78は垂直に配置される状態となる。そして、センタ押え36が下方から上昇して、下ポールコア7aの軸穴78に挿入される。このとき、仮に圧入パンチ40の中心と受け台35の中心が芯ずれを起こしていても、センタ押え36の下ポールコア7aへの挿入により、芯ずれは調整され同心化ができる。そして、爪押え37のレバー操作によって下ポールコア7aの爪部74を軸方向に保持する。
そして、次に、圧入パンチ40のシャフト保持パンチ39にシャフト5を垂直に保持し、シャフト5の反保持側を、下ポールコア7aの軸穴78に挿入されたセンタ押え36の上端部に当接させ、ガイドするように圧入パンチ40を下降させる。すると、シャフト5は滑らかに、かつ垂直を維持して下ポールコア7aに圧入される。
そして、所定の位置まで圧入が進めば、圧入パンチ40はシャフト保持パンチ39とシャフト5の保持を解除して、上方へ上昇し、元の位置まで戻って停止する(図6、二点鎖線の表示位置)。
次に、圧入工程の第2工程を説明する。図7は圧入工程の第2工程を示す圧入装置の要部概略図である。このシャフト5が圧入された下ポールコア7aの内部に界磁コイル8を装着し、この界磁コイル8を挟装するように上ポールコア7bを圧入する。
上ポールコア7bは、下ポールコア7aと同様に、既にマッチング工程にてボス部高さの割り出しがなされた対をなすポールコア7であり、下ポールコア7aの高低方向の割り出し位置に上ポールコア7bの高低方向の割り出し位置が、互いに密着して当接するように軸穴中心の点対称(周方向)に回転調整されて圧入されるものである。
そして、この上ポールコア7bの外側端面72を垂直方向に押圧してシャフト5に圧入させる押圧面を有する圧入パンチ40が備えられている。この圧入パンチ40には、ダイ部32と同様に、シャフト5と圧入パンチ40との中心を一致させるための上センタ押え41が設けられ、上センタ押え41の下方端は、シャフト5の上端に当接されている。圧入パンチ40の下降に伴い、上ポールコア7bは垂直方向に滑らかに、また、上センタ押え41にガイドされて、シャフト5が傾くことなく真直ぐに圧入される。
所定の位置まで圧入が進行すれば、上下ポールコア7a、7bは、それぞれのボス部端面76が密着して当接し、ポールコア7の軸方向厚みが最小となるので、この位置で圧入を停止する。そして、次に、圧入パンチ40を上方に上昇させ、爪押え37を解除してシャフト圧入済みポールコア7を取り出し、かしめ工程に移る。
かしめ工程は、シャフト5を圧入したポールコア7の両外側端面72に円環状の所定の深さを有する凹状の圧痕を付けることにより、その圧痕が同様にシャフト5の両外側端面72の位置に設けた円環状の溝部に塑性流れを呈してなされるステーキングかしめを形成する工程をいう。
図8はかしめ工程を説明するかしめ装置の要部概略図である。かしめ工程をなすかしめ装置50が、上述した圧入工程を説明する圧入装置30と異なるのは、パンチ部51、ダイ部52ともにかしめパンチ53、かしめダイ54が取り替わったことである。前工程で対向するポールコア7に一直線状にシャフト5を圧入されたかしめ前回転子3がそのままの状態で受け台55にセットされる。受け台55にはその中心に下センタ押え56にガイドされるかしめダイ54が、同様に中心を一致して配置されている。従って、受け台55にセットされたポールコア7に圧入されたシャフト5の中心は、かしめダイ54の中心と一致するので、圧入されたシャフト5と直角(垂直)に形成されたポールコア7の外側端面72は、かしめダイ54の中心とも直角(垂直)を形成する。つまり、かしめダイ54またはかしめパンチ53の上昇、下降に伴い、ポールコア7の外側端面72に形成される円環状の凹状の圧痕深さは偏ることなく均一に加工される条件を備えていることとなる。
同様に、かしめパンチ53も、その中心にシャフト5をガイドするガイド穴が備えられているので、かしめパンチ53の下降に伴い一直線状のシャフト5にガイドされて、ポールコア7の外側端面72に形成される円環状の凹状の圧痕深さは偏ることなく均一に加工される条件を備えていることとなる。かしめパンチ53の下降とかしめダイ54の上昇は相対的であり、いずれか一方の作動によって、両外側端面72のかしめは同時に実行される。このとき、ポールコア7の両外側端面72は互いに平行であり、圧入されたシャフト5と直角(垂直)をなすので、かしめは滑らかに、かつ、均一に実行される。
以上、マッチィング工程とシャフト圧入工程、およびかしめ工程により、回転子3が製造できる。
〔実施例1の効果〕
本実施例の製造方法は、ポールコア7の外側端面72を基準として外側端面72に垂直な軸穴78を切削加工で加工した上下ポールコア7a、7bからなる1対のポールコア7を、そのボス部端面76のボス部高さの高低を割り出してその高低方向が互いに密着して当接するように回転調整して組合せるマッチング工程と、割り出された下ポールコア7aにシャフト5を圧入し、界磁コイル8を装着して、その上に回転調整された上ポールコア7bを組合せ、シャフト5に順次圧入する圧入工程と、このシャフト圧入された1対のポールコア7の両外側端面72に円環状の凹状の圧痕を軸方向に所定の深さ形成するかしめ工程を採用している。
この方法によれば、1対のポールコア7のボス部端面76のボス部高さの高低方向が互いに密着して当接するように回転調整して後、シャフト圧入されるので、鉄心間の磁気抵抗を減らすことができるとともに、対をなすポールコア7の軸方向厚みは最小の厚みとなる。また、シャフト5は曲がることなく一直線状に、滑らかに圧入できる。これにより、シャフト外周両端を基準に回転した際、この回転基準に対して振れが小さくなり、ステータコア21との干渉を起こすことなく、振動や回転変動を低減することができる。この結果、車両用交流発電機1においては、ベアリング寿命の向上が得られるとともに、発電の変動やバラツキを抑制して発電性能の向上が得られる。
また、この製造方法では、各ポールコア7は、各ポールコア7の周方向位置決めを行った後、軸方向に当接して組立てられるので、ポールコア7の爪部74が互いに干渉し周方向の回転を制限するランデル型ポールコアの場合でも容易に周方向位置決めを行い、傾斜したボス部端面を互いに平行に密着するように組立てることが簡単にできる。従って、コストアップを抑制し、信頼性を向上できる。
〔実施例2の構成〕
実施例1での回転子3の組立ては、個々のポールコア7とシャフト5を順番に圧入して組立てる順次組立方式による回転子の製造方法についてのものであるが、本実施例では、回転子3の組立ては、内部に界磁コイル8を装着した対をなすポールコア7を対向して組合せ、同時にシャフト5を圧入する同時組立方式による回転子の製造方法についてのものである。以下に、この同時組立方式による回転子の製造方法を説明する。
図9は、同時圧入方式の場合の圧入工程を説明する圧入装置30の要部概略図である。同時圧入の場合の圧入装置30は基本的には順次圧入の場合の圧入装置30と同じである。異なるのは、ワーク側の違いでマッチング工程にて既に調整された上下ポールコア7a、7bの組合せとその内部に界磁コイル8が装着されたマッチング有り(済み)ポールコアとして次工程に用意される(流れ出る)場合である。このとき、上下ポールコア7a、7bはボス部75で対向し、対をなすポールコア7の両外側端面72は互いに平行で、両外側端面72に垂直に加工された軸穴78が一直線状を形成しているので、この軸穴78に真直ぐなシャフト5を圧入するだけの工程となる。
図9において、マッチング工程で回転調整され、内部に界磁コイル8を装着した対をなすポールコア7は、受け台35の上にセットされる。受け台35には、センタ押え36が設けられ、センタ押え36は受け台35と同心で移動し、センタ押え36の上端が対をなすポールコア7の軸穴78に挿入されている。これにより、シャフト軸穴78と垂直を形成するポールコア7の両外側端面72は受け台35に水平に保持される。そして、爪押え37をレバー38によって保持することにより受け台35に固定する。
そして、次に、圧入パンチ40のシャフト保持パンチ39にシャフト5を垂直に保持し、シャフト5の反保持側を、下ポールコア7aの軸穴78に挿入されたセンタ押え36の上端部に当接させ、ガイドするように圧入パンチ40を下降させる。すると、シャフト5は滑らかに、かつ垂直を維持して上下ポールコア7a、7bに圧入される。
そして、所定の位置まで圧入が進めば、圧入パンチ40はシャフト保持パンチ39とシャフト5の保持を解除して、上方へ上昇し、元の位置(図9の点線位置)まで戻って停止する。圧入されたシャフト5は傾いたり、曲がったりすることなく両外側端面72に垂直に圧入される。よって、一直線状のシャフト構造が形成され、シャフト振れは生じることはない。
そして、次に、爪押え37を解除してシャフト圧入済みポールコアを取り出し、かしめ工程に移る。
かしめ工程は上述した順次組立方式のかしめ工程と同じ工程および装置が使用でき、作用も効果も変わるところはないので、詳細な説明は省略する。
これにより、回転子3が製造できる。
〔実施例2の効果〕
本実施例と実施例1とは、シャフト5の圧入工程が順次か同時かの違いであって、組立される回転子3の構造および機能は変わるところはない。よって、実施例1と同じ作用・効果を奏する。また、同時圧入方式では、シャフト5の圧入を一回で済ませることが可能であるため、1工程少ない組立工程の製造方法となって、生産性が向上するとともに、コストアップを抑えることができる。
〔変形例〕
上記に述べた本発明の実施例は、共に、互いに同形で対をなすポールコア7の一方端面を対向させてシャフト5をその中心に挿通させたランデル形ポールコアについて採用したが、これに限ることなく対をなすポールコア7を二つ、シャフト5により串刺しに圧入するタンデム型ポールコアに採用してもよく、また、その他、対向させて複数の密着面を形成してなる回転子に採用してもよい。
車両用交流発電機を示す軸方向半断面図である(実施例1)。 回転子を示す軸方向断面図である(実施例1)。 ポールコアの構造を示し、(a)は正面断面図であり、(b)は平面図である(実施例1)。 一対のポールコアのボス部端面を対向させて組合せた状態(片当り当接時)を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面断面図である(実施例1)。 一対のポールコアのボス部端面を対向させて組合せた状態(面当り当接時)を示す模式図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面断面図である(実施例1)。 順次圧入方式の圧入工程の第1工程を示す圧入装置の要部概略図である(実施例1)。 圧入工程の第2工程を示す圧入装置の要部概略図である(実施例1)。 かしめ工程を示すかしめ装置の要部概略図である(実施例1)。 同時圧入方式の圧入工程を示す圧入装置の要部概略図である(実施例2)。 外側端面を基準に加工された垂直な軸穴を有するポールコアの断面図である(従来例)。 (a)、(b)は、圧入工程の第1工程を示す圧入装置の要部概略図である(従来例)。 (a)は圧入工程の第2工程を示す圧入装置の要部概略図であり、(b)は圧入工程の第3工程を示す圧入装置の要部概略図である(従来例)。 かしめ工程を示すかしめ装置の要部概略図である(従来例)。 (a)は第3工程において、シャフトに曲がりが生じた場合の圧入装置の要部概略図であり、(b)は組立後の回転子の取り出し工程を示す圧入装置の要部概略図である(従来例)。
符号の説明
1 車両用交流発電機(回転電機)
3 回転子
5 シャフト
7 ポールコア(回転子鉄心、ランデル型ポールコア)
7a 下ポールコア
7b 上ポールコア
8 界磁コイル(コイル)
72 外側端面(外端部平面)
73 爪基部
74 爪部
75 ボス部
76 内側端面(ボス部端面、平面部)
78 軸穴(シャフト貫通穴、シャフト軸穴)

Claims (9)

  1. 径外方向へ向けて伸びる多数の爪基部の径方向先端部から軸方向へ延伸する爪部を有した中空状コア部材からなる複数の回転子鉄心を対向して組合せ、形成される中空部にコイルを装着し、前記各回転子鉄心のシャフト軸穴に圧入固着されたシャフトを備える回転電機の回転子であって、
    前記シャフトに貫通され、位置固定される前記各回転子鉄心は軸方向に平面部が形成され、
    前記平面部は前記シャフトの回転中心軸と傾斜して、
    前記各回転子鉄心の前記平面部は互いに平行で当接しており、
    前記各回転子鉄心の前記平面部の軸方向前後で、前記シャフトが一直線状であって、
    かつ、前記各回転子鉄心の軸方向投影上の前記平面部の傾斜面に垂直な軸は、
    前記爪部中心と前記シャフト軸穴中心を結ぶ放射状仮想線と、
    前記爪部間中心と前記シャフト軸穴中心を結ぶ放射状仮想線との中線上にあることを特徴とする回転電機の回転子。
  2. 請求項1に記載の回転電機の回転子において、
    前記各回転子鉄心は、前記各回転子鉄心の軸方向外側に外端部平面と、
    軸方向内側にボス部端面を備え、
    前記各回転子鉄心の前記外端部平面は対向する他回転子鉄心の前記外端部平面と互いに平行であることを特徴とする回転電機の回転子。
  3. 請求項1または2に記載の回転電機の回転子において、
    前記各回転子鉄心は、ランデル型ポールコアであることを特徴とする回転電機の回転子。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載の回転電機の回転子において、
    前記各回転子鉄心は、前記各回転子鉄心の外端部平面のシャフト外周領域に付設された円環状の溝部にかしめ嵌合されることを特徴とする回転電機の回転子。
  5. 径外方向へ向けて伸びる多数の爪基部の径方向先端部から軸方向へ延伸する爪部を有した中空状コア部材からなる複数の回転子鉄心を対向して組合せ、形成される中空部にコイルを装着し、前記各回転子鉄心のシャフト軸穴に圧入固着されたシャフトを備える回転電機の回転子の製造方法において、
    位置固定される前記各回転子鉄心は軸方向に平面部が形成され、
    前記平面部は前記シャフトの回転中心軸と傾斜して、
    前記各回転子鉄心の前記平面部は互いに平行で当接し、
    かつ、前記各回転子鉄心の前記平面部の軸方向前後で、前記シャフトが一直線状であるように、前記各回転子鉄心を回転調整して組合せるマッチィング工程と、
    前記マッチィング工程の後に、回転調整された前記各回転子鉄心に前記シャフトを圧入する圧入工程を採用することを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
  6. 請求項5に記載の回転電機の回転子の製造方法において、
    前記各回転子鉄心の対向面は平面であることを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の回転電機の回転子の製造方法において、
    前記各回転子鉄心の対向側平面が密着していることを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
  8. 請求項5ないし7のいずれか1つに記載の回転電機の回転子の製造方法において、
    前記各回転子鉄心の外端部平面のシャフト外周領域に付設された円環状の溝部に、前記各回転子鉄心をかしめ嵌合するステーキングかしめ加工をシャフト組立後に行うことを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
  9. 請求項5ないし8のいずれか1つに記載の回転電機の回転子の製造方法において、
    前記各回転子鉄心は、前記各回転子鉄心の周方向位置決めを行った後、軸方向に当接して組立てられることを特徴とする回転電機の回転子の製造方法。
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